ダーク・ファンタジー小説
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- 本の世界のワンダーランド【序章】
- 日時: 2022/01/23 09:34
- 名前: ねむねむ (ID: lmEZUI7z)
2022 1/22〜 start
2022 1/23 20話達成
第1章
第1話 >>01 >>02 >>03 >>04
第2話 >>05 >>06 >>07 >>08
第3話 >>09 >>010 >>011 >>012
第4話 >>013 >>014 >>016
登場人物設定 >>015
第5話 >>017 >>019 >>020
wonder rand の専門語 >>018
第6話 >>021 >>022
- Re: wonder land ( No.8 )
- 日時: 2022/01/22 14:04
- 名前: ねむねむ (ID: lmEZUI7z)
「…………私が嫌だと言ったら……どうなるのでしょう………」
「君はワンダーランドに取り残される。だってアリス様の力がないと帰れないし。アリス様を今封印されてるし」
「で、どう?今だけのチャンスだよ?ワンダーランドの英雄となるか」
テラは手を伸ばし、私の返事を待った。テラの瞳は事実しか言ってないようだった。
「………」
きっと、救うという選択肢しかないんだ。この意味がわからない世界を理解しなければ、私は帰れない……。元の生活に戻りたい…!!
1度、2度、3度深呼吸をした。顔を叩いたり、引っ張ったりして心を落ち着かせた
「救います。」
テラの手を握って、答えた。どんな形であれ私の運命は決まっていたようだ。
「ふふ、理不尽だと思ってるだけど、その答えを出すとと思ってたよ。じゃ、早速”ワンダーメロディー“で方針を固めよう」
どこか怖い雰囲気を漂わせたテラだったが、すぐに私の手を取り、ワンダーメロディーの正門の大通りへと引っ張った
不安が残り、テラとどう接すれば戸惑う私にテラは
「あ、アリスちゃん! 敬語じゃなくてタメ語で話してよ!」
と気楽に言ってくれた。第一印象でもそうだったが、どうやらいい人で、気楽な人だ。
「あ、うん……テラ……くん?」
「あはは、アリスちゃん」
(ワンダーランドを救う。非現実で理解しにくいが、「救う」と言わなくても帰れない……。今更考えても無駄だから…一刻も早くアリス様を救うべきなんだろう…………でも…ちょっと……いやかなり心配…!)
- Re: wonder land ( No.9 )
- 日時: 2022/01/22 14:11
- 名前: ねむねむ (ID: lmEZUI7z)
ワンダーメロディーに入る前の大通りに入って、大きな門をくぐると、商店街なようなものがあった。数が多く、人もたくさんいたが雰囲気はとても暗い。
商店街を抜けると噴水、教会、家などがあった。その先にはお城があり、きっとワンダーメロディーの象徴だろう。アリス様…?かわからないけれど、女の人がハープを弾きながら歌っている銅像が屋根付近にはあったが、遠くからでもわかる。鎖で厳重に封印されていて、黒く錆びていた。きっと悪魔の影響だろう。
「さて、ここがワンダーメロディーだよ。ここから先はズラッとお店があって、奥には教会があるんだ。そしてこのワンダー王国の1番の見所はメロディーパレス。お城だよ!」
「…雰囲気が暗いですねじゃなくて……雰囲気が暗いね…」
タメ語で話す意識を忘れてしまい、慌てて言い直した
「そうだね。悪魔の物理的な被害もあるし、アリス様が封印されている精神的な不安もある。とにかく状況は最悪で、一刻も早く治さなくてはいけないね…」
「今からこれからについて話し合うから、僕の仮拠点に来て」
「仮拠点…?」
「仮拠点って言っても、酒場の上なんだけどね」
テラはBarと書かれた看板を指差した。BARには外の席もあるようだが、誰もいない。窓から見てもほとんど客が見えない。
「あそこがかりきょ…キャッ……」
ズシンと肩が痛み、衝撃で尻持ちをついた
(怖い顔をしている男の人と肩が当たってしまった……どうしよう)
「ッチ……どこ見てんだよ……」
とムカつく言葉を吐き捨てて奥に行ってしまった
(自分から当たってきたくせに……)
私はその男の人はキッと睨みながら小声で「そっちから当たったんでしょ」と言った
テラは私に手を借りて、立ち上がりながら制服について汚れを落とす
「大丈夫…? 王国の人達は悪魔の被害でピリピリしてるんだ。 この酒場だって悪魔の被害が始まるまでは凄い盛んだったんだけどね」
テラはどこか悲しそうな顔をした
「大丈夫…きっともう少しで良くなるよ……」
テラを励ますために強気なことを言ってみた。
(今後テラと過ごしていくんだろうから、友好的な関係を築いていくべきという理由もあるけれど)
「頼もしいね。さすがアリスちゃんだ」
- Re: wonder land ( No.10 )
- 日時: 2022/01/22 14:14
- 名前: ねむねむ (ID: lmEZUI7z)
カランコロン
テラがドアを開けると鈴の音がなった。
「いらっしゃい。おやテラ様か。その小さい子供は誰だい?」
(小さいって……)
「あはは、この子はアリスちゃんですよ」
「アリスちゃん…?近所の子か?名誉な名前だね」
「別世界から来た勇敢なる勇者 アリスですよ」
お店の人は一瞬ポカンとなったが
「はは、テラ様はおかしなことを言うねえ……ま、適当に2階使ってよ。」
と笑い流して、話をかえた
私のことは信じていないようだが、優しそうな人でよかった
「テラ、2階に行こう」
私は階段を指した
「そうですね。行きましょう」
階段に上がると、天井窓があり、机と椅子があった
奥に私が座り、階段に近い方をテラが座った
「さあ、まずはアリスちゃんがこの世界、いやなんでもいいから疑問に思っていることを言っちゃって」
「うん……じゃあ………本当に私は死なないの?後地球はなんで時間が止まっているの?」
「前者は、本当に死なない。これはアリス様の力をもらった後だけどね。アリス様の力をもらう=“ワンダーランド”が救われるまでは死ねない。地球に帰れないと言うわけ。アリス様の力がもらえるのは一回きり、そしてアリスちゃんは力をもらえる性質を持っていたんだ。」
(ワンダーランドにとってもすごい重要なこと……)
「そして後者は僕の…いや僕達の力で止めているんだ。」
「僕達……?テラだけではないの…?」
「うーん。僕の一族の名前は白銀兎族というんだ。 そして白銀兎族は時計…いや時の魔法が使えて、その時の魔法で地球の時間を止めているんだ。まあ時の魔法はさっきのでわかったよね。」
「あの…時空が曲がったこと…?」
「そうそう、その力を使ったんだ」
「すごいね……地球じゃ考えられない…」
「まあね、地球からみると非現実すぎると思うよ」
「あ、白銀兎族ってそんなすごい魔法が使えるって有名な貴族とかなの…?」
(BARの店員も…テラ様と言っていたから有名なんだろうな…)
「まあこのワンダーメロディーの中では2つの大きな貴族がいるんだ。1つは白銀兎族で時計魔法。もう1つは翡翠兎族で自然魔法。これは覚えてくといいよ」
「じゃあ、テラってすごい貴族なんだね…! お城みたいな家を持っているの?」
「お城みたいではないけれど、普通の家を持ってる。僕自体、冒険家だからね。宿によく泊まるんだ。白銀兎族も僕にそんな家をあげるほど良く思ってないしね…」
テラは天井窓を眺めながら言った。その目はどこか悲しそうだった。
「…ごめん。失礼なことを聞いちゃったね…」
「アリスちゃん、別に失礼なんかじゃないよ!ただ、白銀兎族とは仲が良いってほどではないだけ。強い恩恵を受けるのは、貴族の当主とその妻、子供達…つまり次期当主だけなんだよ。」
「そうなんだ。あ、そういえばもう私ってアリス様の力…?って貰っているの?」
この話題を続けない方が良いと思い、力のことについて話を切り替えた
「あー、まだもらっていないんだ。もらう前にワンダーメロディの国王にご挨拶をしないといけないんだよね。それが面倒でさ…。堅苦しい挨拶ってすごいめんどくさくない? 」
「確かに…少し目上の人でさえ息が苦しいのに…国王レベルなんて…どんな言葉使いがいいの?」
国王に無礼なことをしたら…と考えると怖くなり、テラに聞いてみた
「アリスちゃんは特に大丈夫だよ。強いて言えば、ずっと頭を下げていればいいかな。あと自己紹介!
“別世界から来ました。有栖と申します。国王様のお目にかかれて光栄です。”とか“ワンダーランドを救うことを誓います”とか言えばいいだけ!!あとはある程度僕の話に合わせてね」
「わかった」
私は首を縦に振った。
- Re: wonder land ( No.11 )
- 日時: 2022/01/22 14:18
- 名前: ねむねむ (ID: lmEZUI7z)
「ねえテラ、ワンダーランドを救うって言っても、アリス様の力をもらってそのあとどうすればいいの?きっと力があっても使えこなせないし…運動音痴だから」
「大丈夫。そのところ見込んでの性質さ。でも、慣らしの訓練はちゃんとするから安心して。まあ訓練と言っても3日ぐらいだけど」
「3日…!? そんな短い期間で力を扱いきれなるのかな…」
運動系は何でも苦手な私に戦闘なんて出来るわけないし、訓練期間も3日なんてワンダーランドを救う以前の問題だろう
「3日間でアリスちゃんは絶対力を使いこなせるよ。そこらへんの悪魔を容易に倒せるほどね」
自信満々にテルが言うので不思議に安心できた
「悪魔ってどんな感じなの?やっぱり地球と同じ感じ?」
「そうだね。ツノが生えていてこわい顔をした定番的な悪魔もいるけど、スライムやゴブリンの形をした悪魔もいるんだ。そこらへんの悪魔は低位悪魔と呼ばれている。だけど人間の形をした悪魔や自我がある悪魔は強く高位悪魔と呼ばれているんだ。 まあ基本的に城外の近くにうろついてるのは低位悪魔だから心配しないで!」
「うん。わかった」
「あ、訓練後の予定も一応話しておくね。訓練後はメロディーコアの偵察と低位悪魔の集落の処理をする予定だよ」
「メロディーコア?」
ワンダーランドの用語が出てきたのでテラに尋ねた
「あ、ごめん。メロディーコアというのは、ワンダーメロディーの源であり、アリス様の恩恵そのもの。そのコアが4つワンダーメロディーの東西南北に設置されていたんだけど……悪魔の支配でそのコアがアリス様と同じように封印されたんだ…まあさっき話した2つの白銀兎族と翡翠兎族の力で不完全の封印に抑えれたんだけどね
「だからまだワンダーメロディーはこの状態を保っているんだね」
「でも、すごい不安定で異常な天気やコアの爆発が起きることもあるんだ。」
「大変だね。じゃあ国王様も大変だね…」
「国王様は昔勇敢な剣士と称えられてたんだけど…今は悪魔の影響で病にかかってしまったんだ。しかも国王の妻も国王の病となりかけている。」
「どんな病なの? 治せないのかな?」
「精神的なストレスから引き起こしたって医者は言っていたから、その症状を抑える薬は合えるみたいだけど、具体的な治療はないみたいで」
「1番の得策はコアを支配している悪魔を倒して元にすることだよね…そうしたら前のワンダーメロディーに戻るの…?」
「ううん…。コアを元に戻すことは大きな復活になるけどもう1つあるんだよね…ワンダーメロディーのお城に銅像…あれって元々ガラスの像なんだ。悪魔の力、アリス様の封印、ハープの喪失、ワンダーメロディーの暗い雰囲気、異常気象による負担、長い年月、手入れをされてなかったことから元から銅像のように。」
「あの銅像ってやっぱりワンダーメロディーの象徴だよね。元はガラスの像だったなんて…想像もできない……。でもその銅像が元になるとどうなるの? 確かに象徴として大事なことかもしれないけれど…その前にもっと別の事をした方がいいと思う。これの悪魔の問題って早く解決しないと、より面倒臭くなってしまうんじゃない?」
「あの銅像は元々アリス様の姿をしていたんだ。そしてワンダーメロディーの大地に癒しの恩恵と、妖怪…つまり悪魔みたいな存在をワンダーメロディーに近づけさせないという恩恵がつめられているんだ。そしてアリス様のハープの音と歌声は誰もが癒されて、重いの病ですら治してしまう…。ワンダーメロディーとして絶対に欠けてはいけない大事な存在。だから治して欲しいんだ」
「うん、わかった。その銅像を元のアリス様のガラスの像に戻せば、再び悪魔の被害に遭うことは殆ど無くるんだ。でも、どうやって治せばいいの?アリス様の封印も影響の1つでガラスの像がこうなったんだよね。アリス様を復活させることが簡単に出来たら、ややこしい話にならない筈」
「大丈夫。コアを完全復活させて、その後に喪失…まあ悪魔に盗まれたハープを戻し、聖水につけて、そのあとアリスちゃんの力…アリス様にもらった力をハープに入れるんだ!そうすれば元より大きな力を持つハープになって、アリス様の封印をカバーできるっていう計画を思いついたんだ」
「うん…簡単に言うけど……凄い大変そう……」
「大丈夫だって!」
テラは私に「大丈夫!アリスちゃんなら余裕!」と応援をしてくれた
(まあテラも入れば大丈夫かな?短い期間だけど訓練もするし…聞いた感じアリス様の力も強そう…)
- Re: wonder land ( No.12 )
- 日時: 2022/01/22 18:27
- 名前: ねむねむ (ID: lmEZUI7z)
「テラ…私がんば」
私、頑張るよと言おうとすると急にガラの悪い男の人がズカズカ入ってきた。
ここに来る前に会った怖い顔をした男の人と似ている
「おおおおい!!!!酒をもってこい!!!!」
ガラガラでとにかく大きい声に耳を塞ぐ
(なんでそんな大きい声を出すの…うるさいなあ……)
目がつけられないようにテラの耳元で話す
「私以外に悪魔を倒したり…勇者的な人はいるの?…例えば鎧を着たあんな人」
私はガラの悪い男の人を見た
「うん、ワンダーメロディーには正式な悪魔討伐部隊がいるんだ。名前はメロディー悪魔討伐部隊。多分あの人もそうだよ。見る感じ下っ端みたいだけど」
「確かにガラは悪そうだけど…凄い強そうだよ!? それなのに下っ端って……」
「アリスちゃんもわかると思うけど…この世界では能力が使える。あの人はどうやら能力を持ってないみたいだからどれだけ体を鍛えても、能力を持ってる人には追いつけないんだ。」
「そうなんだ。なんか可哀想だね…努力しても届かないなんて」
「まあ生まれた時の力も含めての実力だからさ。」
テラは席を立った
「今日はアリスちゃんがこの世界に来たばっかだし、向かいの宿で休もう!」
「うん」
(テラの家には帰らないのかな…。でも聞かないほうがいいよね)
「帰るのですか?テラ様。まだ6時半過ぎですが、コーヒーでももてなしますよ?」
「ううん。大丈夫ですよ。ありがとうございます。」
「ハッ、偉い貴族はコーヒーを奢るだって?いいご身分だな」
ガタイのいい男はボソッとつぶやいた
(凄い言い返したい気持ちだったが、喧嘩できるほど強くないし、テラが気にしてないならいっか…)
「アリスちゃんいきましょう」
「あ、うん」
カランコロン
ドアから出ようとした時、男と目があった。凄い不愉快そうで、慌てて目を逸らした