ダーク・ファンタジー小説

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Cord___CyAN
日時: 2023/01/27 20:09
名前: ぷれ (ID: 5R9KQYNH)

どもども、ぷれです。
ここのところ、色々書きすぎて疲れたのですが、また新作書きます。
今回は、エージェント系です

~あらすじ~
2年前、大規模テロ事件が発生した東京都新江戸川区。ターミナルタウンとして、発展を遂げた街には未だ犯罪が絶えない。
そこで日本政府が立ち上げた、犯罪未然防止組織CyAN(シアン)を導入。
記憶喪失の少年と、新入りの少女がこの街の安全を守るために戦う。

人物紹介>>1
Prologue>>2
Episode 1.「New Buddy」>>3-5
Episode 2.「The pandora」>>6-10
Episode 3.「Day off」>>11-13
Episode 4.「Taste of Blood」>>14-20
Episode 5.「Hyacinth」>>21-22
Episode 6.「LOST」>>23-24
Episode 7.「Reaper」>>25-27
Episode 8.「Unknown」>>28-30
Episode 9.「Poison」>>31-33
Episode 10.「Alone」>>34
Episode 11.「Finale」>>35
Epilogue>>36
Episode 0.「Started」>>37

Re: Cord___CyAN ( No.23 )
日時: 2022/11/24 17:25
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

Episode.6 「LOST」

「津葉木さん、荷物が」
「え?僕なんか頼んだっけ?」
大きめの箱を受け取り、ずっしりとした重みを感じながら、テーブルの上に置いた。
何かを注文した記憶すらないまま、伝票を見る。そこには確かに津葉木叶魅と書かれていた。
ますます怪しい。
「Pandora...え、待って怖い怖い怖い。なになになに?僕社長に何か頼んだっけ?」
「津葉木さんうるさいです。いくらお客さんが来ないからと言って、騒ぐのはやめてください」
藍奈の冷たい視線が突き刺さる。
しかし箱の中身が怖いことには代わりない。
「開けますか...」
箱を開けると、中にはアタッシュケースが2つ重なっていた。
「何か手紙まで...『またひとついい男になれた津葉木くんへ。ボクからのささやかなプレゼントだ。あまり中身とか言えないけど、どうせ見れば分かるでしょ。舌切り雀と同じでどちらか一つ選んでくれ。もう一つは送り返してね。』...なにこれ」
「私に聞かないでください。いいからとっとと開けますよ」
ここまで来るとどうでもよくなる。
叶魅宛なのに藍奈が開けるという謎の光景だが、気にしたら負けだ。
「これは...」
「USPとMk.23ですね」
H&K USP、今や警察から自衛隊まで幅広く使用されてきた愛され続けたモデルだ。
対して、H&K Mk.23は高精度で頑丈な造りだが、重量が増え特殊作戦用のモデル。
「んー...僕はUSPかな。グロックと同じ感覚だ」
「それじゃあ、Mk.23は送り返しますね」
貰っておいて、グロックは壊れるまで使う。愛銃なのだ、最後まで使ってやらないと。

Re: Cord___CyAN ( No.24 )
日時: 2022/11/25 17:35
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

20:20
車を走らせて30分、Pandoraの本社は遠いので正直疲れる。
しかもなぜ車を走らせているかというと、郵送出来なかったからである。
「流石に危険物だもんなー郵送出来る方が怖いわ」
ちなみにこれを送ってきたときは会社に偽装してたらしい。
そしてほぼ会話がないまま本社に着いた。
「社長って、まだいらっしゃいますかね?」
「はい、社長室の方に」
どうやら事前に説明してあるようなので、そのまま社長室に案内された。
色んな柔軟剤やら香水が混ざったような匂いが鼻を刺激する。
「失礼します」
「ん?ああ、ごめんごめん。わざわざ来てもらって。下がっていいよ」
すると、案内をしてくれた受付の女性は頭を下げて、部屋から去っていった。
「柏木さんはどうして?」
「私は運転手です。津葉木さんがこれなので」
叶魅は体力が無いので、これは仕方がない。
有栖は冷蔵庫から、乳酸菌飲料を取り出しコップに注いだ。
「申し訳ない、ちょうど飲み物がこれしかなくて」
「いえ、ありがとうございます」
「それで、ボクからのささやかなプレゼントは?」
「USPにしました」
有栖は表情一つ変えず、華奢な手で叶魅の手を握った。手はひんやりと冷たく、手のひらに固い感触があった。
「そのUSPはボクのお下がりだ。そしてこれはお守り、キミに託しておこうかと」
有栖は一瞬だけ寂しげな顔をすると、笑顔に戻った。
「来客だ、キミたちは隠れてくれ」
「?なぜです?来客なら別に」
藍奈がそこまで言うと、有栖は冷酷な目で睨んだ。
「いいから、早く」
それだけ言い残し、ドアに近づく。手にはベレッタM9。アメリカの警察では主流だ。
「社長、あんたを殺しに来たぜぇ?」
「そうかい、ボクは死ぬ気なんてないけど」
その会話のあとに銃声が何発か鳴った。
火薬の臭いと、肉の生臭さが混ざった強烈な臭いが部屋中に漂った。
慌てて出ると、そこには有栖が頭から血を流したまま倒れていた。
「あ?何だよ、他に居たのか」
「我々はCyANの者です、大人しくしていてください」
藍奈は冷静だった。
内心では整理が追い付かず、かなり精神的負担が大きく、銃を持つ手が震えていた。
「...す」
「何だって?」
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
グロックのマガジンをロングマガジンに変え、モードをセミオートからフルオートへと切り替えた。
「...藍奈」
「...はい」
「伏せてろ」
殺意、復讐心。
それらの感情に駆られた彼はもう人間ではなかった。
有栖を殺した犯人に実弾が装填されたグロックの銃口を向ける。トリガーを引けば奴を殺せる。
「へっ、そんなのでいいのかよ」
相手の銃はデザートイーグル、その銀色に光る銃身は死を意味していた。
「...くたばれぇぇぇぇぇぇ!!!」
轟音が連続して鳴り響く。
腕は振動で震え、相手の撃ってきた弾丸が肩を貫通するが、復讐に駆られた彼の前では無意味だった。
相手の体には無数の穴が空いていく。
___ガキン!!
金属が擦れ合う音と共に、右手に激痛が走る。
「...あ、ああ」
スライドが大きく歪み、赤色の液体が飛び散る。
暴発したのだ。フルオートに耐えられず、部品が破損。暴発した。
藍奈は目の前の光景を見て、ただ口を小刻みに震わせることしか出来なかった。
「叶魅!藍奈!」
右目に眼帯をした圭が到着したが、事は終わっていた。
立ったまま意識を失った叶魅と震える藍奈、そして死体となった有栖と有栖を殺した犯人。

「は!?小暮の消息が消えた!?」
電話越しに聞こえる志摩奏太しまそうたの声に圭は驚きを隠せなかった。
『はい、どうやら叶魅さんたちが帰ってきたすぐに行方が分からなくなって』
「おいおいマジかよ...。まあいい、今はあいつらの回復が最優先だ」

「ふふっ...叶魅、指が上手く動かなくなっちゃったね。私がご飯食べさせたり体洗ってあげたりやってあげる。私はあなたのパートナーだからね」
聖華季は、目を覚まさない叶魅に声をかけていた。
絶望の歯車。


6話終了です。

Re: Cord___CyAN ( No.25 )
日時: 2022/11/25 18:11
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

Episode 7.「Reaper」

叶魅が意識を失ってから14時間、彼の愛銃グロック18は破損。
篠崎有栖は死亡、犯人である東純あずまじゅんも叶魅による銃撃で死亡。
小暮彰は行方不明。
CyANの捜査官は頭を抱えていた。
「奏太、小暮のGPSの信号は?」
志摩奏太、CyAN所属の特別潜入捜査官兼情報部部長だ。
「ロスト、最後に受信したのは14時間前です」
「最終受信地点から半径30km圏内で捜索は...人手がたりねえか」
指揮官が居ないという致命的な状況で、任務など出来るはずがない。
このままでは、作戦にも支障が起こる。
「失礼します、津葉木さんが目を覚ましました」
バディである藍奈は、冷静な口調で報告した。
「本当か!!」
「はい、橘さんが病室に居るそうです」
ようやくフルメンバーでの活動が再開できる。

「叶魅、大丈夫か?」
「ええ、まあ...。事情は聖華季と九条さんから大体聞きました」
彼の言う九条さんとは、九条渚くじょうなぎさのことだ。女性捜査官で、水色の頭髪に172cmという長身。クールなのだが、叶魅と二人きりになると女の子が出てしまう。
「しばらく作戦に参加できず、申し訳ない」
渚は深く頭を下げた。
「んなこたあもうどうでもいい、叶魅が目を覚ませばどうだってな」
「私謝った意味ないな」

Re: Cord___CyAN ( No.26 )
日時: 2022/11/26 22:33
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

結局あのあと、渚は拗ねてしまった。
渚は27歳なのだが、拗ねている姿は小学校低学年だ。
「九条さん、元気出してくださいって...」
「いいもん、私は居ても居なくても変わらないんだもん...」
クールキャラのイメージぶっ壊れである。
しかしながら、彼女の経歴はかなりだ。過去にテロの鎮圧を一人で行い、テロ組織も一人で解散まで追い込んだ。裏では、悪魔と呼ばれていたりする。
「叶魅くんは優しくしてくれるのに、みんなは優しくしてくれない...」
「あの~...僕ら二人だけじゃないんですよね...」
「何かさーせんっす...」
「...何も見なかった、いいな?」
「アッハイ」

藍奈は考えていた。
(指揮官の最終受信地点がここ、だとしても短時間でそう遠くは行けない)
しかしながら、目撃情報すらない。
完全に行方不明と言っていいだろう。
「よっ、お疲れさん」
「荒木さん、お疲れさまです」
圭は藍奈にカフェオレを差し出し、目の前のイスに座る。
「何かわりいな、小暮を探してくれるなんて」
「いえ、作戦に支障が出ては困るので」
無愛想な返事だが、本当は嬉しい。
こうやって自分がやっていることに感謝してくれることが嬉しかった。
「藍奈さん、圭さん、いいお知らせと悪いお知らせがあります」
二人は訝しげな顔をして、奏太の話を聞いた。
「いいお知らせとやらから聞くぜ」
「彰さんの行方が判明しました」
「ほう...悪い知らせは?」
「...彰さんは、黒です」

Re: Cord___CyAN ( No.27 )
日時: 2022/11/26 22:53
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

緊急召集をかけ、会議室に集まった。
「急に呼び出してすまない、奏太から話だ」
奏太が、スクリーンの横に立ちパソコンを操作しながら喋り始めた。
「いいお知らせです。彰さんの行方が判明しました」
「奏太、追跡はできるのか?」
叶魅の質問に、奏太は冷静に返した。
「微妙です、悪いお知らせに繋がりますが」
「志摩、悪い知らせを」
「はい。彰さんは黒です」
確証すらないのに、なぜ言い切れるのか。
「この画像だけでは、確証はありません。しかし、彰さんの本名は小暮彰ではありません。黒井影虎くろいかげとら
黒井影虎、大規模テロ組織神風の組長。
しかし、同姓同名の可能性も否定できない。
「DNA鑑定の結果、黒井影虎のものと一致しました」
「じゃあ、今までやってきたことは...」
「何が目的か、それは本人しかわかりません」
叶魅が口を開こうとした瞬間、代表の部屋から銃声が2発聞こえた。
アイコンタクトで部屋に突入すると、額に2つ穴が空いた代表の死体があった。
「...黒井の仕業か」
「カメラの映像を確認、間違いありません...」
___黒井影虎です。

7話終了です
ちょっと飛ばし気味でしたね


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