ダーク・ファンタジー小説
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- Cord___CyAN
- 日時: 2023/01/27 20:09
- 名前: ぷれ (ID: 5R9KQYNH)
どもども、ぷれです。
ここのところ、色々書きすぎて疲れたのですが、また新作書きます。
今回は、エージェント系です
~あらすじ~
2年前、大規模テロ事件が発生した東京都新江戸川区。ターミナルタウンとして、発展を遂げた街には未だ犯罪が絶えない。
そこで日本政府が立ち上げた、犯罪未然防止組織CyAN(シアン)を導入。
記憶喪失の少年と、新入りの少女がこの街の安全を守るために戦う。
人物紹介>>1
Prologue>>2
Episode 1.「New Buddy」>>3-5
Episode 2.「The pandora」>>6-10
Episode 3.「Day off」>>11-13
Episode 4.「Taste of Blood」>>14-20
Episode 5.「Hyacinth」>>21-22
Episode 6.「LOST」>>23-24
Episode 7.「Reaper」>>25-27
Episode 8.「Unknown」>>28-30
Episode 9.「Poison」>>31-33
Episode 10.「Alone」>>34
Episode 11.「Finale」>>35
Epilogue>>36
Episode 0.「Started」>>37
- Re: Cord___CyAN ( No.18 )
- 日時: 2022/11/07 22:14
- 名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)
黒髪に若干の金メッシュ。黒のスーツを身に纏ったすらりとした体型、丁寧な口調。
桐生司、大規模テロ組織の副組長。
「わざわざ、副組長から出てきてもらえるとは、光栄ですね」
「そう言ってもらえると、嬉しい限りです。まあ、あなたの命日が今日じゃないことを祈りましょう」
「安心してくれ桐生さん、ムショへの内定と地獄への内定は決まってるからな。税金で食べていけるぜ?」
二人の間の空気が歪む。互いに銃を所持している。
「こちら津葉木、桐生司と接触」
『何だと!?津葉木、すぐに応援に行く!それまで絶対に交戦するな、死ぬぞ!』
しかし、叶魅は最初から恭平の命令を無視するつもりだった。
この男さえねじ伏せられれば、この男さえ無力化できれば、この男さえ殺せば圭が救われる。
「...生憎、私は銃を使う戦闘が苦手でして。私は素手で勝負させていただきます」
「なら僕も肉弾戦にするよ。フェアじゃないし...ね!!」
先に動いたのは叶魅だった。ネクタイを右の拳に巻き、全体重をかけ殴る。
その拳は、人を殺すためだけに特化したスピードとパワーだった。
「殺意の拳...!いいですねぇ、闘争意欲が湧いてきます!」
しかし、戦闘狂の司の前では通じなかった。
避けて体勢を崩すかと思われたが、司はそのまま荷重移動し殴る。
(速い...!)
ギリギリで回避するも、叶魅の予測能力に体が付いていけず、限界に近い。
「何やってんだ叶魅!!命令無視とかふざけてんじゃねえぞ!!!」
怒声。
その正体は、叶魅の先輩である圭だった。
「荒木さん!?何でここに!?」
「バカかてめえは!?いいから、さっさと動け。二人で片付けるぞ」
「2対1ですか、いいでしょう」
「てめえを殺るのはあたしらだ。兄さんを殺された身なんでね...!」
圭の兄である荒木界は公安警察だった。
機密情報が多く持っているため、こういった組織には狙われやすかった。彼もその内の一人だった。
彼は、司によって暗殺された。
- Re: Cord___CyAN ( No.19 )
- 日時: 2022/11/20 14:01
- 名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)
「そうですか、そうですか」
司は微笑みながらそう言うが、目は笑っていない。
叶魅は、感情を露にしてしまった。
「そんだけかよ...!?あんたは殺した人間に対して何も思わないのか!?」
「叶魅」
「ええ、何も思いません。死んだらただの肉塊にすぎないので」
「ふざけんなよ!!」
「叶魅!もういい...もう少しで貴島が到着する」
圭の制止で、ようやく落ち着いた。
しかし、怒りのボルテージは上がったままだ。
- Re: Cord___CyAN ( No.20 )
- 日時: 2022/11/23 13:53
- 名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)
「まあ、私の目的は津葉木さんの排除です。排除するのは私ではないのですがね」
その時、圭は咄嗟に反応した。考える前に体が動いていた。
叶魅は感情を鎮めるのに精一杯だった。
「叶魅!」
バン!!
突如として轟音が鳴り響く。窓が割れ、一瞬で分かった。
狙撃。しかし、彼に向けた弾道は当たらなかった。
「...荒木、さん...?」
目の前には右目から血を流す圭の姿。
ああ、そうか。荒木さんが庇ったんだ。
思えば思うほどに冷静になれない。呼吸が乱れ、心拍数が一気に上昇する。
「津葉木!命令違反だぞ!?」
「叶魅、下がるっす!!スモークを撒くっす!!」
「津葉木さん、早く!!」
目の前の惨状に彼は動けなかった。命令違反だとか、そういうのはどうだっていい。
「津葉木叶魅、あなたは命令違反をしたということでよろしいですね?」
「...はい」
はぁ、と溜め息をつき代表は蔑みの目を向けた。
今回は叶魅の命令違反、そして圭の負傷により任務は失敗に終わった。
「今回は厳重注意としますが、次はありません。あなたに居なくなってもらっては小暮が困りますからね」
「...はい、ありがとうございます」
叶魅はそのまま部屋を後にした。
もし、命令違反をしなければ、彼女は無事だったのだろうか。
「浮かない顔っすね、らしくないっすよ?」
「僕のせいで...」
手を握られ、叶魅は目を見開く。
「誰のせいでもないっす、誰かの為に戦えることは素晴らしいことっす」
「...っ、僕は...!」
気づけば頬を生暖かい液体が伝っていた。顔はくしゃくしゃになり、みっともない姿だった。
「もう、いいんだよ?」
女の子らしい口調。
依存する元相棒。
4話終了です。
果たして、圭はどうなってしまうのか...!?
- Re: Cord___CyAN ( No.21 )
- 日時: 2022/11/23 17:49
- 名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)
Episode 5.「Hyacinth」
「どうした?浮かない顔して」
有栖は優しく微笑み質問した。
まさか自分のせいであんなことになるとは思わなかった。
「いえ、何でも...」
目の前に出されたカフェオレを一口飲み、スマホに目を落とす。
「...そんなに圭のことが心配か?」
動揺。
スマホを持つ手は震え、焦点が定まらない。
「図星、か。自分が命令違反しなければ、彼女の右目は無事だった。そうだろ?」
「止めて、ください」
「いつまで経ってもそんなんじゃ変われない。はっきり言って、そんな迷いがあるから守れる人も守れない」
「止めろよ!!あんたに僕のこと言う資格なんてないだろ!!もうほっといてくれよ___」
乾いた音が部屋に響く。その直後に頬を突き刺すような鋭い痛みが走った。
何があったか認識するのに時間がかかった。
「...それだけ?自分のせい自分のせいとか思ってるんだろうけど、弱いよ、キミは。この程度の正論で感情的になるなんて、柏木さんの方が強い」
分かっていた。自分の弱さなんてとっくに知れていた。
目の前の有栖は無表情だった。怒りも、優しさも、悲しみも、何の感情も宿っていなかった。
「...キミを連れていきたい場所がある。いいかい?」
人を平手打ちしておいて、連れていきたい場所?
考えるだけ無駄だと思った。
- Re: Cord___CyAN ( No.22 )
- 日時: 2022/11/23 22:23
- 名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)
「少しは目が覚めたかい?」
「...はい」
車に半ば強引に乗せられると、そのままどこかへと走り出した。
叶魅はただ、車窓からの景色をぼんやりと眺めていた。何も考えず、ただぼーっと。
走ること10分、着いたのは民間病院だった。
「さ、降りて」
なぜ病院なのか、いたって健康体なのに。
「えーっと、407号室...あった!」
小柄な体で走ればもはや幼女だ。
そして、彼女の目の前の扉の横には「荒木圭様」と書かれていた。
叶魅の動揺なんて気にもせず、扉を3回ノックした。
「しっつれーしまーす」
「社長、病院だから静かにしてくれ...」
目の前にはジャージに身を包んだ、尊敬すべき先輩がいた。右目には眼帯をつけていた。
「ん?叶魅も来てくれたのか?って、それどうした?まさか藍奈とかに手ぇ出してぶたれたか?」
「あ、らきさん...っ、僕のせいで...!」
叶魅の視界は涙で歪み、その場にへたれこんだ。
圭は笑いから微笑みに表情を変えて、叶魅の前に立った。
「...社長、しばらく外に出ててくれないか?」
「あいよ。終わったら呼んでね」
有栖は病室から立ち去り、圭は扉から叶魅に視線を向けた。
「なーに泣いてんだよ、あたしは生きてる。お前のせいじゃない、あたしがやりたくてやったんだ。可愛い後輩を守るのは先輩の義務だからな」
「でも、荒木さんの右目は...!」
「これはあたしの宝物だ。後輩を守れて光栄だよ、右目なんて大したことない。だから泣き止め、いい男が台無しだぞ?」
圭は叶魅を抱擁した。
空は星が広がっていた。
「邪魔するぞー...失礼しt」
「貴島、お前は絶対に許さん」
「待って俺なんもしてnイヤァァァァァァァ!!??」
この日から、病院内で407号室は悲鳴が聞こえる部屋として恐れられるようになった。
5話終了です。
久しぶりの社長