ダーク・ファンタジー小説
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- 片翼の紅い天使
- 日時: 2014/01/12 23:42
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: iaPQLZzN)
うぐ…。
い、いいよね!大丈夫だよね!
と、とりあえずまた新小説書くバカが通ります。
絶対更新が遅くなります。絶対です、必然です。
そんなこんなで始まりますが、
温かい目で、且つ広い心で受け止めてやって下さい。
◆目次
prologue >>001 登場人物 >>002
*001 >>003 *011 >>015
*002 >>004 *012 >>016
*003 >>005 *013 >>017
*004 >>006 *014 >>018
*005 >>007 *015 >>019
*006 >>008 *016 >>020
*007 >>009 *017 >>021
*008 >>010 *018 >>022
*009 >>011 *019 >>023
*010 >>014 *020 >>024
◆お知らせ
2011:09:06 執筆開始
- Re: 片翼の紅い天使 ( No.1 )
- 日時: 2011/09/06 18:22
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: DxRBq1FF)
prologue
紅い天使。
堕ちた天使。
裏切りの、天使。
遥か彼方天空から
舞い降りる——————————、“片翼の天使”
そしてその瞬間は
チビバカモテないの三拍子そろった高校生と
ひ弱で敬語口調の片翼の紅い天使の
——————————————、偶然の出会い。
- Re: 片翼の紅い天使 ( No.2 )
- 日時: 2012/08/23 16:25
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: hsrPOuX9)
主な登場人物
高瀬 龍紀(タカセ タツキ) 16歳 男
身長が低く、頭が悪く、そしてモテないの三拍子揃った少年。
顔は悪くない、童顔で可愛らしいイメージだが性格は普通の男子高校生。
黒髪で、目の色も黒。
能力 形 (ケイ) D級
「こ…この身長は平均なんだぁぁぁ———!!」
レルカ(レルカ) 不明 女
朱色の髪で、前髪の端が長く、横髪が片の部分で跳ねている。
おどおどしているドジ娘。放っておけない存在。
左肩の背中にだけ羽が生えてる。
「え、ぇと……あの……、迷惑かけてごめんなさ、ぃ…っ」
澤上 仁(サワガミ ジン) 16歳 男
赤髪ツンツン眼鏡の高瀬の親友。
校則違反をしているくせして学年上位クラス。
飄々としている性格で、悪くない外見が一気にぶち壊しだという。
高瀬の事を“たっちゃん”と呼ぶ。故に殴られる。
「たっちゃぁーっん!!俺と一緒に校内の美少女集のレポートを————ぶばぁッ!!?」
神乃 殊琉(カミノ コトル) 16歳 女
学年主席、容姿端麗。更にS級能力者である完璧少女で、高瀬の幼馴染。
焦げ茶色の短髪で頭に白い眼鏡を乗せている。
故に学園内でも有名な程の美少女で、毎日の告白される回数は数え切れない。
活発で野心家で、高瀬を毎日のように殴り飛ばす喧嘩っ早い性格。
地の旅人の1人。
能力 撃 (ゲキ) S級
「ふざけないで!!バカの分際であたしに歯向かうんじゃないわよバカ龍紀ィ!!」
鬼帝 水痲(オニミカド ミズメ) 16歳 女
学年次席の天才、神乃殊琉の唯一の親友。
軽いウェーブのかかった神乃よりも短い短髪で、髪色は水色。アホ毛立ってる。瞳の色は赤。
運動音痴で喋り方もゆっくり。人の事観察している事が多い。
それが故に情報伝達が早く、最新の情報なら全て把握する事ができる。
視力が異常な程に良い為、命中力が人並みを外れている。因みに視力は両目とも4,5。
地の旅人の1人。
能力 弾 (ダン) A級
「殊琉ぅ、殊琉ー、置いていかないでよーっ?」
御鏡 風町(ミカガミ カゼマチ) 12歳 男
薄い黄緑の短髪で、一見可愛い子系男子。
昔の時代のような口調で特徴的。
一人称は己、二人称は主、または殿…らしい。
双子の姉と間違えられる事が多い。更に姉と合わせて【風鈴兄妹】とも呼ばれている。
地の旅人の1人。
能力 留 (リュウ) A級
「何故己はいつも姉上と間違えられるのじゃ…性別が違うにも関わらず」
御鏡 鈴町(ミカガミ スズマチ) 12歳 女
会話を好まないクールな性格。普通にしているつもりがいつの間にか誰かを睨んでいたり。
容姿は弟と一緒。但し向かって右側に黒いリボンを付けている。
それを外せばもう見分けはつかないとさえ言われている程酷似。
人の事に干渉したり、関わりを持とうとはしない。
一に冷徹、二に毒舌、三に眼力。
地の旅人の1人。
能力 裂 (レツ) A級
「……何?用がないのなら消えてくれると有難いのだけれど」
狩野 蒼(カリノ アオ) 13歳 男
とっても気弱で怖がり。いつも水痲の後ろをひょこひょことついている。
よく女子に間違えられる程可愛い容姿をしていて、瞳の色は青色。
毛先にかけて白から薄いピンク色になるという不思議な髪色。
右目に眼帯があり、その下はまつげが白で瞳が赤。
※随時追加・変更致します。
- Re: 片翼の紅い天使 ( No.3 )
- 日時: 2011/09/06 19:17
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: DxRBq1FF)
第001話 出会いは偶然
「…あ、あづぃぃ…」
もう秋だというのに、夏を引きずる熱さのせいで思わず少年は声を上げた。
蒸し暑い日が続く中、少年は今日も学校に残されて、この間のテストの再テストまで受けてきた。
その為体はぐだーっというように疲れきっているようにも見え、恐らく本人は疲れていた。
「よっ!!夕方だっつぅーのに相変わらず青春してねぇーなぁー?なぁチビ——————」
「うっせぇよ!!つうかさっき会ったばっかだろーがっ!!」
背後からのスキンシップに思わず突っ込みを入れる少年。
手に提げているカバンには“高瀬龍紀”と記名されている。
「なぁたっちゃんや、いいか、我等が通う奈川高等学校の男子の平均身長は172せん——————ぐぼぁッ!!?」
言い終わる前に、彼の腹には渾身の一撃。
「黙りやがれ、そして爆ぜろ」
「……ぐ…っ、顔は可愛いくせして言葉遣いが荒——————ぎょぼばぁッ!!?」
またも言い終わる前に、高瀬は彼の顎を拳で押し上げる。
見事ノックアウトされた少年————、澤上仁はバリバリ高速違反の赤髪を地面にべっとりとつける。
そして割れた眼鏡をふいっと指の先端で持ち上げ、
「——————、流石身長158㎝の我親友だなっ!!」
と勝手に感心した後、再び顔を地面に打ち付けた。
「さ、更に熱いぃ……これも全部澤上のせいだ…」
肌に焼け付く熱さを我慢しながらも、寮へと入って行く高瀬。
高瀬の学校、奈川高校は寮制な為生徒は皆この寮で過ごす。
然し特例で“能力”を持った生徒達は此処とは違う学生寮で過ごす事になっている。
能力を持っていない高瀬は普通寮で毎日を過ごしている…筈だったのだが。
「……あれ?」
高瀬はエレベーターで自分の階まで来ると、そう素っ頓狂な声を上げた。
思わず目をごしごしする、そして足早に自分の部屋の前へと向かい、その場で止まる。
高瀬はすっとしゃがんで、扉の前に落ちた“何か”を拾い上げた。
「——————————————羽?」
見つけたのは、“紅い羽”
募金キャンペーンか何かかなぁ、と思っていた高瀬は気にせずそのまま扉を開く。
2LDKで、入ってすぐ右隣にトイレ、そしてその奥にお風呂場。
左側は物入れ何かに使われている。
奥に進むと右隣に台所があり、左隣には自分の部屋。
1つ1つ確認していった高瀬は最後にリビングに目をやって——————————。
はぁ?、と再び声を上げた。
一瞬冷や汗が自分の頬を伝った。
そしてその汗がぽたりと床に落ちると同時。
高瀬龍紀は、フードを深く被った女の子を発見する。
寝っ転がっている。
薄い黄土色のマントを羽織って、可愛らしい寝息をたてて。
頭に被ったフードから覗く朱色の髪がふわりと窓から入ってくる風に靡く。
思わず高瀬の時は静止した。
(え……ちょ…え?こ、これ如何いう状況……?えーとえーっと……俺は確かに自分の家に入って………えーっと…)
混乱を始めた高瀬の脳内は最早止まらない。
帰ってくる最中、立ち寄ったコンビニの袋を思わず落とす。
「あ、あ…のー……?」
恐る恐る顔を覗く。然し可愛らしい顔を見て敏速に顔を引っ込める。
そしてふいに、背中が何故か不自然に盛り上がっている事に気が付いた。
悪いなとは思っていても気になる自分の好奇心に負け、高瀬はゆっくりとマントを持ち上げた。
「————————————ッ!!?」
自分で呼吸ができない程のものを見てしまった事を、心から後悔した。
あれから何時間という時が経つ。
既に真っ暗で、夜の8時をまわったところだろう。
高瀬はふっと起き上がる。
「あ、あの……」
そして背後から聞こえてきた小さな声に反応した。
どうやらそのまま寝てしまったらしい。自分の体が床にぺったりとくっついていた。
「き、気がついたのか…っ」
少女はにっこりと笑うと、ふわっとフードを外す。
朱色の髪が全体的に見え、閉ざされていた金色の両目まではっきりと見えた。
「すみません…貴方様に迷惑をかけてしまって…」
「良いんだよ、ちょ…ちょっとびびったけど…」
「私は此処には留まれないので…これで失礼しますね」
少女はまた太陽を思わせる笑顔で微笑む。
然し己は気付いていない。
高瀬が少し、焦っている事に。
「ね……ねぇっ」
高瀬は思わず呼びとめた。
その声にふっと、少女は振り返る。
「な、何…で————————」
喉が詰まり、声も詰まったのに。
高瀬は、手に汗を滾らせて…少女の顔と向き合った。
「——————————————羽っぽいのが、生えてんの?」
これが少年と少女の出会い。
これが、運命の歯車が回り始めた正にその瞬間だった事は、
今は誰も知らなかった。
- Re: 片翼の紅い天使 ( No.4 )
- 日時: 2011/10/02 19:03
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: DxRBq1FF)
第002話 片翼の天使
「ぇ……え……っ」
少女はびくりとその場で驚いて、思わず動きが止まる。
高瀬は喉奥をごくりと鳴らした後、口を開いた。
「さ、さっき…さ……見ちゃったんだ…俺」
「……」
「お前の背中に…“左肩だけ紅い翼が生えてるの”を」
両者の間に沈黙が流れる。
と同時に高瀬の緊張も高まった…その時だった。
「……そうですか…。仕方ありません……よく聞いて下さい」
少女は踵を翻して、高瀬の目の前で正座する。
重たい瞼をゆっくりと持ち上げて、高瀬を見透かすように見つめた。
「貴方は……“天使”という存在を信じますか?」
高瀬はきょとんする。
然し少女は真剣で、そんな高瀬を気にも留めずに話を続ける。
「貴方の見た通り、私は天使の翼を持った“魔族”と呼ばれる種族の者です」
「え…ぁ……え?」
「つまり、私は人間ではなく…天高くに存在する天界の住人なので御座います」
頭がついていかない高瀬は未だ呑み込めずにいた。
「この紅い翼は…私が“魔族”である証であり…、天族の裏切り者として、追われ続けていました」
そうして、少女はこう続ける。
空高く、人間が見る事のできない特別な空間に存在する天界には沢山の天族は存在し、
人類の進化を見届ける為に日々人間界へ降り立っていた。
然しその天族とは逆に、魔族という存在がいた。
それは綺麗な紅色に染まった両翼を持つ者の事。
魔族は今から約500年前に滅び、今はもう絶対現れない存在となっていた。
だが、自分は紅い翼を持って生まれてきてしまったのだ。
それが故に“セルフィーネ”と呼ばれる天族警察の者達に追われ続ける毎日を送っていた。
父は5年前に自分を庇って死去し、その後は父の友人と一緒に逃げ続けていた。
そして逃げ続けて約14年。
父の友人であった“デイル”は突如自分の目の前から姿を消した。
そして1年弱、1人でずっと逃げ続けてきたが遂に追い詰められ、
金色の輪を砕かれ、紅い片翼を撃ち抜かれ、天界から追放された。
金色の輪を身に付けていないと、自分の姿が人間に見えてしまう。
天族や魔族は、人間に己の姿を見せてはいけない。
その法まで破ってしまった自分は、最早生きる資格なんてなかった。
そして傷だらけのまま…目の前にあったビルに行き着いた。
片翼しかなかった為、ふらふらと低空飛行し…丁度窓が開いていた高瀬の家に転がり込んでしまった。
「…これまでが、私が語れる全てです」
何故語られたのか、しかもまだ全てを覚えきれていない。
聞き慣れない幾つもの単語に惑わされ、高瀬は未だ意識をふわふわと浮かせたままだった。
「私…は……もう天界へは戻れ、ません……紅い翼を見られた…以上……貴方に、隠す、こ…と、も……————」
ふいに、少女はぱたりと倒れ込んだ。
無理もなかった。
彼女の右肩には口で言い表す事のできない“翼を抜いた傷跡”が刻まれているのだから。
高瀬も先程見た時胃の奥から何かを吐き出しそうになったものの、気を落ち着かせる事ができた。
それは彼女を笑顔を想像したからだろうか。
高瀬ははっと気が付き、再び彼女へ視線を送る。
血だらけで、眩暈がしてまでふらふらと不安定なままこの家に辿り着いた少女。
自分より少し幼いくらいの少女は、紅い翼を持って生まれたが為に天界という場所から追放された。
果てに片方の翼を撃ち抜かれて飛行できなくなり、金色の輪を砕かれて全てを失って。
絶望の淵いる少女は、何処へ行こうとしていたのだろう。
「何だよ……、それ……っ」
気の利いた言葉とか、
最高のプレゼントとか、
そういうものは与える事ができない。
然し高瀬はこう思う。
それでも、救いたいと。
この少女の屈託ない笑顔を——————、見てみたいと。
彼女の幸せを————————心から願ってやりたい、と。