二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- マギ ー寄り道の書ー
- 日時: 2012/10/29 19:15
- 名前: 栖樺 椋 (ID: 16/cv9YI)
栖樺 椋です。栖樺として書く小説にあきらめが付いてきました。
例によって例の如く。
栖樺のいつもの二次作です。
つまりは、オリキャラがしょっちゅう出てきます。
オリキャラとメインキャラのからみを主軸に回します。
栖樺の手元には現在原作全巻がないので、細かいことは考えません。
主には感情的な面で創作していきます。
最初の話は書きやすいモルジアナの過去の話にしようと思います。
過去といっても彼女自身まだ15歳なので記憶もあいまいですが。
栖樺個人としてのモルさんの姿です。
毎回ですが、栖樺は投稿がおっそいです。
特に今年はほとんど投稿できません。
それでも空いてる時間で何とかします。
それに、自分のキャラの設定をよく忘れます。
やや、難所もありますが、これが栖樺の小説です。
よろしければ、他の話もどうぞ微作ですが。
コメントをあまりもらったことが無いので、自分の小説の
評価はわかりません。参照数での判断は任せます。
栖樺としては、とっても面白いこの作品。
台無しにしてしまわないように、日々、精進します。
予告
【モルジアナ】と【鎖身少女】
名前は絶賛思案中です。
- 第十二夜 権力者 ( No.16 )
- 日時: 2013/10/04 21:10
- 名前: 栖樺 (ID: sp0cIx.0)
[ファナリス]
暗黒大陸で伝説と語られている戦闘民族。
その民族は、赤髪と強靭な脚力が特徴的。
その脚力は獅子の腹を一撃で貫くと言われている。
「赤・・・・・。」
モルジアナは自分の髪を見る。
真っ赤だ。
自分の体を見る。
何一つ、傷一つ、ない。
私は、ファナリス。実感のないまま生きてきたけれど。
目の前で戦う一人の少女の戦いぶりは。まさに伝説。
「はっぁぁあああああああああああああああああああああっ!」
リージナの声とともに、蹴りが繰り出される。
人間が三人そろって吹き飛ばされる。
奴隷たちは檻から距離をとる。
声は上がらない。
そこにいる人々は息を飲む。
つい前まで一緒に箱の中で過ごし、ともにおびえてきた彼女は。
今やその面影をないくらい、勇敢に戦う。
一人、まるで舞うように。
軽快に、しかし、打撃に重みをのせて、
ただ、ただ戦うのではなく、
「これが、ファナリスの・・狩り。」
リージナに聞きたいことがたくさんある。
わからないことだらけの私に、それでも、それでも。
今は彼女から目が離れない。
「アナっ!」
「あ、はいっ!」
「見てばっかりいないの!アームのこと任せたよ!」
「はい、すみませんっ!」
なぜか怒られながら、モルジアナも戦い始める。
跳ぶように、飛ぶように。
どんどんと兵士を減らす。
まさに無敵。
これこそが、暗黒大陸伝説の戦闘民族。
彼女が何者でどういう経緯でここにいるのか、
まったくわからないが。
それでも彼女を見てファナリスと疑うものはいない。
「(こ、このままなら・・・・。)」
「・・・・・。アナっ耳を・・・・!!」
「えっ・・。」
言われるがまま理解し瞬時に自分とアームの耳をふさぐ。
リージナも一人倒してから、塞ぐ。
その刹那、
爆音なみの衝撃音がわたる。
何人かの奴隷が倒れる。
「な、なにが・・。」
「大砲だよ。」
「わかってんじゃないか。ファナリスのくせに。」
そこにいたのは、ここのボス。
大砲を背景に仁王立ちでのご登場。
世にも珍しい女奴隷商人であり、奴隷職人だ。
「アデラ・・・さん。」
リージナは彼女の名前を呼ぶ。
「よくもまぁ、暴れたじゃないか。えぇ?」
「・・・・・。」
「おい、リージナよ。
お前は拾っといてやっぱり正解だったな。」
「どうして、こんなときに。」
リージナは小声でつぶやく。
かなり悔しそうに唇を強く噛む。
モルジアナは立ち上がる。アームと手をつないで。
「いやぁ、あたしもつくづくついてるぜー。
お前は絶対なんかもってると思ってたんだ。いい拾い物だよ。」
「そんな、最初から知っていたじゃないですか。」
「り、リージナ。この人は・・。」
モルジアナは、まったく知らなかった。
奴隷の誰も知らなかった。
兵士、看守ともども知らない者も見られた。
それほど、暗部であり深部の人間。
それと話、対峙しているリージナ。
「どうだい?あたしから逃げられるって、嬉しかったかい。」
「逃げようだなんて。」
「じゃあ、お友達に説明してやんなよ。」
「アナ・・・・。」
モルジアナに近づき、リージナは手を握る。
その手は、震えていた。
「リージナ?」
モルジアナの声も震えていた。
「ごめんね、もう、力になってあげられないよ・・。」
「ど、どういうことなんですか?リージナ。
説明してください。私、私も知りたいんです!」
「うん、話す・・話すから・・。」
リージナは息荒くつぶやく。
そして、アデラと呼ばれた人を振り返る。
「あの人の名前はアデラさん。
私を、拾った人で、そして、・・・私の命の恩人なんだよ。」
奴隷商人を、恩人と呼んだ。
にやにやと笑う奴隷商人が心の底から憎いと思った。
- 第1昼 商人と少女 ( No.17 )
- 日時: 2013/10/11 20:43
- 名前: 栖樺 (ID: ERCwuHMr)
「なぁ、もしもお前らが檻の外に出れたらなにする?」
奴隷商人は奴隷の幼子に聞いた。
「わかりません。」
幼子はそう答えた。
「怒らないから、いってみろよ。」
「じゃあ、人間になりたいです。」
商人は苛立ちを覚えた。
「人間になったら、なにしたい?」
幼子は答えた。
「そんなの想像できませんよ。」
商人は幼子を殴った。
「いいから、答えろよ。」
「すみません。じゃあ、外の景色が見たいです。」
商人は笑った。
「外の景色って?」
「えぇと、『ソラ』とか『タイヨウ』とかですかね。あと、『トリ』も見たいです。」
「ほー、まともらしいこと言えるじゃねぇの。」
商人は関心して幼子の胸ぐらを掴む。
「それで、他には?」
「他…ですか。」
「あぁ、外に出てなにしたい?」
幼子は胸ぐらを掴まれたまま笑う。
「そんなの決まっているじゃないですか。」
「あ?なんだよ。」
「死にたいです。」
その日の夜。
商人は商人をやめた。
そして、奴隷職人という新しい職についた。
幼子はタイヨウの下で処理されたという。
- 第二昼 掟 ( No.18 )
- 日時: 2013/10/30 20:31
- 名前: 栖樺 (ID: sp0cIx.0)
一つ、彼らは人間に姿形をしていても人間にあらず。
一つ、彼らが人間になることは生涯ありえない。
一つ、彼らが人間に逆らうなどあってはならない。
一つ、彼らを処分したところで罪は問われない。
一つ、彼らを従順と思うのは浅い。
一つ、彼らに権利は存在しえない。
一つ、彼らへの危害は飼育とみなされる。
一つ、彼らは飼育は喜んで受け入れる。
一つ、彼らが言葉を発するのは最小限。
一つ、老若男女は問わない。
一つ、扱いは平等にしておくこと。
一つ、恋愛感情を抱いてはいけない。
一つ、子供を孕ませても罪には問われない。
一つ、子供が生まれようとも家族にはなりえない。
一つ、彼ら同士の子供は彼らと同等の扱いを受ける。
一つ、彼らにはみせしめのため鎖が必要。
一つ、手足の自由を与えてはいけない。
閉めに、これらの掟は彼らの鎖と化すだろう。
これらを守り、彼らを飼育し、権力をつかむとよい。
アデラ
- 第十三夜 契約 ( No.19 )
- 日時: 2013/11/06 20:03
- 名前: 栖樺 (ID: sp0cIx.0)
そこには人もおろか動物さえ限られたものしか生息しなかった。
極寒の地。
そのうえ恐ろしいほど広い吹雪で先が見えないときもある。
それでもそこを出るには進むしかないのである。
ただ足を、踏み込むしかないのである。
そんなところを一人の人間が歩こうものなら
すぐさま凍死するか、
この劣悪な環境下でも耐えられる兇漢な獣たちに襲われるか、
もしくは、
人さらいに遭うかのいずれかである。
何年か前、その地で人さらいが起きていた。
とはいえ、それは合理的なものだった。
「いやぁ、どっこ見ても雪だらけだなぁ、おい。」
奴隷商人であったアデラは退屈ながらに外を見る。
数十人の部下を引き連れの移動中。
もちろん多くの奴隷を携えて。
この寒さに耐えかね何人かは死ぬだろうか知ったことじゃない。
当時のアデラはとっくにこの仕事に飽きていた。
求めるのは『奇』。
何か新しい、面白いものを欲していた。
そのためか、わざわざこんな道を通ったのだ。
「つまんねぇな。人もいそうにないし。」
独り言のようにただただ思ったことを口に続ける。
「この辺になら、子供何人か捨ててそうなのによぉ。」
こうゆう土地になら子供を捨てる親がいたっておかしくない。
むしろアデラならそうする。子供などいないが。
「なんの収穫もなしに奴隷犬死ってのも上官さまに怒られるしな。」
頭を掻く。
長い黒い髪に指をかける。
鼻歌を歌いだす。
彼女はひたすらつまらなそうに。
外を眺め続けて、探し続けて。
「いやはや、情けないよね。」
食事もかねての休憩中、事は起こった。
悲鳴が劈いた。広い土地に声は続く。
そのうち奴隷の子供たちの悲鳴が聞こえる。
それを聞いてアデラは嬉しそうにそこに寄る。
「おいおい、あの奴隷の餓鬼どもが声をあげるとは珍しいな。
何事だよ、猛獣でもでたんか?誰か死んだのか?」
そこには
『元凶』を取り巻く兵士たち、
そこから少し離れたところに奴隷たちは小刻みに震えている。
そしてアデラが近づくと兵士たちは道を開けた。
そこにいた元凶を見てアデラは歓喜する。
「こいつは、いいモノ拾ったなぁ。」
「・・・・・・。」
「言葉は通じるっぽいな、とりあえず。
鎖でももってこい、なきゃ縄でもいいぞ。」
兵士十数人レベルでとりおさえられる。
『リージナ』はそこで契約を交わす。
一生彼女を縛る契約を。
「お前、私に拾われてみないか?」
元凶はうなづく、ためらいなく
- 第三昼 教え ( No.20 )
- 日時: 2013/11/12 21:38
- 名前: 栖樺 (ID: sp0cIx.0)
私は何も知らなかった。
二足歩行を知らなかった。
そもそも自分に手足の概念というものがあるのに驚いた。
言語学を知らなかった。
声というものは威嚇や求愛以外、他様々な感情でも発声することに驚いた。
私は服を知らなかった。
あの人の話によれば私は着ていたらしいが
きっと自分の体毛ぐらいに考えていた。
だから私は驚いた。
たくさんの自分と同じ形をした生き物がいた。
私は知らなかった。
その生き物は人間といって
その生き物は群れをなす生き物だった。
だから、捕まった。
私は強さを知らなかった。
自分以外は弱かったから。
私は自分と他の違いを知らなかった。
同じように狩りをして、食べ。寝て、生きて。
何が違うのかわからなかった。
一緒に行動してようやくわかった。
私は人間という種族ではなかった。
私が生きた土地を過ぎるまでは
私は番犬扱いで、迫る野獣をとにかく倒した。
いつもと同じように、昔の習いと同じ。
教えてくれて仲間たちは人間に連れていかれた。
人間たちは私たちを『ファナリス』とよんだ。
私はファナリスを知らなかった。
何故連れていかれるのかわからなかった。
だから、自分が捕まったときに思った。
あぁ、ようやくひとりから解放されるのか。
私はひとりから解放。
けれどそれは鎖と引き換えだった。
ひとりと引き換えに命を渡すつもりだった。
私に渡されたのは
冷たく重い足枷だった。
私は奴隷を知らなかった。
奴隷と呼ばれる弱い人間のなかに
『ファナリス』がいるなんて思わなかった。
私は、何も、知らない。
それは今も同じだ。
私はモルジアナのとこを勘違いしていた。
私とモルジアナは違った。
私は
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