二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

マギ ー寄り道の書ー
日時: 2012/10/29 19:15
名前: 栖樺 椋 (ID: 16/cv9YI)


栖樺 椋です。栖樺として書く小説にあきらめが付いてきました。
例によって例の如く。
栖樺のいつもの二次作です。
つまりは、オリキャラがしょっちゅう出てきます。
オリキャラとメインキャラのからみを主軸に回します。
栖樺の手元には現在原作全巻がないので、細かいことは考えません。
主には感情的な面で創作していきます。

最初の話は書きやすいモルジアナの過去の話にしようと思います。
過去といっても彼女自身まだ15歳なので記憶もあいまいですが。
栖樺個人としてのモルさんの姿です。
毎回ですが、栖樺は投稿がおっそいです。
特に今年はほとんど投稿できません。
それでも空いてる時間で何とかします。
それに、自分のキャラの設定をよく忘れます。

やや、難所もありますが、これが栖樺の小説です。
よろしければ、他の話もどうぞ微作ですが。
コメントをあまりもらったことが無いので、自分の小説の
評価はわかりません。参照数での判断は任せます。
栖樺としては、とっても面白いこの作品。
台無しにしてしまわないように、日々、精進します。

予告
【モルジアナ】と【鎖身少女】
名前は絶賛思案中です。

Page:1 2 3 4 5



第七夜 リージナ ( No.11 )
日時: 2013/07/06 11:01
名前: 栖樺 椋 (ID: rU5pfw7a)


リージナはアームとの逃避のことを話してくれました。
「アームは、ここを出て、お父さんとお母さんに会いたいって、
 言ってて、脱走してたの。
 たまたま見ちゃって、放っておけなくて・・。
 つい、追いかけて行ったの。気になって。
 いけないことっていうのはわかってたよ、でも。
 アーム一人じゃ、絶対たどり着けない。
 そう、思ったんだ。私たちは奴隷だ。
 いくら、外に出たって、この鎖がある限り、自由にはなれない。
 
 『外の世界』にはいけない。

 実際、外に出てみてわかったよ。
 私たちは外に出たけど、それは違うんだ。
 私たちの体は商人たちの物なんだ。
 自分の手足が自分の物じゃないんだ。
 自分の意志で動かしてないんだ、私たちは根っからの奴隷なんだよ。
 どこへ行っても逃げれない、
 どこへ逃げてもあらがえない、
 どんなにあらがっても、変わらない、
 どんなに変わっても、鎖は、、ものは・・はずせないんだ。」

リージナは一言一言に重荷を込めるように、
何かを確認するみたいに話し続けました。
「私は、アームを助けたかったんだ。
 いや、助かりたかったのかもしれない、ここから。
 アームはそのためのきっかけに過ぎないのかもしれない。
 私は、あんな子供を利用してまで・・・、行きたかった。
 戻りたかった、故郷に。
 覚えていることは、少ないけれど、それでも。
 私はこんなところでこんなことをするために生まれたんじゃない。
 そう、思うんだ。もっと外を知らなくちゃいけない。」

リージナはそこで初めて私を見ました。
その眼はなにかの決心をしているようで、
とても勇ましく、まっすぐで、儚いものでした。

「だから、ここから私は出たい。
 でも、処分されたらもともこもないし、
 アームは・・、私の身勝手のせいで・・・。」
「それは、違いますっ!
 アームだって、帰りたかったんです、あなたと一緒で。
 こんなところから。」
「うん・・・、それも、あるかもしれない。
 でも、私が、無理やりにでも、連れ戻せばよかったんだ。
 それなら、最低でも、痛めつけ程度で済んで、
 処分なんてことには・・ならなかったのに。
 よく、考えるべきだったよ。
 アームと私だったら、どっちを処分するかなんて明白だった。」
私はそこで違和感を覚えました。
ずっと、リージナは自分を特別視して、話を進めていることに。
大したことではないけれども、なにか、気にかかりました。
「せめて、私一人で出ればよかった。
 捕まりそうになったとき、アームを助けなければ良かった。
 あんな、ことしなければ、今頃、アームはまだ・・・。
 下手に手を出さなきゃよかったよね。
 私が、一人で逃避を続けるべきだったんだよ。
 それなら、奴らだって、わからなかったのに。
 悔しいよ、結局どこにも行けなかった。
 たどり着けなかったんだ。あれだけ欲していた、自由に。」
「リージナ一人で、どうだって言うんですか?」
「アナ・・・?」
私は無性に腹が立ちました。
リージナの話を聞いていると、
リージナ自身がリージナを蔑んでいるようだったからです。
そんなこと、ないのに。
「リージナは確かにアームを危険なことに巻き込んだかもしれません。
 いや、リージナが巻き込まれたんですが・・。
 どちらにせよ、途中で逃避をやめる判断をするのは、
 あなたがすべきでした。ここに、戻ろうと。
 それをしなかったことはあなたの過失です。
 いくら、あなたがアームより大きくて、立派で、強くても、
 勝てないものはいくらでもあります、私にだってあります。
 私は強いです。
 それでも私には鎖があります。
 私はここから出たいと思う気持ちも忘れました。
 けど、

 あなたが、言ってくれれば私はなんでもしました。

 絶対にお二人を逃がそうとしました。
 私なら、処分にはあいません。痛めつけだって、我慢できます。
 あのとき、あなたがここから出て行ったとき、
 横で寝ていた自分が情けなくて仕方ない。
 どうして、一人でしょい込むんですか?」
「・・・・・ごめん。」
「なんで謝るんですか。」
「だって、私が、全部わる・・。」
私はさえぎるように強く、アナの顔を見ていいました。
たちあがって、堂々と、声もひそめず、言いました。

「なんで、頼ってくれなかったんですか!」

「だ、だって・・・そんな巻き込むようなこと・・。」
「私は、巻き込まれたっていい、商人なんて怖くない。
 私は商人にはむかおうとすればいくらだってできます、
 それをしないのは私以外の奴隷がどうなるかわからないからです。
 みんなを危険にさらしてしまうかもしれない。
 それでも、その危険を冒してでも、あなたを、

 友達を守りたかったんです・・・・・。」

「わ、私だって、アナを・・・巻き込まないことが、
 一番迷惑かけなくて、済むし・・、アナは・・・・。」

「守らせてください。私は、そのために、力を使いたい。」

「アナ・・・ごめんね。私、自分勝手だね。」
「はい。」
「ごめんね、友達だって、あきらめないって約束したのにね。」
「本当です、ひどいです。」
「ご、ごめんって・・、遅かったね。」
「もっと言ってくれていいんです。考えましょう。」
「どうにもならない気がするけど・・。
 アームは・・・、もう・・・・・・・・・。」
「・・・・・私が切り込みます。処分に。」
「はぁ!?な、なにゆって・・・・。」
私は本気でした。
処分の方法はわかりませんが、子供を処分する方法は
ただ、どこかに置き去りにしたり、ふつうに殺したり。

動物に食わせたり。

どの手段を取られても。
「私が、看守をやる、もしくは、動物を狩ります。」
「そ、そんなこと・・いいよ。危ないよ。」
「私がやらなきゃ、誰も・・・。」
「アナ・・・・。」
私はまた、アナを押し切りました。
私は、忘れていたんです。
自分がファナリスであること、リージナが秘めてること。


私が、人より、動物に寄り添っていたことを。

私は獣でした。

何よりも、誰よりも、
翌日、アームを処分するためにとられた手段は単純明快。
『ファナリスによる公開処刑』
看守から声がかかりました。

『あの商品を殺せ。』

計画は初めから破綻していたんです。

第九夜 獲物とは ( No.12 )
日時: 2013/09/11 21:08
名前: 栖樺 (ID: rU5pfw7a)


目の前は真っ暗。
目隠しをしたまま歩くこと十五分。
見えなくたって感覚でどこをあるいているかなんてわかる。
あぁ、じめじめする。
土が足にくっつく。
鎖の音が空間に響く。
私の足に、ひたすら絡み付くその音に耳をふさぎたくなる。
でもそれはできない。
ふさぐてはふさがれているのだから。
手は不自由足も不自由、目も不自由。
それでも私は戦える。
ただ、今はそれはできない。
アームとリージナがどんな危機にさらされるかわからない。
そして、私は感じ取っていた。
このまま看守につれられればどうなるか。
目隠しに手がかけられる。
ゆっくりと目を開ける。

そこには

『あぁ・・・う、ひっ・・・・・。』

同じように目隠しされて手足の自由と言葉の自由も失われた
アームと思われる姿があった。
それがしっかりアームと言えないのは目隠しのせいと、
髪の毛が、ないせい。
アームの髪はきれいさっぱりなかった。
処分の前に売られたのかもしれない。
声でなんとなく、アームと悟り、目を伏せたくなる。
『うぅ・・・。やぁ、うっ。。。。』
少女の嗚咽は聞いてるだけで気が滅入る。
私はあたりを見回す。
リージナの姿を探す。
囲いの中にいる私とアームと看守。
そして、アームの後ろで手足の自由を奪われたリージナ。
アームの姿を直視はせず、ただ、うつむいている。
リージナの処分は後回しということだろうか。
やがて、アームの目隠しがとれる。
そして、


私をひどくおびえた目で見、叫ぶ。

『や、めて・・・。ころ、さないで・・くだ、さい。』

へたれこむ。
私は絶望しそうになる。
この子を助けることなんてできるのだろうか。
そもそもこの子はもう楽になってしまいたいのではないだろうか。
『やだ、よぅ・・。こわいよぅ・・・・。』
膝を抱える。
囲いの外にいる奴隷たちは誰もが目を背ける。
私に嫌悪の目を寄せる。
看守はにやにやと笑う。
「さ、こいつがお前の獲物だ。≪ファナリス≫。」
その名に誰もが一線を引く。
私をおびえた目で見る。
獲物と呼ばれた少女は涙を浮かべる。
もう、ひざを抱えることすらしない。
動かない。
誰もが、私を見る。
でも

リージナは違った。

私も違う。
この子は私にとって獲物じゃない。
私の獲物は。


さぁ、反撃開始だ。

第十夜 鎖 ( No.13 )
日時: 2013/09/16 09:20
名前: 栖樺 (ID: ERCwuHMr)



(!!)
リージナは驚く。
モルジアナは看守の頭の高さまで軽々と飛びあがる。
看守の頭に膝蹴りを食らわす。
看守は突然のことに対応できない。
もう一人リージナについていた看守が
リージナを人質にとろうとてをかけるが、
それより早くモルジアナはその看守の腹を蹴る。
一発で気絶した。

(これが…ファナリス)
リージナは軽く感動覚えた、それと同時に
何か不思議な感覚を覚える。
室内から看守がわらわらと出てくる。
モルジアナはそれと対峙する。
リージナはなにもできないが、
アームを連れ去ろうとする看守を見逃さなかった

手を伸ばすあのとき、つかみとれなかった手を。
一緒に帰ろうと誓ったあの日を。

そのときリージナの頭には故郷の風景がよぎった。
ひどくなつかしい今はすでに滅ぼされて
何もなくなってしまったであろう故郷。
故郷と生まれた土地を、
リージナの生まれた土地と生まれ育った土地は
まるで違う。
今はモルジアナの姿をみて、
生まれた土地を思い出す。
そう、誰もが思い出す。


あの真っ赤な大きな夕日の姿を。


アームの腕をとった看守が
リージナの姿をとらえた次の瞬間、
誰もがモルジアナに気をとられ誰も見ていなかった
アーム以外にそれを見ていたのは
敵の居場所に神経を張り巡らしていたモルジアナぐらい。
そうして彼女は驚く、彼女の行動に。
「そんな……」
声を発する。
驚くべきはアームに手を伸ばしたことじゃない。

看守の頭は遠く、
アーム達を閉じ込めていた檻のそとに
ぶっとんでいた。

「ごめん、アナ。」

少女の手足はすっかり自由になっていた。
横には怯えるアームの姿。
「リージナ、?これは…?」
「私、もうだめだ。」

リージナはいつもからは想像もつかない、悲しげな笑みを浮かべた。



第十一夜 ( No.14 )
日時: 2013/09/27 22:01
名前: 栖樺 (ID: sp0cIx.0)


「もうだめだ。」

「リージナ?いったい何を・・・!?」
モルジアナがリージナに寄ろうとした瞬間
檻の入り口が開かれた。
看守がぞろぞろと。
この施設ほぼ全軍といっていい量だ、
檻に入り切っていない。
「なっ・・・。」
(いつのまにこんなに・・・。)
どうやら、看守たちにはモルジアナがそう簡単にこの処理に
応じるとは思っていなかったらしい。
次の手だては考えられていた。
異端者を一気に殺すための手段が。
リーダーのような男がモルジアナに剣先をつきつける。
「貴様も処理する、ファナリス。」
「・・・どうしてですか、」
「貴様は規則をやぶったからだ。」
「なにをですか」
「無論。これの始末を怠ったことだ。」
剣先をアームに向ける。
アームはリージナから少し距離を取った位置に不安そうに立っていた。

第十一夜 覚醒 ( No.15 )
日時: 2013/09/27 22:34
名前: 栖樺 (ID: sp0cIx.0)


「これって・・。」
「この商品はもう必要ないとボスからのお達しだ。」
「商品・・・・。」
アームはひどくおびえてその場に頭を抱えてしゃがみこむ。
体中震えて、まわりの観衆からは憐みの視線を受けている。
「あ、アナは・・・・。」
「あぁ?」
リージナに剣先を向ける。
リージナは一瞬言葉を詰まらせるが、
「そこの、ファナリスの処理は、いいんですか。」
「ふん。そこのファナリスは、どうにも鈍いからな。」
「それでも、ファナリスは貴重なんじゃないんですか。」
「それなら、証明してもらうか、」
後ろの看守たちを指差す。
モルジアナのめつきが変わる。
「やってみろよ。俺たち全員殺せば、ボスの考えも変わるかもしれねぇな。お前らの処理についても、な。」
「・・本気ですか。」
看守はどうやら本気らしい。
どう考えてもおかしい。
ボスとやらは、看守たちを見殺しにするつもりなのか。
モルジアナは、返事をしようと口を開き、

「いいですよ。私が、あなたたちを・・・・。」

看守がにやつく。
モルジアナは気づく。
「なぁ、ファナリス。気づいたか。」
「あなたたちを、倒します・・。」
「アナ?」
モルジアナは看守を鋭くにらむ。
リージナは話が読み込めない。
「倒す?それじゃだめなんだよ。殺すんだ、」
「・・・・・。私は・・。」
モルジアナがこぶしに力をこめるのをやめる。
明らかに様子はおかしい。
「アナっ…!」
リージナは近づく。
体が震えていた。
「確かにファナリスの体は人より強固だ。
 それになにより、優れた戦闘技術。
 代々うけつがれる技術ははかりしれない。だが。」
モルジアナに視線を移す。
モルジアナは徐々に顔を下げていく。

「お前はそんなもの教わってない。
 なにせお前は不完全にもほどがある欠陥品ファナリスだからな。」

「っ・・・・・!」
「なっ・・・・・。」
「なら、体の強固、肉弾戦においての危険性さえよく考えれば
 お前の価値はそう高くないだろうとボスのお達しだ。」
欠陥品。
モルジアナは自分について一つだけ知る
ファナリスという民族についても不完全。
いよいよわからない。
得体のしれない自分が気持ち悪い。

「狩りを知らないファナリスは、人間にも劣る。」

看守は得意げに剣を回す。
それをリージナの目の前で止める。
「狩られる友達でも見てろ。そこではいつくばって。」
震えるリージナの体を看守が十人ほどでひっとらえる。
体に力が入らないらしくモルジアナはただ力なく笑う。
「私は、ファナリスじゃ。。」
目の前がふらつく。
自分が、ずっと、特別視されていたのに
自分はその名だけで奴隷になったのに。
なんだったんだ。
いったいファナリスってなんなんだ。
自分は本当にファナリスなのか。
自分は確かに戦いは知っていても殺しは知らない。
どうすればいい?どう動けばいい?
どこが動く?自分の体はどこまでやれる?
わからない、わからない、わからない。
わからないことだらけで。もう目を覆いたい。
視界がゆがむ。にじむ、これは、≪涙≫か。

「知らないなら、教えればいい。
 わからないなら、聞けばいいんだ。」

リージナは自分を縛っていた鎖を踏む。
鎖は粉々に砕け散る。
「リー・・ジナ?」
「アナ、ごめん。私は、やっぱだめだ。」
「ごちゃごちゃうるせぇんだよっ!!」
一人、とびかかる、素手でで。
遅い、でもリージナは背を向ける。
そして先ほどと同じように・・・。


看守の頭は檻の外にぶっとぶ。


「てめぇ、なにを・・・!」
「さっき、自分たちで言っていたじゃないか。」
情けなくも剣を震わせ、リージナに向ける。
その場にいるだれもがその光景に目を疑う。
リージナは笑う。
「お前、お前はいったい・・・・・。」
リージナはアームに目を向ける。
アームはおそるおそるリージナに近づく。
リージナは手をとる。
アームはそれを握りしめる。
そして、モルジアナに近づく。
そして、背中で庇う。

「見てて、アナ。」

彼女は跳ぶ。
明らかに人間とは思えない跳躍力。
夕日が輝くなか、彼女の髪はそれに反射する。
オレンジに近いその髪は、輝く。

真っ赤に。
 


「知らないなら教えればいい。」


Page:1 2 3 4 5



この掲示板は過去ログ化されています。