二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ワンピース 天まで…
日時: 2011/05/03 15:01
名前: リリア♪♯ (ID: CA3ig4y.)

小説をまたぎまくっているリリアですww
(5/2に名前を変えました!淡雪です!)

ワンピースはハマってるマイブームなので、小説を書いて見ました!

=注意=

遅いぜ☆(今年中学)
駄文だぜ☆
※追加※
☆最近、自分でも訳分からんくらいにごっちゃんです。それでもOKな人。
☆駄文は変わらずです。指摘して下さる方募集中!
☆誉めて!!私を誉めt((殺

悪コメ以外は大歓迎だぜ!(一応、女です。これでも…女…泣)

=作品(全部二次小説)=

・フェアリーテイル〜呪われた少女〜
・ぬらりひょんの孫〜半妖の定め〜(終了)
・モンスターハンター*無音旋風*



*オリキャラ*>>38

頑張るぜ!!

=目次=
〜プロローグ〜
〜第1話 悲しき娘 一輪の花〜>>1
〜第2話 味方は敵 敵は味方〜>>2
〜第3話 何を信じればいい?〜>>3
〜第4話 毒霧を抜けた先〜>>4
〜第5話 身分なんか、いらない〜>>7
〜第6話 光の裏切りか血の正義か〜>>8
〜第7話 “ユメ”と“ゲンジツ”〜>>10
〜第8話 闇に眠る〜>>11
〜第9話 抜けられない回廊〜>>12
〜第10話 志、高き戦士〜>>14
〜第11話 嵐の夜〜>>15
〜第12話 信じ続けた勇者 恨んだ戦士〜>>17 
〜第13話 自分の罪〜>>18
〜第14話 個々の思い〜>>19
〜第15話 王女のお遊び〜>>20
〜第16話 夢と現の狭間で〜>>21
〜第17話 夢は海より深く〜 >>22
〜第18話 “別に”〜>>23
〜第19話 幻想は現実になる〜>>24
〜第20話 “黒き龍の血を捧げろ〜>>25
〜第21話 生まれた意味〜>>26
〜第22話 風は時に気まぐれ〜>>27
〜第23話 風の吹き続ける村〜>>28
〜第24話 黒姫〜>>29
〜第25話 竜の集う場所〜>>30
〜第26話 フリージア〜>>31

*零章*
〜1話〜>>32
〜2話〜>>33
〜3話〜>>34

第1章 竜の暴走
〜プロローグ〜>>35
〜第1話 闇には近づきませんように〜>>36
〜第2話 学習島〜>>37
〜第3話 ゴムと風〜>>39
〜第4話 どこかで聞いた事のある言葉〜>>40
〜第5話 観音様〜>>41
〜第6話 風神のティルア〜>>42

*コメントを下さった方々*
Aerith様
(小説作品 ONE PIECEー裏切りの白魔導士)
ラッキー様
(小説作品 ワンピース 届け、祈りの翼)
ああ様

=プロローグ=

青い海。どこまでも続いている海。

偉大なる航路(グラウンドライン)を進む小さなイカダには、一人の少女。

近くには、一隻の船と、血に染まった海。

イカダに突き刺さった一本の剣は、赤い血を纏っている。

「うーん…手応えの無い海賊ね…前の海賊の方が良かった…」

食料や財宝をイカダに吊るすと、イカダが勝手に進んで行く。

「はァ…」

仰いだ空は、いつに無く虚しかった。

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Re: ワンピース 天まで… ( No.27 )
日時: 2011/04/07 15:18
名前: リリア♪# (ID: CA3ig4y.)

〜第22話 風は時に気まぐれ〜

 =なんで部屋に入れてくれねーんだ!=

    =女部屋だからじゃない!=

 =ティルアを何でこっちに移したんだ!=

  =あーもう!!うるさいわ!!=

遠くの意識で、周りの声が聞こえた。
ギャーギャーと騒ぐ声。はっきり言って煩い。

目は開けられなかった。
熱があるようだった。

すると、冷たい手が額に触る。

「(冷た……)」

目を少し開けると、黒髪の女の人が見えた。

首を動かす事が出来ない。

  =…煩いから!!どっか行って!=

バタンと大きな音がして、体を起こした。
急に動かしたせいか、頭に激痛が走る。

「っーー!」

「ああ、まだ寝てて。熱がまた上がったら大変だもん。」

隣にいたのは、ロビンだった。
声をかけたのは、ナミ。

ティルアが寝ていたのは、綺麗な部屋だった。
二つある内の一つに寝ていた。

渋々また横になると、額に冷たい物が乗った。

ナミは、ロビンの隣の椅子に座った。

「貴方も、何か過去があるんでしょう?」

話の始まりは突然だった。

少しうつむくが、話し始めた。

捕まっていた時の事。
マークに隠された秘密。

そして、これから起こるであろう、災い。

「やっぱりね。」

ティルアは、驚いた様子も無いナミ達を見て、逆に驚いた。

「やっぱりって…?」

「私達も、色々あるのよ。」
ナミとロビンが、交互に話し始めた。

自分達の過去、そして、皆の過去。

ティルアは、初めて聞く物ばかりだった。

「…こんな感じ。」

ティルアは、黙り込んだ。

自分の事で悩んでいたのが、小さい気がして。

ロビンが、気持ちを察したかのようにティルアの方を見た。

「別に、貴方の事が小さい事とは思ってないわ。ただ…迷ってるみたいだったからね。
ルフィに言われても、それでも今回の事でちょっと気持ちが動いた…」

「う…ん。」

「でも、私達は、貴方の事も、ちゃんと受け止めてると思うわ。」

ティルアは、ロビンに悟られていて、少しずつ、気持ちが晴れてきた。
ナミが、暗いムードを変えようとするように言った。

「ま、デリケートなティルアにがめつい男子が釣り合う訳ないから、相談したい時は私達を頼ってね!」

ティルアは、微笑を浮かべた。

その後も、話の話題は尽き無かった。

ちなみに、ティルアはガールズトークは初めてだったりするのだ。
楽しい話も、恋バナも。

楽しい時間は、驚く程早く過ぎるものなのだと、初めて知った事も。

Re: ワンピース 天まで… ( No.28 )
日時: 2011/04/13 17:18
名前: リリア♪# (ID: CA3ig4y.)
参照: 更新速度が落ちまーす。(入学したので。)ご了承。

〜第23話 風の吹き続ける村〜

静かな部屋に一人、ティルアが寝ていた。
辺りが静かだった。

まだ熱は下がらない為、外出禁止が命じられた。
お粥も、飽きてきた頃だった。

そっと布団を被ると、じりじりと暑くなって来た。
尋常じゃない暑さ。それはもう尋常ではない。

急ぎ部屋を出た。と言っても、頭痛が収まらない為、はいつくばって、に近いのだが。

「何!?この暑さ…」

尋常ではない暑さに、取りあえず、厨房に集まり、空調を利かせた。

ロビンが、本を広げ、一つの島を指差した。

「“ビートファイアー”。この島が暑さの原因ね。」

ビートファイアーに聳える火山は、活動を止める事は無い。
しかもその火山から出るマグマは特殊なマグマらしい。

そのマグマは冷え固まる事は無く、ずっと地下を流れ続ける。

その温度は地上にまで届き、この暑さを出しているらしい。

「な…何とかならねぇのか…?」

ダウン寸前のウソップ。

本の下には、“記録ログ一年”と書かれていた。

「マジかよぉ…」

ティルアは、そっと体を起こした。
          
「た…確か、私の部屋に永久指針エターナルポースがあったわ。」

「それって、ビートファイアーの!?」

ナミが言うと、ティルアは頷いた。

ティルアはもう、ウソップ以上にダウン寸前だった。


ナミは、永久指針エターナルポースを数個見つけた。
知っている町や、知らない町まで、沢山の永久指針エターナルポースが見つかった。

ウオーターセブン、クァル国、リーテリンの町、アラバスタ王国…

様々な種類のエターナルポースが置いてあった。

「一体なんでこんなに…」

ティルアは、薬でだいぶ回復していた。
そっと話し始めた。

「私が色々な海賊と接している内に、気前のいい人達から貰ったのよ。」

   =また来る為に、な。=

=預けとくからな。無くすんじゃねーぞ?=

「ルフィ、貴方の知ってる人だって…」

「おれのか?」

ティルアは、二つのエターナルポースを取った。
同じ文字が書いてある。

    “ゴア王国 フーシャ村”

「赤髪。そして、白ひげ二番隊隊長。」

絶叫。
ルフィが身を乗り出した。

「マジか?」

「…随分昔の話だし、依頼外だったけどね。」

赤髪と会ったのは6才。
目的の海賊に会えず、海をさ迷っていた所を無理やり保護され、
白ひげとは11才の時、偶然、島で居合わせたらしい。

「覚えてない?ルフィ。」

「何をだよ。」

「私、一回会ってるよ。ルフィに。」

本日二回目の絶叫。

ルフィが思い出して、笑った。

「そうだ!お前どっかで会った事あると思った!」


赤髪のシャンクスがフーシャ村に来るようになって、親しくなった頃、シャンクスは一人の女の子を抱えて帰って来た。

酷い傷と熱で、一時は生命を危ぶまれた事もあった。

その娘がティルアだった。

「そうだったそうだった!」

豪快に笑っているルフィを横目に見ながら、船の窓を見た時、様子がおかしい事に気づいた。

その時、ティルアが見た物は、歪んだ部屋だった。

「み……んな…」

「ティルア!!」

ティルアには、フラッシュのように通り過ぎた“未来”が見えた気がした。

戦う物、勝者と敗者。
仲間の姿。




























そして、血の雨。

Re: ワンピース 天まで… ( No.29 )
日時: 2011/04/15 21:39
名前: リリア♪# (ID: CA3ig4y.)
参照: 話がこんがらがって来たァァ!!!!((オイ。

〜第24話 黒姫〜

熱が上がり、目眩を起こして倒れた。
そんな事より重要だったのは、今の船の進路だった。

「(ビートファイアーに…近づいてる…)」

でも、熱のせいで上手く体が動かない。
皆が心配しているのも見える。

必死に、チョッパーの腕を掴んだ。
耳元に、絞り出すような声で言った。

  「 そ と 」

「……?」

チョッパーは、言われるがままに外を見た。
そして、異変に気づいた。

異変とは、ビートファイアー付近の、独特の海流だった。

その海流に足を取られ、ビートファイアーにどんどん近づいていた。

陸は、もうギリギリまで迫っていた。
大きな衝撃がして、暑さはピークに達していた。

「遅かったか…」

ティルアは、初めの段階で気づいていれば、と悔やんだ。

「しょうがないわ。」

海流は、島を取り囲んでいた。
船を“クー・ド・バースト”で飛ばせば抜けられるが、今は燃料切れらしい。

仕方なく、ビートファイアーに上陸することになった。

フランキー、ウソップ、サンジは買い出し、それ以外は、船に残る事になった。

ティルアは、また歪んだ世界を見た。
頭痛がして、きつく目を閉じると、またフラッシュのように、しかし、今度は声がした。

      =黒姫!!=

    =どこですか!?姫!=

黒姫、と言う言葉が続く。

それに、何故か未来では無い気がした。

語りかけてきているような、話しかけているような、感じだった。

大波乱所ではない予感がした。

==========================

買い出しグループは、一通り買っていた。

街の雰囲気はそれ程悪くはないが、かなり警備のよさそうな街だった。

至る所に街の守備隊が居て、その度にウソップが買い出しに向かった。

「民間もあまり見ねぇし、暑ぃし。」

ウソップはもう声すら出してない。

その時、空気が一瞬にして張り詰めた。


周りを、弓を構えた守備隊が囲んでいた。

白い装束を纏い、なぜかこの暑さに汗一つかいていない。

守備隊の一人、隊長と思わしき人物が、弓を降ろし、半歩前へ出た。

「貴様らは“入国証明書”を持たない不法入国者と聞いている!!その前に、一つ聞きたい事がある!!」

一枚の、写真を見せた。
幼い子が写っている写真だった。

「“黒姫”を、御存知ないか!」

青い髪、あの目はまさしくーーー

「いや。知らねぇ。…逃げろ!!」

サンジは、ウソップを連れて逃げ出す。

この島は、一刻も早く出た方がいいと感じたからだ。

==========================

      =姫。黒姫。

   どこにいらっしゃるのですか。

   早くお帰りになられて下さい。

    国民の皆が待ってますよ。=

声が響いた。

頭痛は、押し寄せる波のように、止まらない。

誰?一体誰なの?

暗闇に問いかける。
返事は返ってこない。

大声で叫びたくなる。





























教えて。





























私に今必要なのは、答えなの。

Re: ワンピース 天まで… ( No.30 )
日時: 2011/04/18 06:41
名前: リリア♪# (ID: CA3ig4y.)

〜第25話 竜の集う場所〜

ティルアは、キツく閉じた目を開けた。
雰囲気が変わった。直感でそう感じたからだった。

目の前に現れたのは、綺麗に着飾った女の人だった。

その人は、微かに声を出す。

「………………黒姫……………」

驚いて体を起こす。
周りを見ると、気絶させられていたナミや、チョッパーが居た。

「誰なの!?ていうか黒姫ってー」

言葉を続ける前に行動したのは、その人だった。

ティルアを、抱きしめたのだ。

優しく、暖かく。

「……!?」

ティルアは、その人を突き飛ばした。

そして、ナミやチョッパーを抱えると、“癒やしの風”を当てた。
襲われた形跡のある傷やアザは消えた。

その人は、驚いたようにティルアを見つめた。
ティルアは攻撃体制に入る。

「答えなさい……何故私達を襲ったか。そして、……黒姫とは何か。」

その人は、恭しく頭を下げた。
後ろにいた数名の兵士も、膝をついた。

           ・・・
「無礼をお許し下さい、リアナ王女。

貴方は、私共“黒龍の紋章”を持つ族の王妃でいらっしゃいます故、話せば長くなる事で御座います。」

ティルアは立ち尽くした。
リアナ、黒龍の紋章。
過去の全て。

「…………全てを話しなさい。」

==========================

ナミの目が覚めると、状況を告げた。

この人達に案内され、“ある場所”に連れて行っていかれると。
絶対に戻る。無理な真似はしない。

そう強く告げ、船を後にした。

「黒姫様は、黒龍の紋章について、どれ程お知りですか?」

「……全く。」

マークについては、それ程熱心に調べた事は無かった。
ただ、昔話と言う事だけ。

そして、歩いている内に、一つの大きな門が現れた。
門の先は下に続く階段だった。

兵士の一人が松明を持ち、前を歩くと、階段左右にあった蝋燭に火を灯して行く。

「どうぞ。」

思わず唾を呑んだ。

“危険な香りは巧妙に消される。
ただ漂うのは、甘い蜜の香りのみ。”

今迄の経験上からして、そんな事を思っていた。
今は、危険な香りがした。

女の人に促されたが、ティルアは後ずさった。

「?…どうしました?」

ティルアは、震えていた意味が分かった。

「私は、リアナ王妃だと、そう言ってるわよね。」

「ええ。」

「今回連れ戻したのは、また王妃になってもらう為じゃないの?」

「!!!」

過去を話すふりをした。

ただ、竜の集う場所と言うのは正解らしい。

ビートファイアーの住民は見る限りは、全員マークを持っていたからだった。

女の人は溜め息をついた。

「王妃は、そこまで成長されましたか。」

諦めるように、女の人は、一つのペンダントを渡した。

翡翠の宝石を、竜の形にしている。
光に照らすと、虹色に輝いた。

「私達は、これを“記憶の欠片”と呼んでいます。」

「記憶の…!?」

「王妃様が知りたかったのが過去ならば、全てをこの結晶が教えてくれますよ。」

女の人はそう言って、階段を下りて行った。

「待って!」

ティルアは思わず呼び止めた。

「貴方の名前は?」

女の人は、微笑を浮かべた。

「それも、教えてくれますよ。」

やがて兵士も門の中に消えた。

遠くで、悲しい声がした気がした。

Re: ワンピース 天まで…@参照200突破ッ@ ( No.31 )
日時: 2011/04/20 21:54
名前: リリア♪# (ID: CA3ig4y.)

〜第26話 フリージア〜

暫くしてサニー号(ティルアは“トラさん”と呼んでいる)に戻ると、サンジが凄い形相でサニー号に入って行くのを横目に見ますながら、部屋に入った。

竜の形の翡翠は妖しく、けれど、どこか見とれる光を放ちながら輝いている。

ティルアは、その宝石を握った。
祈るように。

生温かい、人の体温のような温度が、手に伝わる。

     御願いします。

 もし本当に過去を見せてくれるのなら、

   全てまでとは言いません。

   私の疑問に答えて下さい。


    リアナって何?

    私の生まれは?

    黒いマークの意味は?

    どうか、教えてーー

答えたのは、急に輝き始めた宝石だった。

慌てて見ると、宝石の、竜の目の部分が光っている。

まるで、命を、宿したかのように。

    =いいでしょう。=

綺麗な声。

この世の声とは思えないくらいの。

    =答えましょう。全てに。=

その光は強さを増し、目の前が暗くなった。

==========================

「…(つんつん)」

白く、可憐な指が頬に触れた。
ティルアのぷにぷにとした頬に触る。
顔を上げると、横に居た人物に気づいた。

「貴方は…?」

横に居たのは、声の主だった。

肌の色と同じような、白い髪。
それを後ろで結い、白いリボンが飾りになっている。

服は、淡い青色のワンピースだった。
吸い込まれるような黒い眼は、自分とは違い、真っ直ぐ、濁りっ気が無かった。

「私は記憶を司る女神よ。ようこそ。“記憶の図書室”へ。」

ティルアは改めて言われ、今いる場所に気づいた。

座っていたのは白い床。

そして奥に広がっているのは、本棚だった。

数多の本。そして、その“女神”は三つの本を持っていた。

背表紙には、“ティルア・シーヴィ”“リアナ・フューナリア”そして見知らぬ名前“ルーテリオン・D・ミュート”。

女神は、その本をティルアに渡した。

「これは…?」

女神は、本棚の入り口にあったーーつまり、ティルアの後ろにあった噴水に腰掛けた。

「全て貴方の記憶。」

ティルアは、驚いて本に目を移した。

この“D”もそうだろうか。

女神は、噴水の水を掬う。
その水は、手からこぼれ落ちる。

「ルーテリオンって子は…貴女の前の名前。」

女神は水を置いてあった硝子のコップに入れると、ティルアの持つ本にかけた。

ティルアはその行為に驚いたが、その水は、本に吸い込まれるようにして消えた。

「そして、リアナがレイシアでの名前。そして……」

女神はふっと笑う。

傾けたコップを元に戻すと、本から水が浮き出て、水は一つとなり、コップに戻った。

「ティルア・シーヴィは、今を生きる、悲しい戦士。」

硝子の何も飾りのないコップは、少し光っている。

コップに映っていたのは、映像だった。
一瞬だけ映り、また別の映像に切り替わる。

何の映像かは分からなかったが、人の過去を見せたようだった。

女神はその映像を満足げに見て、噴水に戻した。

そして、女神は振り向いた。

「私の名前は、フリージア・テーゼ。この図書室に来たくなったら、いつでも来てね。」

女神、フリージアは、左手に着けたブレスレットを掲げると、ブレスレットが光り、その瞬間、景色は歪んだ。

ティルアは、本を抱きしめる。

遠くでフリージアが、ニコリと笑った。

==========================

「ふ…ぁ…」

激しい眠気が有るまま体を起こすと、手元には、本が三冊あった。

ティルアは、あの“D”と書かれた本を開いた。

三つ繋がっているのなら、この本が最初だと思ったからだった。

微かな光が漏れ、その光は“風”となる。

ゆっくり渦巻き、過去の“映像”を映していった。


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