二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 21エモン〜夢の旅路〜①
- 日時: 2011/02/26 14:03
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
第1話 旅立ち前夜
もう、2064年になろうとしている。あっという間の四年だ。もう、24歳になるんだな・・・。エモンは、そう思いながら、夜の銀座の街を一人歩いている。エモンは、国家宇宙探検家になっていた。あの、スカンレーと同じ職業だった。エモンは、最近テレビに出演する回数が多くなってきた。だから、彼はつづれ屋に帰ることも少なくなった。その、つづれ屋では、3人がこんな話をしていた。「坊っちゃん。病気治りませんでしたね」オナベが、困った顔をして言う。「でも、まあ、仕方なかったんじゃないか。わしも、こんな感じがしてたんだ。昔から。あいつは、わしに似て頑固だからな」苦笑いをしながら、20エモンが言う。「あいつは、あいつの人生があるんだ。それを見守るのが、わしら、家族の仕事さ。だが、460年続いたこのつづれ屋を、わしの代で終わらせるのがこころおしいな。寂しくなるな」20エモンの目には、涙がたまっていた。もう、あいつは戻ることはないんだ。わしは、このまま死ぬんだ・・・。
もう、3人はあきらめていた。このまま、死に逝くことを。息子に会えない寂しさを持ちながら。
そんな時、ドアの所に人影があった。20エモンは、笑顔で挨拶をする。「つづれ屋・・・。懐かしいな」そう言いながら、彼は言う。
「スカンレーさん。お久しぶりです。前は、私達の21エモンがお世話になりまして」ママが、スカンレーの前に立ち言う。「いえいえ。あれは、エモンくんの為を思ってしただけですから」スカンレーが、照れながら笑う。だが、その顔も真剣な顔になり、「それはそうと、僕がここに来たのは用があるのです」3人は、真剣な顔になってスカンレーに向く。「エモンくんは、ここにいらっしゃいますか?もう、24歳になるんですね。ぼくは、12歳の時しか彼を見ていないんだ。あれから、大きくなった姿を見たいなと思いまして、お伺いしました」20エモンは、冷や汗をかいた。そして、迷った。どうすればいいんだ。スカンレーさんに本当のことを言うべきか、言わないべきか・・・。「今、エモンは、店を開けておりましてですね。それで・・・」3人は、冷や汗をかきながら苦笑いをしている。「どうかしたのですか?お悩みなら、私のようなもので結構ならお受けしますが」「いえ、結構です。悩みなんて、そんな事」「いえ、ありますね。私には、あなたの気持ちが分かる」「仕方ないですな」20エモンは、スカンレーの要求に答えた。「実は、エモンは、あなたと同じ道を歩んでいるのです」「宇宙探検家ですか?私は、息子さんに説得したはずなんですが・・・」「それが、その説得がまた、夢に走り出したそうなのです」「20エモンさん。あなたは、もう、このつづれ屋が滅ぶことを覚悟しておいでですね?」スカンレーは顔を近づけて言う。「もちろんです。覚悟しておりました。あいつは、私に似た江戸っ子風の頑固野郎ですので、20歳の時に怒った時以来、私は、思いました。あいつにはあいつの人生があるんだと。昔の私が馬鹿だったのです」「いえいえ。そうではないですよ」スカンレーが励ます。「エモンくんは、たぶん、つづれ屋の為に何かをしてくれると思うのです。いえ、絶対」「そうでしょうか。私にはそうとは思いませぬが・・・」「ご迷惑をかけ申し訳ありませんでした。では、ここで、失礼させていただきます」スカンレーは、自宅の六本木に帰る時泣いた。もう、会えないのだということを噛みしめながら。
一方、エモンは、マネージャーと2人、赤坂にあるTPPの楽屋で、話しあっていた。「エモンさん。明日地球を離れる心構えがあるというのは、本気ですか?」「もちろんですよ。僕は宇宙探検家ですからね」エモンが、パイプを加えながら答える。「ですが、エモンさんは、つづれ屋の跡取りでしょう。本当は」「つづれ屋?それってどこですか?ぼくは、知らないですよ。そんなお店」「とぼけないで下さいよ」マネージャーが立ち上がり、エモンの面前を見つめ、言う。「親の方が悲しまれますよ。モンガ—さんもスカンレーさんも同じだと思いますよ。そして、明日のテレビの予定も入っていますしね」エモンがパイプを加え、それの灰を落として言う。「君は、いつもいつもテレビと言ってはうるさいね。それは、キャンセルしてしまえばいい話じゃないの」「それは、しますよ。出来ますよ。だけど、親の方や、お友達が」「うるさい。うるさい」エモンが、烈火のごとく怒る。「これは、自分で決めたことなんだ。君や、僕の親が言う筋合いはないんだ」「そして、今日、生放送のバラエティーで、言うのですか?そのことを」「もちろんだよ。言うにきまっているじゃないか。僕が思っている世界、僕が愛している世界に自由に行けるんだ。微笑ましいことではないかね」エモンは、笑っていた。「確かにそうですね」マネージャーは苦笑いをした。「じゃあ。トイレに行ってくるからな」マネージャーは、その後ろ姿を見て思った。
この人とももう会えないのか。悲しくなってくるよ・・・。そして、一人で泣いた。エモンも、トイレで泣きそうになりながら、用を足していた。「さらば。地球よ。僕は、国の為に貢献するだけなんだ。ちょっとの期間だけど、頼むよ。地球」「本番10分前です」ディレクターが言う。エモンは、生放送されるスタジオに向かう。ぼくは、言わなければならない。あのことを・・・。彼は、言うことを決意した。本番が始まり、エモンは司会者としゃべりに喋り、笑いに笑い、番組を盛り上げていった。そして、最期に言った。「ぼく、視聴者の皆さんに言いたいことがあるんです。よろしいですか?」司会者は、了解した。エモンは、テレビカメラに顔を向け話す。「僕は、明日か明後日に、宇宙に向かうつもりでいます。沢山の星に行き、学びたいと思っております。国には、もう申し出ました。視聴者の皆さんとは会えないのが寂しいですが、あなた達が頑張って仕事などをしている時、僕は、秘境で頑張っていると思ってください。では皆さん、お元気で。さようなら」これには、皆驚いたであろう。司会者は泣き出し、テレビ関係者も泣いていた。この放送を見ていたつづれ屋一家も泣いた。エモンも故郷の星地球を離れると思うと、涙がこぼれた。もう、この星には帰れないんだ・・・。彼は、またそう思い、号泣してしまった。バラエティー番組は、収録が終了した。まだ、誰かの涙声が聞こえているようだ。
そして、エモンは、マネージャーに感謝の意を伝え、エアカ—に乗った。街は、皆が、ワンセグを見ながら、泣いてしまっている。号泣してしまっている。まさに、北朝鮮の主導者 金日成が死んだ時の人民によく似ていたであろう。彼は、密かにつづれ屋に帰り、宇宙探検の用意をし始めた。星の輝きが、彼を誘う。彼は、目に涙を溜めながら寝た。
明日か明後日の出発の為に・・・。〔第2話へ続く〕
- Re: 21エモン〜夢の旅路〜第3話・月の思い出 ( No.4 )
- 日時: 2011/02/13 07:50
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
第3話 月の思い出
21エモンは、今、ロケットの中にいた。月までは2時間少しで到着する。
エモンは、貰った写真などを見て笑っていた。もう、地球の円形が見えていた。大気圏やオゾン層も越えていた。もう、ここは無重力空間。外に出ればね・・・。彼は、2人にもらったチョコレートを食べた。とても、うまい。どちらも・・・。彼は、思い出してしまい泣き出してしまった。「ごめんよ。地球。僕の勝手な行動に迷ってしまって。そして、出発してしまって」彼は、そう思いながら地球を見ていた。ずっと見ていた。ロケットは、月の大気圏を超えた。地球は遠いものとなってしまった。このロケットは、月の首都、コペルニクスシティーに到着した。彼は、ここで会う人がいたのだ。それは、アレクセイ・スミノフと言った。決して、ロシア人ではない。この者は、彼の友達であった。
「久しぶり。アレクセイ。何年かまってしまったかな?」アレクセイは気づいたようであった。そして、「エモン。帰ってきたか。お前の親戚にはご迷惑かけたな」「いいや、そうでもないんだ。だけど、最後はみんな泣いていたな。地球の友も。親も」エモンは、また泣き出してしまった。アレクセイはしばらく黙っていたが、ハンカチを出し「人間というものは絶対に離れるものじゃないか」と慰めた。エモンは、涙を止めてアレクセイの方を向いて聞いている。「俺だって、もともとはアンタレス人だぜ。俺の実家も歴史があるホテルなんだ」「そうだったの?じゃあ、君と僕はほとんど、同じ運命・・・」「そうさ。地球の年号で言ったら、建武の時代からあったんだぜ。今から言うと700年ほど昔だな。お前の家も、慶長の時代からあったんだろ。俺の家も、後継ぎだとか言ってうるさかった。俺の兄弟は、俺と妹しかいない。妹には、親は自由にやらさていた。俺は、ボーイなんかやらされたんだぜ。それが、嫌になって、俺はアンタレス人民共和国公認の、宇宙探検家になったんだ」
そして、「お前と俺は、同じような世界から出てきたんだ。お前とは竹馬の友さ」「ありがとう。My friend」エモンは、少し勇気が出てきたようだ。そして、「僕は、この月のくづれ屋という宿に行きたいんだ」
「ほう。お前は、変な所に行きたいと言い出すんだね」アレクセイは、変そうな顔をした。「もしかして、くづれ屋というのは・・・」エモンは、少し黙った。そして、「そうさ。ここは、僕の知り合い。父の従兄が営業しているお店なんだ。僕は、そこで世話になった。無賃でな。それを謝りに、そして、金を渡しに来たのさ」「やはりか。そうと思った。だが、宇宙旅行はどうするんだ。エモン」「それが終わったら、すぐに出発する。アレクセイ。例の物は用意したろうな」アレクセイは笑顔で「おう。もちろんよ。そのかわり、壊さずに返せよ。これは、一億タングするんだからな」一億タングというのは、ムーン共和国の通貨である。一億だと、地球の金に換算すると百億円はかかろう。エモンは、笑い「よかった。用意してくれたたんだね。で、置いてあるところは?」「コペルニクスシティーのクレートと言う所だ」「港の近くか?」「少し遠いが、街の中さ」「そうか。ありがとう。じゃあ」エモンは、アレクセイと離れ、くづれ屋に向かう。くづれ屋は、コペルニクスシティーのツクと言うところにあった。エモンは、そこに到着した。
馬鹿に大きくなったな。ホテルギャラクシーみたいになってやがる・・・。彼は、自動ドアの前に立った。自動ドアが開く。中は、広々としていた。お客も沢山いるようだ。エモンは、ロビーロボットに「くづれ屋五内さんいらっしゃいませんか?」と聞いた。ロボットは、「社長は、150階にいらっしゃいます。テレポートしますか。ここに、モンド—というものがいるので」モンド—というのを見た時、彼は驚いた。
色が違うだけで、身体はモンガ—じゃないか・・・。モンド—は「モンド—」と言った。すると、もう最上階に来ていた。「お邪魔しますよ」「どうぞ」奥から声が聞こえた。いたんだ。ここに・・・。「お久しぶりです。くづれ屋五内さん。あの、僕が子供の時、無賃で泊めて下さりありがとうございました。その、宿泊料を今日持ってまいりました」
エモンが、冷や汗をかいて身を縮ませていると、「エモンくん。久しぶり。20エモンは元気かね?」と笑顔を見せて言った。「はい。変わりありません」「その件だけどね、君の事を、六内と話しあってね、貰わなくていいことになったんだよ」「なぜなんですか?」エモンは、首をかしげて言う。「君は、私たちの親戚じゃないか。私の家は、親戚関係には無償で部屋を貸してやれと、亡き父が最期に私の面前で喋ったんだ。私たちは、父・四内が亡くなってからそれを重視して今まで過ごしてきた。ある時、宿泊名簿を見た。そしたら、君の名前が出てきて、無賃とそこに書いてあったんだ。私は、エモンくんに迷惑をかけたなと思った。だから、いいよ。亡き父の遺志だし。そういえば、君に聞きたいことがあったんだ。ここに座りたまえ」エモンは、ソファーに腰掛けた。メイドロビットがコーヒーを入れてきて、それを持ってきた。五内は、「ありがとう」と言い、「さて、君は何の職業になったのかね。それが、聞きたかったんだ。六内。入ってこい」六内は、扉を開け入ってきた。「エモンくん。あの時はごめんね」と言ってきた。彼は、それを言うとソファーに腰掛けた。「僕は・・・」エモンは、少し黙った。「どうしたのだね。気分が悪くなったかね」「いいえ、違います」エモンは、そう言い「僕は、実は、地球連邦共和国公認の宇宙探検家なんです」「そうか。やはりな」五内は、少し暗くなった。そして、このような話をし始めた。「実は、君の親父もそういう夢があったんだ。あいつが生まれたのは、2004年。地球年号 平成16年。私は、2000年。あいつは、昔から変な奴だった。宇宙に興味を持っていた。君と一緒だ。だが、あの時は宇宙探検家という職業はなかった。宇宙飛行士の時代だったからな。あいつは、それになりたいと言ってたんだ。私たちや、亡き叔父19エモンは反対したんだ。だが、あいつは一族一の頑固者だったからそれを聞かなかったな。成長していって、あいつは考えを変えた。つづれ屋に不利益になる。勘当されてしまうかもしれないと考えたのかも知れんな。あいつは、夢をあきらめて、継ぐことを決意したんだ。19エモンは、それを聞きながら死んだ。彼は、笑っていた。死ぬ直前に言ったんだもんな。だから、つづれ屋は残ったのさ。この世に」
21エモンは、父にもそんなことがあったんだと思いながらコーヒーを飲んでいた。「エモンくん。君は、宇宙探検家になったんだ。沢山の星を発見してくれたまえ」五内は笑ってそういった。六内も笑っていた。「はい。そうします」彼は出て行った。彼は、クレートに向かい、一人用の宇宙飛行船に乗った。外は夜であった。彼は、静かに旅立った。地球が見える夜に・・・。〔第4話に続く〕
- Re: 21エモン〜夢の旅路〜3話の語句の意味 ( No.5 )
- 日時: 2011/02/11 13:45
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
第3話でも難しい言葉が出てきました。その言葉・新しく出てきた人物も合わせ紹介します。
〜人物紹介〜
アレクセイ スミノフ・さそり座のアンタレスの宇宙探検家。24歳。エモンの友達。エモンをいつも気遣う。
くずれ屋五内・くずれ屋の社長。59歳。20エモンの従兄。親戚関係である。
くずれ屋六内・くずれ屋五内の息子。30歳前後。後継ぎ。21エモンのはとこにあたる。
モンド—・くずれ屋で働いているモンガ—と同じような生物。テレポーテーションの能力を持っており、1週間に1回しか人間の話を話せない。
〜語句説明〜
大気圏・惑星を取り巻く大気〔空気〕が集まっているエリア。ここでは、地球の大気圏を表している。
オゾン層・地球の大気中でオゾンが多いエリアのこと。オゾン層は、太陽からの有害な紫外線の多くを吸収し、地上の生態系を保護している。
最近、地球温暖化で、オゾン層が破壊傾向にある。
アンタレス・さそり座にある明るい星。アレクセイ・スミノフはこの星で生まれた。
建武・日本の鎌倉時代後期、南北朝時代前期の年号。1334年1月29日から1338年8月28日の期間に使われた。
慶長・日本の安土桃山時代後期・江戸時代初期に使われた年号。1596年から1615年まで使われた。つづれ屋は、1603年〔慶長8年〕から始まったとされる。
以上です。また、更新します。4話もお楽しみに。
- Re: 21エモン〜夢の旅路〜 ( No.6 )
- 日時: 2011/02/07 01:57
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
この物語をお楽しみにしている方に申し上げます。今日と明日に用事があるので、この話はこの2日間は書けません。ご了承ください。
- Re: 21エモン〜夢の旅路〜第4話・人助け ( No.7 )
- 日時: 2011/02/13 07:50
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
第4話・人助け
エモンは、月を出発した。アレクセイは静かに空を向いた。あいつとはいつ出会えるだろうか。俺も危険な仕事に就いたものだ・・・。アレクセイは、暗い夜を見ながらそう思った。エモンと境遇が似ていた。
その時、エモンはどこの星に行こうかと迷っていた。宇宙船の中で。「宇宙の墓場 サルガッソウもいいが、子供の時に行った。ガニメデにも行きたい。アンタレス・ベガ・デネブ・シリウス・アルタイル うーん何処に行くか迷ってしまうな」彼は、頭を抱えながら操縦していた。もうすぐ木星衛星帯に入る。木星衛星帯ではワープが可能である。だが彼は、何処に行くかをまだ決めていないため、ワープをせず、ゆっくりと操縦する。沢山違う星から来た宇宙船が通過する。そんなことは気にせず、彼はゆっくりと操縦する。子供の時、小惑星帯に行ったことを思い出しながら・・・。
すると、緊急音が鳴った。ガニメデ宇宙空港より連絡が来たのである。モニターに係員が映る。「こちら、ガニメデ宇宙空港より緊急連絡。カリスト付近にて子供が浮かんでいるとの情報を得た。見つけたパイロットは至急応答求む」これが来るとテレビ電話〔無線〕を用意しなければならない。彼は、その用意をすぐに用意し、カリストに向かう。すると、無線が入る。「こちら●●●号。ただいまガニメデに向かい走行中。カリスト付近に行ったが子供は浮かんでいない模様」「なんということだ。テレポーテーションしているのか?」ガニメデの係員は驚いた。無理はない。そんな不思議なことはないのだから。エモンは考えた。
もしや、モンガ—なのではないか・・・。彼は冷や汗をかきながら操縦していた。だが、宇宙の気流によって流されている可能性もあった。彼は、人助けをしようと思い、操縦を速くした。他の宇宙船とは比べ物もならないように通過していく。カリストには着いたが、やはり人影一つもない。やはり、あの●●●号の船長が言った事どおりだったのである。彼は、木星衛星内を探しに回ったがそんな様子はなかった。子供はいなかった。行方不明になってしまっていたのである。この様なことがあれば、浮かんでいる子も帰れまい。家族も心配することであろう・・・。彼はそんな思いをしながら、ガニメデに送る。「こちら、345号。操縦者つづれ屋21エモン。木星衛星内探したが人影一つもあらず。宇宙の気流に流されている惧れもあるので、土星方向に向かう」「了解した」彼は、ワープを使い土星方向に向かう。沢山の星々を過ぎると、土星が見えてきた。土星には人影一つもない。彼は、土星衛星内を探した。すると、なぜか人影が見える。光が見える。彼はそこに向かった。
ここは、土星の衛星 タイタン。この辺りに浮いているというのか?彼は驚いた。地球人が浮いていたのである。それに、子供が宇宙服も着ずに、浮かんでいたのだ。もう、時間がない。エモンは、宇宙船の中から鉄の棒を取り出し「そこの子供。ここにつかまりなさい。早く」だが、それを言っても子供は動かない。彼は、仕方なく宇宙服を身につけ、宇宙船にブレーキをかけ出発した。子供の命を最優先に・・・。子供は、タイタンにぶつかりそうとしている。危ない。今、その時だ。エモン、今ここで助けるんだ。一刻もない。早くするんだ。助けるんだ・・・。子供は餓死状態に近かった。彼は、手でその子を持ち、船の中に入った。無重力空間を彼は越えたのだ。エモンは宇宙船内に入った。なんということだ。この子はとても軽くなっている。まるで、明治時代の歌人 石川啄木の歌を思い出させるようだ。この子は母ではないが、それぐらいの軽さだろう・・・。彼は、可哀想に思い、食料をあげた。が、彼はいっこうに起きなかった。死んでいるのではないか・・・。エモンは、心臓マッサージをした。それでも動かなかった。エモンは、操縦席に行き「こちら345号。タイタン付近にて子供一人救出。だが、死んでいる模様」「彼を救出して下さりありがとうございました。死んでいると思っていましたが、やはりそうでしたか」「そりゃそうですよ。宇宙服も着ずに、食料も持たずに浮いていたのですから。もしかしたらこの子、密航してそれがばれて、船から捨てられたのでしょう。可哀想に」「おじさん。それはないよ。ぼくは生きていたんだよ。ぼくは気絶していただけなんだよ」子供はか細い声で言った。「たった今、生き返った模様。彼は、気絶していたようです」「それは良かった」とガニメデが言い、通信が終わった。
彼は気になった。この子が誰かを。だが、無事でよかった。エモン、お前は人助けをしたのだ。良いことをしたものだ・・・。エモンはこういう神の声が耳の中に聞こえてくるようであった。彼は旅立つ。そして決めた。次はアンタレスに行くことを・・・。〔第5話に続く〕
- Re: 21エモン〜夢の旅路〜第4話の語句説明 ( No.8 )
- 日時: 2011/02/13 07:52
- 名前: 上野宝彦 (ID: ieojggCq)
第4話 人助けでも難しい語句が出てきました。新登場人物は出てきてませんが、ご紹介します。
〜語句説明〜
サルガッソウ・故 藤子 F 富士夫さんが書いた21エモンに出てくる架空の地名。ここに入ると、人間も機械も帰れない場所
ベガ・こと座にある最も明るい星。夏の第三角形の一つ。太陽からの距離は25.3光年離れている。織姫の星として知られる。
デネブ・はくちょう座にある星。夏の第三角形の一つ。
シリウス・おおいぬ座にある星。太陽を除くと、一番明るい恒星である。冬の第三角形の一つ。
アルタイル・わし座にある12番目の明るい星。夏の第三角形の一部。太陽系から16.5光年の位置にある。
カリスト・木星の第4衛星。ガリレオ・ガリレイによって見つかった星。比較的明るい星であるので、双眼鏡で確認できる星。
石川啄木・1886〜1912 明治時代の歌人・詩人・評論家。若山牧水の友達。岩手県生まれ。肺結核で27歳という若さで逝く。歌集「一握の砂」で有名。ちなみに、イメージした歌は
たはむれに母を背負ひて
そのあまり軽きに泣きて
三歩あゆまず
以上です。また、こんなことがあれば投稿しますのでご覧ください。第5話もお楽しみに。第5話では藤子キャラの誰かが出てきますよ。
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