二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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夏目友人帳×少年陰陽師
日時: 2011/08/29 19:55
名前: 火矢 八重 (ID: AHkUrUpg)

初めまして。ここでは初投稿の八重です。
初めて・・と言うことで、これを読んで下さる人に三つお願いがあります。

一つ 荒らしや中傷は止めてください

二つ 初心者ですのであまり高望みはしない方がいいです。

三つ 恋愛要素入ります。嫌な人は、読まない方がいいと思います。そこまで刺激的じゃないけど。っていうか、恋愛要素なのか?ぐらいに薄いです。


それでもいいと言って下さる神様!暖かく見守ってください。



〜人物紹介〜

安倍 蜩 (オリキャラ)
半分純血な天狐の血を引きながらもかの有名な陰陽師・安倍清明の後継者。前世は安倍昌浩の双子の片割れ・天昌の生まれ変わり。土地神級の力を誇り、よく狙われる。でも半人前(笑)田沼要と幼馴染。夏目と一緒に友人帳を還していくことになる。母向日葵は人間が大好きで、レイコと絡んでいた。
夏目を気にかけており、「貴志」と呼ぶ。

もののけさん
普段は白い猫で過ごしているが、実態は清明の式神である『白虎』。与えられた名は『八雲』(八重が勝手につけました)。白い虎になって蜩をサポートしたり、中年のおっさんに変化して無茶をする蜩を説教したりします。もっくんとは良く話します。

王金(オリキャラ)
龍と鳥の狭間のような妖・辰未の種族で、蜩の式。蜩が卵を温めて育てた。女の子で、姿は九歳ぐらい。目が見えなく、波動で『そこになにがあるか』ぐらいは判るが、文字や人の表情は判らない。料理が上手い。人に姿を見せることが出来るほど、妖力は高い。

夏目 貴志
妖が見え、強力な妖力の持ち主で、素手で妖を殴れるほど。夏目レイコを祖母に持つ。レイコがうっぷん晴らしで妖の名を集めた『友人帳』を、還していくことになる。蜩に気があり、もののけさんよりも蜩を説教したりする。

ニャンコ先生
本名斑と言う、それはそれは立派な名を持つ高貴な妖。何時もは夏目の家の飼い猫として、招き猫の寄り代で生活している。夏目が持っている友人帳を狙っているが、なんやかんやで夏目の世話を焼いている。七辻屋の饅頭がお気に入り。蜩の手料理もお気に入り。

田沼 要
妖をはっきり見ることは出来ないが、妖の気配や影をみることは出来る。父親は清明と知り合いだったため、孫である蜩と灰とは仲が良かった。落ち着いた性格で、物静かだが、蜩や夏目や多軌のことになると荒くなったりする。蜩とは兄妹のような関係。

多軌 透
妖を見ることは出来ないが、陣を書くことでその陣に入った妖の姿なら見える。ニャンコ先生、もののけさん、もっくん、蜩を気に入っていて、特に蜩に会うともう突進で「お持ち帰り」。蜩とは大親友で、良き理解者。

安倍 灰
前世は安倍 昌浩で、清明のもう一人の後継者。分け合って本家とは離れて九州の金立に住んでいる。従兄弟の蜩とは兄妹のような関係で、また相棒。陰陽師だが、半人前。でも力は土地神クラス。ちなみに料理は卵焼きを作ったら調理室が爆破するほどへたくそ。蜩と一緒で「清明の孫」と言われるのが嫌い。

もっくん
普段は可愛い物の怪の姿だが、実は清明の式神。十二神将で一番強い神『騰蛇』。与えられた名は『紅蓮』。後継者である蜩と灰を暖かく見守る。

伊集院 八重
前世はあの藤原道長の一の姫、彰子。強い霊力と妖力を持ち合わせており、神々と契約している『鍵』を持つ。これがあれば雷でも火でも水でも何でも呼べるスグレモノ。おっとりした女の子だが、キレるとメチャクチャ怖い(例えば、ひぐ●しのなく●を取りだして朗読し、相手を失神状態にしてしまう)。灰と蜩を見守る。もう一人の『神持ち』。

安倍清明
前世も今世も凄い陰陽師。もうすぐ九十なのに元気。孫である蜩と灰によれば「喰えないタヌキじじい」。
孫たちにちょっかいを出すため、孫たち(主に蜩と灰)には嫌われている。

以上、人物紹介は終わりです。では、「見守ってやるよ」という暖かな神様がた、これからよろしくお願いします。

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Re: 夏目友人帳×少年陰陽師 ( No.31 )
日時: 2011/09/02 20:46
名前: 火矢 八重 (ID: AHkUrUpg)

 6
『ねえ、お兄ちゃんって、どうしてそんなにおはじきの打ち方が上手いのー?』
 小さい女の子が、拗ねたように頬を膨らませる。
ああ、あれは僕だ。小さい僕が、色とりどりのおはじきを眺める。赤、蒼、黄、淡い赤、淡い青、淡い黄、いくつもの色が机に並べてある。
『え・・・何でって言われましても』
 顔は良く見えない。でも、穏やかな雰囲気で判る。あれは兄さんだ。
 そうだ。小さい頃の僕は、何時も兄さんにべっそりだったんだ。何時も、何時も、何時も。
 良く、兄さんとおはじきをしていた。でも、何時も僕は兄さんに負けていたんだ。
『だって、お兄ちゃん、一度弾いただけで三つも弾くもん。何で上手いの?』
『何でって言ったってな———————』そう悩む兄さん。


 そうだ、僕は何時も兄さんを悩ませていたんだ。何時も、何時も、何時も、何時も——————————。




「・・・らし、ひぐ・・・らし」
 誰かの声が聞こえた。
「蜩!」


「あ・・・・」
「大丈夫か、うなされていたぞ」
「大方、変な夢でも見たのか?」
 声の主はもののけさんとニャンコ先生だった。王金も、心配しそうに僕の顔を覗く。
 ふと頬に触れてみると、涙を流していることが判った。
「あ・・・」
「もう起きた方がいい。斑を夏目殿に送らなければならないしな」
 もののけさんはそう言って、「飯を作る」とリビングへ向かった。
「うー。ひぐらし、だいじょうぶ?」
 王金が僕に寄り添った。「大丈夫だよ」と僕は王金の髪を撫でる。
 絹のような手触りが、時折あの夢を思い出させた。

Re: 夏目友人帳×少年陰陽師 ( No.33 )
日時: 2011/09/03 15:07
名前: 火矢 八重 (ID: AHkUrUpg)

「ふむ、あのおはじきはその翠子神と言う妖の僕だったのか」
「僕・・・って言うよりも、使いって言った方がいいかも」
 ニャンコ先生を抱きながら、貴志の家に向かう僕。
 昨日の夜警の事を思い出す。


『何しにここへ来た!祓い屋め!』
 あの時立ちふさがったのは、女の子の姿をした妖だった。薄い赤色の小袖を着て、狐のお面を後ろに被っている女の子。
『あ、いや、別に何かをしに来たわけでは・・・』
『さては翠子様を式にするためか!?そんなことはさせない!』
 あ、ダメだ。話聞いてない。
 取りあえず、本題より副題にするか。
『いや、あのね、僕たちはこれを届けに来たんだよ。これ、君のでしょう?』
 瑠璃色のおはじきを取りだす。きっとこれはこの女の子の物だろう。
 やはり女の子の物らしく、女の子はおはじきを無造作に取った。うわあ、凄い。
『なななななんで、貴様が・・・!』
 おお、動揺している。肩がふるえ、足が震え、奥歯がガチガチ言っている。無造作にとったから、もうちょっと冷静かと思ったよ。
『いやいや、昨日夜警で拾ったまでのことで。これ、君のでしょう?綺麗だね、そのおはじき』
 僕が褒めると、女の子はきょとんとした。震えは止まり、緊張感が緩まる。あ、もしかして警戒心解いてくれたかな?
『君の名前は?僕は安倍蜩』
 取りあえず名前を聞いてみる。名を明かすと言うことは、「敵意は無い」と伝えるため。名を明かすということは、命を預けることと同じだからね。

『はははは祓い屋ごときに、名乗る名前は無い!か、帰れ!』

 あ、拒否された。まだ警戒心は解いていないということか。

『・・・・・・・・・・・・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・』 

 しばらく痛い沈黙が流れ、僕は 今日は帰ろうと思った。

『また明日来てもいいかな?ってか、来るから』
『く、来るな!一生!』

 女の子にはそう言われたけど、来ちゃうもんね。

Re: 夏目友人帳×少年陰陽師 ( No.34 )
日時: 2011/09/03 17:51
名前: 火矢 八重 (ID: AHkUrUpg)

 白いシーツが揺れる。眩しい太陽の光を反射するシーツの中から、塔子さんが現れた。
「あら!蜩ちゃん!」
「おはようございます、塔子さん」
 僕は挨拶する。少し緊張を持ちながら。
僕の腕には二日酔いでうんぬん言って苦しんでいるニャンコ先生。その為か、僕の緊張には気付かないで塔子さんは駆け寄った。
「あら!にゃん吉くん、昨日から見えないと思ったら・・・」
「僕の家に、遊びに来ていたんです。このニャンコを、送り届けに来ました」
 僕は簡潔に用件を述べる。ってか先生、塔子さんにはにゃん吉って呼ばれてるんだ・・・。ちょっと可哀そうというか、何と言うか。

 塔子さんはしょうがないわねえ、と微笑み、洗濯物をそのままにしながら家に戻った。

「貴志君を呼んでくるわ!すぐ来るからー!」
「あ、いえ、別に・・・」

 お構いなく、と言う前に、塔子さんは行ってしまった。
 正直、貴志にはあまり会いたくない。僕は嘘をつくのが苦手だし、顔に良く出るって言われ続けたから隠し通せる自信も無い。かといって、勝手に消えるのも何だから、僕は待つことにした。


 少し暑い気温の中、僕は縁側に寝転がっているニャンコ先生の隣に座る。
 ふわあ・・と、涼しげな風が吹いた。チリーンと、風鈴が鳴る。
 ニャンコ先生の、プープーといびきの音。
「不思議ないびきだなあ・・・」
少し笑いを含みながら、僕は呟いた。
 その時、強い風が吹いた。

「わッ・・・」

チリーン、チリーンと激しく鳴る風鈴。



『なあ、蜩。このおはじきはな、狐の母さんが作ったんだ。ほら、所々歪だろう?でも、こんな綺麗な色を出せるなんて、母さんは奇跡の達人だったんだなあ』

「あッ・・・」
 声が聞こえた。————否、兄さんの声が聞こえたと思った。でもそれは幻聴だった。

 後ろを振り向いても、だれもいない。


 良く、縁側で兄さんとおはじきをして遊んだ。その事はもう、思い出したくない。
 ———なのにどうして思いだしてしまうんだ。忘れるんだ、兄さんのことは。

 もう全部、忘れなきゃ・・・。

Re: 夏目友人帳×少年陰陽師 ( No.35 )
日時: 2011/09/03 18:21
名前: 火矢 八重 (ID: AHkUrUpg)



でも、忘れようとしても。


————奇跡の達人だ

この言葉だけは、僕の脳裏に響いた。



「あ、蜩・・・」
「あ、貴志」
 三分ぐらい待っただろうか、もう準備万端の貴志が出てきた。
「すまん、まさか蜩の所に・・・」
「いやいや、僕も楽しませてもらったし。今回ばかりは目を瞑ってやって?ね」
「だけど・・・迷惑になっただろう?」
 貴志はそのままニャンコ先生に視線を向ける。
 ニャンコ先生は相変わらず、プープーと不思議ないびきをかきながら寝ている。
「いや、普通にニャンコ先生みたいな騒がしい妖は良く来るし。全然迷惑になってなかったし」
 貴志が変に責任を持たなくていいよ、と僕は付けくわえた。
 それに、雑鬼たちとか九十九神とか、色々騒がしい奴は来るし。
「でも・・・」
「貴志」
「・・・いいや、今日は目を瞑ってやる」
 その言葉に、僕はほっと安心した。
「そうそう。じゃ、僕はこれで」
「え?」
「え?・・て何?」
「え・・・だって、学校だろ?一緒に行かないか?」

 あ・・・そう言うことか。

「あ、うん。行こう」
「じゃあ待ってて。鞄持ってくる」
 タッと、あっという間に家に入った貴志。
その背中姿が、また兄と重なった。
「あッ・・・」

『ただいま————!』
 どろんこになって帰って来た兄を、小さな僕は何時も玄関で「おかえり」と言っていた。
『お兄ちゃんお帰りー!今日もおはじきしよー!』
『えー?今日は将棋しようよ』
 そう言いながらも兄は、何時も僕の要望に応えてくれた———。


 ハッとして、我にかえると、もう貴志は消えていた。もう家の中に入ったようだ。

 ———まただ。いい加減、昔のことなんて忘れればいいのに・・・。
 何で思いだすんだろう。嫌気がさす。
 ぐしゃぐしゃと髪を撫でる。忘れろ、忘れろ、忘れろ、忘れろ・・・・。

Re: 夏目友人帳×少年陰陽師 ( No.36 )
日時: 2011/09/03 20:23
名前: 火矢 八重 (ID: AHkUrUpg)

「夏目は鞄を取りに言ったのか」
「わああ!」
 あまりにも集中していたのか、叫び声を上げるほどビックリした。

「な、なんだ。ニャンコ先生か・・・・」
「ここは何処か?」
「貴志の家だよ」
「成程・・・夏目の匂いがするわ」

「ねえ、ニャンコ先生・・・」
「判っておる、昨日の件は黙ってやるわ」
 ニャンコ先生の言葉に、僕はほっと、胸をなでおろす事が出来た。

「だが、お前一人では何も出来んと思うがな」
「——————それは、判っている」
 貴志に黙っていても、問題が解決するということにはならない。むしろ、解決から遠ざかっている。
 でも、貴志を巻き込むわけにはいかない。僕の周りに居る妖はとても優しいが、怖い妖は沢山いる。それは身にしめていることだ。だからこそ、貴志を巻き込んではいけない。
 貴志には妖を—————————僕を嫌わないで欲しいんだ。
「昨日の件—————」
「え?」
 ニャンコ先生の次の言葉に、僕は耳を疑った。

「手伝ってやっても良いぞ」

「え・・・本当!?」

 あのめんどくさがりなニャンコ先生が自らそんなことを!?有り得ない!

「また水まんじゅう作ってくれるならな」

「・・・・あ、そうですか」

 水まんじゅう狙いだったのか。そうか、そうだよね、ニャンコ先生が自分の利にならないことなんてしないもんね・・・。

「ありがとう」

 でも、有難いのでその条件を飲み込むことにした。


 そんな会話をした後すぐに、貴志は鞄を持ってやってきた。
「蜩、おまたせ・・・あ、ニャンコ先生復活したのか」
「夏目、私のご飯は何処だ」

 ニャンコ先生が言うと、貴志はぶっきらぼうに言った。

「リビング。早く食べないと塔子さんに下げられるぞ」

「なぬ!?急がなくては・・・あ、蜩」

「はい?」

 一直線にリビングへ向かったのにわざわざ振り向いたニャンコ先生の言葉を、僕は聞いてはいけなかったかもしれない。


「くれぐれも一人でどうこうしようとは考えない様にな」


 ・・・・・・・・・・・・・。
 ニャンコ先生——————————————————ッ!


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