二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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[銀魂] 刀を持った桃太郎⇒21up 
日時: 2010/09/19 15:41
名前: 偉薔薇 ◆aWifV7VEAQ (ID: Xi0rnEhO)

.  Welcome!

初めまして、偉薔薇いばらと言います。
小説カキコ初心者で初小説(嘘)ですが、宜しくお願いします!!
皆さんお上手なので俺みたいのが書いていいのか解りませんが頑張ってみます!((嘘

■注意事項

壱・幼女ヒロイン主
弐・他にもオリ伽羅複数投下
参・伽羅崩壊
四・中傷等はご遠慮下さい
伍・駄文、文才の一欠片も無し
六・リンク以外の宣伝は無し(自力で頑張れや)
七・後は皆サン解りますよね

■設定

幼女ヒロインによるほのぼ連載です。
家族愛なので恋愛要素は無いですね(((
攘夷メンバーと絡み有り。
※攘夷メンバーは15歳設定ですおノノ

■話目次

ご挨拶・注意事項…etc >>000
人物設定…etc >>011
キャラ絵[初愛]… >>045
イメージソング「僕らの夏の夢」… >>084

プ ロ ロ ー グ>>005
 第壱章 銀色の桃太郎がやってきた >>019
 第弐章 初愛のペットを御紹介します >>039
 第参章 夏の糞暑さに浮かされた >>112
 第四章 手のひらサイズのぬくもり
17 >>073 18 >>074 19 >>100 20 >>105 21 >>111 22 >>

■御客さん(常連には★が付きます)

★月芽麻様、★アリス様、ヴィオラ様、李逗様、輝咲様
 夕詠様、柚莉様、リリ様、裂谷様、空梨逢様、

■繋がり >>041←此方の方に纏めさせて頂いてます。

※当レスのリンクはフリーです。ジャンルは問いません。
 リンクは只今停止ちゅーです。

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Re: [銀魂] 刀を持った桃太郎⇒03up ( No.16 )
日時: 2010/08/23 10:07
名前: 偉薔薇 ◆aWifV7VEAQ (ID: PAeJS2fQ)

 __第04話__


「桃太郎、ハイ! ご飯!!」
「あぁ……ありがとな。其れから俺ァ銀──」
「なぁに? 桃太郎さん」
「……いや、何でもねェよ」

(駄目だ、まるで無意味だなこりゃ)
白くほかほかに炊き上がったご飯を、自分に差し出す少女、初愛。
初愛は満面の笑みを浮かべ、自分を「桃太郎」と呼びながらご飯を渡して来た。
あれから自分の名は“坂田銀時”だと何度も復唱させたり名乗ったりしたが、其れは無駄な努力で終わった。
いくら名前を教えても「桃太郎」と言って聞く耳を持たないのだ。

「美味しい?」
「あぁ、美味いよ」
「良かったぁ」

(どうやら“桃太郎”である俺を酷く気に入っちまったらしいなァ)
桃太郎と自分を呼ぶ初愛は、自分を相当気に入ったのか、ここ数日の間自分の側を離れないのだ。
片時も離れないと言って良いだろう。離れるとすれば、トイレとお風呂ぐらいだ。
寝る時も、気づけば自分の布団に入り込んですやすやと眠っているのだから。

「熱の方は、下がったかい?」
「あ、はい。お陰様でよくなりました。明日には、帰ろうかと思います」
「そうかそうか、元気になって何よりじゃ」

此の家の主兼初愛の育ての親であろう迅楓が自分の容態について聞いて来たので、大丈夫だと答える。
すると迅楓は柔らかな笑みを浮かべた。

「桃太郎、帰っちゃうのー?」
「ん? あァ、あんま長居すんのも悪いからな」
「嫌だー、もっといてよぉ」
「悪い悪い、ちゃんと遊びに来るからよ」

熱も下がったのだから、明日にでも皆が待つ家に帰る旨を伝えれば、初愛は頬を膨らまし駄々をこねる。
また遊びに来ると良い頭をポンポンと撫でるが、初愛はまだむくれていた。

「すまんのぅ、此の子は寂しがりやだからのぅ。初愛、あんま桃太郎さんを困らせちゃいかんぞ?」
「あ、いえ……ってか、桃太郎じゃないんですが」

むくれている初愛を注意するも、初愛は聞く耳を持たない。
いかにも困惑していると言ったような表情を迅楓が浮かべれば、初愛は何を思ったのか。
まだ食べきっていない白いご飯を床に置き勢い良く立ち上がった。

「桃太郎、散歩しよ!!」
「は? 散歩?」
「散歩散歩散歩〜!」
「分かった分かった、わったから!」

突如元気よく散歩に行きたいと言い出した初愛。
此の態度は行かなきゃ気がすまない態度だと悟った銀時は、初愛の提案に賛同する。
初愛は至極嬉しそうに目を細め眩しい笑みを浮かべれば、ピョンピョンと其の場を飛び回った。

  ◆・◆・◆・◆

立て付けの悪い扉をがらりと開け、外に出る初愛と銀時。
夏と言う事もあり、外は夏の暑さが辺りをを支配していた。蝉の鳴き声が、暑さに拍車をかける。

(暑ィな)
手を目の上にかざし、目を細める銀時。太陽が燦々と降り注いでいて、眩しい。

「桃太郎ー、川に行こう! 川、涼しいよ!」
「ハイハイ」

暑さにバテかけてきている自分とは対照的に、初愛は未だ涼しい顔をしてパタパタと走っている。
自分はまだ15と言う比較的若い部類の人間なのだが、此の暑さには普段満ち足りた体力すら消耗してしまう。
6歳である初愛は、まだまだ底知れぬパワーがあるのだろうかと思ってしまう。

「桃太郎ー、早く早くー!」
「分かったから、ちょっと待て。早ェよ初愛」

初愛に呼ばれ、重い足を動かす。少しゆっくりと歩いただけで、初愛と大幅に距離が出来てしまう。
やはり若い者には敵わないな、など考え汗をかきながらまた地を蹴る。

「桃太郎、此処だよ!」
「あぁ、川だな」
「此処に倒れてたんだよ」

歩いて少したったあたりで、川岸に辿り着いた。
初愛は川の端を指差しながら、自分が倒れていたと言う旨を伝えて来た。
初愛が指を指した方向には、所々大きな石が飛び出ていた。
尖った石が幾つもあったと言うのに無傷だった自分は、相当運が良かったのかもしれない。
此の石に当たっていたら、大怪我を負っただろう。

「ねー、桃太郎」
「ん?」
「初愛を連れてってよ」
「……は?」

太陽が反射しキラキラと輝く川は、汚染されておらず綺麗だと言う証拠だ。
其処に足をつけ、涼んでいた時に初愛が予想外の言葉を溢して来た。
いつもの明るい笑顔は何処へやら、俯き少々諦めにも似た弱々しい笑顔を浮かべていた。

「……お爺ちゃん、苦しいの。初愛がいるから。お金の事で、いつも淋雅おじちゃんと言い争ってるの』
「…………」
「其れは初愛がいるからだって、淋雅おじちゃんが言ってた。
 お爺ちゃんが大好きなら、いなくなった方が良いって」

川の側にある小石を掴み、ポイと投げる初愛。投げた小石は、一度跳ね上がり呆気なく沈んでしまった。
振り上げた腕をゆっくりと下ろす初愛。
6歳の幼い少女だと言うのに、今の表情は6歳の女の子ならば持ち合わせていない、悲しい表情だった。

Re: [銀魂] 刀を持った桃太郎⇒04up ( No.17 )
日時: 2010/08/23 10:05
名前: 偉薔薇 ◆aWifV7VEAQ (ID: PAeJS2fQ)

__第05話__


「……初愛」
「ん?」
「お前は、どーしたいんだ?」

川にブラブラと足を付け泣きそうな顔をしている初愛に、そう言葉を投げる。
銀時の言葉を聞き、足を止めた。

「子供が、んな難しい事考えんな。お前はどうしたいんだよ?」
「初愛が……?」

ポンポンと、さらさらの髪を持つ初愛の頭を撫でる。
そう、子供はそんな事を考える必要など無い。
誰かの為だと考える事は素晴らしい事。
だが、初愛は6歳だ。一番自我が強い時期だろう。
今の時期に自我を出さずに、どうすると言うのだろうか。
離ればなれになって、良いと本気で思っている訳が無い。
其れに、此の娘を溺愛している迅楓が、初愛を安々と手放すような真似はしないだろう。

「初愛はね……」
「おう」

未だ俯いたまま、言葉を絞り出す初愛。

「お爺ちゃんの側にいたいよ……でも、離れなきゃ、駄目だって。
 淋牙おじさんと喧嘩してる時の顔、悲しそうなの。そんな顔させてるのは、初愛だもん」
「…………」
「そんな顔の、お爺ちゃん、見た、く無いもん……!!」

俯いていた為見えなかったが、ずっと我慢していたようだ。
いよいよ涙が溢れ、目元を抑えながら声を出して泣き始めた。

(やっぱ、6歳の女の子だよな)
考え方はとても大人だ。
だが、声を上げて泣く姿は、6歳の女の子の姿でしかない。

「なら、良いじゃねェか」
「……う、何が……?」

自分が呟いた言葉に、嗚咽混じりに反応を示す。

「側にいたいなら、側にいりゃあ良い。お前のじいさんも、お前がいる事が一番幸せなはずだ」
「初愛が、いる事が?」
「お前のじいさんはお前が大好きだからな。お前は、側にいてやれ」

其の方がお互いの幸せなのだ。
自分のところに来たところで、此の娘は悲しみにうちひしがれているだろう。
誰よりも笑顔が眩しい、此の娘の笑顔をずっと保たせたい。
そうするには、素直に側にいる事が、一番なのだ。

「桃太郎、本当……?」
「あぁ、本当だ。じいさんはお前がいなきゃ生きていけねェよ」
「……桃太郎!」
「うぉっ!」

泣いた為赤くなった目で自分を見上げたかと思えば、勢い良く自分の胸に飛び込んで来た。
少し狼狽えたものの体制を整え、自分の胸に蹲る初愛の顔を覗き込む。
すると、初愛は最初に出会った時同様、眩しい笑顔を向けてきたのだ。

「桃太郎ありがとう! 桃太郎、優しい!」

其の時の笑顔は、正に無邪気な女の子の可愛らしい笑顔だった。
初愛は其の後一気に元気になり、川の近くを飛び回って遊んでいた。
太陽の暑さなどものともせず、体力など奪われないのでは無いかと言う程元気にだ。

其の侭時は過ぎ、あれほど天高く登っていた陽は沈み、今度は暗闇の中月が天高く登っている。
暗闇の中にぽっかりと、月の光が辺りを優しく照らす。
昼間は元気良く遊び回っていた為、初愛は今はぐっすりと眠っている。
安心しきったような穏やかな寝顔は、自分を自然と笑顔にさせてしまう。
何処までも不思議な女の子だと、思う。

「爺さんよォ、昼間初愛が言ってたぜ。アンタの側から離れた方が良いのかってなァ」

初愛の寝顔を優しく見守る迅楓に、昼間あった出来事を話す。

「淋牙がアンタから離れた方が幸せだって言われたってよ。
 でも、初愛は爺さんの側にいた方が幸せだ。俺はそう言ったぜ」
「…………」
「アンタだって、初愛を手放す気なんて無ェんだろ?」

迅楓に視線を移しながら、、銀時は自分の布団に横になる。
自分の布団にはいつも同様初愛がいるので、起こさぬよう慎重にだ。

「……初愛はなァ、ワシの娘の子供なんじゃ」

自分同様寝る準備をしていた迅楓が、弱々しく其の言葉を漏らした。
今、此の空間は暗がりだと言うのに、迅楓の悲しそうな表情をしていると何故かそうわかってしまった。

「じゃが、娘と娘の旦那は早くして死んでしまったんじゃ。娘には、財産が沢山あってのう。
 娘の財産はすべて初愛に託されているんじゃ。……だがのう」

迅楓の声色が徐々に低くなっていく。
其れは恐らく、悲しみからだろうか。

「其れを淋牙が狙うようになってなァ。初愛を引き取りたいと言ったり、ワシが早く死ねば良いと言ったりのぅ。
 淋牙にとって、ワシも初愛も邪魔で仕方ないんじゃ」


(財産目当てか)
迅楓の言葉は悲しに満ちていると言うことは一目瞭然だ。
娘——初愛の両親の財産は、血縁者の初愛に託された。
だが、財産が欲しい故に、初愛を引き取りたいと淋牙が申し出たのだろう。
淋牙の性格上、財産さえ手に入れば初愛の事をすぐ放ってしまうだろう。
だから、迅楓が引き取ったのだ。
だが、其れが気に食わぬ淋牙は、迅楓や初愛にちょっかいを出しているのだ。
気に食わぬ、なんてものではなく、憎しみが込もっているのでは無いかと思ってしまう程。

其れが、実の弟にされているのだから、兄の迅楓が悲しくないはずが無いと言うのに。

Re: [銀魂] 刀を持った桃太郎⇒05up ( No.18 )
日時: 2010/08/23 10:44
名前: 偉薔薇 ◆aWifV7VEAQ (ID: PAeJS2fQ)

 __第06話__


「……銀時、言うんだったか?」
「はい」
「頼みたい事があるんじゃ」

(……頼み?)
ポツリポツリと繋がっていく言葉は酷く弱々しかった。
明日自分は帰る身だと言う事はわかっているはずだと言うのに。
其れに自分は15と言うまだまだ成年とは言えない年齢だ。
こんな頼りない自分に、一体何を頼むと言うのだろうか。

「実はなァ……」

  ◆・◆・◆・◆

「どーも、お世話になりました」
「元気でなァ」

翌日の早朝になり、銀時は既に帰る支度を終えていた。
玄関の扉を開けば、朝日が眩しく差し込む。鳥も優しく鳴いていて、暑さも酷くない。
前回あの灼熱の太陽にやられてしまったのだから、今回は暑さが然程厳しく無い早朝に帰る事を決意したのだ。

ありがとうございましたとお礼の挨拶をすれば、自分をニコニコと笑顔で迅楓が見送りをしてくれる。
逆に初愛の表情は悲しそうで、今にも崩れてしまいそうだ。

「ほれ、初愛もお兄ちゃんにバイバイって言うんじゃ」
「……帰っちゃう、の?」

(……可愛いな、オイ)
上目遣いに加えて、涙目と言う愛くるしさ抜群の表情でこちらを見る初愛に愛らしさを感じる銀時。
小さい子供など泣きわめくし煩いと言う印象しかなかったが、愛着が湧いたのだろうか。
目の前にいる少女がかわいくて仕方ない。

「また遊びに来るからよォ、んな顔すんなよ。帰れなくなるだろ?」
「桃太郎ォ……また、来てくれる?」
「あぁ、必ずな」

既に自分を桃太郎と呼ばれても何の違和感も持たなくなってしまった自分に苦笑してしまう。
また来ると言いポンポンと初愛の頭を撫でるも、寂しいのだろうか、初愛の表情は変わらず崩れそうだ。

「じゃあな、またな」
「……また来てね! 絶対絶対、絶対だよ!」
「あぁ、絶対来てやっから」

こんなに可愛らしく渋られると、此の侭此処に居座りたくなってしまうと考えてしまう。
初愛の頭を撫でるのを辞め、其の手でバイバイと振る。
其の瞬間、初愛の瞳にたまっていた綺麗な雫が流れだし、小さな手を大きく振り「また来てね」と繰り返す。
銀時は其れに応えまた振り替えし、すぐに前に向き直り歩き出した。
後ろを向いたままでは、本当に寂しくて戻ってしまうような気がしたからだ。
初愛の瞳から流れる雫は、汚れが無く本当に美しいものだったから。

倒れて気づけばあの場所にいたから、自分がどうやって此の場所に来たのか定かでは無い。
だが、川から流れて来たのだから、川沿いを歩いて行けばある程度わかる道に出るだろう。
そう考えた銀時は、川沿いの道を頼りに長い道のりを歩いて行く。

(……まさか、んな事頼まれるなんてなァ)
其れにしても暑い。
歩いて大分たった為、陽も高く上がり相も変わらず夏の日差しがジリジリと自分を突き刺す。非常に暑い。
だが、此の暑さは夏の為だけでは無い。
外気による暑さではなく、自分の体の内側から——込み上げる感情が、暑さを引き立たせるのだ。

(あー……んな事すぐ“はい”なんて言えるかよ)
迅楓の言葉が頭の中を占拠する。
がしがしと頭を掻いては気持ちを落ち着かせようとするものの、全然落ち着かない。


“ワシはもう長くは無いじゃろう。あと10年持つか持たないかじゃ。だから、其の時は——”


「……銀時?」
「あ、本当だ。銀だ」
「……ヅラ、アリス?」

迅楓の言葉を思い出していれば、自分の耳に聞きなれた声が入って来る。
此の声は、自分と同い年と言うのに妙に大人びていて、考え方が古くさいと言うか、固い。
もう一つの声は、
自分と同士である——桂小太郎と九条アリスだ。

「ヅラじゃない桂だ。本当に銀時だな?」
「今まで何処に行っていたの? あ、別に心配とかしてないからね。変な妄想とかやめろよ?」
「お前はいちいちムカつくな。此の捻くれ者が」
「捻くれてませんー。つか、私の質問に答えてよ」
「あー……ちょっとな。他の家に世話になってたんだよ」

自分が行方不明になっていたにも関わらず、何ら変わらない友達の姿には感心と同時に呆れてしまう。
もう少し心配していてくれてもいいものを、と思いながらも、銀時は自分がいなくなった理由を話す。
川に落ちたなんて高杉や餅ラーの初恋に知られたら、良い笑い物でしかない。

「ま、帰って来たからよォ。今日からまた剣術修行に励むぜ」
「……銀時」

何時も同様剣術修行に励むと伝えたものの、桂とアリスは訝しげな表情を浮かべた。
そんなにおかしな発言をしただろうかと首を傾げれば、桂はゆっくりと人指し指を此方に向ける。

「……銀時、誰だ其の子は?」
「は?」
「えへへ、見つかっちゃったァ」

桂が指差す方向へ首を向けようとしたと同時に聞こえて来た、明るく可愛らしい声。
自分より身長が小さい故、声は下から聞こえる訳で。
ゆっくりと下に視線を移せば——案の定、初愛がニコニコと笑顔で自分の横にいた。

何時の間にか、着いて来てしまったようだ。

「桃太郎ー!」
「初愛!! 何着いて来てんだよ!!」
「銀、あんた、姿を消していた時に幼女に手を出していたの!? マジ引くわー」
「んな訳あるかァァァァァ!!」

Re: [銀魂] 刀を持った桃太郎⇒05up ( No.19 )
日時: 2010/08/23 10:49
名前: 偉薔薇 ◆aWifV7VEAQ (ID: PAeJS2fQ)

 †第壱章 銀色の桃太郎†

第01話[>>006] 第02話[>>009

第03話[>>014] 第04話[>>016

第05話[>>017] 第06話[>>018] 

Re: [銀魂] 刀を持った桃太郎⇒06up ( No.20 )
日時: 2010/08/23 11:32
名前: 偉薔薇 ◆aWifV7VEAQ (ID: PAeJS2fQ)

 __第07話__


「桃太郎ー、次は鬼ごっこしよ、鬼ごっこ!」
「……いやよォ、初愛ちゃん?
 氷鬼やった後鬼ごっこはキツイよ? しかも人数4人だし、其の一人しかもヅラだし」
「ヅラじゃない桂だ! 此れも鍛錬と思えば良いでは無いか。体力はいくらあっても荷物にはならん」

(いや、そう言う意味じゃねーんだけど)
自分の配慮の言葉を理解してくれない旧友に、人知れず溜め息をもらす銀時。
自分は今朝方、目の前にいる幼い少女——初愛の家から自分の住む場所に帰って来たはずなのに。
初愛はずっと自分の後を着いて来ていたらしい。
自分は全く気づかなかったのだが(寝込んでいたから勘が狂ったのか、どちらにせよ武士失格だと思った)。

桂とアリスが初愛を発見し、銀時は急いで少女のお祖父さん——迅楓の元へ送って行こうと考えていたのだ。
しかし本人が渋り、そして桂とアリスも折角来たのだから少し遊んでやれと言って来たので、仕方なく頷いた。

其れから初愛は自分達に暇を与えない程に、遊びに徹した。
ままごとから始まり、かくれんぼや氷鬼……そして今から鬼ごっこを始めようとしているのだが。

「鍛錬とか体力とか言ってる場合じゃねーだろ。もう夕暮れだぜ? そろそろ帰らせた方がいいだろ」
「やー! 此処にいるー! まだ遊ぶのー!」
「……初愛もそう言っているし、今日位泊まらせてやれば? 初愛は私を気に入ったみたいだし。私を」
「うむ、一日位平気だろう。なによりアリス殿と同様、初愛殿は俺を気に入ってしまったようだ、俺を」
「二回“私・俺を”って強調しなくてもお前等を初愛が気に入った訳じゃねーよ、逆だろ。
 お前が気に入ったんだろ」

何時の間にか陽が沈みかけている。そろそろ送っていかなくては、自分も帰りが困難になってしまう。
夜は暗く道がわからなくなってしまうのだ。

桂の言う通り泊まらせると言う考えもあるが、一応、自分達は男で初愛は女。
まあ何も無いだろうが、其れでも少し気が引けてしまう。
其れに何より問題なのは——。

「おいテメー等、剣の修行サボって何やってんだ」
「……高杉か」

(あーあ、正に考えてた奴が来ちゃったよ)
第二の考え。
此の幼い少女を泊まらせると言った時断固反対するのは、彼——高杉晋助だ。
泊まらせると言っても眉間に皺を寄せ不機嫌になり、「捨ててこい」と言われるのがオチだ。

自分の考えを察してかどうかは解らなかったが、高杉は案の定桂の隣にいる初愛を見ては眉間に皺を寄せる。
いかにも嫌なものを見たと言った表情だ。
高杉との視線が絡んだ初愛はと言えば、鋭い目付きの高杉をものともせず、ニコリと屈託の無い笑顔を見せた。
其れを見てはまた不機嫌さがました高杉が三人に問いかける。

「ヅラ、銀時、アリス……何だコイツは? テメェ等剣術も励まねーでこんな餓鬼と何してたっつーんだ」
「ヅラじゃない桂だ。いや、銀時が行方を眩ませていた時に世話になった娘でな」
「そうそう。着いて来たみたいだから、今日は遅いし泊めようかと思ってたの。
 此の子が名残惜しそうだから、此の子が」
「くどいぞチビ」

“チビにチビって言われたくない!”と何時もの台詞を口にしたアリスを三人は綺麗に流す。
泊めると言う言葉を聞いた高杉は鋭くしていた目を一瞬丸くし、またキツイ目付きで口を開いた。

「ふざけてんのか? こんな餓鬼をうちに泊める? 冗談じゃねェよ、さっさと送って来い」
「んー……そうは言っても初愛が聞かねェからな」
「知るか、無理矢理でも早く送れ——」
「……犬!」
「はァ?」

一方的に怒り狂う高杉をどう宥めようか考えていた時、突如初愛が声を上げた。
其の声を聞き二人は言い合うのピタリと止め、辺りを見渡す。
ところが、四方八方何処を見ても犬などいない。
一体何を見たのだろうかと首を傾げていれば、初愛はスッと指を指す。
指の先は、高杉で。

「たかすぎは犬で、ヅラは猿! きじがまだいないね!」
「……何言ってんだコイツ、誰が犬だって?」
「あぁそっか、桃太郎か」

今にも殴りかかりそうな高杉の肩を掴み抑え、初愛の言う事を理解する。
自分は桃太郎だから、高杉は犬で桂は猿なのだと言いたいらしい。
桃太郎は解るのだが、高杉が犬で桂が猿と言う言い分には少し無理がある気がする。
ならば雉は此処にはいないが坂本が適役か。

「私は? 初愛!」
「んー……、かぐや姫!」
「わああ、もう此の子良い子!!」

肌の白さからか、アリスは童話のかぐや姫から“かぐや姫”と名付けられていた。
童話好きの初愛にとって、色白のアリスはそう見えるらしい。
其の場に居た男三人には理解不能の顔を浮かべていたが。

「兎に角テメェは帰れ、餓鬼がいて良い場所じゃねーんだよ」
「犬さんだってまだまだ子供だよー?」
「……テメェ、叩き斬ってやろうか?」
「高杉落ち着け、相手は子供でおなごだぞ?」

高杉の忠告を揚げ足をとり返してしまう初愛にキレ気味の高杉。
本当に剣を出してしまいそうな勢いだったので急いで桂が止めるも、青筋は未だ浮き出ている。

そんな高杉などお構い無しと言うように顔色をかえない初愛を凄いと思ったのは、此処だけの話だ。


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