二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ−
- 日時: 2010/11/07 01:41
- 名前: 扉@亮 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
- 参照: 此処は短篇集となります^^リク受付は休止中となっておりますー
扉と申します^^
こんにちはです、そして初めましてですv
元・亮です。
テニプリ以外の短篇も書きたいなぁと思い、スレ整理も兼ねて新しく立てました。
というワケで、此処には
テニスの王子様他、銀魂や黒子のバスケなどの短篇をupしていきたいと思っておりますーv
(○・ω・)ノ-------------読む前に-------------
主題歌 >>1 【巡音ルカ Just Be Friends】
(○・ω・)ノ-------------バトテニ-------------
注意事項 >>2
大好きな君へ5つの言葉
01 「好きだよ、これからもずっと、」(宍戸亮) >>3
02 「やっと会えたのに、ね」(越前リョーマ) >>4
03 「最後に伝えられて良かった」(越前リョーマ×美那浦麗) >>5 夜琉サマリクです
04 「お前が泣くことじゃねーよ」
05 「離さない、お前だけは絶対に」(向日岳人×神田瑞生)>>6 志筑様リクv
バトテニ 20のお題
01 夢なら覚めないで(越前リョーマ×大咲麻由) >>7 マユ様のリク^^
02 消えぬ想い
03 殺したいほど恋してる(リョ桜) >>8
04 愛に生き、愛に死す(白石蔵ノ介) >>9
05 君の亡骸(跡部景吾) >>10
06 死が二人を別つまで
07 I Love You(不二裕太×暁野宮輪廻) >>11 うっさー様リクv
08 力いっぱい抱きしめたい
09 嘆きのキス
10 涙止まらない
11 俺の誓い、私の誓い >>12
12 思う空
13 エデン(楽園)の在処
14 あと何回君の名前を呼べるだろう?
15 君を守りたい
16 Two of us
17 永遠が見えた日(幸村精一) >>13
18 君のためにできること
19 Last Voice(中務隼人×織原リサ) >>14 志筑様リクv
20 ともにいこう
バトテニで5のお題
01 「どうするの?ここで死んじゃう?それとも、生きてみる?」(宍戸亮) >>15
02 「罪悪感とかそういうの、どっかに落としちゃったみたい」(幸村精市) >>18
03 「この世界の何かが狂って、俺も狂ったみたいなんだ」(切原赤也×朔夜)>>19 うっさーサマリク
04 「さよなら」言ったその後に笑わないでよ。
死ぬ前に思うことで5のお題
01 せめて今だけは夢を見させて
02 霞む景色は君を残して(跡部景吾×椎名蘭)>> 夜琉サマリク^^
03 この時だけを、永遠に
04 笑ってる、でも泣いている
05 僕らは何を間違ったのか
(●・ω・)ノ------------テニプリ------------
ごめんね05題
01 怒ったまま仕方なく
02 一筋涙を流して
03 申し訳なさそうに
04 すれ違った瞬間小声で
05 笑顔で爽やかに
他校の彼と05題
01 もしも同じ学校だったら
02 俺の知らない君の姿
03 授業中のメール
04 その子、誰?
05 ふたり一緒の帰り道
(●・ω・)ノ------------黒子のバスケ------------
甘く切ない
01 明日また会えるのに
02 あの人はただの友達だと分かってるけれど
(●・ω・)ノ------------銀魂------------
(●・ω・)ノ------------季節------------
7月7日(七夕) 【短冊で知る本当の願い(それは天候さえ変える愛)】(白石蔵ノ介)>>320-321
アノヒノオネガイ、マダユウコウデスカ??
お題は、いつくかの神サイト様からお借りしております^^
ヒロインちゃんたちの名前は、リクして下さった方々のオリキャラです。
※リクエストは只今休止中です、すんまそん。
扉@亮の他駄文
ht★tp://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=15471(バトテニ)
ht★tp://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=19038(銀魂)
長々と失礼しました。
それでは、どうぞー
———愛には、いろんなカタチがあるんです。
強く、深く、包み込むように抱きしめる。
何よりも相手を思い、守り抜く。
共に笑い、共に涙し、共に生きる。
そして。
———共に死すこと。 それも、“愛のカタチ”。
どうか彼方に、彼方だけの素敵な愛のカタチが見つかりますように。
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- Re: いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.38 )
- 日時: 2011/01/21 17:27
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: 嘘吐きな彼女。ずっと、ずっと、一人ぼっちだった。
お、マジかvv
あー、そういうのわかるwww
うっさーも書いたことないのだとドキドキ…!!
後は、動かせにくいキャラとか(笑
おー!!! たまg((蹴
うっさーもそうだよーbb
照れてくれvv 照れる亮とか可愛過ぎるだろぃ★
マジかー。
……照れるじゃないかっ!!
あ、そういえばね!! 新しい小説建てることにしたよン★
もんぬ、ってので投稿するつもりだから、見てくれると嬉しいぜbb
後々、蔵がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
やっぱ、蔵でも振られるのか…。
うん、エピローグって曲もそんな感じだったっけ。
凄く良かったーbb
ではではン★
- Re: いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.39 )
- 日時: 2011/01/22 13:06
- 名前: 扉 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
- 参照: 君がもし愛してくれるなら、全てを捨てても構わない。
>うっさー
だよねだよね!!
あれだよ、樺ちゃんとかいつも忘れてるww
逆にさ、白石とか宍戸さんなら、ほいほい思い浮かぶww
うぅー;;
まだまだべんきょしなきゃなんだけどさ、捗らないよぅ
照れます照れます←
可愛くねってのwww
照れろ!!!ww
照れうっさー可愛いよぅ^^
見ましたー!!! 新しいの!!!
まだべんきょ優先だから、ちょいちょいしか来られないけど、楽しみにしてるよー!!!
もち、お姫様のほうもb
どうだろう、振られるのかな?? 振られて欲しい←
白石クンには切ないのが合う気がしたんだよ^^w
エピローグすごい良かったからさv
- Re: いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.40 )
- 日時: 2011/01/28 23:35
- 名前: 扉 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
- 参照: 君がもし愛してくれるなら、全てを捨てても構わない。
手がすっごく冷たいのは、この寒さのせいだと思ってた
だけど、
だけどね??
まだ冬なのに、今はこんなにも暖かい
「こんにちは」
彼は優しく笑って、呟いた。目を瞑っているのに、人の気配が分かるらしい。
「こ、こんにちは!!」
思わず大きな声で返事をしてしまった。慌てて口を塞ぐ。
「・・・・・・今日も1人ッスか??」
「う、うんそう、1人・・・・・・」
「うわ、ちょ、泣かないで下さいよ、俺が友達ッスから!!」
じわり、と涙が浮かんだ。見かねた彼は慌ててフォローを入れ、自分の制服の袖で涙を拭った。
そう、1人、1人なんだ。
立海大附属中学校に転校してきて、早1ヶ月。前の学校ではそんなにくらいキャラでもなかったはずなのに、未だに一緒に教室移動する友達はおろか、普通に話が出来る人すらいない。教室でも通学路でも、1人きりだ。話したいし、仲良くなりたいけれど、割って入れる隙間が見あたらない。思っていた以上に、クラスが完成していた。
そんな時、教室でのお昼に耐えられなくなってこの校舎裏の木陰ややってきたら、彼と出会った。
「切原くん、いつも此処にいるね」
「昼は一緒に食べようだとか、これあげるだとかって、女子が煩いッスから」
彼は、自分とは天と地ほど差のある人だった。
「人気者なんだね」
「さぁね。先輩は、もっと凄いッスよ」
ふぅーっと長いため息を付いて、赤也は自分のサンドイッチを頬ばった。
「先輩??」
「そーッス。テニス部のね」
「テニス部なんだ?? 切原くん」
「知らなかったんスか?! 有名ッスよ、立海大の噂2年生エースってのは俺のことです」
弥は、へぇ、と相槌を打つ。
感心して、赤也が格好良く見える一方、毎日此処でこうして話をしてくれて、立海へ来て初めて近くに感じた赤也が急に遠く見えて、何故だか寂しさもこみ上げてきた。実際、そう感じたのは自分だけであって、元々、赤也との距離は遠かったんだと、改めて実感してしまう。
——なんでこんなに、寂しい人なんだろ、私。
赤也は、何かを考え込む弥の表情をじっと見つめていた。視線に気がついき、問いかける。
「何??」
「アンタ、何組??」
「え、えと、C、組」
C、という言葉に、赤也は眉を動かした。そして、楽しそうに笑顔を見せ、ガッと弥の両手を掴んだ。
「んじゃ、幸村ぶちょーと同じクラスッスね!!」
「え、えとぉ・・・・・・」
困惑する頭の中に、浮かぶのは優しい笑顔、可愛い花束、綺麗な声—— そうだ、初めて話してくれた、幸村クン。
そこまで思い出したところで、憂鬱なチャイムが校内に響いた。予鈴だ。赤也掴んでいた両腕をパッと話離し、「ヤベッ」と呟いた。
「それじゃ、今日の放課後!! 正門の前で待ってて欲しいッス!!弥先輩、いてくださいよ?!」
走り去る途中に大声で強引な約束を取り付ける。返事をする間もないまま、少年の姿は角を右に曲がり弥の視界から消えてしまった。
——————
「先ぱーい!!こっちッス!!」
赤也が大声を出すモノだから、正門へ向かう何人かの女子生徒の視線が弥に集まった。
笑顔の赤也とは裏腹に、何故だか申し訳ない気持ちと、今すぐに何処かへ消えてしまいたいという気持ちになった。しかし、手を振ってくれる赤也を嬉しく思う気持ちがあるから、足は勝手にそちらへ向かう。
待ちかまえていたのは、赤也だけではなかった。
「え、えと、」
弥はピタっと足を止めた。目の前に立つ教師らしき人物からの視線が妙に厳しい。
「さぁなだ副部長!!あんまり怖い顔するから、弥先輩が困ってるッスよ」
「なんだと?!挨拶をしようとしていただけだ!!」
「もっと普通の顔出来ないんスか」
「アンタが転校生?? 俺丸井、B組な!!」
「あ、C組の、越智です」
「俺は仁王じゃ。プリッ」
「ほら、副部長、あんな感じに」
賑やかな立海レギュラー人に囲まれ、戸惑いながらも自己紹介を交わす。同じくラスの幸村も、ニコリと微笑んで改めて自己紹介をしてくれた。ブン太とも仁王とも柳も柳生もジャッカルも、一通り会話をする。個性豊かな面々だ。
初めに教師だと思っていた人物は、真田という副部長だってという事実も徐々に発覚していく。
「おっし、今日から友達な!!」
ブン太に携帯を奪われ、強引にアドレス交換。それに続いて、赤也も含めた8人と交換した。
皆に囲まれたままふと赤也に目を向けると、目が合う。彼はニッと歯を見せて笑った。
——もしかして
——友達、連れてきてくれたの??
そうだ、絶対にそうだ。友達のいない私に、友達を連れてきてくれたんだ。
今すぐにお礼を言いたかったが、すぐにブン太や仁王との会話が始まってしまい、言えなかった。2人との会話はとっても楽しかったけれど、赤也が気になっていつも目は彼を追っていた。
「弥ちゃん、はい」
9人で向かった先は、学校近くのファストフード店。幸村が頼んだシェイクを運んでくれた。
「あ、ありがとう」
白い指先は、女の弥よりも綺麗で、思わず見取れてしまう。
幸村は弥の前の席に座り、話し始めた。
「赤也とは、どういう関係??」
「え??」
優しい笑顔で、粋なり問われ、とまどいを隠せない。
「赤也と友達、なんだよね?? アイツ、最近よく君のこと話してくれるんだ」
「えっ」
切原くんが??
やっぱり彼は、自分のことを気にかけてくれているらしい。そんなところが、凄く嬉しい。いつも適当に話を聞いているようで、実は凄く、真剣に聞いてくれたんだ。
「俺たち同じくラスだから、話しかけてやってくださいよって頼まれてたんだけど、中々話せなくてごめんね」
幸村は申し訳なさそうに小さく頭を下げる。それが申し訳なくなっては首を横に思い切り振った。
「いいの、全然いいの!! 私が、寂しい人間だっただけで、幸村クンは悪くないよっ
むしろ、その、幸村クンが初めて話しかけてくれて、嬉しかったんだよ」
早口で慌てて否定したものだから、上手い日本語ではなかったかもしれないが、幸村は優しく笑った。
「そう言ってくれると嬉しいな」
何処までも済んだ声で、何処までも綺麗な瞳で、幸村は弥に話しかける。彼の優しい笑顔に吊られて、自分も微笑んでいた。そんな2人の雰囲気は、誰がどう見ても“いい雰囲気”と呼ぶに相応しいモノだった。
だが、それを良く思わない人物が、1人。
——やっぱ、幸村部長に頼むんじゃなかった・・・・・・
言葉に出来ない想いを心の中で呟く。幸村が弥に言う一言一言が気になって仕方がない。彼女が微笑みを彼に向けるのが、とてつもなく、嫌だ。それは、俺の我が儘か?? 自業自得か??
幸村だからこんなにも心がざわつく。
弥だからこんなにも不安になる。
彼女が笑うのを、俺が独り占めしたいんだ。
「弥先輩、行きましょう!!」
ただ、アンタに友達が出来ればいいと思っていた。
「赤也・・・・・・」
アンタの寒さに、俺の暖かさを分けてあげたかった。
「いい度胸だね??」
アンタの周りに、人が増えればいいと思ったんだ。
————でも、もう止めた。
前を走る赤也は、一度も振り向かずに腕だけを握っている。立海大の皆を店に残し飛び出して、何処へ向かうのかすらも分からない。ただ、何故か機嫌が悪いことだけは確かだ。自分が悪いことでもしたのではないかと、心配し始めた頃、赤也が足を止めた。
小さな公園だった。2つあるブランコに無理矢理誘導され、腰掛ける。彼は目の前に立って、両手を握った。
「き、切原くん??」
今までに見たことのないくらい、真面目な表情だった。
「・・・・・・どうしたの??」
「先輩」
手の力が、すっごく強い。
でも、痛いワケじゃなくて、ただ優しくつなぎとめるように。
「先輩、幸村部長と仲良くなれましたか??」
「え、うん、いい人だね、幸村クン」
「はぁー やっぱり」
「え??」
それは、寒さも吹き飛ぶ、暖か[ヤサシ]さ
抱きしめられて、身動きが取れない。
「・・・・・・スキッス、先輩。俺の隣にだけ、いてください」
違う、身動きが取れないのは、彼の優しさが心地良いから。
彼の暖かさが、愛おしいから。
あぁ、私、いつの間に、こんなにも彼のことを。
寂しかったのも、嬉しかったのも、皆、皆—————
「弥、先輩??」
いつの間にか、口元が緩んでいた。
「—————私も、だよ」
私を、暖めてくれてありがとう。
「とっても、とっても、スキ」
彼の腕の力が、更に強くなった。
私の周りが、暖まりはじめたのは、君のお陰です。
- Re: いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.41 )
- 日時: 2011/02/15 18:47
- 名前: 扉 ◆A2rpxnFQ.g (ID: vsrbWmnW)
- 参照: 笑う門には福来たる?? 災いの、間違いでしょ。
広がる空が綺麗に見えるのは、きっと貴方が綺麗だからだ
広がる空がもし、淀んでいたなら、それはきっと、貴方が淀んでいるんだよ
あぁ、
私、
淀んでる
頬に衝撃が走った。痛いって言うよりも、吃驚したっていうほうが大きい。だけどすぐに、たぶん真っ赤になってるんだろうな、なんて冷静な分析が出来た。ということは、そんなに吃驚していなかったのかもしれない。・・・・・・やっぱり、痛いのほうが大きい。まだ、ヒリヒリする。
水での襲撃から始まり、ずぶ濡れにされながら罵声を聞き、無視していたら平手打ち。さすがに酷いだろ。
目の前に立つ女は、人を見かけで判断するなと言うけれど、やっぱり“それらしい”格好をしていた。それに、目が意地悪そうだ。
「・・・・・・今、さ。先輩も痛かったよね、手」
へへ、と軽い笑い声を漏らしながら言ってみる。
「まだ、そんな口聞けるのね」
いかにもって台詞を吐き、顎をくいっと上げる。ちなみに、逃げようとしても逃げられない。腕はガッチリ、この女の取り巻きが抑えている。
ずぶ濡れな人を、よくもまぁそんなにガッチリ掴むよね。とか文句も言いたいけど、それを言えば更に水が降って来た。
「もっと、“酷なこと”してほしいんだ??」
女は、ニヤリと口角を上げた。
「何それ」
「知ってるのよ、私、“貴方の秘密”———」
嫌らしい嗤みは変わらない。その余裕な表情も変わらない。ただ、その言葉に今まで以上の自信が感じられた。
「・・・・・・秘、密??」
「リカっ 誰か来た!!!逃げよう!!!」
「ッ この話はまた今度よ、」
まだ言いたいこともあったようだが、先輩は顎から手を離し、足早に逃げていった。
(先輩、リカって名前なんだ)
今更なコトをふと思う。彼女たちは私のことをよく知っているらしいが、此方は何の情報もない。絡まれるようになって半年。虐めが始まって5ヶ月と少し。自覚してから4ヶ月。日に日に、そのレベルは上がっていく。その原因というのが————
「おい、大丈夫か弥」
この男だったりする。
「・・・・・・ずぶ濡れじゃねぇか」
「おはよう跡部」
「おはようじゃなくて、それ、誰にされたんだっつってんだよ」
相も変わらず、少ない言葉で相手が自分を理解できると思いこんでいるこの男は、ため息をつきながら、何処から取り出したのかタオルを1枚、此方に渡す。
「ほら、拭け」
「ありがとー」
「で?? 誰だった」
しつこい。そう思いつつ、ヘラリと嗤った。
「さぁ??」
眉間の皺が寄るところを生で見たぞ。
「・・・・・・誤魔化すつもりか」
「誤魔化すも何も、知らないって。見知らぬ人」
「俺様がそんな言葉に欺されると思うか?? もう半年だぞ、お前がそうなり始めてから」
さすがは生徒会長、跡部景吾。全部、知っているらしい。でもさ、全ての原因は、君だよ?? ・・・・・・なんて、言えれば苦労はしないんだ。言えないのには、理由がある。
渡されたタオルで髪の毛を丁寧に拭く。短い髪は、すぐに乾き始めた。
生徒会長は、隣でずっと仏頂面だ。
「・・・・・・んじゃ、またね。タオル、洗って返す」
何でだろう。心配させたくないとか、そんなコトを考えるほどお人好しでも言い性格なワケでもないのに、何故か彼にだけは頼りたくない。と言うよりも、頼れない。
話が長引く前に立ち去ろうと、手を振る。
「おい」
彼の声があんまり強い口調だったから、ふと足を止めそうになった。
——————
“知ってるのよ、私、“貴方の秘密”———”
そんな台詞を聞いたのは、ほんの1時間前。いったい何だ、秘密って。そう言いたいところだけれど、心当たりがある。
秘密と言える程隠してもいないが、誰でも知っていると言うほど、公表はしていない。するほどでも、ないことだと思っている。
「だからアンタは、ムカツク、のよっ!!!!」
パチン、という、肌と肌のぶつかる独特の音がした。彼女の手のひらは、どうしてこうも硬いんだろうか。きっと今、私の頬は真っ赤に染まっているだろう。
奇襲だった。
帰ろうと、靴箱に向かった矢先の出来事。ズルズルと引きずられて、校舎裏まで運ばれた。
「・・・・・・なんとか、言ったらどうなのよ」
リカさんは、此方を見ている。
「返しなさいよ、跡部くんを」
あぁ、またそうやって、彼のことをモノのように言う。
「先輩、“景吾”を、そういうふうに言うの、止めてもらえますかね??」
わざと、リカさんを苛立たせるように言った。
わざと、いつもとは違う呼び方をしてみた。
わざと、いつもと同じ呼び方をしてみた。
わざと、2人きりの時だけ口にする言葉を、言ってみた。
「調子に乗ってんじゃないわよ、婚約者だからって—————!!!!!!!」
そう、婚約者。やっぱり知っていたらしい。
越智弥。跡部景吾の、婚約者だ。
親同士の口約束。それが発展して、政略結婚(?)っていう意味でも、中学に入った頃に正式に決まった。
嫌だと思ったことはないし、景吾も嫌とは言わなかった。むしろ彼は、少しだけ喜んで見せた。正式に決まった時、彼は私に、
「幸せにする」
そう言った。まだ、中学生だと言うのに、まだ、コドモだというのに。あまりにも真っ直ぐな瞳で、あまりにも優しい瞳で。きっと彼は、私を愛してくれるだろう。愛す覚悟が、あるのだろう。そう思った。尊敬した。
————私には、まだ、覚悟なんて出来なかったから。
ただ言われるがまま婚約して、言われるがまま幸せにして貰う。それだけのこと。相手が誰でも、良かったのかもしれない。
「ムカツクッ・・・・・・」
リカさんは、相当頭にきたようで、何度も私に水を浴びせた。
「アンタなんか、死ねば良いのよ、アンタなんか・・・・・・!!!!」
あぁ、泣きたいのはこっちなの。
そんなに、悲しい顔で悲しいことを言わないで。
「死ねば良いのよ!!!!!」
そう言ってまた、平手打ち。
殺せる癖に。
殺そうと思えば、殺せる癖に。
「最悪・・・・・・」
ねぇ、景吾。
彼女、泣いてるよ。
ここに、私よりも貴方を———————
「弥っ!!!!!」
聞き慣れた声が、私を呼んだ。
パッと、腕を掴んでいた手を、取り巻きの女たちが離す。
「帰るぞ」
繋がれた手に、迷いはなかった。
「お前、もう二度と俺様のそばから離れるんじゃねぇ」
強い口調は、優しさが溢れていた。
「・・・・・・弥??」
どうしてだろう。
「どうした?? 何処かやられたのか」
彼は優しく、頬を撫でた。涙を指でそっと拭う。景吾の要していた車の中はとても暖かくて、彼の指も温かかった。
水で濡れた髪を、今度は景吾自身が拭いてくれた。
「ごめ、違う」
「じゃぁなんだ、泣くなんて、珍しいじゃねぇか」
「何でもない・・・・・・っ」
あぁ、涙が止まらない。
「弥??」
「うるさいっ」
私の秘密。
それは、婚約者ってことなんかじゃない。———————彼に愛を返せない、弱い心だ。
「ごめ、ん」
「あぁ??」
今なら、覚悟が出来る気がするの。
「ね、景吾」
リカさんを見て、思ったんだ。この人のほうが、私よりも貴方を幸せにしてくれると。
だけど、そう思えば思うほど、苦しくなった。
こんなにも中途半端な気持ちのまま、彼は私のものだと、叫びたくなったんだ。リカさんには、モノみたいに言うなと言っておきながら。彼は、彼が愛しているのは私だと、叫びたくなったの。
何時でも守って欲しかった。何時でも味方が欲しかった。それなのに、彼を遠ざけたのは—————
きっと、こんな私を、知られたくなかったから。
景吾には、此処にいて欲しかったから。
矛盾した、我が儘だったの。
「好き、景吾」
あぁ、こんな言葉、初めてだ。
「弥、」
小さく言った言葉に、彼は満足そうに微笑んだ。
「—————————————今更じゃねぇの」
「だって今初めて思った」
「あーん??」
永遠を、誓おう。
一生を、誓おう。
淀んでいた空が、いつの間にか輝いていた。
- Re: いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.42 )
- 日時: 2011/02/24 15:44
- 名前: 扉 ◆A2rpxnFQ.g (ID: I7JGXvEN)
- 参照: どうしてか、寂しそうに見えたの。一緒に、いたかったの。
どれだけの言葉でも
どれだけの温もりでも
どれだけの想いでも
彼を溶かすことは、出来ないのでしょうか??
「ねねね、テニス部、全国大会だって?!」
昼休み。
立海大付属中3年B組の教室に、女子の甲高い声が響いた。バン、という机を叩く音と、ガサ、というお菓子袋の音もほぼ同時に響く。
丸井ブン太は目を丸くして、全ての音を立てた張本人である少女の顔を見る。
「おめでとう、ブン太!!」
「これ、私たちから!!」
「や、全国は決まったけど、まだ決勝が残ってるだろぃ」
「それでもー!!」
これは、最近教室でよく見る光景。というのも、つい昨日、立海大テニス部は関東大会決勝進出を決めたのだ。お陰で、彼らの取り巻きである女子はお祝いに大忙し。当の本人達は、「優勝してからくりゃ良いのに」、というのが本音なのだが。
教室の別の一角では、屋上へ向かおうとしていた仁王の元へ、数名の女子が群がる。
「おおー、ぎょうさん持ってくるのぅ」
無表情が崩れた。彼でも複数の女子からの声は嬉しいモノなのだろうか。それとも、適当なファンサービスなのか。
そんなテニス部の面々への熱い声援は、当然“彼”の元にもやって来ているはずだ。レギュラーではない、隠れた実力者。だが、教室を見渡しても、姿が見えない。
——いないじゃん。
黒と茶色の、独特な髪の色。細身な身体。そして、調子の良い笑顔。いつから、彼を捜すようになったんだろう。
いつも一緒に行動している友達は、ブン太に夢中だ。騒がしい教室で1人きり、ふくれっ面になる。
「・・・・・・お前さんは、何かくれんのか??」
視界に突然、銀色の髪を靡かせた色白の少年が現れる。先程まで女子達の中心にいた、仁王雅治だ。ニヤニヤと口角を上げ、椅子に座っている弥の顔を覗き込むように腰を曲げている。
弥はふくれっ面を、露骨に迷惑そうな顔に変えた。
「雅治、」
「何じゃ、その顔は」
そんなことはお構いなしに、仁王は嗤う。
「・・・・・・、べっつにぃ」
「不機嫌じゃのぅ」
「煩いなぁ」
私に構わないで。そうは思うが、言葉に出来ない。だって、彼は知っている。
「探しとるんじゃろう??“あいつ”を」
不敵な笑みは、知っている。
「屋上、じゃよ」
待っていました、と言わんばかりに、弥は椅子から凄い勢いで立ち上がった。
「ありがとっ」
そんな姿を、仁王はじっと見つめる。その視線は、決して報われない恋の相手に向けるような切ない視線では、ないのだが。
「酷なことをしますね、仁王くん」
自分を呼ぶその声は鋭いモノを纏っていた。
「柳生か」
手には3時間目に貸した英和辞典を持っている。どうやら返しに来たようだ。だがその表情は、決して、“ありがとう”とは言っていない。
「・・・・・・次の相手は、青学か」
ふっと、話題を変える。
———“アイツ”がいる。
「“酷なこと”、とは限らんぜよ」
——————
ペテン師を信じて、少女は屋上の扉を開く。嘘ばかりの彼なのに、こればかりは嘘を言ったことがなかった。
「————あ、」
ほら、やっぱりいた。
息を吸って、声をあげる。
「ぐーれーんーっ!!!!」
うたた寝をしていたのか、自分を呼ぶ大きな声に、彼は身体をびくっと強ばらせた。そして、声のした方向へ顔を向ける。青い瞳を隠す黒の瞳は、しっかりと1人のクラスメイトの姿を捕らえた。そして、シルバーの腕輪を光らせながら、小さく手を振る。
弥は、全速力とも言えるスピードで、彼の隣までやって来る。
「おー、弥。どうした??」
「これっ」
あぁ、もっと可愛い渡し方、出来ないのか。
「ん??」
「お祝い」
「何のだよ、」
手渡された淡いピンク色の袋を眺めながら、ヘラっと笑い紅蓮は尋ねる。中身は、クッキーのようだ。
弥はすとん、と隣に腰を下ろした。
「・・・・・・決勝進出祝い、かなぁ」
そう呟けば、紅蓮はきょとんとする。
「ほら、全国大会決まったし、それで、その、これからも頑張れ、みたいな?? ね、ほら、他の子からも、貰ったでしょ??」
きょとんとされて、焦れば焦るほど、言葉はおかしくなる。そんな言葉と一緒に、両方の手はわたわたと騒がしく動いた。
そんな姿を見て、彼はふっと口角を上げた。
「ま、貰っておいてやるよ」
「!! ありがとうっ」
「・・・・・・って、お前が言うのはおかしいけどな」
半分呆れた様にだけど優しく、彼は笑った。
この笑顔は、きっと誰もを惹きつける。と、弥は信じている。実際、試合には全くでない紅蓮だがファンは多い。かく言う彼女も、そんな彼に引かれる女子の1人だ。
気がつけば目で追っていた。仁王とは幼なじみでも在ったため、彼を通じて情報を仕入れたりもした。彼の言うことがドコまで正しいかは不明だが、今こうして隣で、紅蓮の横顔と笑顔を交互に見られるのは、ペテン師のお陰だ。
—————ただ、
仁王に聞いても、直接話をしても、テニス部の軍団といるのを見ても。
いつもいつも、思う。
彼と皆の間に、溝がある。
ただの、自分の錯覚かもしれない。
だけど、彼の回りには壁があって、立ち入れなくて、入ってしまえば壊れてしまう様な、聞きたいけれど、どうしてか怖くて、今のまま、何も知らないまま笑っていてほしくて、だけど知りたい、彼の事。
こうやって話すようになって、もう何ヶ月も経った。
今日は少し、欲を出してみる。
どうか少しでも、彼の壁の内側へ。
「ねぇ、紅蓮がテニスしてるとこ、見たいよ」
あぁ、彼はどんな顔をするだろう。
「ね、紅蓮、見てみたい」
俯いて言った台詞を、今度は顔を上げて言ってみる。
あぁ、そんな表情もするのね。
「紅蓮??」
何処か寂しい表情をしてみせた。それは怒っているようにも、困っているようにも、泣いているようにも見えた。ただ、笑ってはいないことだけは確かだった。一瞬の、彼の表情はすぐに、笑顔に消された。
「見ない方が良いぜ??」
なんじゃそりゃ。
弥は一言呟いた。
「面白いものじゃないからな」
彼は言葉を紡ぐ。壁の向こう側で。
「でも、見てみたいよ」
きっと、雅治や真田や、ブン太のように、楽しそうにテニスをするんでしょ??
見たことがない、彼の試合。弥は勝手に創り出した現像を、楽しそうにプレイする彼を、脳裏に映し出した。
そんな想いとは裏腹に、彼は拒んだ。
「俺なんかより、“お前の幼なじみ”のほうが面白い試合をする」
本当だぜ??、と紅蓮は付け足した。
違うんだ、私が見たいのは、“面白い試合”じゃないんだ。私が見たいのは—————————
「私は、ねっ 楽しそうに試合してる、紅蓮が見たいんだよ!!!」
その声が、その言葉が、その表情が、全てが、少年の脳裏で“銀色の彼女”と重ねられる。
銀色の彼女が、目の前でふわりと笑った気がした。今はもう、此処にはいないと解っているのに、理解していたはずなのに。
何も知らない少女は、そのまま言葉を紡ぐ。
「決勝、出てよ」
「嫌だね」
徐々に、余裕が無くなっている。
弥は頬を膨らませ、納得のいかないと言う、不機嫌な表情をして見せた。
「————————気が向いたら、な」
彼は小さな嘘をつく。気なんて、向くはずがない。一生あることのない約束を、少女につきつけた。
彼女を1人残して、屋上を後にしようと立ち上がった。
「紅蓮、私、待ってるよ」
聞こえない、ふり。
彼女の気持ちを、これ以上どうにも出来ない。“彼女”と重ねるなんて、我ながらなんて残酷で馬鹿なことを。
何も知らない少女は気がつかない。銀色の彼女の存在に。
「いつもより、口調が優しいんでないか・・・?? お前さん」
ペテン師は嫌味に彼に言う。
カラーコンタクトの黒の瞳を光らせ、紅蓮は仁王を睨みつけた。
——————
関東大会、決勝戦。
立海大はダブルスを先に2勝する。
「ふーん。やな勝ち方ー、雅治」
マネージャーではない弥は、制服を着て観戦にやって着ていた。フェンス越しに幼なじみを見つけ声を掛ける。
「お前さんにはこの美学が解らんか」
仁王はふっと、口角を上げる。話しているのは弥だが、目線の先には2年生エースがいる。大口を叩くのを、楽しそうに見ていた。
弥は初めて見る姿に、驚きを隠せない。
「あんなこと言っちゃって、大丈夫なの??」
「アイツはあれで良いんじゃよ。口先だけの男じゃない」
ふーん、と曖昧な返事をしてみせる。
赤也の試合にそれほど興味がなかったため、仁王と別れ、会場を回る。ぐるっとを見渡しても、彼の姿が見えなかった。屋上での会話は、その場凌ぎだったのかもしれないと、さすが感じ始めた頃だった。
その姿が、視界に飛び込む。
「あ、ぐれ—————————————」
あぁ、やっぱり、届かない
彼の瞳が映すのは、たった1人の少女だった。
彼女を見た瞬間、なんとなく、彼の壁の向こう側が見えた気がした。
——————————たった、少しだけ。
「弥、見に来てたのか」
あぁ、見られてたな。紅蓮は心中で呟いた。
「う、ん」
「仁王の試合は、見たか?? 相変わらず、“面白い”だろ??」
「うん」
嘘ばっかり。試合なんて、目に入れていない癖に。そう叫びたかったが、弥は言葉を呑み込んだ。
「やっぱり、試合しないんだね」
紅蓮は頷く。
彼は一体、何を思うんだろう。
「わた、る」
気がつけば、一筋、雫が流れる。
知らなかったの。貴方のこと。
瞳に映っていた、女の子は誰?? 友達??妹?? 願わくば、そうで在って欲しい。
でも違うって、一瞬で解った。
誰よりも、何時よりも、何よりも、優しい瞳[メ]をしていたんだ。
「ごめ、んっ」
知らなかったの。
——————————————大切な人がいるってこと。
「このままじゃ、いかんぜよ。紅蓮」
「・・・・・・本当、嫌なタイミングで出て来るよな、仁王。俺たちのこと付けてんのか??」
「さぁ、どうじゃろうな」
紅蓮は、弥の走っていった方角を見つめた。
「良いんでないか?? —————————今だけってのも」
紅蓮は口角を上げた。
「お前“が”そうしたんじゃないのか??」
君に追いついたら、まずはなんて言おうか。
やっぱり、“ごめん”からだな。
今だけで良い。
ただ、暖めて欲しい。
こんなことを想うのは、誰以来だっけ。
——————
「ごめん」
言う前に言われた。
「私、知らなくて、紅蓮、うっとーしかったよね、ごめん。だからさ、私、応援するっ」
やっぱり、何も知らない少女は、的はずれな事を言う。
「ごめんね」
「違う」
「え」
ふわり、肌の温もりが突然。
「ぐれ、ん」
「馬鹿だよ、お前—————————」
抱きしめた彼女は、凄く暖かかった。
どれだけの彼女が、俺の中に入ってきたんだろう。
どれだけ、俺を溶かしただろう。
「ごめん」
今だけなんて、もの足りない。
ずっとずっと、一緒にいたい。
それは、私だけ??
彼は耳元で呟いた。
“スキだよ”
遠くなっていく背中を、今でも覚えている。
解説編:「何だよこの話、意味わかんねぇよ畜生!!」っていう方は、是非是非読んで下さい。>>054
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