二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ−
日時: 2010/11/07 01:41
名前: 扉@亮 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
参照: 此処は短篇集となります^^リク受付は休止中となっておりますー

扉と申します^^
こんにちはです、そして初めましてですv

元・亮です。
テニプリ以外の短篇も書きたいなぁと思い、スレ整理も兼ねて新しく立てました。
というワケで、此処には
テニスの王子様他、銀魂や黒子のバスケなどの短篇をupしていきたいと思っておりますーv





(○・ω・)ノ-------------読む前に-------------

主題歌 >>1 【巡音ルカ Just Be Friends】



(○・ω・)ノ-------------バトテニ-------------

注意事項 >>2

 大好きな君へ5つの言葉       

 01  「好きだよ、これからもずっと、」(宍戸亮) >>3

 02  「やっと会えたのに、ね」(越前リョーマ) >>4
     
 03  「最後に伝えられて良かった」(越前リョーマ×美那浦麗) >>5 夜琉サマリクです    

 04  「お前が泣くことじゃねーよ」

 05  「離さない、お前だけは絶対に」(向日岳人×神田瑞生)>>6 志筑様リクv


 バトテニ 20のお題

 01  夢なら覚めないで(越前リョーマ×大咲麻由) >>7 マユ様のリク^^    
 
 02  消えぬ想い
 
 03  殺したいほど恋してる(リョ桜) >>8  
 
 04  愛に生き、愛に死す(白石蔵ノ介) >>9
     
 05  君の亡骸(跡部景吾) >>10

 06  死が二人を別つまで

 07  I Love You(不二裕太×暁野宮輪廻) >>11 うっさー様リクv

 08  力いっぱい抱きしめたい

 09  嘆きのキス

 10  涙止まらない

 11  俺の誓い、私の誓い >>12

 12  思う空

 13  エデン(楽園)の在処

 14  あと何回君の名前を呼べるだろう?

 15  君を守りたい

 16  Two of us

 17  永遠が見えた日(幸村精一) >>13  

 18  君のためにできること

 19  Last Voice(中務隼人×織原リサ) >>14 志筑様リクv
 
 20  ともにいこう


 バトテニで5のお題

 01  「どうするの?ここで死んじゃう?それとも、生きてみる?」(宍戸亮) >>15

 02  「罪悪感とかそういうの、どっかに落としちゃったみたい」(幸村精市) >>18

 03  「この世界の何かが狂って、俺も狂ったみたいなんだ」(切原赤也×朔夜)>>19 うっさーサマリク

 04  「さよなら」言ったその後に笑わないでよ。


 死ぬ前に思うことで5のお題

 01   せめて今だけは夢を見させて

 02   霞む景色は君を残して(跡部景吾×椎名蘭)>> 夜琉サマリク^^

 03   この時だけを、永遠に

 04   笑ってる、でも泣いている

 05   僕らは何を間違ったのか


(●・ω・)ノ------------テニプリ------------


 ごめんね05題

 01 怒ったまま仕方なく

 02 一筋涙を流して

 03 申し訳なさそうに

 04 すれ違った瞬間小声で

 05 笑顔で爽やかに


 他校の彼と05題

 01 もしも同じ学校だったら

 02 俺の知らない君の姿

 03 授業中のメール

 04 その子、誰?

 05 ふたり一緒の帰り道



(●・ω・)ノ------------黒子のバスケ------------


 甘く切ない

 01 明日また会えるのに
 
 02 あの人はただの友達だと分かってるけれど

(●・ω・)ノ------------銀魂------------



(●・ω・)ノ------------季節------------


 7月7日(七夕) 【短冊で知る本当の願い(それは天候さえ変える愛)】(白石蔵ノ介)>>320-321 
          アノヒノオネガイ、マダユウコウデスカ??





お題は、いつくかの神サイト様からお借りしております^^
ヒロインちゃんたちの名前は、リクして下さった方々のオリキャラです。
※リクエストは只今休止中です、すんまそん。
 

扉@亮の他駄文
ht★tp://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=15471(バトテニ)
ht★tp://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=19038(銀魂)



長々と失礼しました。
それでは、どうぞー











———愛には、いろんなカタチがあるんです。
      
      強く、深く、包み込むように抱きしめる。
      何よりも相手を思い、守り抜く。
      共に笑い、共に涙し、共に生きる。
      そして。

———共に死すこと。 それも、“愛のカタチ”。


























どうか彼方に、彼方だけの素敵な愛のカタチが見つかりますように。

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Re: いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.33 )
日時: 2010/12/26 02:14
名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
参照: 他の奴は、いらん。ただ、お前が居ったら、それでええ。

うわわわwww

すっげー良かったvv 書いてくれてサンキューbb

後々、メリークリスマス!!

もう、うっさーは当分、此処に来れないだろうから、戻ってきたとき一気に読ませていただきます★

ではでは、


よいお年をーvv

>扉

Re: いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.34 )
日時: 2011/01/16 18:44
名前: 扉 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
参照: 暖かい風が吹く、それなのに、君はいないのね。






白い雪の中で君は、



そっと、



俺の手を握りしめた。





妙に暖かくて優しかったから、涙が零れそうになったのは、誰にも秘密。





「・・・・・・外部受験??」

 突然の言葉に、彼は眉を歪めた。

「うん・・・・・・」
「何で」
「や、その、ごめんブン太っ 私・・・!!」

 何を謝っているの。
 何で謝っているの。
 何て言えば良いの。
 
 分からないのに、私は思わず頭を下げた。
 やっぱり、彼は眉を歪めたままだ。

「私は、・・・・・・っ」

 夢がある。お母さんみたいな、弁護士になりたい。
 その夢を叶えるためには、叶えるための1番の近道は、“氷帝学園”に進学すること。
 だと、随分前に知って、決めた。担任とも相談して、両親にも理解してもらえた。だけど、ブン太にだけは、言えなかった。まだ全国大会の途中で言える状況じゃなかった、と自分に言い訳をする。だって、心配させたくなかった不安にさせたくなかった。ブン太には、“全国大会優勝”だけ考えて欲しかった。それに、不安なまま思いで作りなんて、出来ない。そうやって先延ばしにして、とうとう、直前の1月。もう、逃げられない。いい加減に、言わなくちゃ。
 仁王くんにも、そう言われた。だからブン太を呼び出して、ちゃんと向き合おうって決めた———
 
「ごめん、ブン太っ」

 ちゃんと話せば、ブン太なら分かってくれる。きっと、応援してくれる。私たちの3年間は、こんなことで崩れたりしない。そんなことは分かっているのに、“外部受験”と聞いた瞬間のブン太の瞳に、口を締めてしまう。あまりにも冷たい。
 何から言えば良いのか、一瞬で頭が真っ白になって、思わず謝る。

「・・・・・・良いよ、別に」

 ブン太は、明らかに上辺だけの台詞を吐いた。

「つーか、何を謝ってんの」

 風船ガムをいつものようにプゥーっと膨らませる。そんな姿には、真剣さのカケラもなかった。目は弥を見ず、代わりに気持ちのない言葉を浴びせる。こんなブン太、見たこと無い。
 弥は唇を噛み締める。

「・・・・・・言いたいのは、それだけ??」

 ブン太は鞄を持つ。
 窓の外には、雪がちらつき始めた。

「別に弥の夢なら俺は関係ねぇし。叶えるために頑張るのは良いことだろぃ。止めねぇよ」



—————止めねぇよ



「じゃぁな」

 そんな突き放された様な言葉に、弥は凍り付く。
 笑って優しく言ってくれたなら、私も笑って“ありがとう”と返しただろう。本気の瞳で言ってくれたなら、私も本気で“頑張る”と言えただろう。
 だけど彼は、ただ言葉を並べただけ。それだけ言うと、歩き始めた。

「ごめん、なさい・・・・・・」

 置き去りにされて、涙がこみ上げてくる。
 あんなブン太知らない、あんなに冷たい目知らない。

 ブン太は、どうして怒ってしまったんだろう。どうしてブン太は、私の話を聞いてくれないんだろう。いつものブン太ならきっと、ちゃんと聞いてくれる。きっと、分かってくれるって、思ってたのに——
 貴方を怒らせてしまったのは、一体何だったんだろう。
 ずっと言わなかったこと??
 勝手に側を離れること??
 氷帝学園を選んだこと??

「・・・・・・きっと、全部だね」



——————



 あのまま彼処にいたら、きっと俺はアイツを困らせる。
 行くな、此処にいろ、と縋ってしまう。
 弥の夢を邪魔してしまう———

——俺ホント子供・・・・・・


「・・・・・・子供、じゃのぅ」 


「うおわ?!」

 下駄箱で靴を履き替えようとした時。ペテン師はニヤリと笑って俺に言った。あまりにも的を射たことをあまりにも得意げな表情[カオ]で言われたから腹が立つ。
 ペテン師は、更に続けた。

「お前さん、弥が俺に相談したことに腹を立てとるんじゃろう」
「るせー」

 そうだ。弥は何故か、信用ならない謎ばかりのこの男に、俺よりも先に相談した。俺に頼るよりも先に、この仁王雅治に頼ったんだ。それが、気にくわないと言えば気にくわない。
 だからこそ、あんな風に冷たい態度を取ってしまった。俺にはあんなに気まずそうに話す話題を、仁王とは目を見てちゃんと話したのかと思うと、無性に否だった。何が嫌だったのか、よくは分からないが。
 仁王はその余裕の表情を崩さず、言葉を紡ぐ。

「大事な人には大事なことは言えんもんぜよ」

 分かってる。言わなかったのは、弥の優しさだ。分かってる。それなのに、俺はどうして受け止められない??

「弥は、お前を信じとった」



「ブンちゃん、お前さんも同じじゃろう??」



 気がつけば、引き返していた。

「弥・・・っ!!」

 大事なこと。
 俺の夢を、弥は応援してくれた。
 俺はお前の夢を、応援出来るか??



 お前に優しさを、返せるか??



「弥っ!!!」 

 嫌だったのは、俺自身だ。

「ブン、太・・・・・・」

 あぁ、そんなにも頬を涙で濡らして。

「・・・っ 悪い、悪かった!!!」
「ブン太?!」

 思わず、細くて冷えた体を抱き寄せた。

「俺、絶対お前のこと応援してる。俺、絶対お前の邪魔はしねぇ!!」

 そう、絶対に。俺はお前を信じてる。
 離れても会えなくても、お前を信じてる。
 側にいる今も、仁王に嫉妬しているようじゃ、駄目だよな。





——————俺は、強くなるよ。お前が、そうだったように。





 お前のいない春も、夏も、秋も、冬も、俺は乗り越えてみせる。

「ブン太、ごめんね??」
「良いよ、俺が悪かった」
「ごめん・・・・・・」

 誤り続ける彼女は、小さく笑っていた。



——————



「ね、ブン太」

 白い雪の中で君は、

「ありがとう」

 そっと、俺の手を握りしめた。

Re: いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.35 )
日時: 2011/01/18 00:50
名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
参照: 嘘吐きな彼女。ずっと、ずっと、一人ぼっちだった。

うぉぉぉぉ!!!
超、かんどーした!!
ブン太の気持ち分かるもん。と、同時に弥の気持ちも分かるなァ。
とにかく、すごっく良かったvv

うっさーは扉の小説マジ好きだなァ★

そして、この小説を見た瞬間に、うっさーのもう一つの小説が頭の奥から出てきたwww
うむ、久しぶりに更新しよーかな。と思ってたり思わなかったりwww

ではではーノシ

>扉

Re: いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.36 )
日時: 2011/01/18 15:08
名前: 扉 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
参照: 君がもし愛してくれるなら、全てを捨てても構わない。

>うっさー

 初・ブンちゃんです^^w
 何気書いたこと無かったブンちゃんだから、緊張したぜ・・・!!

 扉はさ、普通の市立中学校だから、外部受験このとは分かんないけど、大石のこと思い出してねww
 あと、扉は志望校おんなじ人少ないからさーっ
 気持ち伝わって、嬉しいですvv
 
 スキとか言われると、照れるじゃないですか!!←

 うぉおお!!
 そりは楽しみですb
 いまお姫様の方の番外編読んできたよ!!
 やっぱ扉もうっさーの小説スキだ^^

 数え切れないほどの放置作がある扉はどうすれば良いんだ!!←

 そんではノシ

Re: いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.37 )
日時: 2011/01/21 17:06
名前: 扉 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
参照: 君がもし愛してくれるなら、全てを捨てても構わない。






そして彼は、寄りかかるようにして私に崩れてきた



泣いても良いですか、



そう言わんばかりに、彼はそっと私に身体を預ける


良いんだよ、
もう、
此処にいるのは、私なんだから





「蔵ーっ」

 屋上へ行けば、大抵彼がいる。

「おぉ、弥」
「はいパン。最後の1個や、感謝しぃ」
「ありがとう」

 頼まれていた、焼きそばパン。あり得ないほど混み合う購買部で、あり得ない死闘の末、つかみ取ってきた。さすがに、女子にはハードルの高い勝負だった。
 白石は弥が語る武勇伝を聞きながら、微笑み、その栄光の焼きそばパンに齧り付いた。
 
「弥は何食べるん??」
「んー、お握り」

 2人は、中学に入学した頃からの仲だ。男子と女子、異性だとは思えないほど気があって、仲が良くなるのに時間は掛からなかった。3年間クラスが一緒というワケではなく、現に、白石は2組、弥は3組。それなのに、何故か気がつけば隣にいるのだ。
 それほどに心地良い、2人だけの時間。2人だけの時間は、いつも驚くほどに速く過ぎる。黙っていても、窮屈でない、そんな特別な関係だった。そんな関係に口だしするものはないく、今日も屋上で2人きり。
 最近は、白石はいつも屋上にいる。屋上は、思っているよりも風が強いため人気がなく、彼の貸し切り状態だ。そこへ、弥がやって来た。
 メールの着信音がした。どうやって入手したのか録音したのか。「ドンドンドドドン四天宝寺!!」と大きな声だ。

「?! なんそれ?!」
「ん、おぉ。メール」
「や、それは分かるんやけど」

 ダレ??、と弥は首を傾げた。
 
「・・・・・・リカ先輩」

 弥は納得したように、おぉ、と声を出し、ニヤリとイヤらしい笑みを浮かべた。
 リカ先輩。それは、今の白石の恋人だ。1つ年上で、弥の先輩。黒いセミロングの艶々な髪の毛と白く透き通った頬、そして華奢な身体。不思議な美しさを持つ人だった。少女というよりも女性で、周りよりも大人っぽかった。
 そんな彼女に白石が惹かれているのを、弥がすぐに悟ったのだ。

「ふーん?? 上手くいってるんや??」

 弥はメールを返信している白石に尋ねる。

「・・・・・・どうやろなぁ」
「何やその言い方」
「女子高生って分からんわー 俺コドモなんやろか」
「はぁ??」

 急に訳の分からないコトを言い出す彼に、弥は詰め寄った。
 いつも優しい表情は、何処か寂しそうに切なげな表情に変わっていた。

「なんやそれ、リカ先輩と何かあったん??」

 白石は携帯をパタン、と閉じて弥を見る。妙に心配している弥に、彼はデコピンをする。

「なんもないわ」
「はぁ?!」

 白石は立ち上がり、屋上を後にする。

「自分も、男は大事にしぃや」
「分かってるわ」

 弥にも、一応、彼氏がいたりする。屋上で白石と2人きりになっていたりする時点で、既にアウトな気もするのだが、とりあえず返事をする。

「ほな、またな」


 なんか変だ。
 ・・・・・・変な蔵。



——————



「今日?? 部活無しになったで??」

 忍足謙也が言う。

「え、何で」
「雨」
「あ・・・・・・」

 言われてみれば、凄い雨。自分の折りたたみ傘を出した。
 そう言えば、蔵は何処へ行ったんだろう。弥はかえろうとする謙也に、尋ねた。


「白石ー?? あれや、カノジョんとこやと思うで?? 呼ばれたーっつてたしな」

 
 そんな、謙也の言葉は妙に弥の胸を締め付けた。

「弥??」
「あ、ごめん。雨なのに、ありがとな」

 そう言うと、少年は首を振った。

「行こか」

 隣の中学に通う彼氏は、いつも正門まで迎えに来た。もうすぐ、1ヶ月。よく、恋愛経験のある白石に彼とのことを、アドバイスして貰ったり、勇気を貰ったりしたものだ。彼はいつでも、優しく微笑み話を聞いた。素直になれない自分に、いつもフォローを入れてくれた。自分の話を、照れくさそうにした。リカ先輩とも、凄く仲が良かった。それなのに、どうしてあんなに、寂しそうな表情をするの——??
 雨はしとしと降る。少しずつ、体温を奪っていった。

「弥、大丈夫??」

 少し前を歩く彼は心配そうに振り向いた。

「え、大丈夫や。ごめん・・・・・・」

 他の男のコトを根が得ていたなど、言えるはずがない。
 心落ち着かず、いつもなら繋ぐ手も繋げずにいた。此処で彼に触れるのは、反則な気がする。浮かぶのは白石ばかりで、顔もまともに見られなくて、思わず下を向いていた。
 ふいに、バシャッと音がして脚に水がかかる。大きな水たまりに、誰かが勢いよく脚を入れたようだ。思わず顔を上げる。


「—————————————!!!!」


 歯を食いしばって、眉間に皺を寄せて、拳に力を入れて、彼は走り去った。
 傘も差さず、隣にいるはずのカノジョもなく、彼はただただただ、1人きり——————————




「ごめん私——— 行かなあかん」




——————



 どうしてか、まるで私たちを待っていたかのように、屋上の鍵は開けられていた。
 背中を丸めて、彼はいつものように、景色を眺めている。


「蔵————」


 おそるおそる、声をかけた。かけずには、いられなかった。

「・・・・・・弥」

 彼は振り返ると、無理に笑った。
 この人に、なんて言えば良いの。 何を言えば、この人を救えるの。
 来ない方が良かったかもしれない、とふと思った。彼は誰かと一緒では、自分を隠してしまうよ———
 それでも。

「大丈夫??」

 1人には、しておけなくて。

「弥こそ、彼氏と一緒やったやん。こんなとこで何してるんや」
「どーでもええわ、そんなこと!!蔵に訊いてるんや」

 少しだけ強い口調で言う。そうすると、白石はふらりと此方へ歩み寄った。

「・・・・・・弥」

 リカ先輩は、違う人が好きになったんだ。こんなに優しくて暖かい人を捨てて。こんなにも、傷つけて。

「ごめん、ほんま、ちょっとやから」


そして彼は、寄りかかるようにして私に崩れてきた


「ええよ・・・・・・」

 肩に顔を埋め、彼は震えていた。

「格好悪いなぁ、俺」

 そう呟いた。


いいんだよ、もう、格好悪くたって、構わないよ————


 此処にいるのは、私だよ。








「ありがとう」


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