二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士
- 日時: 2012/09/13 22:54
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: bkovp2sD)
二つ目であります、漆千音です。元Chessです。
さて、ドラゴンクエスト、オリジナル、です。わたしが勝手に考えた奴です。
名はタイトルどおり——【漆黒の姫騎士】。
主人公はわたしの幼なじみモデルです。ま、誰も知らないからいっか(笑
・・・で、ドラクエⅨとかぶる名前がよく出て来るけど、一切関係ありません。
この名前が好きなんだろうって解釈して。みたいな。
【 お知らせ 】
最近自分の偽物が出現している! って人も多いみたいです。
で・・・わたしのトリップですけれど、1OlDeM14xYとJftNf0xVME、両方わたしです。本物です。
前者がかつてのパソコン、後者が今のパソコン。ある理由により使い分けていました。
・・・で、その理由及び問題が解決したんで、元通りになりましたわーわー(黙らっしゃい byレイサ)。
・・・つーわけで。はい。((殴
ぬはははは何故こんなにこちら側はやる気が起きん
それはノートに書いていない話を書き始めようとしているからであるそして
そのネタが思いつかないからである———スランプ中です。
いやそもそもスランプとか言える才能持っていませんけれども。
やる気を起こすまで今しばらく『星空の守り人』を更新しまくりますスイマセン・・・
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- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.94 )
- 日時: 2011/03/23 22:05
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)
「・・・・・だからね」
マイレナが目をこする。
「あえて言うならクリーム色を成した霧が周りを囲んでいて・・・」
続いて、マイレナは頭をぐしゃぐしゃかきむしる。
「声が聞こえたんだよ。誰かと話しているみたいなさ・・・」
極めつけに、大あくび。
「で、気が付いたら——」
・・・そこで、大あくびのマイレナを目の前に、リーシアはずっと続けていた説明を中断した。
「・・・・・・・・・・・・・・この、うすっ暗いトコにいたってワケだよこのオタンカスッ!!」
「うぎゅあっっ」
喉を思い切り開いているときにリーシアの遠慮容赦ない蹴りが炸裂したものだから、
マイレナは勢い余って(?)大げさにむせた。
「がふがふがふぅぅっ。ななな何すんねんリーシャっ!」
「お前は人の話をきくっつーことを知らないのかッ」
「だからって蹴ることなかれっ。暴力女ッ」
「寝返りする度何かを蹴り倒しているアンタに言われたかないなッ!」
だんだん本気に発展してきた女二人の恐ろしい口喧嘩を、止めるか無視するかの狭間で迷うティルス。
「レイサ、・・・オレはどうすればいいんだ?」
「いやぁ・・・黙って見てましょ」
所は変わり、薄暗い草原の中。
レイサは、セルハとかいう(レイサ曰く身勝手な)女性と話した後、意識が途切れて・・・気が付いたら、
この草原の中で、同じように倒れているティルスとマイレナを見つけた。
一番初めに気が付いたのは、リーシアだったらしい。
そして、さっきの話からすると、リーシアはレイサとセルハの話がうすぼんやりながらも聞こえていたらしい。
(にしても・・・さっきが光のところ、っていうなら・・・ここは闇・・・もしかして、ここが地獄、とかいうところなのかしら)
なんだか、ずいぶんと見当違いな場所だ。地底深く、死の影がたくさん、
ガイコツごろごろマグマぐつぐつなイメージを持っていただけあって、ただ薄暗いだけの何の変哲もない
この草原は、かえって拍子抜けさせられる。
(・・・リーシアが・・・お姫様、か)
マレイヴァの、生き残りの騎士。右手の負傷、そこに、首飾りの成り代わり? とやらがある。
けれど、本人はそれを知らない。
自分が、世界樹人の子孫だって言われていながらそれが真実だとは、信じてはいない。
(・・・リーシアの記憶、か・・・)
なんだかよくわからないけど、とレイサは考える。とりあえず、あたしがリーシアの正体知ってることは、
言わない方がいいんだろうな、と。
「・・・っとりあえず、戻ろっか・・・」
マイレナが妙に憤慨しつつもそう言い、そして、
「————って、ここ何処だっ!?」
「今更!?」
マイレナ除く三人の声が見事にハモる。
「・・・えぇ、っと・・・? あぁそうだ、何かあいつが呪文唱えて、バンって音がして・・・あ」
マイレナが何かに気付き、リーシアを見る。・・・切り替えが早い。
「 強制移動呪文_バシルーラ_ ・・・まさかあれが、・・・みんなを・・・!?」
フィルタスの村のことだ。リーシアは、そう思った。目を細め、ぼそりと、「・・・そう」と答える。
「それじゃあ・・・誰かがここにいるかも! ・・・ここって、私らの世界と違うんでしょ?
・・・あれ? じゃあ、どこなんだろ・・・?」
「多分」レイサが答える。「地獄よ」
「地」マイレナが復唱しようとして・・・固まる。「・・・・・・はい?」
「とにかく」
レイサは苦笑し、歩こう、と促した。
「説明するわ。さっき、あたしが聞いたことをね」
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.95 )
- 日時: 2011/03/25 19:49
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)
「地獄って、そーゆー意味だったの・・・?」
マイレナが、レイサの説明の後に初めて口を開く。
「つっても、何か話すだけ話してサッサカ行っちまったからさー、肝心なとこサッパリなんだけどね」
「・・・・・・なんか・・・誰かそっくりだね」
マイレナの視線はリーシアに行く。
「何?」
自覚していないリーシア、問い返す。・・・当然思ったことは口には出せないが。
「・・・なぁ、ところで」
次はティルスだ。
「・・・この道、何か、見たことねーか?」
「?」
マイレナとリーシアは首をかしげる、が、レイサは、「あれ」と呟く。
「何だ、ティルスもそう思ってたの? やっぱねぇ・・・あたしも、そう思ってたんだ」
「・・・確かに、何か見たことあるような気もするが・・・」リーシアは呟く。「マイは?」
「んー・・・何か、あの双子山とか、見たことあるよねぇ」
マイレナの一言に、沈黙が落ちる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もしかしてさぁ、ここ、・・・ダーマ神殿までの道なんじゃないの?」
レイサぽつり。ティルスがしばらく黙り、見わたし・・・「・・・アリかよ?」と応えた。
「・・・いやでも、確かここって、私らの世界と違うんでしょ? なのに、地形が同じって、どういうこと?」
「わたしに聞くな・・・確かに気になるな。何か今だよく分からないことだらけだが、このまままっすぐ行くか?
それとも、[想像通り]ポスタミアがあることを引き返すか?」
「・・・あ、そっか、逆に行けば、ポスタミアなんだよね」
再び沈黙が落ちる。
「・・・ジャンケンで決める?」
「何だその古風な決め方は」
「新しいと思うけど。・・・じゃああたし、引き返す側で」
「・・・私も引き返す側」
「・・・・・・・俺もなんだが」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
リーシア、沈黙。
「・・・リーシャ、もしかして、・・・引き返す側?」
「・・・・・・・・・・・・・・・ジャンケンの必要はない」
それだけ呟いて踵を返したリーシアに、引き返す側だったんだ、とマイレナが言った(そして殴られた)。
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.96 )
- 日時: 2011/06/11 09:23
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)
異常に多い魔物を退け、四人は異様に薄暗いその港町についた。
「・・・・・・・・・・・」四人、再び沈黙。この世界に来てから皆口数が減っている。
「・・・ここ、明らかに、ポスタミアだよね」
「・・・・・・あぁ」
霧が暗い。近くに見える海も黒い。
だが、どう見ても、その町は、ポスタミアである。
「・・・どういうこと?」
「さぁ・・・?」
リーシアとレイサがマイレナを見る。どうやら、町の名前を一応聞いて来い、ということらしい。
リーシアはもともと人と話すのが好きではない性格だ。が、レイサは絶対そうではないだろう、と思ったが、
ティルスまで知らん顔しているので、マイレナは渋々ながらも住民と思しき男に町の名を聞く。
「ここですか? 港町ポスタミアと言えば、世界指折りの大国グラデンヘルゼに最も近い町です」
「・・・つまりここ、ポスタミア?」ややこしい説明に、マイレナは仏頂面で問い返す。
「えぇ、そうですよ」
「・・・で、近くに、グラデンヘルゼ王国があるの?」
横から問うたのはレイサだ。結局来たのかよ、とマイレナ。
「えぇ、この町から船で行けますな。いい所ですよぉ。私みたいな、財産のあるものにはね」
「・・・・・・・・・・・・」
リーシアがこの場にいたら即刻 空爆呪文_イオ_ あたりを唱えていただろう。
実際レイサも、この男今ここで 火炎呪文_メラミ_ の餌食にしてやろうか、と思っていたところである。
「・・・で、・・・どういう意味?」
“いい所”の意味を、とりあえず尋ねる。
「ふっふっふ、それはですねぇ——うおっ」
「あ、失礼」
ティルスが、あまり実感のこもっていない口調で謝る。通り過ぎざま、肩をぶつけたのだ。だが、それだけではない。
そのまま何食わぬ顔で通り過ぎたティルスを、リーシアが追い、耳元でささやく。
「——で? 今、何を盗んだ?」
「・・・げっ、バレてんの? かなわねぇなぁ・・・これだよ」
ティルスは若干引きつつ、素直に盗んで見せたものを取り出す。いつの間に隠したのだろう。
本物_プロ_ だけあって、やはり違うものだな、と微妙にずれた感心をする。
ともかく、ティルスが出したものだが・・・それは、一枚のカードだった。
「・・・身分、証明書・・・?」
「ん? ・・・あぁ、悪ぃ。逆だ。・・・こっちだよ。グラデンヘルゼの通行書」
「あ、そう。——通行書ぉ?」
なんとなく納得した後、リーシアが何とも嫌そうな声で訊く。
「そ。——どーやらこっちの世界でも、通行書なしで城ン中には入れねーっぽいな」
「・・・“こっちの世界でも”って・・・つまり、“あっちの世界”でもそれ、必要なわけ?」
「必要」ティルスは至極あっさりと答える。「ちょうど同じものだ。こりゃますます変だな、この世界」
「そ・・・そう」リーシアは、さっと視線をずらした。
「俺らのことを知っている奴はいない・・・てことは、住民まで同じってわけじゃなさそうだし・・・
一体何だってんだ?」
確かにね、と答える。四人は、いきなり現れた魔物を“あっちの”ポスタミアで退けたそれで
住民からは顔を覚えられているはずだ。だが、彼らは誰も四人を知らないようだった。
「・・・でも、なんとなく、見たことある顔もあるんだよな・・・ま、今考えても埒開かないし」
リーシアは肩をすくめ、ようやく戻ってきたやつれた顔のマイレナとレイサを見て、続いて財布を覗いた。
「宿でもとってくる」
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.97 )
- 日時: 2011/03/27 14:13
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)
「・・・運休?」
マイレナはオウム返しで問う。
「あぁ。今やグラデンヘルゼ国に圧制されてるからな。いや、圧政、か? ・・・ま、とにかく、
自由に船を動かせんのよ。アインテルスからも、あんま客は来なくなっちまったしな」
アインテルス・・・マイレナは思った。どういうことだろう。この世界と、本来の世界、地形が同じだ。
いや、第一この世界は、一体何なのだろう・・・地獄、って。
マイレナもマイレナで、レイサと同じようにガイコツごろごろマグマぐつぐつを想像していたので、拍子抜けている。
「・・・そういえばさぁ。近くの、ダーマ神殿ってトコ、知ってる?」
マイレナが尋ねると、船乗りのおじさんはきょとん、とする。
「・・・何だ、嬢ちゃん、 宝探し_トレジャー_ しに来たのか?」
「は? いやいや、ダーマ神殿知ってる? って聞いたんだけど」
「知らんのか? あそこには、静寂の玉ってぇお宝が眠ってるんだ。そいつを使いやぁ、
そこらの炎だの氷だのマホウってのを使うやつのそれを封じ込めちまうのさ」
「・・・魔法を封じ込める・・・?」
「おうよ。んだが、命惜しきゃ行かねぇこったな。あそこぁ魔物がウジャついてっから」
「そーなんだ」マイレナはやはり緊張感なく答えて、じゃっ、と船乗りに声をかけて立ち去る。
遠くでリーシアとティルスが話しているのが見える。仲いいよなぁ、などと見当違いなことを思うマイレナ。
(ひとまず、もーちょい情報収集だなぁ・・・)
マイレナはぐいっと背伸びすると、すたすた歩き、そして。
(・・・どこ行こう)
結局止まった。完璧なネタ切れである。
「・・・・・・・・・・・・」
マイレナはしばらく考え込み、そして、
「よし。買い物しよう」
なぜか方針を口に出して、武器屋へ直行する。
「・・・あれっレイサ?」
そして、武器屋の前に立つレイサを見つけた。
「ん? あ、マイレナも情報収集?」
「え、あ、うん、まぁ、ね」
ネタ切れしたとはいえず、適当に答えたマイレナは、レイサの隣に並んだ。
「そっちは、情報、集まった?」
「うん、そこそこね。——あ、おじさん、コレ頂戴」
レイサが武器・・・短剣の一つを指す。
「バタフライダガーだな。ほいよ」
「ありがと」
マイレナはそのやり取りを見て、目をしばたたかせる。
「バターフライ?」
「揚げるな!! バタフライ!! バタフライダガー。この切っ先に毒が仕込まれてて、
かすったら、しばらくすりゃ相手はマヒするって感じの武器よ」
「お見事!」店員、賞賛。「いっそのこと、ここで武器解説者やってみるかい?」
「あはは、冗談上手いねぇ」
そんな調子のレイサを見て、こいつ本当は何の情報も集まってないんじゃぁ・・・と、マイレナは思う。
「蒼いお嬢さんも、何かどうだい?」
「・・・・・・・・・・え、私?」
誰が蒼い嬢さんだ! と言おうとしたが、よく考えれば、髪も眸も、服まで蒼いんだった、と気づき、
仕方ないかと考え直す。
「いや、いいよ。金欠なんだ」
じゃあ何で来たんだ、と言われそうな言葉である。
「それは残念——って、まぁ、仕方ないか。今の世態じゃあな」
「・・・やっぱ苦しいの?」
「あぁ。税金は上がって旅人率は減って・・・俺たちゃ商人は、破滅状態さ」
「・・・そう、なんだ。やっぱ、自分たちのために税金を・・・?」
「いや、違う」
あっさり言われ、「は?」と問い返す二人。
「兵士を集めるんだ。ダーマ神殿の魔物退治、ってな。だが、違う。本来は、きっと、宝を狙っているんだ」
「宝?」
「静寂の玉のこと?」
レイサが問い返し、マイレナは答える。
「正解だ。これくらいの大きさでな」両手の人差し指と親指で輪を作る。
「青と緑の混ざったような色をしている。観賞用としても申し分ない」
「・・・詳しいね」
「アレはもともと、ここの財産だったのさ。歴史書に残ってる。
だが・・・あの国があれを求めるのは、別の意味があるように思えるんだ」
「別の?」
「もしかして、魔法を封じるから?」
再び、レイサが問い返し、マイレナが答える。
「正解だ。って、さっきもこの言葉言ったっけ」
「パターンも一緒」
「悪かったわね何も知らなくて」
「何故そうなる!?」
マイレナがそう言ったところで、ぽつり、と何かが鼻に落ちる。
「ん・・・雨だ」
「え? わわ、しまわなきゃ」
商人があわてて武器を片付ける横で、レイサは目を細めた。
「不吉ね」呟く。「何か悪いこと、起きなきゃいいけど」
「大丈夫だよ」マイレナが返す。「悪いことが起きたら、解決して見せるだけだ」
二人は宿に戻った。
雨は次第に、地面に強く打ち始めてゆく。
——【 Ⅲ 】完結。
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.98 )
- 日時: 2011/03/27 14:02
- 名前: Chess ◆JftNf0xVME (ID: fckezDFm)
“ それでも人は
分かりもしない明日を求める—— ”
【 Ⅳ 】
闇の霧は相変わらずもうもうと立ち込め、肌にまとわりついてくる。
ダーマの神殿を原点に、霧は円を描くように渦巻く。
神殿に近付くにつれ、足元が怪しくなってきた。ねちょり、と言う音がする。
「タールだ」ティルスが言う。「へばりつくと、鈍重・悪寒・寒気のオンパレードになるから気をつけな」
「・・・ゴメン悪寒と寒気ってほとんど同じに聞こえるんだけど」
マイレナが突っ込む。ティルスが目をしばたたかせ、やがてあさっての方向を見る。心当たりがあったらしい。
「・・・ま、そういうことなら、私にお任——レイサそこっ!」
「ひっ!?」
レイサ一時停止。
「し、し、心臓に悪いマイレナ」
「いやゴメン。でも、もうちょい左に・・・もう少し・・・いいよ」
「う、どーも。さすがねぇ・・・目のいい人ってうらやましい」
「なってください。いちいち指示することになると面どレイサストップ!!」
きゃーきゃーきゃーと叫ぶ二人(主にレイサ)をよそに、リーシアは溜め息。
「・・・ひとまず、静寂の玉って奴さえあれば、あいつの・・・ダーマ神殿の偽神官の
強制移動呪文_バシルーラ_ を止められるけれど」
昨日泊まった宿で、マイレナとレイサの報告はすでに聞いていた。ティルスは盗賊だけあって静寂の玉のことは
知っていたが、リーシアは知らない。武器商人の言っていた歴史書に目を通して、大体の形を想像したらしい。
「・・・でも、どうやって現世に戻るんだろう」
「俺のカンはさ」ティルス。「静寂の玉さえ手に入れりゃさ、戻れるんじゃないか?
どーせココはまやかし・・・地獄ったって、幻想みたいなもんだろ?」
「・・・そう上手くいくか?」
「可能性は信じてみるもんだぜ」
どういう可能性だ、とリーシア。と、そこに、すかさずマイレナの荒声。
「リーシャ足元っ!」
「え? ——っ!」
リーシアは、踏み出しかけた足を上げ、踏みしめるはずだったタールを避けるようにクルリと身をひねる。
が、さしものリーシアもバランスがついてゆけず、横に倒れこんだ。
「——ってぇ・・・」
「大丈夫? 珍しい」
「余計だ。・・・怪我しない転び方でも覚えるか・・・」
怪我の具合を見てリーシアは呪文で治療するかどうか考えたが、大した怪我でもないと思い、サッサと立ち上がる。
「・・・もし、静寂の玉を使ったら・・・使われたら、回復呪文も使えないんだろうな」
「だね。あたしの呪文も使えないや」
「そうなったとき、あんたは何をするつもりなんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・今はいいのよ今は・・・・」
ティルスのからかいモドキにレイサが若干怒りマークを付けた状態で答え、その後マイレナが言う。
「見えたダーマ神殿」
「ん。——行くか」
四人は歩くスピードを速めた。しかし、
「レイサっそこ!!」
「きゅわわぁぁぁぁっっ!?」
・・・やはりこの二人はうるさかったのだが。
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