二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-無事完結
- 日時: 2011/06/02 18:32
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
初めましてー、ここでは本当に初めましてです。
ダメ作者の、山下愁です。
今回はですね。私の好きな銀魂と戦国BASARA3をごっちゃにした小説を書きたいと思います。
ハイ、注意!!
その1→キャラが完全崩壊。
その2→銀魂のストーリーを選び抜いてやりますから、ストーリーも崩壊。
その3→オリキャラが大暴走。
その4→何か……くそい。
その5→山下愁無理、神文読みたいな人は今すぐUターンをして、原作を読んでいてください。
その6→荒らし、誹謗中傷なコメは、強制的に無視します☆
……残った? 残りました?
では、残った人だけ、読んでください!!
ご訪問者 ありがとうございました!!
かにゅ様 野宮詩織様 ロン様 如月葵様 柚莉様 ああ様 ★ジャスタウェイ★様
お知らせ系列
オリキャラ募集>>24 募集終了!!
何のお話が好きですか? >>39
目次
登場人物>>01
プロローグ『何やかんやで、降ってきちゃったんだよなこれが』>>02
第1話『とりあえず、郷に入っては郷に従っとけ。大丈夫だから』
>>05 >>07 >>12 >>14 >>15
第2話『薬とかヤバいものあるけど、皆注意してね、街で海が見えるから』
>>16 >>17 >>18 >>19
第3話『機械? あれだろ、何か……うん。あれだよ』
>>20 >>21 >>22 >>23
第4話『ほくろに毛があると幸せになれるって本当ですか?』
>>27 >>31 >>32
第5話『下着泥棒って居るじゃん。あれって、何が楽しいの?』
>>33 >>38 >>44
第5.5話『怖い話って案外怖くないんだよ』
>>55 >>58 >>60 >>61
第6話『海の家に売っている焼きそばは、大体もっさりしている』
>>62 >>63 >>64
第6,5話『恋っていいよね』
>>68 >>71 >>72 >>73 >>74
第7話『記憶喪失に負けず、叩けば直る』
>>78 >>81 >>82 >>84
第8話『お花見は大体理性を飛ばしやすい』
>>100 >>101 >>108
第9話『忍者? うちにも居るでしょーが!』
>>111 >>112 >>113 >>114
第10話『紅桜ってさ、ある意味怖い桜だよね。だって赤いもん』
>>115 >>116 >>117 >>118 >>119 >>120 >>121 >>122
第11話『動物は最期まで大切にしてあげなさい』
>>125 >>126 >>127 >>128
第12話『ロボットは怖い、バグが怖い』
>>131 >>132 >>137 >>139 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147
第13話『雨は必ず上がる』
>>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155
第14話『鎖で縛られて喜ぶのはただのM』
>>157 >>158 >>159 >>160 >>161 >>163
第15話『夢の中が自分で彩れたら最高じゃね?』
>>164 >>165 >>166
第16話『空を見上げて歩こうか』
>>167 >>168 >>169 >>170
エピローグ『炎神暴君☆リシタニア』
>>171 >>172 >>173
あとがき>>174
質問大会
東翔>>51
椎名昴>>54
山本雫>>59
篠宮優奈>>65
月読怜悟>>95
王良空華>>156
スカイ・エルクラシス>>162
作者の裏設定情報ー☆
その1>>75
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- Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.70 )
- 日時: 2011/03/30 10:13
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
希実「私……これからも頑張るからね」
どうも、おはようございます。山下愁です。
応援をしてくれるの、本当にありがとうございます。それを考えると頑張れる気がしてきました!
希実ちゃん、ありがたく使わせてもらいます!
昴「本当に大丈夫なんかね」
翔「心配だけどな」
愁「そんな事を言わないで、泣くから」
希実「……癒す?」
愁「心はそれだけでは癒されないからね。大丈夫だよ、頑張るからね」
翔「ま、せいぜい頑張れよー」
昴「結構現実では大変なくせにー」
希実「……頑張れ」
愁「泣きたくなってきた」
こ、これからも頑張りまーす。
- Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.71 )
- 日時: 2011/03/30 10:35
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第6,5話 恋っていいよね。
翔にげんこつを1発、しかもでかい奴を叩きこまれた昴。ものすごい痛いのか、机に突っ伏して起きようとしなかった。
「で? てめぇは一体、どうしてそんなにボーとしてるんだ。悩み事があるなら聞くが?」
「え、別に大丈夫だよ。俺は何ともないよ?」
「もう1発いくか? 何で何ともないのに俺と目を合わせようとしない?」
「ハイ、全て話します。だから殴らないでください」
土下座をした昴は、理由を話し始めた。
***** ***** *****
「やっべー。早く帰らねぇと副長に殺されるなー」
昴はその日、仕事をしていたら遅くなってしまったのだと言う。桂の部下を尋問していたら、いつの間にか夜になっていたのだ。
ちなみに、同行していた春夜は先に帰った。尋問(というか拷問)を見ていられなくなったらしい。
「くそ、ここの建物を通って行くか!」
昴は建物——病院を通って行く事にした。
「おい? 何してんだよ、馬鹿」
「え、きちんと話してるじゃないか。大丈夫だって、看護師さんはちゃんと気絶させたし」
「何してくれてんのてめぇは!! やっぱ馬鹿だろ!」
回想に戻ります。
昴は病院の中を走っていたら、遠くの病室の明かりが点いているのに気付いた。ついでに言うと人影も。
「何だ?」
不思議に思った昴は、通路の窓を開けてその病室まで飛んで行ったのだ。
光があふれる窓に耳を立て、部屋の様子をうかがうと中からどなり声がした。後、誰かが殴られる音。
「お前が不治の病にかかるから! 金がかかって仕方がねぇんだよ!」
「……ッ……」
(ドメスティック何ちゃらって奴か。なら、俺が首を突っ込む事じゃないな)
昴は頭を掻き、その場から立ち上がった瞬間。
中から悲鳴がしたのだ。同時に、盛大に殴られる音も。
「……あー、もう。何で俺はこんなに馬鹿なんだろー」
そうつぶやくと、昴は回し蹴りを窓に叩きこんだ。
バシャンッという破壊音と共に現れたのは、白い少女と少女を今まさに殴ろうとしているおじさんだった。
おじさんは、昴を見た途端みるみるうちに顔を強張らせていく。
「真選組です! DVなんか見てられないので、助太刀しに来ました!」
ピシッと敬礼すると、昴はにっこりと笑顔を浮かべる。
おじさんは、逃げるように病室から出て行った。情けない悲鳴を上げながら。
「弱いなァ……。君、大丈夫?」
「あ、ハイ。大丈夫です」
ベッドに座っていた白い少女は、にっこりと笑った。
本当に真っ白な少女だった。肌から髪まで白。ただ色を残しているのは、赤い唇と漆黒の瞳だけ。
どこか儚げな少女は、こう名乗った。
「私は雪月。色落ち病にかかった病人です」
少女——雪月は笑顔を崩さず、そう言った。
「で、それ以来お前はその——雪月って子の見舞いに行ってる訳だ。気持ち悪いな」
「正直に言わないで、俺マジ泣くから」
翔の正直な言葉に、半泣きする昴。
そんな昴相手に、翔は他人事のような態度を見せる。面倒くさそうに耳をほじったり、欠伸をしたり。おじさんかお前は。
「俺は病気を治す神じゃねぇんだよ。俺は死神、死を運ぶ神なの。病気を治すどころか、悪化させるよ?」
「分かってるよ。分かってるんだよ、そんなの。翔も治せないし、俺も治せないし。でも俺は、あの子の傍に居たいんだ。元気づけてあげたいんだよ」
いつもの昴と違い、しんみりとした口調で話す。
「……春夜、行くぞ」
「どこへでさァ。その、雪月ちゃんって奴のとこですかィ?」
いきなり立ち上がった昴の背中に、春夜は質問を投げた。
昴は無理矢理な笑顔を浮かべ、答える。
「そうかもね」
- Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.72 )
- 日時: 2011/03/31 21:16
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第6,5話 恋っていいよね。
「よう、昴」
昴は持っていた花束を思わず落としそうになった。
病室——雪月の元に居たのは、翔と武将達である。しかも、雪月本人も嬉しそうだ。
「な、何でここに居るんだよお前ら?!」
「何って、ここに来る理由は1つだろ?」
平然と小首を傾げる翔。
何だ、こいつも見舞いに——と昴は思ったのだが、返ってきた答えは予想を遥かに超えていた。
「お前を冷やかしに」
「帰れ」
翔と共に武将達も病室から追い出された。
床にぶつけた頭をさすりつつ、翔は立ち上がる。恨めしいように病室の中で喋る2人を一瞥し、無言で背を向けた。
そんな翔に、幸村は声をかける。
「羨ましいなら、昴殿に申して行けばいいのでは?」
「お前の頭は春満開だな、おい」
舌打ちするように言葉を吐き捨てた翔は、その双眸で雪月を見つめた。
色がなくなり白く変わってしまった彼女。本来なら、どういう色をしていたのだろうか。
髪の色も。肌の色も。全て白。ただ残っているのならば、アクセントとして加えられた赤い唇と漆黒の瞳だけ。
「昴。お前の恋って奴ぁ、すんごい悲しい物だぜ。お前のポジティブでも払えきれない大きくて重い物だ」
そう言う翔の目は、やけに悲しそうだった。
***** ***** *****
「色落ち病? 知ってるわよ」
万事屋銀ちゃんにて、グラスに入れられた水を飲みながら、凜は言葉を紡ぐ。
相対するのは翔。同じくグラスに入れられた水に手をつけながら、ため息をついていた。
「知っている事を全て教えてくれ。あいつの為だ」
「色落ち病患者の現状はどんな感じなのかしら?」
水を一気に飲み干し、翔は雪月がどんな状態であるか告げる。
すると、凜は深刻そうな顔を浮かべた。それはまるで、今にも死んでしまうんじゃないかと語っているような。
「深刻だわ。次は目、最後に口。そして————」
話を聞いた翔は、手に持ったグラスを滑らせて割ってしまった。台所から佐助の「何したの?!」というどなり声が聞こえてきた。
本人は炎神を背負い、万事屋から飛び出した。
その背中を見て、凜は小さな笑みを浮かべる。それは、どこか悲しげで——
「大丈夫? あーぁ、グラス割っちゃって」
「私は平気よ。でも、おそらく平気じゃなく帰ってくるのはあの子ね」
「……何を話してたのさ」
「君は知らなくていい事よ」
「……? 翔」
夕暮れ時、風魔は翔の前に姿を現した。
いきなりの出現に驚いたのか、翔は目を剥いて少し警戒したような体勢を取る。が、風魔だと分かると警戒を解いた。
「風魔、頼みがある。俺を連れて病院へ行け」
「……何故」
「理由は後で話す。だから今は————頼む」
必死になって頼む翔を見て、風魔は手を差し出した。
「飛ぶ。掴まれ」
病院に行ってくれるようだ。
翔が風魔の手を掴んだ途端、風魔は赤く染まった空へ消えた。
***** ***** *****
病院に着いた2人は、真っ先に雪月の病室に向かった。
風魔に「ありがとう」と短く告げると、翔は雪月が居るであろう病室のドアを思い切り開いた。
ガラガラスパンッという音がして、昴と雪月の姿が視界に入った。
「昴!」
彼が知らなければいけない事があった。
誰よりも、自分よりも昴が知らなければいけない事。
「な、何?!」
いきなり名前を呼ばれた昴は、驚きながらも席を立ち上がった。
翔は昴の腕を掴み、短い言葉を吐き出す。
「話がある!」
真面目な表情で言われ、昴はうなずくしかなかった。
- Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.73 )
- 日時: 2011/03/31 21:37
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第6,5話 恋っていいよね。
夕暮れ時、病院の屋上に居るのは2つの人影。
赤い空を背にして、昴は翔の方を向いた。
「で、話って何よ?」
「色落ち病。雪月の話だ」
そう言葉を切りだした瞬間、昴はビクッと怯えたように震えた。
翔は苦しそうな表情を浮かべたが、一瞬にして消し去り無表情で話し出す。
「色落ち病は、色が消えて行く病気だ。文字通りだな。最終的にどうなるか分かるか?」
「え、ちょっと。俺、馬鹿だから分からないよ。考えらんない、何でそんな事——」
耳を塞ごうとする昴の腕を、翔はガシッと押さえこむ。
鋭い眼光で睨まれて強張った顔をする昴。震えているのが手を通して分かった。
「最期は、」
「言わないで!!」
昴は手を振りほどき、翔から離れた。瞳の奥が震えていて、何を見ているのかが分からない。
「俺は死神だから、お前がどういう気持ちかは分からねぇが。現実を受け入れろ」
「嫌だ、嫌だ! 死神だからって、どうしてそんな事を平気で口に出来るんだよ。お前も、生きてるなら……」
そこで翔の回し蹴りが、昴に炸裂する。
運悪く回し蹴りが鳩尾にヒットした昴は、屋上の端まで吹っ飛んでしまった。
むせる昴の胸倉を掴み、翔は冷たい言葉で言い放つ。
「最期は空に消えるんだ。色がなくなり、姿すらも消える」
真実を聞いた昴は、大きく目を開いた。
翔は昴の胸倉から手を放し、炎神を抜く。
「俺はそんな事になる前に、雪月の魂を狩る。別れを言って来い」
「嫌だ!」
昴はどなり、翔に飛び蹴りをかました。
ギリギリの所で炎神で攻撃を防ぎ、翔は昴の顔を見る。
泣いていた。
夕日に照らされ、透明に輝く涙。まだ現実が受け入れられないのだろう。
「勝手にしろ。お前が誰と居ようが俺は止めない。ただし、雪月の魂は絶対に狩る」
「させない。俺が、全力で阻止してやる!!」
昴はもう1度どなり、屋上から飛び出した。
バタンッと音がすると共に、風魔が姿を現した。いつも通りの無表情で。
「翔、大丈夫か」
「何がだ。俺は死神だ、人に干渉してどうする」
炎神を収め、フェンスに足を掛ける。
高く、そして広い空が自分を見下ろしていた。
「チッ……。どうして俺は、損ばかりするんだろうか」
「きっと、死神に生まれてきたせいだ」
- Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.74 )
- 日時: 2011/04/01 16:11
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第6,5話 恋っていいよね。
その日の夜、万事屋銀ちゃんにて。
「おい翔。てめぇ、いつまで項垂れてんだ?」
銀時は舌打ちして、翔に向かってどなる。
しかし、翔はソファの上から動こうとしない。ぐだー、とした感じで寝ている。
「どうしたんですか、翔さんは。いつもよりさらにグダグダなんですけど」
「知るかよ。あいつの心はどうも分かりにくい」
言葉を吐き捨て、銀時は耳をほじり始めた。
その時、控えめなノックが外から聞こえてきた。
「ハイハイ、今出ますよー」
佐助がドアへ走って行き、ノックをした客を万事屋へ入れる。
揺れる白髪。雪月の姿だった。
「東翔さんがここに居ると聞いてやってきました。どこにいらっしゃいますか?」
「翔さんはそこに居るけど……。何で君は、翔さんに会いに来たの?」
新八がソファでゴロゴロする翔を指し、雪月に訊いた。
「私を殺してください、と頼みに来たんです」
静かな雪月の声が、万事屋全ての空気を凍りつかせた。ただ1人、翔だけは固まらなかったが。
翔はむくり、と起きあがり雪月を見上げる。
本人、雪月は真剣な表情をして、翔の前に立っていた。
「それで、あいつが喜ぶと思うか?」
冷たい声で、雪月に問いかける翔。
「喜ぶとは思えません。ですが、私はもう、あの人の苦しむ姿を見たくないんです。私の為に、苦しんでくれる昴さんの姿は見たくないんです」
「で? お前はそれで良いのか。あいつの気持ちも考えずに、お前は死を選ぶのか。俺は今まで沢山の人を狩ってきたが、お前みたいな奴は初めてだぞ」
ハッと嘲笑するように、翔は言葉を紡ぐ。
しかし、雪月はそんな事を言われたのにも関わらず、真剣な表情を崩さなかった。
「……ハァ、ダルイ。風魔、居るか?」
ため息をついた翔は、奥に居るであろう風魔を呼ぶ。
風と共に現れた風魔は、「何か」と翔に尋ねた。
「昴を連れてこい。誰が何と言おうと、そいつらもまとめてだ。気絶させてもいい。殺してはダメだ」
「御意」
風魔はうなずくと、夜に包まれた江戸へ消えた。
翔は壁に立てかけてあった炎神を手に取り、雪月に言う。
「じゃぁ、今から裁判を始める」
凜とした声が、万事屋の中を響いた。
***** ***** *****
10分後、風魔が昴、春夜、希実の3人を抱えて万事屋に戻ってきた。
「痛いタイタイタイタイタイ。ちょ、髪が髪が髪が!」
昴がどういう訳か、風魔に髪の毛を掴まれていた。
訳を聞くと、この3人に攻撃を仕掛けられた風魔は、無理矢理この3人を連れてきたのだとか。
特に昴は、風魔に対して警戒心剥き出しだった為、こうして無理矢理髪の毛を掴んで帰って来たのだ。
何をしているんだ、昴。
「イッタぁ……。抜けるかと思った……」
「よう昴。うちの忍びは優秀でしょ?」
床に下ろされた昴は、声が降ってきた方向を見上げる。
そこに居たのは、鎌を担いだ翔だった。何か、これから『死神の仕事しますよー』っていう感じの。
あ、ヤベ。睨まれた。
「お前の命令か! 希実ちゃん、こいつ殺っちゃって!」
「副隊長。この方は悪い事など考えておりません。ほら、あちらをご覧ください」
希実の白魚のような指が、部屋の隅を示す。
白髪を揺らしてほほ笑んでいた、雪月の姿が昴の目に映った。
「雪月ちゃん! 一体どうしたの?」
「えへへ、ちょっと……」
そんな和んだ2人に、翔の冷たい声がかかった。
「雪月。これより、裁判を始める」
「ハイ」
昴の前をすり抜け、雪月は翔の前に立つ。
何が何だか状況を理解出来ない昴は、雪月に問いかけた。
「な、に? 裁判って何だよ。ねぇ、雪月ちゃん!!」
「言った通りだよ。私、これから死ぬの」
昴の方を向き、ほほ笑む雪月。今までで見た事のない、最高の笑顔だった。
「昴君。私ね、君と居て幸せだったよ。でもね、苦しんで死ぬのは嫌なの。君が苦しんでいるのも見たくないの。だからね、死ぬの」
「嫌だよ、俺。お前が死ぬのなんて、考えられないよ!!」
昴の悲痛な叫び声が、全員の鼓膜を震わせた。
奥で鶴姫の泣く声が、慶次が息を飲む声が、幸村が唖然とする声が聞こえたが、今の昴の耳には届いていない。
雪月はそんな昴に近付いて、優しく抱きしめた。
「昴君。私は消えちゃうのが嫌。でも、君は覚えていてね? 私、君の事が好きだったんだから」
その優しい声が心を震わせ、涙をあふれさせた。一気に万事屋の中が感動ドラマのステージ。
雪月は昴の腕から離れ、そして「バイバイ」と言うように手を振った。
「白野雪月。色落ち病患者、貴殿に一切の罪はなし。よって天国へ送ってやろう」
翔は炎神を振るい、天井に白いゲートを作った。
そこへ手を伸ばす雪月。
昴は、そんな雪月の名前を呼んだ。
「俺も、好きだった。絶対生まれ変われよ!」
「うん!! 今度は、健康に生まれてくるね」
お互い笑いあい、雪月は白いゲートへ吸い込まれていった。
シンとする万事屋。
「副隊長、大丈夫ですか? 苦しいんですか?」
希実は、今にも泣きそうな昴を見上げ首を傾げる。
「大丈夫だよ」と昴は返し、翔に笑いかけた。さっきのように、涙を流しながら。
「ありがと。最期に呼んでくれて」
「……ケッ。これだから人間って分からねぇ」
翔は面倒くさそうに頭を掻きまわし、大きな欠伸をした。
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