二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-無事完結
日時: 2011/06/02 18:32
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

初めましてー、ここでは本当に初めましてです。

ダメ作者の、山下愁です。


今回はですね。私の好きな銀魂と戦国BASARA3をごっちゃにした小説を書きたいと思います。

ハイ、注意!!


その1→キャラが完全崩壊。

その2→銀魂のストーリーを選び抜いてやりますから、ストーリーも崩壊。

その3→オリキャラが大暴走。

その4→何か……くそい。

その5→山下愁無理、神文読みたいな人は今すぐUターンをして、原作を読んでいてください。

その6→荒らし、誹謗中傷なコメは、強制的に無視します☆


……残った? 残りました?
では、残った人だけ、読んでください!!

ご訪問者 ありがとうございました!!
かにゅ様 野宮詩織様 ロン様 如月葵様 柚莉様 ああ様 ★ジャスタウェイ★様

お知らせ系列

オリキャラ募集>>24 募集終了!!
何のお話が好きですか? >>39

目次

登場人物>>01

プロローグ『何やかんやで、降ってきちゃったんだよなこれが』>>02

第1話『とりあえず、郷に入っては郷に従っとけ。大丈夫だから』
>>05 >>07 >>12 >>14 >>15

第2話『薬とかヤバいものあるけど、皆注意してね、街で海が見えるから』
>>16 >>17 >>18 >>19

第3話『機械? あれだろ、何か……うん。あれだよ』
>>20 >>21 >>22 >>23

第4話『ほくろに毛があると幸せになれるって本当ですか?』
>>27 >>31 >>32

第5話『下着泥棒って居るじゃん。あれって、何が楽しいの?』
>>33 >>38 >>44

第5.5話『怖い話って案外怖くないんだよ』
>>55 >>58 >>60 >>61

第6話『海の家に売っている焼きそばは、大体もっさりしている』
>>62 >>63 >>64

第6,5話『恋っていいよね』
>>68 >>71 >>72 >>73 >>74

第7話『記憶喪失に負けず、叩けば直る』
>>78 >>81 >>82 >>84

第8話『お花見は大体理性を飛ばしやすい』
>>100 >>101 >>108

第9話『忍者? うちにも居るでしょーが!』
>>111 >>112 >>113 >>114

第10話『紅桜ってさ、ある意味怖い桜だよね。だって赤いもん』
>>115 >>116 >>117 >>118 >>119 >>120 >>121 >>122

第11話『動物は最期まで大切にしてあげなさい』
>>125 >>126 >>127 >>128

第12話『ロボットは怖い、バグが怖い』
>>131 >>132 >>137 >>139 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147

第13話『雨は必ず上がる』
>>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155

第14話『鎖で縛られて喜ぶのはただのM』
>>157 >>158 >>159 >>160 >>161 >>163

第15話『夢の中が自分で彩れたら最高じゃね?』
>>164 >>165 >>166

第16話『空を見上げて歩こうか』
>>167 >>168 >>169 >>170

エピローグ『炎神暴君☆リシタニア』
>>171 >>172 >>173

あとがき>>174


質問大会

東翔>>51
椎名昴>>54
山本雫>>59
篠宮優奈>>65
月読怜悟>>95
王良空華>>156
スカイ・エルクラシス>>162

作者の裏設定情報ー☆
その1>>75

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Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.60 )
日時: 2011/03/24 18:34
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第5,5話 怖い話って案外怖くないんだよ。


 屯所の一室にて、怖い話は続行。
 現在、凜がこの辺りで起きた(であろう)怖い話を語っている。
 本当の事を言うと、幽霊の見える翔は怖い話なんて信じていない。むしろ、魂とかを狩ったりするので慣れているのだ。
 まぁその事は話さないでおこう、と思った翔である。

「——とまぁ、ここで話は終わりな訳なんだけど。大丈夫かしら、そこの女の子は」

 凜が指した先に居たのは、頭を抱え込んで震える鶴姫の姿だった。
 巫女である彼女が、何故こんな話を怖がるのだろうか。まぁ、女の子だからであろう。

「う、うぅぅ……。皆様は階段とか話してくれなかったから……」

「字が違う。怪談な?」

 怖がる鶴姫に1発叩きいれ、翔はため息をつく。

「怖くなかったかしら、女装死神さんは」

「俺が怖がるものは船だけだ!」

 偉そうに言う事じゃないと思うのだが。
 まぁ、そこはどうでもいいとして。翔はふと、障子の方を見やった。
 すでに日は落ち、辺りは暗い。どれほど時間が経ったのかも分からない。

「おいお前ら、そろそろ帰るぞ。銀時に怒られる」

「怒られるのだけは勘弁してほしいなァ。新八の正座で説教1時間は足と腰と耳と腹にこたえるぞ」

 家康が苦い表情を浮かべながら、床から立ち上がった。
 次の瞬間————


 ヒヒヒヒヒヒヒィィィ。


 魔女の様な笑い声が、障子の向こうから聞こえてきた。
 ゾクリとした物が一気に背中を這いあがり、周りの空気を凍りつかせる。
 ヤバい気がする。何か、とてつもなくヤバい気がする。
 他の皆がそう思っているのに、翔だけは冷静だった。静かに障子の向こうを凝視し、炎神を抜く。

「お前らは一体何しに来たんだ?」

 静かに、冷たい声で空に問う。
 誰もが『何をしているんだこいつは』と思ったが、真剣な表情だった為、何も言わなかった。
 すると、返って来るはずのないところから、返答が来た。

 ————1人は寂しいんだよォ。

 どこか悲しげな雰囲気を感じさせる声。10歳ぐらいの少年の声だ。
 炎神が蝋燭の火のように燃え上がり、部屋中を明るくする。

「姿を現せ。俺が許す」

 そう言葉を吐くと、ストン——と音がした。
 春夜と燐菜の間。ぼう、と輝く白い少年が立っている。怯えた瞳で、翔をじっと見つめていた。

「怪談なんてくだらないイベントなんかをやってるからだ。変な霊が憑いてきたやがった」

 瞳で『何て面倒な事をしやがるんだよ』と語りながら、翔は土方を睨みつける。
 燐菜は可哀想に思ったのか、少年に手を伸ばした。

「大丈夫だよ、怖くないよ?」

「あ、馬鹿! そいつに触ろうとするな!」

 翔がすぐさま燐菜と少年の間に割って入り、少年に炎神を突き付けた。
 怯えたように飛び上がった少年は、部屋の隅でうずくまり始めた。

「……泣かせたな」

「泣かせちゃいけないでござる! 謝った方がよろしいかと」

「幽霊は泣かせてナンボだ。未練があろうとなかろうと、これ以上彷徨い続けたらあいつも悲しいだろう」

 炎神を振り上げ、少年を叩き切ろうとした瞬間——
 昴が少年の前に立ちはだかった。
 ピタリと昴の目の前で刃を止め、翔はどなる。

「邪魔だ、どけ!」

「どかないよ。だって、この子が可哀想じゃないか」

 昴は少年に手を伸ばして、優しく触れる。
 涙でぬれた瞳で昴を見上げ、首を傾げる少年。このような優しさに、慣れていなかったのだろう。
 翔は小さなため息をつくと、炎神を収めた。そして、全員に告げる。

「30分だ。30分経つまで、そいつを見逃しておいてやるよ。その間に未練を断ち切らせてあげるんだな」

 舌打ちをして、翔は畳にごろ寝をし始めた。
 燐菜が不貞寝をする翔の頭を、優しく撫で始める。

「何するんだよ、燐菜。お情けは死神には必要はない」

「優しいんだね、翔は」

 燐菜はほほ笑む。女神様の様な感じで。
 翔は燐菜の手を振り払い、部屋の隅に移動した。

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.61 )
日時: 2011/03/25 18:56
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第5,5話 怖い話って案外怖くないんだよ。


 と言う訳で、少年の未練を断ち切らせてあげる為に、皆は考えを巡らせていた。
 正確に言えば、少年の未練については本人から聞けた。案外容易い条件で良かったと思う。
 その未練とは——『プリンを食べる事』である。
 プリンについては、昴が神の速さで買ってきてくれたが、大問題が発生。それは、幽霊の少年に、どうやってプリンを食べさせるかという事だ。
 ちなみに、翔が言うには『幽霊の実体化は無理』という事である。

「だぁぁああ! 実体化が無理なんだから、もう未練なんて無理だろうが! お供えか? お供えればいいんか?!」

 昴は頭をかきむしりながら、天井を仰ぎ見て絶叫する。
 お供えするにしろ、少年がどこで死んだのかも分からない。家がどこなのかも分からない——と。
 もう絶体絶命。断崖絶壁。

「……あのよー」

 皆が考えている最中、翔が突然口をはさんだ。

「幽霊の実体化についてなんだがな、」

「出来るのか?!」

 慶次が翔にしがみついた。
 翔は慶次の手を振り払い、重そうに腰を上げる。

「実体化は『力と時間と素材が必要だから』無理だと言っただけだ。別に出来ない訳じゃ——」

 全員が翔にしがみついた。もちろん、少年も。
 暑苦しそうだなぁ、翔。可哀想に。

「素材って何が必要なんだ?! 教えてくれ、何でもする!」

 慶次が翔をガクガクと揺らし、嬉しそうに叫んだ。訂正、何か必死そう。
 翔は慶次を蹴りあげ、たった一言、告げた。

「全員、ミンチになる覚悟はあるか?」

「「「「「————ハイ?」」」」」

 聞き返したので、もう1度。

「全員、ミンチになる覚悟はあるのか?」

 時が止まった————。
 直後、空を貫くような絶叫が、屯所の1室から響いた。

「何で実体化如きでミンチになる覚悟をせにゃならん?! 教えれ!」

 昴が翔の胸倉をつかんで、涙目で叫んだ。

「現実を甘く見るんねぇよ。世の中ってのはそういうもんさ。何でも上手く行くと思ったら大間違いだぞ」

 昴の手を振り払い、翔は炎神を少年に突き付けた。
 ビク、と怯えたように震えあがる少年。余程怖いのだろう。

「術に失敗すれば全員ミンチ。即刻お陀仏だ。それでもいいのなら、素材を発表しようと思う」

 全員の思考→ミンチだけは勘弁。
 でも、ここでやらなければ、少年の未練は断ち切れない。ならば、命を賭しても立ちきってやろうではないか。

「やってやるよ! ミンチでも上等!」

「……言うじゃねぇか。よし、素材の発表だ」

***** ***** *****

 素材とは、刀が1本。マヨネーズ。プリン。蝋燭。金属のアクセサリー。以上だった。
 それらを地面に置き、真ん中に馬鹿でかい魔法陣を描く。
 中央にプリンと少年を配置し、準備は完了。

「始めるぞ」

 翔の短い言葉で、その場に居る全員は目を閉じた。


『闇を駆けるは鴉。光を駆けるは梟————万物を今此処に、蘇らせよ』


 どこかの言葉だか分からない言語で、翔は唱えた。
 光が魔法陣から生まれ、少年を包みこんでいく。やがて、収まった時には実体化された少年が倒れていた。

「成功だぁ!!!」

 真っ先に嬉しがったのは、昴だった。少年を抱き起こし、歓喜の声を上げる。
 周りがうるさいので、少年はぼんやりと目覚めた。
 術は成功。未練を断ち切る事が出来るだろう。

「おい、そこ」

「は、ハイ?!」

 翔に名前を呼ばれ、少年は驚いた様に立ち上がる。

「早くプリンを食べろ。この術は違法でな、見つかるとヤバいんだ」

 それを先に言え。
 少年はプリンを掻きこむように食べ、未練をあっさり断ち切った。
 何か、翔が言うには幽霊が生き返るのは違法であり、その違法を使った死神は罰せられてしまうのだと言う。
 だから術は難しかったのか、納得。

「よし、食ったな。じゃ、空へ還れ!」

 炎神を振るい、少年を天へと導く翔。
 辺りが昼間のように明るくなり、空が割れる。1つの虹色の球体が、光を昇って行った。

「あの子、次は幸せに生まれてくると良いな」

 夜に戻った瞬間、燐菜が空を見上げながらつぶやいた。
 隣で聞いていた翔は、フイと視線をそらし、皆に『帰るぞ』と言った。

 少し悲しく思った、そんなある日。

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.62 )
日時: 2011/03/26 16:48
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第6話 海の家で売っている焼きそばは、大体もっさりしている。


 夏である。蝉時雨が鳴り響き、うだるような暑さが体を包み込む。
 ちなみに万事屋銀ちゃん、エアコンという代物が存在しない。存在するのはゴリゴリ君だけである。
 翔は着ている死神装束の袖をまくり、長い黒髪をポニーテールにして、天井を向きながらゴリゴリ君を頬張っていた。

「……おーたに」

 最早暑過ぎて喋る言葉もひらがなになりつつある翔は、吉継の名を呼んだ。
 へろへろの声で「何だ」と返ってきた。

「今、何度だ」

「……おそらく、36度」

 フラフラになっている吉継は、フローリングにべったりと張り付きながら答えた。
 翔は「そうか」と短く返事をして、また黙る。
 直後、絶叫。


「あっっっっっちぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!!!」


 死神装束を脱ぎ捨て、下に穿いているズボンだけになると、翔は団扇でバタバタと自分に風を送る。
 団扇で作る風なんか涼を取るには足らない代物である。扇風機は熱中症になりつつある鶴姫とお市が、今は独占中だった。

「何で夏はこんなにも暑いんだよ! 汗が止まらねぇ!」

「いいじゃねぇか、夏は男のロマンだか何だかと言うだろうが!」

 上半身裸でしゃきしゃきと動く元親は、何故だか幸村よりも暑苦しく思えてきた。
 ……あ、ヤバイ。ゴリゴリ君が戻りそう。

「暑いしやってらんねぇよ。乳首透け太郎が!」

「透けてない! まだ!」

「まだかよ、まだかよ?! 透けてないと言え、ちゃんと!」

 完璧にボケる元親に、新八並みの電光石火のツッコミをする翔。疲れたのか、ソファの上にへたりと力なく座り込んだ。

「くっそー、三成自然エアコンは持って30秒だもんなー」

「誰が貴様のエアコンだ」

 フローリングで家康の仲良く張り付いていた三成は、身を起して翔に抗議をした。
 ちなみに、三成は冷え性と言う設定である。だから自然エアコンな訳であるが、この暑さだと30秒も持たない気がする。

「うるせぇな。冷たい野郎が、エアコンになれ!」

 翔は無理難題すぎる命令を、三成に向けて言い放った。
 この命令に呆れたのか、三成はそっぽを向いてため息をついた。思考→何、こいつ。
 その時だ。

「翔ちゃぁぁぁあああん!!」

 ドアをぶち破って入ってきたのは、雫と神楽の2人である。
 翔は思わず飛び起きてしまった。

「何だよ何だよ?! つかお前、今月でドア何枚壊した?!」

「それより、これ見て!」

 雫は1枚の新聞を、翔に見せた。
 ドアをブチ破ってそんな事扱いされた翔は、少し機嫌を悪くしながら新聞を見る。
 見出しは『海に謎のエイリアン発生?!』と書かれていた。

「で? 謎のエイリアンが海に出たと」

「それでね、エイリアンを倒したら賞金がもらえるんだよ!」

 雫が嬉々として語る。
 賞金————その言葉で、翔の中にある謎のスイッチが入った。
 ソファから立ち上がり、武将達が屍と化している部屋の襖を思い切り開き、こう叫んだ。

「海でエイリアンを釣るぞ!!」

 と言う訳で、万事屋銀ちゃんの夏はエイリアン1本釣りに決定した。

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.63 )
日時: 2011/03/27 11:06
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第6話 海の家で売っている焼きそばは、大体もっさりしている。


 蜃気楼が見えそうな程に暑いコンクリート道路。その上を、ぞろぞろと団体様が歩いていた。
 銀髪、黒髪、赤髪、茶髪、青髪——全員万事屋メンバー+αである。

「おーい、海はまだか」

 銀時は額の汗を拭い、上に浮いている吉継に声をかけた。
 返ってきた答えは「まだ」だった。どうやら、歩いて海は相当きついらしい。

「昴めぇ、連れて行ってくれりゃぁいいのによ」

 雫が恨めしそうに、昴の名前を口にする。
 昴は光の速さで走る事が出来るので、海に行くなんて3秒あれば出来るのだ。
 しかし、当本人は真選組の仕事がある。今日は非番じゃないらしく、しかも仕事が山ほど溜まって大変なんだとか。
 何か沖田がサボりにサボりまくって仕事を溜め、それを部下が一生懸命消費しないと減給になるらしい。それだけは免れたい為、昴と春夜は仕事を片付けていると言う事だった。

「仕方ねぇだろうが。あいつにだって仕事はあるってもんだ」

 暑い、とつぶやいて、翔は手で風を作りながら歩く。

「死神のくせに体力ないですねぇ。私は平気ですけど」

 ルンルン気分で歩く金髪、ミウは翔を嘲笑いながら言葉を紡ぐ。
 彼女、馬鹿だから暑さを感じないのだろう。後ろに居るシノは、暑さにやられてばてている。

「じゃぁ、その辺の植物に訊いて、海まで何キロか吐かせろ」

 暑さで口調が乱暴になっている翔は、ミウに命令した。
 言い方が気に食わなかったのか、ミウは渋々翔の命令に従う。近くにあった雑草に声をかけた。

「……後、海まで3キロぐらいです☆」

「その星がうぜぇ。消えろ」

「あ、見て!」

 妙が向こうを指して、嬉々とした声を上げる。
 視界に広がっていたのは、青々とした海。キラキラと輝き、空にはカモメが飛んでいる。
 やっと着いたのだ。海に————!

***** ***** *****

 海の近くに建つ、海の家。そこに居たのは、白髪をリーゼントにしたおっさんだった。
 両手に焼きそばを作る為のへらを握り、おっさんは翔達に問う。

「え、何? 君ら、本当にえいりあんを退治してくれるの?」

 何か、意外そうな声だった。本当に来ちゃったよこいつら、みたいな声。
 嫌な予感がして、翔はおっさんに問いただす。

「俺らは、お前がえいりあんを退治したら賞金をくれるっていうから来たんだ。まさかとは思うが、賞金は用意されていないな?」

「うん。だって、あれ酒の席で言っちゃっただけだし」

 よし。こいつは半殺しだ。
 翔は、後ろに居る全員にアイコンタクトで知らせた。
 全員は内容を理解してくれたらしく、武将達なんかは武器を装備した。
 自分の命が危ない、とでも察したか。おっさんは今まさに攻撃をしようとしている皆にストップをかける。

「待って待って。賞金じゃないが、代わりの物を用意するよ!」

「どうせお前はこんなもっさりした焼きそばしか作れないんだろうが、ハイ言ってみろヨ。もっさり〜」

 売り物である焼きそばを口に含めながら、神楽はおっさんに言った。

「代わりの物ならあるから! だから、ちゃんとえいりあんを退治してくれよな!」

 おっさんはそう言って、店の奥に入って行った。
 そして取り出して来た物、それは————。

「これ、は……。海の侍?」

 Tシャツだった……。

Re: 炎神暴君★リシタニア-銀魂×戦国BASARA-質問大会中 ( No.64 )
日時: 2011/03/28 13:13
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第6話 海の家で売っている焼きそばは、大体もっさりしている。


 男性陣は、浜辺で体育座りをしながら遠くの海を眺めていた。もう目が死んでいる。
 ゴリゴリ君を1番早く食べ終わった翔は、棒をがじがじと噛みながら海に磔刑されているおっさんに目を向ける。

「おーい、君達。こんな事をしていていいと思っているのかー」

 おっさんは自分を解放するように男性陣に言うが、そんなの聞く気なし。
 というか、翔が三成に命令して「木端微塵にして魚のえさにしよう」と言いだした。
 三成は珍しくその意見に賛成して、自分の武器である刀を手に持った。流石に銀時に止められたが。

「おっさんよォ、金払う気ねぇならそう言ってくれれば半殺しで済んだのによ」

 翔は口にくわえていた棒を手に持ち替え、おっさんに向かって投げつけた。
 スコンッと軽い音がして、おっさんの顔にジャストヒット。得点10点入りまーす←

「……それにしてもよ」

 銀時は小さく、そして力なくつぶやいた。
 視線の先に居るのは、水着に身を包んだ女性陣。水辺で楽しそうに遊んでいる。ただし、銀時の隣に居る神楽は例外である。

「何でこうも女性陣はスタイル良い奴が勢ぞろいしてるんだ?」

「おい銀時、孫市をエロい目で見るな」

 慶次が銀時に向かって叫んだ。
 見てねぇよ、と銀時は慶次の言葉を軽く流す。

「暑いなー、すんごい暑い。俺、泳いでくる」

 翔は浜辺から立ち上がり、死神装束を脱ぎ捨て華麗に海へダイブした。
 俺も行く、と後から政宗と元親が駆けだしてダイブする。いつの間にかえいりあん退治なんていう仕事も忘れ、海水浴を楽しむ一同。

「あれ、大丈夫なのか?」

「大丈夫じゃないでしょ。えいりあんっていう謎の物体を倒しに来たのに、別の目的が出来上がったよ」

 佐助が呆れたように言った瞬間、幸村が「お館様あぁぁああ!!」と雄叫びながら海へと飛び込んで行った。
 馬鹿の人数が増えたのか、4人で誰が1番速く泳げるかを競おうと話している。
 何か、こっちが疲れてきた。

「あ。あれ、何スかね」

 新八が唐突に声を上げ、海の向こうを指差す。
 海からは、鮫みたいなひれが飛び出していた。岩のような感じもしたが、どこか違う。
 ……えいりあん?!

「お、お前ら! 後ろ、後ろ!」

「政宗様、後ろです!」

 銀時と小十郎が水泳対決を始めようとする馬鹿4人に叫ぶ。
 翔が面倒くさそうに後ろを振り向いた、その瞬間。
 えいりあんが磔刑にしたおっさんをくわえて、こっちに向かって飛び上がってきた。

「「「「ああああぁあぁああああぁぁぁぁあ?!!!」」」」

 急いでクロールで浜辺まで逃げる4人。
 浜辺、そして全員の前で膝をつく姿はとても疲れているようだった。

「し、し、死ぬかと思ったぜ」

 元親が青い顔で、声を震わせながら言う。
 翔、政宗、幸村はその言葉に無言の賛成をした。
 えいりあんは4人が浜辺に行ってしまった為か、今度は女性陣を狙おうと泳ぎ出した。おっさんをくわえたまま。

「お前ら、危ねぇ!!」

 翔が叫んだのが聞こえたのか、雫はえいりあんの方向を見やった。
 全員の表情が、見る間に青く染まって行く。

「うわあぁあああ?!」

 絶体絶命かと思ったら、銀影が通りすぎた。
 もちろん、その影はシノである。手にはきちんと、武器であるフープが握られていた。

「飛んで行けわりゃあぁぁああああ!!!!」

 フープを振り、えいりあんをかっ飛ばすシノ。
 が、あまり飛ばないと言う予想外な出来事が起きたので、シノはもう1発えいりあんに叩きこもうと沖へ向かって行った。
 その時だ。海から人が出てきて、えいりあんの前に立ちはだかった。
 雫よりか濃い海のような青く長い髪。深海色の双眸が、シノを睨みつけている女の子だった。

「危ないよ。その子、退治しなきゃならないから」

「……ダメ」

 女の子は、シノの言葉に首を横に振る。
 じゃぁ無理矢理通ろうと思い、シノは女の子を振り切ろうとしたら今度はミウに止められた。

「ミウ?! もう、一体何なの?!」

「その子、危なくないですよ!」

「ハイ?」

 ミウの言葉に、シノは危うくフープを落としかけた。
 女の子は静かにうなずくと、えいりあんを愛でるように撫でまわす。
 気持ちよさそうに目を細めるえいりあんは、まるで子犬のようだった。

「遊びたかっただけみたいです」

 やっと納得した。この子は、優しいエイリアンなんだな、と。

***** ***** *****

 執務中の昴と春夜の前に、雫に良く似た女の子が現れた。
 何故この子が真選組に来たか、それは女の子が新しく入る真選組のメンバーだからである。場所はちゃんと翔に教えてもらった。

「えーと……。君、誰?」

 昴はペンで指しながら、女の子に問いかけた。

「……青龍希実です。今日から、真選組でお世話になります」

「……女の子が入るなんて思わなかったぜィ」

 春夜は苦笑を浮かべながらつぶやいた。
 何故だか、昴の身に疲れが落ちてきた。きっと、仕事で疲れたのだろう。
 そんな彼らの元に、1枚の新聞が落ちた。見出しはこう。

『大繁盛! 海の家のえいりあん!!』


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