二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【銀魂】 小さな勇気 オリキャラあと一人。
- 日時: 2011/07/31 04:33
- 名前: 甘夏 ◆/jSdQ8DCuQ (ID: z9uqPrLL)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
初めまして、もしくはこんにちは!甘夏です。
題名やイメソンは何となくで決めてるんでもしかしたらちょくちょく変わるかも…?
あ、基本原作キャラあんまり出ないです。
キャラ達の台詞やらに少し出てくるくらいでそのほかは全然…
すいません。
*るーる&お詫び…?*
・荒らし、チェーンメ—ルやめてください
・荒らしはスルーでお願いします
・中傷コメントもやめてください
・オリキャラ、キャラ崩壊が嫌いな人は回覧を控えてください
・何か妙に自作のオリキャラ多いです…。ごめんなさい。
・オリキャラ、今出ていないのも含めると…十八人ほど居るんですね。
いくらなんでも多すぎですね…御免なさい。今出ていないのは四人ですね。
以上のるーるを守れて私の小説を読んでくれるという神様!大歓迎です!!
*オリキャラ*
杉田沙羅_>>1
蓮見椿_>>5
蓮見桜空_>>5
宝ノ木弥鈴_>>6
藍川麗心_>>7
神埼司_>>8
琴乃美雨_夜桜さま_>>34
罪木獄_ヴィオラさま_>>38
水龍希実_☆ジャスタウェイ☆さま_>>39
*お客様*
悪魔ビビさん・星兎さん(元ミニ)・夜桜さん
ヴィオラ様・☆ジャスタウェイ☆さん
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- Re: 【銀魂】 小さな勇気 ( No.24 )
- 日時: 2011/04/04 18:49
- 名前: 甘夏 ◆/jSdQ8DCuQ (ID: y6qXd1yG)
- 参照: 銀魂三十九巻&3Zリターンズ買いました!アニメ本当に復活して良かった
あげ。
- Re: 【銀魂】 小さな勇気 ( No.25 )
- 日時: 2011/04/12 19:50
- 名前: 甘夏 ◆/jSdQ8DCuQ (ID: L4PKWHqz)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=ycccEnlJz3Q
「あ、リンゴだ。買おうかな〜?」
「は、莫迦椿。リンゴなんて腐るほど、いや事実腐ってるけどあるでしょ。」
「そう言う桜空こそ、何さその山盛りのチョコは。」
「糖分は世界を救うんだよ、椿にはそれが分からないの?」
「分かりたくねいね。てか、どっかの糖分王みたいなこと言わないでよ。」
「うるさい。じゃあさ、わたしチョコ戻して来るから椿も戻してきてくれない。」
「うぐっ…」
「ふん、レジ行くよ。」
うちは蓮見 椿、好きなものはリンゴです。
うちらは今大江戸スーパーに居る。見回り中だけどお使いを頼まれていて。
さっきから言い争っているのは双子の妹の桜空。さくらそらじゃなく、さくらだ。
双子の妹なのに、うちとは10cmほど身長差がある。
それなのに、精神的にはうちより大人っぽい。
さっきだって、うちが大好きなリンゴを買おうかなって言っただけなのにまだあるからって止めたし。
「何立ち止まってんの?抜かすよ。」
「抜かすな!行けばいいんでしょ、行けば。」
「その通り。」
平日の夕方とあって夕飯の買い物に来た主婦が多く、スーパーは賑わっている。
「次のお客様どうぞ。」
「あ、はい」
自分の順番が来た、買うものはリンゴ様と桜空のチョコ、あと沙羅に頼まれて買ったとろろ昆布。
「椿ィ遅〜い!」
「だったら自分で行けばよかったじゃんか、人多かったんだよ!」
「んじゃ、万事屋へGO!」
「無視すんな。」
______________
大江戸スーパーから万事屋までの約14分、うちはリンゴを丸かじりしていた。桜空はチョコ。
もうすぐで着くって時に不意に声をかけられる。
「あれ?椿、桜空、何でこんな所に?」
「あ、リンゴアル!私にも頂戴ヨ」
「さ、沙羅!神楽!…と、糖尿天パー」
「大江戸スーパーで買い物してたの!沙羅達は何で此処に?仕事?」
「ん、新八の家から戻ってきた所。」
「ふ〜ん。あ、とろろ昆布買ってきたよ、ハイ。」
「ありがと。」
「へぇ、新八の家?弥鈴は?」
「姉御が電話する前に来て、今は新八と2人っきりネ」
「へぇ〜!早くくっつかないのかな、あの2人。」
話すたびに赤くなっりさ、見てるこっちも赤面だよ。
「ね、神楽この後ヒマ?一緒に遊ぼう!?」
「暇アル!何して遊ぶアルか?」
「う〜ん、じゃあ人数集めて野球しよう!」
「はいヨ!沙羅、行ってくるアル!」
「怪我しないでね〜!頑張って。」
「うん、行こう神楽!」
…行っちゃった。この大量のリンゴ&チョコ一人で屯所まで持って行けっていうの!?
「大丈夫、代わりにあたしが持つ。」
「沙羅、何で思ったことが分かるの…」
「普通に顔で分かる。」
「そう…ありがとう。」
______________
「腕痛い…うぅっ…」
「買いすぎなんだよ、莫迦。」
な!莫迦って言われたぁ!でも、貶す感じの莫迦じゃなくて何か…優しい感じ?の。(分かるか!)
そこへ何故かすっごいごきげんな弥鈴が来る。
「あれ…?椿、お帰りなさい。…あの、沙羅さんは何故ここに?」
「あ、弥鈴!ただいま。」
「ふふ、またリンゴ買ったんですか?前に買ったのまだありますし…腐ってるのもあるのに。」
「だ、だって…」
「ま、お茶入れるので医務室に来て下さいな。」
______________
お茶を一口すする。
「…そういえば、何で弥鈴はそんなにご機嫌なの?」
「えぇっ!…わ、分かりますか?」
頬を赤らめて俯く弥鈴。
「「誰だって分かるわい!」」
あ、沙羅とセリフ被った。
「え…えぇ!?そ、そうなんですか…?と、言うことは…」
「驚きすぎだ。あ、言っとくけど絶対にあの眼鏡君は気付いてないよ?」
「そーそー。心配御無用。あたしが保証する。」
「は、はあ…というか、何で私が新八さんの事…す、好きだって分かったんです…?」
「「「誰だって分かるわい!」」」
あ、またセリフ被った。って、えぇ!?
「さ、桜空、いつの間に居たの?」
「最近影薄くなりましたね。」
「怒るぞコラァ!」
「私が言ったんじゃないです。麗心が言ってたんです。」
「問答無用じゃあ!!」
弥鈴と桜空が立ち上がる。
あ〜あ。また追いかけっこが始まるのか…
思わず溜息をつく。
桜空が影薄いと言われるのは、いつも気配を消しているから。それでも、沙羅や司さんや弥鈴は分かるけど。
「平気ですよ椿、いくら桜空何かだって学習能力ぐらいありますし。」
溜息をついたうちを見て、弥鈴が言う。
そーいや、いつも追いかけっこしていても桜空何かじゃ弥鈴には追いつけなくて、
それでも諦めずに走って倒れるか途中で隙を突かれて倒れるかだったからな…。
「桜空何かだってって何だ!」
「静かに、桜空。」
沙羅に言われてようやく口を閉じる。
「で、昆布買ってきてくれた?」
沙羅の好物は昆布だ。凄いペースで食べていくから二日に一度は買いに行く。
だけど、今日は何か仕事が入ったらしく代わりにうちらが買いに行ったのが…冒頭のシーンである。
「買ってきたさ。ハイ」
沙羅に手渡す。
「あんがと、……もう暗いし、銀時達が心配するかもしれないから帰るね。」
「あ、気を付けてくださいね。」
「またね〜沙羅。」
「さよならー!」
上から沙羅、弥鈴、桜空、うちだ。
いちほです。
- Re: 【銀魂】 小さな勇気 ( No.26 )
- 日時: 2011/04/15 16:37
- 名前: 甘夏 ◆/jSdQ8DCuQ (ID: pDyYudP2)
久しぶりに、あたしがまだ村に居た頃の夢を見た。
村とは、あたしの実家があった場所。大きな家に、父さん、母さん、龍兄、律兄、双子の弟の蔦とあたしが暮らしていた。
父さんはとても強くて、うちで小さな道場をやっていた。あたしの家族の中で一人だけ、黒眼黒髪だ。
母さんは美人で、強くて、そして優しい。うちの村に居た、どの女の人より肌が白くてきれいだった。
いつも紺色の番傘を日傘にして、時にはそれで戦った。
龍兄は龍河といって、父さんには一歩及ばないけどやっぱり強くて頼りになる、あたしの大好きで自慢のお兄ちゃんだった。
律兄は____良く覚えていない。あたしと蔦が十一歳の時、村を追放されたのだ。今生きているかどうかも分からない。
あたしはそれで良いと思っているし、もう二度と会う事も無いと思っているけどけど。
龍兄や父さん、母さんより、ほんの少しぐらいは長くいたのにぼんやりとしか見えなかった。
蔦は、あたしの双子の弟。いつも「姉さん、姉さん!」って、どこに行こうとしても必ず付いてきてくれて、ひそかに嬉しかったりした。
今は一緒に暮らしてないけど、二週間に一回ぐらい手紙が来る。
家族の説明は置いといて。
夢は、こんな風に始まった。
龍兄が目の前を歩いている。その前にはぼんやりとした律兄が居て、あたしの横には蔦。
ここは___真っ直ぐ玄関に通じる家の廊下だ。
「龍河兄さん、どこ行くの?」
蔦だ、声もちゃんと聞こえる。あたしが家を出たのは律兄が村を追放されてすぐだから…七年ほど前から、この声を一度も聞いてないのか。
「ね、お父さんのとこ?あたしも連れてって!」
「駄目だ、お前らにはまだ早い。」
これは…龍兄と律兄が父さんと母さんの居る道場に行こうとしている所かな?
「えーいつもそう言うじゃんか!見に行くぐらいいいでしょ?」
「そうだよ兄さん。いーい?」
「…どうする、律。」
「あ?俺はそれで良いけど。沙羅も蔦も、そろそろ剣道ぐらい出来るんじゃねぇの?」
「ッ!?…でも、」
「兄さんは過保護すぎんだよ。父さんも母さんもそろそろ良いんじゃないかって言ってただろ?」
「…分かったよ、行くぞ2人とも。」
「え、本当?本当に良いの?」
いつもは律兄も「お前らが道場に?駄目だ、邪魔になるからな。」って言って反対するけど、今日は何故か良いって言ってくれた。
「(変な律兄…)」
あの頃の自分は、まだ律兄があんな事をするなんて…考えてもいなかった。
道場に行く道中、(といっても、うちの敷地内にあるから二十秒ぐらいで着くけど)誰一人喋らなかった。
律兄は押し黙って下を向いて歩いていた。龍兄はまだ、「いや、でも…」とか「怪我なんてしたら大変だし…」とかぶつぶつ言っていたけど。
「あら、あんた達何よ、全員で来ちゃったの?戸締りしてきたかしら」
母さんがふわりと微笑んで言う。母さんのこの笑顔、大好きだった。
「ちゃんとしてきた。父さんは?」
律兄、さっきまでの様子は一切見せずに竹刀を担いで言う。
「あっちで和と雄斗に教えてるわ、少ししたらこっちに来るから。」
律兄は小さく頷くとその場に座る。龍兄もその隣に。
ちなみに、和と雄斗とは近所のお兄さんである。
「ねぇ、沙羅、蔦、お父さんに剣術教わりたい?」
「「うん!」」
「そう、お父さんは今忙しいからね。少しの間私と遊びましょ。」
母さんとの遊びは楽しい。母さんが紺の傘で撃った弾を、あたしと蔦が避けたり自分の番傘で受け止めたりして走り回る。
父さんは危ないからやめなさいって言ったけど。
「母さん…流れ弾が来て危ないんだけど。」
「あ、御免なさい龍河。ここが室内だってこと忘れてたわ。」
「屋外でも危ないかんな。」
「いーじゃん律兄ィ!皆避けてるし。」
「ちゃんと避けられてんのは俺と兄さんとお前ら2人、それに父さんと母さんぐらいだ!」
「他の奴らは避難したぞ。当たったら死ぬから。」
本当だ、辺りを見回すとあたしら家族しかいないや。
「華音(かのん)、その遊びはやめろって言っただろ?見ろ、俺たち以外いないじゃないか。」
「だって、沙羅と蔦、この遊び好きなんだもの。修行にもなるわ。」
「いや、そうだとしても万が一こいつ等が怪我をしたらどうする。」
「平気よ、この子たち皆タフだもの。あなたに似て。」
「こいつ等はそうだけども、他の奴らはどうだ。」
そう言って、竹刀だけが置いてある床を指す。
「だから、修行よ。もしもの時のためになるわ。」
「こんなハードな修業させるわけにはいかないだろ!乱射された弾をよけるってどんな時にそんな事があるんだ!」
父さんが悲鳴のように叫ぶ。それを聞くと、律兄は顔を伏せ、母さんは……
「…もうじきその時が来るわ。絶対に。」
悲しげに笑って言う。そしてほんの少し律兄の方を見る。
「ね?律____。」
律兄、小さく震える。
「どういうことなんだ?母さん。」
龍兄が聞く。
「じきに分かるわ。それまで、精一杯頑張って頂戴。」
また悲しげに笑い、「お夕飯の用意をするわね」と言い、静かに家へ帰って行った。
どういうことだか、昔のあたしも、蔦も、龍兄も、父さんも、まだ知らなかった。
この時点では、律兄の事情を知っているうちの家族は律兄本人と母さんだけだった。
どういうことなの?お兄ちゃん_____
- Re: 【銀魂】 小さな勇気 ( No.27 )
- 日時: 2011/04/15 18:20
- 名前: 甘夏 ◆/jSdQ8DCuQ (ID: pDyYudP2)
お母さんが出て言ってからしばらく経って、逃げだした子たちも帰って来た。
でも、あたし達はまださっきと同じ場所で立ち尽くしていた。
「…お父さん。」
「何だ?」
「あたし達にも剣術を教えて。お母さんの言ってた事良く分かんないけど、とにかく強くなりたい。」
「…そうか、だがお前は何のために強くなりたい?」
「うーん…もしもの時、自分の身ぐらいは自分で守りたいし、他の人も守りたいし。」
「僕も。」
「そうか、…来い。稽古を再開する。」
んで、めでたく?この日から稽古を始めたあたし達。
父さんの台詞が言い終わったか否の所で、一瞬視界が暗くなった。
そして、暗くなったと思ったらすぐに元に戻り__場所が変わっていた。
さっきまでいたのは昼間の、しかも兄さんも父さんもその生徒達もいる道場だったけど、
今居るのは家の目の前。隣にはぐったりした蔦が居て、あたしは真剣を握っていた。
家からは炎が上がっていて、中からは少し悲鳴が聞こえる。
(あぁ、あの時だ___。)
あの時の事は今でも鮮明に思い出せる。
確か……
あたし達が十一歳の時だった。
あの日の夜。あたしと蔦は、さっき敷いたばかりの布団の上で寝転がり、話をしていた。
「沙羅…蔦…居るか?」
「律…兄?どうしたの。」
いきなり、やつれた顔の律兄が入ってくる。腰にはなぜかお父さんの大事にしていた白い刀があった。
「その刀…」
蔦が「その刀どうしたの?」と聞こうとしたら、いきなりその刀をこっちに放る。
「ちょ…危ないじゃん!」
「逃げろ。」
「「…は?」」
二人同時に律兄に言う。逃げろって?
「いいから、これを持って出来るだけ遠くに逃げるんだ。あ、村からは出るなよ。」
「いや、何で?」
「事情を説明してる暇は無いんだ。早く!」
「う…うん。」
律兄のいつもと違う感じに押されて頷いてしまう。
「姉さん…」
「蔦、行くよ。出来るだけ遠くに」
「うん…。」
右手に蔦の手、左手に刀を握り部屋を出る。
蔦は不安げに後ろを振り返る。
「平気だよ、律兄が何言ってるか、何が起こるのかは分かんないけど、」
「言われた通りに逃げるのが一番先にするべきだという事は分かる?」
「そう、蔦も分かってるなら急いで。何か…ここは危険だ。」
「僕も分かる。何か…血の、匂いがする。」
いつもならすぐに着く玄関が、今日は遠く思えた。
靴をはいて外に出る。すると、ぶわっと熱風。
「うわっ…!」
「何だこの熱さ…!」
ふと後ろを振り返ると…
「ほ、炎!?」
「逃げてって…」
炎が家を包んでいる。律兄が逃げてって言ったのはこの事で?蔦もそう思ったに違いない。
あれ?何かおかしいぞ。
何で、家が燃えてるっているのに律兄はあんなに余裕そうな顔してたの?(やつれた感じの顔でもあったけど)
確かに、そこらへんの家よりうちはでかいから、あたし達の居る所にまで火が来るまでは時間があったのかもしれない。けど…
「ね、姉さん、母さん達は!?ここに居ないの?」
何か引っかかる……そうだ、血の匂い!
家が燃えたぐらいで血は出ないでしょ、逃げようとしたら転んで血が出ちゃったとかならあるかもしれないけど、うちの家族でそんなことする人いない。
それに、血の匂いがすると言っても微かにだ。はっきり分かるほどではなかった。
と、いうことは。その血を流している人、遠くに居るか、少し血が出てだけなのかってことになる。
「姉さん?聞いてるの。」
で、あの時家の中に居たのはあたし、蔦、律兄、龍兄、父さん、母さんだ。
あたしと蔦はここに居るから省いて、律兄も省く。
(だって、匂いを感じるすぐ前まで一緒に居たんだもん、何かあったらいくらあたしらでも分かる。)
残ったのは父さん、母さん、龍兄だ。
- Re: 【銀魂】 小さな勇気 ( No.28 )
- 日時: 2011/04/21 19:10
- 名前: 甘夏 ◆/jSdQ8DCuQ (ID: v5ICSeAa)
あれ?でも…。何か可笑しい。
昔の事を思い出すなんて悲しくなるから今までしなかったけど、何か可笑しいのだ。
記憶が、可笑しい。
蔦の声を聞き流しながら誰がどうなったかなんて考えてた所から、ぐったりした蔦と血の付いた真剣を握っている(血が付いてるのに、今気がついた)所までの記憶が無い。
何で、蔦はこうなってるの?
何で、いつの間にか預かった刀に血が付いてるの?
これは誰の血?…これ、あたしがやったの?
また考え込み始めた時、またさっきのように場所が変わった。
今度は、あの台詞スルーしながら考え込んでた所より、ちょっと後みたい。
あたしはもう考え込むのをやめて、一点を見つめている。
家の、玄関に人影が。それはこちらに近づいてくる。
(誰?こんなのあたし知らない。)
これは真実なの?真実を夢に見ているの?
それとも、途中から現実と非現実が混じっているの?分かんない。
「かあ…さん。なの?」
近づく影、それは母さんだった。
所々火傷を負っていて、服の一部が破けたり燃えたりしている。
大丈夫?そう声をかけようとするのを遮られる。
「私は大丈夫よ、あなた達は?」
・・
私は…?
「あたし達も大丈夫。それより、他の皆は?」
「う…ん。龍河は怪我は軽いけど動けないみたい。お父さんは___大丈夫。だから、」
「律兄は!?律兄、あたし達に逃げてって言ってそのまま居なくなっちゃったの。」
「ッ!?……そうなの。」
少し驚いて言う。 何で?
「ね、沙羅。」
一言言ってから、母さんは手にしていた番傘を傍らに置き、しゃがみ込み、あたしと目線を合わせる。
「あなたはきっと気が付いているんでしょうね、これが誰の仕業なのか。何のためにやったのか。そして、その人物は今どこに居るのかを。」
「かあ…さん?何言ってるの。あたしそんな事…」
「知らない。」そう言おうとしたら母さんが静かに手であたしの口をふさぐ。
「知らなく何か無いわ。あなたは全部知っている。この事件の真相も、この後の結末も、__自分の正体も。」
「あたしの、正体?」
「そう。今は、分かっていてもそれを心で否定してる。だから分からないって思うの。」
『だから、真実から目をそらさないで。
正気になったら、絶対分かるから。
それまで、逃げて頂戴。あなた達位逃がさなくちゃ、あたし、逝けないじゃないの。』
そう言って、番傘を手に取り、家の方へ消えてしまった。
止める事も出来なかった。
でも、火に飲み込まれる少し前に母さんはこっちを振り返って確かにこう言った。
『思い出して、沙羅。』
その瞳は、小さいあたしではなく、少し後ろに離れた場所からなすすべなく見ていた母さんには見えるはずの無い、あたしを見ていた。
(…え?えぇっ!?あたし?あたしなの?)
はたして、これは真実なのだろうか。これは、きっと今生きている誰にも分からないであろう。
(正気になってって…あたし十分正気だけど、そんなの全然分かりませんが。)
普通と狂ってるってどう違うんだろう。
あたしは普通何だろうか。少なくとも、村に居た頃よりは変わってるけど、それを狂ってるなんて言わない、ただの成長。
(人を斬るようになったのを、成長と言うのかね…。)
一瞬脳裏をよぎる言葉。司さんが、攘夷戦争の時に零した言葉。
いやだ、思い出したくない。これ以上考えてたら嫌になっちゃう。
(嫌になっちゃうって、何が?)
「自分…自身かな?」
自問自答する。
夢とは全然関係ない事を考え現実逃避していたら、悲鳴が聞こえた。
「ああああぁぁぁぁぁ!!!!」
「な、何事!?」
思わず飛び起きる。何なんだようるさいな!
「それ私のチョコォ!!何で麗心が食べてんの!!」
「あ、そうだったん?知らんかったわ。」
「くたばれェェェェェ!!」
「うわ、ちょっと!まっ……」
麗心の悲鳴。どうやら桜空のチョコを麗心が食べて口論になり、思いっきり蹴られたようだ。
「あれ…?沙羅さん、おはようございます。」
「あ、おはよ…何で居んの?」
言っておくが、ここは万事屋である。真選組屯所に住むこいつ等が居る訳無いのだ。
「あ、そうですよね。沙羅さん寝てたんですもんね。聞こえてるわけ無いですよね…。」
「ん?何がさ。」
「実はですね…」
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