二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

魔道戦士リリカルガンダムPhoenix
日時: 2011/04/13 20:30
名前: 泉 海斗 (ID: 1/l8DPvU)

   魔道戦士リリカルガンダムPhoenix①目覚める不死鳥
前書き
 勢いでもう一作リリなの×ガンダムシリーズ(種・運命・00)ネタで作ってしまいました。ご都合主義があったり、なるべくなくしたいですがキャラ崩壊などもあるかもしれません。そこのところはご了承願いつつ、楽しんでいただければ嬉しいです。それではよろしくお願いします。

登場人物紹介
・スザク・カンザキ・・・茶髪灼眼で容姿は上の上とかなりイケメン。性別は男で16歳の少年。魔力を持たないがMS(モビルスーツ)の『フェニックス』を持つ。管理局地上本部に所属するエリート。二つ名は『不死鳥』や『炎騎士』。
・レオーネ・フィルス・・・伝説の三提督の一人。
・ラルゴ・キール・・・伝説の三提督の一人。
・ミゼット・クローベル・・・伝説の三提督の一人。
・レジアス・ゲイズ・・・地上本部の総本部長。階級は少将。
・オーリス・ゲイズ・・・レジアスの娘で秘書。
・ゼスト・グランガイツ・・・地上本部都市防衛部隊『ゼスト隊』隊長。
・メガーヌ・アルピーノ・・・地上本部都市防衛部隊『ゼスト隊』隊員。
・ルーテシア・アルピーノ・・・メガーヌの娘。
・クイント・ナカジマ・・・地上本部都市防衛部隊『ゼスト隊』隊員。
・ゲンヤ・ナカジマ・・・地上本部第108部隊部隊長。
・ギンガ・ナカジマ・・・ゲンヤとクイントの娘。
・スバル・ナカジマ・・・ゲンヤとクイントの娘。
・ティーダ・ランスター・・・本局都市航空部隊所属。エリート。
・ティアナ・ランスター・・・ティーダの妹。

登場MS(モビルスーツ)*管理局
・フェニックス・・・スザクの義両親がスザクのために作りだした最新悦の機体。PS装甲が施されているために実弾による攻撃は向こうとなるなど、耐性が強化されている。全身が真紅に輝いていて、背中にはスラスターがあり、4つの噴出口からは魔力でできている紅い二対四枚の大小2枚ずつの羽を作り出せる。全身装甲で頭部には金色の2本のアンテナがあり、目は金色。魔力総量はSランク相当。リンカーコアの代わりのGNコアによって動いている。
武装 高魔力ビームライフル(アルテミス)・・・普段は右手に装備されているが、納装するときは腰にマウントされる。
高出力ビームサーベル(バルムンク)・・・両肩の突起と腰にマウントされた計4本あり、それぞれ刀身を長短させることでサーベル、ダガー、ブーメランに使うことができる。
対艦刀(フェニックスカリバー)・・・西洋風の両刃剣であり刀身は黄金、装飾は紅蓮のものが多い。
アンチマギナシールド(イージス)・・・左腕に装備された紅色の盾で、表面にアンチマギナフィールドが付加されているために大抵の魔法による攻撃は防ぐことができる。

あとがき
 これからよろしくお願いします。

Page:1 2 3 4 5



Re: 魔道戦士リリカルガンダムPhoenix ( No.14 )
日時: 2011/04/21 20:20
名前: 泉 海斗 (ID: 1/l8DPvU)

 午後になり再びみんなで遊園地を楽しもうとした。しかしそんな平穏なところにそれを引き裂く音が響く・・・。
『ズガアァン!!』
「「きゃあぁぁぁ!!」」
 突然の銃声に人々は悲鳴を上げてそのほうへと眼を向ける。するとそこには一人の男が質量兵器の拳銃を片手に一人の女の子を人質にとっていたのだ。
「おい!!聞こえるかぁ!!」
 覆面を付けた男と思われるものが拳銃を女の子の米神につけつけながら叫ぶ。耳のそばで叫ばれたために女の子はびっくりして泣き始める。
「うわあぁぁぁん。怖いよ、お母さん!!お父さん!!」
「娘を放せ!!」
「放して!!」
 彼女の父親と母親と思われる男女が犯人に向かって叫ぶ。しかし犯人はそれを無視して身代金と逃走用の車を用意しろという。
 それを見ていた地上部隊の隊員であるゲンヤとクイントはすぐに行動に移す。ゲンヤはそっとその場から離れるとすぐに応援を頼むべく、携帯で連絡を入れ始め、クイントはリボルバーナックルをセットアップするとゆっくりと犯人の前に立つ。
「ギンガ・・・ちょっとスバルを頼むぞ」
「ふぇ??お兄ちゃんどうするの??」
「にーにぃ、行かないで・・・」
 突然ギンガとスバルに待っているようにといったスザク。いきなりのことにギンガは困惑し、スバルは寂しさの余り目に涙をためる。
「もうすぐお父さんが来るから一緒に待ってるんだぞ??」
 いつもの柔らかい物腰のしゃべり方ではなく、戦いに向かおうとしているものの、低い声だった。
 いつもの兄ではないと感じている二人の妹。
「でも、にーにぃはどうするの??」
「俺は今からあの子を助けに行く。母さんだけじゃ質量兵器は厳しいだろうから」
 いかに強いクイントだからといって生身の体では殺傷能力の高い質量兵器を食らえばただではすまない。
 しかしガンダムはどうだろうか・・・。普通のバリアジャケットよりも何倍もの耐性があり、更にPSシステムを搭載しているためにほとんどそういう攻撃は通用しないのだ。
 もうすぐ応援が来るだろうが、それまでに犯人が発砲すれば彼女の命が危ない。なんとか早急に終わらせなければいけないと思った。
 そのために、首からかけられているセイバーをつかむ。
「お兄ちゃん・・・死なないよね・・・」
「にーにぃ・・・」
 戦いには常に生死がまとわりつく。母親のクイント然り・・・父親のゲンヤ然り・・・そうして兄のスザク然りであった・・・。
「俺は死なない。ギンガとスバルを残しては・・・絶対に俺のように悲しい思いはさせたくないから・・・」
「お兄ちゃん??」
「にーにぃ・・・」
 スザクの悲痛な表情に困惑する二人。スザクは誓っていた。絶対に家族は守ると。だからこの場でクイントを死なせるわけには行かないし、更にミッドチルダを守ると決めていたために、この身に宿す剣を再び取り出そうとした。
 ゆっくりと二人を離れると同時にゲンヤがやってきた。スザクの背中から、今から戦いに出るのだろうということを感じていた。自分には魔力がない。そうしてスザクにも魔力が無い・・・。しかり彼にはガンダムがある。
 人を守る力があるのだ。ゲンヤは自分ができることはやったと思った。後は妻と息子が無事でいることを祈り、二人の娘を守るだけだと思った。
「フェニックス・・・セットアップ」
 ゆっくりと機械装甲が腕に、足に次々と装着されていく。人々はゆっくりと現れるその不思議な光景に眼を見開いていた。
 まるでアニメで見たロボットのような姿に変わっていくスザク。クイントと対峙していた犯人はスザクがクイントのとなりを通り越してこちらに向かってきたので拳銃をこちらに向けて脅しをかける。
「来るな!!来ると撃つぞ!!」
 次々と体が変わっていくキズナの姿を見て恐怖している犯人。次の瞬間には右腕に高魔力ビームライフルの『アルテミス』が現れる。腰には二本のビームサーベルである『バルムンク』が現れ・・・肩には突起のある角が現れる。
「貴様・・・何をしてしまったのか、分かっているのか??」
 そこから搾り出すようなどすの聞いた声・・・。犯人は完全に恐怖していた。まるでピンチのところに現れたヒーローのように見えるからだ。
「来るな・・・」
 それでも歩みを止めない・・・。
「覚悟はできているだろうな・・・」
 ガシャンとライフルを構える・・・。きらりと光るそれが感じさせる悪寒。
「来るなぁ・・・」
 がたがたと震える犯人・・・。もはやいつ発砲されるか分からないものだ。
「スザク・カンザキ・・・」
 ゆっくりと体が機械装甲に包まれていく。
「フェニックスガンダム・・・」
「あぅ・・・ぁぁ」
 犯人はギロリとにらみつけるスザクの・・・そのらんらんとした猛獣のような目にすっかりおびえていた。
「目標を駆逐する!!」
「くるなあぁぁぁぁぁ!!」
『ガァン!!』
 最後の言葉を言うと犯人もとうとう恐怖がマックスとなり、拳銃を発砲した。
『ガァン!!』
 それも一発ではなく何発も・・・。心臓に・・・額に・・・。最も死傷率が高い部分めがけて・・・。
『きゃあぁぁぁ!!』
 人々はスザクが打たれたことでふたたび恐怖の声を上げる。
「スザク!!」
 クイントは息子が撃たれた事に恐怖し叫ぶ。
「お兄ちゃん!!」
「にーにぃ!!」
「スザク!!」
 ギンガ、スバルは兄が殺されたと錯覚してしまい、叫ぶと同時にぐったりと気絶してしまった。ゲンヤも慌てて二人を抱きとめる。そうして打たれた傷あのほうを見るとカチカチともはや全弾撃ってしまい、もはや手段がなくなってしまった犯人がいた。
 そうして煙が出ていたがぽとぽとと薬莢だけが刹那の足元に落ちた。発砲された瞬間すでに全身装甲を展開完了していたのだ。
 背中には更に黄金とグレンに輝く両刃剣である『フェニックスカリバー』と左腕には盾である『イージス』、更に二つ名を象徴するかのような二対4枚の炎が燃え滾る翼・・・。
 なんとか敵の攻撃手段をなくすためにあえて芝居を打っていたのだ。
「俺が・・・ガンダムだ!!」
 そう叫ぶと一気に瞬間加速をして犯人をビームで吹き飛ばし、少女を助け出した。ふらふらとしていた犯人だが、すぐにクイントが走り、バインドでぐるぐる巻きにしてしまった。
 なんとかひやひやとしたものだったが、事件は解決したのだった。


あとがき
 感想待ってます。

Re: 魔道戦士リリカルガンダムPhoenix ( No.15 )
日時: 2011/04/22 12:46
名前: 泉 海斗 (ID: 1/l8DPvU)

『ゴチン!!』
 ものすごい音とともに、鉄建を食らったスザクの頭からはきらきらと星が現れた。
「いって〜・・・。何すんだよ母さん!!」
『ゴチン!!』
 スザクの反論に対して言葉ではなく鉄拳で返す母親のクイント。現在自宅に帰宅してリビングにいるのだが、キズナは帰ってからすぐに両親に呼ばれてここに来ていた。
 ソファーに座るようにいわれ、ゆっくりと立ち上がった母親にいきなり殴られたのだ。反論してもそれだけなのでスザクには何がなんだか分からなかった。
 しかし明らかに二人は怒っているのが分かった。その怒りに触れさすまいと二人はギンガとスバルを二階の部屋においてきた。
「何で俺たちが怒っているか・・・分かっているだろうな??」
 父ゲンヤが言う。
「お前・・・どれだけ家族に心配かけたか分かっているのか??」
 分かっているつもりだ・・・。あの時は家族と人質になっていた女の子を守ることしか頭になかった。
 確かに今回は守ることはできたが、家族の心を守ることはできなかった・・・。むしろ自分で傷つけてしまったのだ。
 ギンガとスバルは起き上がると、スザクが無事であることを知るや否や泣き叫んで抱き着いてきた。
 こんなにも二人を心配させてしまったのかとチクリと胸が痛んだのを感じた。
「ごめん・・・」
 申し訳なさそうに言う。確かにあの時取った行動で皆は助かった。しかし二人は自分たちの息子が危険にさらされることがいやだった。
 確かにスザクは周りの人と比べて飛びぬけて天才であった。しかしそれは元からそうであったわけではなく、誰にも見られていないところで必死に努力して手に入れたものだった。
 捨てられ、前の義理の両親に拾われてから、研究者である二人の傍らで必死に勉強していたのだろう。
 そうしてその家族を奪われ、再び天涯孤独になったとき、自分たちが手を差し伸べた。そのときから二度と家族を失いたくないということから自らを鍛え、更に魔法が使えないことを悲観せずに、使えないなら使えるようにすればいいと、その天才振りを発揮して見事にモビルスーツを作り上げた。
「撃たれたとき・・・どれだけ怖かったか・・・」
 涙するクイント。あの時息子が殺されたと思ったとき、怒りよりも恐怖が彼女の心を占めた。
 ようやく家族が一体となったばかりだというのにということだった。
「ギンガとスバルが気絶しちまったのはお前のせいだからな・・・スザク」
 そうだと思った・・・。今回最も心に傷を負ってしまったのはギンガとスバルだ。まだ幼い二人にとってキズナは大好きな兄である。
 その兄が目の前で殺されたとなれば一生物のトラウマになる。
「二人に・・・謝らなきゃ・・・」
「そうだな・・・」
 すっかりしゅんとなってしまったスザクであるが、反省しているようであった。そんな息子を見て、ゲンヤもクイントももういいだろうと思った。
「スザク・・・これだけは約束して・・・」
 クイントがキズナの手を優しく包み込みながら言う。
「絶対に私やゲンヤさんよりも先に死なないこと・・・」
 息子に先立たれることがどれだけ両親にとってつらいことか。それがたとえ血の繋がらない親子だとしても・・・、血の繋がりはただ証明するためのもののひとつでしかないのである。
 大切なのは絆であるという事を誰よりも強く感じていた。
「分かった・・・」
「必ずだからな・・・」
「うん・・・」
 その日・・・よりいっそう強い家族という絆が生まれた。

あとがき
 感想待ってます。

Re: 魔道戦士リリカルガンダムPhoenix ( No.16 )
日時: 2011/04/23 19:26
名前: 泉 海斗 (ID: 1/l8DPvU)

 スザクはあの日から数日たってから突然連絡が入ったためのその連絡してくれたものがいる場所へと急いでいた。
(シャッハのやつ・・・どうしたんだろう。やけに慌てていたみたいだけど)
 スザクが向かっているのはミッドチルダ郊外にある聖王教会であった。スザクはその宗教の心境者ではないが、そこにいる人たちとは知り合いであり、更に彼女たちからはモビルスーツを開発するに当たって色々と後ろ盾になって貰ったのだ。そのための個人的な繋がりがあった。
 彼女たちからの緊急の指令であるために無碍にするわけには行かなかった。
 背中の推進部からは金色を含んだ輝く紅蓮色の粒子を飛ばして加速する。真っ白な機体が太陽の光に包まれて輝いている。
 その姿を見る人々は思わず見ほれてしまうくらいに美しかった。そうしてしばらくして、ようやく聖王教会についた。
 門の近くにはピンク色のショートカットの女性がいた。スザクの連絡を入れてくれたシスター・シャッハことシャッハ・ヌエラだった。
 彼女の前にゆっくりと降り立つ。シャッハは目の前に現れた騎士の姿に一瞬見ほれてしまっていた。
「すまない、シャッハ。待ったか??」
「いえ、大丈夫です。それと騎士カリムがお待ちです」
「了解」
「それではついてきてください」
 スザクはモビルスーツを解除し、パイロットスーツの状態になり、シャッハの後ろをついていった。


 しばらく歩いているときに眼に入ったのは中庭で楽しそうに遊んでいる孤児たちだった。彼らもまた家族を何かしらで失い、ここに引き取られた。
 自分たちの知らないところで同じような境遇に陥っている子供たちが大勢いるのだ。なんとか救ってあげたいと思う。 そんなスザクの表情を見たシャッハは彼もつらいのだろうと言うことを感じていた。自分はナカジマ家に引き取られて今はとても幸せである。
 今までの孤独がうそのように家族という暖かい場所がある。しかし彼らは家族がいない。必死で皆で家族になろうとしているのだ。
「ここが彼らの戻る場所であり、いる場所なのですよ」
 そう・・・彼らにとって幸せな場所が見つかるまでの暖かい場所。彼女たちはそんな場所にしたいと思っていた。
 きっと聖王オリヴィエもそう思うだろうと考えていた。子供は戦う道具ではなく、未来に生きるための大切な存在。だからそんな子供たちを才能があるからということで入局させていく管理局を余りよく思っていない彼女たち。
 「あなたが子供たちのために戦っていることは皆が知っています」
 ここ聖王教会ではスザクは『炎騎士』『不死鳥(フェニックス)』という愛称で親しまれていた。子供たちにとってまるでアニメの世界でしか見たことがないロボットを操って戦うスザクはまさに彼らにとってはヒーローなのだ。
「今日も触れ合っていってあげて下さい。きっと子供たちも喜びますから」
「了解した」
 そういって二人はカリムの待つ部屋へと歩を進めた。

あとがき
 余震が続く・・・。さっきも揺れた。
 感想をいただければ幸いです。

Re: 魔道戦士リリカルガンダムPhoenix ( No.17 )
日時: 2011/04/24 11:48
名前: 泉 海斗 (ID: 1/l8DPvU)

前書き
 現在不死鳥編、ジュエルシード編執筆完了。両方ともA4版50枚相当になりました。現在闇の書編執筆中にて後半戦に突入。こちらはA4版100枚到達しそうです。いつも見てくださる皆さんありがとうございます。今日始めてみてくれた人これからもよろしくお願いします。

カリム・グラシアはソファーに座り、今来るであろう人物を待っていた。彼女の手元にあるテーブルにはなにやらかかれた紙が置かれていた。
 それを何度読み返してハァっとため息をつくのだ。彼女の持つ古代ベルカのレアスキル・・・『預言者の著書』によってかかれたものだ。
 しかしそれは余りよろしくないないような用で彼女の表情も余り優れない。
(どうして彼ばかりこんな目に・・・)
 内容を読むたびに思われる彼女にとって好いている思い人。紅い機械装甲を身にまとい紅蓮の炎の翼を羽ばたかせてあまたの世界を飛翔する、ミッドチルダと未来ある子供たちを守るために戦う少年。魔法がなくても人の手で守るべきだと管理局の魔法至上主義に待ったをかける彼のそのときの顔はまさに戦う男だった。自分たちもまた子供たちをおいそれと戦場に出すなどと腐った存在ではない。むしろ戦場には出したくない。
 だからこそ彼の考えに同調し、バックアップに回った。そして彼は見事にそれを成功させ、低迷していた地上本部の戦力を挙げることに成功、そうして年々増加していたミッドチルダでの犯罪を少しずつであるが減らしていた。
 ふと物思いにふけっていたところ、コンコンと戸をたたく音がした。
「騎士カリム、騎士スザクをお連れしました」
「ありがとうシスター・シャッハ。はいってください」
「はい、どうぞ、騎士スザク」
「失礼する」
 カリムの目に映ったのはパイロットスーツ姿のスザク・カンザキだった。思わず顔が赤くなる。スーツからは分からないが普段鍛えているためにきっと引き締まった体なのだろうと気になるお年頃なのだ。
「遅くなった。すまない」
 いつもの明るいスザクではなく戦う戦士の顔をしているスザクでいう。
「いえ、大丈夫ですよ。それより座ってください。たったままでは疲れるでしょうから」
「失礼する」
「シスター・シャッハ、スザクにもお茶をお願いできる??」
「分かりました」
 そういって奥へと戻っていくシャッハ。まっすぐカリムとスザクは視線を合わせる。
「お久しぶりね、スザク」
「ああ、こうしてゆっくり話しができる状態で会うのは久しぶりだ」
「いつも仕事上で会議のときしか話せませんからね。寂しかったんですよ??」
「ふふ、それはすまなかったな。俺も会えなくて寂しかったさ」
「それはどう受け取ったらいいのでしょうか??」
「さぁな。好きに受け取ってくれて構わない」
「期待しますよ??」
 うれしそうなカリムとそんなカリムの笑顔を見て微笑むスザク・・・いつもの笑みとはまた違った大人の笑みだ。
「それで・・・今回俺を呼んだのはまた新手の任務か??」
 スザクは笑みを潜め、真剣な表情に変わる。獲物を刈り取るような猛獣のような鋭い目つきだ。
 思わずぞくりとしてしまうものだがカリムはもうなれた。初めは泣きたいこともあったがそれは自分ではなくその任務先での敵にむけられているものだと知ったからだ。
「はい、以前には話していますが、私のレアスキルに関するものです」
「レアスキル・・・預言者の著書か・・・」
「はい・・・」
 スザクにとって聖王教会から出される任務はたいていカリムのレアスキルによるものからだった。レアスキルといってもそうぽんぽんと予言が出るわけではないのでそれほど多いわけでもないのだが、たいていは大きなものであるために気が抜けないのだ。
 まあ、いつも任務のときは気を抜くつもりはないが・・・。
「昨日ですべての解読が完了したのです・・・」
 余りよくない予言なのだろうとスザクはカリムの表情から読み取っていた。しかしどんな予言だろうと世界のゆがみは、駆逐しなければいけない。それがミッドチルダに関わることならなおさらだ。
「それで・・・今回のはどうなったんだ??」
 いつまでも待っていても意味はない。なら早く聞いてその対策を取らなければいけない。遅くなっては本末転倒だ。
「分かりました・・・。今回のことは今まで以上に厳しいものになりそうです」
(そこまでのものなのか・・・)
 少し考えながらも関係ないと思うスザク。カリムの言葉を待つ。
「大いなる未来を持ちしもの奪われしとき騎士は嘆き 亡き者たちが生み出した新たなる戦士 異界から舞い降りん 戦士たちは騎士の言葉を聞かずにその力は悪魔なり 法の塔の聳えし都市は燃え落ちん 天空より紅き騎士、生命をつかさどる翼を広げて現れ その恐怖を刈り取り悪魔と化した戦士たちを死者へと返す 異界へと繋がらん黒き渦へと騎士は消えん・・・」
「・・・」
 カリムは読み終わるとふぅっと小さなため息をつく。スザクは何もいわない。言えないのだ。
 紅き騎士・・・それは自分であり、フェニックスである。亡き者が生み出した新たなる戦士・・・亡き者とはモビルスーツの前に魔法の理論を解読した義理の両親のことであり、新たなる戦死とはモビルスーツのことだ。
 更に法の塔とはおそらく時空管理局・・・。そしてそれが聳えし都市とはミッドチルダのことだ。
 異界から舞い降りん戦士・・・まさかモビルスーツのデータが流失したというのかとスザクは驚愕に襲われる。
 あれは厳重にプロテクトしていたはずなのにと思う。まさかスパイがいたというのかとかんぐる。
「なぜ・・・データが??」
 スザクの困惑した表情を見て、カリムもつらそうだ。
「大いなる未来を持ちしもの・・・これは一体??」
「戦士が嘆くということですからスザクに関する何かということですね・・・」
 大いなる未来・・・それは生きとしいけるものが万物に持つことである。人は未来に向かって歩み、風は永遠に吹き続け、鳥は空を飛び、草木や花はその美しい姿をただ咲かせる・・・。
 人・・・人・・・自分が守りたいもの・・・家族・・・。
(まさか・・・)
「子供・・・家族・・・ギンガ・・・スバル!?」
 行き着いた答えは大事な妹たちだ。子供には大人と比べて大いなる未来が待っている。まさかとは思ったがそれしか思いつかない。自分にとって彼女たちは守るべき家族だ。失ったとしたら嘆くどころか切れる・・・発狂する・・・。
「家族・・ですか。確かにそう考えるのが妥当ですね」
 カリムも真剣な表情でいう。シャッハが持ってきてくれた紅茶を飲みながら会話は続く。

あとがき 
 感想待ってます。

Re: 魔道戦士リリカルガンダムPhoenix ( No.18 )
日時: 2011/04/25 07:29
名前: 泉 海斗 (ID: 1/l8DPvU)

 2時間くらいしゃべりつくしてから、二人はシャッハとともに中庭へと足を運んでいた。そこにはたくさんの子供たちが遊んでいた。
「あ、炎騎士だ!!」
「炎騎士〜」
「遊んで〜」
 純粋無垢な笑顔でスザク抱きつく。
「うん、いいよ」
 スザクもまるで子供のような笑顔で子供たちと遊ぶ。そんなスザクをまるで母親のように見つめるカリムとシャッハ。これから怒ることを危惧しながらも、スザクは精一杯子供たちを触れ合った。


「それではきを付けてくださいね」
 何度教会を後にするたびに言われただろうか。そのたびにカリムには悲しそうな表情をさせてしまう。
 スザクは魔道師を否定するようなものを作り出してしまったのだ。はっきり言って管理局における魔道師至上主義を根本から否定していることになる。
 いくら本局の方でそれが実用化されようとしているとしてもまだ魔導師こそが守るべきだという風に考えているものたちも多くいるのだ。
 いつ襲われるか分からない状況下にあるスザクを心配して言っているのだ。家族を巻き込むかもしれないとキズナは家を離れることも考えたがそうすれば家族を人質にということもあったのでそうできなかった。
「分かってる。どんなことがあっても守りたいから・・・」
 それは自分の今までの境遇から自分のように悲しい境遇に陥ってほしくないから。今幸せな自分のように大好きな家族と一緒に生活できるように平和なミッドチルダにしたいという風に考えていた。
「あなたは傷つきすぎです・・・。どうしてそこまでして傷つくのですか・・・」
 カリムはなきそうだ・・・。スザクの体には昔受けた虐待の跡と、生々しいくらいの実験の跡・・・。
 見たときは思わず抱きしめてしまった・・・。何でこんな優しい人がこんな目にあわなければいけないのだと思ったからだ。
「守りたいから・・・。俺のこの小さな手で守れる命は守りたい・・・」
「小さくはないです・・・。あなたの手は大きく・・・そうして暖かい」
 そっと自分の手をスザクの両手で包ませる。
「ほら・・・私の手よりも大きい・・・」
 カリムの自分よりも小さな手をそっと包み込む。
(守りたい・・・)
 ただ一人の男として・・・。カリム・グラシアという女性を守りたいと思った。
 そっと離すと、スザクはフェニックスを展開する。ゆっくりと推進部を稼動させ、粒子を放出する。
 黄金に輝く紅蓮色の粒子を振りまきながら大きな炎の翼を羽ばたかせて、対策を取るべく地上本部へと急いだ。この世界と家族と・・・そして愛するものを守るために・・・。

あとがき
 現在執筆中の闇の書編・・・長い。感想いただければ幸いです。


Page:1 2 3 4 5



この掲示板は過去ログ化されています。