二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- モンスターハンター【calamity・edge】
- 日時: 2013/01/18 17:42
- 名前: ただの敷島クルル (ID: XtmJTbxf)
ーーー親、兄弟、友。
ーーーーー全てを失った少女。
ーーーーーーーー時が進みその少女は。
復讐の為ハンターとなり剣を取る。
モンスターハンター【calamity・edge】意味は【惨禍の刃】です。
クルルです、前回の物語で重大な世界観のミスがあったのでそれを全て修正、新たなストーリーを展開したいと思います。
まず世界観の紹介。
なるべく公式設定を利用します。
場所が不明な地域、町などは個人的に認識した場所にしようと思います。
舞台は【旧大陸】
モンハンプレイヤーにわかりやすく言うと、2ndGまでのフィールドですね。
なるべくモンスターハンターという狩るだけじゃなくて、私生活、ギルドナイトについても触れられたら幸いです。
【設定】
・ドンドルマ
旧大陸のほぼ中心に位置する街。
かつてそこに暮らしていた先住民の手によって険しい山あいに切り開かれており、
絶える事の無い風は風車の原動力となり、豊富な水源と大長老の指導により、
大陸内では最大の規模を誇る。
・ギルドナイト
ギルドを守り、ハンター達を統括するためのギルド直属組織「ギルドナイツ」に任命された特殊なハンター。
【人物紹介】
・レイ=グライス、女21歳
幼少期、家族との旅の途中、正体不明の龍に襲われ自身以外全て死亡した。
その龍を殺す為ハンターとなりドントルマに住んでいる。
性格は冷静、他人には達観的で冷たいもの言いをすることもある、しかし認めた相手には笑顔を見せたりする。
・オヤジ、竜人族、249歳
竜人族でドントルマ加工屋の総締め、レイの恩人。
・シュート・フィン・ウィング、女18歳
レイが出会ったギルドナイト、飄々としているが食えないところもある。
それでは行きましょう。
パーヴァー(クエスト出発時の笛の音)
- Re: モンスターハンター【calamity・edge】 ( No.4 )
- 日時: 2012/05/05 12:01
- 名前: ただの敷島クルル (ID: SXymBj3o)
「これを。」
「あいよ、150zね。」
雑貨屋から新聞を買う。
二日間町を出ていたのでそこだけ情報がないのだ。
・・・まぁ目新しい物は無いと思うがな。
残りは自宅で読むため軽く読みポーチにしまう。
私が加工屋から出てもう30分、至る所にハンターが居て、町の公的施設からは蒸気の煙が上がっている。
「ん?」
集会所の方がなにやら騒がしい。
クエスト達成の時のような歓喜の声で無く、喧騒やどよめきが聞こえる。
「何だ?」
集会所へは新聞を読み終わってから行こうと思っていたが、フラフラと私は集会所へ向かって行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
人ごみをかき分けて集会所に入る。
人ごみにはレウス装備一式や大型飛竜の装備をしている者が居るのを見て、騒ぎの大きさが伺える。
「うがあぁぁぁぁ!!!!」
突如男の悲鳴が近くで響く。
声がしたところを探すと、床に大男が腕を押えてのたうちまわっていた。
「だーから、無駄な抵抗すんじゃないの、あんたが密猟者ってことは分かってるんだから。」
続いて聞こえた女の声。
口調と声音を聞くからにまだ幼さが感じられる。
「ぐぅっ・・・!お、おれはどうなる?」
「あんた、自分が何したかわかってんでしょ?一生豚箱行きね、でも喜んでほしいわね、私が逮捕しないままあんたが密猟し続けてたら、首チョンパだったわよ?」」
「なんたってこんな日に・・・。」
話が掴めないが男が黙りこむ。
右手を押さえてる所を見るに、捻られたのだろう。
「ドンドルマって広いよなぁ・・・。」
男が不自然に語りだす、彼女は余裕の表情で男を見下している。
が。
「人一人逃げれば一生捕まらないくらいなぁ!!」
直後左手でポーチから投げナイフを掴み女の方へ投げた。
人ごみからまたどよめきが上がる。
だが彼女は予知していたかのように避ける、男は投げたと同時に出口へ向かった。
「おら!どけ!殺されてぇのか!」
わめきながら人ごみから人ごみへ逃げてゆく。
人ごみにはハンターは少なくなっていて、一般人が多数を占めていた。
「いたい!」
「どけガキ邪魔だ!」
男が子供を蹴り飛ばした。
ふと頭が熱くなる、久しぶりに不当な暴力を見たからだろうか。
「大丈夫か?」
私の問いかけに驚いたような素振りを見せる。
「痛いようならこれを痛い所に付けていろ、薬草だ。」
ポーチから薬草をとり少女に渡す。
無言で恐る恐る取って「いいの?」と言うように見つめてくる。
私は頷くと出口の方へ目をやる、男が外へ逃げたようだ。
・・・ハイメタSでどのくらい動けるか試すいい機会だな。
「あーどいてどいて、あんたら邪魔。」
さっきの女がこちらに来た。
手にはボウガンを持っている、撃つ気か?
「装填っと、馬鹿ねアイツ、私から逃げるなんて。」
「貴様ハンターか?」
私の問いには目もくれずボウガンのサイトを見ている、聞いていないようだ。
仕方ないので射線に立つ。
「わっ!ちょっとなによアンタ、邪魔。」
「質問に答えろ、貴様ハンターか?」
さっきよりキツめに質問をした、ふてくされたように即答する。
「そうよハンターよ。」
「ハンターが人に武器を向けたら犯罪だろう?」
「えぇそうね、普通はね。」
「まるで自分が普通でない言い方だな。」
「そりゃそうよ、普通じゃないもの、光栄に思いなさいよ?」
「光栄?」
「って、あ!!あんのヤロ、角曲がりやがった!ちょっとアンタ!どうしてくれんのよ!」
「走ればいいだろう。」
奇妙な女を置いてあの男を追いかけようとする。
「はぁ・・・、まぁいいわ、って、あんたもアイツに用あんの?」
「あぁ、先ほど出来た。」
「さっき?何かされたの?」
「奴が子供に傷を負わせてな。」
「・・・。」
「ん?」
「いや、あんたみたいなの本当に居るのね。」
「どうゆう意味だ?」
「いいわいいわ、言うの面倒だから、んじゃ行くわよ。」
「ああ。」
なぜ首を傾げられたかは知らないが、彼女はけだるそうに立ち上がった。
- Re: モンスターハンター【calamity・edge】 ( No.5 )
- 日時: 2012/05/05 12:02
- 名前: ただの敷島クルル (ID: SXymBj3o)
「で、貴様は何者だ?」
男が曲がったであろう角を駆けながら質問する。
見たところ私よりも年下か、同い年か、そんな年齢の彼女が何か特別な人物かは気になる。
スカートを風でなびかせながら独り言のように告げた。
「ギルドナイトって言えばわかる?」
「ギルドナイト!?」
「何よそんな驚いて、信じられない?」
「あぁ。」
その通り全く信じられない。
ギルドナイトというのはギルド直属のハンターの事、各12人までしかおらずどれもギルドに直接腕を認められた者だ。
緊急時には町のハンターを指揮する権限を持つ。
それともう一つ、密猟者や、タブーを犯したハンターを逮捕することもできる。
すなわち、原則として禁じられている、ハンターに武器を向ける、これが許される。
「それを貴様が・・・?」
「それって何よ、んじゃー証拠として見してあげるわ、さっきアンタに邪魔されたけど私のボウガンの腕。」
「!男がまた角に曲がったぞ!」
「こっんの、タイミングの悪い・・・!」
言動からやはり幼さが見える。
やはり信じられない、彼女が私よりも上に立っていることを。
男がまた曲がる、どうやら住宅街まで走ってきたようだ、こうなれば話は早い。
「貴様はこのまま走って男を追え、挟みうちだ。」
「アンタはどうすんのよ。」
「上から奴を追う、奴が走った先は長い一本道だ、そこまで回り込む。」
「は、上?」
太刀を地面に立て、塀の上まで棒飛びの要領で飛ぶ。
「後で合流だ。」
そう言い残し私は走り去った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ひゃーやるねぇ、さて、私もランニングはやめて仕事モードに入りますか。」
彼女が足に力を込める動作を行う。
瞬間、地面を跳ねるように、それでいて地に一定のリズムを刻みながら駆け抜けていった。
- Re: モンスターハンター【calamity・edge】 ( No.6 )
- 日時: 2013/01/18 17:52
- 名前: ただの敷島クルル (ID: XtmJTbxf)
「まだ追ってきてんのかよ、クソ!」
男は狼狽していた、強走薬を飲んだその自分に追い付いてくる女に恐怖を覚えながら。
捕まったらやられる。
先の出来ごとで自分よりも小さな、しかも歳半端な女に軽々と持ち上げられたことで危機を感じていた。
「まぁ、ここを走り抜ければもっと入り組んだ場所にでる、そこで撒くか。」
にやけながらつぶやく。
なぜならそこには仲間がいる、仲間と言っても信頼関係ではなくただの仕事仲間、が、その誰もが密猟者である。
男はその仲間を使い女を返り討ちにしようと考えていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あまり人とはかかわって無いが、最近の男はここまで遅いのか。」
少し落胆する、幼いころの記憶だが父や道場の男どもはもっと体力があったはずだ、それなのにこの男はそのだれよりも遅い。
「考えても無駄か。」
思考をやめ、男の前に飛び降りる準備をする。
位置取りを間違えると男の上に着地してしまう、奴が先投げたナイフを他に持っている可能性を考えるとそれは避けたい。
地面を蹴る。
そんなに地面との距離は長くないはずだが滞空時間は若干長く感じた。
着地する。
「うお!!だ、誰だてめぇ!!」
「話すのも面倒だ、寝てろ。」
適当に会話を切り上げ、男が後ろのポーチに手をかけたのを確認してから前へステップする。
「ふっ!」
右手で掌底を胸に打つ、男が不意打ち気味にくらいその場でたちくらむ。
回し蹴りをそのまま頭に決めようか迷ったが、今自分は防具をつけている、下手したらこの男が死んでしまう。
左手で頭に二度目の掌底を叩きこむことにした。
「がぁ!?」
頭に強い力が加えられ、男は背中から後ろに倒れた。
「こんなものか。」
と吐き捨てた、対人戦はここ最近していないが、この程度の奴なら負ける気がしない。
ーーーーーーーーーーーそれが油断だった。
男は倒れながらポーチから玉状のものを持ち地面にたたきつけた。
そこから紫色の毒毒しい煙が出る。
「ラッキーだぜ、丁度てめぇが風下にいたから使えたぜ。」
「ぐっ!」
めまいがする、煙が出たのを確認して息をとめたが遅かったらしい。
---、毒か。
身体に力がはいらない、私はその場にしゃがみこんだ。
「急に現れて好き勝手やってくれたなぁ、てめぇ、あの女の仲間か?」
「あの・・・女?」
「あん?なんだ、ちげぇのか。」
そうゆうことにしてくれ、仲間だと言ったらあの女にも迷惑がかかるかもだからな、下手な面倒事は避けたい。
「まぁいい、ちょっと痛いが我慢してくれや。」
そう言って男はポーチから投げナイフ用のナイフを手に取る。
普段ならこの体勢から蹴りで弾くことが出来るが、毒で身体の自由が聞かない。
「こちらの思い通り、というわけか。」
「何?」
私の言葉に怒りを含めた動揺の声を上げる。
バヒュンッッ
風切り音は高速で聞こえた、それと同時に鈍い金属音。
男が持っていたナイフは高く宙を舞っていた。
「な・・・?」
状況を理解していない男の声。
バヒュンッッ
二度目の風切り音。
男は衝撃で一瞬身体を揺らし、地面に倒れた。
「いやー!アンタ強いじゃん!遠くから見ててびっくりしたよ!」
「見てるくらいなら加勢して欲しかったな。」
男の後ろ、つまり私からみて前の方から彼女は歩いてきた。
「アンタが急に殴りかかってたから誤射が怖かったのよ。」
「ところで、何を撃ったんだ?流石に通常弾ではないだろ?」
「もちろん、それじゃ死んじゃうからね、ただの麻酔弾よ。」
彼女は自分の方に落ちてきたナイフを当然のようにキャッチする。
「御苦労さま、悪いね手伝わせちゃって。」
「何、気にすること・・・は?」
立ち上がろうとしたが足に力が入らない、さっきの毒の所為か。
「腰抜けちゃったの?」
「馬鹿言え、毒の所為だ。」
「しかたないわねー、ほら肩かしたげる。」
「すまない。」
彼女が近づいてしゃがむ。
「ほら、肩いれて・・・えーっと。」
「レイだ、レイ=グライス。」
「レイほら、肩いれて。」
「あぁ。」
肩を貸してもらい立ち上がる、防具の重さがあるはずなのに彼女は何も無いように立ちあがった。
「ふふっ、ありがとうギルドナイト。」
「あ!笑った!まだ信じてないっしょ!」
「いやいや、信じたよ、あのボウガンの腕を見ればな。」
「ほんとにー?」
「あぁ、本当だ・・・ギルドナイト。」
「名前みたいに言わないでくれる?」
「その名前を知らないから困っている。」
女は一瞬間を置いて笑顔で告げた。
「そうだったわね、シュートよ。」
「シュート?」
「そう、私の名前は、シュート・フィン・ウィング、いい名前でしょ。」
- Re: モンスターハンター【calamity・edge】 ( No.7 )
- 日時: 2012/05/05 12:03
- 名前: ただの敷島クルル (ID: SXymBj3o)
「ここがアンタの家?ちっちゃいわねぇ」
「うむ、失礼もここまで度が過ぎれば清々しいな。」
シュートに肩を担がせてもらい家まで来た。
入るや否やこの開口一番、彼女らしいと言えばそれまでだが。
「身体の痺れも取れてきた、さて、色々聞きたいのだが。」
「いいよ、あ!囲炉裏に火付けていい?少し寒いんだよね。」
「あぁ。」
シュートが囲炉裏に火をつける、外はまだまだ昼間だが、肌寒いのは確かだ。
彼女の動きが落ち着いたのを見て質問をする。
「シュートがギルドナイトなのはわかった、だがなぜあんな場所に?」
「あんな場所って?」
「ギルドナイトはギルドから直接認めてもらった上級ハンター、他に受付するところがあるだろう、なぜ一般ハンターと同じ場所に?」
「あぁあれね。」
シュートがあぐらをかいてそれに応える。
「クエストよ。」
「クエスト?」
「ギルドナイトには違反を犯したハンターを逮捕することができるのは知ってるわよね?」
「あぁ、もしかしてクエストってあの男が目的か?」
「そうそう、ほら、普通のクエストにもあるでしょ?行方不明者探すのとか。」
「まぁ、確かにあるはあるな。」
「それと似たようなもんであたしらギルドナイトには密猟者の逮捕とかもクエストにあるんだよ。」
「興味深いな。」
「そ?ありがと。」
手足の感覚を試すため手を広げたり足を曲げたりしてみるが、異常は無いようだ。
あの男、やってくれたな。
・・・ん?
「そういえばあの男はあそこに置いてきて良かったのか?」
「うん、あんたが男追いかけてる間、ギルドに伝えといたからね、「「目標もうすぐ捕まるから人こっちに頂戴」」って。」
「追いかけてる間?」
「うん。」
どうも少し到着が遅いと思ったら、そんなことをしていたのか、あの短時間で・・・。
「シュートはこれから仕事か?」
「う〜ん、これと言っては無いね、どうかした?」
「少し同行してもいいか?」
「これまたどうして?」
「ギルドナイトが普段どんなことしているか見る絶好の機会だしな。」
「あんたも物好きねぇ、今はこんなくつろいでるけど、家だと書類まとめたりしてるだけだよ?」
「それでもいい。」
「OK、わかった、でも少し休んでから行こう、また倒れられるとアレだし。」
「そうか、すまんな。」
「きにしないで、それは建前上で本音は少し休みたいだけだから。」
「・・・。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
他人とここまで話したのは初めてだ、私はどうやら人と関わるのをしないだけで、人見知りというわけではないらしい。
若干そこに安心した自分がいるのに驚いた。
・・・しかし不思議なものだ、あれほど他人を自分でも拒んでいたのに、いざあっちから来ると素直に受け入れるんだな私は。
どこからか欲していたのかもしれない、人とのつながりを。
不意に、同時に重なる過去の出来ごと。
親しかった人物全て消えたあの日。
「・・・つながりを持てば持つほど、消えた時の悲しみが大きくなる。」
虚空にそう呟く。
そうだ、忘れるな。
他人と親しくなっても、別れる時の悲しみが大きくなるだけ。
シュートとは、彼女とは今日会わなかった、これでいいんじゃないか?
そうだ、そうすればどちらも悲しまなくてすむ。
「シュート、あの・・・−−−−
「んー!おなか減った!やっぱりレイ、もう出発しよ!」
決意の言葉を凄いどうでもいい言葉に阻まれた。
「いや、その前に言いたいことが・・・−−−−
「毒がまだあった?家に解毒薬あるからそれまで辛抱してね。」
「それはいいんだが・・・−−−
「仕方無い、お姫様だっこしてあげよう!」
「い、いや!それはいい!!」
言った途端瞬時に近づいて身体を持ち上げられた、シュートの腕の上で抗議の声をあげたら、ぶすっとした顔で下された。
なんなのだ彼女は・・・。
「なんだ、立てるじゃん、んじゃ行こー!」
「・・・はぁ。」
何を言っても無駄な気がしてきた、シュートの家で話そう。
- Re: モンスターハンター【calamity・edge】 ( No.8 )
- 日時: 2012/05/05 12:04
- 名前: ただの敷島クルル (ID: SXymBj3o)
ギルドカードをご提示願います。」
「はい、シュート・フィン・ウィングよ。」
集会所の二階へ続く階段、一般ハンターが立ち入りを禁止されている所に来ている。
二十歳かそれより下と思われる年齢の受付嬢がシュートのギルドカードを確認している。
「確認しましたシュート様、二階へどうぞ。」
受付嬢が一礼する、そこで私と目が合い、不思議そうに尋ねる。
「そちらのハンターさんは?」
「私の連れよ。」
「招致しました、お手数ですがギルドカードを提示願います。」
「あぁ、レイ=グライスだ。」
ギルドカードを受付嬢へ渡す。
キルドカードを確認されたのはハンターになって一年間の最初くらいでそれまでほとんど無かった。
そのせいか若干緊張する、書いてあるのはモンスターの討伐数、クエスト成功回数失敗回数、さまざまだ。
何も無く通ればよいが・・・。
「確認しました、レイ様も二階へどうぞ。」
何も無いようだ、良かった、安堵の息を少し吐く。
「んじゃ付いてきて。」
「あぁ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
二階は人がほとんど居ないが、数人は確認できる、どれもカタログでしか見たことの無い屈強な防具、武器を装備している。
「全員ギルドナイトか?」
「二階にいる奴全員ギルドナイトだったらかなりの数よ、まぁ今はそんな居ないけど多い時は100人くらいここにハンター来るからね。」
「そうなのか。」
「けどここにいるってことはかなり腕が立つんじゃない?」
「ほぅ・・・。」
「ってどこいくのアンタ。」
腕が立つか、上位ハンターの力がどれくらいか少し知りたいものだ。
辺りを見渡す、一番強そうなのはそこのイスに座ってるグラビドS装備の男か?
「そこの。」
こちらの言葉にすぐ反応したそいつはよろよろしながらこちらを向いた、酒でも飲んでるのか?
「おう!!なんだ!!見ない顔だな!」
「私と力比べしないか?」
「力比べ?何で比べる?」
案外乗り気で返答をくれた、みしてもらおうか、上位ハンターの腕の力を。
「腕相撲、はどうだ?」
男は笑ったまま止まり、徐々に引きつった笑いに代わって行った。
「本気か?」
「もちろん。」
笑顔でそれを返すと、突然大笑いし始めた。
「あんたみてぇなひょろっちい奴が俺と腕相撲かい!」
「ダメか?」
「いやいいぜ、気前よくいかねぇとな!よぅし!俺に勝ったら1000zでもあげようか!それともアイルーキッチン最高級食事引換券がいいか!?」
「それは任せよう、ではこちらは・・・、夜の晩酌でもしてやろうか。」
「へ・・・夜・・・?」
「あぁ。」
「そ、そいつぁ・・・いいのかい?嬢ちゃん。」
「喜んで。」
「うおっほい!こりゃ勝たねぇとな!!」
安い物で釣れたな、私に手加減して負けられたらそれは嫌だ、相手に全力を出させるために条件を出したのは正解だったな。
テーブルを挟んで向かい合い、手を合わせる。
「シュート、合図を。」
私の斜め後ろで、何故か呆れ顔で見ているシュートに合図を頼む。
「よーい。」
「・・・。」
「勝ったら晩酌、勝ったら晩酌・・・。」
「どん!」
男がグンッと身体ごと倒す、そこには一切の手加減が感じられない。
・・・が、おかしい。
「それが、本気か?」
「ぐぬぬぬ!!ま、まだまだぁ!」
それは良かった、私の腕は開始線から動いてない、いくらなんでもそれはおかしい。
「ほぅら!!こいつでどうだあぁぁぁぁああ!?」
少し力が加わった。
「いいぞ、その調子だ。」
「・・・。」
「?」
まさか・・・。
「それで本気、なのか?」
「まっだっまっだぁぁぁああ!!ぬおおおおおおおお!!!!」
全身を痙攣させながら、なおかつヘルムから少し見える顔を怒ったババコンガの如く赤くしながら叫ぶ。
しかし力はもう強くならない。
「少し痛いかもだぞ。」
「んえ!?」
少し力を入れる。
テーブルは軋み、男は反対側へ大きく音を立てて倒れた。
「ぐああぁぁぁぁあああ!!」
「あぁ、すまん、大丈夫か?」
「なっ、何者だアンタ・・・。」
暑いのか、男はグラビドのヘルムを取って話した。
「ただの下位ハンターだ。」
「嘘だろ!!下位でそんな力持つハンターいるわけねぇよ!!」
「証拠に、ほら、ギルドカードだ。」
ギルドカードを奪うように取り、男は絶句していた。
それよりも私が絶句したいのだがな、上位ハンターの力がどれくらいか知りたかったのに、こんなもんなのか?世の中の男は。
「負けたよ・・・ほら、10000zだ。」
「10000!?そんな大金は貰えん、その前に金は要らない付き合ってもらっただけで十分だ。」
「それじゃオレの気が晴れねぇよ!!頼む!もらってくれ!!オレのメンツが!!」
「情けない・・・。」
「へ?」
男とはこんなに軟弱になったのか・・・。
負けて、それでいてメンツを保つために負けた相手、しかも女で下位ハンターの私に金を払う。
「貴様それでも男かっっ!!!!」
「ひっ!」
「そもそも、「「もらってくれ!!」」とは何だ!私がいらないと言ったらそれでいいじゃないか!悔しくないのか貴様は!負けた相手、しかも女に金を払う、あぁ!情けない!男なら強くなってもう一回挑んでこないか!!勝つまで挑んでこないか!!メンツを保つ前にそのへたれ腐った根性を直してこい!!」
「・・・。」
二階集会所は静まり返っていた、なぜだ?さっきは少しは話し声が聞こえていたのに。
「あんた、名前は?」
男が下を向きながら聞いてきた。
「レイ=グライスだ。」
「レイさん、いや、名前で呼ぶのも失礼か、姉御!!」
「姉御!?」
聞きなれない言葉に驚いている私に男が続けて言ってきた。
「上位ハンターになって早十数年、心のどこかで慢心があったかもしれねぇ・・・いつも仲間に頼りっぱなしで、自分の力を磨くのを忘れちまっていた・・・。」
「う、うむ。」
「だが!!オレは今日この今気づかせてもらった!初心に戻って鍛錬します!」
「その意気だ!」
「強くなったらまた!相手してもらえませんか!?」
「おう!いつでも来い!」
「はい!よーし!採取クエストで足腰のトレーニングだ!!」
男は走ってカウンターへむかって行った。
ふむ、向上心は持っているようだな、偉い、まだ見捨てたものじゃ無かったな。
「時間を取らせたな、行こう。」
「う、うん。」
先の男の心意気に感動しながら、妙な様子のシュートについて行った。
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