二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ブリーチ 夜を超える者達 一ノ二ノ四更新 11/9
- 日時: 2012/11/09 15:31
- 名前: スターク ◆p8PV6bnEIQ (ID: aiiC5/EF)
おはようございます、こんにちは、こんばんは! 初めまして、スタークと申します^^
BLEACH大好き人間です!
好きなキャラは、檜佐木さん、砕蜂さん、阿近さん、竜弦先生、浦原さん、スターク、ギン、グリムジョー、ルキア、吉良、ロリ、バンビエッタちゃん、ジオ、スンスンなどです♪
題名はもっと物語の内容にそぐう物があったら変えたいと思います。
コンテンツ—————
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今のところ六名様です。コメントくださってありがとうございます!
更新話一覧
第一章 プロローグ >>2
第一章 第一話「現世異変」一頁目 >>9
第一章 第一話「現世異変」二頁目 >>16
第一章 第一話「現世異変」三頁目 >>23
第一章 第一話「現世異変」四頁目 >>25
第一章 第一話「現世異変」五頁目 >>29
第一章 第一話「現世異変」六頁目 >>32
End
第一章 第二話「黒き者達」一頁目 >>33
第一章 第二話「黒き者達」二頁目 >>38
第一章 第二話「黒き者達」三頁目 >>39
第一章 第二話「黒き者達」四頁目 >>44
貰い物一覧
設定資料及び番外編一覧
注意事項
宣伝や罵倒はご法度です。
グロ描写など入ると思いますので平気な方のみ。
亀更新です。一ヶ月に一度とかになるかもです。
誤字脱字あったら教えてください。
- Re: ブリーチ 夜を超える者達 一ノ一ノ五更新 8/29 ( No.32 )
- 日時: 2012/09/14 19:22
- 名前: スターク ◆FwuTUrVzG2 (ID: aiiC5/EF)
第一章「闇の軍勢」 第一話「現世異変」六頁目
「興味ぃ? 俺もてめぇみたいな優男にそんなの持ってねぇよ! なぁ、一護!」
「同感だぜ! たまには良いこと言うじゃねぇか恋次!」
「何? キモい、自分に酔ってたりする?」
相当な早口で言葉を紡ぎながら、恋次は狒々王の頭蓋の部分をエツゥナイにたたきつける。どうやら彼としてエツゥナイは、最初から気に食わない相手のようだ。生理的に受け付けないレベルだろう。攻撃にも一切の容赦が無い。更に一護も上段から手加減なしの全力の斬撃を放つ。
二人の全開の攻撃を、エツゥナイは冷や汗をわずかに浮かべ受け止める。恋次の攻撃は黒い盾を作り防ぎ、一護の剣は爪で受け止めた。しかし、両者に驚きの表情は浮かんでいない。なぜなら、最初から初撃は止められると想定していたからだ。
「お前こそ相当酔ってるぜ……悪い名前忘れた」
「全くだな。所でどうよ? この至近距離から全力の月牙受けたらさ?」
「……チィ! 吹きとべぇッッ!」
「そうはいかねぇなぁ! わりぃが体は頑丈なんだよ……」
「このッッ——」
攻撃を受け止められたのに、距離をとって次の攻撃を行わないことに訝るエツゥナイに、恋次は指を立て「馬鹿が」とでも言いたげな表情で挑発をする。さらに一護もそれに続く。彼らのやらんとしていることを悟り、エツゥナイは目を魅開き全力で二人を吹き飛ばそうと試みる。
しかし腕力の全て使い彼の攻撃に抵抗する二人は簡単には引き剥がせず、確実に霊圧は高まっていく。このままでは甚大な一撃を一挙に二回至近距離で受けることになる。焦燥感から額から大量の汗が流れ出す。
恋次の言葉を皮切りに、凄まじい赤色の閃光を放つ狒々王の口。それを見てエツゥナイは怯え動きを止める。一護の月牙天衝と恋次の狒骨大砲が炸裂し、その瞬間二人はその衝撃で吹き飛ぶ。黒と赤の霊圧が混ざり合いうねる。
「はっはっはっはっは、どうだ畜生!」
「油断するなよ恋次」
「……あぁ、まだ生きてるみてぇだな」
十秒近くたっても、轟音と衝撃による鳴動が鳴り止まない。大きな損傷を追った恋次は、荒い息をつきながら強がって見せる。しかし、エツゥナイの霊圧を察知した一護は、恋次に警告を放つ。そのときだった。攪拌し続ける赤と黒を切り払い、エツゥナイが現れる。彼は血塗れで片腕が吹き飛び、右肩から腰に掛けて大きな切傷が刻まれていた。
「はぁはぁはぁはぁ、まさか、君たちがここまでやるとは……完全に馬鹿にしていたよ。ガハッ! ホルオス!」
「ヒヒーン!」
「おい、まさか逃げる気か!?」
「心外だな。悪いがお迎えが来たみたいでね……」
肩で息をしながらエツゥナイは一、護達と正対する。エツゥナイは脳内で恋次達に対する評価を改めて、苦しそうな声で自分の力の副産物であるホルオスを呼ぶ。嘶きを上げ愛馬は主人の下へと駆け出す。そのままエツゥナイに突進したかと思うと、唐突に彼の中へと姿を消した。
訝り声を上げれない恋次に変わり、異空間の扉を開き逃げ自宅に入ったエツゥナイを制止しようとする。
その時だった。エツゥナイに劣らない強大な霊圧が十出現したのは。
「お迎えだと? 待てよ、何だよこいつらのこの強さ……」
「戦慄くなよ死神代行。今は大丈夫だ。これは一方的な殺戮じゃない。戦争だ。
ある程度の準備期間を与えてやろう。ついついやり過ぎて、死神代行たちを殺してしまわないか心配だったみたいだ皆ね?」
「嘗めたことを……」
黒い穴の向こうから解き放たれる凄まじい霊圧達を察知し、恋次が愕然とした表情を浮かべながらつぶやく。そんな彼の心情を察したエツゥナイは彼を安心させるようなやさしい口調で言う。その物言いはまるで一護達を完全に馬鹿にしているようで。そもそも、自らたち以外全てを格下と見下しているかのようだ。そんな軽蔑の感情を察した一護は、眉間にしわを寄せて震えた声で言葉を吐く。自分の積み重ねてきた戦いの歴史を軽く見るなよ、と。
「どうかな? 実際、君は死神の援軍や仲間の救援が無かったら死んでたんじゃないかな?
そもそも、これが僕の本気とは限らないよ? 負け惜しみとか言わないでほしいな?
僕も伝令役として色々制約があるのさ。ほら、こっち側じゃぁ死神代行や最後のクインシーなんか大戦力のはずだろう?」
「何が言いてぇ?」
「分らないかな? 強い奴がいないと戦争本番で詰らないだろう?」
「まるで絶対負けないみたいな物言いだな?」
しかし、エツゥナイの饒舌は止まらない。先ほどまで肩で息をしていたとは思えない滑舌の良さだ。どうやらホルオスを吸収した影響らしい。水を得た魚のように、取るに足らないことをしゃべり続けるエツゥナイに苛立ち、一護が額に青筋を立てながら本筋を問う。
それに対してエツゥナイはこれ以上ないほど簡潔に、本心を口にした。その完全に自分達を馬鹿にした態度に、恋次が声を荒げる。
「物言いじゃないな? 僕達が負けるなんてありえないんだ……」
恋次の批判にエツゥナイは余裕綽々とした顔つきで、絶対勝利宣言をした——
第一章 第一話「現世異変」 End
次回⇒第一章「闇の軍勢」 第二話「黒き者達」一頁目へ
- Re: ブリーチ 夜を超える者達 一ノ一ノ六更新 9/10 ( No.33 )
- 日時: 2012/09/24 17:17
- 名前: スターク ◆FwuTUrVzG2 (ID: 68i0zNNK)
第一章「闇の軍勢」 第二話「黒き者達」一頁目
「待てっ! 逃げんじゃねぇ!」
「何言ってるんだい? 僕達を引き止めるとか、愚作以外の何でもないと思うなぁ?
信頼置ける護廷の猛者達が、全て勢揃いしていますってわけでもないのにさぁ。 君達僕一人に苦戦してたよね?」
「…………」
「黙っちゃって正論だったかな」
「このっ……」
「止せ一護! ここは敵さんの言うとおりだぜ。無駄に逆撫でする必要はねぇだろう?」
ほんの少し黒以外の色が見えた黒腔(ガルカンタ)とは違い底なしに黒い洞。名前は分らないが、おそらく虚圏とは違う空間につながっているのだろう。虚圏なら追っていく事もできるが、理解解析の済んでいない空間なら追跡のしようがない。ただ相手の襲撃を人事を尽くし待つことしかできないということだ。頭に血が上った一護はそれだけを考え、手負いの敵をわざわざ逃がすまいと息巻く。
しかし、敵はエツゥナイ一人ではない。エツゥナイとそれほど大きく実力が変わらないレベルの者たちが十人。一護を含めたここにいる全員が全開で戦っても結果は見えているだろう。まだ冷静さのある恋次が一護を諭す。一護は苦虫を噛んだような恨みがましい表情を浮かべるが、恋次の言葉が正しいと理解しそに従う。
「あーぁ、突っ込んでくるかなと思ったのに。案外冷静だね? それとも単純に怖いのかな?
まぁ、君等の強さは十分理解したから。では、次に会うときは君たちが滅び、世界があるべき姿に戻る時だ。さよなら」
「畜生——」
消えていく。あと一押しで倒せたはずの敵が。次に会うときは恐らく、全ての傷を治し腕すら生やして現れるのだろう。それこそ、今回使わなかったと言った切り札すら容赦なく使うはずだ。せめてエツゥナイ一人でも消せれば。一護の心中にどうしようもないほど深い靄が掛かる。彼は小さく呻いた。その声は自責の念に溢れていて。となりに居た盟友は自分がもっと強ければ、と心の中で嘆き体を震わせる。
「黒崎!」
「石田、直ったか」
「そんなことはどうでも良い! 何をいつまでも呆然としているんだ!
僕達だけじゃ解決できないのは明確だ。先ずは浦原商店に行って報告しよう。彼なら何か妙案があるかも知れない!」
「あぁ、そうだな」
放心する一護の耳に石田の声が届く。どうやら織姫の回復が終了したようだ。名前を呼ばれて石田のほうを振り向き、仲間の安否を一護は伺う。織姫の術の完成度の高さを理解している石田は、同じく彼女の力を良く知っているはずの彼に、あの程度の傷彼女ならすぐに回復できるだろうことは明白だと憤慨する。そして、檄を飛ばす。
しかし、石田の言葉は一護には響かない。頭の芯では理解できているが、倒せるはずの獲物を倒せなかったのは、彼にとって大きな痛手だった。そんな身の入らない一護を見て石田は溜息をつく。そこに茶渡達が集まってくる。
「一護! 無事か!」
「チャド、ルキア!」
「無事なようだが随分と腑抜けた顔をしているようだな? 全く貴様のことだ。
大方手強い敵が現れたが、仲間の力を借りて倒せそうだったのに逃げられたて責任でも感じているのだろう?
昔から言っているよな? 敵の急襲が怖くて何が戦士だ!? なってしまったものは仕方ない!
立ち止まっている暇があったら行動しろ! 前を向け! 護るべき者たちが居るだろう!?
お前が立ち止まっている間に何人が犠牲になる! 敵を取り逃がしたことを嘆く暇があったら、前へ進むべきだ。
奴の口ぶりから、次の戦いは必ずあるだろう!」
「そもそもよぉ? あの展開で生かして貰えたってほうが運が良いぜ?
仮にあの饒舌野郎を倒せたとしても、そのあとあいつクラスを十人近く相手にすることになったら俺達は間違えなく全滅だった。弱点も分ってねぇような奴等相手に最初から全面戦争とか愚の骨頂だ!
あの変体下駄帽子なら俺達の証言からある程度の推論を立てれるかも知れねぇじゃねぇか!?」
「そうだな、確かにその通りだ」
「行くぞ一護! 絶対勝って世界を護るぞ!」
「あぁ、ルキア。お前って本当お節介な女だぜ」
茶渡の声に反応する一護を一瞥しルキアが半眼になる。一護が絶望に屈しているのだとすぐに察しをつたのだろう。彼女は一護の前に立ち強い眼差しを向ける。そして、彼を元気付けようと説得の言葉を紡ぎ出す。彼女の激を一護は昔からいつもこうだったなたお思いながら、無言で聴き続ける。死神になって初めて敗北したグランドフィッシャーとの戦いのとき、初めてのアランカル襲撃で圧倒された時。他にも数え切れない。本当にお節介だと思う。
だが、今回は彼女の他にもお人よしの世話焼きが居た。ルキアと同じ流魂街78地区「戌吊(いぬづり)」の出身。阿散井恋次だ。エツゥナイを饒舌野郎と揶揄し、浦原を変態下駄帽子などと呼び、冗談混じりながら真面目な口調で一護を諭す。
そんな久しぶりに会う二人の全力の説得に、一護は笑みを漏らした。自分の周りはお人好しで仲間思いの良い奴ばかりのようだ。彼らと一緒に生き延びて笑うためにも、ここで立ち止まっている場合ではない。一護は勇み足で歩き出す。
ルキア達以外にも多々居る護廷の猛者達、一護の師匠でもある浦原達。本当は信頼できる仲間は山ほど居て、それなのに一人勝手に悩んで味方を信用せず。さぞ護廷に所属しているルキア達は苛立っていたことだろう。確かに歴史上類を見ない危機を最近何度も経験したが、それでも戦い抜いてきたというのに。一緒に歩みぬいてきた仲間を信用できないのか、と。
それを証拠に自分達への信頼に溢れた一護の顔を見た恋次達は満足げだ。
「全く、小さなことですぐに落ち込むくせに立ち直りは早い奴だよお前は」
「何が言いてぇ?」
「くるくるくるくると面白くて忙しい奴だな、と」
「チッ! 余計なお世話だ!」
ルキアの皮肉に慌てたように一護は返す。それに対してもうしばらく大丈夫だなと思ったのかルキアは母性的な笑みを浮かべる。そして、冗談めかした口調で返す。一護は子供のように口を尖らせそれに応答する。そして、ふと下を見下ろす。
どうやら護廷の科学者達が手を打ってくれたおかげで、一般人達は大した損害を追わずに済んだようだ。最も、巨大なビルが一つ消滅していて大騒ぎになっているようだが。
「怪我人でなくて良かったね、阿近さん達が頑張ってくれたのかな?」
「だろうな。しっかし、本当久しぶりだな井上!?」
「二週間前の焼肉大会は来れなくてゴメンね? 皆勤賞これで終りだよぉ」
「良いって良いって! 親父も遊子も悲しんじゃいたけど理解はしてくれたって
いい加減俺達だって子供じゃねぇんだ。色々事情だってあるさ」
「相変わらず黒埼君は優しいね! 有難う、気が楽になったよ」
空を疾駆する一護達。一護の横に少し後ろを走っていた織姫が歩み寄る。プロポーションは相変わらず美しい。十年前と比べあどけなさが抜け大人っぽくなった彼女に、一護は頬を赤らめながら応答する。
阿近、現技術開発局局長にして、護廷十三隊十二番隊隊長を勤める男だ。先代のマユリがクインシー達との戦いで死去して以来、マユリの業務全てを一手に背負った男だ。その辣腕と勘の冴えは凄まじく、就任一年程度で護廷の信頼を得た傑物である。恐らく今回も逸早く現世の異変を察知し、迅速な判断で魂魄達の保護をしたのだろう。同じ護廷に所属する恋次とルキアは目を瞑り、上司の健闘を賞賛する。
最初は笑みを浮かべていた織姫だが、余り会えていないことが気がかりらしく俯く。特に黒崎家にて少し前に開かれた焼肉大会は自身も楽しみにしていたらしく、落ち込みが深いようだ。彼女は一護の妹である遊子に好かれているので、罪悪感もあるのだろう。
そんなしょぼくれる織姫を、一護はなだめる様に優しく頭をなでながら、元気付ける。織姫はすっかりいつも通りの表情になり、元気良く「うん」と答えた。一護は安心して前を向く。
だがそれは失敗だったかもしれない。織姫をあやすために、前から目を逸らしたことだ。彼は目の前にある電柱に勢い良くぶつかる。高速で移動していたせいもあり、衝撃音は凄まじく電柱がゆれ多少ながら皹すら入った。これで死ななかったのは、頑丈な死神だからだろう。しかし、エツゥナイとの戦いの傷もあり一護は地面へと落ちていく。
「アホかお前は……」
「黒崎君大丈夫ぅ? 顔真っ赤」
「ッ……駄目だ。俺はもう動けそうにない。恋次頼むッ!」
「あーぁぁ、貸し一つな。
ったく、てめぇみたいな重い野郎何が悲しくて担がなきゃならねぇんだ!?」
「くそっ! 悪かったな」
前方不注意により完全に体力をなくすという愚。馬鹿馬鹿しいにも程々がある戦友の姿を見て、近くを併走していた恋次は吐息を漏らす。そして地面に落下する前に彼を背負う。
織姫が心配して顔を覗く。漫画みたいに顔面が真っ赤になってるのを見て心配になり織姫は右往左往するが、恋次が目配せし回復は目的地についてからで良いだろうと言外に告げる。
一護自身不本意らしい嘆願に対し、恋次は心底嫌そうに応答した。そんな二人のやり取りを遠目から見つめながら、ルキア達は笑みを浮かべる。
「なぁ、石田」
「何だい朽木さん?」
「良いものだな。こうやって馬鹿話するのは。ずっとやっていたくなる」
「あぁ、そうだな朽木」
「だから、絶対勝つぞ今回の戦い!」
「当たり前さ!」
「ムッ!」
ルキアは小さい声で石田に声を掛ける。それに対して石田は冷静な口調で聞き返す。先程の嵐のような戦いが嘘のように、楽しく笑い合う幼馴染と戦友達の姿を慈しむように見詰ながら彼女は言う。この関係をずっと続けていたいという、強い願いを。
それを聞いた石田と茶渡はさも当然のように返答する。勝つとかこの関係を護りたいとか当たり前のことを口にするなと。最初から皆分りきっていることなのだ、と口を揃えて。
「一護、居るぞ? お前の心強い仲間は皆ここに居るんだ——」
次回⇒第一章「闇の軍勢」 第二話「黒き者達」二頁目へ
- Re: ブリーチ 夜を超える者達 一ノ二ノ一更新 9/24 ( No.35 )
- 日時: 2012/09/24 20:20
- 名前: 礪月 ◆Ui8SfUmIUc (ID: EFgY0ZUv)
- 参照: http://mb1.net4u.org/bbs/kakiko01/image/439jpg.html
はにゃあーどうもノシ
んーなんか久しぶりに一護見たきがする(それ違う
いやいや、何時も素晴らしい文章ですねぇ♪
ああ、見習いたいですね。俺も書こうかな、BLEACH(ぇ
又ちょくちょく此処来て…いいですかねぇ?
であであ、更新頑張ってくださいね(´・ω・`)
- Re: ブリーチ 夜を超える者達 一ノ二ノ一更新 9/24 ( No.38 )
- 日時: 2012/10/24 15:02
- 名前: スターク ◆FwuTUrVzG2 (ID: 68i0zNNK)
礪月様へ
いつも雑談の方ではお世話になっています。
ちょくちょく来てくださるのですか!? 嬉しい限りです♪
最近、一護でませんからね? まぁ、今出てこられても迷惑な気がしますが(苦笑
では、着て下さって有難うございました!
______________________ここから本編________________________
第一章「闇の軍勢」 第二話「黒き者達」二頁目
「見えてきた、浦原商店だ!」
浦原商店——現世に駐在し、任務をこなす死神達のバックアップを主な業務としている、表向き駄菓子屋だ。昔は、浦原商店の主要な面々が、須らく無実の罪を課せられていたせいで、一般の死神には、その存在が明るみに出ていなかったが。その無罪が証明され、一護の師匠であり商店の店長でもある浦原喜助は、今は公然と現世で商売している。
そう言えば、ここに来るのも久し振りだと一護は感慨に耽り、眉を潜めた。そんな一護の一挙手一投足まで、恋する乙女織姫は観察している。そして、一護の普段見せない表情に、頬赤らめた。その一方で感じ慣れない霊圧を察知し、声を上げる。
「あっ、死神さんが立ち寄ってる所みたいだね?」
「あぁ、知らねぇ霊圧だな……だが、強ぇ」
「当り前だろう? このお方は、今の七番隊隊長だ」
「へぇ、そうなんだぁ? どんな人か楽しみだなぁ」
浦原商店は、基本的に年中無休で、二十四時間営業だ。それも死神達の業務に朝も夜も無いことを、店長及び店員各位が身に染みて知っている故だろう。最近は関東地方を中心に北は北海道から南は沖縄まで店舗造営し、仕事に炙れた死神や、引退して暇を持て余す死神を店員にしているのだ。
昔は、六時位には店仕舞いして居たのに、と今の栄華を織姫は喜びながら、過去の静かだった浦原商店に思いを馳せる。そうしている織姫を他所に、一護も浦原商店から立ち込める霊圧を感じ取り、感想を漏らす。
先程、闘ったエツゥナイと比べればまだ低いが、凄まじい霊圧だ。確実に実力者だろう。隊長級、もしくば世代交代の上で隊長になった自分の知らない戦士、と辺りを付けてみる。そんな中、頭をぼりぼりと掻き、ルキアが説明をする。どうやら、クインシーとの戦いで落命した七番隊隊長、狛村左陣の後釜らしい。
それを聞いて、一護達現世組は暗い表情を浮かべた。質実剛健で、強く頼れる男だった彼の死は、今でも彼らの中に大きな悲しみとして残っている。彼以外にも、無敵とすら思えた隊長達が、クインシーとの戦いでは半分以上命を落としたのだ。
それに近い被害が出るであろう戦いが、確実に迫っている。皆がそう直感した。一方で、織姫は周りの硬い雰囲気を払拭しようと、明るい口調で率直な疑問を口に出す。それに対し、ルキアが苦笑しながら、新七番隊隊長の人柄や強さ、容姿についてを話し始めた。
「そうだな、狛村隊長程ではないが、七番隊らしい豪胆で実直な性格。それでいて、上級貴族出身らしい美麗な振る舞いが同居した美男子だ。美顔と立ち居振舞いも相俟って、女性人気は高いな。当然ながら、武勇にも長けていて、特に卍解は昇風系最強クラスの殺傷力と攻撃範囲を兼ね備えているらしい。文武両道、容姿端麗と正に上に立つ者の理想像だな!」
「うーん、凄く魅力的な人みたいだね! 速く会いたいなぁ」
「そう急がずともすぐそこにいるのだから……」
「あっ、そうだったね! 所でその人の名前は?」
「あぁ、忘れていたな。飛燕崎竜魔(ひえんざきりゅうま)という名前だ」
ルキアの言葉を聞き、興味津々な表情を浮かべながら、織姫はまだ見ぬ七番隊隊長の姿を思い描く。豪胆ながら流麗という相反するような情報のせいで、元々の彼女の想像力の影響もあって、彼女の中の七番隊隊長像は途轍もなく奇異な姿となっていた。
そんな逡巡しハッとなったような表情を浮かべている織姫を見ながら、ルキアは笑う。「恐らくお前の考えは間違えだから安心しろ」と、彼女の笑みは言っている。織姫は頬を赤らませ、想像していることばれちゃったと、気恥ずかしそうに舌を出す。
そして、七番隊隊長に夢を馳せるように言う。それに対し、目と鼻の先にその人はいるだがと、笑いながら指摘する。なぜかしてやったりと言った風情で胸を張るルキアに対し、対抗心を燃やし織姫はお返しとばかりに、ルキアの説明に忘れていることがあると暗に指摘する。
ルキアは「あぁ」と気のない声を出し、よどみない口調で隊長の名を言った。
そんな話をしているうちに、浦原商店の裏口に着く。世間の目を欺くために行っている駄菓子屋は、六時頃になると閉店するようにしている。ちなみに死神が商店を利用するときは、基本的に周囲にばれないように、裏口から入るのが暗黙の了解だ。
当然、霊なる物の関係する事案に対する相談なども、裏口を介して行われる。
「入ってくださーぃ」
「浦原さーん、居るかぁ?」
「おやおやぁ? 黒崎さん達じゃないっスかぁ? 朽木さんや阿散井さんまで……」
「前置きは良いだろう? 浦原元十二番隊隊長?」
「そっスねぇ? 最初から黒埼さん達が訪れた理由なんて分かりきっていますしねぇ」
「話が速いな」
「あんな大きな霊圧感じたら、そりゃぁ察しますよぉ?」
二回ほどノックし、馴染みのある声を聞き丁寧に扉を開く。そして一護は、浦原の名を呼ぶ。すると待ってましたとばかりに、緑色の甚平を着た、下駄を履いた眠そうな無精ひげが怪しい男が現れる。彼が浦原喜助だ。
男は扇子を広げ口を隠しながら、にたにたと笑い冗談めかしてまるで予想外の来客というような態度をとる。そんな浦原を、聞きなれない声が叱責する。額の音に似た美しい声だ。霊圧から察するに、どうやら新七番隊隊長飛燕崎竜真その人らしい。
浦原は彼の言葉にはにかみながら、先程のへらへらした表情とは全く違う鋭い眼光で一護達を見つめる。それに対しルキアが茶々を入れるが、浦原は何も答えた様子はなく、先程の大激突を無視できるはずがないと嘆かわしそうに言う。
どうやら、浦原自身にとっても眩暈がするほど面倒な案件らしい。最も、クインシー襲撃以来の世界存亡の危機なのだから、当然だが。
「浦原さん、あれの正体知ってるか?」
「……それほど情報があるわけではないですが、貴方方よりは」
浦原でもその程度の情報しかないのかと、質問した当人である一護は呆然とする。
「取り合えず立話も何ですし、お茶を用意しますので座ってください」
焦燥感で押しつぶされそうな表情をする一護を慮るように、浦原は言う。直ぐに筋骨隆々としたトレッドヘアの巨漢が、お茶を卓袱台に丁寧に置く。一護達は言われるままに、座布団に座った。
次回⇒第一章「闇の軍勢」 第二話「黒き者達」三頁目へ
- Re: ブリーチ 夜を超える者達 一ノ二ノ二更新 10/17 ( No.39 )
- 日時: 2012/10/31 14:44
- 名前: スターク ◆FwuTUrVzG2 (ID: aiiC5/EF)
第一章「闇の軍勢」 第二話「黒き者達」三頁目
「皆さん、座りましたね? では、話を始めましょう。分っていることもあるかも知れないですが、先ずはご静聴願いまス」
全員が席に着いたことを確認して、浦原は厳かな口調で言う。
一護達エツゥナイと戦った六人は、沈黙しうなずく。浦原はそれを了承と取り説明を始める。
「彼らの名前は黒牙(ウルバス)。文字通り、術叱り姿叱り黒を貴重とした者達でス。八千年前、護廷がまだ組織だっていなかった戸魂界に突如現れ、不浄なる者達を排除すると宣言し、蹂躙したらしいでス。しかし、当時の卍解保持者数百名総出で彼らに挑み、八割以上の犠牲を出しながらも、彼らを夜獄(アティナイ)という空間に追いやることに、成功したそうです。そして、当時の鬼道の第一人者たる大禍海実時(おおまがうみさねとき)及び、鬼道の熟達者千名による禁術結界により、封印することで平和を勝ち手折った。それが、戸魂界と彼等の確執でスね。驚くことに当時戸魂界に侵攻した黒牙の数は数十に満たなかったらしいっス。詰まり、一人一人が卍解した隊長級の戦士を十人近く葬ったということになります。その圧倒的な力の秘密は、彼等が使役する黒神獣(ディアルロイアー)という眷属にあると私は考えていまス。そして、彼らを攻略する糸口も……」
一旦説明を止め、浦原は鉄斎の注いだ玉露を口に含む。
彼がカップを置くのを皮切りに、ルキアや石田もお茶を口にした。
話が止んだのを確認して、一護が手を挙げる。浦原はそれを容認し、質問を許す。
「本当にそれ以上知らないのか?」
「残念ながら。黒神獣が、夜獄に生息している生物であることくらいですかね、後は。夜獄へ移動する方法も分りませんし、彼等の現在の勢力など知る由もないですしね?」
「結局、化け物じみて強い連中だってことしか分らねぇじゃねぇか。何か、あいつらの弱点とか……」
「死神代行よぉ? 余り、失望させてくれるなよ? 強くて弱点がねぇなら諦めるのか?」
一護の顔は真剣だ。星十字騎士団よりも十刃よりも手強いだろう相手なのだ。怖くない筈がない。
しかし、浦原は彼の感情を感じ取った上で、厳しく言う。知っていることは他にはないと。
男の瞳はどこまでも真摯で、偽りなど欠片もないことが良く分る。
一護は卓袱台を強く殴りつけ、嘆く。誰一人彼に声をかけることができない。誰もが彼の気持ちを理解しているからだ。
しかし、そんな中かけられる声が有った。
——前置きは良いだろう? 浦原元十二番隊隊長——
新七番隊隊長飛燕崎竜真(ひえんざきりゅうま)の声。音楽を奏でるような、美しい余裕に満ちた声だった最初とは違い、感情の滲み出た男らしい声音だ。本気で失望しているのだろう。
「アンタが七番隊隊長さんか? でもよ、今までの戦いは、一回の戦いで弱点とか見えたり、展望がっ!?」
「展望が見えた! 弱点が見えた!? そんなのは過去の戦いだから言えることじゃないか? 十刃との激突もクインシーとの戦争も……今回なんかより余程深い絶望からのスタートだったはずだ! 十年も経って日和ったか」
「でも、でもよぉ! 今まで一番強い奴等なのは……」
「確かに平均すれば強いわな。皆、ウルキオラやハーシュヴァルツクラスだろう。だが、藍染やユーハバッハと比べたら皆マシだ。あいつ等より上が十人も二十人も居るなら別だがな」
「あいつ等、いつでも進軍できるんだぞ?」
「確かにな。その通りだ。引き換え俺達は、夜獄には行けない」
「分ってるならもっと……」
「浦原。地下修練所を借りれるか? この腑抜けを叩き直す」
「あぁ、修練所ならすでに開いてますのでっ!」
待合室から現れた百八十センチメートル程度の痩せ型の男を一護は見つめる。
白髪のロングストレート、青の瞳をした爽やかそうな印象を受ける美男だ。
七番隊隊長飛燕崎竜真だろう。彼を睨み付け、一護は声を荒げながら、感情を吐露する。
その嗚咽に竜真は耳を済ませながら、淡々とした口調で言い返す。何時だって、危機だった。
まるでその場に居たかのようにすべてを見透かし、エツゥナイより強い者がそうそう居るとは思えないと言う結論を含ませて。だが、一護が危惧しているのはそこではなかった。
今の状況で、星十字騎士団より強い輩に急襲されては戸魂界は滅亡する。一護にはそれが見えていたのだ。
その懸念を一瞬で肯定する竜真を見て、一護はいっそう怒気を強める。
分っているならなぜそんな冷静で居られるのだと、検視を剥き出しにし叫ぶ。
すると竜真は言葉では納得させられないと思ったのか、一護の顔面を掴み瞬歩で走り出す。
浦原の了承を得た竜真は、一護を無造作に運びながら、地下へと進んでいく。
そして、開けた場所に出ると彼を投げ捨てた。
「ってぇー! くそっ、やりやがったな」
「良い反応じゃねぇか? さっきより余程強そうな表情だぜ」
「あんた一体何をしたいんだ!?」
「今の護廷を昔の護廷と一緒にして欲しくないだけさ」
開けた視界で、一護は周りを見回す。そこは思い入れ深い場所。浦原喜助が、一護を鍛え上げるために作った空間。殺風景だが、完全防音機能と霊圧遮断装置が施された、非常に多機能かつ多目的な場所なのだ。一護にとって、多くの思い出がある場所でもある。
一護はここに運んたということは、何か大きな力を使う気なのではないかと危惧し、竜真を睨む。
竜真は既に抜刀している。唾のないスマートな造りの斬魄刀だ。臨戦態勢にあることを察し、一護は竜真を非難する。それに対し竜真は、厳しく言い放つ。
——俺達の強さを過小評価しすぎだ、と。彼の言葉にはそんな感情が強く滲み出ていた。
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