二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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バトテニ−地獄−
日時: 2010/02/07 17:15
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 こんにちは。 亮です。
 前のスレのURLが使用禁止ワードになってるみたいですね((汗
 60話まで来て、キリもいいし、スレの整理をかねて新しく立て直しました。
 −無駄な感情−に更新している小説をこっちに移すだけなので、たいしたことはしませんが((笑
 19話を除く、8話からから26話までの
 データが消えてしまって無いので、多少分かりづらいかもしれません。
 ご了承下さい。
 こっちの整理に時間が掛かるので、新しい更新は−無駄な感情−のほうを見ていただけると助かります。
 ↑意味不明ですね・・・
 ま、どっちも更新する、というコトです。


 気軽にコメ・感想・アドバイスなどお願いします〜
 意味不明な表現や、誤字なども含まれると思うのでどんどん指摘してくださいねッ


 では、始まります。



 

 俺たちは、何処で道を踏み外したのだろう。
 何処で何を間違えたのだろう。
 どうして、あの日、俺たちは離ればなれになってしまったのだろう。

 
 キミは今、何をしている?

 
 この空の下。
 きっと何処かで生きている。

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Re: バトテニ−地獄− ( No.26 )
日時: 2010/02/09 18:48
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 40 羨ましい?




「さ、真田・・・副部長」(赤也)

赤也の目の前に現れたのは真田だった。
赤也達をかばったため、片にはアイスピックが刺さっている。

「無事、だったんですか。 副部長」(赤也)
「赤也。 お前達は逃げろ。 ここは俺に任せてくれ」(真田)
「俺も残りますよ! 俺も、部長を止めます」(赤也)

真田の目を見れば、これから何をするかくらい分かる。
幸村を止めるつもりなのだろう。

「赤也。 言うことを聞け」(真田)

“部長を止めます”
赤也は俺が何をしようとしているのかを察したつもりで居るのだろう。
確かに、俺は幸村を止めに来た。
だが、命までを助けられるかと言うと、それは別の問題だ。
俺は、幸村の心を助けに来た。

これ以上、ヤツの手も心も、汚させない。
そのためには、殺す覚悟だってある。

そんな戦いを、赤也やそかの奴らに見せることは出来ない。

「真田さん・・・」(桃)
「行け」(真田)
「で、でも!」(赤也)

もう、誰かを残していって後悔はしたくないのに。

「お願いだ。 赤也。 ここは俺に任せてくれ」(真田)

“お願い”・・・

「俺が逃げて・・・副部長は後悔しないんスか」(赤也)
「しない。 逃げてくれ。 お前が生き延びれば、本望だ」(真田)

そうだ。 
お前は、俺に心を守られなければならないほど弱くはないだろう。
俺が守らなくたって、自分の足で立ち自分の守りたい人を守れるだろう。
だから、俺はお前を逃がすだけだ。

「分かりました」(赤也)

あなたが、俺に賭けてくれるなら。

「切原・・・!」(桃)
「行こう」(赤也)

お前にも守りたいヤツがちゃんと居るだろう?
だから、俺たちにかまわず行ってくれ。

「副部長! 部長を、お願いします」(赤也)

そう言って、赤也は香澄のトコロへ走り出した。
桃も海堂を背負い、それを追う。

幸村は、それを黙って見ていた。

「ずいぶん、勝手なことをしてくれるじゃないか。 真田」(幸村)
「お前こそ。 大方、蓮二を殺したのはお前なんだろう」(真田)
「へェ、なんでも知ってるんだね」(幸村)

「もう、いい加減人を殺すのは止めんか」(真田)

頼むから。
俺たちをこれ以上苦しめないでくれ。

知ってるんだ。 全部。
お前がどれだけ、生きることを願ったか。
お前がどれだけ、死ぬことを怖がったか。
そしてどれだけ、仲間とテニスをやりたかったか。

「生きたいんだ」(幸村)

分かってる、分かってるよ。
そんなことくらい。
だけど、人をもう1度信じて欲しい。
このゲームで、生き残られるのがただ1人だったとしても。

「助け合うなんて、バカげてる」(幸村)

そうだ。
助け合うなんてムダなことなんだ。
最期はどうせ1人なんだ。
誰を信じたって、最期は1人。
なのに、なのに皆・・・他人を信じ助け合う。

「信じることに、意味なんてないさ」(幸村)
「そんなことはない、幸村!」(真田)

真田の頬に涙が伝う。

幸村は真田にもアイスピックを向けた。 

何故だか分からない。
その幸村の頬も、涙で濡れていた。

「何故、泣く」(真田)
「キミもね。 なんでだろう」(幸村)

泣いている幸村を見て、初めて本当の幸村を見た気がした。
誰かを信じたくて、でも信じられなくて。
誰かと助け合いたくても、1人で頑張るしかなくて。
本当は誰より、寂しがり屋で。

「幸村・・・」(真田)

病院のベットでずっと思っていた。
このまま、1人置いて行かれてしまうんじゃないかって。
だけど。皆は俺と一緒に歩んでくれた。

何故、忘れていたんだろう。

いつだって、皆が助けてくれていたことを。

羨ましかった。
手塚と越前が。
赤也達が。
この期に及んでまだ、助け合えることが。
自分で、助けてくれる仲間を殺したのに。
羨ましくて仕方なかった。
大切なことに早く気づいた君たちが。
俺は気がつくのが遅すぎた。

真田の必死な顔を見て、何故か思い出したんだ。

涙で濡れた顔で、幸村は少しはにかんだ。

「真田。 俺を殺してくれ」(幸村)




向こうへ逝ってアイツらに謝らないといけないから。

Re: バトテニ−地獄− ( No.27 )
日時: 2010/02/09 18:49
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 41 生きてる




「ん・・・」(リョーマ)
「リョーマッ 目、覚めた?」(香澄)
「先輩・・・」(リョーマ)

ベッドに寝かされていた。
ここは島の何処かの小屋なのだろう。
体には、包帯が巻いてあった。
背中の痛みも、もうほとんどない。

「生きてて良かったよ、リョーマ」(香澄)

そう言って笑う香澄。
何故だか涙がこみ上げてきて、我慢しようと思うともっとあふれ出して。
悲しいときの涙なんか、いくらでもこらえることが出来るのに。
やっと、そう言えるようになったのに。
この笑顔を前にして、涙がこらえられない。

「香、澄せんぱ、い」(リョーマ)
「ん?」(香澄)
「ありがとう、ございます・・・」(リョーマ)

何も、変わらないこの笑顔。

「変なの。 私、何もしてないよ?」(香澄)

香澄はそう答えたが、リョーマはそれ以上何も言えなかった。
体は、小刻みに震えていた。
あの情景を見れば、幸村と手塚とリョーマで何があったかぐらい、何となく分かる。
そうとうな地獄が繰り広げられていたのだろう。


「よく、頑張ったね」(香澄)


優しく、リョーマを抱きしめる。
だが、リョーマが首を横に振った。

「俺じゃない。 頑張ったのは」(リョーマ)
「え?」(香澄)
「部長が・・・いたから・・・」(リョーマ)

アナタもなんだろうか。
1人助かったことを、アナタも恥じているのだろうか。
後ろめたく思っているのだろうか。
それは、私たちも何度も味わってきた気持ち。

駆け寄った私に、手塚部長が教えてくれた。

“越前はケガをしてまで俺をかばった。
 そのアイツが自分を責めるようなコトを言ったら、その時はグラウンド100周させろ”


“それと・・・青学の柱はお前だと伝えてくれ”


今リョーマは自分を責めているのだろう。
今は、強くならなければならない。

「あのね、リョーマ。 手塚部長が言ってた」(香澄)
「え?」(リョーマ)

息を大きく吸った。

「そんなことを言うヤツは、グラウンド100周!!」(香澄)

香澄が急に大きな声を出すので、リョーマはビクッとした。
そんなリョーマを香澄は優しい瞳で見つめる。


「それと、お前は青学の柱だって」(香澄)


手塚部長、そんなカンタンに“柱”を譲らないで下さいよ。
まだ、直接対決してないじゃないッスか。
あぁ、でも。

“お前達が居てくれたからだ、俺が強く居られたのは”

俺が、アンタを支えてたって思っても良いんスか?

また涙が止まらなくて、俺は香澄先輩の前でバカみたいに大泣きした。
そん俺を、香澄先輩や桃先輩、海堂先輩、切原があわてながら励ます。
 
手塚部長、俺強くなります。
この人達の、支えとなれるように。

Re: バトテニ−地獄− ( No.28 )
日時: 2010/02/09 18:49
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 42 そういう人だから





大事な人間の今の状態を知らないことほど、怖いコトはない。


「なァ、宍戸」(侑士)
「なんだ?」(宍戸)
「まだゆうてへんかったけど俺、お前に会う前に樺地におうたんや」(侑士)
「樺地に?」(宍戸)
「せや」(侑士)

いつもどうりの樺地なら・・・なんの問題もないんやけどな。

「誰かと、一緒だったのか? つーか、声掛けなかったのかよ?」(宍戸)
「アホ。声掛けてたら、今俺はここにおらんわ」(侑士)
「はァ? どいういことだよ、それじゃァまるで、樺地が乗ってるみたいじゃねェか」(宍戸)

忍足が樺地の何を見たのか。
声も掛けずに、どうやって判断したのか。

「目が、鬼みたいやったわ」(侑士)
「目・・・?」(宍戸) 
「優しくジローの相手して、跡部の後ろ付いていたアイツとは明らかに違う」(侑士)

「心底、怖いって思った」(侑士)

「マジかよ・・・ そのこと、ジローや岳人や跡部は知ってんのか?!」(宍戸)
「分からん」(侑士)
「特に跡部に、跡部に教えないと・・・アイツ・・・」(宍戸)

跡部は樺地のこと、1番信頼しているだろう。
跡部の隣にはいつも樺地がいた。
だからこそ、幼なじみでおそらく親友であろう2人が出会う前に、事実を伝えなくては。

「せやから、俺は跡部が1番心配なんや」(侑士)

「探そうぜ、跡部を! ・・・でもさお前、岳人のことは心配じゃねェのかよ?」(宍戸)

お前ら、ダブルス組んだりして仲良かっただろ?、宍戸はそう問いかけた。

「・・・岳人は、自分なりになんとかやっとるような気がするし、そのうち会える気もする」(侑士)
「そういうもんか?」(宍戸)
「せや」(侑士)

忍足は、とことん大人だと思う。
いつでも冷静で、こんな状況でも決して取り乱さない。
俺はと言うと、すぐに頭に血が上るし、
長太郎が居なくなったと実感したときなんか涙が枯れるんじゃないかくらい泣けた。
アイツを思うと、今でもいくらでも泣けるだろう。

「大人だな、お前」(宍戸)
「なんや、急に」(侑士)
「いや・・・」(宍戸)

「大人ちゃうで。 全然ちゃう」(侑士)

「十分大人だろ。 すげェ冷静」(宍戸)
「冷静なだけが、大人じゃないで」(侑士)

涼しい顔で言う。
それは、俺が泣いたのは恥ずかしいことではないと言ってくれているのだろう。

「だから・・・そういうところが大人なんだよ」(宍戸)

何故か少し悔しくて、忍足に聞こえないように呟いた。

「行くで、跡部探すんやろ!」(侑士)
「おぅ!」(宍戸)

“跡部が1番心配”
忍足はそう言ったが、宍戸はもう1人気になっていた。
ジローだ。
アイツノことだから何処かに隠れているかもしれないが、出発前のあの感じのままなら、
寂しい思いをしているだろう。
そこで何も知らないまま、樺地と遭遇したら?

恐ろしい。

考えるのも、恐ろしかった。


「宍戸?」(侑士)
「ん、悪ぃ」(宍戸)
「いや・・・」(侑士)


今は、進むことだけ考えよう。
跡部もジローも岳人も、皆無事のハズだ。
大切なのは、仲間だ。
これだけは忘れない。
たとえ、最期は1人しか残れないとしても。



ガサッ



森の茂みから、何かの動く音が聞こえた。

「誰や?」(侑士)
「ッチ」(宍戸)

宍戸は銃を構えた。
手に余計に力が入る。
侑士の武器はフライパン、ハズレだった。
守れるのは俺なんだ。


「あ! 待って、撃たないで!」(香澄)

「お、おい!」(桃)
「宍戸さん! 忍足さん! 青学の一ノ瀬です!」(香澄)

「香澄・・・?」(宍戸)
「香澄ちゃん?」(侑士)


同じ人を探す者同士の、偶然の再会だった。

Re: バトテニ−地獄− ( No.29 )
日時: 2010/02/09 18:50
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 43 新たな仲間




「2人とも! 跡部さん見てませんか!?」(香澄)
「さっきまで・・・つーか、午前中までは一緒だったんスけど途中で居なくなっちまって」(桃)
「いや、俺らも探してるトコロなんだよ」(宍戸)

青学の香澄、桃城、海堂、越前に立海大の切原か・・・
このメンバーで今まで行動してきたのか?
自分たちよりも随分血や泥で汚れた5人を、宍戸達は見つめた。
おそらく、人は殺してないだろう。
だが、信じても良いのか?
信じて、樺地のことや跡部のこと全部話してしまっても良いのか?

「あの、同じ人を探して居るんなら協力しませんか? その方が効率上がると思うんですけど」(香澄)

宍戸達が、まだ自分たちの全てを知ってくれて信じてくれているわけではない。
それくらい、香澄には伝わってきた。
でもここで戦うわけにはいかない。

乗ってない人なら、なるべく話し合いたい。
話し合いが、ムダなことだとは思わない。

自分たちの思いを、知って欲しい。


「分かった。 ほな、そこで作戦会議しよか」(侑士)


「えッ」(香澄)
「このふざけたゲームも後半分も残ってない。 犠牲は少なくしたいからな」(宍戸)
「おッ」(桃)

疑うことを知らない瞳。
越前に限っては、桃城の背中で寝ていて顔は見ていないが、
他の4人は、俺たちを信じる覚悟があるように思う。

「話しが分かるじゃないッスか!」(赤也)
「先輩に向かって、失礼なコト言うな!」(香澄)

それに・・・ボロボロなハズなのに、笑っていられる4人。
その真ん中には、香澄が居る。
俺たちも、また笑いたい。
笑って、テニスがしたい。

このゲームを、狂った大人を、何とかしたいんだ。
こいつらと一緒なら、何とかなるような気がしたんだ。

「あ、ありがとう。 じゃ、あの小屋に入って会議しよう!」(香澄)
「おぅ」(宍戸)

希望が見えた。
一瞬、かすかな希望の光が舞い込んだ気がした。
仲間が増えるってことは、これだけステキなことなんだ。

また信じられるって、幸せなことなんだ。


「皆、そろった?」(香澄)

幸い、小屋の中には誰も居なくて香澄達が安全に過ごすことが出来そうだ。
そこで、香澄は皆に呼びかけた。

「いるぜ。 越前はダウンしてっけど」(桃)
「大丈夫なのかよ?」(宍戸)
「いろいろあったんだよ」(海堂)
「見りゃ分かるわ」(侑士)

「雑談はそこまでね」(香澄)

香澄は地図を広げた。


「皆で、必ず生き抜こうね」(香澄)


7人が1人1人、生きていることをかみ締めながら進んでいく。

犠牲になった友を忘れずに。


信じるモノは強い。

だから、俺たちに非情な決断なんか必要ないんだ。

Re: バトテニ−地獄− ( No.30 )
日時: 2010/02/09 18:50
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 44 聞いて欲しいこと



時刻は6時。
このゲームが始まって3日目も夕方に差し掛かっている。
香澄達は広げた地図を囲むようにして、小屋の中のテーブルに座った。

「話し合う前に聞いて欲しい」(侑士)
「え?」(香澄)

侑士は宍戸と顔を見合わせ、息を吸った。

「樺地が、乗っとるんや」(侑士)

その名前を聞いて、香澄は言葉をつまらせた。
跡部が走り去る前に言ったのが、“樺地”という名前なのだ。
そして、その目には・・・忘れられない。
涙が光っていた。

「か、樺地が・・・?」(桃)
「跡部さんと、いつも一緒にいる?」(赤也)
「“ウス”しか言わない人だよね」(リョーマ)

リョーマも起きあがって、話し合いに入る。
侑士は続けた。

「せやから、跡部が1番危ない」(侑士)

跡部さん。
あなた、樺地くんの何を見たの?
何処にいるの?


「跡部さん、泣いてた」(香澄)


香澄が一言言う。
全員が、静まりかえった。

「悲しそうな瞳で、森の中に走って行っちゃったんだ」(香澄)

誰もが、言葉を失う。
何があったのかなんて、とうてい想像も付かない。
でも。
その瞳が語る、悲しい現実はなんとなくそれぞれの胸に突き刺さってきた。

「今日は、ここに隠れて明日から跡部さんを探そう」(桃)

沈黙を破り、桃が言う。

とても、戦える状態じゃない。
敵とはおろか、今の皆は自分に負けている。
まだこのゲームは続く。
でも、今日までにも何度も地獄を見てきた。


だからせめて、今日この夜だけは。



俺たちに気持ちの整理をさせてくれ。


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