二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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月下で交わる二人のオレンジ
日時: 2012/08/26 12:23
名前: 月牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: WrJpXEdQ)

募集要項>>34

皆様初めまして。二次で書くのは初でございます。
今まで一つたりとも完結した試しが無く、またしても他と掛け持ちということになります。
ということで、ここでは違う名前を使いたいと思います。

二次初挑戦のくせに二つの作品を頑張っておりまぜようとしていますが、きっと大変な事になると思います。
ここを見た人はできるだけ温かい目で見守って下さいませ。

で、一体何の二次かというと、『リボーン』と、『BLEACH』の予定です。
基本主人公たちの使う技たちは原作に忠実に行きたいと思うのですが、一体どうなることやら……
ちょいちょい勝手に考えた意味不明なのが飛びだすかもです。

二つの作品の時勢は大体、リボーンは未来から帰ってシモンが出てくる直前。
BLEACHが……こっちはまあ、大体皆が破面編で最終決戦ドンパチしてるぐらいの強さです。
オリジナルのキャラは敵ぐらいしか出てきません。
後は特に変わらないでしょう。

題名の月下は単に残月を指してるだけで物語には直接関係無いかもです。


注意書き

作者とBLEACHとリボーン嫌いな人は読まない方が良いでしょう。

荒らしは来ないでください。誤字脱字や文章の至らぬ点を言ってくれるのは大歓迎ですが。

多分ね、キャラクターが上手く使えないと思います。

ストーリーの大体の流れは決まっていますが細部が決まっていません。

尋常じゃないほど更新が遅い。

まだ作者にも面白いかどうかが分からない。

小説のルール、できるだけ守ろうとします。(ダッシュとか三点リーダとかの話です)

台本ではないです。たまに誰がどれ言ったか分かんないかも


第一章 交わる二つの世界

>>1>>3>>5>>13>>14>>18>>22>>25>>29

第二章 戸魂界<ソウル・ソサエティ>

>>30>>33>>35>>40>>57
>>48————アナザーサイド

第三章 開戦

>>58>>64>>74>>75>>76>>77>>78>>79>>81>>84

第四章 進撃

>>91

記念短編的な?
篠原鈴VS雲雀>>82
詩音&紅蓮&風花VS一護>>83



【オリキャラ達】
時空未来>>36
篠原鈴>>38
双竜詩音&双竜紅蓮>>41
鈴音風花>>51

【記録……的な?書くのは気まぐれ】

12/1 スレッドが立つ。一章がスタート
12/17 参照100超えを確認
1/15 一章完結
1/19 二章スタート
1/20 参照300
2/8 参照400
2/17 参照500
2/19 返信五十
2/23 二章完結
2/24 三章開始&参照600
3/2 参照700
3/15 参照800
3/24 参照900
4/1 三章完結
4/4 参照1000
4/19 参照1100
5/12 四章開始&参照1200
6/5 参照1300
8/25 参照1600

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Re: 【三章開始】月下で交わる二人のオレンジ【キャラ募集】 ( No.72 )
日時: 2012/02/29 17:44
名前: 凜羽 (ID: oYbsev37)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=27272

月牙様
すいません、炎修がURL間違えていたみたいで、今度は見れると思います。
私は他サイトでも小説書いてるような者でして…。私はリアルでもネットでも完結したことはありません(笑)
書いていたらネタが思い浮かぶんです、それも全く違うような話…。
私も自信がついて、完結するような話だったら一人で書き始めるつもりでいます。
では、失礼いたしました。 今後ともよろしくお願いします。
凜羽

Re: 【三章開始】月下で交わる二人のオレンジ【キャラ募集】 ( No.73 )
日時: 2012/03/01 19:30
名前: 月牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: Bt0ToTQJ)

あ、やっぱりその小説であってましたか。
今度はこちらから行こうかと思います。

さてと……今日はこちらの更新は難しいので明日にでも。

Re: 【三章開始】月下で交わる二人のオレンジ【キャラ募集】 ( No.74 )
日時: 2012/03/03 13:34
名前: 月牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: 0BucpTCd)
参照: 沢田綱吉VS篠原鈴


 雲雀と時空との対戦が決着することより遡ること数分、まだ篠原が時空と一緒にいたころ、篠原は上空に飛び上がる沢田を見つけた。ようやく標的発見だと意気揚々とした彼女は一緒に走っていた時空を放置して跳び上がった。隠していた自分の武器である二枚の鉄扇を取り出し、超モードに突入している沢田に向けて炎を飛ばす。案の定、すぐさま反応した沢田はあっさりと空中で回避し、発射した篠原を視界に収める。
 そしてそのまま思い返す、映像に出ていた一人一人の顔を。そして、その内の一人に、確かに存在していることを思い出す。それならばと、沢田の方も戦闘の準備は万端となる。相手が女だからだろうか、少々気乗りしない表情だ。それを目に収めて軽く篠原は舌打ちをする。女だからと甘く見るものではないと。実際に篠原自身時空同様の腕を持っており、雲雀クラスの実力を持ち合わせている自信はあった。

「お前が、この世界で暴れたのか?」
「そうだよ。あんたらが来るのを待ってたんだぜ。特に私はあんたをな! 先に言っとくけど、女だからって嘗めんなよ」
「……そのつもりだ」

 重力に負けて、一旦地面に降りた篠原に、跳びながら彼は声をかける。淡々とした口調で、静かな怒りを携えながら。それを聞いた篠原はさも当然と言いたげに嬉々として返答する。来るのを待っていた、というからにはおびき出すために街を壊したのだろう。それがすぐに察せられた沢田は、今度はむき出しの怒りを表情に出す。ただ、自分たちを呼び出したいのなら、正面からそう言えば良い。
 それなのに、無駄に人を傷つけるようなやり方を選択した相手が許せなかった。たとえそれが、マフィアに向いていないと罵られようと関係無い。彼自身マフィア自体になりたくない理由の一つに、そういう無暗に人を傷つける人間が数多くそこに存在していたからだ。
 手加減する、その理由が消えた。手のグローブに一気に感情を乗せる。途端に沢田は加速し、その姿が視認できないほどの速度に到達する。初っ端から全力だという状況にさらに歓喜する篠原、どうやら雲雀と同じタイプのようだ。
 超高速の沢田綱吉の動き、完璧に見えると言えばそれは明らかに嘘だ。どちらかと言えば見えないに近い。ただし、多少感じ取ることはできる。意識を集中して、炎圧の強い部分を察知すれば、そこに必ず存在している。
 休むことなく動き続ける炎の動きが、一瞬ぴたりと止まる。ほんの一瞬、瞬きよりも短いような刹那の感覚だが、篠原は反応する。静止したのは自分の丁度真後ろ。得意げに、「見切った」と呟きながら鉄扇を振るい、先端の刃から斬撃状の炎を発射する。直撃する、とまではいかないだろうがきっと足止めやかすり傷程度には役に立つだろう。
 だがここで篠原は侮っていた、超直感、そういうものの存在を。
 鉄扇から飛び出したその半円型の攻撃は沢田を捉えることは無かった。そこに沢田がいたであろう一に残った微かな炎圧だけを斬り裂いて空ぶりに終わる。しまったと思いながら察知を再開しようとしたその時、左側から強い威圧感が訪れる。そっちにいると気付いた彼女は即座に防御に転じる。両手に持った二枚の扇で、大空属性の炎圧を込めた二筋の突風を巻き起こす。吹き荒れる二つの猛風は衝突し、うねりを上げて螺旋を始める。炎で出来た小さな竜巻、それは沢田の進行を阻害した。
 かろうじて開戦早々の危機を脱した篠原は、安堵の息を吐く。こちらの一手を先読みしての超高速の方向転換、思っていた以上の強さに感嘆する。明らかにスピード面は圧倒されているだろう。しかし、それぐらいのビハインドぐらいは、産めないといけない。
 二枚の扇で発生させた炎の竜巻はまだ吹き荒れている。咄嗟に出したものだから、それほど長時間は残らないだろうが、三十秒は残るだろう。その間に、できるだけ多くの竜巻をさらに作りだす。
 いくら超スピードでも、コースを制限してやれば、先読みはできる。それがこの数カ月叩き込まれた沢田対策。縦横無尽に駆け巡るからこそ沢田のようなタイプは強い。よって、あらかじめこちらが障害物を設置しておけば格段に闘うのが楽になる。
 鉄扇の骨組みの接合部、そこが炎を灯す特殊な素材でできている。そこに点いた炎が扇全体をコーティングしているのだ。そして振るう瞬間、任意のタイミングで飛ばすことが可能。そうやって斬撃や燃え盛る突風を巻き起こしている。
 かなりの時間留まり続ける竜巻を目に収めて沢田も考える。もしかしたらこれはそういう目的で設置されているのではないかと。その可能性を考慮した沢田はもう一度攻撃に転じようと速度を上昇させる。もう一度、篠原の目で追えぬ速度に到達する。
 大体の事は気付かれてしまったと察知した篠原は焦りながらも不敵に微笑み、両手に持った鉄扇を使って空気を叩く。一つ目のものとは違い、かなりのクオリティで作りだした二つ目の竜巻は規模、威力、耐久時間、それら全てを圧倒していた。
 速攻で片付ける必要があると判断して正面から踏み込んだ沢田は進行方向と同じ方向に炎を撃ちだして減速する。左手のグローブの炎圧を急上昇させる。反作用の力で右サイドに回り込む。しかし、それも大体対処は打たれていた。もう一つの巨大なとぐろを巻く炎。左手の強力な炎に反応した篠原が瞬時に作り上げたものだ。
 今度は今の位置から正反対の立ち位置の、さっきの位置から考えて左側に回りこもうとする、しかしそう判断する前にすでに、半円型の斬撃が空を飛んでいた。咄嗟に半身捻って躱そうとするが、軽く腕の辺りを掠める。大した板でにはなっていないが、傷口からうっすらと血が滲み出る。
 一発回避して安堵する暇も無く、次々と飛んでくる橙色の刃を回避し続ける。右へ左へと回避するが、段々と動けるスペースが減ってくる。先程から隙を見て篠原が竜巻の数を増やしていたからだ。

「さて、そろそろ自分も行きますか」

 そうして沢田に向かって、ジャンプする。かなりの脚力のようで、もろにその衝撃を受けてしまったコンクリートの地面はひび割れる。細かいコンクリート片が舞い散るのを目にした沢田を目を見開く。蹴り技には充分注意、そう思った矢先に発見する。篠原の膝より下が炎に包まれているのを。
 確実に喰らう訳にはいかない。沢田は残されたラスト一つの逃げ道である上空に向かう。ただし今度は篠原は重力に負けなかった。その強靭な脚力で空を蹴る。相当の衝撃を叩きこまれた大気から、反発する力を受けて上昇する。まるで、空を歩くかのように。
 両足に纏われた炎が視界にちらつく。もう一度、喰らう訳にはいかないと反復する。さらに高度を上げるも、やはりついて来る。だが、もうすぐ竜巻の高さも足りなくなる。大体竜巻の高さは一番高くて二十メートル。
 ただしそれも、篠原が高っ差を付け足さなかったらの話。そして彼女は、持てる限りの力を込め、自分の作れる限り最大の竜巻を巻き起こす。それは沢田を襲うことなく、二人を取り囲むように風邪が巻き起こり、監獄のように二人を閉じ込めた。それも、情報を塞ぎこみ、逃げ場を無くして。
 確実にこれで終わりだ、そう思ったその時に沢田は、アニマルリングに炎を流し込み、大空ライオンVer.V<レオネ・ディ・チェーリ・バージョンボンゴレ>を呼びだす。瞬間その小柄な獅子は輝きを上げる。

「形態変化<カンビオフォルマ>・モードディフェーザ」

 途端に漆黒のマントが現れて沢田はそれを纏う。篠原の蹴りを真っ向から受け止める。初代のマント<マンテッロ・ディ・ボンゴレプリーモ>、それが沢田の形態変化の武器のうちの一つだ。ボス自身の身を護る堅牢な鎧、それが初代のマントだ。
 黒衣と革靴が、お互いに炎を衝突させて火花を巻き上げる。軍配が上がったのは篠原の方だった。黒い衣を纏った沢田は逆に押し込まれる。

「くっ……。かなりの威力だ……」
「負け惜しみはそれだけ?じゃあ、こっちから……!」

 最後の留めの一撃、それを決めるために今までで最も力強く空気を蹴りつける。自分が吹き飛ばした沢田にすぐに追いつき。体を回転させて物理的なエネルギーを溜めこむ。まだまだ体勢は崩れている。
 これでお終いだと、口に出して銘打って、彼女は脚を振り上げる。マントもない状態で沢田は受け止めようと手を伸ばす。鳩尾を庇うように、両手で。焦りが現れているのだろうか、額の炎は強弱を繰り返す。
 篠原の革靴が完全に沢田の体に入る。その瞬間に、黒い煙を残してゆっくりと沢田の額の炎は完全な鎮静に向かう。篠原はこの一瞬で勝利を確信した。

「よし! 勝……利……?」

 よしと叫び、勝利と言おうとしたその瞬間、再び沢田の頭の炎が点く。何事かと思い注目するとまた消える。点いては消え、点いては消えを繰り返すその様子に、脳裏をよぎる一つのアンサー。
 不自然な炎の明滅、間違いなく、零地点突破改————。

「そん……な……」
「終わりだ」

 勝利を確信したというのに、嵌められたのは自分だと気づく。沢田の手元では両手の親指と人差し指を組み合わせた正方形に、篠原の脚が掴まれていた。
 死ぬ気の零地点突破、そういう境地がある。死ぬ気正の方向にある時、人は爆発的な強さを発揮する。そして、その死ぬ気の対照的な位置にあるのが零地点突破だ。別に本当に死んでしまう訳ではなく、相手が攻撃として放った炎の威力を軽減させることができるのだ。
 死ぬ気の零地点突破とは、その境地そのものの事を指す。攻撃の威力の軽減が主な効果だ。それに対して沢田が独自に改良した零地点突破改はれっきとした技だ。その効果は、軽減ではなく、吸収。触れている所から敵の炎を吸収する。
 根こそぎ炎を体中から吸われていくのを感じ、篠原は溜め息一つ吐く。まさかこれほどまでに強いとは、と。完敗だと、本人に伝わるか伝わらないか分からないぐらいの声で呟く。そこで彼女の意識は一時途絶え、気絶する。その体を支えるように沢田は両手を伸ばす。
 こうして、二つ目の闘いは決着した。




篠原VS沢田完結です。次回は獄寺山本達が双竜姉弟と対決予定です。
二対二なのでいつもよりも時間かかります。
そして……やはり700記念ではなくもう少し進んでからになりそうです。
今のところの予定は……

1、篠原VS雲雀
2、鈴音&詩音&紅蓮VS一護(強さ調整含む)です。

勝敗は執筆時の雰囲気に任せます。
ご希望の勝敗(ドロー含む)があったら言ってください。

Re: 【三章開始】月下で交わる二人のオレンジ【キャラ募集】 ( No.75 )
日時: 2012/03/07 17:34
名前: 月牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: 5DiXAqe.)
参照: 獄寺&山本VS詩音&紅蓮 その一。

「さて……獄寺隼人と山本武だな? 俺は双竜紅蓮」
「そして僕が弟の双竜詩音。了平さんの指示の下、あなた方のリング、貰いに来ました」

 獄寺と山本を待ち構えていたのは二人の剣士。青い長髪の背の低い一人と、短髪の赤い髪の女。それぞれ青と紅の、透き通るような刄の剣を持っていた。スラリと細長く伸びたその剣はとても綺麗で傷もあまり付いていなかった。単に経験が浅いのか、普通に強いのかは分からない。
 ふと、二人の脳裏をよぎる一つの疑問。それは詩音自身が言った、弟であるという発言。長い髪の毛に姉そっくりの顔、そのせいで戸魂界にいる時からずっと女だと思っていた。しかし今の一言で思い込みは瓦解された。

「僕は雨の剣士同士おもいっきり闘いたいんだけど、良いかな?」
「構わねぇぜ。女だと思ってたから闘いづらかったけど、男ならやってやる」
「俺はそっちの女か……。俺は女だからって手加減するつもりはねぇぞ」
「ハッ、手加減って言うのは強い方が言う言葉だぜ」

 瞬間、眉間に皺を寄せた獄寺が炎を灯す。そのままもう一方のリングと反応させ、自らの武器を取り出す。左腕に髑髏を模した小型の大砲のような武器を付け、右手の五本の指全てにリングを付けている。そのリング一つ一つの属性は全部が異なっていた。そして腰のベルトには匣がいくつも並んでいる。肩には一匹の猫が乗っている。
 同時に山本も同様の行動を取る。彼が構えると同時に竹刀は隠されていた真剣の姿を剥き出しにする。雨の炎がその刀身を包み込み、それを右手に持つ。左手には匣アニマルの犬が差し出す小刀が三本。三本とも柄だけの存在だったが、山本が触れると同時に、雨の炎で刄が構築された。

「紅蓮って言ったな。お前、嵐か?」
「いや、俺の属性は晴れだぜ」
「そうか。じゃあ一つ言っておくぜ」
「何だ、手加減して下さいってか?」
「ボンゴレ嘗めんじゃねぇ」

 髑髏の口、つまりは大砲の銃口を紅蓮の方に向ける。最も基本的な弾薬は既に込められている。反動で狙いがぶれないように右手で支える。集約された深紅の炎が火炎放射機のように、その大口径から発射される。分解作用を持った嵐属性のレーザー、破壊力は十分。
 それに対しリングを持たない紅蓮は、炎を剣に灯す。紅蓮の持つフレイムソードと呼ばれる紅の剣と、アイスソードと呼ばれる詩音の持つ剣は共に、リングを作る石と同じ素材でできている。
 先ほど言った通り紅蓮は晴れ属性の炎。本来黄色の炎を点ける筈だが、刄の赤みが強く反映されて赤に近い橙色に変わっている。
 油断は絶対禁物、それを踏まえて先手を打った。最も単調で一般的な攻撃だが、初撃の様子見にはもってこいだろう。赤いレーザーは紅蓮に迫っている。もう後は瞬きを一度でもすれば届きそうな距離。そして、レーザーは彼女を貫いたかのように見えた。
 一切の挙動を見せる素振り無く、今の赤炎の矢<フレイムアロー>を真正面から喰らったのに少々違和感を感じる。雷属性ならば防御力強化などもできるかもしれないが、晴れで直撃するのは危うい。自己治癒力最大活性をして回復できても、一撃で倒されたらどうするつもりなのだろうか。
 だが、細心の注意を払ってよく目を凝らしてみてようやく気付く。彼女に直撃する前と後の赤炎の矢では、若干左右の幅に違いがあると。何事かと思い、考査する。出てきた答えは一つ、手元の剣で斬り裂き、真っ二つに裂いて自分に寄せ付けなかったのだろう。斜め向いた曲がり道に差し掛かったように切り口を中心として左右に広がっていた。
 すぐさま獄寺は判断する、紅蓮は晴れの中でも、治癒よりも肉体活性で攻めるタイプなのだと。速度面では明らかに勝ち目がないであろうから、気を緩めないように注意する。匣の内の一つを開けて、ディスク状の移動兵器を取り出した。炎の光線が完全に彼女を通過した後に、紅蓮は駆け出した。
 確かに常人には出し難いような速度だが、常日頃傍にいる沢田や、雲雀と比べると数段見劣りする。ならば先程の、いとも容易くこちらの攻撃をいなしたことから、スピードよりもパワーに重きを置いていると発覚。絶対に喰らわないようにと心がける。
 彼女の剣を取り囲む炎が一層強くなる。何かしら仕掛けてくると察した彼は違う匣を開く。そこには新たな弾薬が入っており、元々付けていたものと取り換える。棒状の小さな弾丸がいくつも連なっている。

「……果てろ」

 発射弾数の増えた分、きっちりと狙いを定めて撃ちまくる。まるでボウガンで撃つようなその弾頭は、後部からオレンジの炎を放っていた。
 獄寺の戦闘スタイルは、SISTEMA.C.A.I<システーマ・シーエーアイ>というものだ。特徴的な五種類もの炎を使い分け、その場に応じて適切な闘い方を取る。そのうちの、今発射した弾は晴れ属性の活性で不規則にその速度を増加させる。
 あらゆる方向から狙い撃つ分、どれか一発程度は当たるだろうと踏んでいたのが甘かった。大して速度に変化が無いと、妥協した考えもよくなかった。確かに紅蓮は移動速度はツナほどではない。しかし、剣士としての腕前は確かで、剣を振るう動作はかなり早い。
 刀に纏った強力な炎と共にそこらに剣を振り回す。そちらのスピードはかなりのもので、ほんの一瞬油断をした彼には視認できなかった。だが、これだけは分かった。高速で振るわれた刀はその炎で壁を形成、獄寺の撃った弾薬を次々と消炭へと変えてしまった。

「なっ……嘘だろ!?」
「煉獄斬だ、甘く見んなよ!」

 名前から察するに炎で燃やしつくす系統の技なのだろう。やはり攻撃面は馬鹿にできないと分かる。ディスクで飛び上がろうにも、それにはそれほどの飛行性能は備わっていないため、しづらい。その上、これの飛行可能領域ならば、彼女が飛び上がれば届くだろう。
 ならば盾を出すのが賢明と言うもの。違う匣にまた手を伸ばす。そこからはただの黒い輪が取り出された。紅蓮はただのガラクタだと嘗めて掛かる。しかし次の瞬間にそれは空中に浮き、空洞になっていた輪の中を嵐の炎が入りこむ。そしてその上を、さらに防御力を向上させるために雨の炎がコーティングする。
 それでも、パッと見た感じちゃちなシールドだという事に大差はない。自信を持ち、余裕の表情で斬りかかる。砂煙を舞い上げて衝突するも、その盾は砕けなかった。嵐属性の効果“分解”による破壊効果と、雨属性による“鎮静”によって、紅蓮の炎が無力化されたのだ。
 そうやって止めたはずなのに、獄寺の周りを強い熱気が立ち込める。確実に炎は消し去ったはずだが、この現象はどういう事か、初めて起こった事に狼狽するが深く考える暇はなかった。

「本来俺たちはコンビで闘ってんだけどな、今日は珍しく詩音が我を通したがってんだ。だから俺は姉貴らしくお前はさっさと片付けるぜ」
「自慢の技簡単に止められて何言ってやがる。それに、姉らしくするならもっと御淑やかにでもしときな」
「自慢の技止められてんのてめえも一緒だよ。姉貴恐怖症のてめえの話を聞く気もねえけどな!」
「けっ、そんな下らねえ情報まで流れてんのか。良いぜ、次は全力だ」

 さらに別の匣を開き、また異なった弾頭を取り出す。そして今度は深紅の大砲に、微かな緑色の電撃が垣間見える。雷属性の炎の色は緑色、そして炎と言うよりも電気に極めて酷似している。その炎が及ぼす効果は“硬化”。七属性の中で最も硬度の高い雷の炎を帯びると、防御力や攻撃力が上がる。
 この場合はその効力を、攻撃に使っている。この武器の形態では随一の威力を誇っている。

「かなり本気じゃねえか、じゃあ俺だってやってやるぜ」

 途端に、刀を包み込む炎は膨大な量となり、紅蓮本人を呑みこんだ。体全体を活性化させた攻撃。正直雷で威力を上げたところで、力不足になる可能性の方が充分に高い。
 ダメならば次があると、高をくくる。どのように仕掛けてくるかは知らないが、おそらく単調であろうと。その予測が外れていると分かるのは、そう遠い未来では無かった。
 瞬間、紅蓮は駆け出す。それと同時に獄寺も渾身の一発を発射する。覚悟は込めた、ただの一撃では壊れない自信はある。
 だが、突如として紅蓮の炎は姿を変えて行く。ただの無造作な力の塊だった炎が次第に輪郭を作りだしていくのだ。少しずつ、少しずつ、何かの形を成すようにしてその外観は変化していく。
 最初に出来上がったのは牙のようなものだった。尖った炎は牙だと、すぐに口の部分だと分かった。この段階ではさほど恐れることは何も無い。ただ、次がかなり不味かった。次に出来上がったのは髭、それも一本の長いものだ。人間に生えているようなものではない。完全にナマズやとある想像上の存在の生やすものだ。

「こっちだって全力で行ってやんよ、焦土龍帝!」

 もうすでにはっきりとしていた。紅蓮を包む炎は、怒り荒れ狂う龍の頭部を表わしていた。その堂々たる威厳や、まさに皇帝の如く。それの前では獄寺の砲台など、オモチャ同然。あっさりとその口に呑みこまれ、無力と化す。
 その名に恥じぬほどの熱量を持ち、通る所から技名通り焦土へと変えていく。

「なっ……どういう威力してんだよこいつ!?」

 顔を引きつらせながら吠えるように叫び、咄嗟に後ろに飛び退く。しかし、一直線に進んでいるのだから下がった所で無駄。ほんの少し寿命の延びるだけだ。それが分かっていながらも時間稼ぎに後ろに退く。自身最強の武器を使うために。

「瓜……形態変化<カンビオフォルマ>」

 瓜……彼のアニマルリングから、大量の匣と共に現れた小さな猫は形態変化の合図で、沢田や雲雀のそれと同様に光の糸を張りだす。髑髏の上で、威嚇するような唸り声を上げて。目のくらむ閃光が消えた時には、髑髏型の兵器は弓型の武器へと姿形を変えていた。
 初代ファミリーの、ボスの右腕として恐れられていた男がいる。普段は拳銃で闘うが、ここぞという場面ではボスから託された弓で闘った。その強さはまさに百戦錬磨、彼の名前は“G”。よってこの武器はこう呼ばれる、“Gのアーチェリー”と。
 弦を引き寄せる、ただそれだけのことで、相当な量の炎が漏れだす。ただ弓を持ったまま、発射態勢に入っただけで先程よりも威力が上がる。それに最も戦慄を覚えているのは他ならぬ紅蓮だ。それでも、たったそれだけの攻撃では龍は崩れない。

「それで勝ったつもりになってんじゃねえぞ……赤竜巻の矢<トルネードフレイムアロー>」

 精いっぱい引き絞られた弓矢の弦から、獄寺は手を離した。息を呑む間もないまま、一瞬の間隙に弓はその弾性力で形を戻す。その拍子に、溜めこまれた炎圧が一挙に放出された。その時は、無音。だがそれは感じた事の無い恐怖を紅蓮に与える。適当な破壊音ならば大体の威力は察せられる。だが、無音。それは自分の焦土龍帝も同じ。それが指している意味はかなりの力だぞ、ただそれだけだ。触れただけで嵐の“分解”によってコンクリートが崩壊する。それはどう見ても並々ならないだろう。
 ぞっとしたままに突っ込む。それがいけなかった。死ぬ気の炎は本来、覚悟を炎に変えている。不用意な恐怖は意志を不安定にする。必然的に、その威力を下げてしまう。
 衝突した二つの炎塊は、大気を押し潰して大爆発を巻き上げる。それは、隣の雨の剣士二人にとっては巻き起こせない大規模な闘いだ。だが、そっちの二人はそっちの二人で、お互いの剣技をぶつけ合って、ただ、楽しんでいた。




はい、完成。この闘い分けます。
まずは紅蓮VS獄寺。勝手に焦土龍帝とかいうチートな感じなの作りました。
まだ決着ついてませんがね。
勿論双子なので……ねぇ……
次回は剣での闘いです。一番好きなの剣での戦闘シーンです。
そのせいで時空が大分剣を使って闘ってました、すいません。
次回は詩音VS山本です。
最後に謝罪です、戦闘シーン好きすぎて無駄にくどいです。
読みにくかったらすいません、本当に。

Re: 【三章開始】月下で交わる二人のオレンジ【キャラ募集】 ( No.76 )
日時: 2012/03/10 17:16
名前: 月牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: QuEgfe7r)
参照: 獄寺&山本VS詩音&紅蓮 その2。


「向こうは向こうで激しく闘ってますね。僕たちも始めましょうか」
「構わねえぜ。もう、剣構えちまってるしな」
「それもそうですね、じゃあ、リング取られても恨みっこなしですよ」
「命は……取らねえのか」
「そのような命令が下らない限りは……ね」

 同じだ、そのように山本は感じる。元来の性格では破壊活動は嫌いなようだ。とすると、何かしらの原因があるのかもしれない。このように市街地を襲撃した、その理由が。幻騎士だって、そうだった。人間いつ道を踏み外してねじ曲がった行為に走るか分からない。それならば、少しでも道を逸れてしまった者を元のレールに戻すのが、自分たちの仕事。自分の親友ならばそのようにする筈だと山本は狒降り頷く。
 対する詩音は、いつ踏み込もうかタイミングをうかがっていた。適当に突っ込んだところで、倒せないほどの実力の剣士だと分かり切っている。それでも、攻めないと勝利は訪れない。

「迷っても仕方ねえし、そっちが来ないならこっちから行くぜ」

 その山本の一言に、詩音は意気を入れなおす。自分から行かないのならば向こうから来る、当然の事だ。タイミングを窺うも、機を逸してしまった自分に叱咤する。いくら訓練で良い成果を残しても、本番でこれでは、姉の紅蓮に示しがつかないと。
 一度攻め入る機会を逃してしまったのならば仕方ないので、動きだそうとする山本と、真正面から相対する。ちょっとでも気を緩めたら怪我の一つや二つは負うだろう。
 山本が左手に持つ、雨の炎が刃を象る小刀から、雨の炎が噴射される。沢田ほどではないが、それなりの速度での移動を可能にすると情報が入っているために集中してその動きを見極める。確かに速いが、対応ができないほどではない。その気になれば一太刀返せるかもしれない。
 唯一普通の刀として持っている、先程まで竹刀だった真剣、時雨金時を山本は振りかぶった。時雨金時という刀は普段は竹刀の形なのだが、時雨蒼燕流という流派の技を使う時のみ、真剣としての真の姿を現す。なお、未来での修行中に、彼はその刀身に炎を纏わせる技術を習得した。以来、彼は炎を剣に包ませている時は常に刀身をむき出しにすることが可能となった。
 よって、刀身がむき出しという事が、時雨蒼燕流の型を使うということには繋がらないので、普通の剣としても注意を払わなくてはならない。普通に真横に振っているだけなので、ただの斬撃だろう。
 ついに、刀同士がぶつかり合える距離に山本が侵入する。それを感じた詩音は目の前にいる彼の刀に細心の注意を払う。山本という人間らしく、峰討ちになっているが。
 一閃として宙を走るその刃に自身の剣を重ね合わせるように剣を振る。見事に二本の刀は衝突し、金属の擦れ合う音を奏で上げる。二人分の雨の炎が、池に石を投げ込んだように飛び散る。
 お互い、相手の雨の炎の効果が自分に及ばないように、雨の炎で牽制していた。雨の炎の持つ効果は“鎮静”。意識を闇に沈めて気絶させたり、炎を弱めたりすることが可能だ。よって、前者の使い方で体内に炎を送りこんで気絶させることは、勿論可能。それを防ぐために相手の雨属性の効果を自分のもので鎮静させて、無効化しているのだ。

「反応速いじゃねえか。幻騎士並だな」
「それは有難い、褒め言葉です。だけどもっと……剣技、見せて下さいよ。僕を魅せて下さいよ」
「洒落言う余裕があるんだな、良いぜ見せてやるよ」

 山本は自分の、犬の方の匣アニマルの方に、「小次郎」と声をかけて、三本の小刀を投げ渡す。炎を灯す山本の手から離れたその瞬間、炎の刃は消える。あっさりと、小次郎と呼ばれた柴犬は三本とも受け止める。
 山本はというと、空いた左手に残した一本の真剣を持ちかえる。持ちかえるための、短い、瞬く間に、両手で詩音の刀を押し込める。一気に力を加えられた詩音は、刀ごと後ろに押しこまれる。そうして体勢を立て直す瞬間に、またしても山本は間合いを詰め寄る。期待に応えるため、時雨蒼燕流の型に入る。
 辛うじて体勢が万全の状態に戻った詩音は目の前に、再度迫った剥き身の刃先に戦慄を覚える。ぞっとするような悪寒と共に、反射的に刀を合わせて止めようとする。だが、彼の刀はただ、空を斬る。山本の剣にも触れず、当然山本にも当たらず、空ぶりになる。
 なぜかと思い目をこらすと、いつの間にか時雨金時の方は空中を動いていた。すぐに気付く。刃を交える手前の間隙に、右手に受け渡すために投げたのだと。これはちゃんと情報が入っていた。


——————時雨蒼燕流・攻式五の型“五月雨”


 五月雨とは、特に決まり切った型は無い。直前に刀を持つ手を持ち替え、タイミングをずらして敵を斬る技だ。別に右手から左手に渡しても問題は無い上に、縦の動きでも可能だ。単純だが、一旦騙されると対応に困る。
 直前になって躱そうとするも、当然のごとく完璧に避けきるのは不可能。多少体を捻って極力致命的なダメージにならないようにする他ない。脇腹の辺りの服が裂け、薄皮一枚を斬り裂く。胴体へのダメージは、山本の峰討ちもあってか、それだけで済んだが、左手の甲に一筋の切り傷が入る。定規で書いたような赤色の、真っ直ぐな切れ込みから垂れるように血が零れる。

「流石ですね……一本取られました」
「ダメージあんまり通ってねえな。お前もやるんじゃねえの?」
「ええ、ではこっちから行きましょうか」

 途端に、山本が寒気を感じる。しかしそれは精神的なものではなく、気温的なものだと察する。隣では紅蓮の煉獄斬で、視界が揺らぐような熱が立ち込めているというのにだ。精神的ではなく気温が変わるほどの冷気だからこそ、彼は目を丸くした。当然のごとくこれを起こしたのは詩音だろう。
 ピシピシと、踏みつけた薄氷が砕ける音がする。いつしか詩音のアイスソードは白い煙を上げ、空気中のあらゆるものを凍らせていた。見ただけでは分からないが、水蒸気だけではなく、酸素や窒素、水素までもが凍っている。

「これは、姉さんの煉獄斬とは対照的な技です」
「雨の炎って……そんなことまで出来んのかよ……!」
「使い方ですよ、問題は。この技はですね————」

————物体の温度というものは、分子の振動によって決まっているんですよ。分子が、強く大きく動くことで熱量は上がり、反対に動かないと温度は下がる。分子を強制的に活性化させて温度を上昇、そのようにして全てを燃やしつくすのが姉さんの煉獄斬。そして対照的に分子の振動を鎮静化させて温度を下げ、絶対零度にまで持っていくのがこの氷鈴斬です。
 かなり長い詩音の説明が終わる。頭の弱い山本がそれを理解できる訳が無く、目を丸くしている。先ほどとは全く違う理由で。

「あのさ……全然分かんねえんだけど?」
「別に良いです。何にせよ、今の僕の剣は全てを凍らせられる!」

 今度はさっきまで受け身だった詩音の方から仕掛ける。次第に剣が、空気中の気体が凍ったものがこびりついて重くなっていくも、時折崩しながら進んでいる。それを見た山本は、言っていることはまんざら嘘ではないと納得する。
 だとすると、かなり恐ろしい能力だと踏む。防御壁を作り上げるために、一旦構えを取る。刃先を地面に押しあてて、ゆっくりと息を吐き出す。

「時雨蒼燕流・守式二の型“逆巻く雨”!」

 雨の炎を最大限に練り上げて、一気に剣を上空に向かって振り上げる。刃を纏っていた炎が、尾を引くようにして水のように透き通るも、光を反射させる壁を作り上げた。その隙に姿をくらませ、回避に徹する。
 そんなもの無駄だとでも言いたげに、詩音は一気に突っ込もうとする。すると予想外のことが起きた。姿をくらませたはずの山本が、その雨の炎の壁越しに見えたのだ。だが、まだ向こうは間に合っていないと判断した詩音は、山本が出てくるよりも先に逆巻く雨ごと山本を斬り裂いた。
 水のような性質の雨の炎が、絶対零度に当てられて、氷となり、砕かれて舞い散る。キラキラと舞い散る氷の欠片の中に、山本はいなかった。人を斬った感覚も、詩音は感じていなかった。
 背後からとてつもない威圧感を感じて、詩音はハッとする。逆巻く雨から転じる技が、時雨蒼燕流にはあるのだ。攻式九の型として。“うつし雨”と呼ばれるその型は、逆巻く雨で作った壁を鏡として使い、思ってもいない方向から攻撃する。

「後ろですか……!」

 同様で、絶対零度は崩れる。それでも、かなりの冷気は残っているのだが。後ろに現れた山本は今にも刀を振りおろそうとしていた。それにもすぐさま反応した詩音は、刀で防御する。重力のハンデを負ってしまっているため、両手を添えて。
 地面に降り立った両者は一旦間合いを取る。詩音は一旦落ちつくため、山本は次の一手を打つためだ。一方が心を落ちつけているうちにもう一方は相棒の燕を呼んだ。
 上空に待機していた雨燕<ローンディネ・ディ・ピオッジャ>が急降下する。そして、地面に衝突するすれすれに方向転換、詩音の方を向く。それに合わせて山本も駆け出す。雨燕は翼から強力な雨の炎を発し、山本を包み込む強力な外甲を形成する。

「時雨蒼燕流・特式十の型“燕特攻<スコントロ・ディ・ローンディネ>”」

 見る間に燕と山本の進行速度は上昇する。だが詩音にも打つ手がないという訳でもない。もう一度、先程のように絶対零度を纏う。今度は氷が形を成していく。自分自身を凍らせないように凍っていない雨の炎で薄い膜を作る。そして、山本同様に彼も走りだす。氷で作った、虎の外甲と共に。

「凍土白帝!」

 これもまた、紅蓮の持つ技と対を成す技。龍と虎、熱気と冷気。それらは正反対だが、威力の高さという面では共通していた。
 二つの青い閃光は衝突し、煙を舞い上げる。それと同じ瞬間に、隣で獄寺と紅蓮も激突、爆炎を上げていた。


ふう……ダブルスの二話目完成です。
次回、ダブルス決着です。


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