二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【銀魂】 泡沫の花
- 日時: 2012/08/15 15:55
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
初めまして、無雲(なぐも)と申します。
今回は銀魂の二次創作を書いていきます。
つたない文章ですが、どうぞよろしくお願いします!
次話は設定(というか必読というか……)
目次
設定・注意 >>01 第零幕 色の浸食 >>02
第一幕 青藍《せいらん》>>03 第二幕 白銀《はくぎん》>>04
第三幕 濃紅《こきくれない》>>05 第四幕 漆黒之壱《しっこくのいち》>>06
第四幕 漆黒之弐《しっこくのに》>>08 第五幕 鳶《とび》>>15
第六幕 黄《き》>>16 第七幕 橙《だいだい》>>17
第八幕 暗緑《あんりょく》>>18 第九幕 蘇芳《すおう》>>19
第十幕 山吹《やまぶき》>>20 第十一幕 朽葉《くちば》>>21
第十二幕 鈍《にび》>>22第十三幕 桃《もも》>>23
第十四幕 鳥の子《とりのこ》>>24 第十五幕 桧皮《ひわだ》>>25
第十六幕 舛花《ますはな》>>26 第十七幕 臙脂《えんじ》>>27
第十八幕 花緑青《はなろくしょう》>>28 第十九幕 水浅葱《みずあさぎ》>>29
第二十幕 焦香《こがれこう》>>30 第二十一幕 甚三紅《じんざもみ》>>31
第二十二幕 石竹《せきちく》>>32 第二十三幕 千歳緑《ちとせみどり》>>33
お知らせ>>34
*駄文に付き合ってくれている神のような方々
・ARISA様 ・鯨様
- 第十一幕 朽葉《くちば》 ( No.21 )
- 日時: 2012/07/08 21:10
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
*高杉フルボッコ&キャラ崩壊注意!
「ん・・・・・。」
海底から日の光が差しこむ海面へと出たような感覚の中、銀時は目を覚ました。
一瞬自分がどこにいるのか分からず、ぼんやりした目つきで緩慢に辺りを見回す。
畳の敷かれたそこそこ広い部屋に酒瓶や紙が散らばっている。昨日はあの後、高杉と仲直りしたり、乱入してきた緒方と新岡によって高杉がフルボッコにされたりして結局桂の拠点で夜を明かしたのだ。
意識が少しずつはっきりしてきた銀時は二日酔いで痛む頭を押さえた。
「また、懐かしい夢見たな・・・。」
高杉という昔の絆を取り戻したからなのか、数年前仲間と別れた時の夢を見たのだ。
あれ以来彼等とは一度も会っていない。
「生きて・・・るよなぁ。あいつ等なら。」
月華隊は、隊長である銀時の命令を違えることは決してない。それ程彼等の銀時への忠誠は厚いのだ。
銀時は目をこすりのろのろと起き上がる。
肩に掛けられていた毛布がずり落ち、畳の上にぱさりと落ちた。
「なんだ、起きたのか。」
銀時の寝ぼけたきった目が部屋の入り口に立っている長髪の男の姿を捕える。
長髪の男———桂は部屋の中に踏み入り、床の上で死んだように眠っている(というか転がっている)高杉を軽く揺すって覚醒を促す。
「なあヅラ、辰馬は?」
「ああ、奴なら快援隊の船に帰った。・・・部下にも色々説明せねばいかんからな。それとヅラじゃない、桂だ。」
そんなやり取りをしつつ、桂は高杉を揺すり続けていたのだが、全く起きる気配が無いので眠っている高杉の足を思いっきり踏みつけた。
「・・・!いっつ!!」
「さっさと起きて顔を洗ってこい。武士たるもの生活習慣には気を遣え。」
「るっせぇな。テメーは俺の母ちゃんか。」
「母ちゃんじゃない、ヅラだ。あ、間違えた桂だ。」
少し前まで敵対していた二人がこんな仄々とした会話を繰り広げるなど、誰も予想しなかったことだ。
だが、これも銀時にとっては昔から見慣れた光景。その「見慣れた光景」が戻ってきたことが、銀時はうれしかった。
「あ、そうだ。」
高杉を足蹴にしたまま桂が銀時の方に顔を向けた。
「銀時、貴様に客だ。」
「客?誰よ。会わねーとまずい?」
「行けば分かる。」
有無を言わせぬ真剣な目が銀時を射抜く。
その目を見て、銀時はふうと溜息をついて客に会うことを了承した。
「なあヅラ、」
部屋を出る直前、銀時は少しだけ桂の方に振り向いた。
「いい加減に足どけてやれよ。よく見てみ?晋助また寝てるぜ。」
桂が足元を見ると、足蹴にされていた高杉がうつ伏せのまま夢の世界の住人となっていた。
それから約四十三秒後、苦無が畳に刺さる音と高杉の悲鳴が青嵐隊の拠点にこだました。
- 第十二幕 鈍《にび》 ( No.22 )
- 日時: 2012/07/08 21:10
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
「・・!・・・まに・・・!!どけ・・うよう!!」
老朽化が進んでいるのかギシギシと軋む廊下。
その耳に着く音の合間に、何者かが怒鳴っている声が途切れ途切れに聞こえてくる。
しかもその声は一人ではなく、複数の人間が発しているようだ。
銀時はこんな大勢の客が来ているとは聞いていなかったため、訝しげに眉をひそめた。
第一、このタイミングで自分に会いに来る者とは一体誰なのだろう。
桂は会えば分かると言っていたが、銀時には心当たりがない。
———まあ、会ってみりゃはっきりするか。
これ以上考えても無駄だと、銀時は思考回路を停止させる。そのまま廊下を進み、桂に指示された部屋の近くまでやってきたときだった。
「だぁから、坂田さんはもうちょっとで来るからちょっと落ち着こう?」
「落ち着いていられるか!さっさとそこをどけ、叩き斬られたいのかクソ鼬。」
銀時は思わず足を止めた。彼の耳に届いた声は銀時にとって聞き覚えのありすぎるものだったのだ。
「ま、さか・・・。」
今朝方見た夢が脳裏をよぎる。
響く爆音。仲間達の断末魔。そして自分の名を呼ぶ部下の声。
銀時は止まっていた足を再び動かし、部屋の前に立つ。そして勢いよく開け放った。
「あ・・・。」
部屋の中が水を打ったように静まり返る。
部屋の中には二、三十人の青年と一人の女。皆、驚愕の表情で銀時を凝視している。
そんな彼らの中心に新岡と胸倉を掴み合っている青年がいた。深い紫色の目は見開かれ、青みのかかった黒いポニーテールは新岡と掴み合ったためか少し乱れていた。
「銀、時様・・・。」
「・・・・棗?」
- 第十三幕 桃《もも》 ( No.23 )
- 日時: 2012/07/08 21:12
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
「神楽ちゃん、朝だよ起きて。」
春のうららかな日差しが降り注ぐ中、新八は神楽の寝ている部屋の戸を開けた。
開かれた襖の向こうに見える布団のふくらみに近づき、声をかけるも全く反応がない。
試しに軽く揺する。
・・・・反応なし。
「かーぐらちゃーん。」
・・・・反応なし。
流石の新八もここまで反応がないと、ムカッとくるわけで。
大きく息を吸い込み、両手をメガホン代わりにして口元に当てた。
「かアアァぐウウウゥ「うるっさいネエエェ!!」ぶげらッ!」
布団の中に居た神楽の腕から放たれた拳が、新八の顔面に直撃した。
寝起きで意識のはっきりしていない神楽は、そのまま新八に足払いをかけてタコ殴りにする。
「ちょ、神楽ちゃん!イタッ!僕サンドバッグじゃないから!人間だからあああぁ!!」
「朝から賑やかねぇ。」
志村家の台所で暗黒物質を生産しながら、妙は和やかな台詞を口にした。
***
数十分後、ぼろぼろになった新八と、妙に清々しい表情の神楽が居間にやってきた。
妙は弟の異変には全く触れずに、神楽に向かっておはようと声をかける。
「おはようアル姉御!今日はすっきり目が覚めたネ!」
「あらそうなの、いい夢でも見たの?」
「違いますから!朝一で僕をタコ殴りにしただけですから!」
「あらそうなの。よかったわね。」
「よくねえエエェェ!!」
新八のハイテンションツッコミを華麗に無視し、妙はいつもの微笑を神楽に向ける。
そして笑顔のまま、朝食を作ったことを伝えると何故か二人は一瞬にして青ざめ、昨日の夕飯の残り(新八作)がいいと口をそろえた。
「せっかく作ったのに。まあ残り物ももったいないし、そうしましょうか。」
少なくとも暗黒物質の餌食とならずにすむらしい。
新八と神楽は安堵の表情を浮かべた。
***
食卓に新八と妙が向かい合って座り、神楽は妙の横に腰を下ろした。
「いただきまーす!!」
元気に手を合わせ、神楽は箸を手に取るとすさまじい勢いで朝食に襲い掛かった。
あっという間に皿の中の料理が消滅する。ここまでの早業だといっそ超能力の括りに入れてもいいのではないだろうか。
「クスクス、神楽ちゃん、そんなに急がなくてもご飯は逃げたりしないわよ?」
「だめアル!はやく食べて万事屋に行って、銀ちゃんを待ってるネ!」
そう言われてみれば神楽の食べるペースがいつもより早い。
「朝帰りするような悪い子にはこの神楽様がお仕置きするネ。」
ニヤリと笑う神楽に、しばしあっけにとられていた新八も意地の悪い笑顔を浮かべる。
「そうだね、待ち伏せして酔っ払った銀さんを袋叩きにしよう。」
———二人はまだ知らない。
彼らの慕う万事屋の主人が、もう二人のもとに戻ってくることが無いということを。
そして時代は、無情にも進んで行く。
無理矢理シリアスにした感が否めない……。
- 第十四幕 鳥の子《とりのこ》 ( No.24 )
- 日時: 2012/07/08 21:14
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
「お前等、生きて・・・。」
喉の奥から熱いものがこみ上げてきて、銀時は言葉を詰まらせる。
紫の目の青年、棗が掴んでいた新岡の胸倉から手を離した。ぶらりと垂れ下がった腕にはなんの力も込められておらず、まるで人形のようだ。
「銀時様が、仰ったんですよ・・・っ。」
こみ上げてきたモノをこらえるように俯いた銀時に、棗がゆっくりと近づく。
「『生きろ』って。」
銀時は顔を上げる。その赤い瞳に映ったのは、今にも泣きそうな顔で笑う棗と、月華隊の面々だった。
「わ、我等、月華隊。ただ、今・・・最後の任務を全うし、ここに、帰還・・・!」
銀時の鼓膜を震わせたのは、部下の涙声。
棗の目尻から一筋の光がぱたりと床に落ち、小さな染みを作った。
「銀時様、」
棗の後ろに控えていた月華隊の中から、紅一点であった女性と、二人の青年が進み出る。三人は銀時や棗と同じく隊の中心であった者たちだ。
「千風、聖、朝露・・・。」
三人は棗の隣に並び、そのまま片膝を折った。
「おか、えり・・・。」
銀時の左の目から涙がこぼれた。それに呼応するかの如く、彼らの目からも光るものが流れる。
「「「「ただいま、戻りました・・・!」」」」
その言葉を合図に、月華隊隊士達が一斉に銀時のもとへと殺到した。
「隊長!!」
「俺たちが、どれだけ心配したとっ!」
「俺達には吉田隊長が全てなんですよ!?」
銀時に抱きつく隊士も、泣く隊士も、皆行き場をなくして銀時が拾ってきた者達だ。それ故に彼らの銀時への思いは強い。
「すまねぇ。・・・もう絶対お前等を置いてなんかいかねえから。だから、」
銀時は言葉を切る。
彼の次の言葉を聞き漏らすまいと、隊士達は息を詰めて銀時を見つめた。
「こんな俺を、許してくれるか?また・・・付いて来てくれるか?」
その言葉に、隊士たちは涙の痕の残る顔に笑顔を浮かべた。
「「「「当たり前じゃないですか!!!」」」」
「さて、邪魔者は退散するか。」
完全に忘れ去られていた新岡は、部屋を出ると真っ直ぐに台所へと足を進めた。
「茶ぁでも持ってってやるかね。」
そうすれば少なくとも死の危機に瀕することはないだろう。
今、銀時との再会に水を差せば確実に月華隊に半殺しにされる。
「全く、難儀な連中・・・。」
そう呟いた新岡の口元には、薄い微笑みが浮かんでいた。
- 第十五幕 桧皮《ひわだ》 ( No.25 )
- 日時: 2012/07/08 21:15
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
「・・・落ち着いたか?」
「あ、すいません・・・。」
皆が思う存分涙を流し、再会を喜び合った。
銀時の柔らかな声音に、千風は着流しの袖を掴んでいた手を離した。
同じように、服の裾や銀時の腕に縋り付いていた隊士たちもその手を離す。
全員が真っ赤に泣き腫らした目をしていて、その光景を見た銀時は思わず吹き出してしまった。
「ハハッ、テメェ等鏡見たらどうだ?すげぇ顔。」
確かにいい歳(といっても二十代だが)した青年+女性が目を真っ赤にしているというのは、なかなか笑いを誘う光景である。
笑われた隊士たちは一瞬思考が追い付かないようだったが、数秒後に銀時の言葉の意味に気が付いたようで、口々に抗議の声を上げた。
「ひどいですよ!俺は本当にうれしかったんですからね!」
今にも頭突きをくらわせられるのではないか、という程の勢いで朝露が銀時に反論する。
と、そんな朝露の体を押しのけて(というか突き飛ばして)、今度は聖が銀時の真正面に現れた。
「吉田隊長に会えてうれしいのはお前だけじゃない!独り占めすんな!」
「暴力反対!」
突き飛ばされて壁に激突した朝露が涙目で聖を睨む。
しかし当の本人は朝露を無視して銀時に満面の笑みを向けている。
そんな聖の頭を撫でていた銀時は薄く浮かべていた笑顔を消し去り、代わりに苦笑した。
「聖、すまねぇけど俺ぁもう吉田じゃねぇんだよ。」
聖を含めた月華隊の面々が瞠目する。予想通りの反応に、銀時は苦笑を深めた。
「俺の今の苗字は『坂田』。無理に呼べとは言わねぇが、一応心に留めといてくれ。」
「・・・分かりました、坂田隊長。」
銀時は神妙な顔をする聖の頭をぐしゃぐしゃと掻き回した。髪を乱された聖は、急いで前髪を整えて両の目を隠す。
「昔から思ってるけど別に目隠さなくてもよくね?」
「よくありません。」
少しむくれてしまった聖は前髪を押さえ、これ以上髪を乱されないように銀時から離れた。
「髪といえば、棗は伸びたな。」
銀時が正面に正座していた棗に目を向ける。
攘夷戦争時代の棗の髪は短く、肩にかかるかかからないかぐらいの長さしかなかったのだ。
「ああこれは一種の願掛けですよ。銀時様にまた会えるように。・・でも、」
言葉を斬り、棗は傍らに置いていた自身の小太刀を手に取った。
そして、
「もう会えたので、伸ばす理由はありません。」
左手で髪を掴み、右手に持った小太刀で長い髪を何のためらいもなく切り取った。
「あああああ!なんつーもったいないことを!!」
いつの間にやら復活した朝露が大声を上げるが、棗の表情は清々しい。
「所詮願掛けだ。願いが成就したなら願掛けする意味がないだろう。」
「・・・ま、それもそうか。俺たちの願いは叶ったしな。」
そう言って銀時に抱きつく朝露。和やかな空気が部屋に流れる。その平和な雰囲気の中、千風が不意に棗に目を向けた。
「そういえば棗。それどうするつもり?」
千風の指さしたもの。それは彼の手に握られた髪の毛だった。
「ここにゴミ箱は無いし、第一髪はゴミ箱に捨てるようなものじゃないんだけど?」
棗の顔がすっと青ざめた。それに反比例して千風の顔に落ちた影が濃くなっていく。
「もしかしてどうするのか考えてなかった・・・とか言わないわよね?」
嵐の気配を感じ、月華の面々が避難を始める。銀時も部屋の隅へと逃れた。
「昔から言ってるでしょう。計画性を持てと。それとも少し痛い目に合わないと分からないのかしら。」
「や、それはできれば勘弁してほし「何か言った?」いや何も。」
攘夷戦争時代に頻繁に見られた『千風先生のありがたい説教』だ。こうなれば彼女は気が済むまで小言を言い続ける。
「よし、放置で。」
「賛成です。」
「俺も。」
銀時の一言に異議を唱える者はいなかった。
オリキャラ№5
三上 棗(みかみ なつめ)
髪色・青みのかかった黒
目色・紫
月華隊副隊長
髪は右側が長く、左側が短い。
銀時大好き人間の一人。銀時のまねをするうちに、彼をも超える甘党となった。
基本的に真面目で、千風、聖、朝露とは同じ村出身の幼馴染。
佐柳が女だということを知っている。
顎の力が半端なく強い。
得物は二本の小太刀。
好きなものは甘いもの、嫌いなものはにぼしと怒った時の千風。
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