二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【銀魂】 泡沫の花
日時: 2012/08/15 15:55
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

初めまして、無雲(なぐも)と申します。
今回は銀魂の二次創作を書いていきます。

つたない文章ですが、どうぞよろしくお願いします!
次話は設定(というか必読というか……)


目次

 設定・注意  >>01 第零幕 色の浸食 >>02

第一幕 青藍《せいらん》>>03 第二幕 白銀《はくぎん》>>04

第三幕 濃紅《こきくれない》>>05 第四幕 漆黒之壱《しっこくのいち》>>06

第四幕 漆黒之弐《しっこくのに》>>08 第五幕 鳶《とび》>>15

第六幕 黄《き》>>16 第七幕 橙《だいだい》>>17

第八幕 暗緑《あんりょく》>>18 第九幕 蘇芳《すおう》>>19

第十幕 山吹《やまぶき》>>20 第十一幕 朽葉《くちば》>>21

第十二幕 鈍《にび》>>22第十三幕 桃《もも》>>23

第十四幕 鳥の子《とりのこ》>>24 第十五幕 桧皮《ひわだ》>>25

第十六幕 舛花《ますはな》>>26 第十七幕 臙脂《えんじ》>>27

第十八幕 花緑青《はなろくしょう》>>28 第十九幕 水浅葱《みずあさぎ》>>29

第二十幕 焦香《こがれこう》>>30 第二十一幕 甚三紅《じんざもみ》>>31

第二十二幕 石竹《せきちく》>>32 第二十三幕 千歳緑《ちとせみどり》>>33

お知らせ>>34

*駄文に付き合ってくれている神のような方々
 ・ARISA様 ・鯨様


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設定・注意 ( No.1 )
日時: 2012/07/05 22:05
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

頭の片隅に置いていただきたい設定です。

・月華隊(げっかたい)
攘夷戦争時の銀時の部隊。他の隊に比べると規模が小さい分、小回りが利き結束も強い。
戦場での斬り込み隊。
名の由来は「月の光のように闇夜を照らし、仲間を導く。」

・青嵐隊(せいらんたい)
桂の隊で、現在も活動中。他の隊と比べて忍の数が多いため、密偵の仕事は主にこの隊に任せられる。
名の由来は「山に吹く青嵐のように、戦場に新しい風を吹き込む。」

・黒柱隊(つづらたい)
攘夷戦争時の坂本の部隊。四つの隊の中で唯一銃火器を使った戦法を用い、仲間の活路を開いた。
名の由来は「一本の柱のように仲間を支え、黒き闇に紛れて敵を討つ。」

・捏造大丈夫!・オリキャラ?どんと来い。・NL(銀月、桂幾、高また、坂陸奥etc)も許せる!
 ・・・・・という心の広い方はお進みください。苦手な方は閲覧にご注意を。

第零幕 色の浸食  ( No.2 )
日時: 2012/07/15 22:28
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

月のぼり 風が吹く夜 闇見れば
 空国むなくにに立つ 四つの戦仔いくさご
「・・・またそんな歌を作っているのか。」
男は窓の外を眺めている女に向かって苦々しく言った。その言葉には、かすかな非難の響きがあった。
「こんな夜にはこういう歌が詠みたくもなるのよ。」
相変わらず外を見ながら言う女の顔に月の光が差す。
その光の中で彼女の黒い髪がさらりと揺れた。
男は小さくため息をつくと、夕餉ができる前に一階に降りて来いと言って女のいる部屋を出て行った。
部屋には再び女だけになり、静寂が空間を支配する。
「紅の(くれないの) 花を散らせし 戦鬼いくさおに
 心優しき 夜叉何処いずこ
和歌を詠み終えると女は少しの間沈黙し、やがて自嘲の笑みをこぼした。
「字足らず。」
明りの灯らない部屋で、月影が踊る。

第一幕 青藍【せいらん】 ( No.3 )
日時: 2012/07/05 22:09
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

ある日の昼下がり、桂は拠点の一室で本を読んでいた。
外には雨が降り、太陽の光が遮られて薄暗いのだが、桂は傍らに置いた行灯の光を頼りに
文字を追っていく。
雨音が普段の喧騒を吸い込み、町はいつもより静かだった。
桂が頁をめくり次の章に入ろうとした時、突然その静けさは破られた。
「桂先生!」
バタバタという足音とともに桂のいる部屋の障子が乱暴に開かれた。
「騒々しいぞ貴様ら。新岡にいおかはいつものことだが緒方、お前まで廊下を音を立てて走る
 など珍しいな。」
入ってきたのは二人の人物。
一人は四角い眼鏡をかけ、白衣を着た青年。もう一人は赤い髪を首の後ろで結い、青い作務衣のようなものを着た青年だった。
二人とも息を切らせていて、かなり急いでやってきたことがうかがい知れる。
「ご報告したいことが!」
緒方と呼ばれた白衣の青年の言葉に、桂は眉をひそめる。
普段大人しく、大声を出すことなどほとんどない彼がここまで焦ることは珍しい。
何か重大なことでもあったのかと、桂は読んでいた本を閉じた。
「どうした。」
二人の方に体を向け、少し目つきを鋭くして尋ねる。
緒方は一度深呼吸をして息を整えると、いつもと同じ静かな声音で言葉を発した。
「                       。」
ガタンッ!
桂が立ち上がり、その勢いで文机の上に置かれていた湯呑が倒れた。
湯呑から零れた液体が本の表紙を濡らすが、桂の目にその様子は映っていない。
「・・・・それは本当か・・・?」
「はい、裏はとれています。十中八九間違いありません。」
少しの沈黙の後の桂の言葉に赤い髪の青年、新岡が答える。
桂は目を閉じてしばしの間まぶたの裏の闇を見つめた。
その黒の中にあの時の惨状が映し出され、当時の憎悪がよみがえる。
その黒い感情を無理矢理ねじ伏せて、桂は目を開いた。
「緒方、新岡。お前ら二人で銀時と高杉と辰馬に連絡してここに呼び出せ。但し、呼び出しの内容まで は言うな。」
高杉あたりが単騎で幕府に突っ込みかねんからなと続けると、緒方は苦笑交じりに分かりましたと答え、
新岡はハイ!と返事をしてどこかへと走って行った.
緒方もそれに続いて部屋を出ていく。
自分ひとりとなった部屋の中で、桂は懐に手を入れた。
「————、松陽先生・・・。」
懐から取り出したのは深緑色の教本。
その表紙に刻まれた刀傷と血痕をなでながら呟いた師の名前は、雨音の響く部屋の中に溶けていった。


オリキャラ №1
緒方総次郎(おがた そうじろう)
髪色・黒
目色・こげ茶
青嵐隊副隊長兼医療班主任
髪は沖田くらいの長さで、前髪は真ん中分け。
白衣で眼鏡で童顔。そのため年相応に見られたことがない。
元々内科医だったが桂の下で活動する内に外科も覚えた。(もちろん攘夷志士
なので外科医の免許は持ってない。)
普段は部屋(通称実験室)に籠り、怪しげな実験薬を作っている。
戦闘はあまり得意ではないと言いつつ、その実力は沖田をも凌ぐ。
得物は飛び道具(主にメス)と自作の薬品。
好きなものは実験と医学書。嫌いなものは虫。

第二幕 白銀【はくぎん】 ( No.4 )
日時: 2012/07/05 22:12
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

万事屋は静かだった。というのも、神楽はこの雨の中定春とともにどこかへと出かけ、新八は家に干してきた洗濯物を取り込みに道場へと帰ってしまったのだ。
よって今、万事屋には銀時しかいない。
「あ———、暇だ・・・・。」
独り言を言う銀時の周りには大量のジャンプが散らばっている。
あまりの暇さに今までため込んだジャンプを読破してしまったらしい。
暇なら仕事しろと言いたいところだが、ここ最近依頼が来ていないので仕事のしようがない。
銀時は回転いすをギイギイと鳴らしながら天井の板の目の数を数え始めた。
ものすごく地味な光景である。
「おいコラ今なんつった。地味だと?新八と同じ扱いすんじゃねぇぞコノヤロー!」
銀時が地の文に向かってツッコミ(?)を入れていると、デスクの上に置いてある電話が鳴った。
銀時は頭の後ろで組んでいた手を下して、けたたましく音を鳴らす電話の受話器をとった。
「はいもしもし、万事屋ですけど。」
———こんにちは、坂田隊長。
「・・・総か。お前が俺に電話よこすなんて初めてじゃねーの?」
聞こえてきた声に銀時は居住まいを正す。
銀時が言ったように、今まで緒方をはじめとする青嵐隊の者が万事屋に連絡してきたことなど一度もない。
おそらく一市民として生きている銀時への配慮なのだろう。
その配慮が今この瞬間されなくなった。  
何か妙な予感しかしない。
———すいませんが今すぐ僕たちの拠点に来ていただけませんか?
「はぁ?てめぇらの拠点に?勘弁してくれよ、この雨の中外になんか出たら天パがひどくなるだろ。」
———そんなに変わりませんから大丈夫です。
「どーいうことだそれ!もとからひどいって言いたいのか!つか、何の用なんだよ。」
用件を聞くと、緒方は数秒間沈黙した。
それは本当に数秒だけの空白だったが、銀時はその中に含まれた緒方の動揺を感じ取り、何かがあったのだと察する。 それと同時にいつも厄介ごとを引き付けてしまう己がひどくいやに思えた。
「分かった、行きゃいいんだろ。その代り何かうまい菓子用意しとけよ。」
仕方がないといった風に言うと、緒方はホッとした声でそれを了承し電話は切れた。
銀時はふー、と息をついて受話器を戻し、デスクの引き出しの中からメモ用紙とペンを取り出した。
『神楽へ 少し出かけます。帰りは何時になるか分からないので今日は新八の家に泊まってください。』
メモ用紙にそう走り書きして、銀時は壁に立てかけてあった木刀を腰に差して玄関へと向かう。
ブーツを履いて玄関の戸を開けると雨音が大きくなった。


オリキャラ№2
新岡紅葉(にいおか こうよう)
髪色・深紅
目色・朱
青嵐隊諜報部隊隊長
肩くらいの長さの深紅の髪を首の後ろでちょろんと括っている。
かつて桂の下で活動していた忍の息子で、幼いころから桂や緒方(その他隊長格)
の活躍ぶりを聞かされた。そのため彼らをかなり尊敬しており、桂や緒方の後ろに四六時中ひっついている。
得物は二丁鎌と苦無。
好きなものは和菓子。嫌いなものは桂に刃を向ける者。

第三幕 濃紅【こきくれない】 ( No.5 )
日時: 2012/07/05 22:17
名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)

ピリリリリ、ピリリリリ
とある船の一室に電子音が響き渡った。
部屋の中には今、二人の男がいる。一人はヘッドフォンにサングラスをかけた河上万斎。
もう一人は左目を包帯で隠した鬼兵隊総督、高杉晋助だ。
突然の電子音に万斎は一瞬動きを止めたが、すぐに右手に持っていた三味線のバチを床の上に置き、服のポケットから電子音を出している箱、もとい携帯電話を取り出した。
携帯電話のボタンを押し、耳に充てる。
その一連の動作の間、高杉は窓辺に腰かけたまま紫煙をくゆらせているだけだった。
「はいもしもし、つんぽですけど。」
———あ、どーも。河上万斎さんだよな?
聞こえてきた若い男の声に、万斎の表情が強張った。
この携帯電話は、彼がつんぽとして活動しているときのみ使用しているものだ。それに万斎は芸能界で本名を名乗ったことなど一度もない。
それにもかかわらず電話の男はつんぽ=河上万斎だということを知っていた。
「・・・お主、何者でござるか。」
万斎は声のトーンを落とすが、相手の男の声はすこぶる明るい。
———高杉さんに代わってくれないか?『紅蓮の鎌鼬ぐれんのかまいたち』って言えば分かるから。
「紅蓮の鎌鼬?」
思わず聞き返した万斎の言葉に、高杉は口元へ持っていこうとした煙管の動きを止めた。
そして窓辺から離れ、万斎の手から電話を奪い取る。
抗議の声を上げる万斎を尻目に高杉は携帯電話を耳に押し充てた。
「・・・よぉ、何の用だ紅葉。」
———お、やっと出ましたね高杉さん。突然で悪いんですけどちょっと俺等の拠点まで来てくれません?
「断る。」
新岡の明るい声を高杉の冷たい声が一刀両断した。
袂を分かった相手の拠点になど行くつもりはないということなのだろう。
高杉がそう言った途端、急に電話の向こうが静かになった。
不審に思った高杉が電話に向かって声をかけるが返答はなく、ただ奇妙な沈黙が降りる。
———・・・ククッ、いいんですかぁ?断っても。
やっと聞こえてきた新岡の声に、先程までの明るさはなかった。 代わりに含まれていたのは妖しい気配とほんの少しの殺気。
「どういうことだ・・・?」
高杉の声にも知らず知らずのうちに殺気が混じる。
その殺気に、高杉のそばに座る万斎の頬に冷汗が流れた。
———そのまんまの意味ですよ。来なかったら後で後悔すると思うけどなぁ・・・。
「・・・・・・。」
今度は高杉が沈黙する番だった。
その空白の間にの少しずつではあるが確実に新岡の放つ殺気が強まっていく。
そして次の瞬間、その殺気が一気に膨れ上がった。
———俺は紅桜の一件、忘れたわけじゃねぇからな・・・。
ブツン
電話が切られた。
ツー、ツーという機械音が最早新岡に話しかけるすべがないということを如実に伝えている。
「・・・、晋助、奴は何者でござるか。」
耳から電話を離し、手の中のそれを見つめたまま動かなくなった高杉に、万斎が恐る恐る話しかける。
高杉は乱暴に携帯電話を閉じるとそれを万斎の方に放り投げて再び窓辺に腰を下ろした。
煙管に新しい葉を詰める。

火皿から煙が立ち上りだしたころ、高杉が唐突に口を開いた。
「紅桜の時、鬼兵隊こっちの死人の半数以上の首が落とされていただろう。」
先程の万斎の質問に答えるような高杉の言葉に、万斎は過去の記憶をたどる。
確かに五十数名いた鬼兵隊からの死者の三分の二には首が残っていなかった。
「あれは奴の仕業だ。」
紫煙を吐き出しながらの言葉に万斎は瞠目する。
あれだけの人数の鬼兵隊隊員の首を、たった一人の男が落としたと聞いたのだから当然の反応だろう。
驚愕で言葉を発することができない万斎を見ようともせず、高杉は窓の外に目を向ける。
小雨だった雨が少し強くなったようだ。
「紅蓮の鎌鼬 新岡紅葉。奴は貴公子に刃を向ける者には容赦なく牙をむく。」


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