二次創作小説(紙ほか)

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【DQ短編集】世界から勇者が消えた日
日時: 2017/05/20 23:49
名前: 夏目 織 ◆wXeoWvpbbM (ID: tOQn8xnp)
プロフ: http://uranai.nosv.org/u.php/novel/NatumeOri1/

 ーー勇 者 が あ な た で 良 か っ た 。


          * *

 初めましての方は初めまして、夏目と申します。
 Twitterの方でもらったネタやお題をちょっとだけアレンジしたりしなかったり、お題サイトで見つけたお題を元に書いたりしてます。このCPでこんなの書いてほしい!こんな設定の読みたい!等あればお気軽に!というかください!
 1~9の短編がごちゃ混ぜです。主人公クラスタなので主人公同士の話も勿論あります。
 主人公の名前は公式名です(女9主は例外)。その他偽造設定などあります。何でも許せる方のみどうぞ。

 URLは占いツクールにて執筆しているDQ主人公ズ闇堕ち小説です。そちらも是非!

 最低限、カキコのマナーは守ってください。

 * T w i t t e r ・ ・ @DQOri0323

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Re: 【DQ短編集】世界から勇者が消えた日 ( No.9 )
日時: 2017/04/16 13:02
名前: ベル (ID: CCab1VcE)

ごめん!私雑談出来ないの。パスワード分かんなくて。お父さんのPS Vitaで、内緒でやってるから…
本当ごめんね!
なんか、こうやって話出来るの合ったら教えてね♪

Re: 【DQ短編集】世界から勇者が消えた日 ( No.10 )
日時: 2017/04/20 23:51
名前: 夏目 織 ◆wXeoWvpbbM (ID: ESDOwl5l)


【勇者と呼ばれた日】




 ーー少し昔話をしようか。

 世界は幾度なく闇に包まれた。その度に勇者が現れ世界を救った。世界を救った勇者たちはやがて、世界に見捨てられ消えてしまった。
 どんなに世界が平和になっても、再び闇に包まれる。君は本当にこの世界を救いたいか?
 この残酷で、醜い世界を救いたいのなら応援しよう。ただ、これだけは守ってほしいんだ。

 ーー決して自分の救った世界に絶望しないこと。

 今まで消えてしまった勇者たちは皆、自分の救った世界に絶望してしまったんだ。本当に世界を救いたいなら、約束だよ。

         *


「……やぁ11番目」

 暗闇の世界アレフガルドに、一人の青年の声が響き渡った。名はアレル。かつてこの世界を救った“勇者”であった。
 11番目ーーそう言われた青年が、くるりとアレルの方を振り返る。青色の瞳は既に輝きを失い、悲しみに満ち溢れていた。

「お前は本当に世界を救いたいか?」

 アレルの問いには答えず、彼はただこの世界を見つめるだけであった。アレルの瞳は赤く染まり、真っ赤なマントも風になびく。正義の色だとされたマントはボロボロで、深い闇の世界によく似合っていた。

「世界に見捨てられる覚悟がお前にはあるか?」

 大きく目を見開いて、アレルは彼に一歩近付いた。アレルの威厳に思わず身がすくむ。足が地面に貼り付いたように動かない。

「……この醜い世界へ、ようこそ」

 勇者様、君を歓迎するよ。
 その瞳は血のように赤い。”勇者“と呼ばれた頃の希望や輝きはなくなっていた。サークレットの青い宝石が月光で怪しい光を放つ。アレルの足元に乱雑に置かれた剣に埋め込まれた宝石は輝きを失っていた。



 ーーやがて、彼は世界を救う勇者となった。

 アレルに歓迎された彼はーー自分の救った世界に絶望し、そして世界に見捨てられた。

 勇者と呼ばれたあの日の、あの勇気が今もあったのなら。
 そう考えてももう遅い。人は勇気ある者を勇者と呼ぶ。勇気がなくなった彼はもう勇者じゃないのだ。
 

 ーーめでたしめでたし。

Re: 【DQ短編集】世界から勇者が消えた日 ( No.11 )
日時: 2017/04/21 17:30
名前: ベル (ID: Fpm6XJdC)

面白ーい★☆★


又雑談のとこに来てね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ー♪

Re: 【DQ短編集】世界から勇者が消えた日 ( No.12 )
日時: 2017/04/21 20:49
名前: 夏目 織 ◆wXeoWvpbbM (ID: AwUzQTp7)

DQ9
【天使と呼ばれて】


 ーーボクたちは、天使と呼ばれていた。


          *

 いつからだろう。僕たちが天使と呼ばれていたのは。
 人間界ではなく天使界で暮らし、人とは違い背中に白い翼があり、光の輪がついている者。それを人は天使と呼ぶのだろうか。僕たち天使は、人間とは大きくかけ離れているのだろうか。


 ーーだけど、僕なんかを天使と呼んでも良いのだろうか。
 一時はとある村の守護天使だった。村人に慕われて、天使であることを誇りに思った。ーーだけど、今は違う。
 前までの人間界を守ると言う気持ちはこれっぽっちもない。今の僕は人間を妬んでいる。僕が人間になってまで守る価値がこの世界にはあったのだろうか?


「ナイン」
「……リン」


 彼女の桃色の髪が風になびいた。
 リンはゆっくりと僕の隣に腰を下ろす。魔法の練習をしていたのか、重ねてきた手のひらは少し汗ばんでいた。どうしてこんな世界のために戦わなければいけないのか、僕には理解できない。


「私はこの世界素敵だと思うよ」


 まるで僕の心を見透かしたようにリンが言う。
 さらさらと風に揺れる桃色の髪に指を絡ませながら彼女は微笑んだ。一体この世界のどこが素敵なのだろうか。微笑むことすらできない。僕は仏頂面のまま、口を開いた。


「……こんな世界に救う価値なんてないよ」


 ーーそれは違う。と、リンがすかさず口を開く。僕の言葉を遮るようにしてでた少し冷たい声に、リンは慌ててごめん、と言った。謝るところ何てどこにもない。君はこの世界が好きで、僕はこの世界が嫌いなだけだ。


「見方を変えてみなよ。そしたら好きになるよ」


 私だって、全部が好きなわけじゃないけどね。
 リンはそう言いながら笑うけど、やっぱり僕には理解できなかった。一つが嫌いなら全てが嫌いになってしまう僕は、見方を変えても無理だろう。ーーこうやって直ぐに否定してしまうのも僕の悪い癖だ。天使だった頃も、殆ど悪い方向に考えてしまっていた。


「それじゃあ、私は練習に戻るね」


 もう少ししたらお城に戻ろう、リンはそう言って立ち上がった。
 僕は彼女を見送ることもせず、青く澄んだ空を見上げる。この空の向こうには、どんな世界が待っているのだろうか。希望に溢れた天使界? それとも絶望と憎悪の世界?

 どんな世界にせよ、この世界よりは守る価値がありそうだ。例え絶望と憎悪に溢れていても、見かけだけの人間界とは違うだろう。見かけだけ良い顔をする。人間なんてそんなものだ。僕はこの世界に憎しみしかない。


           *

「おかえりなさい! 今ご飯用意するね」


 辺りが暗くなってきた頃、リンと仲間と共に酒場に戻ると笑顔でリッカが迎えてくれた。彼女は人間だけど、いつも明るく笑顔で僕の旅の疲れを癒してくれる。


「いつもありがとう」


 僕は小さな声でお礼を言うと、自分の部屋に向かい始めた。あとでご飯渡しに行くね、とリッカが言っていたので少し荷物を整理しておこう。


「お待たせ〜」


 思ったより早く、部屋の扉が開いた。
 リッカが持ったお盆には暖かそうなご飯が乗っている。メニューは毎日変わるが、いつも僕らの健康を考えてバランスの良い食事にしてくれている。


「ありがとう」


 お礼を良いお盆を受け取り、机の上に置いた。リッカの後ろには台車があるので、どうやら今からリンたちのもとに食事を届けるのだろう。歳はあまり僕と変わらないはずだが、彼女はとても働き者だ。いつも僕たちの旅の支えになっている。


「食べ終わったらいつも通り廊下に置いておいてね。それじゃあ、おやすみなさい」


 いつものように手をヒラヒラと振りながらリッカは部屋の扉を閉めた。
 青色のワンピースが見えなくなると、部屋はいっきに静かになる。食事が冷めてしまうといけないので、僕はスプーンを手に取りスープを口に運ぶ。温かく優しい味が口の中に広がった。


「……美味しい」


 僕は思わず呟いた。先程までの重い気持ちが、嘘みたいに軽くなる。
 あっという間に完食してしまい、言われた通りに空のお皿を廊下に置きに行く。ふと窓に目をやると、外はすっかり暗くなっていた。闇のように真っ暗な外は、まるでさっきまでの僕の心のようだ。

 部屋に入り、服を着替えるとシワが整えられたベッドに寝転び地図を眺める。行った先々にチェックをつけているので、もうこの地図はボロボロだ。いつか天使界に戻れたら、この地図も使うことがなくなるのだろう。

 地図をしまい、電気を消して布団を被る。ふかふかの暖かい布団で、今日もよく眠れそうだ。ーー本当に、旅の疲れを癒してくれるリッカには感謝しかない。

 ーー僕らはこの世界を救うために、また明日も旅に出る。この世界を救う価値なんてないけれど、これが僕らの宿命なのだ。

 僕らは天使と呼ばれていた。それは、ずっと、この先も。世界が平和になるまでーー。




Re: 【DQ短編集】世界から勇者が消えた日 ( No.13 )
日時: 2017/04/22 18:02
名前: 夏目 織 ◆wXeoWvpbbM (ID: r7vnrseg)

DQ4
勇者 × シンシア

【思い出の地で】



 ーーあと何度泣けば、君は目を覚ましてくれますか。

          *


 ーーいつまでも一緒よ、ソロ。
 彼女は覚えているだろうか。いつまでも一緒と言っていたことを。
 ……でもそんなの妄言だ。いつまでも一緒だなんて。叶うはずがない。

「……シンシア」

 地面に転がる羽帽子を見て俺は彼女の名を呟く。かつては花畑だったこの地は、見るも無惨な姿になってしまっていた。花は枯れ、荒れ果てた地に思いでの品だけが転がる。
 羽帽子を拾い上げると頬を何かが伝った。冷たいそれは頬を濡らし、羽帽子へ落ちていく。唇を噛み締めても、ずっと溢れ出てくる。

「……戻ってこいよ」

 消え入りそうな声で呟くが、それが叶わないのは分かっている。だけど、この地に再び彼女が戻ってくるような気がするのだ。緑が溢れ、花畑の真ん中で、また逢えるような気がするのだ。
 ……俺は何て馬鹿なんだろう。どんなに願っても想っても彼女は帰ってこないのに。

 彼女の笑顔と風に揺れる桃色の髪は、花のように美しかった。いつも被っていた羽帽子も良く似合っている。彼女はいつも花の香りがして、俺のことを大切にしてくれた。俺はそんな彼女が大好きだった。自分の犠牲になってしまったことを、今でも悔やんでいる。そう思ってもどうにもならないのは知っているが、どうしても彼女の命を奪った魔王だけは許すことはできなかった。

 いつまでも一緒な筈だったのに。どうして死ななきゃいけなかったんだ。彼女やこの村に罪はない。殺すなら俺だけを殺せば良かったのに。

 ーーソロ。

 ふと、彼女の声が聞こえたような気がした。
 慌てて後ろを振り向くが、もちろんそこに彼女はいない。
 風がそよぎ、意味もなく足元を見てみると一輪の花が咲いていた。名前は分からないが、荒れた地に咲くその桃色の花はどこか彼女を思い出させた。

「シンシア」

 先程の声に返事をするように、彼女の名を呟く。
 俺の言葉に答えるように足元の花が風に揺れた。どうして一輪だけ咲いているのだろうか。そんな疑問を抱くがやっぱり花は彼女に似ていた。
 彼女が得意とした、自分の姿を変えるモシャスと言う呪文。もしかしたらその呪文で花に姿を変えているのではないだろうか。ーーこんなことを考えてしまうが、彼女はこの呪文を覚えていたせいで犠牲になっていたのだ。勇者の姿にならなければ、彼女はまだここにいた。

 花を見つめていると、彼女の優しい声が聞こえてくるような気がする。再び頬を涙が伝い、今度は花びらの上で無くなった。


 あと何度泣けば良いのだろうか。彼女が帰ってくる日はいつになるのだろうか。頼むから、早く目を覚ましてくれ。そう思いながら、もう一度彼女の名を呟き羽帽子を抱き締めた。





 
 


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