二次創作小説(紙ほか)

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【ポケスペ】あなたとわたし【表紙できました】
日時: 2017/03/24 21:38
名前: Orchid (ID: HccPNei.)
プロフ: http://www.kakiko.info/upload_bbs2/index.php?mode=image&file=174.png

クリックありがとうございます。
はじめましての方はじめまして、お久しぶりの方お久しぶりです。
Orchid(おーきっど)でございます。
今から6年程前に利用させていてもらった者です。その時のHNは大庭です。
今回は6年前に書いた小説をリメイクして書こうということで復活してまいりました。
長いはじまりも何ですし、本編へどうぞ!

[>始めての方
:最低限のルールを守ってくれればいいです。最低限で分かりますよね?
:この小説にはポケスペキャラ×オリキャラ要素があります。オリキャラ逃げてな人は【戻る】連打
:ポケスペ、アニポケでのバトルスタイルの設定で書かせてもらっています。ゲーポケとは違い覚える技に達していなくても技を覚えていたりします。
:このゴールド達はマスク・オブ・アイスとは全く無関係です。その辺りはゲーム寄りですが、シルバーとクリスタルがはじめから登場して友達になっています。
:名前とキャラを借りているだけであとは完全にオリジナルでございます。それだけご理解していただけるとありがたいです。

◆本編
プロローグ >>1
第1章 すべてはここからはじまった
第01話 >>2
第02話 >>3
第03話 >>4
第04話 >>7
第05話 >>8
第06話 >>9
第07話 >>10
第08話 >>11
第09話 >>12
第10話 >>13
第11話 >>17
第12話 >>24
第13話 >>25
第14話 >>26
第15話 >>27
第16話 >>28
第17話 >>29
第18話 >>

一言
表紙はURL参照です。

Re: 【ポケスペ】あなたとわたし【表紙できました】 ( No.26 )
日時: 2017/01/14 22:51
名前: Orchid (ID: HccPNei.)

第14話 青髪のジムリーダー


 そういやマイ、とマダツボミの塔から出てきてある建物の前で立ち止まるゴールド。
後ろをついていたマイもそれに合わせるように隣にストップ。

「なーに?」
「ジムがあるっていうのは覚えてるか?」
「うんっこの街1番の人!」

 うーん、まあそんなもんだな。と眉を寄せはしたが、マイの意見に合わせる。
 そう、ゴールドが立ち止まったここはキキョウジム。正方形の建物に屋根はドーム型だ。入り口にはキキョウジムのシンボルの鳥ポケモンの銅像。この鳥ポケモンはピジョットだとゴールドは説明する。

「じゃ、行くかってマイ!?」

 勝手に入り口のドアノブに手をかけ回しているではないか。まだなんの準備も整ってないだろ、と言われながらマイは扉を開けた。

「たーのもー!」
「ま、マイさん?」
「あれ、こうじゃないの?」

 いや間違ってはないけどマイのキャラとは違うだろ、と内心思いながらも変に緊張していないことが分かり、ほんの少し安堵の表情を見せるゴールド。

「あっゴールド君とマイちゃんじゃないか!」

 奥から出てきたのは、青髪で右目を前髪で隠している青年で鮮やかな青色の袴がとても似合っている。黒い腕バンドがアクセントになってオシャレな雰囲気。

「えっゴールド知り合い?」
「いーや。はじめましてだわ」
「ああ、すまないね。クリス君から君達のことはよーく聞いているよ」

 ゴールドが苦い顔をする。あのクリスだ、一体自分をどんなイタズラ小僧とウワサしているのか、と。
 マイもそれを察したのか内心冷や汗をかく。

「はじめましてハヤトさん! マイです! わたし、ジムはじめてで楽しみです!」
「そうかい、それは光栄だな。では、早速バトルと行きたいが、ここは筆記テストからしてもらうよ」

 マイが笑顔でハヤトに挨拶をするが、返されたハヤトの言葉に耳を疑う。
筆記テストだと? ポケモンとの接し方は大分慣れて覚えてきたが、何を筆記するんだ?むしろ筆記何それおいしいの状態になっている。

「そんなに心配することはない。大丈夫簡単なテストさ」
「ほんとですか?」
「ああ! なんて言ったってここのテストはキキョウ自慢のポケモン塾と連携しているテストだからね」

 ハハハ、と腰に手を当て笑っているハヤト、顔が先程より青くなるマイ、あ〜こいつにそんな知識はねェと深いため息をつくゴールド。
 ポケモン塾とはその名の通り、ポケモンのことを学ぶ塾である。ちなみに、ここでクリスはボランティアとして活動してる。

「あーとハヤトさん、俺から提案があるんだが……」
「ん?なんだい、言ってみてくれ」
「俺達は2人で1つなんだ。筆記は俺が受けて、実技はマイが受ける、っていうのはどうっスか」

 ハヤトはううん、と目をつむり考えている。腕を何度も交差させては悩んでいるようだ。2人に1つなんて初耳だぞ、とマイは目で訴えたがゴールドは気づかないふりをする。

「あー!ポッポだ!かわいいね、おいで〜」
「そのポッポはキキョウでも手の負えない程の凶暴……」

 ゴールドとハヤトの会話に混じれないことがわかりジム内を観察しようと、じーっとあたりを見渡していたら、ジムの上からパタパタと羽音を立てて舞い降りてきたポッポが地上に着くなり早々とマイに近寄って行った。
 マイはおいでおいで、と手招きするがハヤトが危ないと制止しようとした時。

「くるっく〜」
「おお、見事」

 ポッポが撫でられて気持ちよさそうに声を震わせる。
 思わずハヤトも感心の声を漏らしてしまう。

「ここの傷が痛くてヤンチャしてただけなんだよね。もうだいじょうぶだよ、ハヤトさんが治してくれるから、ね?」

 そういうなり、片腕にポッポを抱いたマイがここの羽の付け根が膿んでいて痛いみたいと余っている手で指を指し説明。

「気付かなかったよ。すまないポッポ。今からポケモンセンター集中治療室に行こう」

 バトルは治療が終わってからでいいかい? と、いい2人と外に出る。
 ポケモンセンターに入っていく直前にハヤトが思い出したかのように

「あ、そうそう。ゴールド君、君のその提案気に入ったよ。それでいこう。彼女に筆記の必要はなさそうだ」

 そして最後に頭を下げてポケモンセンターに消えて行ったのだった。

「してマイさん」
「はっはい」

 ゴールドの後ろから鉛のように重苦しいオーラが漂っている。まあ準備も無しにジムに挑戦しようとした訳だから怒るのも分かる。そんなゴールドの怒りに触れないように壊れ物を扱う人物になりきるマイ。なりきれてもいない。

「準備は?」
「してないです」
「対策は」
「考えてないです」
「戦略は」
「その場しのぎです」

 マイの語尾がだんだんと小さくなって、身長まで縮んだ気もする。ゴールドは深いため息をつくと、おなじみの

「よくあるこった、気にすんな」
「ゴールド!」
「ま、ハヤトさんが戻るまでそいつらの経験値でもあげておくか」

 そいつら、と言いながらマイの腰に下がっているモンスターボールを指さす。
中のミニリュウとピカチュウはやる気満々です、と身振りをつけている。

「じゃーもう1度、前の道路に戻ってバトルでもしてくるかー」
「おーっ!」

 バトルをもう嫌だとは思わないマイ。きっと守りたいものができたからだろうけど、それに気づくまではまだ時間がかかりそう——

Re: 【ポケスペ】あなたとわたし【表紙できました】 ( No.27 )
日時: 2017/01/16 21:34
名前: Orchid (ID: HccPNei.)

第15話 VSハヤト


 キキョウジムに居座っていたポッポが治るまでの間、他のトレーナー達とバトルをして経験値を積んでいると、あらかじめポケギアの番号を交換してあったハヤトさんから電話が来た。
 案外早く回復するもんなんだな、とゴールドは言い、マイは早くバトルがしたい! と声を嬉しそうにあげていた。

「たーのもー!」
「だからそうじゃないって……」
「やあ! さっきはすまなかったね、早速バトルと行くかい? まずは筆記テストからなんだが、これはゴールド君が引き受けてくれるんだったね。では、ゴールド君こっちの部屋に来てくれ」

 相変わらずマイのジムに対して扉の掛け声がイマイチ理解できないゴールドだったが、先程とは雰囲気の変わったハヤトに名前を呼ばれると少しばかり緊張感のある返事を返す。
 ゴールドは筆記テストのため、他の助手と一緒に別室に行き、残されたマイとハヤトはここで実践のバトルというわけだ。

「話に聞いていたのとはちょっと違うね」
「え?」

さぁバトル! と意気込み、腰につけたボールに手を掛けた時、不意にハヤトから話を振られ呆気に取られる。

「クリス君からは、君はもっと内気で、ゴールド君の後ばかりを大人しくついていると聞いていたんだが。君もこの旅で変わったということか。あ、いやいや余計な話だったな、バトルと行こうか」
「は、はい!(わたしでも変われてるんだ! わたし変われたんだ!)」

 思わぬ角度からの褒め言葉にマイの頬も緩み、えくぼが見える。

「ルールはポケモン2体勝負、交代もありだ! まずはコイツからだ! 行け! ピジョン!」
「ピジョー!」

 高く放り上げられたモンスターボールから出てきたのは、ポッポの進化した姿、ピジョン。羽を羽ばたきジム上を、風を切って飛び回っている。

「さあ、マイちゃ……君のポケモンを!」

 今はクリスの友達としてではなく、1人のトレーナーとして扱うべく呼び方を直す。

「まずはこの子! お願いがんばってピーくん!」

 ボールを投げてピカチュウを出したマイ、相性は抜群だ。これもゴールドの情報のおかげだと内心、にやりとする。

「ピーくん! 電光石火!」
「気をつけろ! 中々素早いピカチュウだ!」

 このジムの地形は木々に囲まれた森のようなステージで、ピカチュウが木を、その名の通り電光石火の速さで駆け上り空中にいるピジョンを狙い落とそうと近寄る。

「でもな! ピジョンお前の力を見せてやれ! 風起こしでピカチュウを地面に落とすんだ!」

 電光石火で木を登り、ジャンプするピカチュウ。あと少しで届きそうな時に、ピジョンの大きな羽ばたく力で風が起きる。せっかくジャンプしたのに風によって地面に叩き落とされてしまった。

「ピーくん!」
「どうした! まだ行けるはずだろ!」

 目を回しているピカチュウを見たことのないマイは頭の中でパニックになっていた。
ジムの強さに圧倒されてしまっている。どうしようと指示を迷っている間にもハヤトの指示は止まらない。

「ピジョン! そのまま降下して、つつく攻撃だ!」
「ピーくん!」

 マイが叫ぶ間にもどんどん速さを増していくピジョン、このまま来てしまうと確実にピカチュウに攻撃が当たる。

そう、ピカチュウにも、ピジョンにも接触する。

「——そうだ! ピーくん、真上にピジョンが来る !あのままのスピードなら絶対方向を変えられないはずだよ! ありったけの力で電気ショック!」
「何ッ!? 止まれ! 止まれー!」

 まさか、ここで冷静なる新米トレーナーがいるとは知らなかったハヤト。
 止まれと指示を出したもののピジョンにとっても速すぎるスピード、止まれない。自分の行く先にはピカチュウが力を貯めて待っている。

「ピジョーン!」
「ぴ、ぴじょ……」

 ピカチュウの電気ショックを受け止めて身体がピクリとも動かない。ハヤトは苦い顔をしてボールにピジョンを戻す。

「最後の1匹だ! 行ってこい! ピジョット!」

 出てきたポケモンは、またまたピジョンの進化系、ピジョット。ピジョンよりもずっと大きな姿、大きな羽というより翼を持っている。
 マイはピカチュウを休ませようとボールに戻し、ミニリュウを出した。

「行ってきて! リューくん!」
「ミニリュウ! 変わったポケモンを持っているようだが、俺のピジョットだって負けてはいない!」

 2戦目開始、となる手前にゴールドが部屋から出てきた。どうやら筆記テストは終わったようだ、点数も満点で助手も拍手で扉を開けた。

「ゴールド! わたしがんばってるよ!」
「分かってる! 無駄口叩いてねーでバトルに集中しろ!」
「その通り! バトルに余所見は禁物だ! ピジョット、ミニリュウに泥かけ!」

 ゴールドが来たことにより、マイのやる気もみなぎる。しかし、余所見はいけないことだ。
 ピジョットの大きなかぎ爪で泥を掴み取り、ミニリュウにぶん投げる。ミニリュウも気を取られていたのか顔面に泥を被ってしまう。

「リューくん! ごめんなさい! 今地上にいるからチャンスだよ! 電気ショック!」
 ミニリュウが付いた泥を落とそうと顔を振る。マイの指示もキチンと聞こえている、しかし。

「どこを狙っている! ピジョットはこっちだぞ! ピジョット! 風起こしであの木にミニリュウを吹き飛ばせ!」
「な、なんで当たらないの?!」
「さっきの泥かけがミニリュウの目に入ってあんまり見れていない! だからうまく当てられないんだよ!」

 特大サイズの風起こしでもするのだろうか、ピジョットが大きく羽ばたきをしている。
 マイはなぜ攻撃が当たらないのか分からずに、後ろの付き添い人用の青いベンチに座っているゴールドに聞くと直ぐに答えが返ってくる。

「わたしが余所見してたから! どうしよう、あの風起こしが来たらリューくんも傷ついちゃう!」

 何かいい案はないかとジムの地形を見渡す。木がどこもかしこも生い茂っている。しかし木がこれだけ大量にあるのにも関わらず1本も枯れていないと言うことは?

「そうだ! 地下水だ! リューくん! 地面に穴を掘る! そのまま深い所まで行けば絶対水があるはず!」

 敵が空中なら、こっちは逆に地中。ミニリュウは素早く穴を掘って、地下水を目指す。ここはジムだ、すぐに地下を流れる水を発見。

「くそ、ミニリュウが出でこなければ風起こしも意味がない! しばらく地上に戻って待機するんだ!」
 ピジョットが不思議そうに首を傾げて、ミニリュウの掘った穴を覗く。一向に戻ってくる気配はない。そう、その穴からは。

「リューくん! 目もキレイになった所で10万ボルト!」

 地下水で目を洗ってきたミニリュウが、頭の突起物でピジョットがいる場所を察知。
そして、油断している時に、真後ろから頭を出し、ミニリュウ渾身の10万ボルト!
 油断して、しかも真後ろからの突然の雷撃。これに反応できなかったピジョットはその場に倒れる。

「ピジョット……! 僕の完敗だ」

 経験値を上げていたおかげか、相性のおかげか、ピジョットは倒れてからボールに戻るまで動くことはなかった。
 ハヤトは気を取り直して、マイにある物を渡した。

「こ、これは?」
「キキョウジム制覇の証、ウイングバッジだ! 君にふさわしい!」
「わあ! やった、やったよゴールド! リューくん、ピーくん、ありがとう!」

 ジムバッジを受け取り、空に向かってバッジを掲げる。キラリと太陽の光に反射して美しい。
 ミニリュウもピカチュウもボールから出てきて、一緒に喜びを分かち合っている。
 わーい、わーいとマイが花が咲くように笑みもこぼしている姿を見て、ゴールドは旅に付き合って本当によかったと思う。

「マイよかったな、残りのバッジもがんばって集めような!」
「うん! がんばるよ!リューくん達ならきっとがんばれる!」

 かくして、1つ目のウイングバッジを手にしたマイ達。まだまだ旅は続く、続く。

Re: 【ポケスペ】あなたとわたし【表紙できました】 ( No.28 )
日時: 2017/01/20 20:19
名前: Orchid (ID: HccPNei.)

第16話 謎解き?パズルゲーム?アンノーン?


 キキョウジム、ジムリーダーハヤトに勝利したマイとゴールド。2人は、南に向かうといいと言われ、その通りに南歩いていた。
 その途中に「アルフの遺跡」というジョウト地方でも有名なスポットに立ち寄ることにした。有名スポットと言っても観光できそうな場所といえば、遺跡の中ほんの少しだけ。
 商店街もなければ、ホテルすら見つからない。無論ポケモンセンターもない。

「アルフの遺跡来てみたかったの! ゴールド寄り道を許可してくれてありがとう!」

 満面の笑みを向けられて、思わず顔をそらすゴールド。それだけではマイが不安に思ってしまうので、バトルで勝てたからご褒美だよ、と理由をつければまた嬉しそうに笑った。

「しかしよぉ、シケてんなぁ。なーんも見るモンねぇぞ?」

 遺跡の中を入り口から見渡す。この入り口に立っているだけで、辺り一面が見えてしまう程の狭いスペース。こんなものでよく観光スポットと言える。
 唯一取り柄といえば、不思議なマークが辺り一面にあることくらいだ。

「あ! でも真ん中に何か台が置かれてるよ!」
「なんだぁこりゃ?」
「パズルゲーム?」

 マイの言う通り、遺跡の中央には長方形の箱型の台があり、その上に石盤が置かれている。その石盤にはパズルゲームのようにパズルのピースが台に散らばっている。
 特に厳重にされていないようで、出来るもんならやってみろと言わんばかりに無造作になっていた。

「わたし、これやりたい! やってもいい?」
「いーけどよ、出来るか?」

 そういいつつもゴールドも楽しそうにパズルを解いていく。そうして何分か経った時。

「完成したー!」
「んだよ、楽勝じゃねーか!」

 今まで出来なかった人は何をしてきたのか、と思う程簡単にできてしまった。2人ではやったーとハイタッチしていると突然

「えっ?」
「あっ?」

下に落下して行った。どうやら、パズルを解くと周りの床が抜けるシステムになっていたらしい。古代人恐ろしい。

「いってて……マイ、大丈夫か?」
「なんとかぁ」

 尻もちをついての着地で無事とは言えないが大怪我にならずに済んだ。床は抜けたままで上を見上げればすぐにでも助けが来れそうな高さだった。しかし、いつまで経っても人は来ない、床も元には戻らない。
 つまり、この謎解きパズルを解いたのは2人がはじてということ。まあ喜んでもいられないのだが。

「仕方ねぇ、待っててもどうにもなんねえし、しばらく探索と行くか」
「う、うん! ゴールドもいるからだいじょうぶ!」

 眉を下げて笑いかけて安心させるゴールドに心の底からホッとする。まるで深海から光が射し込んだ時の安心感に似ている。

「おー、俺に着いてくれば大丈夫だ、心配するこたぁねえ」

 何分が経っただろうか時間が経つのを忘れたころ、ピカチュウがモンスターボールから飛び出してきた。どうやらボールの中が飽きたようだ。

「あ、そうだ! やることないし、フラッシュの練習しよ!」
「いいな、付き合うよ。とりあえず、ほらよ」

 リュックの中から秘伝のマシンのフラッシュを取り出す。
 ピカチュウにフラッシュの薬を飲ませる。不味そうに顔を歪めるがそこもまた可愛い。

「フラッシュってどんな感じなんだろう、周りを明るくするっていうくらいだから、ふわっとするくらいだよ!」
「ふわっと?」

 マイ語がよく分かっていないゴールド。しかしピカチュウは何故か分かったらしく、電気を貯めている頬袋から少しずつ電気を放出。しかし難しいらしく急に電気が強くなったり、弱すぎたりと調節ができていない。

「ピカッ!?」

 張り切りすぎて集中力か切れたピカチュウが後ろに転ぶと頬袋に貯めていた電気が一気に辺りに広がる。こんな地中なのに雷が落ちたかのような雷鳴。

「キャー!」
「マイ! しっかりしろ、大丈夫だ! 落ち着け!」

 こんな狭い空間に響き渡る爆音に腰が抜けそうなマイをしっかりと支えてやる。
雷鳴ではなく、爆音だ。

「な、なにこれ?」
「なんだよ、これ!?」

 遺跡の頭上付近にあった不思議なマークが突如浮かび上がり動き出した! それも一斉に全てのマークが、だ。

「マイ、図鑑開け!」
「う、うん!」

ゴールドに庇われながら図鑑を開くマイ。電子音が聞こえた。つまり、これは

「ポケモン!?」
「アンノーン? なんだそりゃ?」

 読み取られたのは、アンノーンというポケモン。まだまだ謎が深いポケモンらしくあまり詳しくは書かれていない。ただよく見ればアルファベットのような形をしている。 特に害があるわけではなく、ただピカチュウの電気に驚いて出てきてしまったようだ。
 ゴールドに身体を守られながら落ちてきた処まで戻ってきた。どうやら、先程のピカチュウの雷鳴でキキョウタウンから人がたくさん集まったようだ。

「おーい! 大丈夫ー!?」

 上からハシゴを下ろされて、上にあがる2人。その間もアンノーンはウロウロと動いている。

「一体何があったんだい? あ、ごめん僕の名前はツクシ、よろしくね」

 手を出され、握手を交わすマイ。ゴールドも続いて交わす。
 2人は、パズルの完成から、ピカチュウの電気の流れまで話すと興味深そうに抜けた床を見る。

「不思議だなぁ! 不思議だなぁ! 僕はこういうのが大好きだ! 君達のことは後で僕が説明をしておくから、先にある、繋がりの洞窟に行くといい。ヒワダタウンに向かうんだよね?」

 全てお見通しのようにゴールド達が次へと向かう街を言ってきた。嘘をつく必要もないので頷くと、そこの洞窟を抜けるとヒワダタウンに行けると教えてくれた。
 騒ぐ人々を抜けだしてツクシの言う繋がりの洞窟へと足を運ぶのであった。

Re: 【ポケスペ】あなたとわたし【表紙できました】 ( No.29 )
日時: 2017/03/24 21:38
名前: Orchid (ID: HccPNei.)

第17話 繋がりの洞窟で太陽を見つける

 現在、ゴールド達は32番道路を歩いていた。ひたすら長い道のりだ。平坦で坂道も下り坂もなく、ただ草むらが広がっている道。整備されていない道は少し歩きずらい。
 鼻に気を遣えば、少し湿っているような感覚すらも覚える。

「ウパーッ!」
「わぁ!? ゴールド、何か出てきたよ!」
「あれはウパーだ。図鑑開いてみろよ、面白いことが書いてあるぜ」

 草むらからひょっこりウパーという、ウーパールーパーのモチーフポケモン、鮮やかな水色の二頭身の身体に、頭の横からテレビアンテナのようなヒレが濃い青色で生えている。

「水中で生活をしているけど、陸上でも生活ができる。えっ水タイプと地面タイプ?」
「おっ気づいたか?」

 ゴールドが珍しく前のめりでマイに問う。目が楽しくてたまらないと言いたいようにキラキラと輝いている。

「え? 何が面白いの?」
「水と地面だぜ?」
「うん?」

 先程のキラキラとした瞳は消えて、思いがけないことを聞いた風に眉を上げる。

「効果抜群が草タイプしかないんだよ」
「ほ、ほう! おもしろいね!」
「本当に分かってんのかよ」

 マリオネットのような動きでぎこちない動きでウパーから離れて行く、マイ。
運がいいのか悪いのか、ポケモンセンターが見えてきた。入って休憩しようとゴールドを誘って早速入ると、おなじみのセリフが聞こえてきた。
 手持ちのポケモンを休ませようと預かってもらい、ポケモンセンターの中央部にて待っていると、釣り竿を山ほど抱えていた人に声を掛けられた。

「やあ、少年少女! 君達は釣りは好きかい?」
「え、あぁ。好きっスよ」
「そうか! なら!」

 差し出してきたのはボロい釣り竿。ぽかんと口を開けているマイに、顔色を変えた釣り人は、ボロの釣り竿ではなく。

「おっとこっちだ、こっち。新品だよ、これを使ってたくさん釣り上げてくれ」
「サンキュな、おっさん! いやァなんか悪いっスね!」

 なんの悪びれもなくゴールドは新品の釣り竿を受け取り、折り畳み式なのでリュックにそのまま仕舞いこむ。マイは終始やり取りを見ているだけだったが恨みを持ちそうにない釣り人にも頭を一応下げる。

「ゴールドさん、マイさん。お待たせしました」
「あ、はーい。ゴールドわたし取り入ってくるから、ここで待ってて」
「おー」

 ジョーイさんの明るい声がポケモンセンターに響く。自分の手持ちはベルトに着けて、残りのゴールドの手持ち、エイパムとヒノアラシの入ったモンスターボールを持って入り口に戻る。

「おまたせー。じゃ、洞窟いこっか!」
「おー。迷子になんねえようにな。冗談だよ、今度の洞窟はこの間の洞穴とは違って結構明るいらしーしよ」
「そっかぁ、よかった……」

 ポケモンセンターからすぐ近くにある、繋がりの洞窟。地下もない真っすぐな洞窟だとジョーイさんが教えてくれた。洞穴の洞窟がよほど怖かったらしく、ゴールドの服の袖を掴んで離さないマイ。

◆◆◆

「ゴールド、絶対、離れないでね!」
「わっーてる! 少しは離れろ!」

 やだっと首を左右に振ると髪もふんわりと揺れ動く。意地でも離さないという意思がよく分かる。

「やっ! なんか頭の上飛んできた!」
「ズバットだよ、ズバット。大人しくしとけばなんもしてこねえさ」
「でもテレビだと吸血行為とかって……!」

 マイを別の表現で言うならば、現代っ子。テレビっ子。知識のすべてはテレビから。いや、最近はゴールドから多くの知識を学んできた。

「ったく。バクたろう、出てこい!」

 歩きにくいのか抱きしめるとほんのり暖かいヒノアラシを出したゴールドは、そのままマイに抱かせてすたすたと歩きだす。ゴールドはぶっきらぼうだがピンチになるとすぐに駆けつけてくれると信じているので騒いだりはしないマイ。

「エーたろう、脅かす攻撃でズバットを追い払ってくれ」
「ごめんねバクたろう、しばらくぎゅってさせてね」

 吸血が怖くてバトルどころか、この洞窟を抜けれるかも心配になったゴールドがエイパムでズバットを追いやってくれている。その背中を熱い視線でマイは見る。
 やっぱりゴールドさんは頼りになるなあ、とそのまま背中を見続けて洞窟を抜けるすぐ手前で、フィーと鳴き声がした。

「ね、ネコ?」
「違うだろ、エーフィだよ」

 薄暗い洞窟の中にでも上品な出で立ちをし、細くしなやかな体躯に二又の分かれた尾、耳は大きく、耳の付け根部分から下に垂れ下がるような体毛がでていて、ミニリュウと同じく額にはルビーのように赤い宝石が核としてある。
 そんなポケモンがマイの某手持ちと同じようにマイの後ろについてくる。

「なんだろう、ずっと後ついてくるね」
「まーたお前と一緒にいたいんじぇねーの」

 口をとがらせてそっぽを向くゴールド、エーフィもとても可愛らしくマイはつい——

「エーフィ、ゲット!」
「ハア!?」

 ゴールドがよそ見をしている間にマイが、ピカチュウ同様、額にモンスターボールを当ててゲットしてしまった。
 ボールから出すと、エーフィは駆け出す。まるで、ついてきてと言うように。走るエーフィを図鑑確認。マイが立ち止まるとエーフィも立ち止まる。

「太陽ポケモン、ステキ!」
「へえ、天気予報もできるんのか。お、ここ読んでみろよ」

 ゴールドが面白そうに示すここは。

「認めたトレーナーにはきわめて忠実……」
「ま、頑張れよ」
「フィー!」

 早くついてきてと、エーフィが先導する。忠実なトレーナー、と口に何回もつぶやいていると、あっという間に出口にたどりつくと、そこにいたのは——

Re: 【ポケスペ】あなたとわたし【表紙できました】 ( No.30 )
日時: 2020/05/03 20:01
名前: あんん (ID: FRnJyOeS)

ポケスペ大好きです
更新お待ちしております


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