二次創作小説(紙ほか)

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ジョジョ〜最強にして最弱にして純潔の罪人〜他
日時: 2017/06/21 07:49
名前: 月音 (ID: Ol2AK7af)
プロフ: http://r18novels.com/novel/novel5/index.cgi?mode=view&no=17592

こんにちは、月音です。
ジョジョの奇妙な冒険の二次小説を投稿させて頂きます。
アイズオブヘブンが元です。
オリキャラ出演します。
また、息抜きとして少しずつ短編も投稿していきたいと思っています。

B L 注 意 で す ! !(短編のみ)

よろしくお願いします。


6月21日追記。
短編を18板に移す事になりました。
書いている内に楽しくなって来まして……
こちらにあるものは残して置きますが、以降短編を読まれたい方は参照のURLまでどうぞ。
BL、R18にご注意下さい!
本編はこのままです。

Re: ジョジョ〜最強にして最弱にして純潔の罪人〜 ( No.5 )
日時: 2017/02/28 21:36
名前: 月音 (ID: 27y4eURD)

「チクショー、考えられねーぜ、こんなのよォーッ!」
ジョセフは叫んだ。せっかく波紋の修業も終わろうとしていた最中に、これだ。隣のシーザーはさして変わった風もなく冷静に辺りを見渡している。先の試合は全く理解不能だった。男から出てきた像、──周りのヤツらはスタンドとか言っていたが──あんなの自分達には使えない。近くにいた青年がやけに馴れ馴れしく、あれは「幽波紋」、個々それぞれの潜在意識や精神力を具現化したものだと教えてくれた。どうやら波紋は効果があるようだから構わないとシーザーは言うが、スタンドの持つ特別な力がないのは大きなハンデだと思う。
「シーザー、お前はどうする気だよ?」
「相手の出方を見ながら対応していけば十分だろう。究極生命体相手よりやりやすいはずだぜ」
「柱の男な……アイツらもいるみてぇだよな。会ってはいねーけどよ」
「多分故意に会わないようわけられているんじゃあないか?」
「そんな七面倒な事よくするよな〜」
あくまで暢気なジョセフに嘆息し、シーザーはスタスタ歩き出した。
「おい待てよッ!おいッ!」
「修業の成果を発揮するいい機会だ。利用させて貰うとしよう。それに、こんなバカっぽいところをあんなに大勢のギャラリーに見られるなんて、オレは嫌だね」
「ハッ!そうか、忘れてたぜッ!てぇことは……ここでヘマしたらリサリサ先生に見られてるって事かッ!?」
急いで口を手で塞ぐが、そんなことで今までの言動は消えない。シーザーは呆れ返ってもう一度ため息を吐いた。
「オレはこんなヤツと組まねばならないのかよ……」

「いたかい、康一君」
「はい、ここから三メートルくらい離れたところにいます」
「ふむ……さて、どうしようか?」
それと同じ頃。広瀬康一と岸辺露伴も話し合っていた。エコーズの広い射程距離を利用して偵察したところ、二人の男が見つかった。試合開始前のアナウンスからして、彼らはジョセフ・ジョースターとシーザー・アントニオ・ツェペリだろう。
「にしても、ジョースターさん、若い頃はあんなだったんですね」
「人間、年は取りたくないもんだよな」
「でも今のジョースターさんもシブくてカッコいいと思いますけど」
康一達杜王町の住民は、老ジョセフを知っている。が、勿論それは何十年も後の離れた事象であるので、ジョセフは康一達を知らない。言ったところで信じては貰えないだろうから言うつもりはないが。
「よし、取り合えずエコーズで敵の位置を把握したまま、後ろに回り込んで畳み掛けよう」
「はいッ、じゃあこっちですッ」
それぞれの形でバラバラな思惑が動き出した。それらが奏でる組曲が、あの少年の目覚ましには必要だったのだ。

その少年はといえば。
また特等席で例の少女と仲良く手を繋いで観戦していた。
「さっきは急に行かなきゃならなくて、ごめんねソーラァ。DIOのやつが短気で、このままじゃあ全部台無しにされそうだったからさ」
「…………」
「怒っているの?……ごめんね。面白くないかな?全部……君の為なのに……ね」
なだめるのか甘やかすのか、判別しがたい声音で言った。また少女の顔を覗き込み、反応を待つかのように見つめ続けるが、反応はない。濁った瞳だけがルナを透かしてどこか遠くを見ているだけだ。ルナはもっと強くソーラァの手を握り、優しくすり寄るのだった。
──少女の瞼が気遣わしげに一瞬伏せられたのを、少年は見なかった。

バトルフィールドでは、もう既にバトルが始まっていた。
奇襲戦法は功を奏し、ジョセフ達に大きいダメージを与えた。まだ見ぬスタンド攻撃に苦しめられるジョセフ達。しかし長く苦しい修業で培った技術は決して劣りはしない。
「康一君、手を貸してくれッ。隙さえ出来れば僕のヘブンズ・ドアーで書き込んでやるッ!」
「分かりました!エコーズッ!」
『3FREEZE!』
露伴は思った。今のジョセフ・ジョースターならまだしも、こんなチャランポランな若僧に負ける岸辺露伴ではないッ!スタンド能力を駆使すれば、絶対に勝てるッ!
突然クラッカーを持っていた右手が重くなるのを感じ、ジョセフは驚いた。
「なッ、何だってぇーーッ!?」
「ジョジョ!落ち着け、呼吸を乱すな!」
「クソッ、これじゃあ“直接相手を殴って波紋を流し込めねーッ”!」
ジョセフの苛立った叫びに違和感を感じたのはシーザーだけだった。
(ジョジョ、お前は一体……?)
「今だッ!ヘブンズ・ドアー!」
露伴のスタンドが『ピンクダークの少年』の主人公の形をとって、殴りかかる。その手がジョセフに届こうかとした瞬間、
「またまたやらせていただきましたァン!」
ニヤリと口角を上げ、クイッと何かを引いた!するといつの間に仕掛けていたのか紐がスタンドに絡まり、縛り上げた。
「何だとッ!?スタンドを引っ込められないッ」
「波紋が伝わりやすいのを使ってんだよッ!食らえ、波紋疾走ゥーーー!!」
「ぬああぁぁぁああ!!」
「露伴先生ーーッ!」
康一の叫び空しく、露伴は地面に倒れ伏した。勝ち誇った笑みを満面に浮かべ、ジョセフは高笑いする。
「どうだ見たかよッ!これがオレの本気だぜえッ!スタンドなんざクソくらえだ!」
「油断するな!少年でもスタンド使いらしいぞッ」
「ふーん、こんなガキ、一瞬で負かしてやるわ!シーザー、てめぇの手借りるまでもねーよ!」
調子に乗るジョセフをたしなめるシーザーだが余り効果はない。イライラする。誰も康一に気をかけてはいない。そのシーザーでさえも、ライバルのジョセフに手柄を取られた事に少し浮き足立っていた。
「露伴先生……」
「ん?」
「先生の意志は、僕が受け継ぎますッ!出てこいエコーズ!」
『S・H・I・T。仕返シシマス』
「危ないッ!どうしたJOJO!?」
「ん?うおおおッッ!!??」
突然ジョセフの体が何かに引きずられるようにして動き出す。いや、弾き飛び出したというのが正しいかも知れない。
「な、何だって言うんだよォ!」
思わず叫んだところで、誇らしげな笑い声が聞こえた。
「フフ……僕の最後のあがき……受け取ってくれ、康、一、く……」
「JOJO!そいつはまだ死んでいないッ!」
シーザーが気付くも、時既に遅し。ジョセフに書き込まれた文言はこうだ。
『ジョセフはシーザーもろとも海に飛んで行く』
「うわぁぁぁぁあああああッッ!!!」
「く、来るなジョジョ!うぐッ、足が!?避けられんッ、このままじゃあ……」
露伴のヘブンズ・ドアー。
康一のエコーズ・3FREEZE。
結局、まだ犬猿の仲から抜けきれていなかった二人では、息ピッタリの彼らには遠からずとも及ばなかったのだろう。
「「こんの、シーザーァァァ!!/ジョジョォォォ!!」」
勢いよく水飛沫を立て海に飛び込み、そのまま沈んで再起不能。

Re: ジョジョ〜最強にして最弱にして純潔の罪人〜他 ( No.6 )
日時: 2017/03/09 15:11
名前: 月音 (ID: 27y4eURD)

突然ですが短編1
ジョジョの奇妙な傷物語的な何か

承太郎×DIO

「ねえ、知ってるかい?」
「吸血鬼にとって吸血行為は」
「眷族を作る時に限ってなんだが」
「性行為と同意義らしいよ」
「だったら、人生で一、二回っていうのにも頷けますよね」

彼はそう言っていた。
その一、二回っていうのにオレが入ったのはつまりそれか。
そして今もなお。
こうしている事に意義を見出だせるのか。

「おはよう」
「夜だというのに」

こんな会話を今日も。

「何て言うんだ」
「Let's dig in,OK?」
「日本語で喋れよな」
「いただこう」
「よし」

がぶっと。
肩に噛みつく。
鋭い牙が肩に食い込む。
慣れた、痛みが走る。
半分食いちぎるようにオレから血を吸う。
こいつは。
この小学生のガキみたいな男は。
自称人間を越えた最強らしく。
少し前までは暴れまわっていたものだ。
その時はもっとデカかったが。
こいつはオレと戦い、一度敗れ消えた。
何故か帰って来たと思ったらこれで。
驚いたとも。
殺そうかと思ったとも。
だけどこいつはオレのせいだとぬかすから。

「あの時完全に滅しておかんからオレはこんな惨めな姿で生き恥さらしているんだろう」
「責任を取れ、責任を」

物知りの彼はこう言った。

「アイツは今、人間に非常に近い吸血鬼になっている」
「そして君は吸血鬼に非常に近い人間になった。何故だか分からんが」
「これから君がアイツに血を与え続ければアイツは生き延びるだろう」
「君が愛想を尽かした時が」
「アイツの終わりだ」

アイツはあの時オレに何かしたに決まっている。
だから見殺しにすればいい。
仲間が死にかけたのだ。
それくらい構わないはず。
なのに。
オレはそうしなかった。
責任を取れと言ったそいつは、か細く震えていたから。
自信に満ちた目付きの奥に、隠しようのない恐怖が見てとれたから。
そいつを抱き上げ、抵抗を防ぎながら首もとへ誘導してやった。

「飲めよ」
「いいのか」
「いい」
「何故」
「まだ誰も死んでいない」
「ここではそうなのか」
「何」
「オレを殺しておいた方がいいんじゃあないか」
「お前を殺すのは、ハンデがなくなってからだ」
「本当か」
「くどい」
「……ありがとう」

行為は繰り返された。
あれは一度きりだったが。
アイツは大きくなりそうにない。
しばらくは血が必要そうだ。
痛みを心地よく感じられるくらいにはなった。
吸血は性行為。
ふと、血を吸われる陶酔感を、こいつにも与えてやりたくなった。
がぶっ。

「何をする」
「ここはひいじいさんか。お前か」
「オレだ」
「お前、される側になってみろ」

歯を立てる。
小さなうめき声が聞こえた。
構わない。
と、口の中が鉄の味でいっぱいになった。

「うまいか」

何となく。

「うまい」

ちゅう、と一応止血しておく。
さすが吸血鬼、治癒は早い。
これは癖になりそうだ。
このままでもいいかも知れない。

「I'll kill you and make to love」
「何だ」
「教えん、阿呆め」

けらけら楽しげに笑う。
日本語喋れ。
何だかんだ、幸せそうだ。
このままでもいいかも知れない。

「もう少し食わせろ」
「やれやれだぜ」

食事が終わったらもう一眠りしようか。
何しろ夜中だ。
まだ眠い。

「ごちそうさま」
「おそまつさま」

さて、寝よう。
明日も健康でいられるように。


『いつかオレはお前を殺し、愛するだろう』

END

Re: ジョジョ〜最強にして最弱にして純潔の罪人〜他 ( No.7 )
日時: 2017/04/02 11:46
名前: 月音 (ID: 27y4eURD)

「あーははははっ!最高ですッ!ありがとうございました、皆様方!ふふ……本当に良い試合でしたよ!」
恐らくマイクの向こうで腹を抱えて笑いこけているのだろう。ガツっという音が聞こえ、軽い悲鳴もした。なお笑うのを止めずに続ける。
「えー、はい、ではここで……くくっ、二十分間の休憩です。お、各々おくつろぎ下さいませ。ひひっ……!」
パチン。
途端にコロッセオのような石造りの建物から洋風な室内へ変わる。初めのように一人ではなく、何人かが一緒だった。同じ時代を生きた仲間だ。
「あああーーッ!シーザーこの野郎!さっきはよくもォ!」
顔を合わせるなり叫んだのは、先程ボロクソにされたジョセフだった。シーザーも負けじと言い返す。
「違うな、お前のせいだ!お前がオレに突っ込んでこなければまだ勝てたんだ!」
「何をぉ!?つまりおめー、自分一人で勝てましたってのか!」
「そうだやっと分かったか!」
「ぐぬぬ……おれはこういうヤツは大嫌いだぜ!」
互いしか見えていない。ぎゃあぎゃあ言い争う二人に冷たい声が降った。
「言い訳無用」
リサリサだ。
「げ!リサリサ……!」
「先生ッ!」
気まずそうな二人。リサリサはサングラス越しに肝が縮むくらい恐ろしく無感動な目を向けた。
「今回のバトルであなた達はまだまだだという事が分かったわ。油断大敵。あなたは自分を過大評価し過ぎです、ジョジョ」
「でもよ、一人倒したのはオレだぜ!」
「倒しきれていなかったのでああなったのが分からないのかしら」
黙り込むジョセフにざまあみろとばかりにやりと笑いかけるシーザー。勿論リサリサはそれを許さない。
「シーザー。あなたはチームワークがありません」
「なッ!?」
「ジョジョと手を組めば倒せたはずなのに妙な意地を張るから隙をつかれるのよ」
「うう……」
「二人はとにかく互いを補い合う方法を探しなさい。いい?」
「「……はい」」
「返事は」
「「はいッ!」」

その頃、第四部と銘打たれた部屋では。
「「「カンパーイ!!」」」
置かれていたドリンクを手に手に祝勝会の真っ只中だった。
「流石だよ康一君。君のおかげでアイツらに勝てた」
「あたしが見込んだ男ですもの、負けるわけないわよね、康一君?」
「いやあ、露伴先生のスタンド無しだったら手も足も出ませんでしたよ〜」
露伴と由花子に挟まれて幸せそうな康一。仗助と億恭は次のバトルについて熱く語っている。
「もしおれとおめーが組んだらよぉ、向かうとこ敵無しだよなぁ!」
「そうだぜ!おれ頭わりーけどよぉ、仗助がいてくれたら勝てるはずだぜェ!」
「だよなー!」
「なー!」
イエエエエ!ピシガシグッグッ。吉良の名を知ったばかりの時間から連れて来られた彼らには、不安も不満も無く、単純に自分の力を発揮出来る場を得たと喜んでいた。ここにかつて葬った敵やこれから邂逅する筈の敵がいる事など微塵も恐れず、しばしばか騒ぎしていたのであった。

Re: ジョジョ〜最強にして最弱にして純潔の罪人〜他 ( No.8 )
日時: 2017/05/10 16:15
名前: 月音 (ID: 27y4eURD)

短編2





しあ
幸せ
幸せな
毎日
家族
皆で
ティ
ティーパーティー
御茶会議

温か
温かい、
温かい……
温かい──

──夢。



とある一家の御茶会議



×月××日
またあの夢を見た。
奇妙で苦い、夢だ。
変な汗もかいていて、気分がいいとはとても言えない。
ずっと昔の因縁なんていらないのに。
時計はくるくる廻っている。

×月××日
またあの夢を見た。
あの夢の後は決まってやるせない気持ちになる。
昔は暴れ倒せば楽になったが、それももう出来ない。
自業自得か。
時計はくるくる廻っている。

×月××日
またあの夢を見た。
家族の中で誰よりも優しいヴェルサスには心配しないでと伝えた。
お前が心配するように、もう誰も彼も傷つけたりだなんてしない。
したくても出来ないから。
ストレスを発散出来ない代わりに角砂糖を3つ入れた甘ったるい紅茶を一気に飲み干した。
一向に気分が晴れないのに気付いてか、アンダーワールドを使い、面白い事をしてくれた。
ふと、いい加減僕の事嫌いになった?って聞いたら、頭を撫でられた。
よく出来た子。
憐れみなんて要らないのに。
時計はくるくる廻っている。

×月××日
またあの夢を見た。
今日は雨だったから本を読んだ。
ロッキングチェアに腰掛けると、何かおかしいと思ったら床に足がつかなかった。
気分がいいとはとても言えない。
時計はくるくる廻っている。

×月××日
またあの夢を見た。
誰にも愛されない、愛されなくて当たり前の人生の夢。
生き苦しく、死に損なう夢。
もう終わらせた筈の世界の続きの夢。
首がひどく痛い。
時計はくるくる廻っている。

×月××日
またあの夢を見た。
心配してくれるのか、ウンガロが珍しく一緒にティータイムを過ごしてくれた。
最近反抗期だから嬉しいものだ。
もう誰も彼も陥れたりするな、との御忠告。
それは昔々の若気の至りだから気にするなと言っておいた。
最近発見したストレス発散方法。
角砂糖を4つ入れた紅茶を一気に飲み干すと糖分で苛立ちがすうっと消える。
暇だから、とボヘミアン・ラプソディーを使い、物語のお姫様なんかと遊ばせてくれた。
お前は僕の事嫌いになったよな?って聞いたら、鼻で笑われた。
言いたい事はきちんと言うよう、教えないとな。
時計はくるくる廻っている。

×月××日
またあの夢を見た。
あの時残された力のほとんどを使って生き延びた僕は、力のほとんどを失った。
それ以来こうして息子達より小さくなった体で惰性のみで生きてきた。
夢を見たくないなら、自分を嫌えばいいらしい。
喉が乾いた。
時計はくるくる廻っている。

×月××日
またあの夢を見た。
夢を見たくない。
ずっとこうしていたい。
時計はくるくる廻っている。

×月××日
またあの夢を見た。
どんどん、どんどん、近づいて来ている。
もう、あんなおもい、したくない。
時計はくるくるまわっている。

×月××日
またあの夢を見た。
心配いらないよ、と言うのにリキエルが無理矢理僕を部屋から連れ出した。
スカイ・ハイを使い、ロッズという訳の分からん生き物を見せてくれた。
早い早い。
何よりリキエルが楽しそうで良かった。
ぽつりと、もう誰も彼も恨んだり呪ったりしないからと言うと、大きく頷かれた。
最近滅法疲れやすいので、悪いが早めに切り上げて部屋に戻った。
角砂糖の量が増えて来ている。
今回は5つ。
大人しく紅茶を飲むリキエルに、僕の事嫌いになった?って聞いたら、安心しきった表情で溜め息をつかれた。
その後、微笑まれた。
あーあ。
それじゃあ駄目だ。
いけない子。
今日は時計の調子が悪い。

×月××日
またあの夢を見た。
ヴェルサス、ウンガロ、リキエル、ジョルノ。
大切な大切な子ども達。
四人と、はなれたくない。
時計はまだ治らない。

×月××日
またあの夢を見た。
最近まともに起きていられない。
大嫌い。
大嫌い大嫌い大嫌い大きらい大きらい大きらいだいきらいだいきらいだいきらいだいきらいだいきらいだいきらいだいきらいだいきらいだいきらいだいきらい。
ぼくなんてだいきらいだから、ぼくはあそこにいたくないから、あいされたいぼくなんてだいきらいで、あいしてほしいからだいきらいで、だいきらいじゃないと、あいされないから、だから、だからだからだから。
あいしちゃいけない。
あいしちゃったら、あいされない。
だいきらいなら、あいしてくれるから。
だから。
とけいが、もうとまりそう。

×月××日
またあの夢を見た。
とけいがとまりそうだ。

×月××日
またあの夢を見た。
ヴェルサスは、頭をなでた。
ウンガロは、鼻でわらった。
リキエルは、ほほえんだ。
ジョルノ、あと、お前だけだから。
ぼくはお前たちがだいすきだから、お前たちは僕をきらいでいてくれ。
ぼくがぼくをちょっとでも好きになってはここにいれないんだ。
はやく時計をなおして。

×月××日
またあの夢を見た。
角砂糖は、いくつ入れる?
時計が少しなめらかに動くようになった。

×月××日
またあの夢を見た。
前からずっと、ほとんど起きられない。
目が覚めると、四人がいる。
幸せだ。
時計がどこかにいった。

×月××日
またあの夢を見た。
夢は、もう、すぐそこまで来ている。
みんなとも、お別れなのだろうか。
まだ、いやだな。

×月××日
またあの夢を見た。
が、少し調子がいい。
首が裂けるように痛かったのがなくなってきた。
このままいたい。

×月××日
今日は夢を見なかった。
久しぶりに気分が良く、ジョルノに言ってティーパーティーを開かせた。
四人が仲良く話しているのを見れば、気分が悪いとはとても言えない。
無意識に角砂糖を6つドボドボ紅茶に入れて啜ったら、ジョルノが目を丸くした。
そんなに入れたら体に悪いでしょう?
そう言ってくれる息子が嬉しくて、私は心底幸せで笑った。
いつの間にか、部屋には止まった時計が飾られていた。

ヴェルサスが頭を撫でてくれたのは、僕を愛していてくれたからで。
ウンガロが鼻で笑ったのは、僕を愛していてくれたからで。
リキエルが微笑んだのは、僕を愛していてくれたからで。
ジョルノが目を丸くしたのは、僕を愛していてくれたからで。
四人が心配したのは、僕を愛していてくれたからで。
四人の子ども達全員に愛されているなら、そんな僕なら、僕も、僕を愛せるよ。
夢から覚める時が来た。
世界は、動き出す。
またいつか、お前たちと一緒にティーパーティーが出来たらいいな。



「どういう事なんだ?」
「夢、と書いてあるな」
「夢日記、とかいうヤツか?」
「そういうことをするタイプには見えねえがな」
「そもそも、これを書いたのは本当にヤツなのか?」
「分からん」
「後でここに出てくる人名を探させよう」
「ああ」
「……」
「ただ……」
「どうした?」
「こいつを書いたヤツは、少なくともこの日記の中じゃあ幸せだったな」
「……そうかな」
「夢から覚めない方が幸せだったのなら何故わざわざ?」
「さあ」
「……」
「……少なくとも」
「?」
「夢は覚めるから夢であって、覚めないならそれは現実だ」
「そうかもな」
「その現実で、愛されていないと自分を騙しながら生きるのと、愛されている事を認めて死ぬの、どっちが幸せかは誰にも分からん」
「こいつにとっては後者だったってことか」
「誰にも分からんよ」
「……そうだな」
「さて、そろそろ行くか」
「ああ」
「……」
「……」
「何してる?」
「寝覚め悪いから、手向けだ」
「紅茶でか?ハハ、先に行っておくからな」
「行っとけ。──」


『ある神父の手に本が渡る。
その本に亡き友人の面影を見た神父は、そっと祈る。
君の魂が息子達と共に天国へと導かれんことを、と』

Re: ジョジョ〜最強にして最弱にして純潔の罪人〜他 ( No.9 )
日時: 2017/04/03 16:22
名前: 月音 (ID: 27y4eURD)

短編2、某動画サイトで見つけた「とある一家の御茶会議」ジョジョバージョン。
もう感動していてもたってもいられなくなり書きなぐった次第です。

メモを張っておきます。意味不明な小説を読みやすくするのか更にこじらせるのか、そんなメモです。あくまでメモです。

多分ここはn巡後の世界。
ディオはこれから起こることを知ってる。
未来予知が高じて夢の世界を創りあげた。
語り手の夢ディオは夢を本当の世界だと、承太郎達を倒し終わった後の世界だと思っている。
語り手ディオは夢の世界しか知らない。
それがこの御茶会議。
エンヤは帰って来て欲しいから、夢を見るな、現実の自分を愛せと言う。
現実ディオは夢の世界と現実の世界、両方の記憶がある。
現実ディオは自分を嫌えば夢の世界にずっといられると思い、夢でも自己嫌悪している。
しかし無意識下で望む愛されたいという願望を忠実に再現する夢の世界。
最後の一言で、息子達に愛されている自分なら愛してもいいかもと思い、覚醒。
現実ディオに世界が目覚める。
この物語は現実ディオが書いた夢ディオの日記。
夢遊病かも。



最近短編ばっかりで本編が進みません……
そもそも私の作品、読者様いらっしゃるのでせうか……
結構掛け持ちしてますが、コメント来たの一作のみですし……
はい、まあ頑張ります。
これからもよろしくお願い致します。


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