二次創作小説(紙ほか)
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- ジョジョ〜最強にして最弱にして純潔の罪人〜他
- 日時: 2017/06/21 07:49
- 名前: 月音 (ID: Ol2AK7af)
- プロフ: http://r18novels.com/novel/novel5/index.cgi?mode=view&no=17592
こんにちは、月音です。
ジョジョの奇妙な冒険の二次小説を投稿させて頂きます。
アイズオブヘブンが元です。
オリキャラ出演します。
また、息抜きとして少しずつ短編も投稿していきたいと思っています。
B L 注 意 で す ! !(短編のみ)
よろしくお願いします。
6月21日追記。
短編を18板に移す事になりました。
書いている内に楽しくなって来まして……
こちらにあるものは残して置きますが、以降短編を読まれたい方は参照のURLまでどうぞ。
BL、R18にご注意下さい!
本編はこのままです。
- Re: ジョジョ〜最強にして最弱にして純潔の罪人〜 ( No.1 )
- 日時: 2017/04/27 19:59
- 名前: 月音 (ID: 27y4eURD)
DIOが目覚めるとそこは中世ヨーロッパ風の城の玄関であった。
「む……?」
自分はエジプトの自分の城の中で眠っていた筈だ。一体ここは?
パチンと指を鳴らす音がし、一斉に明かりが灯り、玄関が照らされる。暗めの照明だ。黒い床に赤いカーペットが敷かれている。玄関からそれぞれの部屋、廊下に繋がっているのだろうドアがある前の壁は、半円状にカーブしており、天井はやけに高く無茶苦茶に梁が交差して刺さりまくっている。正面のドアの少し上から床と平行に出ている梁の上に、少女とおぼしき人影が腰かけている。
「誰だ」
「ようこそいらっしゃいました、いえ来させられたというところですか。ご機嫌麗しゅう?」
「ふざけるなッ!なぜオレをここまで連れて来た?どうやったんだ?答えろッ!」
「私のスタンド能力を使いました」
「スタンドぉ?お前のようなチビがスタンド使いだというのか!?どんなスタンド能力なのだ!」
「彼はユニバース……真名を隠し成り下がる者。もちろんあなた、DIO様のザ・ワールドを使えば私をブチ殺すのなんて一瞬で出来る筈です。可能ですよ」
「ならばそうさせてもらおう。死ねィッ!」
DIOがザ・ワールドを繰り出し少女を殴ろうとすると、その拳は少女を逸れた。何度殴ろうと当たらない。
「貴様ぁ、何をした!」
「何も。ユニバースは自立型のスタンド。私に関わる場合は私の意思に関係なくその能力を行使するのです。彼はあなたに可能な私を殺すという事を不可能にしました。彼の能力は不可能を可能に、可能を不可能にする事なのです。あなたが強ければ強いだけ、あなたは私を殺せない」
「何ィィ〜!?」
ひらりと梁から飛び降り、DIOの目の前でくるりとターンしてみる少女。余裕ぶったその仕草はひどくDIOを腹立たせたが、彼にそれだけで自滅行為に走る程の無鉄砲さはなかった。
「でも私の望みは戦いじゃあない。あなたの他にもジョジョの奇妙な冒険から何人か来て頂いております。彼らに戦って頂きたい。そして私はそれを見たい!名のあるスタンド使い、そうでなくても強い人達。コロッセオで行われていた剣闘士のように燃える戦いをして頂きたいのです!」
爛々とイカれた目で叫ぶ。不可解そうに、気持ち悪そうにDIOは問うた。
「ジョジョの奇妙な冒険んん?ジョナサン・ジョースターもいるのかッ」
「それだけではない。ジョセフ・ジョースターに空条条太郎、ジョルノ・ジョバァーナ、プッチ神父……沢山の人達が。あなたはエジプトにいた時の姿で、ジョナサンはあなたの館に向かう時の姿で、他の方々もケースバイケース……」
「どういう事だ?このオレの体はジョナサンのものだ。なのにジョナサンが存在しているだと……!」
「だから言ったではございませんか。不可能を可能にする能力を持っていると」
慇懃無礼という言葉がよく似合う。彼はまたパチン!と指を鳴らす。と、周りに人のモデルが沢山現れた!
ジョナサン・ジョースター。
ジョセフ・ジョースター。
カーズ。
空条条太郎。
花京院典明。
東方仗助。
広瀬康一。
岸辺露伴。
吉良吉影。
ジョルノ・ジョバァーナ。
ディアボロ。
空条徐倫。
エンリコ・プッチ。
ジャイロ・ツェペリ。
ジョニィ・ジョースター。
ファニー・ヴァレンタイン。
「あなたがご存じの方も初めて見る方もいらっしゃるでしょう。もっと沢山の人をお呼びしております。それに……ふふっ!」
ここに集めれた数々の戦士達ッ!
彼らのバトルを見、やり込めてやりたいのがその少女、いや少年ルナの夢だッ!
「ジョジョ!あれはジョセフに条太郎!このDIOに倒されに来たかッ!」
燃えて来たDIOを冷たく諭すルナ。
「いえ違います。ユニバースによって私が私のために連れて来たのです。他の方にも説明は済みました。ではあなたにも説明を……」
パチンとまた指を鳴らしてスクリーンを呼び出した。それにゲームのような映像が映り込み、CGがバタバタと動いている。
「ルールは少し。二対二のタッグ戦であること。スタンド、物理、攻撃方法は問いません。タッグはくじ引きで、私が手動で決めます。そして、一番重要なのが、この戦闘では人を殺せません」
「なぜだ?意味がなかろうが」
「だってユニバースがおりますので……はい。ちょっと面倒になりましたのでくじ引きといきましょう!」
たったっと駆け出し、パッと現れた箱を手に取り、振った。中から二枚取り、また二枚取り、ぺらっと広げかかげた。
「第一回戦は『ホル・ホース&DIO』VS『ナランチャ&ジョルノ』となりました!ワアオ、図らずも同じ部からの出場者!さらに親子対決ですねッ!では皆様、フィールドの方に移動いたしましょうッ!」
- Re: ジョジョ〜最強にして最弱にして純潔の罪人〜 ( No.2 )
- 日時: 2017/02/18 21:55
- 名前: 月音 (ID: 27y4eURD)
パチン。またあの音だ。途端目の前が一瞬真っ白になり、次に寂れた砂漠の町の一角のような、砂と煉瓦で出来た場所にDIOはいた。
少し周りを歩いてみて分かった。広いように見えてもここは狭いフィールドだ。続いている道の向こうには見えない壁があり通れない。バリアのようだ。
「闘技場といったところか」
「その声はDIO様!?」
ひとりごちたDIOに駆け寄るガンマン風の男が一人。彼はホル・ホース。銃型のスタンドエンペラーの使い手で、DIOの部下である。
「見ましたかィ?アイツのスタンド能力!信じられやせんぜ……」
「信じるしかなかろう。くじで私とお前はタッグらしいな」
「へいッ!分かってるぜ!J・ガイルの旦那もいるみたいですし、オレ達ならやれますぜッ!!」
ふと彼の言葉を思い出す。誰も死ぬ事はないのか。
「バトル開始五秒前」
キィィンという音と共にどこからかルナの声がする。
「三、二」
ホル・ホースとDIOは目を合わせ、それぞれ意思疏通をはかる。
「一。レディー、ファイッ!!」
合図と同時に走り出す。砂を踏むザッザッという音だけがしばし響く。
「敵は知っているか、ホル・ホース?」
「知りやせん。つまり相手もオレ達のスタンドを知らねぇーって事でしょうな」
そんな会話を交わしていた彼らの上空から物騒な物音がする!
「見つけたぜッ!」
ドンドンっと弾丸をバラ巻くのはラジコン戦闘機のようなスタンド、エアロスミス!二人はさっと避けた。
「ホル・ホース!本体を探せッ!」
「アイアイサーッ!」
二手に分かれ走り出した。エアロスミスは少し不安定に左右に揺れたが、DIOを追い始めた。二酸化炭素探知機能。対象が息をしている限りエアロスミスは追い続けるッ!
「クソっ、仕方ない……ザ・ワールド!時よ止まれぇぃッ!」
ドゥゥウウン……。
その間にDIOは本体を探しに飛び回る。少し離れた所に二人の男がいた。黒髪の少年と金髪の少年だ。リモートコントローラーを持っている事からして黒髪の少年が本体のようだと目星をつける。しかし、何かが気にかかる。何だ?そのせいでザ・ワールドの効果は切れ、時は動き出した。
「うわあぁぁーーッッ!?突然変なヤツが出てきたぜッ!エアロスミスが追ってたヤツだ!」
「あなたがDIO……僕の父親ですか」
金髪の少年──ジョルノ・ジョバァーナはそう呟いた。カッと目を見開きDIOは叫んだ。
「父親だと!ならお前は……誰だッ!」
「僕はジョルノ・ジョバァーナ。または汐華初流乃。あなたが父親だと聞いている」
「バカなッ!?ジョルノはまだ赤ん坊かそこらだろう。こんなに成長している訳がないッ!」
「そしてあなたは──だはずだった。全てはあの少年のユニバースとかいうスタンドのせいだろう」
時系列がバラバラだとか言っていた。そう考えれば無理矢理にだが納得は出来る。一つDIOの心に影を落としたのは、ジョルノの言葉の聞き取れなかった部分だった。
そんな二人をよそに、ナランチャは「え、こいつジョルノの父ちゃんなのか?よく分かんねーやぁ。似てるかもなぁ。アハハハハ」なんて一人バカ笑いしていた。やっと追い付いたホル・ホースは唖然としたまま動かない。
「ともかく……別に思い入れのある父親じゃあないから、戦うなら戦うだけだ」
「それでいい。アイツはこの戦いでは誰も殺せないと言っていたからな、遠慮なんてするだけ無駄だ!」
「ナランチャ、お願いします」
「オレより年下なんだから命令するんじゃあねーよジョルノッ!オレがブッ飛ばす!!」
「オレはサポートに回りますんでDIOの旦那は好きなように動いてくだせぇ!」
こうして、第一回戦の火蓋は切られたのだった。
「ふふ……」
その様子を特等席でルナは眺めていた。
「ねえどう?君好きだっただろ?第五部。面白い試合だね」
語りかける相手は、二人がけのふんわりしたソファに一緒に腰かけている少女だ。顔立ちは驚くほどルナに似ている。白い肌も身長も髪の長さもだ。だが正反対だった。暗めの茶髪に対して白い髪。ウェーブのかかった髪に対してストレート。黒いドレスに対して白い着物。ぺらぺら喋る活発な少年に対して無表情でぴくりとも動かない少女。人形のようだった。何も反応がないのに悲しそうに眉をひそめながらも、続ける。
「ね、せっかく何人も呼んだんだよ。楽しもうよ、ね、ソーラァ……?」
白い少女はどうも動かずガラスのような目玉を前に向けてだけいた。
- Re: ジョジョ〜最強にして最弱にして純潔の罪人〜 ( No.3 )
- 日時: 2017/02/19 21:39
- 名前: 月音 (ID: 27y4eURD)
再びバトルフィールド。
このバトルはどうやらDIO達の方が優勢のようだ。ザ・ワールドは強力でジョルノ達は防戦一方だ。ザ・ワールドのタイムラグでさえホル・ホースの援護射撃で攻撃にしている。それでなくともザ・ワールド自体火力に不足はない。ジョルノもカエル攻撃で応戦出来てはいるが、相性がいいとはいえない。エアロスミスのおかげでギリギリ生き延びられている感じだ。中々終わらず進まない試合に観客が苛立ち始めていた折だった。
「このままじゃあ埒が空かない。まずDIOから倒していきましょう」
「一体どうすんだよッ!?」
「ナランチャ、エアロスミスの射程範囲ギリギリのところまで逃げてください」
「そんな事したってどうにもならねーだろ」
「後ろは僕が守ります。つまり……って訳です」
「なるほどなッ!任せとけ!」
喜色満面に駆け出すナランチャを横目でちらと見やったが、DIOはそのままジョルノを相手にしようと決めたようだ。
「何をしようと言うんだ?貴様らごときのスタンドなど我がザ・ワールドの前では無力!」
「そう言っているがいい。僕たちの前では時を止める能力など──」
「このDIOに対し小賢しい作戦なんざ──」
「「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」」
激しい殴り合いが繰り広げられる。どちらも引けを取っていない。
「ザ・ワールド!時よ止まれ……」
ドゥゥウウン……。
やはり時を止めた。無防備なジョルノに憫笑をくれてやる。
「頑張ったものだ。結局誰もオレに勝てはしないのにな……せめて楽に潰してやろう」
ヒュンッと飛んで行き、帰って来た時に持っていたのは──
「ロードローラーだァァァァッ!」
ドズンッと重機を投げ落とし、ザ・ワールドを解除する。条太郎の時のように更に殴り付けたりはせず、カツ、カツと背中を向けて歩き出した。自分の勝利を、相手の敗北を確信している態度だ。
「……かかったな……」
かすかな呻き声ともつかない言葉がDIOの耳に入った。余裕ぶって振り向くと、今にもくずおれそうになりながらも凛と立つジョルノの姿があった。
ジョルノには読めていた。
ナランチャと分かれればDIOは自分を選ぶだろうと言う事を。ホル・ホースはナランチャを追うだろう事も。ザ・ワールドとゴールド・エクスペリエンスのラッシュになり、時を止められて負けるだろうという事も。そして──
「今です、ナランチャ」
「うおおおおぉぉぉーーーッッ!!」
自分の呼吸が不安定になった時、ナランチャのエアロスミスが火を吹くだろう事もッ!
ザ・ワールドは今は使えない、よって攻撃を防ぐ事は不可能だッ!
「ボラボラボラボラボラボラボラ」
ナランチャは遠くからでも分かった。エアロスミスの弾丸の雨は完全にDIOに命中し、大ダメージを与えている!
「ボラーレ・ヴィーア(飛んで行きな)」
ビシッとキメる。レーダーを見ると二つのポイントが消えようとしていた。満足してエアロスミスを解除する。
「あとはアイツ……ホル・ホースっていうんだっけ?ホ・ル・ホ・ー・ス……ハハッ!こいつ名前占いで地獄行きグファッ!?!?」
片手を使って雑に名前占いをしていたはずなのに。気がつくと体が吹っ飛び壁にめり込んでいた。段々と暗くなっていく視界のすみにちょっと見えたのは、勝ちを誇るでもなく自分を睨む、仲間の父親の姿だった。
- Re: ジョジョ〜最強にして最弱にして純潔の罪人〜 ( No.4 )
- 日時: 2017/02/23 22:13
- 名前: 月音 (ID: 27y4eURD)
「フーッ、フーッ……」
DIOは荒々しく息を吐き、息が切れようとしている少年を睨み付ける。ガシガシと頭をかきむしり叫んだ。
「このDIOがッ!こんな小僧共にしてやられるとはッ!URYYYYY!!」
一旦落ち着こうとスーハー深呼吸をし、くるっと後ろを振り向く。
「ホル・ホース……」
「へいッ!」
ビクッとして直立するホル・ホース。
「やけに遅かったなァ……?この小僧と同じくらいに走り出していたと、オレは思うんだが……」
「い、いや、アイツ俺を……チョロまかしやがりましてッ!」
「ふん……」
どうせギリギリまで自身の安全を守ろうとしていたのだろう。抜け目のないヤツだ。
「まあいい。結局倒せたのだからな」
「や……やっぱり旦那は最強ですぜッ!俺なんかいなかろうと問題ねーんじゃあねーですか!?」
そんな言葉は聞き流しながらDIOはふっと思った。いつここから出られるのだろう。そういえばあの少年は誰も殺せないと言っていたが?
「……まさかッ」
ダダッと駆け出し、先程倒したばかりのナランチャの首に指をあて、脈を測る。かすかにも脈はない。完全に、
「死んでいる……だと」
誰も殺せないと言って油断させておき、一人一人自分の手を汚さず殺してゆくのが、あの少年の目的なのか?そしてそれならば先程ロードローラーでぶっ潰した、自分に似ず勇敢で仲間想いの息子は──。
「貴様アァァァ!出てこいッ、このDIOを騙したのかぁッ!?」
憎らしい程青い作り物っぽい空に向けて雄叫びをあげる。程なくしてパチン、と音がして、空中にパッとルナが現れた。どことなく不機嫌そうだ。
「……何です」
「お前はここでは誰も殺せないと言った!そのはずだッ!なのにこいつは死んでいるぞッ!!説明しろ〜ッ!」
睨み怒鳴るDIOに騒々しいと耳を塞ぎ、大きくため息を吐いて答えた。
「はあ。私の説明が悪うございました。殺せないのではなく……うん、死なないでどうです?」
「ふざけるな!変わらないだろうが!」
「はいはいはいはい、分かりました。証明して差し上げますよ、と」
ふわりと壁にめり込んだままのナランチャに近寄り、「ユニバース」スタンドを呼び出した。目を閉じて集中しながらナランチャの額に手をかざす。カッと目を開くと、彼の目は赤く光っていた。
「……ハッ!」
手の平から柔らかな光が降り注ぐ。するとピクッとしてナランチャの胸は緩く上下し始めた。疲れたのかだらりと両腕を下ろし、元の髪と同じ色の目でDIOを振り返った。
「こうして……死んでも生き返らせて差し上げます。ですので……ご心配なく」
「ムム……」
DIOはもっともらしい返答に眉根を寄せ、黙り込んだ。もう一度大きなため息を吐き、パチンと指を鳴らした。パッと景色が変わり、暗い屋敷の中に戻った。DIOは辺りを見渡したが、もうホル・ホースやナランチャの姿はなかった。
「はい……DIO様、ホル・ホース様、ナランチャ様、ジョルノ様、ご苦労様でした。大変楽しませて頂きました。今回戦闘に参加されました四名様は、次のバトルには選ばれません。ごゆっくり」
「…………」
「続きまして、第二回戦に参りたいと思います。カードは……『康一&露伴』VS『ジョセフ&シーザー』になります。では、フィールドに行きましょう!」
パチン。
「むっ……!?」
途端、DIOはコロッセオの観客席に座っていた。瞬間移動だ。ぐるりと辺りを見てみると、何人か見知った顔もある。闘技場の真ん中だけ雰囲気が違い、透明なドームに囲まれていて、その中で四人の戦闘が行われているようだ。先程DIO達もあの中にいた。
「DIO」
肩に手を置かれ振り向くと、プッチがいた。
「さっきの試合、見せてもらったよ。さすがだ」
「世辞はいい。君はこれが理解出来ているのか?何なんだここは」
「どうやら彼のホームグラウンドのようだから私たちにはどうしようもない。ただいくつか分かった事があったよ。この観客席ではスタンドが発動出来ない。また、誰かを攻撃しようとしても出来ないようだ」
「またあの……ユニバースとかいうスタンドかッ!」
「だろうな。だけどまだ誰も危害を加えられていない。本当に望みはバトルを見たいだけのようだね」
「そんな事があり得るのか。ガキのお遊びに付き合っていられる程、このDIOは暇じゃあないんだぞッ!」
怒りに震えるDIOをたしなめるプッチ。それを興味深そうにみている女性がいた。彼女は徐倫。条太郎の娘だが、ここにいる条太郎はその事は知らない。徐倫はグリーンドルフィン刑務所でプッチを見たことがあり、気にかかっているようだ。
「ねぇーエルメェス、ほら見てよあれ。神父みたいなやつ、前にいなかったっけ?」
「ん〜、確かに見たような……別に関係ねーと思うけどなぁ」
「ええーーッ!絶対おかしいって、信じらんない!もしかして、あいつもスタンド使いなんじゃあないの?」
「確かにその可能性もないじゃあないな」
「でしょ、アナスイ!」
「あの子供、バトルが見たいらしいし、スタンド使いと並みの人間が渡り合えるとも思わねー。どっかおかしいヤツらばかりだぜ」
「おかしいヤツ代表みたいなヤツが何言ってんだか」
「アハハハッ!エルメェス最ッ高よ!」
「……(押さえろアナスイ……徐倫に嫌われるわけにはいかねー)」
こちらはこちらでちぐはぐだ。徐倫とエルメェスは歓談しているが、アナスイは徐倫しか目に入らないようだし、ウェザーは我関せずを貫いている。そこでF・Fが呟いた。
「あたしにはイマイチまだ分かんねーんだよなぁ」
「ん?何が?」
「皆、アイツがあたしらを呼んだのは、バトルが見たいからだって言うじゃん?だから大丈夫だって。でもさ、何でアイツはあたしらの事を知ってたんだ?何であたしらが選ばれたんだ?」
「それは……」
思わず考え込んでしまう。沈黙したままの徐倫を見て、アナスイが憤る。
「プランクトンのくせに生意気なッ」
「何だとぉ!?」
「……始まるぞ」
「あ、そうね」
ウェザーの呟きに耳を貸し、徐倫はもう構わず少し前のめりになって闘技場を見やる。観客席にいる者はほとんど同じように気付かない内に夢中になって試合を見ている。これが、この面白さがルナの求めていたものなのだ。