二次創作小説(紙ほか)
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- 【文豪ストレイドッグス】ー夜ノ街二聳エル貴方ヲ想フー
- 日時: 2017/06/21 21:10
- 名前: トースト (ID: jxbxTUdV)
どうも、トーストと申します!
このスレを立てた経緯は最近スレ主が文スト沼にはまってしまいまして小説を書こうということになって今に至るという次第でございます。
このスレはスレ主が自己満足の為だけに貸していただいた場ですのでそれを皆様にも観覧していただけたらなと思い投稿しております。
スレ主は普段観覧者ですが、今回初めて小説を投稿する故いろいろと至らないところもあると思いますが暖かい目で見ていただければなと思っております。
普段は長編の小説を連載していこうと思いますがたまに番外編という形で短編、長編小説を連載しようと思いますので本編についてのことが分かりにくくなる時があると思いますがご了承ください。
短編集へのリクエストがある方はなるべくお答えしようと思います。
注意!
・この作品にはスレ主が現役作家、有名作家から引用したオリジナルキャラという本編には出てこないキャラクターが登場します。
・この作品はあくまでスレ主の自己満足小説ですので不快に感じた方は見ないことをお勧めします。
・この作品について意見、要望、アドバイス、感想を書きたい方は他の観覧者、またはスレ主が不快にならないような文面でお願いいたします。
上記のことをご理解いただけた方はどうぞ楽しんでいってくださいませ。
この作品はフィクションです。実際の人物への関わりは一切ありません。
- Re: 【文豪ストレイドッグス】ー夜ノ街二聳エル貴方ヲ想フー ( No.15 )
- 日時: 2017/07/05 13:33
- 名前: トースト (ID: jxbxTUdV)
#11
彼奴と私が出逢って仕舞ったのは、太宰さん達にも話した通り私が探偵に成り立ての頃だーー彼奴、有栖川有栖は私の前に現れた。
少し、私の過去の話をしようか。
____________________
_______________
_________
其の頃私はまだ探偵に成り立ての、所謂新人と云う奴だった。依頼もそんなに受けて来た訳じゃ無いが、推理力には自信があったし駆け出しでも其れ相応の探偵達を唸らさる位の洞察力、観察力は備えていた。まだ名も知れ渡っていなかったが新人探偵の中でも地位はある方だった。私の生活も成り立ってくる様になった頃、軍警からある依頼があった。
『怪盗エースを捕まえて欲しい』
この依頼を受けさえしなければ彼奴と出逢う必要も無かったものを。其の頃の私は何とも素直に其の依頼を受けて仕舞ったのだ。今思えば私の異能であの頃に戻り、彼奴と出逢わない様に生きるのも悪くないと思えてくる。しかし、其の手はもう使った事があるのだ。例え時間を戻したとしても、“未来は変えられない”。私は、これを何度も経験してきた。もしかしたら未来を変える方法があるのかも知れないが、今の私には知る由も無い。おっと、話が逸れて仕舞ったな。其れで私は其の依頼を受け、数日後怪盗エースから予告状が軍警に届いた。依頼内容はヨコハマにあるとあるビルに貯蔵されている宝石を盗むと云うものだった。刀を携えた私は其のビルでざっと100名位の警備員と共に怪盗エースを捕まえると云う任務に取り掛かった。
宝石其の物の監視を任せられた私は隔離された部屋で数台の監視カメラの視線を背に感じ乍何時怪盗が現れても善いようじっと宝石を見つめていた。
_________其の時、だった。
「__________っ!?」
銃弾が発砲される乾いた音。振り返れば案の定監視カメラは全て壊されており、其処には先程までは居なかった仮面をつけた黒マントの女が居た。顔は見えなかったがツインテールに縛られた長い髪、黒マントを羽織っているが小柄な体つきをしている。仮面越しからくぐもった少女の声が聞こえた。
「君は今日の探偵さんかな?私が怪盗エース、宜しくね」
自ら怪盗エースだと名乗った黒マントは仮面の向こうで嗤っているのか言葉を続けた。
「探偵さんってことは私が何で此処に居るのか、解るよね?」
楽しそうな少女の声。黒マントが其処まで云い切った時には既に宝石は其奴の手の中にあった。
ーー不味いっ!
気付いた時には、頭で考えるより私の体は先に動いていて。鞘から抜き取られた刀は黒マントの手に狙いを定め斬りつけていた。
__________いや、斬りつけようとしていた。
刀を引き抜いた事に驚いた黒マントの手から宝石が零れ、宝石に意識がいった私は床へ着く前に手の中に収めることが出来たものの、刀を収め、顔を上げた時にはもう黒マントの姿はなかった。
こうして、怪盗エースを捕まえる事は出来なかったものの宝石を守り抜いた私は軍警から其れはもう報酬を有りっ丈貰う事が出来た。
__________其れから数日経ったある日のこと。
「探偵さんお邪魔してるよー」
「なっ、其の声は、怪盗エースっ!?」
何処から現れたのか何時の間にか其奴は其処に居て、何故か私の淹れたココアを優雅に啜っている。
ーー此奴、こんな顔してたのか。
見るからに私と同じ位の齢であろう其奴は私の言葉を聞くなり喜んで私の手を握った。
「探偵さん私のこと憶えててくれたの!?」
ーー当たり前だろう。数日前会ったばかりだろうが…!
とまぁこんな具合で彼奴、怪盗エースこと有名推理小説家有栖川有栖に気に入られた私は其の日から其奴に振舞わされる毎日となった。丁度小林君が私の助手になる頃と入れ替わり立ち替わりをし、彼奴は外国へ盗みを働きに行ったらしいが真逆帰って来てるとは。
__________『また会おうね。探偵さん』
「もう会わなくて済む様にしてやるよ。有栖。今度こそ四年前果たせなかった断罪をお前に下してやるっ!」
深紅の瞳に写った夜空は雲行きが怪しくて、まるでこれから起きることを予知しているかの様だった。
- Re: 【文豪ストレイドッグス】ー夜ノ街二聳エル貴方ヲ想フー ( No.16 )
- 日時: 2017/07/08 16:55
- 名前: トースト (ID: jxbxTUdV)
オリジナルキャラ
キャラシ
少し事実と異なる部分がございます。
名前【有栖川 有栖/ありすがわ ありす】
性格【よく嗤う性格。笑い気質なのか“笑う”と“嗤う”をよく使い分けている。かなえの事をカナエと呼び、かなえからは毛嫌いされているが本人はカナエを気に入っていて少し同性愛にも似たものを感じさせる。常に自分は誰かの上に立って居ると思い込んでいる女王様の様な我が儘タイプだが頭のキレは速く、運動神経も抜群な為非の打ち所は少ない。喧嘩の時は相手の矛盾を突き、揚げ足を取り屁理屈を云う様に論理的で攻める。普段は一匹狼を気取ってカナエ以外の人物と馴れ合おうとしないが、我が儘な性格の癖に世話好きなので憎むに憎めない相手ではある。一人称は私。】
容姿【赤毛の混じったサーモンピンク色の髪で長さは膝に掛かる程まであり、普段はツインテールかポニーテールをして纏めている。少し癖っ毛が多く、毛先はパーマをかけたかの様にふわふわしている。私服はロリータファッションかゴスロリを普段着用していて、怪盗エースの時は黒い丈長ドレスに黒いマントを羽織り、道化師を気取って居るかの様な白黒の仮面を顔に着けている。病気持ちなので薬は常備服に忍ばせているらしい。瞳は薔薇色であり、肌は病気の様に白い。手は死人の様に冷たく、末端冷え性らしい。身長は165センチで胸は大きく、スタイル抜群。顔も整っており、世間で云う所謂超絶美人。年齢は19歳。】
職業【本業は推理小説家、又は怪盗】
好きなもの【ミステリー小説、価値があるもの、カナエ、推理】
嫌いなもの【病気、不都合なもの、裏切り、涙】
異能力【《マジックミラー》鏡を使い、屈折、反射が出来る鏡やガラス、もしくは鏡やガラスで出来たもののある場所へ瞬間移動出来る能力。例え瞬間移動する場所にある物がガラスの破片でも瞬間移動出来て仕舞うのでほぼ瞬間移動出来ない場所は無に近い。他にも虚像と実像を作ることが出来る。】
詳細【本業は日本でも有名な推理小説家、有栖川有栖の名でやっている。有栖川有栖と云うのはペンネームなので本名は不明。怪盗エースと云う名前もペンネームの頭文字から付けたらしい。怪盗をやっている理由は誰も知らない有栖の過去にあるらしい。「不思議の国のアリス症候群」と云う病気にかかっていて、常備している薬を決まった時間に飲まなければ病気が発症して仕舞う。異能が異能なだけにとても便利なので外出や盗みをする時も常によく使う。】
サンボ「私の名前は有栖川有栖、小説家をやっているよ。宜しくね」「さぁて、警察諸君、今回は私を捕まえられるかな?」「カァーナァーエッ!会いたかったよ!」
- Re: 【文豪ストレイドッグス】ー夜ノ街二聳エル貴方ヲ想フー ( No.17 )
- 日時: 2017/07/12 18:02
- 名前: トースト (ID: jxbxTUdV)
#12
その日、怪盗エースとの決戦の夜、僕達は其々の監視する場所を分担し、本元はかなえちゃんが監視することになっていた。怪盗エースが予告状に記した時刻は12:00……つまり、真夜中だ。遂に其の時刻はやってきて、隔離されたかなえちゃんが監視する本元のある部屋からかなえちゃんの怒声が聞こえてきた。予定とは違う展開に驚きつつ、直ぐ傍の廊下を監視していた僕は慌ててかなえちゃんの元へ向かった。すると皆に其々配られたインカムからノイズ音と共に太宰さんの声が聞こえた。
『____ジ__ジジ____ッ____あ_つし君っ____!かなえちゃんが如何か____したの____ジジッ____』
インカムから聞こえた声はノイズ音に混じって余り聞こえないが要点は分かった。
「かなえちゃんに何かあったみたいですっ!至急向かいます!」
其の会話を最後にインカムはプツリと切れた様にノイズ音も太宰さんの声も聞こえなくなった。恐らく怪盗エースが電波を弄ったのだろう。そうしてかなえちゃんの居る部屋へ辿り着いた僕は勢い良く扉を開けた……いや、開けようとした。
バンッ!と云う勢い良く扉が開いた時にはもう遅かった。一瞬反応が遅れた僕は扉を開けて出て来た“其奴”に首筋に短剣を当てられていた。血相を変えたかなえちゃんが口を開く。
「やめろっ!怪盗エース、其の人を離せ!お前は今回の盗みに失敗したんだ。お前は包囲されて居るっ。悪足掻きは止せ、さも無いと……」
如何やら予定変更にも関わらずかなえちゃんは言葉通りに宝石を守り抜いた様だった。其の手には真紅に輝く宝石が握られて居る。其処で僕はやっと現状を理解した。
ーーあれ、此れって僕………もしかして、人質っ!?
気付けば周りには太宰さんや国木田さん、乱歩さんに与謝野さんも居た。黒マントからはみ出るサーモンピンク色の髪から仄かに薔薇の香りがする。其処へ後ろから僕にしか聞こえない様な小声が聞こえた。
「抵抗しなければ貴方に危害を加えるつもりは無いわ。善い子にして居てね」
子供に言い聞かせる様な口調だった。怪盗エースの言葉に人質と云う立場だからなのか従おうとした僕は其のまま生唾を飲み干すと押し黙って仕舞った。僕の異変に気付いたのか怪盗エースの行動に気付いたのか、かなえちゃんと乱歩さんが声を荒げた。怪盗エースが何処からか出した手鏡が光る。
「この子はちょっと貰って行くね!今日は楽しかったよ、また会おうねカナエッ!」
楽し気な女性の声だった。先刻聞いた口調とは違い、本当に楽しそうに、まるで、笑っているかの様だった。太宰さんの慌てる声が聞こえる。国木田さんが拳銃を構える。与謝野さんがあっけらかんと僕を見つめている。そんな情景を最後に、一瞬の内に景色が変わる。気付いた時には、其処はもう僕と怪盗エースの二人だけだった。
短剣が怪盗エースの懐に仕舞われる。不安気な僕の髪を撫でて怪盗エースはこう云った。
「ねぇ、私と遊びましょうよ。中島…敦君…?」
其の声は、やけに楽しそうに嗤っている声だった。
- Re: 【文豪ストレイドッグス】ー夜ノ街二聳エル貴方ヲ想フー ( No.18 )
- 日時: 2017/07/17 15:24
- 名前: トースト (ID: jxbxTUdV)
#13
「敦君!敦君!凄いよ!絶景だよっ!」
楽しそうに笑う彼女の声。如何して、こんな事に………。人質が誘拐犯と観覧車に乗り、戯れる光景、其れは嘸かし奇妙だろう。何故この様な事になったのか、こう成る少し前の思い出に僕は浸ってみた。
_________一時間前
「なっ、んで、僕の名前………」
頭が働かない。脳が麻痺してるみたいだ。目の前の其奴は自分の着けている仮面を外した。現れる怪盗の顔。溢れんばかりの髪の毛が自分を取り囲む。薔薇の香りがより一層強まった。彼女の瞳は妖しく揺らめき乍に熱く僕を見つめている。ゴクリと生唾を飲み込む。
ーー嗚呼、喉が渇いた。
「だって私怪盗だよ?この位の情報知ってて当然。さぁて、何して遊ぶ?」
彼女は笑みを深めた。彼女が更に僕に詰め寄る。甘い、甘い声。いよいよ頭が追いつけなくなってきた。からからに渇いた口を開く。脳に酸素が足りない。
「あ、あの、僕、そう云うのは………」
必死で喉奥から声を振り絞る。チラリと彼女の顔を見る。彼女は一瞬キョトンとした顔を見せた後、赤面になっている僕をまじまじと見つめると小さく吹き出した。
「ぷっ、ふふ、あははは、君中々に面白い子だね。敦君?いよぉうし、気に入った!其れじゃあ行くよ!敦君っ!」
彼女が先程の手鏡を取り出し乍に云う。
「えっ、行くって何処にっ」
僕がそう云った時には時既に遅しだった。彼女の声が笑い声に混じり乍聞こえる。
「異能力!《マジックミラー》ッ!」
また視界が光に包まれた。恐る恐る目を開けた時、其処はもう先刻の部屋では無かった。
「…………こ、此処何処ですかっ!?と云うかまた景色が変わってっ」
「此処はヨコハマの中心部にあるビルの屋上だよ、敦君っ!」
僕が今居るのは彼女の云った通り本当にビルの屋上なのか風が凄く吹き荒れている。なんでまたこんな処に………。大方テレポート、其れが彼女の異能だろう。
「は、はぁ……ビルの屋上、ですか」
僕の口から渇いた笑みが零れた。如何やら相当彼女に気に入られたらしい。
ーー面倒な事になったな………太宰さん達が心配しているかも知れない。
「敦君!敦君!凄いよ!絶景だよっ!」
彼女が楽しそうに笑い乍云った。こうして今に至る。彼女に云われた通り下を見れば、12時過ぎにも関わらず街は随分と明るい。確かに、綺麗だな、と思った。
「綺麗…です…」
思わず口が滑った。こんな眺めの善い景色を見たのは、ギルド戦以来だ。彼女をチラリと見る。視線に気付いたのか、彼女も此方を見た。目が合う。
「ふふ、善かったっ!」
彼女は僕を如何したいのか、彼女の目的は何なのか、今だけは、其れを知りたく無いと思った。此れが、ストックホルム症候群、と云うやつだろうか?
唯、今は、まだ此の景色を眺めて居たいと、そう、思えた。
- Re: 【文豪ストレイドッグス】ー夜ノ街二聳エル貴方ヲ想フー ( No.19 )
- 日時: 2017/07/24 13:16
- 名前: トースト (ID: jxbxTUdV)
#14
「…………此れは由々しき事態だ。今直ぐ中島君を連れ戻さなければ…私が失態を…」
私は重々しい声色でそうぼそりと呟いた。元々中島君が有栖に連れ去られたのは私の失態、私が中島君を連れ戻さなければならない。私の異能は運命其の物を変える異能では無い。第一有栖が何処へテレポートしたのかさえ解らないのだ。さて、如何したものか……。
「…かなえちゃん、余り自分を責めない方が善い。敦君のことは私達全員の失態だ。如何にかして、連れ戻さなければならない」
太宰さんが何時もの様に云う。自分の部下が人質にされ、連れ去られたにも関わらず、此の人はまだ“何時も”を貫いている。本当は心配だろうに。否、中島君を信頼しているからこそ、其のように落ち着いて居られるのか、此の人は、昔からよく解らない。あの時も、何故太宰さんは、私を此の世界へ解き放ってくれたのだろう。そんな思い出に浸っていると国木田さんが口を開いた。
「連れ戻すと云っても太宰、何か策があるのか?」
「うーん、あることにはあるのだけれど、ねぇ。乱歩さんの力が必要です」
「えー僕ぅ?まぁ協力してやらないことも無いけどさ」
乱歩さんは露骨に面倒臭そうな気持ちを顔に出した。ハンチング帽を手でくるくる回し乍弄び、口を尖らせる。
「お願いします乱歩さん。『敦君奪還計画』には乱歩さんの“異能”が如何しても必要なんですよ」
太宰さんが柔和な笑みを浮かべ乍に云う。乱歩さんが其の言葉にピクリと反応し、太宰さんの姿を翡翠の瞳に写す。
「其処まで云われちゃあしょうがないなぁ!異能力《超推理》っ!」
太宰さんの口車にまんまと乗せられ異能を使用した乱歩さん。流石の私も苦笑せざるおえなかった。
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「あのぉ…僕は何時のなったら解放されるんでしょうか?」
恐る恐る目の前の怪盗に聞いてみた。此の景色は確かにずっと見てても飽きないが、流石に太宰さん達のことが心配になってきた。僕を捜しているだろうか?其れとも、其のまま放置…は出来れば考えたくない。彼女は答えた。
「そうだねぇ、君の立場は人質だからね。君を何時解放するかも私が決めるよ。其れに、心配しなくたって君のお仲間は此処に来るよ。もうそろそろ江戸川乱歩が此処の場所割り出すだろうから」
彼女は笑った。より一層妖しく笑って見せた。皆がもう少しで、此処に…………。僕は何故か自分を人質にとっている犯罪者の言葉で異様に安心した。『怪盗エース』…………不思議な人だ。
彼女のことを、もっと知りたいと思った。