二次創作小説(紙ほか)

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怪盗レッド ~熱が出たら~
日時: 2017/08/12 08:05
名前: アリストテレス (ID: SDJp1hu/)
プロフ: http://www.kakiko.cc

設定は、アスカたちの家に響と実咲がお泊りしに来てるって感じです(実咲はさっさと帰っちゃいますが)。ケイ→アスカ ですが、全く気付かない超鈍感アスカ(ケイも分かりにくいけど)。響→アスカ かな?できるだけ、ありきたりな三角関係にならないように頑張ります。

Re: 怪盗レッド ~熱が出たら~ ( No.14 )
日時: 2017/08/12 07:55
名前: アリストテレス (ID: SDJp1hu/)

「できた・・・美味しそうなのができた・・・」
「だな。」
色も、香りも。あの時実咲が持ってきてくれたものと、そっくり同じように感じられる。
「早く持っていけよ、冷めたら不味くなる。」
「あ、うん。」
「じゃ、俺は用無しだな。」
ケイはクルリと背を向けた、その時。一つの疑問が頭に浮かぶ。
「ねえ、ケイ。どうしてお粥の作り方を知ってるの?」
ケイも誰かに作ったことが、とは聞けなかった。
「・・・俺が、誰かに、粥を、作るとでも?」
振り返ったケイの瞳と声音は、怒っているときの、恐ろしく冷たいものだった。
嫌な瞳だな、と思う。すべてを見透かすような、酷い瞳だ。
「だってさっき、手伝ってくれたから・・・」
私は何も、怒らせるようなことしていないはずなのに。
「あれはあいつに腹を壊されてこれ以上の厄介事を防ぐためだ。」
「じゃあ、いつなら・・・・・」
「俺の心を奪ったやつが風邪をひいた時ぐらいだろうな。」
「心を、奪った・・・?」
何のことを言っているんだろう。
「弱りきった時ならつけ込みやすいだろう?」
「・・・?」
「こうやって・・・」
ケイがゆるゆると、その細く、何もまとわない真っ白な腕を伸ばし、私の手首を包みこむ。意外に暖かなその手は、ゆっくりと腕を伝い、肩で輪を作り、腕に力を込めた。いつの間にか私より背の高くなったケイは、首を傾け、その唇を私の耳元へと近づけていく。
「・・・ケイ?」
「こんな風に、この手に抱いて、離さずに。よそ見など、させない。看病しながら、ずっと俺だけを見るように囁いて」
低く、甘く、妖しげな声が、キッチンに響く。ケイは顔をさらに近づけ、横から目を細めて私を見つめる。
「嫌がっていても、逃がさない。・・・その代わり、 俺 という心を一生分、差し上げる・・・」
自分に言っている訳ではないのだ、決して。そう思いこもうとしても、顔が火照り、心拍数が上がっていくのは、止めることはできなかった。
ケイがそんな私を見て、満足そうに微笑む。柔らかな笑みなのに、見つめると囚われてしまいそうな恐怖を感じるのはなぜだろう。
「・・・・・そうやって、今までに伝えたことが?」
恥ずかしさを隠したくて、声を振り絞って尋ねる。すると、その顔は自嘲や寂しさを混ぜた、クシャッとした笑顔になった。
「・・・さあ、どうだかな。」
そう言いながら伏せる目と、名残惜しげに離れていく腕を、ぼうっと、見つめていると。
「早く持っていかないと、冷めるぞ。」
えっ、とすっかり湯気の弱まったお粥から顔を上げた時には、既にケイはいなくなっていた。

Re: 怪盗レッド ~熱が出たら~ ( No.15 )
日時: 2017/08/12 07:18
名前: アリストテレス (ID: SDJp1hu/)

「うん、すごく美味しいよ、このお粥。」
「本当に!?」
「もちろん。紅月さんって、料理も上手だったんだね。」
少しずつ顔色の良くなってきた響は、無邪気に笑う。心がチクッと傷んだ。どうしよう・・・やっぱり、言うべきかな?
そう悩んでいるのが分かったのか、響が顔をのぞき込む。その瞳に嘘なんかつけそうに無くて、口を開いた。
「・・・これね、本当はケイが手伝ってくれたの。」
「アイツが?」
「うん。響が腹を壊してこれ以上の厄介事になると困るんだって。」
「アハッ、なるほど、そういうことか。・・・でも、紅月さんは、僕のために作ろう、って考えてくれたんでしょ?僕は嬉しいよ。」
「そう言ってくれると、私も嬉しいよ。ケイなら絶対に素直に褒めてくれないんだもん。響を見習って欲しいくらいだよ!」
 ありがとう の一言くらい、言えばいいのに。ケイってばホントに、素直じゃないんだから。

Re: 怪盗レッド ~熱が出たら~ ( No.16 )
日時: 2017/08/15 13:21
名前: アリストテレス (ID: SDJp1hu/)

「紅月さん。」
「ん?どうしたの?」
「僕、あなたのこと、名前呼びしても・・・いいですか?」
響にしては珍しく、視線を外して少し顔を赤くして尋ねてくる。
「もちろん!私もそうしてるんだから、別にいいんだよ?」
まさか、そんなことを気にしていたの!?
「そうですか。それじゃあ、遠慮なく。アスカ・・・・・・・・さん、手、を、握ってくれませんか?」
「別にいいけど・・・急にどうしたの?」
私は首をかしげた。一体どうしたんだろう。
「いえ、特に何も。ただ、握られると落ち着くんです。それにほら、熱を出してると、他の人の手がすごく冷たく感じるじゃないですか。」
なるほど、そういうことか。
「それじゃあ、お願いします。」
おずおずと差し出す響の手はとっても熱くって。こんなにつらい思いをしてたんだなあ、と思うと、胸が苦しくなった。・・・と、その時。
「やっぱり、眠れません。落ち着いてなんかいられません。」
ゆっくりと、閉じた目を見開いて自嘲を混ぜた笑みを浮かべる響。
どこか気持ちよさそうに私の手を揉んでいたかと思うと、ピタリと手を止めた。
「・・・ここ、どうしたんですか?」
ケイの『それ』と同じくらい白く、『それ』よりも優美さを持った指が、手のひらの赤黒い痕を撫でる。
「ああ、それはね、さっきお粥を作った時に切っちゃって。」
なんでもないよ、と笑うと、響は一瞬、悲しそうな顔を見せた。
「アスカさん、この傷を作った時、アイツもいたんだよね?」
「ケイ?そりゃいたけど・・・」
「・・・僕ならこんなケガ、絶対にさせないのに・・・」
そうつぶやく声は、アスカの耳に届かない。
「響?どうしたの?」
「いえ、なんでもありません。・・・そうだ、アスカさん、これ、つけてください。」
そう言って胸のポケットから出したのは桜模様の絆創膏。
「そこまでしなくても大丈夫だよ!こんな傷くらいよく作るし。」
「いいからつけて下さい。」
有無を言わせぬ迫力に、私は渋々うなずく。
「じゃあ、僕が付けてあげます。」
そう言うなり、響は撫でるように絆創膏を貼り付けた。
「結構念入りに貼るんだね。」
「もちろん。僕の印を剥がされたら、たまりませんから。」
意味が分からず首を傾げる私に、響は
「とにかく、剥がしちゃダメですよ。」
と、優しくほほ笑んだ。

Re: 怪盗レッド ~熱が出たら~ ( No.17 )
日時: 2017/10/13 22:25
名前: 知香 (ID: 6U1pqX0Z)

アリストテレスさん、続きが読みたいです!

Re: 怪盗レッド ~熱が出たら~ ( No.18 )
日時: 2018/12/13 20:40
名前: 舞 (ID: ymH1.iL8)

すごく素敵
早く続きが
読みたいです
私のとは
大違いです


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