二次創作小説(紙ほか)
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- 夜明け前、愛してる
- 日時: 2017/10/14 23:27
- 名前: 空 (ID: Yv1mgiz3)
テニスの王子様の夢小説です。
全体的に生温かく見守ってくれると嬉しいです。
学校ごちゃまぜ。
- Re: 夜明け前、愛してる ( No.14 )
- 日時: 2017/10/22 21:50
- 名前: 空 (ID: Mm9jHYga)
家に帰るのがこんなに憂鬱だなんて、思春期の奴なら皆思うだろうけど。私には親がいない、いないも同然。3日も顔を合わせていない母親。
家に帰ると、腐乱臭と酒の匂いがした。
祖父が残してくれた大きな家をアパートにして、永久に収入を得るようにした母。そこそこ高い天井、広い部屋。私と母は二人で暮らしている。
父とは縁を切っている。
不倫や浮気を繰り返す男は去勢したほうがいい。
母が帰ってきていた。リビングでうなだれる母を他所に、窓を開け換気をして酒瓶、缶を片付けた。
「あぁ…いたのねぇ…」
無視して部屋に直行。
カバンを投げて、長い髪を束ねて前髪を上げて、ブラを外して、パジャマに着替える。
あ、こないだ亮が忘れていったTシャツ。亮の匂いがする。
- Re: 夜明け前、愛してる ( No.15 )
- 日時: 2017/10/23 23:48
- 名前: 空 (ID: Mm9jHYga)
逢と会わない日が4日も続いている。もうすぐ週末、あと少しで秋休みだってのに。でも俺らは付き合ってる訳じゃない。
あいつは…俺の前で笑わない。俺は、逢の笑顔が見たいし悩みとか今日あったことも話したい。逢の話、いや、声が聞きたい。
「お…逢じゃん」
昼休みの屋上に逢が来た。
たまたま遭遇。
「久しぶりだな」
逢は俺の隣に座った。無表情というか、無気力。な顔つき。
「なんかあったのか?」
「別に」
言うなれば、普段からエリカ様状態の逢を宍戸がどう振り向かせるか。
「…話しなら聞く」
「いらない」
ちょこんと座る逢に無意識に萌を感じる。
「肩貸してやっから」
「上から目線腹立つ」
「じゃあ膝の上にお座り下さい」
俺が胡座をかくと、逢が座ってきた。意外と小柄で小さな肩幅。
「…特等席」
逢が呟いた。
「おう、お前の席だぜ」
俺は逢の頭に顎を乗せた。背後から腹に手を回して。
「いたい!…やめて!」
「こちょこちょ聞くのな」
抵抗する逢にこちょこちょをやめて、もう1回きついくらいに背後から抱きしめた。
彼女みたい。
ばかじゃないの、彼氏でもないのに…
逢は宍戸の腕から抜けなかった。ずっとこのまま。
- Re: 夜明け前、愛してる ( No.16 )
- 日時: 2017/10/24 21:38
- 名前: 空 (ID: Mm9jHYga)
「亮ちゃん、もうすぐ誕生日だなぁ」
来美はスポーツ用品店のタオル売り場にいた。
「亮さぁ、なんか最近愛想いいんだよねぇ」
来美と、男子テニス部マネージャーの桑嶌りんはタオルや水筒を視野に入れ売り場をぐるぐるしている。りんは来美に付き合う形だが。
来美、りんも幼稚舎から中等部まで氷帝学園。りんに関しては高等部に進学し、氷帝学園テニス部でも名の知られた存在。彼女自身は、割と男勝りな性格である。
「あいつさ、女子から告白されても断ってるみたい。好きな人いるのかな?」
「え!まじか…」
「長太郎じゃないの」
やや公式な冗談を言い合いながら来美は迷っていた。告白してもいいのか、自分もほかの女の子と同じに見られてるだけじゃないか…?
「亮は来美に優しいし、嫌いじゃないと思うから、告白されたら考えると思うよ」
そっか、でも亮ちゃんは私のことどう思ってるんだろう。
- Re: 夜明け前、愛してる ( No.17 )
- 日時: 2017/10/24 22:01
- 名前: 空 (ID: Mm9jHYga)
今日はなんだか(いつもより)元気がない逢を連れ出してみた。拒否されまくったけど、手を引いたらついてきてくれた。握り返されたとき、やっぱり俺はだめだ。赤くなる。
「部活サボったでしょ?」
「なっ…!今日ぐらい大丈夫だって…」
今日は家に帰りたくない。朝おきたら、知らないタバコのにおい。母の寝室を覗くと、知らない白髪混じりの太ったおじさん。怖かった。私を見つけてベッドから起き上がると、私の方へ向かってきた。全裸で。リュックを慌てて拾い上げ、学校に走った。
昼休み、屋上に亮がいた。何も言わずに、亮に抱きしめられてた。ここにいていいんだ。ちょっとでも。
「元気ねーなー」
宍戸は立ち止まり、逢の顔を覗き込んだ。人混みのど真ん中。
「じゃあさ、女子ってアレ好きなんだろ」
宍戸は逢の手を握りしめ、いきなり走り出した。逢はスピードに引きずられて人を避けながら亮に引っ張られていた。
「何ここ…」
「あ?プリクラだろ」
「撮るの?」
「女子はプリクラ好きだろ?だから逢もプリクラ撮ったら気分アゲアゲなんだよ」
意味わかんない。
宍戸は400円をはたいて、逢をプリ機の中に連れ込んだ。逢は写真が嫌いなのでプリクラや自撮りはしない。
「ほら!撮るぞ!」
宍戸は逢に一方的に肩を組んでカメラの前に立った。プリ機内がシャッター音と光に包まれた。
「変な顔だな」
なんだか、亮が可愛い。プリクラと葛藤する宍戸におそらくキュンキュンしたらしい。
「ねぇ亮、ちゅーぷりって知ってる?」
シャッターが切られる3秒前、逢は宍戸に自分の唇を押し当てた。宍戸は目を丸くしている。画面には宍戸と逢のキス画像が表示された。
「すげー…もっかい!」
今度は宍戸が逢の頬にキスをした。
ほとんどちゅーぷりと化した二人のプリクラ。出てきた写真を2枚に切って、宍戸に渡した。
「おお…ありがとよ」
「撮る前あんなに乗り気だったくせに」
「いや、お前があんなことしてくるから…」
先に歩き出していた逢の横顔は笑っていた。なら、いいや。不思議と抗議する気力はなくなって、少し早歩きで逢に追いついた。
- Re: 夜明け前、愛してる ( No.18 )
- 日時: 2017/10/25 20:56
- 名前: 空 (ID: Mm9jHYga)
服屋とか雑貨にに寄って、夕飯食べてたらもう8時だ。夜の。二人はなんとなく、公園に入った。
「あー楽しかった。たまにはいいな、出かけんのも」
逢はブランコに座った。ゆらゆら前後に揺れている。
「お前、今日帰るか?」
「…帰りたくない」
「わかった」
絶対家には帰らない。ネットカフェか、どっかホテルか。
「じゃあ、俺ん家来るか?」
「いいの?」
逢は亮の顔を見上げた。亮はなんだかいつもより優しい顔をして、逢の頭に手を置いた。
「おう、腹ごなしに歩いて帰ろうぜ」
もうちょい、私も素直にならなきゃ。亮の腕に自分の腕を絡ませて、肩に身を寄せた。
「かまちょだな」
「うるさい」
亮が逢のほっぺを手で挟んでいた。
「お前…意外とちっこいな」
158cmの逢と172cmの宍戸。傍から見れば、ちょっとギャルな彼女とスポーツ青年。15分ほど歩いて宍戸家に着いた。
「家、両親はいないの?」
「ああ…親父は帰ってこない。母親は…わかんねぇわ」
それ以上何も言えなかった。同情されたくない気持ちがなんとなく伝わってきたし、同情されるのも私は嫌い。亮は一人なのかな?私も…
「風呂入るか、つか腹減った」
家に上がった逢は、生活感のないリビングの、ソファーに腰掛けた。