二次創作小説(紙ほか)
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- FAIRYTAIL【CROWN】
- 日時: 2020/06/27 18:29
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
妖精の尻尾の紋章を手の甲につけた少女ルーチェ・クランベル。
彼女は星霊魔法に似た魔法を扱う魔導士。彼女を新たな仲間に加えて妖精の尻尾は動き出す。
始まりは大魔闘演武!
「大魔闘演武編」 >>01-11
幕間「黒と白の薔薇」>>12-15
- Re: FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.11 )
- 日時: 2020/06/27 15:53
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「ねぇここまで本格的にするの?」
ルーチェは恥ずかしそうに言った。鏡の前に座るルーチェの髪をセットしているのは
サルビアだ。手先が器用で彼女の癖が付いた髪を綺麗に整えて見せた。
「大体はこんな感じだろ」
大魔闘演武が終わった祝宴パーティーが開かれた。薄い緑色のドレスに白い薔薇の髪飾りを
つけたルーチェは会場を歩き回る。
「あ、二人とも!」
「ルーチェさん!」
「さん!?」
大魔闘演武中とのギャップにルーチェは驚いた。話し込んでいるとき、ユキノとスティングたちが
鉢合わせた。ルーチェは彼らを見守る。スティングは今までの事を謝罪し、仲間に引き入れる
ことにする。そこで割り込んできたのは人魚の踵、更に妖精の尻尾や青い天馬まで巻き込んで
言い合いが始まった。
「ユキノ、人気者だね」
ルーチェはユキノに言った。バカ騒ぎがゆっくりと終わり全員がそれぞれのギルドに帰って行った。
- Re: FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.12 )
- 日時: 2020/06/27 16:51
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「ユキノとそこまで仲良くなったのねルーチェ」
ルーシィは身支度をするルーチェにそう言った。
「うん、何だか気が合う感じがあって。セイバーの他の面子とも少し…じゃあ行ってきます」
剣咬の虎、ギルドを訪れると賑やかな声が聞こえて来た。妖精の尻尾と同じような
明るい雰囲気に変わったようだ。
「お前、確かルーチェだったか」
「こんにちはルーチェ様」
「ユキノちゃん、約束通りに来たよ」
ルーチェと話がしたくてユキノは彼女をここに呼んでいた。世間話等もしたいが今回は違う。
ここに届いた依頼の話だ。
一つのテーブルをルーチェ、ユキノ、スティング、ローグが囲む。置かれた地図に入れられた
印が依頼主がいる場所。
「ここの近く…私の家なんだけど…」
「え!?この辺に住んでるのか!?」
その館に来るとメイドが姿を現した。薄紫色の髪をしたメイドの名はリリー。
「お嬢様、剣咬の虎の方が…失礼いたします」
中にいたのは薄い桃色の長髪の少女ガーネット。彼女が依頼主だ。
「この度は依頼を受けてくださって有難うございます。実は探してほしい人がいるのです」
ガーネットは棚に置かれた写真を見た。ガーネットとリリー、そしてもう一人左眼に眼帯をつけた
男がいた。
「フリージア、執事です。私が幼い頃からリリーと共にここに居たのですがその時に闇ギルドに
襲われかけたことがあったのです」
「じゃあ眼帯をしているのは…」
「はい。私やリリー、そして私の母を庇って怪我を負ったんです。母は死んでしまったけれど…。
でもとても優しいんですよ彼は。それにとても強いんです」
片目に怪我を負っている。それだけでも大きな特徴の一つになるだろう。
「それで何時頃からいなくなったんですか?」
「一週間前、母の墓参りに行った後です」
- Re: FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.13 )
- 日時: 2020/06/27 17:32
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
「珍しい客だな。何を探しに来たんだ?執事さん」
人形師カトレア、彼はフリージアに声を掛けた。人形の服を縫いながら。
「何を、か。それはもう知っているはずですよ」
「本当にやるつもりか?俺はやめた方が良いと思うぞ。死者蘇生の術は禁術だ。アンクセラムの
呪いに掛かる可能性もある。掛かったらお前は一生、ガーネットたちとはいられなくなる」
「そうだとしても!俺にはこれしかないんだ!良いから出せ、早く出せ!」
フリージアは声を荒げた。カトレアは片手を動かす。すると一体の人形が動き出した。
青い目をした白いドレスの人形がフリージアを案内する。フリージアの眼には黒い薔薇が
咲いていた。黒い薔薇の花言葉は「恨み」「憎しみ」などがある。
「休んでいて構わないのですよ。ユキノさん」
リリーは隣に立つユキノに言った。
「そんなお手伝いさせてください」
「…申し訳ございません。お客様に手伝わせてしまって…」
別室ではガーネットがルーチェやスティングたちからギルドについて色々話を聞いて楽しんでいた。
「まぁ!賑やかなんですね」
「楽しそうだねガーネットさん」
「えぇ。世間知らずなの私」
ガーネットが笑みを浮かべる。しかし彼女の眼から涙が零れた。
「…やっぱり寂しい、ですよね…」
ルーチェは呟いた。ガーネットはある事を話し出した。
「私、言ってしまったんです。母が生きていたらいいのにって…もしかしたらそれが…」
「じゃあフリージアの目的はアンタの母親を蘇らせることって事か?」
「そうなるな。だけど…そんな術は禁忌だろ」
ローグの言葉にルーチェは頷いた。
「死者蘇生は出来ないことは無い。だけどそれは人間の生死を操作することだから禁忌なの。
アンクセラム神の怒りに触れる。その神の呪いは命を尊く思えば思うほど周りを死なせる呪い…
急いで探したほうが良いかもしれない」
「失礼いたします。ガーネット様、フリージアの部屋にこれが…」
それは一冊の本だ。
- Re: FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.14 )
- 日時: 2020/06/27 17:55
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
血を使って巨大な魔法陣を描き真ん中に依り代になるものを置く。大きな犠牲を払って死者を
蘇らせる術。
「これだけの事が出来る場所…そして依り代…」
「死体は既に燃えてしまっています…もしかすると人形師カトレアさんなら…」
ガーネットの言ったカトレアという男。彼はこの辺りでは有名な人形師だ。彼の家はここから
近い場所にある。早速そこを目指す。
「今日は随分と大人数の客だな。探しているのは…フリージアか」
カトレアはついさっき彼を見たらしい。
「この先には大昔、儀式魔術を行うために使われた建物がある。今は立ち入り禁止になっていたはず
だがそこなら誰も近付かないだろう」
カトレアは指を動かす。すると近くの青いドレスの人形が動き出した。
「その人形についていくと良い」
「ありがとうございますカトレアさん」
ガーネットは深々と頭を下げた。すると彼は「黒い薔薇」と呟いた。
「彼は黒い薔薇の眼帯を付けていた。あの男は血を操る術を使う」
カトレアはヒントを伝えた。人形を負って全員が外に出て行った。
自らの片腕と片脚を斬り落とし血の魔法陣を描き進めていくフリージアの頭の中には術の
発動方法とガーネットの母サフィールそしてガーネットの事だけしか無い。痛みも全て麻痺
している。
「後少し…後少しで…!」
「そこまでだ、フリージア」
ここまでやってきた人間たちがいた。フリージアは振り向き目を見開いた。そこにはガーネットも
いた。
「ガーネット、様…?」
「フリージア…!その腕と、脚…」
フリージアは片足で立ち上がりガーネット以外を睨む。
「邪魔するな!あと少しだ、あと少しなんだ!!!あと少しで…あの方は蘇って、全部丸く収まる!!」
零れる血液が剣の形になりフリージアはスティングに斬りかかる。
- Re: FAIRYTAIL【CROWN】 ( No.15 )
- 日時: 2020/06/27 18:26
- 名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)
ルーチェが走り出した。
「ま、待っ…!!?」
「逃がさねえよ!」
スティングはフリージアを羽交い締めする。
「やめ、てくれ!!それは…それだけは!!!」
—融合魔装「疾風迅雷」
高く跳躍し魔法陣を狙って思い切り着地する。魔法陣が描かれた場所だけポッカリと穴が出来た。
フリージアの悲鳴が聞こえた。喉がはち切れんばかりに彼は叫んだ。
「後少しだったのにィ!!!サフィール様が蘇れば全部元通りだったのにィィィィ!!!!」
フリージアの手から依り代として用意した人形が滑り落ちた。同時にフリージアが膝から
崩れ落ちた。
「後少しでェェ!!!ガーネット様の願いが叶ったのにィィィィィィ!!!!」
「やっぱり…私が、悪かったんだね…」
フリージアが目を見開いた。目の前に立ったガーネットは涙を流していた。彼女は深々と
頭を下げた。
「ごめんなさい!私が母親が生きてたらいいのに、なんて言わなければ!!」
「違う…違う違う!俺は、俺は…!!!」
フリージアは度々サフィールの写真の前で寂しそうにしているガーネットを見ていた。それで
図書館などを探し回った。そして見つけたのがその術だったのだ。ガーネットはギュッと
フリージアの右手を握った。
「…部屋…」
フリージアは自室で目を覚ました。体を起こし左脚を見た。義足で補った脚に慣れるには少し
時間が必要だ。
「腕は要らないのか?」
昨日、カトレアはそう聞いてきた。
「えぇ、いりません。俺には片腕があれば、良いんです」
鏡の前に立ちフリージアは左眼に咲いた黒い薔薇を外した。鏡のそばに置かれた白い薔薇を身に
着ける。ガーネットたちが集まっている部屋に気まずそうにフリージアが入ってきた。
「フリージア!」
「…!ガーネット様…!」
ガーネットの体をフリージアは抱きしめた。花にはその花を表す言葉、花言葉がある。白い薔薇の
花言葉は「私はあなたにふさわしい」
一件落着。だが大きな事件が起こる。
「手紙…エルザさんからだ」
ルーチェの元に手紙が届いた。その内容は—。