二次創作小説(紙ほか)
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- 東方機海伝 [ダライアス]
- 日時: 2023/02/18 08:20
- 名前: black fly (ID: 7ZyC4zhZ)
今回の話は魔理沙の撃った八卦路に反応して、THIMAが幻想郷を襲撃する話です。Gダライアスの要素が濃いです。
分からない戦艦が出てきた場合はちゃんと調べてから見た方がいいです。(原作に合った設定が強いから)
この話では以上の要素を含み、前提として進みます。
・Gダライアスを熟知している
・グロテスクな描写(戦艦と少女が戦ってるもんね。仕方ないね。)
・月の都に関する歴史の改変(第一次月面戦争前)
・度々ダライアスの歴史と関わります。
各ボスに対応したbgmを聴きながら見るとより一層楽しめます。 以上! 楽しんで!
- Re: 東方海洋伝 12話 THIMA大艦隊残滅作戦 ( No.12 )
- 日時: 2022/11/18 20:41
- 名前: black fly (ID: 7ZyC4zhZ)
-人間の里-
里は火の海となっていた。幸い、人間達は全員、夢の世界へ一時的に避難した。そんな中、THIMA大艦隊と戦う3人がいた。
レミリア「なんでこんな事になったのよ…」
紫「私に言わないでよ。あ、後ろから来てるわよ。」
妹紅「喋ってないで攻撃しろ!」
3人はTHIMAの基地を探す途中、THIMA大艦隊と接触した。無数のソルジャー達を弾幕で撃ち落としていく中、キャプテンが何機か突進してくる。 アンガーディアンやハードアーマメントがナパーム弾を撃つ。
レミリア「今は貴様らに構ってる場合じゃないのよ!《魔符・全世界ナイトメア》!」
放たれた弾幕は、ソリドナイト装甲を突き破って、キャプテンに容赦無く降りかかる。周りの小型機は全て破壊し切ったようだ。
妹紅「雑魚達がもういないって事は、また巨大戦艦か…って、2体いるぞ!?」
紫「今までは一体ずつしか現れなかったけど、本気で私達を殺すつもりのようね。」
THIMA大艦隊を指揮する旗艦は2体いた。フィールドも開かれず、里の上空で、戦闘が始まった。
WARNING
A HUGE BATTLE SHIP
LIGHTNING CORONATUS
IS APPROACHING FAST.
レミリア「今更来た所で倒せるとでも思っているの?《必殺・ハートブレイク》!」
巨大な槍をライトニングコロナタスへ思いっきり投げる。槍は頭部にある搭乗部の装甲を容易く破壊した。
搭乗部を再生できないTHIMAにとって、搭乗部を破壊される事は痛手だった。
しかし、ライトニングコロナタスは強襲型攻撃艦種にして旗艦に位置するコマンダーの上位種。ジ・エンブリオンからも信頼される程の破壊力を持っている。
ライトニングコロナタスは蓄電したエネルギー全てをレミリアに向けて放った。レミリアはいきなり飛んで来たエネルギー弾を避ける事が出来ず、全身にエネルギーを浴びた。
レミリア「キャアァァァッ!……かはっ…」
全身に走るエネルギーは熱を持ち、レミリアの体を焼き尽くしていった。そこには肉片も残っていない。
妹紅「嘘だろ…あいつが死ぬ訳無い!」
ライトニングコロナタス「…哀れな者だ…まぁ、いずれ貴様らも死ぬだろう?」
妹紅「黙れ!あいつが何をしたって言うんだ!!」
ライトニングコロナタス「我々の理念は、宇宙の脅威となる技術力を持つ惑星の破壊。ここがどこかは知らないが、我々の邪魔をする者は殺す…………..これも宇宙の平和のためだ。`運命`を受け入れろ。」
妹紅「宇宙の平和?だからって幻想郷を滅ぼすのか!!ここを滅ぼして何になる!《不死・火の鳥-鳳翼天翔》!!」
妹紅の両手から出る巨大な鳳凰の形をした炎がライトニングコロナタスに直撃する。しかし、ライトニングコロナタスの装甲には効いてない。
ライトニングコロナタス「我らTHIMAに和平と言う妥協はできない。平和には犠牲が付き物なのだからな。」
—————————
機械生命体THIMA。
彼らは元々宇宙に存在したわけじゃない。はるか昔…惑星アムネリアで起きた戦争よりも前。超常的な科学技術で栄えた星があった。
そんな中、有権者達が対立し、争いを始めた。
戦争の終わり際、崩壊して行く文明を見て、過ちを知った有力者達は戦争を止めるため、他惑星が自分達のような過ちを繰り返さないでほしいと、科学力を使い、宇宙の守護者-THIMA-を作り上げ、星に平和をもたらした。
しかし、文明は星もろとも巨大隕石によって滅んでしまった。
その星が滅ぶと共に制御が無くなったTHIMAは、宇宙の平和を保つという目的に極端に執着し、先進的な科学力を持つ星を次々と襲い始めた。
—————————
ライトニングコロナタス「創造者の意志を継ぐため、何としてもここを滅ぼす。」
妹紅「そんなの独善的な考えに過ぎないだろ!《フェニックス再誕》!」
さっきよりも威力が高まった炎の弾幕がライトニングコロナタスに降りかかる。すると、全身の装甲が溶け始めた。レミリアに攻撃された搭乗部のダメージが大きく、内部のβ機関が暴走を始めたのだ。
このままだと爆発すると悟ったライトニングコロナタスは一斉射撃を始める。小型ミサイルや誘導レーザーが大量に発射された。
紫と妹紅は弾幕を避けながら近づいて行く。
ライトニングコロナタス「甘かったな、βビームのチャージは終わった。」
近づく2人に2本のβビームを放つ。
妹紅「しまった!」
このままではβビームを浴びてしまう。
しかし、紫は前面に巨大なスキマを作った。βビームはスキマへと飲み込まれていった。
ライトニングコロナタス「βビームが!?」
紫「このビーム返すわね。」
ライトニングコロナタスの背面にもう一つのスキマが出来る。中から出てきたのは自分が放ったβビーム。溶けている装甲を貫通し、
内部を容赦無く破壊していった。自身の攻撃によって、ライトニングコロナタスは内部から爆発を起こして散った。
紫「…まだ一体いたわね。」
突如、紫の後ろから突進するTHIMA艦があった。紫は後ろも見ずに攻撃を交わす。新たな旗艦が現れた。
WARNING
A HUGE BATTLE SHIP
ACCORDION HAZARD
IS APPROACHING FAST.
紫と妹紅の目の前に新たに現れたTHIMA艦はアノマロカリスのような見た目をしていた。目の部分から炸裂炎弾とレーザーを撃ってくる。立て続けに三葉虫の形をした小型艇を出した。
妹紅「こいつで最後か。《虚人・ウー》!」
空中を切るように鎌状の弾幕が小型艇を粉々にしていく。
妹紅「お前の攻撃は大した事ないな。くらえ!《蓬莱・瑞江浦嶋子と五色の瑞亀》!」
全方位に虹色の弾幕が張られる。大量の弾幕は、アコーディオンハザードの触腕部が破壊した。破壊された跡には骨組みのような物が浮き出ている。
突如、アコーディオンハザードの両目が赤く染まった。
物凄いスピードで大きく旋回しながら大型ミサイルを放つ。いきなりの攻撃に避けられず、ミサイルは妹紅に直撃し、爆発した。
そこには灰しか残っていない。
標的を紫に変えたアコーディオンハザードはβビームをチャージして放つ。それと一緒に八面体の物体が紫へ飛んで行った。
βビームを避け、紫はラストワードを放つ。スペルカードにおける紫の最高峰の弾幕だ。とてつもない攻撃力を持っている。
紫「《深弾幕結界-夢幻泡影-》!!」
里の上空を埋め尽くすほど大量の弾幕が張られた。アコーディオンハザードの目が破壊される。その全身は赤く染まっている。
装甲が限界に達したようだった。撃沈するのも時間の問題だ。
しかし、紫の弾幕は途中で止まってしまう。紫は肩を抑え、唸っている。そう、右手が千切れたのだ。
紫「一体何が…!あの物体は!?」
右手を千切った物の正体。それはTHIMAの旗艦のみが放つ-レフナイト-と呼ばれる虹色の八面体金属であった。
レフナイトはαビーム以外のあらゆる攻撃を防ぎながら、敵へ突進する兵器。アコーディオンハザードから放たれたレフナイトが紫の腕を貫通していたのだ。
隙を見せた紫にβビームを間髪入れずに撃つ。ビームは紫の右肩を抉るように消し去った。激痛で意識が薄くなった紫は、
里の真ん中に落ちて行った。その跡をアコーディオンハザードが高速で追う。
紫「う…このままじゃ本当に殺される…」
スキマを開けて逃げようとするが、アコーディオンハザードの放ったスパイラルビームによって左手も切られ、能力が使えなくなってしまった。
紫「…幻想郷…幻想郷だけは守らないと…」
必死に動こうとするが、仰向けになる紫には動く力も無かった。
再度βビームがチャージされる…このままβビームによって死ぬのは確実だった。
その時、アコーディオンハザードの後ろで何かが光った。
妹紅「あんな攻撃で死ぬか!」
妹紅が生き返ったのだ。
肉体が消えても、魂をこの世に固定し、好きな場所で蘇る事ができる妹紅の能力。
-リザレクション-が発動した。蘇った場所はアコーディオンハザードの真上だった。
妹紅「《パゼストバイフェニックス》!!」
妹紅の体にフェニックスのような幻影が纏わりつく。両翼の魔法陣から無数の火炎弾がアコーディオンハザードを覆い尽くす。
真っ赤に染まったアコーディオンハザードは煙と光を出しながら墜落し、大爆発を起こした。
妹紅「大丈夫か?紫。」
紫は近くの民家の壁に寄りかかった。
紫「ありがとう…大丈夫よ。」
赤く染まった右肩をさすりながら答える。
紫「手の再生も時間がかかるから先に行って。」
妹紅「…ああ、もしTHIMA艦が来たら逃げろよ。」
紫「大丈夫よ。後で藍を呼ぶから。」
妹紅「…レミリアは見つからなかったか?」
紫「見当たらなかったわ…本当にアイツらの攻撃で…」
妹紅「…分かった…」
妹紅はもう一度空へ飛び立った。
ライトニングコロナタスの蓄電するエネルギーを浴びたレミリア。肉片一つでも残っていれば再生するのだが、どこにもいない。
ある程度飛んでいると、霊夢と魔理沙を見つけた。
妹紅「2人共!ここにいたのか!」
霊夢「ん?妹紅じゃん。どうしたの?」
魔理沙「他のみんなはどうしたんだぜ?」
妹紅「紫が私とレミリア以外は安全な所にスキマで送ったらしいんだけど、途中THIMAと戦ったレミリアは…殺された。」
霊夢「…あいつが死んだの!?」
魔理沙「あ…ありえないぜ…」
妹紅「本当だ…あの一撃で殺されるなんて…」
手が震えているのが分かる。あの吸血鬼があいつらの攻撃で死ぬなんて思わなかった…
沈黙する3人。しかし、静寂はすぐに消えた。
レミリア「貴方達、何メソメソしてるのよ。」
魔理沙「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!生きてる〜!!」
妹紅「れ…れれれレミリア!?お前…生きてたのか!!」
レミリア「え?そうよ。全く…さっきの攻撃でまだ全身がヒリヒリするわぁ…」
妹紅「死…死んでないのか?」
レミリア「この圧倒的カリスマの私が死ぬと思っていたの?紫が貴方に伝えたんじゃないの?」
妹紅「紫!?あいつは死んでるって…」
レミリア「え?」
妹紅「……………………あぁんのBA BA A !!!!!!」
妹紅の体から絶え間無く炎が出ている。
—————————
レミリアは攻撃に当たる直前、とっさの機転で体の一部をコウモリにして生き延びていたのだ。
—————————
レミリア「そんなに心配してたの?」
妹紅「ちがぁぁぁぁう!あの野郎がもう死んだみたいな事言ったことに腹立ってんだ!!後で容赦しねぇからな!」
霊夢「紫ぃ…」
レミリア「まぁ、死にかけたのは事実だし…迷惑かけたくないから私は一旦帰るわね。3人ならTHIMAを倒せるって信じてるわ。」
魔理沙「心配するな。絶対倒してくるぜ!」
レミリアを残し、3人は飛んで行く。
-THIMA侵攻最終防衛基地前-
妹紅「あれが本当の基地か…」
霊夢「そうよ、あそこで間違えないわ。」
魔理沙「よし、さっさと乗り込もうぜ!」
3人は地下の基地へと入って行った。
——あなたは、伝説の誕生を見る。——
続く…
- Re: 東方海洋伝 13話 THIMA侵攻最終防衛基地 ( No.13 )
- 日時: 2022/11/19 14:10
- 名前: black fly (ID: 7ZyC4zhZ)
-THIMA侵攻最終防衛基地内部-
遂に3人はTHIMAの中枢が潜む基地へと侵入した。基地にいる物凄い数のソルジャー達が絶え間無く迎撃する。
四方八方から弾やミサイルが飛んでくる中、魔理沙は八卦路を前に構えた。
魔理沙「しつこい奴らだぜ…《恋符・アルファスパーク》!」
目の前から飛んで来るソルジャー達が次々と破壊される。
霊夢「《霊符・夢想封印》!」
霊夢から放たれた虹色の弾幕が周りのソルジャーを呆気なく破壊して行く。しかし、倒すたびに新たなソルジャーが色々な所から出てきて3人の進行を抑えようとしていた。
妹紅「次々と湧いてきやがって、キリがないな。《時効・月のいはかさの呪い》!」
後ろから現れたソルジャーを軽々と破壊するが、立て続けにソリドナイト製ミサイルが飛んできた。設置砲台が休む暇無く撃ってくる。
霊夢「こんなんじゃいつまで経っても奥に進めないわね…」
妹紅「2人共!私が止めておくから先に行け!」
魔理沙「お前だけ置いて行くなんてできないぜ!」
妹紅「死んでも蘇るからいい!先に行け!」
霊夢「魔理沙!あいつに任せて先に行くわよ!」
魔理沙「…分かったぜ。無茶するなよ!」
妹紅を置いて2人は基地の奥へと進んで行った。しかし、手際良くソルジャーを破壊して行く妹紅の真上から何かが迫って来ていた。
妹紅「…!」
声も上げる事無く、その何かに妹紅は押し潰された。すぐさまリザレクションで生き返る。妹紅の目の前には、この基地の旗艦———
オサガメの形をした戦艦がいた。
突如、真下の巨大シャッターが開く。地下深くまで続く巨大ホールへ下降しながら戦いが始まった。
WARNING
A HUGE BATTLE SHIP
HEAVY ARMS SHELL
IS APPROACHING FAST.
重装甲拠点防衛艦種ヘビーアームズシェル。甲殻状の外部装甲の中に、多数の火器が搭載された防衛艦種。シーマ艦隊の最終防衛線を守る戦艦にふさわしく、強固な防御力と桁違いの攻撃力を付与されている。
ヘビーアームズシェルは妹紅を侵入者としてすぐさま抹殺を図る。背面装甲から無数のナパーム弾を飛ばす。妹紅は避けながら弾幕を飛ばし、応戦した。
妹紅「《滅罪・正直者の死》!」
ヘビーアームズシェルに向かって弾幕を放つ。ヘビーアームズシェルはその攻撃を大きく旋回して避け、レフナイトを飛ばす。
レフナイトは妹紅の手足を抉り取っていったが、傷は瞬時に再生する。弾幕が止まる事は無かった。ヘビーアームズシェルの全身に無数の弾幕が降りかかる。しかし、装甲はαビームに当たっても無傷で済む程の防御力を持っている。怯む事無くヘビーアームズシェルは、背面の砲台から追尾レーザーを出して妹紅を追い詰める。
妹紅「普通に攻撃しても無理か…ならあいつの頭を狙ってやる!」
妹紅はヘビーアームズシェルのすぐ近くまで接近して行く。大量の敵弾に当たりながらリザレクションを繰り返し、頭部まで追いつく。
妹紅「喰らえ!《不死・凱風快晴飛翔脚》!!」
炎を纏った強烈な足蹴りがヘビーアームズシェルの頭部に勢い良く当たる。すると、頭を引っ込めて、逃げるように攻撃を放った。
妹紅「弱点は頭だな…《蓬莱人形》!」
ヘビーアームズシェルの周りを囲むように螺旋状の弾幕が張られる。弾幕は頭部が入っている搭乗部めがけて飛んでいく。
攻撃によって再度、頭部を出したヘビーアームズシェルは顔の先端と背面砲台から2本のβビームを放つ。妹紅はすぐさま避けるが、ビームは止まっていない。大量の誘導弾をヘビーアームズシェルが放つ。避けきれず、妹紅の体を数本のレーザーが貫通する。全身に激痛が走った。
妹紅「…がはっ…く…喰らいすぎた…」
口の中に血が溢れている。怯んだ妹紅に向かってβビームが飛んでいく。ビームは容赦無く妹紅の体を更に痛め続ける。
妹紅「…しまった…うっ!」
βビームを全身に浴びた妹紅は塵一つ残さず消し飛んだ。 リザレクションで復活したが、様子がおかしかった。
妹紅「はぁ…はぁ…こんな時に!」
そう、妹紅の使うリザレクションは物凄いエネルギーを消費するので、あまりにも長く戦闘を続けると限界に達し、弾幕が撃てなくなる。この状態となったら、エネルギーの消費が少ない近距離技しか放てない。さっきのように、頭部にある程度近づいて攻撃しなければならなかった。
妹紅は頭部へと物凄い勢いで飛んで行く。しかし、ヘビーアームズシェルは両腕からウェーブ弾を放った。ウェーブ弾の変則的な動きを読めず、妹紅の体の下半身が切断された。
妹紅「うぐっ…!」
切断面から大量の血が出て来る。意識が朦朧として、力が入らない。しかし、ヘビーアームズシェルは容赦無く攻撃を続ける。
無数の浮遊機雷を降らせ、妹紅の胴体を焼き切って行く。目が閉じて、意識を失いそうになる。
妹紅「…ま…だ………まだ死ねな…い」
立て続けに放たれる攻撃でリザレクションする暇も無い。
妹紅「…あの…ビームにまた…げほっ…当たったら…」
βビームはA.N.システムの全てを消し去る`悪魔の力`に対となる`生命力`。
それを極限まで増大させた聖なるエネルギーだ。
強大な生命エネルギーは不老不死がゆえ、高い生命力を持つ妹紅の力を限界以上に高め、身体に過激な負荷を及ぼす。
なので、妹紅はβビームの影響を受けやすかった。次にβビームを浴びたら、存在そのものが消滅する危険性がある。
ヘビーアームズシェルがβビームのチャージを始める。そろそろ基地の最深部に近い。
妹紅は最後の力を使ってリザレクションをする。
妹紅「これで負けたら本当に死ぬ…覚悟はできているんだ…こい!カメ野郎!!」
ヘビーアームズシェルから極太βビームが放たれる。
妹紅の全身は飲み込まれ…
る瞬間。妹紅は間一髪でβビームを避ける。頬には一つの傷が見えた。
ヘビーアームズシェルの頭部に近づけた。その頭に思いっきり弾幕をぶつける。
妹紅「これで終わりだ!!《*こんな世は燃え尽きてしまえ!*》」
巨大な火炎弾がヘビーアームズシェルの頭部を焼き尽くす。その炎は装甲を内部から破壊する。装甲の割れ目から煙と閃光を吹きながらヘビーアームズシェルは基地の最深部へと落ちて行き、大爆発を起こした。
妹紅「やっと倒したな。………………なんだ!?」
突然基地の最深部が光る。すると、基地の至る所で爆発が起き始めた。ヘビーアームズシェルは自らの爆発で最深部の核を破壊し、基地もろとも妹紅を道連れにしようとしたのだ。妹紅は巨大ホールの上へ一気に飛んで行く。
妹紅「まずいな…逃げないと!」
爆発する基地の外へ、妹紅は逃げていった。
-THIMA侵攻最終防衛基地・亜空間前-
一方、霊夢と魔理沙は基地の最奥部にある亜空間へのゲートまで来ていた。
霊夢「ん?何よこの音は…」
魔理沙「げっ!霊夢!!あっちから爆発してきてる!基地が崩壊するぞ!」
霊夢「ええ!?どうするのよ!ここまで来たのに!」
ヘビーアームズシェルの道連れによって基地が爆発していた。
魔理沙「とりあえず、あの亜空間の中に元凶がいるんだろ!あの中に入ろうぜ!」
霊夢「そ…そうね!さっさと行きましょ!」
2人は亜空間へと入って行った。
-亜空間内部-
2人から最深部にある四角形の核が見える。この亜空間のどこかに旗艦がいるはずだ。しかし、この亜空間にもソルジャー達がいた。
幸い、基地の中より数は少なかった。弾幕でソルジャーを破壊しながら進んで行く。
魔理沙「なんだ…あいつ?」
2人の前にゆっくりとユメナマコの形をしたキャプテン艦、ドリームテンダーが降りてきた。2人は攻撃の準備をする。
ドリームテンダー「待て待て待て!俺は攻撃しようなんて思ってないよ!!ほら、ソリドナイト装甲も外すから!」
慌てた様子でドリームテンダーはソリドナイト装甲を外した。
霊夢「あんたに構ってる暇はないのよ。」
ドリームテンダー「話を聞けって!ここにいる俺達のボスを倒しても、侵攻は終わらないぞ!」
魔理沙「終わらない!?どういう意味なんだぜ?」
3人…いや、2人と一体のTHIMA艦が周りから来る細胞のようなソルジャーを破壊しながら進む。
ドリームテンダー「俺達のボス。ジ・エンブリオンはTHIMA艦を生み出せる事ができるんだ。だからといって、ジ・エンブリオンが撃沈しても侵攻は終わらない。ジ・エンブリオンが最後に作り出した司令艦を破壊しないといけないんだ。」
霊夢「そのジ・エンブリオンってやつは、自分の代わりを作っているの?」
ドリームテンダー「そうだ。その司令艦が侵攻作戦における全艦隊を指揮してるから、ジ・エンブリオンを破壊してもほとんど意味無いんだ。」
魔理沙「嘘だろ…ここに来れば戦いが終わると思ってたのに…」
ドリームテンダー「まぁ、THIMA艦の生成が止まれば、それなりに対処しやすくなるよ。」
魔理沙「それはいいとして…お前はなんで私達の味方につくんだぜ?」
ドリームテンダー「…THIMAはハチみたいな社会集団知性なんだ。各個体のTHIMAは亜空間通信によって情報交換、意識共有を行って、広大な宇宙空間に活動範囲が拡大しても一個の社会集団知性として活動可能なんだけど、俺はその集団知性能力が無いまま生成されて来たからこうやって自由に動けるんだ。極端な破壊衝動も無いしね。」
霊夢「…良くわからないけど、とりあえず、この争いを止めたいのね?」
ドリームテンダー「そうだ。お!そろそろ最深部に着くぞ!」
亜空間の最深部へとうとう着いた。そこには、一本の赤い十字架のような光が輝いている。
魔理沙「…で、そのジ・エンブリオンはどこなんだぜ?」
ドリームテンダー「何言ってんだ?この亜空間にお前達が来てからずっとこっちを見てたぞ?」
霊夢「え…ずっと!?」
突然、四角形の核に二つのユニットが出現する。周りの膜がクリオネの形に変わり、2人の前に立ちはだかる。
霊夢「なるほどね…この空間に入ってからずっと奥にあった核。あれがジ・エンブリオンだったのね。」
魔理沙「霊夢、さっさと倒そうぜ!」
ドリームテンダー「2人共!頑張れよ!俺は他のソルジャー達を破壊して来る!!」
ドリームテンダーが来た道を戻って行く。
亜空間最深部で幻想郷をかけた死闘が始まる…
続く…
- Re: 東方海洋伝 14話 命の胚 ( No.14 )
- 日時: 2022/11/19 23:21
- 名前: black fly (ID: 7ZyC4zhZ)
-亜空間最深部-
WARNING
A HUGE BATTLE SHIP
THE EMBRYON
IS APPROACHING FAST.
自律進化型機動生命体生成ユニット、ジ・エンブリオン。戦闘用のシーマを生み出す個体ユニットであり、自身が戦闘に参加する事も可能。文明破壊ミッションのために生み出され、完全なる破壊を遂げるまで機動生命体を生成し続ける。
これまで幻想郷を襲撃したTHIMA艦隊を生み出した元凶であり、宇宙の平和を守る守護者でもある。
亜空間に入ってきた霊夢と魔理沙にジ・エンブリオンが自ら戦いを申し出た。
ジ・エンブリオン「…小娘共…名はなんと言う…」
霊夢「人に名前を尋ねる時はまず自分から名乗らないの?」
ジ・エンブリオン「…我が名は自律進化型機動生命体生成ユニット…ジ・エンブリオンだ。」
霊夢「ま、名前はあんたの仲間から先に聞いてたけどね。私は博麗霊夢。あんた達が襲撃してきた場所…-幻想郷-の巫女よ。」
魔理沙「私は普通の魔法使い。霧雨魔理沙だぜ!」
ジ・エンブリオン「霊夢と魔理沙か…確かに覚えた…この亜空間まで攻め込まれるのは何千年振りの事か…」
霊夢「どう言う事よ。」
ジ・エンブリオン「人類達の言う…アムネリア星。あの星が開発した悪魔の力を滅するための侵攻作戦失敗。忘れもしない出来事だ…」
ジ・エンブリオンは語る。
—————————
約2000年程前。
アムネリア星から飛び立った二つの戦闘機に亜空間まで追い詰められた時だった。
中枢旗艦も撃沈し、私が自ら戦ったあの戦闘機。βビームとは真逆のエネルギーによって放たれるαビームの打ち合いで私は撃沈した。ユニットを固定するエネルギーフィールドが暴走して爆発に至ったあの時。
戦闘機から2人の人間が出てきた。2人の下半身は戦闘機に積まれた悪魔の力によって消滅しかけていた。
しかし、私が今までクリオネの形として保って来たエネルギーフィールドに残る聖なるエネルギーと戦闘機に残る悪魔の力が互いにぶつかりあった時に生まれたとてつもないエネルギーが一つの惑星を誕生させた。
亜空間でユニットの再生を終えていた私はその星を-ダライアス-と呼んだ。アムネリアの技術は既に無くなっていた。
それから、人類は私達が今も敵対する忌まわしい存在。-ベルサー軍-に対抗するために以前のアムネリアが開発したような兵器。
バースト機関を作り上げた。一度、人類への攻撃準備を始めたが、あの時は一つの人工知能に説得させられた。
それ以来、私達は度々亜空間から惑星を監視していた。
—————————
ジ・エンブリオン「あの時から約2000年後だ。貴様らが言う幻想郷を見つけたのは…」
霊夢「色々と難しいわね…」
ジ・エンブリオン「当たり前だ。まだ10年程しか生きていない霊夢なんて、2000年以上宇宙を見てきた我らの思考が理解出来るはずが無い。」
霊夢「でも、どうやって結界を抜けられたのかしら…」
魔理沙「幻想郷は忘れられた者達がたどり着く場所…2000年も経てばTHIMAだって誰も覚えてないと思うぜ。」
ジ・エンブリオン「忘れられた者達がたどり着く場所か…無論、手加減はしない。」
魔理沙「さぁ、始めようぜ!」
ジ・エンブリオンが攻撃を始める。頭部のようなユニット-アタックヘッド-から5way火炎弾が発射される。立て続けに大量の弾幕が放たれた。2人は軽々と避けて見せる。
霊夢「あんたを倒さなきゃ幻想郷が滅びるし、本気でやらせてもらうわ!《霊符 夢想封印・散》!」
霊夢から無数の赤い札のような弾幕がジ・エンブリオンに放たれる。しかし、アタックヘッドが破壊される事は無かった。
ジ・エンブリオンは斜め方向に回転しながら弾を連射する。真ん中のコアの部分からソルジャーが出てきた。
魔理沙「はぇ〜、本当に生み出してんだ!《光撃 シュート・ザ・ムーン》!」
魔理沙が円状の弾幕を放つ。弾はジ・エンブリオンの下から縦に閃光を放つ。
ジ・エンブリオン「…これは面白い攻撃だな…」
すると、ジ・エンブリオンはゲル状のエネルギーフィールドを四角形に変化させる。コアから射出されたのは、2人が倒したはずのTHIMA艦、エクリプスアイの頭部だった。
霊夢「え!なんであいつが!!」
魔理沙「いや、前に倒した奴よりも小さいぜ!?」
THIMA艦を生み出す事ができるジ・エンブリオンは簡易的なエクリプスアイを生成し、ミサイルとして放っていたのだ。
驚く2人を横目に、βビームをチャージする。コアからは絶え間無く、火炎弾を吐き出す細胞型ソルジャーが放たれている。
βビームのチャージに気づいた魔理沙はすぐにポケットから八卦路を取り出す。
魔理沙「《恋符・アルファスパーク》!!」
放たれたβビームとアルファスパークが衝突する。勝ったのは魔理沙だ。より強くなったアルファスパークはアタックヘッドを貫通してコアを破壊して行く。しかし、ジ・エンブリオンは全身が骨組みのようになり、消えて行った。
魔理沙「あれ?どこに行った!?」
霊夢「魔理沙!奥よ!」
2人の周りをウキマイマイの形をしたジ・エンブリオンが旋回している。コア部分が光ると同時にソリドナイト製ミサイルが発射された。ミサイルは2人を挟むように左右から迫り込む。
霊夢「《夢符二重結界》!」
霊夢と魔理沙を囲む結界がミサイルを防ぐ。
たちまち、2人の近くへクリオネの形に戻ったジ・エンブリオンが接近する。アタックヘッドは再生していた。
すると、ジ・エンブリオンのコアから魔理沙を囲うように三角形状のビームが撃たれた。デルタシールと呼ばれる捕縛攻撃だ。
閉じ込めた事を確認すると、ジ・エンブリオンは追尾ビームを魔理沙へ数本放つ。
霊夢「魔理沙!避けて!」
魔理沙「分かってる!この結界みたいなのがあのコアに引き寄せられていてうまく動けないぜ!」
重そうに箒を傾けながら、魔理沙は回避する事に成功した。
霊夢「あれをなんとかして壊さないとね…《夢符・封魔陣》!!」
霊夢から放たれる弾幕がデルタシールを破壊した。魔理沙の捕縛が解ける。
魔理沙「ありがとな!霊夢!」
ジ・エンブリオン「なかなかやるじゃないか…」
ジ・エンブリオンはアタックヘッドから霊夢を狙って拡散弾とスパイラルビームを放つ。
霊夢「危なっ!」
アタックヘッドの裏へと霊夢は回った。ジ・エンブリオンの攻撃は全く届いていなかった。(原作で安置になる場所)
霊夢「あれ?私はこっちよ。」
ジ・エンブリオン「黙れ!小娘!そこにいたら当たらないだろ!………おい!そこの魔法使い!アタックヘッドを叩くな!」
魔理沙「悪い、許してくれよな。」
ジ・エンブリオン「小賢しい…」
ジ・エンブリオンはまた消滅する。今度はウキヅノガイの形をしながら旋回して来る。2人の正面に戻ったジ・エンブリオンは回転しながら全方位に向けて無差別に弾幕を張る。
魔理沙「おっと、今のは危なかっ…うわっ!」
弾幕が放たれる中、追尾レーザーとデルタシールが出現する。デルタシールは霊夢を囲み、追尾レーザーは魔理沙へ飛んで行く。一歩間違えれば、すぐに死んでしまうだろう。
魔理沙「まだまだ!《魔砲・ファイナルスパーク》!!」
超巨大な極太ビームがジ・エンブリオンを包み込む。弾幕は相殺される形で消し飛んだ。デルタシールの捕縛が緩み、霊夢が脱出した。
霊夢「助かったわよ!魔理沙!《霊符 夢想封印・集》!」
虹色の弾と札の弾幕が交互にジ・エンブリオンに降り注ぐ。全身は煙に覆われた。
魔理沙「…!まだ生きてる!」
ジ・エンブリオンは無傷だった。アタックヘッドとコアの周りを囲むようにレフナイトが大量に生成されていたのだ。
ジ・エンブリオン「これで最後の攻撃だ。」
2人にレフナイトを飛ばすと、回転しながらβビームをチャージする。
魔理沙「《恋符・アルファスパーク》!」
八卦路を構えて叫ぶ。しかし、魔理沙に向かって大量のレフナイトが押し寄せていた。
魔理沙「…これじゃ撃てない!」
霊夢「全くもう…ちゃんと倒しなさいよ。《神霊 夢想封印・瞬》!!」
霊夢がラストスペルを放つ。レフナイトは魔理沙に当たる事無く、跳ね返された。
魔理沙「サンキュー!霊夢!」
八卦路から青い閃光が放たれる。ジ・エンブリオンのコアから巨大なβビームが発射される。二つのビームがまた押し合う。
魔理沙「うぉぉぉぉぉぉ!!いっけぇぇぇ!!」
両手に八卦路を持ち、叫んだ。
アルファスパークはβビームを吸収した。強大なエネルギーを持ったアルファスパークがジ・エンブリオンを覆う。
アタックユニットとコアが煙を吹き、ゲル状のエネルギーフィールドから飛び出す。
ジ・エンブリオン「…今回も負けたか……」
———楽しませてもらったぞ、2人共…———
ジ・エンブリオンのユニットは煙を上げながら亜空間の真下へゆっくりと落ちて行く。
魔理沙「………弾幕は…火力だぜ…」
突如、亜空間に裂け目ができた。
ジ・エンブリオン「そこから外へ出られる…さっさとここから出ろ。」
魔理沙「おう、ありがとな!またあったら弾幕ごっこしようぜ!!」
ジ・エンブリオン「…弾幕…ごっこか…ガガッ…霊夢、魔理沙…」
最後の力を振り絞って話しかける。
霊夢「どうしたの?」
ジ・エンブリオン「……-鯨-に気をつけろ…」
その言葉を最後に、ジ・エンブリオンが爆発する。亜空間の外に霊夢と魔理沙が出ると、裂け目はすぐに消えた。
-博麗神社-
2人は亜空間から神社へと戻っていた。
魔理沙「…なぁ、霊夢…聞いたよな。」
霊夢「もちろんよ。鯨に気をつけろってね。」
魔理沙「その鯨みたいな奴が旗艦なんだろうな。」
霊夢「そうね、さっさと探しましょ。」
2人が飛ぼうとすると、誰かが話かけてきた。
紫「霊夢!大丈夫だったのね!」
妹紅「お、魔理沙も無事だったか。」
レミリア「THIMAの旗艦は倒したの?」
3人が神社に集まっていたのだ。紫は治りかけの傷をさすりながら語った。
紫「幻想郷の上空からまた巨大な戦艦が来たわ。おそらく、そいつが親玉よ。」
妹紅「私も見たぞ、鯨みたいな形をしてたんだ。」
霊夢「…鯨…きっとソイツが司令艦ね。」
レミリア「司令艦?」
魔理沙「幻想郷にいるソルジャーはその司令艦を倒せば、全ての攻撃が終わるらしいぜ!」
妹紅「よし、さっさとその鯨を倒しに行くぞ!」
5人は空へ飛び立つ。
しかし、この時は知らなかった。THIMAの司令艦…—偉大なる者—の圧倒的な力を…
続く…
- Re: 東方海洋伝 15話 霧雨魔理沙の決意 ( No.15 )
- 日時: 2022/11/20 21:03
- 名前: black fly (ID: 7ZyC4zhZ)
-とある魔法使いの手記-
ジ・エンブリオンを撃沈し、残る旗艦は-鯨-。
幻想郷のあらゆる所で続くTHIMA艦の攻撃もその旗艦が撃沈すれば、何事も無かったように終わる。
はずだった…
私達5人はあの後、最後の旗艦と魔法の森で遭遇した。全員が本気の弾幕で攻撃した。しかし、-鯨-には全く効かなかった。その巨体に似合わない物凄い速さで動き回り、森を破壊しながら-鯨-が吠えた。
…-鯨-に勝つ事は出来なかった。
まず初めに-鯨-は、私の八卦路を追尾レーザーか何かを使って呆気なく破壊した。THIMAに対抗できる武器が一つなくなった。いつも使ってる八卦路の攻撃にはびくともしない。最大火力のマスタースパークも-鯨-の装甲には無傷だった。
そこからだ。無慈悲な運命が始まったのは…
-鯨-のβビームに妹紅が当たった。全身に浴びたんだ。
あれから妹紅の姿を見ていない…本当に死んだのかもしれない。まあ、あいつは死ぬ事が願望だったけどな。
不老不死の薬で、長い年月も生きた。けど、あんまりじゃないか…あの攻撃で、一瞬で死ぬなんて。
次はレミリアが狙われた。レミリアが引きつけている間も全力で弾幕を放った。それも効かない。
攻撃で翼を斬られたレミリアは-鯨-に頭から喰われた。館に主が戻る事は無かった。
それからが本当の地獄だった。2人の死によって、幻想郷の至る所から妖怪達が-鯨-の討伐に赴いた。鬼達だって来たんだ。
それでも勝てなかった。ほとんどの妖怪が一回の爆発で死んだ。違う…わざとだ。
あの-鯨-は妖怪達の攻撃に当たって煙を吹いた。そろそろ倒せるんじゃないかって妖怪達が一斉に突撃したんだ。
でも、それは-鯨-のハッタリだった。
近づいてきた妖怪達をナパーム弾で一気に蹴散らして、混乱して逃げ惑う妖怪を片っ端から殺した。情けなんて物は無かった。
にとりが率いる河童達の戦闘機部隊が来た。最初こそ優勢になったが、βビームで全て撃墜された。
大量の妖怪が殺された事で神やら天人達が動き出した。
神や天人の攻撃にはさすがの-鯨-も耐えきれなかった。でも、いつまで経っても-鯨-は撃沈しない。幻想郷最強格の神や天人達の攻撃をあんなにも喰らったのに、何事も無く、殺戮を続けた。
隠岐奈は右手と左足を持ってかれた。治る事は無い。
紫は腹部をβビームで貫かれた。意識はまだ戻らない。
守矢神社の神が殺された。あの巫女はどこかに消えた。
幻想郷の神達は全員攻撃しても、最後は返り討ちにあった。
森には生き残っている妖怪達が今も-鯨-と戦っている。
今から私も行くつもりだ。もしかしたら死ぬかもしれない。
でも、死んでいったあいつらのためにも… -鯨-に一泡吹かせてやる。 —霧雨魔理沙—
-魔法の森-
森の中で爆発音が連続で鳴り響く。-鯨-と妖怪達が戦っていた。隣には傷を手当てするアリスがいる。咲夜の左腕が無くなっていた。
私はボロボロになった帽子を被り、箒にまたがる。
アリス「魔理沙!? また戦いに行くの?」
魔理沙「そうだぜ、あいつは絶対倒す。」
アリス「無茶しないで!あいつに一体何人の妖怪達が殺されたと思っているの?人間のあなたが行ったら…」
魔理沙「そんなの分かってる!!」
魔理沙の声が森に響く。
魔理沙「…大切な友達が目の前で死んでるんだ…私が人間だからって…見捨てられない…」
アリス「………魔理沙…」
魔理沙「霊夢だってまだ戦っているんだ!私だって出来る事はある!」
アリスの声を無視して森の奥へ………-鯨-のいる場所まで飛んで行く。
そこには、幾つかの妖怪の死体…そして、血だらけの霊夢が立っていた。霊夢の前には-鯨-がいる。
-鯨-がβビームを放つ。満身創痍の霊夢はもはや避ける気力も無かった。
魔理沙「霊夢!!」
βビームが当たる直前、なんとか霊夢を助ける事が出来た。少し離れた所まで飛んで、箒から霊夢を降ろす。霊夢は近くの木に体を寄り掛けた。
霊夢「はぁ…はぁ…魔理沙?」
魔理沙「大丈夫か?霊夢!」
霊夢の全身は切り傷が出来ていた。ずっと-鯨-の攻撃を避けていたらしい。私は-鯨-の元へ戻ろうとする。しかし、霊夢が私の手を握って離さない。
霊夢「…だめよ…あんたが戦ったら…本当に死ぬわよ…」
私をこうまでして引き留めるのは今まで無かった。幻想郷で1番強い巫女。霊夢でも倒せない相手だ。確かにこのまま戦ったら私は死ぬ。だけど、恐怖心は無かった。
魔理沙「大丈夫、みんなの仇は私が取るぜ。」
霊夢の制止を振り切って-鯨の元に戻る。
死ぬ事も覚悟の上で戻って来た。だけど、箒を持つ手が震える。冷や汗が止まらない。あの-鯨-から物凄い殺気が出ている。金属で出来た奴なのにな。私は八卦路を-鯨-に向けて、宣言する。
魔理沙「さっさと殺し合いを始めようぜ? -Genocide.Thing.-(虐殺者)」
THIMAの最後の旗艦。 -G.T.-
その文字は虐殺者とも、偉大なる者とも読める…
幻想郷をかけた決戦が始まった。
続く…
- Re: 東方海洋伝 16話 幻想の墓場 ( No.16 )
- 日時: 2022/11/20 21:02
- 名前: black fly (ID: 7ZyC4zhZ)
WARNING
A HUGE BATTLE SHIP
G.T.
IS APPROACHING FAST.
大型戦闘指令艦種 G.T. シーマの戦闘統制における中枢とも言える存在。巨大な体には無数の砲台が備え付けられ、敵対機に未曾有の砲弾を降らす。シーマ最強の名に相応しい戦艦種である。
魔理沙は片手にいつものミニ八卦路を握る。アルファスパークを撃てる改造された八卦路は前の戦闘で破壊された。しかし、最大火力のマスタースパークでもG.T.の装甲には傷一つ付かない。
魔理沙「あいつの口の中に撃ち込むしか無いか…」
G.T.の半開きになっている口の中にさえ撃ち込めば、装甲を関係無しにダメージを与えられるはずだ。箒を力強く掴み、一気に上空へ飛ぶ。その後をG.T.が追って行った。すると、G.T.の前面部からドリル弾が大量に発射された。
魔理沙「追ってきたな!《儀符・オーレリーズサン》!」
魔理沙を囲むように出された球体がドリル弾を破壊する。ドリル弾は壊されると、炸裂弾を放った。
魔理沙「そんな攻撃じゃ私は死なないぜ!《星符・ドラゴンメテオ》!」
真下にいるG.T.めがけて八卦路からビームが放たれる。ビームはG.T.の口の中に入り、爆発を起こした。G.T.の全身が若干赤くなっている。口の中だけは攻撃が通るらしい。やがてG.T.は、魔理沙を追い抜かし、下部の砲台から無数のナパーム弾を降らす。魔理沙は小刻みに曲がりながら避けた。続けて、G.T.が魔理沙の横から並走してくる。横部のハッチからソルジャー達が出てきた。しかし、魔理沙は物凄い速さで、ソルジャーを片っ端から弾幕で破壊していった。
魔理沙「まだまだ!《星符・エスケープベロシティ》!」
箒を縦にして、G.T.の装甲を伝って上に移動する。G.T.は上部砲台から追尾レーザーを放つ。
魔理沙「《魔開・オープンユニバース》!」
魔理沙から巨大な円状の弾幕が放たれる。G.T.の上部砲台は全壊した。
魔理沙「その物騒な火器は破壊させてもらったぜ!」
しかし、魔理沙が喜ぶのも束の間。破壊された所から追尾レーザーがまだ放たれていた。
魔理沙「嘘だろ…あの砲台が無くても攻撃できるのかよ!」
急旋回して迫り来る追尾レーザーを次々に避けていく。G.T.の砲台は完全に再生していた。魔理沙から距離を取ったG.T.は砲台で遠くから連続で砲撃を続ける。
魔理沙「…うっ…危ない!」
砲撃が魔理沙の頬をかすった。少し位置がずれていたら頭が粉々に吹っ飛んでいた。砲撃を終えると、G.T.は口を大きく開き、ソリドナイトの欠片と小型イルカ艇を放つ。イルカ艇は魔理沙をしつこく追いながらレーザーを連射している。
魔理沙「しつこい奴らだぜ…《魔符・スターダストレヴァリエ》!」
大量の星形弾をイルカ艇に放つ。複数の弾を受けると、イルカ艇は爆散して落ちた。しかし、魔理沙はイルカ艇を破壊した所である事に気づく。
魔理沙「…!!しまっ…!」
βビームが頭のすぐ上を過ぎる。帽子は焼き切れていた。G.T.は自分のイルカ艇を囮にして、βビームのチャージをしていた。妹紅が騙されたハッタリだ。
魔理沙「私には効かないぜ!《恋心・ダブルスパーク》!!」
G.T.の閉じかけの口に二つのビームが放たれる。片方は邪魔なソリドナイトを破壊し、もう片方のビームは口の中へと入っていく。さっきより大きい爆発が起きた。G.T.が雄叫びを上げる。相当効いたようだ。
魔理沙「後一押しだ!…あいつの口に近づいてマスタースパークをぶち込めば…」
G.T.の装甲は真っ赤に染まっている。口からは煙が出て来ていた。魔理沙は箒をより強く握るとG.T.に物凄い速さで接近する。
G.T.の口まで後少し…八卦路を構え直し、マスタースパークの準備をする。あの口にもう一回撃ち込めば勝てる!
そして…
魔理沙「これで終わりだ!G.T.!《恋符・マスタースパーク》!!」
やっと勝てる!…
そんな希望も、すぐに消えて行った。
魔理沙「…防がれている!?」
G.T.の口には無数のレフナイトが集まっていた。レフナイトは最大火力のマスタースパークを難なく防いだ。その光景を魔理沙は呆然と眺める事しかできなかった。G.T.に接近した事で、全攻撃の射程に入っていた。
全ての砲台から、ハッチから追尾レーザー、ナパーム弾、ソルジャー、イルカ艇、弾幕が間髪入れず、放たれる。
魔理沙「…まずい!」
箒を強く握り、G.T.から急旋回して一直線に逃げる。しかし、もう遅かった。
魔理沙「《閉符・ビッグクランチ》!」
弾幕を放ちながら距離を取り、敵弾に弾幕をぶつける。全て相殺しきれなかったのか、幾つかの弾は魔理沙の腹部を貫いて行った。
魔理沙「…がはっ…!」
箒を掴む力が緩む。このままでは落ちてしまうと、魔理沙は高度を下げ、森の中に転ぶように着陸した。
魔理沙「…はぁ…はぁ…死ぬかと思った…」
着陸の時に手放した箒は折れていた。魔理沙の背中に激痛が走る。骨が折れたようだ。ゆっくりと立ち上がると、目の前にはG.T.がいた。ドリル弾が魔理沙の頭に向けて発射される。
魔理沙にドリル弾が近づく。もう避ける気力は魔理沙に残っていなかった。
魔理沙「……みんな…ごめん…」
目を閉じた。ドリル弾は魔理沙の顔面を貫く…
直前。
霊夢「《夢想天生》!!」
霊夢がドリル弾を跡形も無く破壊した。
魔理沙「…れ…霊夢?」
霊夢「なんで無茶したのよ!死ぬ所だったじゃない!!」
霊夢の目には涙が浮かんでいた。
魔理沙「…そんな表情して…どうしたんだぜ?」
魔理沙がG.T.の元へ飛んで行った時、霊夢は恐怖していた。
-友達が死んでしまうかもしれない-
ほぼ毎日神社に来ては、新しい魔法を見せびらかしたり、一緒に弾幕ごっこをしたり…
そんな幸せな毎日を作ってくれた魔理沙が——あの-鯨-に殺されるのは嫌だった。
霊夢「…あんたが死ぬなんて考えたくないのよ…」
魔理沙「…ありがとな、助けてくれなきゃ死んでたぜ。」
霊夢「…どういたしまして…」
G.T.は2人を噛み殺そうと大きく空中から突進する。
霊夢「さて、あいつを`殺す`わよ…魔理沙。」
魔理沙「物騒な…」
霊夢からいつも以上の殺気が溢れる。妖怪となった人間を殺す時と同じ気配だった。
2人は一緒に八卦路を持ってG.T.に向ける。G.T.が一際大きく口を開けた所で八卦路が強く光る。
魔理沙「《恋符・マスタースパーク》!!」
G.T.の口に最大火力のマスタースパークが放たれる。マスタースパークはG.T.の内部を容赦無く焼き尽くし、破壊していく。
装甲を紅く染め、閃光と煙を放ちながら、G.T.は叫び、大爆発を起こした。森に静寂が戻る。
大型戦闘指令艦種 G.T.が撃沈すると同時に、幻想郷各地にいたTHIMA艦が跡形も無く爆発し始めた。全てのTHIMA艦を統率する中枢が破壊された影響で、THIMA艦達は混乱していたのだ。中枢が破壊される事はTHIMAにとって、敗北を示す。
こうして、THIMAとの戦いが幕を閉じた。
-博麗神社-
魔理沙「よう、霊夢。」
霊夢「あ、来たのね。」
魔理沙「あれからどうだ?」
霊夢「復興は順調よ…犠牲者はなんとか最小限に留められたわ。」
魔理沙「そうか…」
THIMAが去ってから一週間。幻想郷の復興が始まっていた。
人里は犠牲者も無く、民家の修復が進められていた。
妖精達も犠牲が出る事は無かった。チルノはTHIMA艦の残骸を探していた。
永遠亭では生き残った妖怪達の治療が行われていた。しかし、妹紅が姿を見せる事はなかった。
紅魔館ではフランが新たな主となった。館の前には、一つの墓が立っていた。
妖怪の山は復興が終わった。死んだと思われた2人の神は巫女と一緒に壊れた神社の修復をしていた。
紫は壊れかけていた結界の整備を始めた。
隠岐奈などの神達は幻想郷の警備を続けている。
幻想郷は何かが変わり、何かを失っていた。
霊夢「あの戦いが夢だったんじゃないかってくらい平和ね…」
魔理沙「…そうだな、本当に夢であって欲しかったぜ…」
2人は空を見ながら、目を瞑る。幻想郷は変わり無く、進んで行く。
-亜空間-
ジ・エンブリオン「…幻想郷か…」
ジ・エンブリオンは、亜空間の裂け目から、G.T.が撃沈する瞬間を見ていた。
ジ・エンブリオン「あの小娘達にはすまないことをしたな…」
月の都で作られる未知の兵器を監視しながら喋る。
ジ・エンブリオンはTHIMA艦を使った侵攻をやめたのだ。ただただ文明の監視者として歩もうとしていた。
-月の都-
豊姫「…計画は順調かしら?」
兵士「はい。幻想郷攻撃準備は整いました。」
(ジ・エンブリオン「幻想郷攻撃?どういう事だ。」)
豊姫「私たちを襲ったシーマなんて、もう存在しないでしょう…あれから極秘で開発した光学兵器。幻想郷にこれを放てば塵も残らず、滅ぼせるわね。」
兵士「月面戦争の恨みを晴らしましょう!!」
笑いながら話す兵士にとてつもない殺気を向け、ジ・エンブリオンは文明破壊ミッションを始める。
ジ・エンブリオン「…THIMA艦全機に告ぐ…G.T.を中心とした大艦隊を準備しろ。標的は…月の都だ。」
月の都にTHIMA大艦隊が迫る。
結局、THIMAはこれからも…`死を司る者`として、宇宙を監視するのであった。
-完-
-後書き-
はい、どうもblack flyです。 最近Gダライアスをクリアしました。その後、思いついたんですよね。あれ?東方とダライアスの小説って少ないな…なら作ってしまおうと。そんな一つの疑問で今回の東方海洋伝を作りました。(笑)
次回は、もう見てくれた人もいるであろう「東方闘機伝」。ジョイメカファイトのワルロボ四天王が幻想入りする話を書いていこうと思います。東方闘機伝では、`博士`という名前でやらせていただきます。 楽しみに!