社会問題小説・評論板

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学級崩壊【オリキャラ募集一時休止】
日時: 2015/02/23 14:58
名前: 藍里四季 ◆dcuKuYSfmk (ID: IfRkr8gZ)

◆目次◆


第一回 オリキャラ募集 >>4


ご挨拶 >>1

本編

第一章 小学生編

一話 >>2
二話 >>3

Re: 学級崩壊【オリキャラ募集中】 ( No.11 )
日時: 2014/12/27 22:51
名前: 藍里四季 ◆wcVYJeVNy. (ID: IhUgtvgY)

五話 愛した人

チャイムの音が鳴り響く。
この教室内で、動く者は誰も居ない。
「……雪乃は、あんたなんかに殺されていい人間じゃない」
私の女子にしては低い声が、静まりかえった教室に響く。
異物を見るような視線に吐きそうになりながら、言葉を紡ぐ。
「雪乃を返してよ。私の大切な妹を、家族を返して……!」
頬を涙が伝う。
「……俺のせいじゃない」
絞り出すような声が聞こえた。
声の主は、頭を抱える。
「あんたのせいよ……」
宮本が雪乃を追い詰めなければ、雪乃はきっと……今も私の隣に居た。
時々喧嘩もしながら、きっと、今も笑っていられた筈だった。


「……覚悟してなさい」


立ち上がり、宮本を見据えた。


「私が必ず、あんたをーー宮本敦を殺すわ! 最も屈辱的なやり方で、あんたを殺す! 雪乃と同じ目に遭わせてやる! だから……」

唇を噛み締める。
血の味がする。


「生きなさい。復讐の途中で死ぬのは許さない。あんたを殺すのはこの私よ! あんた自身じゃない。……肝に、命じておいて」


私は荷物をランドセルに押し込むと、教室を出た。
校門を出ようとしたその瞬間、誰かに手を掴まれた。
「……待てよ、綾乃」
「……何よ、荒川。私を笑いに来たの?」
息を切らせた彼は、黙って私を抱きしめた。
「触らないで!」
彼の頬を平手で打つと、彼は離れる。
「……ごめん」
「……私こそ、ごめん。殴るのはちょっと……やりすぎた」
彼の左頬を打った手が、痛かった。
絆創膏を渡す。
ありがとう、と彼は微笑み、唇の端に絆創膏を貼った。
「……で、何」
「俺も、協力したい」
荒川の茶色の瞳が、私をじっと見つめている。
「……なんで?」
「罪滅ぼし?」
首を傾げる荒川。
その頬を、もう一度殴りたい衝動に駆られる。
「仲間は多い方がいいだろ?」
「……私は、あんたを信用しない。それでも?」
「構わない。俺は、それだけのことをして来た」
「……いいよ、好きにすれば」
荒川は顔を輝かせる。
「ただ、あんたは仲間じゃない」
それだけ言うと、校門を出た。
「じゃあな、綾乃!」
荒川の明るい声が、耳に残った。


荒川は、仲間じゃない。
傷付くのは、罪を問われるのは、私だけで十分だ。

「そうでしょう? ……雪乃」

雪乃は今、どんな顔をしているのだろうか、
泣いている?
笑っている?
怒っている?

「ごめんね、雪乃」

空に向かって、呟いた。
愛した人へ、呟いた。

「愛しているよ」

間違った道を進んでいるということは分かってる。
宮本だけのせいじゃないことも知っている。
「……それでも、私は」

復讐を、始めよう。

世界一、愛した人のために。

Re: 学級崩壊【オリキャラ募集中】 ( No.12 )
日時: 2014/12/27 23:48
名前: 藍里四季 ◆wcVYJeVNy. (ID: bAE3NR8r)

六話 左腕

誰も居ない家に入った。
ランドセルをソファーに放り投げ、仏壇に手を合わせる。
写真の中で笑っている雪乃と目が合った。
雪乃の時は、あの頃から止まったまま。
雪乃の分まで精一杯生きていけと、素知らぬ振りをして笑った宮本を、私は一生許さない。
「……悪いのはあいつだけじゃないってことも……分かってるんだけど、ね」
そう呟いた瞬間、左腕の傷が痛んだ。
袖を捲り、傷を見た。
左腕にびっしりと付けられた切り傷。
横に並んだそれらは、全て私が付けたものだ。
カッターナイフで切りつけた、私が生きている証。

死にたいわけじゃない。

ただ、自分に罰を与えているだけ。
そして、自分の生きる意味を思い出させているだけだ。
雪乃が追い詰められていることに気付けなかった私が、傷付かずにのうのうと生きていけるわけがない。
苦しんで苦しんで苦しみ抜いて、雪乃に誇れるように生きなければいけない。

だからこそ、許せなかった。

自分は関係の無い振りをして、のうのうと生きている宮本が、許せなかった。
せめて、一言でもいい。
あの時、謝ってほしかった。
雪乃に土下座して、謝ってほしかった。
殺したのは自分だと、認めてほしかった。

でも、あいつは認めなかった。

自分は殺していないと、雪乃の葬式で言い放った。
「あいつが勝手に死んだんだ」
そう、雪乃の前で言い放った。
許してはいけない。
そう思った。
「……待ってて、雪乃」

必ず、あの男を殺すから。

Re: 学級崩壊【オリキャラ募集中】 ( No.13 )
日時: 2014/12/29 20:33
名前: アリス (ID: 7WA3pLQ0)

オリキャラ募集用紙

【名前】黒沢百合香

【ふりがな】くろさわゆりか

【年齢】11

【容姿】黒髪ロングストレートに百合の髪飾りを着けている

【性格】運動神経はいいが
冷たくクラスではやや孤立している一匹狼
感情的になることは少ない
雪乃には少し心を開いた

【主人公との関係】綾乃の復讐を止めようとしている

【サンプルボイス】「五年生にもなってやって良い事と悪いことの区別すらつかないのかい?」

「自分の妹を口実に先生に復讐ね…正義のヒーローぶってるんじゃないよ。私から見たら単なるアンタのエゴイズムにしか見えないよバカらしい…」

Re: 学級崩壊【オリキャラ募集中】 ( No.14 )
日時: 2014/12/29 21:58
名前: 藍里四季 ◆wcVYJeVNy. (ID: M3GrBMTq)

アリス様

ありがとうございます!
上手くかけるかどうか分かりませんが、頑張ります。

Re: 学級崩壊【オリキャラ募集中】 ( No.15 )
日時: 2014/12/29 22:58
名前: 藍里四季 ◆wcVYJeVNy. (ID: M3GrBMTq)

七話 正義

枕元に置いていた、黒の携帯電話が震える。
眠い目を擦りながら折りたたみ式の携帯電話を開くと、一通のメールが届いていた。
只今の時刻は、午前六時。
「……荒川」
そういえば昨日、アドレスを交換したんだっけ、と呟いた。
『今日は何する?』
どうやら彼は、復讐を楽しみにしているらしい。
私は携帯電話を操作し、返信をする。
『好きにしていいよ』
携帯電話をベッドに放り投げ、着替え始める。
学校、行きたくないな。

長い癖毛の黒髪を高い位置で一つにまとめた。
「……雪乃」
自分の顔を鏡で見る度に思い出される、雪乃の顔。
性格は似ていなかったけど、背格好はよく似ていた。
「……私は、綾乃。雪乃じゃない」
鏡の中の自分の目を見た。
「雪乃を殺した男に、復讐を」



スニーカーに足を突っ込み、「行ってきます」と呟いた。
一歩一歩、歩みを進める。
楽しそうに喋りながら歩いている女子の集団や、男子の集団が私を追い越して行く。
ひとりぼっち、ほど惨めなものはないと思う。
幼い頃はいつも、雪乃が隣に居たーー
「綾乃!」
「……荒川」
見えない尻尾を振るように、荒川が駆け寄ってきた。
「おはよう、綾乃!」
「……おはよ、荒川」
必死に口角を上げ、微笑む。
荒川は楽しそうに、私の隣を歩き始める。
「ルカ、佐々木! ……いや、伊崎と呼んだ方がいいか」
荒川の親友である渡辺剣ワタナベケンが私に笑いかける。
「……おはよう、渡辺君。佐々木でいいよ」
私の言葉に、彼は頷く。
「俺もまーぜーてー」
「……復讐?」
「ああ」
「好きにしたら?」
ありがとう、と彼は笑った。


一時間目開始を告げる、チャイムが鳴った。
クラスを見渡すと、絆の席は空いていた。
宮本が教室に入ってくる。目があった。
先に目を逸らしたのは、宮本だった。
誰も、口を開かない。
口を開いてはいけない。
そんな異常な空気が、教室内に流れる。

「人殺しが、教壇に立つ資格あるのかよ」

異常な空気を打ち破ったのは、荒川だった。
「……俺の、せいじゃない」
宮本が、重い口を開いた。
「俺のせいじゃない。あいつが勝手に死んだんだ」
「黙れ、人殺し!」
宮本の言葉に、渡辺君が叫んだ。
「……渡辺、お前までーー」
裏切られたような顔をした宮本に、渡辺は笑いかけた。
私の斜め前の席の座っているので、顔や行動がよく見える。
渡辺君が、ペンケースの中から消しゴムを手に取った。
それを、宮本に向かって投げる。
消しゴムは綺麗に弧を描き、宮本の左目に当たった。
「ナイス、剣!」
荒川と渡辺君は、ハイタッチをする。
二人は次々に、物を投げて行く。
教科書、ノート、消しゴム、鉛筆、シャープペン。
それに便乗し、クラスのほとんどの人が宮本に物を投げる。
私は、教科書を手に持った。
それを、宮本に向かって投げた。当たる。
爽快感と、妙な罪悪感が私を襲う。
罪悪感に気付かない振りをして、ノートを投げた。
また宮本に当たった。
消しゴムに手を伸ばした瞬間、凛とした声が教室に響き渡った。

「五年生にもなってやって良い事と悪いことの区別すらつかないのかい?」

立ち上がったのは、冷たい目をした少女だった。
長く、美しいストレートの黒髪に、百合の髪飾りを付けた少女は宮本に手を差し伸べた。
ざわめきが、クラス中をかけめぐる。
少女の名は確かーー黒沢百合香クロサワユリカ
さっき、荒川が呟いていたのを聞いた。

黒沢百合香が、凍てつくような冷たい目で私を見た。

「自分の妹を口実に先生に復讐ね…正義のヒーローぶってるんじゃないよ。私から見たら単なるアンタのエゴイズムにしか見えないよバカらしい…」

彼女の目を、しっかりと見据えた。

「正義の反対は、また別の正義」

そして、微笑む。

「そう言ったのは、誰だったのかしら」


ゆっくりと、歯車が狂う音がした。


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