BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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一条くんと名取くん
日時: 2017/05/04 11:42
名前: あまのはし (ID: vstNT7v3)

学園もののオリジナルBL小説です。
α、β、Ω等が出てきますので、苦手な方はUターンしてください。

一条くんと名取くんの恋を一条くん目線で載せて行きたいと思います。
お互いの特性を知らないで惹かれあった二人がバタバタしながらも恋愛を成就させていくお話です。

Re: 一条くんと名取くん ( No.2 )
日時: 2017/05/04 16:58
名前: あまのはし (ID: vstNT7v3)

クラス委員長になって三ヶ月経った頃に、クラスで一人だけ不登校の生徒がいることに気づいた。一ヶ月に一週間は必ず居るから初めは分からなかった。クラス全員の名前と顔を覚えておいた方が行事の時に不便にならないと思い、紙に名前を綴ればクラスの人数で必ず一人少ない結果になった。そこで、一席だけ、人が居ないという事に気づいた。
あまりにもキャラの濃い生徒と存在が分からないほど薄い生徒が入り交じったクラスだ。探しようがない。

そんな時に、向こうからやってきた。

副会長室に入り浸り、担任の佐伯から借りてきた名簿帳を見ていれば、聞き覚えのない名前を見つけると同時に鍵をかけ忘れていた副会長室に来客が来たのだ。

「なとり・・・ちあき?」

バンッ

「!」

呼んでもいない来客に慌てて名簿帳を閉じて来客者を見れば、バチッと一瞬目が合う。一瞬しか会っていないのに数秒目が合っていたように感じた。赤みがかった髪の華奢な青年は閉めた扉を背に室内を見渡せば、俺のことを気にも求めずに早足でで掃除用具入れに近づけば、その縦長のロッカーを開けて入り内側からロッカーの扉を閉めた。

「おい!人の部屋に入る時は許可を取れ!」

「シーッ!頼む!匿え!俺が居ないフリしろ!」

ロッカーの前へ行き、ロッカーの中へ隠れた青年に怒鳴りつければ小声で返ってきた言葉に違和感を感じる。焦った彼の言い様に、彼が追われて来たのかと思い、部屋の出入口を見つめる。
暫くしても静かで何も起きないし、誰も来ない事に、ロッカーへ疑いの目を向ける。

「・・・行ったか?」

「誰も来てないが・・・?」

キィッと音を立ててゆっくり開いたロッカーから顔を覗かせた青年は前髪が短く眉毛が細い。紫色の目が丸い。男にしては白い肌に綺麗な顔立ちをしていた。だが、今は関係ない。彼が嘘をついて副会長室に入って来たのではないか、俺の本性を見られ知られたのではないか、そこが気がかりだった。

「はー、良かった」

「良かったじゃない、出て来い!」

誰も来ていないのにまだ小芝居を続ける彼に愛想を尽かし、ロッカーを勢い良く開けて中にいる彼の右手を掴み引き出せば、軽くすんなり出てきた。
おっとっと、と引き出された勢いで転びそうになる彼が呑気な声を出すが、俺は彼の腕を掴んだまま彼を上から下まで見た。

サーモンピンクの髪は短め。後ろの髪の項の上が逆だっている。少し緩めの黒い頑丈そうな首輪。制服は前全開で中に黄色いTシャツを着ている。下はズボンも靴も学校から出されている物。だが、見ても分かる、掴んでいる腕からも嫌でもわかるほど細身で華奢なことが分かった。身長からしてサイズは合っているのだろうが華奢なせいでゆとりがあった。
小柄に見えるが170は越えている。

「貴様誰だ?」

彼は俺の問に口角を均等に吊り上げた。

Re: 一条くんと名取くん ( No.3 )
日時: 2017/05/04 21:57
名前: あまのはし (ID: vstNT7v3)


「どうも、一条航貴だよね?俺、同じクラスなんだけど、知らないかー・・・」

ニヤニヤと笑いながら言う彼に少しムッとする。俺より周りの事を知ってる口だから。
彼を見てれば、首元に汗をかいているのがわかった。

「?どうした、汗をかいてるぞ」

「っ!あー、平気平気。さっき走って来たから汗かいただけ」

彼の体調が悪いのかと思い、汗をかいてる首筋へ手を伸ばせば、汗が乾いたのか少し冷えていて、それに敏感に反応した彼は数歩後ろに下がって俺の手が届かない所へ行く。俺の触った左首筋の逆である右の首筋に手を当てて、俺から目を逸らした彼はさっきまでの余裕がないように見えた。
何か、気づかれては不味いことを隠している時のようだ。だが、彼の言うように本当に走って来たから汗をかいただけなのかもしれない。それなら気にかけることは無い。
元々、彼を気にかけるほど俺は暇を持て余すことはしない。

「そうか・・・ならいい。」

「・・・ところで、航ちゃん、キミ、思ったより表も裏も激しい御性格?」

彼の言う航ちゃんとは俺の事なんだろう。またニヤケ面。さっきみたいに慌てて余裕の無い顔の方が可愛いのに、なんだこのニヤケ面は。見てると腹が立つ。
というか、バレた・・・。

「なんのことだ?」

「カマかけたって無駄だぜ?結構俺様なんだな」

彼が俺の事をどこまで知ったのか、知っていたのか、は分からないがこれが彼との出会いだった。

Re: 一条くんと名取くん ( No.4 )
日時: 2017/05/04 22:40
名前: あまのはし (ID: vstNT7v3)


それからは、授業をサボる彼を見つけてきては、引きずってでも教室へ連れ戻し、席へ着かせた。先生はそこまでしなくてもいいと言っていたが、クラスの席替えで名取の隣にしたことには意味があるんだろうと思っている。

名取は何故か俺の副会長室に入り浸るようになった。俺は名取だけには本性をさらけ出していたが、気にする様子も他人にバラす様子も名取からは感じなかった。

俺は気になる事は聞く性分だ。彼も同じだと言う。
首輪のことは何だと聞けば「オシャレ」と返される。左手首にしてるゴム製のブレスレットは何かと聞けば「学校指定の特別優先者である印」だと答える。何もかも嘘のように聞こえて、本当のことであったりもする。聞けば答えるが、勝手に話し始める話題はどれも他人の話だった。

「俺の部屋で菓子を食うな」

「なに、羨ましい?あ、航ちゃんも食う?」

気さくな名取はすぐに親しくなった。向けられたポテトチップ〇には興味は無い。

「いらん。こぼしたら掃除しろよ、クズ一粒も残すな」

「堅いこと言うなよー、ポテチ不味くなんじゃん」

「だったら食うな」

俺の命令口調にも柔軟に適当に返すのが軽く関わる彼の対応の仕方だ。
ただ、月に一度、決まって一週間だけ、目の下にクマを作って寝不足であったり、学校を休んだりと体調の優れないことがあった。名取は何かを隠し、どこか危うさがあった。

Re: 一条くんと名取くん ( No.5 )
日時: 2017/05/05 11:39
名前: あまのはし (ID: vstNT7v3)

αである俺は、同じαの人間を見つけることは容易い。人気者のヤツや成績の良い者は殆どがαである。その中に時として努力だけで成功を収めるβもいるがαに比べれば数少ない。βはαやΩに比べて1番数は多い者の、秀でた者があまり居ないということだ。
10人男がいれば、2人はα、7人はβ、1人だけΩ、という事になる。
クラスに30人男がいるなら、αは6人、Ωは3人、残りの21人がβだ。

クラス担任の佐伯はαなのはわかる。クラスに居るαも全て大体の予想ができている。だが、βやΩが分からない。Ωは特に数も少ないこともあるが、αとつがいになっている者ならΩの特徴とも言えるフェロモンを制御出来るようになってしまう。
元々、俺はαだが、男に興味は無い。Ωの発情期にαが理性をコントロール出来なくなるヒートを起こしてしまえば、番になる確率は非常に高い。勿論、Ωの妊娠の可能性もだ。それを考えると、知っている方が得なのは明らかだ。
Ωの妊娠について詳しい事は調べてくれ。

とりあえず、Ωを見つけて、ソイツらに近づかなければαである俺がヒートを起こすことはまず無い。

「航ちゃんさ、好きな人いる?」

いつものように副会長室に入り浸り、横長のソファーにぐったり寝転がっている名取が唐突な質問をしてきた。

Re: 一条くんと名取くん ( No.6 )
日時: 2017/05/05 22:32
名前: あまのはし (ID: vstNT7v3)

「唐突だな」

好きな人が居るかどうかよりも理由を探る応えを返せば「いるの?いないの?」と理由を答えるよりも質問の回答をしろと要求してくる。

「お前はどうなんだ?」

俺の方を一切見ずに、ずっと壁に掛けられた校訓を眺めているサーモンピンクの頭を見つめて問い返せば、消えかかった声が答える。

「いねーよ・・・作る気もない」

「まあ、作ろうとしてもお前には出来そうにないな」

「はー?ンだよ、それ」

意味深な返答に深く聞くもので無い事を察した俺は書き途中だった書類に目を移し替え、ペンを走らせる。間延びした気だるげで、ホントに不服に思っているのか分からない口調で声が返ってきた。クスクス笑う声に安心感を抱いていた。


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