BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- BL長編
- 日時: 2025/01/12 23:06
- 名前: なちゅ (ID: Gqc2/rRD)
長編か短編集にするつもりでいます
(ならないかもしれないです)
投稿は不定期です!
・これはオリジナルなので内容がおかしくなって
いるかもしれないです
・誤字脱字がある可能性大
・何でも許せる方のみ読んでください…
まだまだ初心者なので、温かい目で見ていただけると嬉しいです!
- Re: BL長編 ( No.16 )
- 日時: 2025/02/15 12:10
- 名前: なちゅ (ID: LcXgyYSV)
最終章No.1
橙樹視点
どこまでも広がる青い空から吹いてくる風が心地い。今日で最後か……。悲しさが込み上げてくる。それもそうだこの校舎を見るのことはこれからほとんど無いだろう。
「橙樹!」
中庭のベンチに座ってこんなことを考えていると正一が声を上げながら走ってきた。
「もう…。探したよ。」
「ごめんごめん。で、どうした?」
正一は息を整えて、俺を見る。
「あのさ…急なんだけど実は俺、橙樹の事好き……なんだ…。」
顔赤くしてぎゅっと目を瞑る正一を見て、思わず笑ってしまった。
「ちょっ、何、人が本気になってるのに笑ってんだよ!」
正一がぽかぽか叩いてくる。
「だって、おもしろくて……!」
「えーー!泣くほど!?」
涙をふきながら彼の顔を見る。やっぱり昔から変わんないな。こいつは。
「無理だってことは分かってる。でも伝えた方がいいって…」
「紫星が言ったの?」
「なっ、なんで。」
「だってそんな熱いこというの紫星くらいじゃん♪」
図星で黙りこむ正一。言うべきかな…?
「でも俺、橙樹とはこれからも友達でいたいから!そこは心配しないで!」
急に顔を上げ、明るく話すのを見て俺も決心がついた。
「ありがとう…実は俺も正一に言わなきゃいけないことがあるんだよね。」
「?、何?」
「実は…俺ね…」
「え……。どういうこと?」
やはり困惑してしまった。でも言ってしまったからにはしょうがない。
「ちゃんと説明してよ……!」
「詳しいことは言えないんだ。でも正一に絶対守って欲しいことがあるんだ。」
「何?」
半泣きしながら正一はこちらを見る。ごめんね。
「青と紫星だけには絶対に言わないで。」
あの二人にこれを伝えたら絶対傷ついてしまうから。どうか正一だけで抑えてくれ。
「じゃあ、あとは………」
「よろしく」
いつもより激しい風に飛ばされていく花は、やがて青空に消えていった。
- Re: BL長編 ( No.17 )
- 日時: 2025/02/21 20:15
- 名前: なちゅ (ID: LcXgyYSV)
No.2
青視点
涼しい風が首筋に当たる。今日は終業式。明日から楽しい春休みが始まる。
ガラッと大きな音を立てて教室のドアを開ける。しかしそこに探している人物はいない。
「あれ?橙樹は?」
「え?そういえば、まだ来てないな」
いつもならもういるはずなのに……。急に嫌な予感がして、隣のクラスに駆け込む。
「紫星!」
「あれ?青、どうした?」
「お前今日橙樹は?」
「え?まだ来てないの?」
紫星はきょとんとする。
「はぁ?だっていつも二人で来てるんじゃ…」
「今日は母さんに一人で行けって言われて一緒に来てないんだ。」
嘘だろ。じゃあ橙樹はまだ家ってことか?
紫星に礼を言って、ぶつぶつ考えながら教室に帰るとガラッと扉が開き先生が入ってきた。
「みなさん、今日は言わなければいけない事があります。」
(言わないといけない事?)
「薄々気づいていると思いますが…」
先生の暗い表情と声を聞き、首に汗が垂れる。
「実は……、花倉橙樹さんが転校しました。」
一瞬で周りの音が全部消えた気がした。
うそ……だろ?
急に目の前が真っ暗になった。
数分して、先生に話しかけられて我に返った。
「冴鳥さん?大丈夫?」
「……。あっ、すみません大丈夫です!」
「実は放課後話したいことがあるから教室に残ってくれない?」
まだ何かあるのだろうか。そう思いながらも返事をした。
しかし、この後これ以上の衝撃が訪れるのも知らずに。
- Re: BL長編 ( No.18 )
- 日時: 2025/03/09 14:40
- 名前: なちゅ (ID: LcXgyYSV)
No.3
夕日が教室に差し込み、オレンジ色に染まっていく。
そんな中、俺は一人机に突っ伏していた。
先生に話したい事があると言われ、待っているのだが……。朝に言われた事が頭の中で響いている。
衝撃すぎて、今日1日何事にも集中出来なかった
そんな事を考えていると、ガラッと扉が開く音がした。先生かと思い、顔を上げると扉の前にいたのは思いがけない人物だった。
「紫星……?」
「青……」
寂しそうな声と顔を聞き、紫星も話を聞いた事を察する。
「紫星も聞いたのか?」
「うん…。まさかとは思ったけどね。」
しばらく沈黙が続く。その静寂を切り裂くように扉が開いた。
「あら?二人とも、もう来てたのね」
先生は静かに手招きする。俺達は先生の前に行く
「二人とも座って。」
「ありがとうございます」
頭を下げながら座る。
「二人に読んでほしい物があるの。」
そう言って紙をもらった。そこには見慣れた文字が並んでいた。
青へ
これを読んでるなら、俺はもう転校した後かな?
何も言わなくてごめんね。
じつは俺、病気なんだ。詳しくは言えないんだけど。でも、転校先にドナーが見つかったんだ。
だから、大丈夫。きっと戻れるから。
でも一つだけ、約束してほしいんだ。俺が戻って来たらまた好きって言ってほしい。
そのために頑張るからね!待ってて!
橙樹より
手紙をゆっくり閉じる。
目の前が涙で滲んでいく。隣からもすすり泣きが聞こえてくる。
「だから、待っててあげて。」
先生の落ち着いた声を聞き、目をこすり顔を上げる。先生の言うとおりだ。俺達がくよくよしても意味はない。〝待ってて〟言われたなら待つしかない。それが橙樹のためならば…
空はオレンジから青になりだしていた。
その二色の間に一つの白い星が輝いていた……
- Re: BL長編 ( No.19 )
- 日時: 2025/03/15 22:04
- 名前: なちゅ (ID: LGYhX5hV)
No.4
紫星視点
今日はいつもより風が強く吹き付ける。
今日は終業式だ。橙樹と一緒に学校に行くため急いで準備していると、母さんが話しかけてきた。
「今日は一人で学校に行きなさい。」
「え?なんで?橙樹は?」
「いいから!」
いつもは静かな声をあらげる母さんにびっくりしてかばんを落としてしまう。
「わかった?」
「う、うん」
母さんといるのが気まずくなりそそくさと家をでる。橙樹の家の前を通るとなぜか違和感がある。
「……、橙樹?」
何か嫌な感じがする。モヤモヤする気持ちで学校に向かった。
学校に着き、準備をしているとガラッと扉が開き、青がこちらを見て叫んだ。
「紫星!」
「あれ?青、どうした?」
「お前今日橙樹は?」
「え?まだ来てないの?」
とっくに来てるのかと思った。
「はぁ?だっていつも二人で来てるんじゃ…」
「今日は母さんに一人で行けって言われて一緒に来てないんだ。」
青はしばらく悩んだ後、
「ありがと」
と言い去っていった。
不思議に思っていると入れ替わりで先生が入って来た。
「紫星くん、ちょっといい?」
先生に呼び出しをくらった。俺何かしたかな?
ぐるぐる考えて先生の元に行くと、先生は神妙な顔して思いがけないことを口にした。
「2組の橙樹なんだけどね…」
「はい。橙樹がどうかしましたか?」
「じつは、、転校しちゃったの」
「え?」
頭が追い付けず戸惑ってしまう。橙樹が転校?なんで?何か抱えてたのかな。どうして………
「詳しいことは今日の放課後、2組の先生からあると思うから……」
先生に言われた事をなんとなく聞きながら、頭の中は真っ白だった。
あの強い風は数枚の花びらを吹き飛ばしていった。
No.3に続く
- Re: BL長編 ( No.20 )
- 日時: 2025/03/30 17:45
- 名前: なちゅ (ID: wVu8TyJb)
No.5
青視点
懐かしい景色が目に入る。また戻ってきたな…
あれから約5年がたった。俺は今都会の大学に行っている。そして今日久しぶりに帰ってきたのだ。
「5年もたったのか…」
懐かしさに浸っていると、ブブッと鈍い音がしてスマホが鳴る。
開くと、紫星という文字が見える。
『やっほー!着いた?』
『着いた。テンションたけぇな』
『だって久しぶりに会えるじゃん!じゃあ学校でね!』
やれやれ、本当に昔から変わんねぇな。
今日、来たのは同窓会のため。みんな変わってんのかな?わくわくしながら会場に向かった。
しばらく歩くと学校に着いた。本当変わんない
なぁ。門をくぐると、見覚えのある声がする。
「青~!」
やはり、手を振り回しながらこちらに来るのは紫星だった。
「遅いよ!みんな待ってるから行こう!」
「はいはい」
手を引っ張られながら教室に連れてこられた。
「おう、久しぶりだな冴鳥」
「青くん、久しぶり~」
みんな少しだが大人っぽくなっている。
一通りしゃべると、紫星がずるずると一人の男を連れてきた。
「ほら、早く!」
「待ってくださいよー」
「青、こちら俺の恋人ー!」
「えっと、若月冴緑です。」
確かに何気に紹介してもらってなかったな。
「友人の冴鳥青です。よろしく」
「よろしくお願いします!!」
元気だなぁー。こんないい子が恋人でいいのか、紫星。
日が傾きはじめ、そろそろ解散の時間。
「ねぇ青、みんなで飲みに行くんだけど青も来る?」
「あー、すまん。俺用事あるから早く帰んないと」
「そっかー、じゃあね!」
そう言って別れる。駅まで歩くか。
そう思い歩き出そうとすると、桜の樹の下に人影が見えた。もう誰もいないはずなんだけどな。
不思議に思い、恐る恐る近づく。
やっぱり人だ。誰だがわからず声をかけた。
「あのー、もう解散したはずじゃ…」
振り向く人の顔を見て息を飲んだ。
「だい…き?」
「青?……青だよね!」
そこに立っているのは、5年前に行ってしまった橙樹だった。
「良かったぁー!会えないかと思ってたんだ。」
「え、おい、病気は?大丈夫なのかよ。」
「うん。手術もうまくいって元気だよ。」
「そうか…、良かった。良かった!」
生暖かい涙が頬を伝うのがわかる。
今、心のそこから安心できた。今までたまっていたモヤモヤがすべて消えた気がした。
「手紙の通り、待っててくれてありがとう。」
「……。おぅ」
「青。お願い聞いてもらってもいい?」
「なんだ?」
「もう一回。好きって言ってほしい。」
お願い聞かされて微笑む。あぁ、やっぱり橙樹はいつまで経っても変わらないな。
「わかった。橙樹。」
「何?」
「俺はお前を永遠に愛してる。」
空には月。涼しく吹く風。鳥は夜空に向かって羽ばたく。花は輝き空に舞う。
花鳥風月のごとく、人の恋とは美しいものである
花鳥風月(完)