複雑・ファジー小説

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白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜
日時: 2011/07/03 15:14
名前: 龍宮ココロ (ID: 6xS.mLQu)
参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/

初めまして、龍宮ココロといいます。
久々に自分の小説を書こうと思い投稿です。
基本的、土日や祝日更新を頑張りたいと思っています。

——————————————☆注意★ー—————————————
1.荒らしは止めてください。(中傷的な言葉もお止めください)

2.文章をコピーしたまたは似た感じの場合、管理人に訴えます。

————————————————————————————————

マナーを守って読んで欲しいです。


☆【物語の語り目次】★

P1.登場人物&語句紹介 >>1 

——序章——
P2.第1話「始まり」 >>2
P3.第2話「チャシャ猫」 >>3 

——第一章——
P4.第3話「穴」 >>4
P5.第4話「鏡」 >>5 
P6.第5話「進行中」 >>6
P7.第6話「名持ちとクッキー」 >>10
P8.第7話「オルゴール屋」 >>11
P9.第8話「兄と弟の立場」 >>12
P10.第9話「お昼」 >>13
P11.第10話「心残り」 >>17
P12.第11話「宿探し」 >>18
P13.第12話「同刻」 >>19

☆【物語に誘われたお客様とお墨付き】★
・玖龍さん(複雑・ファジー小説で「ヒューマノイド。」を書いている方です)
・コーダさん(複雑・ファジー小説で「復讐 5年の月日を経て…。」を書いている方です)
・秋風かざやさん(私の小説のお墨付きの鑑定士様です)


☆【鑑定などの通知】★
1.鑑定(秋原かざやさんの鑑定結果) >>9
2.鑑定(秋原かざやさんの鑑定結果) >>16

Re: 白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜 ( No.1 )
日時: 2011/06/18 20:01
名前: 龍宮ココロ (ID: 6xS.mLQu)
参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/

「登場人物」

【主人公】
・名前:赤島 ハク(♀) 通称:「白ずきんちゃん」 身長:149cm

・歳:15歳

・性格:優しい、頑張り屋、動物が好き

・好きなもの:動物とのふれあい(毎日の餌やり)、読書、刺繍

・嫌いなもの:偽善者っぽい人、嘘を付く人

・容姿:白い髪で長髪、綺麗なブルースカイの瞳

・服装:赤頭巾ならぬ白頭巾を被っている、茶色のブーツで膝より少し上まで、少し大きいフルーツバスケットを持っている


「語句紹介」

・【ワンダーランド】…いろんな童話の住人達が住んでいる世界。
基本的の地形は「不思議の国のアリス」が元となっている。
場所によって四季や天気が折々。

・【名持ち】…いわゆる「チャシャ猫」や「白ずきんちゃん」など通称を持っている人を指す。
ワンダーランドの中では「名持ち」は貴重な存在。
他は「名を持たない者」や「名が無い者」と言われている者がワンダーランドの約7〜8割存在している。

Re: 白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜 ( No.2 )
日時: 2011/06/12 15:22
名前: 龍宮ココロ (ID: 6xS.mLQu)
参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/

誰かが、私の事が嫌いでも私は頑張るんだ。


だってお母さんが言っていたから。


「人は誰にだって嫌いになると思うわ。だけどね、頑張る人を見続ける人は嫌いにならないから」


頭を撫でて私にいつも言っている言葉。


いつも一人ぼっちな私を気遣っている言葉。


私はその言葉とお母さんの温もりが少し恥ずかしくて、ちょっと遠慮気味。


それでもお母さんは綺麗な人。


私はそんなお母さんの子供になれて嬉しい。


だから、私は頑張るんだ。


お母さんも、小さい頃は嫌われていたんだって。


だけど、お母さんも頑張って認めてもらえた。


だから、きっと私も認めてもらえるよね。


頑張って頑張って…友達も何もかも作るから。


———

「あんた、本当に目敏いんだけど!」
「そうそう、何が『白ずきんちゃん』よ! 可愛い通称だからと言ってあまり気持ち上がりすぎるんじゃないの?」
あぁ、今日も私は“嫌われている”。
黙って聞いている私に、二人の女の子が少し舌打ちをする。
「アンタねぇ、何か言いなさいよ!!」
「しかも、可愛くなくブスでのろまで祟りのある白い髪なんだから祟りの子らしく私達を呪って見せなさいよ」
「アハハハ!」と彼女達は笑う。
けども、私は何も言わずただ必死に涙を堪えていた。
もう溢れそうな涙、だけど弱音を吐いちゃいけない。
吐いちゃったら…私の努力が無駄になってしまう…。
「ねぇ、なんか言えって言っているでしょうが!!」
「——!!」
片方が私を殴ろうと片腕を上げ私の顔へと来る。
私は目をつぶって衝撃を待っていたが—— 来ない。
バッと目を開くと、その子の腕に…傷が一本入って血がポタッと落ちた。
「キャ、痛いっ!!」
「ほ、本当に祟りの子だわ!!」
二人とも青い顔をした。
「あ、あの…私はっ…」
「私はやっていない」と言う前に、二人ともこっちを見て怖い顔をして言った。
「やっぱりアンタ…—— 生きる意味が無いのよ! アンタなんか、亡霊で死神で祟り子なんだから!!」
「っ——」
二人とも青い顔をして私を置いて行った。
あぁ、まただ。
また、よく分らないけれども私に危機が来ると何故かあの片方の子のように…—— 一本の傷を付けてしまう。
「…私は…生きていいのかな…?」
もう、どうだっていい。
頑張っても頑張っても…私はまた“嫌われてしまった”。
少し大きいフルーツバスケットを持って私はその場から立ち去った。
その場所にはもう居たくなかったから、だから立ち去った。
「…お母さんになんて言えば、いいのかな」
一筋だけ、私の頬に涙が一筋落ちた。

———

「ハァ…また虐められてたから助けたのに。何で彼女は泣くのかな〜」
木上で座っている猫のようなモチーフの服装で尻尾や猫耳が付いた男はそう言った。
彼が見つめているのは、少し大きいフルーツバスケットを持った彼女。
いつも虐められ、嫌われて、それでも頑張り屋。
そんな彼女をいつも彼は見ていた。
そんな彼は気配に気付き、拳銃を構えだす。
「誰かな、今忙しいんだけど?」
「—— 忙しいと言っても彼女を守っている事はどう言う事だ? チャシャ猫?」
ライフル銃を持ち、拳銃を構えている彼に対しそう違う彼は言った。
「なぁんだ、帽子屋さんじゃないか〜」
チャシャ猫と呼ばれた男は少しニッと笑う。
帽子屋と呼ばれた男は真剣な眼差しでチャシャ猫と呼ばれた男を見る。
「…チャシャ猫、最近おかしいと思ったが—— あんな小さな女を何故守っている?」
「…何々? もしかして帽子屋さん—— 俺に嫉妬?」
「オイ、それ以上言ったら尻尾ひきちg「ああああああああっ!! ごめんなさい!! 嘘嘘、冗談冗談!!」…ならいい」
ふぅ、とチャシャ猫と呼ばれた男は疲れたため息をする。
「悪かったよ、帽子屋さん。だから、そのライフル銃しまってくれない?」
「…理由を話してくれたらな」
「話す、話すからしまってよ」
「……」
スッと帽子屋と呼ばれた男はライフル銃を入れるケースにしまう。
チャシャ猫と呼ばれた男は少し安心したため息をした。
「で、チャシャ猫。さっきも言ったが…何故あんな小さな女を守るんだ?」
「う〜ん…。俺も良く分らないけれど、彼女—— 俺らの世界の余所者に適合するんじゃないかと思って?」
「余所者…。フン、なるほどな」
帽子屋と呼ばれた男は少し納得した様子だ。
「確かに最近、住人達がまた悩みが多くなっているからな」
「うんうん、そう言うこと。ちなみに彼女…なんだっけ…16年前の『赤ずきんちゃん』に似ているからさ」
「—— ! …何処が似ているって言うんだ。あんな明るい『赤ずきん』とあの小さな女と」
ニコッとチャシャ猫と呼ばれた男は、帽子屋と呼ばれた男に笑った。

「え? だって彼女も『赤ずきんちゃん』も—— 頑張り屋で優しいじゃん?」

ワンダーランドの住人は、今日も何処かで待っている。


悩みがあれば解決して欲しい。


だから、君を求めているんだ。


今回は、そう。


君を求めているんだよ——『白ずきんちゃん』。


君は優しくて努力家で、『赤ずきんちゃん』みたいに笑顔が綺麗で…。


だからこそ、ワンダーランドの住人は君を待っているんだ。


この世界は君を求めていない。


なら、俺達が君を求めよう。


君は俺達にとって必要なんだ。


それ位それ位、君を待っている。


そして俺は—— 君の事が好きなんだろうね。


前の公爵夫人のように、君は優しいから。


だから、君を失いたくないから君の邪魔者は—— 皆消してあげる。


君は笑って欲しい、泣かないで。


だからこそ、俺やワンダーランドの住人は。


「—— さぁ、始めようね白ずきんちゃん。君の事をワンダーランドは求めているから」


君を守りたくて、君をもっと知りたくて。


愛しいほどに、君を—— 待って求めているから。



        第1話「始まり」

Re: 白ずきんちゃんと。〜ワンダ ( No.3 )
日時: 2011/06/13 17:11
名前: 龍宮ココロ (ID: kDmOxrMt)
参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/

お母さんは優しくて温かくて、私はいつも尊敬している。


——“「君は、生きててもいいのって思っているのに?」”——


頑張ってやる分、皆が認めてくれるって私も信じている。


——“「君の可哀想な姿は、俺は見ていられないよ」”——


たとえこの髪が原因でも、私が原因でも分る人は絶対いる。


——“「突き飛ばされて、絶望の淵にいたとしても誰も助けてくれないよ」”——


泣かないで我慢して、でも最近は凄く泣きたい。


——“「我慢しないで? 大丈夫、俺がいるから」”——


受け止めてくれない、一緒に笑えない。


——“「なら、俺が君をいつでも笑顔にしてあげる」”——


私は…一人ぼっちなのかな。


——“「いいや、君は一人じゃないさ」”——


———

ハッと私は目が覚めた。
どうやらもう朝のようで、カーテンの隙間から光の線が私の部屋を起こすように入っていた。
少し私は汗をかいていたらしく、ちょっとパジャマがぬれていた。
「あの声は…誰の声?」
夢に出てきた私の本当の声と重なって、聞こえた水のように透き通るあの声。
まるで水の底にいた私に手を差し伸べていたような声だった。
「でも、聞いたことの無い声だなぁ…」
誰だったんだろうか、あの声の主は。
でも、いつも見ている夢よりも何だか—— お母さんのように優しくて。
少しそう感傷に浸った後、私はいつもの通りの現実に戻って行った。

———

「おはよう、お母さん」
そう私が言うと、キッチンで朝食を作っている私のお母さんは私の声に反応していつも通りの綺麗な顔立ちでにっこり笑った。
「あら、おはようハクちゃん。今日は少し遅く起きたわね」
「あれ、そうなの?」
「そうよ〜、いつもなら5分前に起きるのに珍しいわね」
「フフフ」と綺麗な微笑で私の事で少し笑った。
私のお母さんの名前は「赤島朱音」。
お母さんは16年前までその綺麗な顔立ちと今は被っていないけど赤い頭巾を被っていて昔は『赤ずきんちゃん』と呼ばれていたらしい。
けど、私はお母さんの子供ながら背も低いし可愛くない。
時々、お母さんと私は似つかないからと思って自分が嫌いだったけれどお母さんがいつも言うあの言葉に励まされてきた。
「お母さん、今日の予定は?」
「うーん…そうねぇ…。今日から私ね、3日間仕事で出張なのよ」
「え、そうなの?」
少し辛そうな顔でお母さんは続けて言う。
「ごめんね、ハクちゃん。仕事が終わったらまた休みをもらえるから、ね?」
「うん、分った」
「よしよし、いい子ね」とお母さんはそう言って私の頭を撫でる。
その温もりが、私は大好きだ。
「はいはい、まずこれまでにして早く朝食を食べましょうね」
にっこりと綺麗な顔で私に言った。

———

お母さんが家を出た後、私は近くの森で毎朝日課にしている動物たちへの餌やりをしに行っていた。
この時間が一番楽しくて、小さい頃から動物といつも触れ合っていた。
森の山道ではいつも、風の優しい流れに乗せて鳥の声や小さな川の音が響く。
その響きに合わせて、木が少し揺れて木陰をいろんな形に形作っていた。
そんな森の中、いつも動物たちが集まる場所に行くと動物たちがこちらに気付いて待っていた。
「はいはい、あげるね」
この時間がとっても貴重で、とっても和む。
こんな時間が続けばいいなと私はそう思うけれども—— 現実に引き戻される。
そう思っていた瞬間。

「やっぱり、ここにいるんだね毎朝。—— 『白ずきんちゃん』」
「—— !!」

後ろから声がしたので振り返ったが—— 誰もいない。
「…あれ? さっき…声が」
「—— うん、言ったよ俺が」
「—— キャッ!!」
反対に振り返るとすぐに近くに顔があってビックリして私は尻餅をついた。
「だ…—— 誰?」
「あ〜…ごめんね、驚かせちゃったね白ずきんちゃん」
「アハハハ…」と声の主の彼は苦笑した。
そしてから「立てる?」と手を差し出すため恐る恐る手を伸ばすとグイッと立たせてもらった。
「俺さ、悪戯大好きだから本当にごめんね? あ、俺は通称『チャシャ猫』って呼ばれている「猫色メトロ」って言うから」
「チャシャ…猫…」
今見れば確かに服装のデザインやらまったくのチャシャ猫。
だけども、とても綺麗な顔立ち。
「うん。そして俺は君を知っているよ—— 嫌われていることも」
「—— !!」
「言わないで」と言う強い言葉が心に浮かんだ。
それでも、彼は止めない。
「昨日も君の事を侮辱していたよねあの二人。白ずきんちゃんの事を侮辱するなんて本当にイラッとするね」
私は聞いている内にドンドンと—— 怒りが上がる。
「だから、彼女達に少し痛めつけて—— !」
彼の言葉を遮るように、パァァァッンと鳴り響く。
そう、私は珍しく—— 人の頬を叩いた。
私の息は少し上がっていた。
「…最低。初めてあった人に対して知った振りして言わないでよ! 貴方、しかもいつも私の危険が来ると相手に傷を付けるでしょう! 止めてよ、じゃないと——」
「じゃあ、彼女達は君に振り向くと思っているの?」
「っ——」
ピシャリとひんやりした鋭い言葉が突き刺さった。
叩かれた彼、メトロは真剣な眼差しで私を見るため私はすぐに目を逸らしてしまう。
「…私はっ、ただ頑張りが」
「それで振り向いてくれる? いつも馬鹿にされていて泣いているじゃないか—— 君は」
「……」
返す言葉が無い、いや返せない。
彼の言うとおり、私は馬鹿にされている。
「…俺は君が泣いているから助けているんだ、君は優しいからとっても。だけど、俺の行動は君の心を深く傷つけたね」
「ごめんね」と苦笑した顔で彼は言った。
その言葉に私は涙が溢れる。
だけど耐え切る、泣く姿は滑稽だから。
「…貴方は私に会ってどうしたいの?」
「あ、やっぱりバレてたか」
少し苦笑して彼はヘラッとする。
「こんなことを話す為に来たんじゃなかったな、本当は—— 君に“ワンダーランド”の余所者になってほしかったんだ」
「どう言う…事?」
「余所者って何?」と心の奥底が響いていく。
少し動揺している私を見て彼は言った。

「君は優しく頑張り屋、だからこそ—— “ワンダーランド”の住人たちの悩みを聞いて欲しいから君を連れて行こうと思ったんだ」



            第2話「チャシャ猫」

Re: 白ずきんちゃんと。〜ワンダ ( No.4 )
日時: 2011/06/12 19:08
名前: 龍宮ココロ (ID: N/zMPjaj)
参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/

「—— うっ…」
私は重い体を動かす。
頭がぼんやりしている。
ぼんやりして少し経った後、キョロキョロと周りを見ると…。

「…あれ、ここは—— 何処?」

見た事無い部屋のベットに座っていました。
さっきまで、確か森の中にいたはずなのにいつの間にかベットにいる。
「あれ…、さっきまで確か…。メトロって言う男がいて…その男が…」
だんだんと順序に思い出していく。
すると私は全部思い出した。
「あっ!! そう言えば!」

——回想——

「私…が、貴方の言う“ワンダーランド”に?」
私は彼の言葉にさらに動揺する。
その姿を見てもヘラッとまた笑うメトロ。
「そう、白ずきんちゃん。君は優しくて頑張り屋、だからこそ必要なんだ」
「必…要? それは、どういう意味?」
訳が分らない、彼が言っている事は。
私は確かに優しくて頑張り屋って言う所は認めるけれども、彼の言う事に—— つじつまが合わないまま思考が停止している。
「だから、君のその性格そのものをこの世界が否定をするなら—— 俺達は君を欲している。まぁ、これでも分んないか。う〜ん…なんて言うのかな…。まぁ、簡単に言えば、“ワンダーランド”に行ってそこに住んでいる住人達の悩みを聞けばいいって事かな? お分かり?」
全然意味がまったく分らなくなっていますけど…。
彼は少し私の様子を見て「…あれ? 分らないの?」みたいな顔をする。
それはそうだ、何せ私は—— 嫌われている祟りの子。
なのにこの人は初対面でヘラッとしていて行き成り「連れて行くから」とか言って本当に何なのか分らなくなる。
「う〜ん…少し困ったな〜…」
少し悩んだ仕草をした後、何かを閃いた顔を彼はする。
「いい事思いついた!」
「—— キャ!?」
急に彼にお姫様抱っこをされた。
ビックリして私は暴れる。
「な、何!? 行き成り…何!?」
暴れる私の腕が彼の頬にガツンと当たって少し彼は半泣きをする。
「痛! あまり動かないでよ、白ずきんちゃん! 大丈夫だから、ね?」
「何が“ね?”よ!! 説明してよ!」
「え、めんどくさいよ〜。俺チャシャ猫だし」
この時だけ『チャシャ猫』って言って逃げる彼に私は少しイラついた。
そんなことも気にせず、彼は私をお姫様抱っこをして歩き始める。
「え、ちょっと…何処に——」
「何処にって—— “ワンダーランド”に行く穴に」
「—— へ!?」
穴と聞いて声が裏返ってしまう私。
思いっきり童話にある「不思議の国のアリス」のままだから。
「ちょっと、まさか…穴に落ちるの!?」
「あれ? 分るのこの流れ? —— そう、正解だよ白ずきんちゃん」
ニコッと彼が笑った瞬間、フワッと一瞬無重力になる。
私は何かに察して青くなる。
「まさか…」
「そう、そのまさか」
私と彼は穴の中へと落ちた。

——回想終了——

「ハァ…最悪…」
思い出しただけで、少し気持ち悪くなる。
「それよりも…メトロは?」
見渡しても彼の姿は無い。
ただあるとすれば扉がある。
「…よく分らないけど、開けてみよう」
ベットから立ち歩いて扉のドアノブを引くと開いて—— 明るい光が漏れた。



           第3話「穴」


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