複雑・ファジー小説
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- 空を見上げて見えた物は・・・
- 日時: 2011/08/24 21:21
- 名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: ueXHoJNS)
- 参照: 元、「かりん」です
もう一作書いていましたが削除依頼を出しました。
一応短編にする予定です(長編になるかもしれないけど……)
ルール
カキコのルールを守れる方はどうぞ。
登場キャラ
秋野 美香
人との交流を嫌がる。
狭山 恵美
美香の幼馴染。
渡邉 由美
落ち着いていて冷静。
野口 腱
ぼんやりしている天然。
主なキャラは以上です。
目次
プロローグ>>1
第一話〜心を閉ざした少女〜>>2
第二話〜理由〜>>3
第三話〜地図の見方〜>>4
幸せな家庭>>5
第四話〜知ってはいけない過去〜>>8
番外編〜友達って何だろう。登場キャラに聞きました〜>>9
第五話〜家での美香〜>>12
第六話〜暖かさ〜>>15
- Re: 空を見上げて見えた物は・・・ ( No.15 )
- 日時: 2011/08/24 20:20
- 名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: ueXHoJNS)
第6話〜暖かさ〜
いつもはにぎやかな夕食の時間。
その日は静かに終った。
「美香ちゃん」
不意に祖母が話しかける。
「え……?な、何?おばあちゃん」
いきなりの事に驚き、一瞬美香は戸惑った。
「先にお風呂入りね」
「うん……」
いつもと様子が違う。
確信はないが美香は何故かそう思った。
ガララ……
ドアを開けるとともに、暖かい湯気が襲い掛かる。
「なんか……変だな……おばあちゃん……」
美香は髪の毛を洗いながらつぶやく。
何処となくぎこちない……前まではこんな事なかったはずなのに……
美香はうつむき、ため息をつく。
「痛……!」
目に泡が入る。
「……そういえば、お母さんにいつも言われてたな……シャンプーする時うつむいちゃいけないって……」
そうつぶやく美香の目には、優しかった母、奈保子の姿が浮かぶ。
「あの時はシャンプー……嫌だったな……」
美香の頭の中には、母に抑えられながらシャンプーをされる自分の姿があった。
〜回想〜
「お母さん。早く出たいよ〜」
美香が母親につぶやく。
母親は、にこりと笑いながら言う。
「だ〜め。女の子にとって髪の毛は命なんだから」
「命?」
「そう。命。髪の毛が綺麗じゃない子は、怖い目にあうんだよ?」
にこりと微笑みながら髪の毛を洗う、母の姿。
「コワイのヤダ……ちゃんと綺麗にする」
美香の可愛い決意。
その様子を見て微笑む母。
何もかもが普通だった。
〜〜
「お母さん……」
そんな事を思い出し、涙が頬を伝う。
いや、水滴かもしれない。
泣いてる事に気づいた美香は、水を頭からかぶった。
「やっぱり……冷たい……」
そんな事をつぶやく美香の表情は何処となく寂しげだった。
「美香ちゃん〜?デザートできたよ〜?」
祖母の声が聞こえる。
美香は、慌てて答える。
「は〜い。すぐ出る〜」
不思議と祖母に感じていた蟠りが抜けて気がする。
美香は、満面の笑みで答えられた。
祖母が作ったデザートは何処となく母のデザートに似ていた。
「おいしいかい?」
そういって訊ねる祖母の顔は母の顔にそっくりだった。
「うん……」
最後のほうは涙声になった。
「おやおや。どうしたんだい?」
優しく祖母が訊ねる。
「どうもしない……グス」
「ほら。泣くのはおよし。別嬪さんが台無しだよ?」
「うん……」
本当に優しく、美香を気遣ってくれる祖母。
いつか消えてしまうかもしれない恐怖に怯える美香。
この2人の溝は少し、埋まったのかもしれない。
第6話オワリ
- Re: 空を見上げて見えた物は・・・ ( No.16 )
- 日時: 2011/08/31 08:52
- 名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: ueXHoJNS)
第7話〜挨拶〜
学校へつく。
鍵を開ける。
窓を開ける。
すべて、やり終え、美香は窓際の席へ座る。
今は梅雨のはずだが、窓から流れ込んでくるのは夏の涼しい風だった。
「やっぱり朝の風は涼しい……」
美香は、手元にある本を開く。
カバーを付けてあるので、中身はわからないが。
そんな中、
「おっはよ〜。美香」
恵美が教室へ飛び込む。
そして、美香のそばまで走りよる。
「何……?」
恵美に問いかける。
恵美は溜息をつき、恵美に答える。
「挨拶しに決まってんじゃん」
「さっきしたっでしょ?」
「美香に返してもらってない」
「はいはい……おはよ。これで向こう行ってよ?」
美香はめんどくさそうに挨拶を返す。
そんな様子を見て恵美は、仕方なく自分の席に戻る。
五分もすれば、ぞくぞくにクラスメートが、教室へ入ってきた。
「あ、恵美。おはよ」
由美が、恵美に言う。
恵美は笑顔で返す。
「おはよう〜」
みんなそれぞれ挨拶をする。たった1人、美香を除いて。
でも、恵美にとっては、挨拶を自分にだけでも返してくれたことは大きな進歩だとおもった。
第7話オワリ
- Re: 空を見上げて見えた物は・・・ ( No.17 )
- 日時: 2011/09/25 17:33
- 名前: ゆきりん (ID: mVHy..WT)
お久しぶりです!
美香ぁぁぁぁ!
泣くな、泣いてはいけない!
と、パソコンに向かって叫ぶゆきりんであった。
- Re: 空を見上げて見えた物は・・・ ( No.18 )
- 日時: 2012/01/28 15:37
- 名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: uMmok.3B)
- 参照: 更新遅れました
第8話〜小さな想像〜
「美香〜何読んでるの?」
何度となく話しかけてくる恵美という少女。
仲良くなりたい。
でも、居なくなってしまうかもしれない。
美香にとってそれが一番恐ろしかった。
母と父をいっぺんに失ったことは美香に深い傷跡を残し、彼女の本音を覆い隠してしまった。
「別に……何でもいいじゃない」
冷たく、自分の本音が見えなくなるほど美香は分厚い氷のような囲いを心に作った。
誰も立ち入らせない本音。
自分ですら見えない本音。
何度となく、美香は友達という存在を求めた。
だが、分厚い壁が邪魔をする。
「冷たいぞ〜」
仲良く話しかけてくれる恵美。
でも、そばにいたらいなくなってしまう。
そんな思い込みが少しずつ美香の心に宿っていた。
- Re: 空を見上げて見えた物は・・・ ( No.19 )
- 日時: 2012/01/31 18:24
- 名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: uMmok.3B)
- 参照: 更新遅れました
第9話〜悪夢〜
「お母さん……お父さん……?」
其処には変わり果てた両親の姿。
何度もゆする。
でも……周りの大人は首を振る。
「嘘……お母さん……お父さん!?」
何度声をかけても何度呼んでも、変わり果てた両親は、何も答えない。
「ほら、美香。ばあちゃんと暮らそう……な?」
優しく抱きしめてくれた祖母。
「いや!お母さん達と一緒にいる!」
「な、言うこと聞こう」
祖父が優しく声をかける。
「お母さん達は死んだんだから」
オカアサンハシンダンダカラ
オカアサンハシンダンダカラ
・
・
・
「いやあぁぁぁ!」
「っ!また……なの?」
忘れていた夢。いや、忘れようとしていた夢。
そして、何よりも苦痛な夢。
「何で……何で忘れさせてくれないの?何で……」
涙が頬を伝う。
「もう……忘れたいのに……」
最後は嗚咽によって消された。