複雑・ファジー小説
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- dis 3011 【1/12 新章追加】
- 日時: 2013/01/12 14:57
- 名前: 秋原かざや ◆FqvuKYl6F6 (ID: 76WtbC5A)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=5836
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投票結果については、このスレにある上記URLのリンク先になります。そちらをご覧ください。
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世界が終わりを告げる。
破滅が……滅びしかない、世界に人々は生きる術を失った。
それを変えるには、過去で過ちを正すしかない。
そう、彼らが世界の未来を握っている。
たとえ、まだ、その自覚がなくても。
「ええ、わかっています。これで17回目の死ですから」
「生きていくのに、必要ないものなんてない。あたしはそう思うよ」
「さて、ウィザードと呼ばれる所以を見せて差し上げようじゃないか」
「言っておくけど、これでも俺、男……なんだけど」
「私が全部責任を取ります! 元はといえば、私が悪いんですから……だから、生きてください!!」
「見つけた、ワタシ達の『マスター』を……」
彼らの手に握られた鍵(キー)は、新たな未来へと導くのか。
それとも、やはり破滅の未来なのか……。
未来を決めるのは、彼らだけ……。
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この小説は、SFです。
また、展開によっては、残虐的なシーンもある可能性があります。
それが苦手な方は、避けてください。
なお、この小説は同人誌にして、販売する可能性があります。
その場合は、こちらを全てロックした後、削除等する可能性がありますので、ご了承ください。
※現在、リクスレ(参照のURLにあります)にて、この小説のいろんな企画を行なっています。
興味がある方は、ぜひ、来てください。
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◆キャラクター紹介 >>5
<目次>
◆スタートライン >>1
◆彼らの日常 >>2
◆ヒールの靴音 >>3
◆名も無き楽園 >>4
◆ >>23
◆『ゲーム』と苺のショートケーキ >>24-25
◆現われたのは天使か悪魔か >>26
◆逃亡した先で >>33
◆闇の中で輝くレッドアイ >>34
◆ >>44
◆懐かしい香りともう一人の訪問者 >>45
◆小雪と仮面の男 >>59
◆僅かな綻び >>60
◆何処かにある楽園 >>63
◆開かれる聖櫃(アーク) >>65
◆めまぐるしい逃走劇 >>68-69
◆隠された真実 >>75
◆その頃…… >>87
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●お客様
旬さま
Lithicsさま
萌恵さま
白月さま
檜原武甲さま
柚子さま
葵さま
翡翠さま
遥さま
みうさま
リナさま
月読愛さま
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●鑑定してもらいました
初音カノンさま >>12
萌恵さま >>13
雨城 景一さま >>14
柚子さま >>28
翡翠さま >>31
卵黄さま >>61
楓さま >>74
舞雪さま >>76
つきつきさま >>77
羽月さま >>78
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◆現在の読者さま
(コードつきで記載します)
葵 ◆CTx8mbrkTAさま
旬 ◆Q6yanCao8sさま
檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDcさま
柚子 ◆Q0umhKZMOQさま
世移 ◆.fPW1cqTWQさま
リナ ◆0IKYNIug.Aさま
月読愛 ◆ZFr8u7Aj7Eさま
陽花 ◆tGjRPouzQwさま
小龍包(ザクロ) ◆lWYtn5MZ2kさま
上記以外の方は、コードがないか、該当のコメントがない(感想がない)方です。
ご了承ください。
読者さまの詳しい内容は、参照にあるスレをご確認ください。
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◆月読愛さまより、ヴォイス化してもらいました!
(>>23の冒頭部分になります)
>>66
- Re: dis 3011 ( No.1 )
- 日時: 2011/12/01 09:28
- 名前: 秋原かざや ◆FqvuKYl6F6 (ID: 76WtbC5A)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
◆スタートライン
---------------カツン。
波紋のように広がるように響くのは、高いヒールの音。
黒いエナメルの、高いヒールのついたブーツが、軽やかにアスファルトの上に着地していた。
黒のレギンス。機能性を重視した動きやすそうな、体にぴったりとフィットした、黒のワンピース。
そして、ふわりと落ちてきたのは、長く艶やかな黒髪。
地面を感じて、顔が上がる。
開かれた瞳は大きく、淡い桃色であった。
その唇が、嬉しそうに開かれる。
「ここが、3011……」
彼女は、物珍しそうに、辺りを見回した。
------なんて素晴らしい。
手を伸ばせば、すぐ届きそうな場所に。
いや、そこかしこに。
あふれている、『生』。
耳を澄まさなくても、分かるほどの『生』。
こんなにも、この街は、『生』にあふれている。
------ドクンッ!
聞こえてくる。
満ちあふれる『生』に打ち震えるかのように。
------ドクドクドクドク……!!
この胸の鼓動が早くなる。
まるでそう! 『生』に歓喜するかのように!
収まることを知らないようだ。
彼女は、そっと胸に手を当て、そして、歩み始めた。
------------------カツンカツン。
ヒールを鳴らして、歩き出す。
口元には、喜びに満ちた笑みを浮かべながら。
暗い路地だというのに、なんてこんなにも素晴らしいっ!!
スモッグで見づらい星を見て、彼女は笑いそうになった。
この向こうには、あふれんばかりの『生』が、確かにそこにある。
走り出しそうになる衝動を抑えながら、ゆっくりと光の先へ向かう。
そう、彼女は新たなスタートラインを踏み出そうとしていた。
----------そのときまでは。
バチンッ!!
体が弾けるような。
電撃が足の先から、頭のてっぺんまで突き抜ける。
同時に、地面に倒れる衝撃を、彼女は感じた。
-------油断した!!
そう思ったときには既に遅く。
視界が暗転するも、その意識はこれから起きることを入念に知らしめていた。
動かそうにも動かせない、両手。両足。
恐らく、彼女の死角から誰かがスタンガンらしきものを使ったのだろう。
「あうっ」
何かが覆いかぶさったかと思えば。
「ぐふっ」
頬や腹部に激痛が走る。
悲しかった。油断しなければ、こんなことにはならなかった。
こんなにも素晴らしい世界を前に、私は、こんなにも油断してしまった。
予備知識として得ていた、暗い路地に要注意というフレーズが頭に過ぎる。
けどもう、遅い。
最期に訪れたのは、凍てつくような胸の痛み。
私は忘れない。
忘れるものか。
私には、大事な使命があるのだ。
--------そう、この手で、『世界を救う』のだ。
所変わって、とあるアカデミー。
そこに学生が集っていた。
若い者も、老人もそこにはいた。そんな彼らが全て、学生であった。
肩まで届く髪を乱暴に、後ろになびかせる。
睫毛の長い、大きな瞳。
自分の手の中にあるスマートフォンで、今日の講義時間を確認しつつ。
「あれ? 誰か呼ばなかった?」
顔を上げた、その声は、やや高いものの確かに男のものだった。
「旬!! 遅刻するよ!!」
呼び止められて、旬はすぐにアカデミーの建物の中へ、次の講義へと向かう。
新たな時間。
新たな場所。
そして、彼らの物語が始まる。
3011年の栄華を誇る、巨大都市・東京で……。
- Re: dis 3011 ( No.2 )
- 日時: 2012/01/31 09:36
- 名前: 秋原かざや ◆FqvuKYl6F6 (ID: 76WtbC5A)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
◆彼らの日常
ホワイトボードに浮かぶのは、3Dで飛び出す架空のウインドウ。
そのウインドウ一つ一つに、今日の講義内容が表示されていた。
学生達は、それを見ながら、講義を受けている。
もちろん、手元にあるモバイルパソコンにも、同様の内容が表示されていた。
「そして、世界大戦を引き起こした世界恐慌が再び起きたのです。未曾有の状況に世界の誰もが絶望を感じました。また戦争が起きると……」
そこで講師でもあるリュートは、新たなウインドウを表示させた。
「しかし、世界を揺るがす戦争は起きませんでした。彼らが取った行動は、更なるビジネスを打ち出すこと。それを更に活性化させることで、世界的な恐慌を打破したのです」
と、リュートの指し示すポインターが、ある一文を浮かび上がらせる。
『シャイニング・シティ・プロジェクト』
「今、私達がこうして生きていられるのは、長年建築され続けている、国家的プロジェクトのお陰なのです。そのシティの中核を担う、最高のコンピュータ『マザー;00』を作ったのは……」
「はぁ……」
長い講義に旬は、思わずため息を零した。
リュートの作り出すプログラムは、どれも芸術品だ。
しかし、彼の講義はそれに及ばない。まあ、専門外といえばそれだけなのだが。
とはいっても、表向きの職業を失くしかねない講義内容は、どうにかならないものか。
「はぁ……」
今日、何度目かになるため息をしたところ。
「旬、この問い6をやって見せなさい」
嫌な問題を押し付けられてしまった。一瞥しただけで、答えは分かったが、それは俺のいるクラスよりも、もっと上位クラスのものじゃないかと疑ってしまうが。
「答えは……」
一応、正解を言っておく。ちょっと悔しそうなリュートに、思わず笑みを浮かべてしまう。
「……正解だ……。だが、その授業態度は直すように!」
「はーい」
「はいは短く!」
「はい」
早く終わればいいのに。旬は思う。そうすれば、今日もまたリュートと共に楽しい『ゲーム』が味わえるのだから。
それまでは、退屈な講義を……新たなプログラム作成時間に割り当てておこう。
旬にとって、それはいつもの日常だった。
退屈さと、それを凌ぐ『ゲーム』と。
そう、彼は気づいていない。
この日、過酷な運命が彼に近づいているとは……。
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