複雑・ファジー小説
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- 俺の妹はサイコキラー2(ロリコン注意、そしてコメを)
- 日時: 2013/08/16 16:48
- 名前: 阿厳 (ID: XgoiBkTS)
部屋。
ナチュラルブラウンの壁紙。ベージュのカーテン。素朴な安心感を与える空気。そして———その中に汚らしくぶちまけられた、人間の血と、肉の塊。
その、金臭い空気の中に一人立つ、彼岸花のように儚い美しさをたたえる、一人の少女。
年のころは、十歳前後だろうか。
艶やかな黒髪が、部屋の開け放たれたドアから漏れる光を反射する。
そして、少女が着ている真っ白なブラウスも、血液で真っ赤に染まっていた。
———二つの肉の塊は、『俺』と『妹』の母親だ。
———そして、殺したのは、『妹』だ。
「ごめんなさい・・・お兄ちゃん」
妹、愛理が涙のあとが残る顔をこちらに向け、涙声で弁解する。
「愛理、どうしても我慢できなかった」
その言葉は、当時の俺の心に残っている。
———茨のとげのように、刺さったまま離れない。
—————俺の妹は、サイコキラーだ。
- 下着 ( No.19 )
- 日時: 2013/08/15 16:29
- 名前: 下着 (ID: HrR8SCqg)
- 参照: http://www.swimwrists.info/
tシャツ 作成
- Re: 俺の妹はサイコキラー2(とりあえず読んでみろ、そしてコメを) ( No.20 )
- 日時: 2013/08/16 16:38
- 名前: 阿厳 (ID: XgoiBkTS)
「・・・スパイ?」
俺は、声を潜めつつ言った。
『うむ、スパイだ』
俺が持っている携帯からは、社長の声が聞こえてくる。
金谷さんや錦織さんの襲来以外はさして何も無かった今日、きっちり定時で上がらせていただいた俺は、自宅のリビングでくつろいでいた。
手持ち無沙汰ぎみにテレビのチャンネルを切り替えていると、社長から電話がかかってきた。という次第である
『だから、最初の任務として、君にこのスパイの鎮圧をお願いしたい』
「・・・なんだ、スパイってことは『組織』と同じような事やってる所があるってことかよ?」
『うむ。『企業』『組合』『株式会社』・・・大小あわせてその他もろもろといったところだ』
「・・・へぇ」
ま、人間考えることは皆同じってことだな
『とりあえず、職務中に空いた時間を見つけて、校内の探索をして欲しい、変な行動をしている生徒ないしは教師がいないか。ぐらいしか見ることは無いがね・・・ああ、安心しろ。『組織』も全力を挙げて捜査する。あくまで君の探索は付属品だ。『見つけて即殺』の可能性があるからな』
「りょーかい・・・そんで、それだけか?」
『ああ、メールで学校の地図を送っておく。探索の参考にしてくれたまえ』
「つーか、組織の重要な情報を小学校においておくってのに問題があるんじゃないのか・・・?多少はセキュリティがあるとはいえ、ほとんどザルだろ?」
『それは違う。リステアに限ってはそこらの刑務所よりセキュリティは高い。・・・それに、おそらくスパイは『組織』にも入り込んでいるだろうからな。つまりは外部からではない』
たしかに、あの学校にいる教師は全員殺し屋だ。ごく少数とはいえ生徒にもいるようだし、まずスパイは『組織』に入社するって言う危ない橋を渡らなきゃいけない。
つまり『組織の殺し屋』の中にいるってことだ。
「・・・ってことは、本社ビルも結構やばいんじゃないのか?」
『問題ない。本社にはペンタゴン並のセキュリティが施してある。入れたとしても、そこにある情報には触れることも出来んさ』
「・・・ほわっと?」
『だから、『ペンタゴン並のセキュリティ』だ』
「すげえなおい!!」
『今更だ・・・それじゃ切るぞ』
「・・・・おう」
ぷつっと通話が切れ、程なくしてデータが添付されたメールが送られてくる。
社長の言うとおり、そこには間取りと施設の場所が事細かに記されていた。
まず、H型の校舎。三階建てがある。
一階に視聴覚室、二階に図書室、三階にトレーニングルームとシャワー室と食堂。
小学校ながら部活動もやっているらしく、細かい字で部の名が記されている。・・・これがH型の左側の第一校舎だ。
右側の第二校舎については何も記されていない。
つまりは、秘密のお部屋ということだ。
・・・今の言葉で変なことを妄想したあなたには漏れなく妄想族の称号をプレゼントします。
俺はしばし黙考した。
そして
「よし、明日は図書室に行こう」
べつに鶴田先生に会いたいとかじゃない、多分。
- Re: 俺の妹はサイコキラー2(ロリコン注意、そしてコメを) ( No.21 )
- 日時: 2013/08/17 16:34
- 名前: 阿厳 (ID: XgoiBkTS)
誰にも聞かれてはいけない会話
『なるほど・・・ペンタゴン並みのセキュリティ、か・・・』
「ええ、よしんばプロテクトをといたとしてもプロテクトの向こう側にはファイヤウォールが二重、三重・・・・五重ぐらいですかね?それぐらいかけてあります。・・・トラップやバックアップを微塵も考えていない物量的なディフェンスシステムですが、一応「ペンタゴン並」の条件は満たしているかと」
『壊せるか?・・・なんならこちらからその筋のものをもう二、三人送り込むが』
「問題ありません。プロテクトがダメならファイヤウォールを食い荒らすだけです—————すでに消火用のシステムを作り始めているので」
『さすが、抜け目が無いな』
「あったらこの商売できませんから」
『まったくだ・・・それではな、健闘を祈る』
保健室
今日から白衣だ。
新品の白衣を身に着けつつ、これって化学の先生とかとキャラ被りしないんか?などと思っていたが、化学の先生は普通にジャージらしい。
何事も無く午前中が過ぎていき、昼食の時間になった。
「おお・・・給食カレー・・・久しぶりやナァ」
器にぞんざいによそわれたルーと白米をかきこむとスパイシーな風味が口の中に広がり思わず頬が緩む。
「これだよこれ・・・このいかにもッ給食ですって感じが・・・いィーねェ」
ガラッ
「・・・あなたってうんちくたれるの好きなんですのね」
あきれた顔をしつつ、金谷さんが保健室に入ってきた。その手にはカレーの器が乗っているトレイがもたれている。
「おわ、金谷さん。・・・藍離と錦織さんも」
無論、二人もトレイを持っている。
「やほー、おにいちゃんが孤独死してないか心配で見にきちゃったよ」
「・・・もとい、一緒にご飯を食べにきた」
俺はハムスターかなんかか
あれ、でも俺は藍離のことをセミ呼ばわりしてた気がする。まあいいや
「・・・たけ、たけ、喉乾いた。お茶頂戴」
「牛乳あるじゃ「「大ッ嫌い」
珍しく錦織さんが間髪いれずに答えた。
ほう牛乳がきらいとな・・・それでその胸とは恐れ入る。
「・・・それでその胸とは恐れ入る・・・」
「「口にぃ出てんじゃボケがァァァァァァあ!!!」」
「ほぐゥ!!」
藍離と金谷さんに股間蹴られた。
つーか、今グチャって音したんですけど大丈夫かなマイジュニア
錦織さんのために入れたお茶をテーブルに置き、四人でテーブルを囲む。
ああそうだ、社長から言われた任務のことも話しておかないと。
俺は話を簡潔に三人に伝えた。
「スパイ、ですの・・・そりゃまた穏やかじゃありませんこと」
「・・・まあ、すぐ見つかるとは思うんだが」
「・・・私たちもなるべく協力する」
「ああ、助かる」
「三人寄れば文殊の知恵っていうしね!!」
「・・・四人ですの」
- Re: 俺の妹はサイコキラー2(ロリコン注意、そしてコメを) ( No.22 )
- 日時: 2013/08/20 15:45
- 名前: 阿厳 (ID: XgoiBkTS)
「うわーお・・・」
図書室に一歩足を踏み入れた俺は、その蔵書量に思わず目を見開いた。
昼食も滞りなく終わり、藍離たちも教室へ戻っていった後、俺は昨日から考えていたとおり図書室に足を運んだ。
だが、想像していたのとスケールが違った。
俺の中の常識では、図書室とは教室を二つ並べた程度の広さの部屋に申し訳程度に小さい本棚が並んでいるだけの空間だったと思う。
だが、今俺がいる図書室は体育館程度の部屋に、せいたかのっぽの本棚がずらりと並んでいる。
その本棚の中には、隅から隅までぎっしりと本が詰まっている。
「『図書室』じゃなくて『図書館』のほうがしっくりくるな・・・これは・・・」
まだ給食が終わった直後とあって人影は少なく、くせっ毛の女の子がカウンターで貸し出し申請をしているのみだ。
女の子の貸し出し申請が終わるのを見計らって、俺はカウンターにいる人物に声をかけた。
「どうも、鶴田先生」
「あ・・・佐上先生。なにか、御用ですか?」
「ああいえ、ちょっと気になったんですよ・・・教師でも図書室で本が借りられるのかなと・・・」
怪訝そうな目を向けられたので、とっさに嘘をつく。
「何だ・・・そんなことですか。はい、大丈夫ですよ。基本的に貸し出しは生徒も教師も区別しません」
「そうですか」
「借りられるのであれば、カードお作りしますけど?」
「いえ・・・それはまた後日ということで・・・ん?」
俺は、目の前にいる鶴田先生のほっぺになにやら白いものがくっついているのを見つけた。
「・・・?どうかなされました?」
「いえ、なんでもないですとりあえずそのまま動かないでください」
俺は迅速かつ的確にほっぺにくついていたご飯粒を回収する。
「あ・・・」
「・・・はは、ご飯粒ついてましたよ」
俺がそう言うと、鶴田先生がわずかに顔を赤面させる。
可愛いなぁ
・・・それはそうとこのご飯粒どうしよう?
このまま捨てるのもなんか忍びないというか・・・
・・・いいや、食っちゃお
「ッ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」
俺がご飯粒を口に入れると、鶴田先生の顔が「ちょっとした赤面」から
「完璧な赤面」と変貌する。
・・・どうしたんだろう
「さ、さがみしぇ・・・・・はうぅ・・・・・」
眼鏡の内側の眼がぐるぐる回ってる。
しかも何か小声でぶつぶつ言ってらっしゃるんだが?
「た、食べられちゃったよぉ・・・食べられちゃったよぉ・・・どうしよう今から婚姻届取りにいくの間に合うかなぁ・・」
どうしよう、俺のあずかり知らぬところでとてつもなく事態が進行しているような気がする。
というか米粒一つで婚姻届けて。
てかもしかして鶴田先生ってテンぱりやすい・・・?
「・・・せ・・・責任とってくだしゃーーーーーい!!!」
そういい残して図書室から脱兎のごとく逃げ出していく鶴田先生。
いや、責任とって欲しいのはこっちのほうなんですけどね。
だって——————
「あらあら、スパイ捜索としたり顔でぬかしておきながら実態は気にいった女性にマーキングですの?いい身分ですわね・・・」
ゴリィッと俺の後頭部に金ぴかの拳銃が押し付けられる。趣味悪いなァと思ったが言ったら殺られる。
「・・・この際徹底的に教育————いや『調教』すべき」
すうっと俺の喉元に日本刀が押し当てられる。
かみそりの切れ味に鉈の重量のキャッチコピーにたがわないその触感は俺に死しか予感させてくれない。
そして
「ねえねえお兄ちゃん・・・ごー★とぅ★へる★」
「あっ・・・!!三人ともちょっと待ってその間接はそっちには曲がらなッ・・・・・・・・・・・・・!!!」
ぎゃああああああああああああああああ・・・・・
その日、図書室から響いた悲鳴はリステアの七不思議になったとさ・・
・・・あー体中いてェ
- Re: 俺の妹はサイコキラー2(ロリコン注意、そしてコメを) ( No.23 )
- 日時: 2013/08/24 15:33
- 名前: 阿厳 (ID: XgoiBkTS)
「エラー」その一言が蜻蛉の複眼のように多々寄せ集められたパソコンのディスプレイに表示される
「おかしいなァ・・・」
『鬼蜻蛉』は苛立っていた。『消火用』のシステムが発動しないのだ。
「・・・気取られるはずはない・・・確実に、確実に成功するはずのシステムだ・・・・パターンを変えれば・・・」
だが、それでも結果は同じだった、やはりエラー警告が出され消火用のシステムが発動する前にデリートされる。
「なんでだ・・・・なんでだァ!!!!!!」
ばァん!!!と苛立ち紛れに手近のパソコンのディスプレイを拳で叩くが、それは己の拳を痛めるだけの結果に終わる。
彼のくみ上げたシステムは、ファイヤウォールとまったく同じシステムを組み込ませた爆弾を進入させ内側から消火するというものだった。
ようは、ホースを持たせた火だるまの人間を火災現場に突入させ、内側から消火させるようなものだ。
まあ、実際はそのような状態になった人間が火災現場に突入するはずがないのだが。
だが、このシステムは、彼がそこそこの時間をかけて作り上げた至高といってもいいシステムだ。
『鬼蜻蛉』は、それがあっさりとブロックされたとは認めたくなかった。
「まだだ・・・まだパターンはある・・・その中のどれかに必ず正解があるはずだ・・・」
カチカチカチ・・・・・ディスプレイだらけの部屋にキーボードの音が響いていく・・・・・
『組織』本社ビルにて
「うわ〜・・・しつこいですね。私、この方が男性だったら絶対お付き合いしたくないタイプです・・・」
組織の情報中枢処理機関—————通称「マザー」にノートパソコンを接続している鶴田弓美は辟易したようにそういった
二十メートルほどの円錐状のポッドにケーブルを接続している彼女は、いまこの瞬感にもキーボードをタイプし続けている。
「微細にパターンを変えてきているな・・・対応しきれるか?」
同席している社長はディスプレイを見つつそう言う。
「問題ないですよ。・・・頭に血が上りやすいタイプなんですかね、ムキになって随分とこちらの予測範囲内で動いてくれます」
鶴田は、現在相手の送ってくるハッキングウイルスパターンにあわせてファイヤウォールの質を変えている。
武道の試合にたとえれば、相手の出してくる攻撃を予測し、それが出される前に技をつぶすようなものだ。
「この機関ハッキングしたかったら私をまずどけないと・・・ですね」
また相手が微細にパターンを変えてハッキングしてきたが、それも鶴田の予測範囲内だったのであっさりつぶされる。
まあ、蔵書数数万冊という図書室の貸し出し情報の管理をやっている腕は伊達ではないということだろう。
「・・・この状態を維持できれば、いずれは・・・」
「ええ、尻尾をつかめます」
相手は器用にパソコンのIDもかえてきている。おそらく尋常な量ではないパソコンを持っているのだろう。
だが、それも時間の問題だ。何台もパソコンを持っているのならそれが尽きるまで相手の攻撃をつぶすまでだ。
「さて・・・もはや逃げ場はなくなったが、どうするのかな?スパイ君?」
社長は勝利を確信したように唇を吊り上げた。