複雑・ファジー小説

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俺の妹はサイコキラー2(ロリコン注意、そしてコメを)
日時: 2013/08/16 16:48
名前: 阿厳 (ID: XgoiBkTS)

部屋。

ナチュラルブラウンの壁紙。ベージュのカーテン。素朴な安心感を与える空気。そして———その中に汚らしくぶちまけられた、人間の血と、肉の塊。

その、金臭い空気の中に一人立つ、彼岸花のように儚い美しさをたたえる、一人の少女。
年のころは、十歳前後だろうか。
艶やかな黒髪が、部屋の開け放たれたドアから漏れる光を反射する。
そして、少女が着ている真っ白なブラウスも、血液で真っ赤に染まっていた。

———二つの肉の塊は、『俺』と『妹』の母親だ。
———そして、殺したのは、『妹』だ。

「ごめんなさい・・・お兄ちゃん」
妹、愛理が涙のあとが残る顔をこちらに向け、涙声で弁解する。

「愛理、どうしても我慢できなかった」

その言葉は、当時の俺の心に残っている。
———茨のとげのように、刺さったまま離れない。



—————俺の妹は、サイコキラーだ。

Re: 俺の妹はサイコキラー(書き直し) ( No.9 )
日時: 2013/07/28 14:20
名前: 阿厳 (ID: KspNLL5O)

壁にぶつかった。
と、オルテガの頭が認識したとたんにすさまじい衝撃とともに肺の中の空気がすべて吐き出される。
メキメキッ!!と背骨が悲鳴を上げる。
ずるずる・・・とオルテガは磔(はりつけ)にされていた壁からずり落ちた。

「軽いなァ・・・ちゃんとご飯たべてる?」
そして、オルテガを投げ飛ばした張本人が気遣うような声を発した。
ここで追記しておくが、オルテガは決して軽いほうではない。
殺すために培われた筋肉のせいで普通の女性の平均より2・3キロ思いぐらいである。つまり、そのオルテガをまるで野球ボールを投げるぐらいの気軽さで投げた男のほうが異常なのだ。

(これが・・・兄貴のほう・・・)
目の前にいたのは、何の変哲もない至って標準の居住まいをした青年であった。
だが、今この場においては『普通』こそが『異質』なのだ。
オルテガは冷や汗が止まらない。

目の前にいる————佐上岳人という男の絶対的なまでの殺人衝動に震えと冷や汗が止まらない。
青年の体からはあくまでも黒くクロく玄く性的衝動にも似たオーラが漂っている

「ひっ・・・・・・ぁ・・・・・・」
涙がこぼれる
さらに、オルテガの股を生暖かい感触が襲う。
オルテガは、失禁していた。

「いィーねェ」

その言葉が終わるとともに、岳人はオルテガの首根っこを引っつかみ壁に押し付ける。
「垂れ流しているものが涙にしろ唾液にしろ糞尿にしろ———女性が何かを垂れ流しているのは、随分と俺の嗜虐心を刺激するんだよな」
涙でぐちゃぐちゃになったオルテガの顔を見て、岳人は心底気持ちよくて仕方ないという———恍惚の表情をして見せた。

『・・・終わったかい?』

不意に、オルテガのスマートフォンから声が発される。
『社長』だ。

すると、兄の遊びをずっとニヤニヤ観賞していた妹が無造作に手を振った。
すると、兄妹の位置からはだいぶ遠くにあったスマートフォンに何かが巻きついたような音がする。
そして妹が引き戻すような動作をすると、何かが巻き戻る音とともにスマートフォンは妹の手に収まっていた。
種明かしをしてしまえば、単なるワイヤーをライター状のケースに収め
巻き戻しをボタン一個で出来るようにしてあるだけなのだが。

「まだ終わってませんよー・・・今はおにいちゃんが、褐色姉ちゃんで遊んでるところです」

「?」

瞬間、オルテガの頭の中を、クエスチョンマークが埋め尽くす。

なんで、ターゲットがあんなに親しげに『社長』と会話をしているのだ?

『まあ・・・入社試験に「遊ぶな」と記述はされてないがね・・・』

スピーカーホンで拡大されたその音声は、ほとんど物理的な力を持ってオルテガの脳髄を叩いた。

Re: 俺の妹はサイコキラー(書き直し) ( No.10 )
日時: 2013/07/28 17:25
名前: 阿厳 (ID: KspNLL5O)

入社試験

その言葉が意味することは、「狩られるモノ」がオルテガと今は亡きニムバスであり「狩るモノ」がこの兄妹であるということ。

つまり、ターゲットはこの兄妹ではなく、自分たちであったということ。

「・・・・・・・は・・・・・・・?・・・・・・・・なに・・・・・・・それ・・・・」

ショック、などというものではない。
絶望、などというなまぬるいものではない。
ショックも絶望もこえた圧倒的な負の感情がオルテガの精神を食い尽くしていく。

げらり、と

目の前でオルテガの首根っこをつかんでいる岳人が笑いごえをあげた。
その笑い声はだんだんと大きくなり、果ては背後にいる妹にも伝染し、気が狂ってしまうほど息ぴったりのユニゾンでオルテガの聴覚を刺激する。

げら!
げらげら!!
げらげらげらげら!!!
げらげらげらげらげらげらげら!!!!
げらげらげらげらげらげらげらげらげら!!!!!!
げらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげらげら————

気づけば、オルテガも笑っていた。
笑い始めると同時に、オルテガは自分の精神の大事なところが壊れるのをたしかに感じた。

「——————————————!!!!!!!」






「・・・ありゃ、壊れちゃった?」
笑いつかれた兄妹が息継ぎをしている間にも笑い続けている褐色の少女を見て、藍離は呆れたようにポツリともらした。
「むーん・・・こうなっちゃいじめ甲斐もねえなぁ。藍離、ちゃっちゃと楽にさせてやったら」
そういって岳人は手を離す。
「ほーい」
ひゅん、と藍離は無造作に手を振る。
きらきらとこまかい糸がオルテガの首に巻きついてゆく。

「———!!——————!!!—————————!!!!」

死を目前にしてもなお、褐色の少女は笑い続けていた。
すでに喉は潰れていてもおかしくないのに、涙と絶望を超えた感情で顔をぐちゃぐちゃにしたまま、笑い続けていた。
それを見て藍離は哀れみを微笑にわずかににじませながら
「・・・おやすみ」
ひゅん、と糸を巻き戻した。

鮮やかな赤とともに、オルテガの首が宙を舞った。


『・・・いまから、データを添付したメールをそのスマートフォンに送る。そのデータを解凍すればその中に入っていたデータはフォーマットされる。その工程を持ってそれは君達のものになるわけだ————ああ、安心しろ。基本料や使用料は『組織』が負担する』
『ついでに君達のコードネームだが————オルテガとニムバスが使っていたものをそっくりそのまま献上させてもらうよ————『双鳩(ツガイバト)』よろしく頼むよ』

こうして、サイコキラーの兄妹は再始動した。

Re: 俺の妹はサイコキラー(書き直し) ( No.11 )
日時: 2013/07/30 15:04
名前: 阿厳 (ID: KspNLL5O)

よう。
佐上岳人だ。
唐突だが、俺は小学校の教師をやるらしい。

・・・・・・・・・俺は

wwwwwwバカwwなのかwwっをまえwwwwwwwwww
wwwwwwwwバカだろwwwwwお前wwwwwwwww
2ちゃん風に笑ってみた。

「って笑ってる場合じゃないだろうがクソボケェェェェェェェェェ!」

そして俺は目の前にそびえる摩天楼に絶叫した。
『組織』の本社ビルだ。

社長室

「・・・別に、取り立てて難しい仕事でもないだろう?猿並の知能しか持ってないガキどもの相手をしていればいいんだ。そんなに条件の悪い仕事ではないと思うがね?」
『社長』はその怜悧な瞳をすがめ、眼鏡をくいと押し上げる。
ちなみに、女性だ。電話口からは中性的な印象しか受けなかったが・・・・まあクールビューティとやらの部類に入るであろう美人だ。
「すべからく全国の小学生に謝れ。・・・・とにかく、俺は子供に勉強を教えられるほどオツムに自身はないし、なにより俺はまだ19歳だ」
「保健室だ。君が担当するのは保健室の養護教諭」


なん・・・・だと・・・・・・・!?


「・・・と思ったんだが、まあ。しょうがねえナ他に仕事がねーんなら
それでいいやというかそれでおねがいしまぶぎゅべら」
何か社長に硬質なファイル投げつけられた。しかも角が横づらにぐさりとクリーンヒット。痛い。社員への暴力も虐待になるのか?
「死ねロリコン。・・・一応我らが『組織』が多額のカネをかけて建てた私立校だ・・・まあ、実態は体のいい殺し屋養成学校だがね。大半はそのことに気づきすらしないで卒業していく。まあ何にせよなにか妙なことが私の耳にはいったらそれ相応の覚悟はしておけ」
とかいいつつ、がちゃがちゃとM19コンバットリボルバーの弾込めをしてらっしゃる。おお怖・・・・
「・・・問題ないですよ、俺がむらむらするのは妹だけですかうわぎゃひぃ!?」
ちゅいん!!と弾丸が俺の頭頂部を通過していった。禿げちゃう・・禿げちゃう!!!
「やはり貴様はここで死ね・・・」
額に青筋が浮かんだ般若のごとき形相で社長が撃鉄をおこす。
「すとーぷ!!リラックスオーケー!?」
この掛け声は我ながら謎だ・・・日本語しゃべれよ、俺。
つーかこの社長に俺と藍離がもうやることやってるって知られたらどうなるんだろ・・・・・・想像したくもねー
社長はため息をつき、M19を机の上においた。(核シェルターあたりに仕舞っておいて欲しい)

「君に投げつけたファイルに必要な情報はすべて入っている。・・・その内容をしっかりと吟味して、明日からの仕事に望んでくれ・・・以上だ」
「へーい」

俺は適当にあいづちをうって社長室を後にした。



<佐上兄妹についての記述>

『一年前、○○町で起きた連続殺人事件の犯人。
犯行がすべて露見した際には、武装警官十名あまりをすべて殺害(妹)
さらに精神に異常をきたした兄と殺し合いが勃発し、そのとばっちりでさらに三十名ほど死んでいる。

兄との殺し合いで植物状態になったと思われた妹だが、復活した警察病院にて医者看護婦をひっくるめて三名を殺害。
さらにそのとき病院にいた兄とともに逃走。

なお、兄妹の親族関係だが、母が一人。
その母も逃走した兄妹によって殺害されている。

事件の特異性により、一年で時効が成立した』



「飼えるか・・・?この兄妹」

にやり、と社長は唇をゆがめる。

Re: 俺の妹はサイコキラー2(コメ・・・コメをぜひに・・・・・) ( No.12 )
日時: 2013/07/30 16:32
名前: 阿厳 (ID: KspNLL5O)

・・・すいません、嘘つきました。

この話は前作とは別物、と明言しておきながらガッツリ前作とクロスオーバーさせちゃってますはい・・・・

>>1に前作のura貼っておきますので、ぜひコレを期に前作にも目を通していただけると光栄のきわみです

Re: 俺の妹はサイコキラー2(コメ・・・コメをぜひに・・・・・) ( No.13 )
日時: 2013/07/31 16:27
名前: 阿厳 (ID: XgoiBkTS)

「保健室の教師って・・・意外とやること無いんだな・・」
我が家のリビングにて、俺は明日から始まる養護教諭についての仕事内容をソファに寝転がりながら確認していた。ちなみに向かいのソファでは藍離が寝ている。
だが、思わず口に出してしまうほど、やることが無い。
たしか、内服薬を飲ませちゃいけない、ぐらいしか注意することはなかったと思う。
消毒して、絆創膏を張るぐらいは俺にもできるし、それで間に合わないような怪我を生徒がしたら救急車をよべばいい。
あとは包帯の巻き方ぐらいか。これは後で個人的に調べればどうとでもなる。
端的に言ってしまえば、楽だ。
社長から投げつけられたファイルの中に偽造された教員免許も入っていた(なんでも、養護教諭をやるには教員免許のみで大丈夫らしい。他にも保健士やら看護士の免許もとっといて損は無いが実質的に必要なのは教員免許だけだとか)
「・・・あれだな、どっかの大学の教育学部の生徒が今の俺を見たら激怒するわな」
試験も面接もなしフリーパスとかチートにも程がある。
あとは通勤のパイプぐらいだがファイルには学校に向かうために乗るべき電車の路線と時間も明記されていたので、最後の問題もコレでパスだ


・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・やることねー
うわあどうしよう猛烈に向かいで安らかに寝ている藍離がむかついてきたんですけど。(ちなみに藍離も俺の赴任する小学校に通う事になっている)

「・・お・・にいちゃ・・ん」
お、寝言か。
「・・・ロリコン・・・シスコン・・・・ペドフェリア・・・・反社会性人格障害・・・・ショタコン・・・犯罪者・・・・お巡りさんこの人です・・・」
ピキッ
・・・頭のどこかで妙な音がしたが気にしちゃいけない。
そう、俺はお兄ちゃんなのであって、妹のこの程度の安い挑発に乗ってはいけないのだ。

「妹にしか興奮しない・・・・・・超絶変態鬼畜野郎」
犯してやろうかこのクソガキ
というか犯す

誰にも聞かれてはいけない会話

『ふむ、明日から新しい教師が赴任すると』
「ええ、おそらく『組織』の新しい殺し屋でしょう。前任は、私が始末してしまいましたので」
『まだ一人か。随分スローペースだな『鬼蜻蛉(オニヤンマ)』もう2・3人は始末していると思っていたぞ』
「それがですね・・・あの学校の教師、全員殺し屋らしく・・・しかもかなりの手練でして」
『・・・ふん、『社長』のやりそうなことだ、設備の充実した私立校を装っておきながら、実質的には体のいい殺し屋養成学校といったところだろう・・・反吐が出る』
「まったくです」
『まあいい、君はそのまま諜報活動を続けたまえ。誰かに目撃されたら始末しろ。たとえそれが生徒でもな・・・『企業』のためにも、頑張ってくれたまえよ』
「わかりました『株主』」




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