複雑・ファジー小説

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Vivo 
日時: 2015/02/19 11:40
名前: 極秘事項 (ID: fd9gqfc4)

一匹の少女と二つの派閥を巡る小さな戦い。


/新着情報

 最終話の更新
 完結しました!ありがとうございました。

/こんにちは、極秘事項と申します。クリックありがとうございます。
 普段は他の名前で同人関連で活動していますが、
 ベースとしてる話の事情で本当の名前を晒すことが出来ないのです。
 ごめんなさい。
 楽しんでいただければと思います。

オリキャラ募集は終了しました。
ご協力ありがとうございました!


Re: Vivo オリキャラ募集中です。 ( No.12 )
日時: 2015/01/31 22:01
名前: ジャケット ◆0aJjOCuu3Y (ID: 3w9Tjbf7)

    オリキャラ募集用紙    

名前【  A・モネ 】
性別【女】
大人か子供か【大人】
性格【口数が少ないが穏やかで優しい。ミステリアスな雰囲気の女性。頭の回転が早く料理が得意。読書と紅茶が好き。】
容姿【長いストレートの茶色い髪 青い目 黒縁のメガネをかけている 赤色のニットトップスにスキニーパンツを着ているスタイルのいい綺麗なお姉さん】
どのような立場であるのか【コロッセオ側でない集団】
持っている武器・能力【スナイパーライフルと銃、爆弾。千里眼で遥か遠くを見渡せたり人の心が読めたりする】
その他【元々フォックスに所属していた優秀な部下だったが、フォックスのやり方に嫌気が差し半ば逃げるような形で脱退する。内職をしながら追手から身を隠して暮らしている】
サンプルボイス「モネよ。よろしく。」
       「......優しい心ね それを大切にね」
       「もう、二度戻らない」

初めまして とても気になるので書いてみました
よかったら使ってください

Re: Vivo オリキャラ募集中です。 ( No.13 )
日時: 2015/02/01 20:47
名前: 極秘事項 (ID: QT5fUcT9)



>>012 ジャケットさん
ありがとうございます!
知的な女性って感じのキャラですね。
採用させていただきます〜。
気になってくださったなんて……とてもありがたいです。
これからも更新頑張ります。

Re: Vivo オリキャラ募集中です。 ( No.14 )
日時: 2015/02/01 23:32
名前: 極秘事項 (ID: QT5fUcT9)


第九話 オウム


弓矢の練習は夜まで続いた。
ヨツバやタイガーが多くの事を教えてくれたおかげで、私は弓矢を一晩でマスターすることができた……らしい。
夜になると、風が強くなったので、みんなで馬車小屋で保存食となっている干した肉等を食べることにした。


「意外とこういうのって美味しいんですね。」

「じゃがいももいいよー!じゃがじゃがー!」

タイガーは昼間、リリアとじゃがいもを大量に蒸かしていたようだ。
確かに蒸かしたじゃがいもは塩をふりかけただけであるものの、とても美味しいものだった。


「ミカラギちゃん、明日には辿り着くわ。楽しみにしてて。」

「すごいニコニコしてますね。」

「そりゃ、リリアにとって、馬車にクラウンまでの道を教え込むのは難しいことだからだよ。」

リリアはじゃがいもを蒸かしているだけではなかったようだ。確かに機械に何かを教えることは至難の業ともいえそうである。
夕食を終えて、私達はすぐに眠りについた。

……だが、一年も眠っていたといえ、私にとって揺れる場所での睡眠はなかなか難しいものだった。
しかも、明日にはクラウンに辿り着いてしまう。私は不安に思っていた。
私が居たころよりも荒れているコロッセオとクラウンとはどういうものなのだろうか。
ヴァローニャは私を未だ狙っているのだろうか。
そう思っていると、隣で寝ていたタイガーが私のほうを向いた。


「不安で眠れなかったりするー?」

「まあ、そう……ですね。」

「揺れているもんね。あ、いいものあげる。あたしの住んでいた街で流行っていた薬なんだけど。今も使えるんだよ。」

私は一粒の錠剤を渡された。どうやら睡眠薬のようだ。
私が飲み込むと、タイガーは私のほうを見た。
少し驚いたような顔をしている。


「えっ、本当に飲んだの?
それ、何の薬か知らないんだけど……。」

「えー!?」

……その日はよく眠れました。


—ミカラギの小さな夢


ふと見ると、私は暗闇の中にいた。
辺りを見回しても何も分からない、見えない。
私が起きあがろうとすると、誰かが私に声をかけてきた。


「全員で血を吸ったとしても、俺達は不死鳥の生命力に負けて、血管が破裂する。そして、吸った10年後にはもうお陀仏だ。不死身の女でもそうだ。」

その声はヴァローニャのものだった。
オリンちゃんの血液はほとんどなくなってしまったと聞いていたので、きっとヴァローニャ達が吸ってしまったのだろうと確信できる気がした。


「不死鳥と交わったら、子供もきっと不死身になれる。」

「俺は永遠の遺伝子を遺せるんだ。」

見知らぬ男の声とヴァローニャの声が入り混じった。
気持ちの悪い言葉だった。
誰とも交わりたくはない。もちろん、ヴァローニャとも。


「早く不死鳥が帰ってくるといいな。」

ここでノイズが起こり、私は耳を塞いだ。
しかし、塞げば、ヴァローニャの声が頭に響いてきた。


「捕まえるんだ。これは絶対だぞ。俺達のことを何か言っていようと殺すな、傷つけるな。
俺のものにしてやる……。」

「い、嫌だ……。」

私はやっとのことで声を出せた。
しかし、誰も聞くことはない。反応もなかった。
ただ、そこにはノイズのような拍手の音が響いていた。
周りには黒服の人達が私を取り囲んでいた。
恐れで、私は震えた。


「嫌だあぁああああぁああ!ヴァローニャ!貴方のものには絶対に……なりは、しな……。」

私は叫んだ。
ヴァローニャへの怒りで体中が熱くなった気がする。

気がつくと、私は意識を失っていた。


……

目覚めると、馬車小屋がやけに明るく見えた。
無事に朝が来たようだ。
夢の事を思い出そうとしても、真っ暗なものしか私には思い浮かばなかった。
起き上がったことに気がついたヨツバが心配そうに私のほうを見た。


「大丈夫?うなされていたけど……。」

「大丈夫です。あ、クラウンには着いたのですか?」

「うん。外に出てみる?一年ぶりだものね、何処か変わっているかも。」

一人で外に出てみると、季節のせいか少し寒かった。
降りた場所はあの噴水広場だった。
サーカス団『ウィンクキラー』はここでよくサーカスをしていたらしい。
そして、私もここからヴァローニャとコロッセオに疑いを持ち始めた。いわゆるハジマリの場所。

私が噴水のほうに近づこうとすると、誰かが私の足を掴んだ。
黒い服の人ではないようだ。
一部茶色くなっている白いスーツはまるで何処かの怪盗のようだった。


「貴方、誰?」

「怯えなくても大丈夫だよ。マドモワゼル、俺はF・オウムだよ。
俺、今、追われているんだ。助けてくれない?」

白いスーツの汚れをはたき、男は私のほうを見た。
好青年といえそうなほどの顔立ちに私はぼんやりしそうになったが、すぐに冷静になろうとした。


「オレオレ詐欺か何か?」

「オレオレサギ?そんな鳥、俺は知らないよ。とにかく助けてくれないか……ほ、ほら、もう追ってくるぞ?」

足音すら全く聞こえない。
私がオウムを睨みつけて馬車小屋に戻ろうとすると、大人数の人が走ってくる音が聞こえた。
よく見るとそれは、ヨツバ達が言っていた黒い服の人たちだった。


「に、逃げなきゃ……!?」

「お、お前も!?お前も『コロッセオ』に何かしたのか?」

「とにかく、あそこに!」

私は気づかれないうちにオウムを連れて馬車小屋に戻った。
帰ってきた私を見て、三人は驚いた。
何せ、突然男を連れてきたのだから。驚かれても当たり前だと思った。


「いい男を連れてきたわねー。男性用ロボットを丁度作りたかったの。」

「ミカラギさん、すごいねー!リリアのお気に入りになりそうな男を拾ってくるなんて!」

リリアはテンションが上がって、美少女キャラが完全に外れていた。
オウムはリリアに連れて行かされそうになり、ばたついて抵抗した。
タイガーもヨツバもオウムの容姿にぼうっとしていた。
ただ、そんなことをしている場合ではなった。


「彼は追われているのよ。黒い服の人に。」

「えっ!?」

「そうなんだ。俺、『コロッセオ』の裏側を覗いちまったのさ。」

彼は『コロッセオ』の運営をしている場所を覗いたらしい。そこには小さな電球がついているだけで、いくつかのソファと一台のベッドがあるらしい。
そこで、ヴァローニャ中心にパーティを運営をしている人たちが大きなグループを作った。
その名は……


「 F O X だ。」

「フォックス!?かっこいいー!あたし達もそういう名前がよかったかなー?」

「そういうことを言っている場合じゃないわよ。
 ヨツバ、タイガー、戦闘準備!」

リリアに言われ、二人は別の馬車小屋へと向かった。
私とオウムは何をするのだろうか、不安と期待でいっぱいになっていた。
すると、一人の黒服の男が私のいる小屋を覗いた。
赤毛の髪の毛がよく目立つ背の高い男だった。オウムを見るや否や、銃をかまえた。


「お、お前!オウムじゃないか!」

「お気楽な旅人さんが黒服着て、葬式かい?」

「そうだな……お前の葬式、かな?」

銃声が鳴り響くものの、オウムはちょうど銃弾を避けていた。
どうやらその一発だけのようで、男は地団駄を踏んだ。


「L・ファー。お前、他の目的があるだろ?」

「おっと、さすが予知能力の名人。そうだ、ここにいるだろ……
L・ヨツバが!」

私は驚いた。
何故、罪のないヨツバが狙われるのだろうか。
今まで話してきたことにヴァローニャのことがあったとしても、話した場所はクラウンではない。バレるはずがないのだ。

微妙に機械の音や武器のぶつかる音が聞こえた別の馬車小屋にも静寂がやってきた。


「いねえな。そんなヤツ。な?」

「そうだよ。ここにはそんな人いない。帰って。」

「そんなこと言っていいのかな、不死鳥ちゃん?」

私は未だ狙われていることに気づいた。
手を掴まれるものの、オウムは片手に持っていたナイフをファーの腕に突き刺した。
痛みで、手が離されると同時に馬車小屋が動き出した。
黒い服の人たちはファーのほうに向かっていったが、私たちのほうを見向きもしなかった。


「ありがとう。」

「いいんだよ。俺を助けてくれたじゃないか、ただの恩返しさ。
お前も大変だな。
それに、ここにはもう一人狙われているっていうじゃないか。」

馬車が突然停止した。
外をそっと見ると、国境に近い場所だった。
そして、リリスとタイガーとヨツバの悲鳴が聞こえた。


「どうしたの!?」

馬車小屋の一番後ろにいた私は一番前の小屋のことがよく分からなかった。
そっと、オウムと移動していくと、そこには涙目になっているリリスとタイガーがいた。


「どうしようー!ヨツバがいなくなっちゃったよー!」


                              続く

Re: Vivo オリキャラ募集中です。 ( No.15 )
日時: 2015/02/09 21:20
名前: 極秘事項 (ID: QT5fUcT9)



第十話 モネ


「もしや、フォックスに……!?」

オウムが言いかけた矢先、私に銃口が向けられた。
二人が再び悲鳴をあげた。
小屋の出入り口用に切られた布からは黒縁のメガネが見えた。どうやらフォックスの一味のようだ。
殺されてしまうのかと思った時、銃口が少しだけ離された。そして、一人の女が入ってきた。


「ミカラギさん、ね?パーティに来ていないと思ったら、こんなところにいたのね。

……この子を誘拐させてちょうだい。
貴方達をこんなところで巻き込みたくないのよ。さもなければ、オウム、貴方を殺すわ。」

「俺の予知能力がそんな鉄の塊に負けるほどのモノだと思ってるのか!?」

「うるさいッ!」

銃声と共に、オウムの黒髪が数本抜けた。
三人が唖然としているうちに私は女に小屋から引っ張り出され、お姫様だっこのような格好をされた。


「この子は後で返してあげるわ!」

「お、おい!」

抱えられた私は手足をばたつかせた。
オウムが手を伸ばそうとするものの、銃口が再び彼に向けられる。
ここでまだ捕らえられたくはない。
そう思った時、ばたつかせていた手がオウムの手を握った。


「えっ……。」

「!?」

しかし、それは銃声と共に離れてしまった。

私はフォックスに捕らえられたのだと思った。
抱えられながら、とある小屋に連れてかれた。
少し殺風景な小屋の中で私は何枚かの写真が落ちているのを見た。


「……こんなこと、したくはなかったんだけどね。ごめんね。
三人は私と協力している探偵と一緒にいるから、大丈夫よ。
私はモネよ。よろしく。」

「も、モネさん、よろしくお願いします。
……モネさんはフォックスの一味じゃないようですね。安心しました。」

私はそっと地面に下ろされると、一つのパイプ椅子を指差された。
どうやらそこに座れ、ということのようだ。


「そうね。元々そうだったのだけど、私はもうあそこには戻らない。」

椅子のすぐ隣に傾くと、何かの角にぶつかった。
太陽が昇っているとしても、殺風景で真っ暗な部屋では何も分からなかった。


「……私の話はいいの。紅茶をどうぞ。さっき貴方がぶつかったところの上に置いてあるから。」

私は暗闇にやっと慣れ、すぐに少し紅茶の零れたティーカップに手を伸ばした。
彼女が一つ溜息をついて、入り口の小さな扉を鎖した。
再び、部屋が真っ暗になる。
そして、一つの照明が数枚の写真を照らした。


「ああいう演技は得意じゃないけど、騒がれたらああするしかないのよね。ごめんなさい、貴方のボーイフレンドに。」

「ボーイフレンド?」

「あら、違うのね。まあいいわ。
この写真はね、私がフォックスを抜ける前に撮ったもの。」

無駄な話?もほどほどに、彼女は写真を一枚ずつめくった。
そこには三人の別の女がヴァローニャに寄り添っていた。
その中には別の人の写真もある。
品の悪いものから軽いボディタッチのものまで揃っていた。
何だか気分が悪くなりそうだった。

ただ、数枚の写真にD・ワンの姿がないことに何かを感じた。


「D・ワン、は?」

「あの子ねえ、どうしたのかしら。パーティにもクラウン自体にも来ていないみたいで……、噂では元々いた国へ帰ってしまったみたい。
その噂が立つ少し前にヴァローニャは『一人の女が気になる』と言っていたわ。」

三人の別々の女は時折パーティやフォックスの活動する部屋に来ては、ヴァローニャと絡み合っていたようだ。
私はヴァローニャが三又をしていることに驚いた。
バーや噴水、色々なところで噂を聞いてきたが、彼の女性関係の問題は自分の中で真実味を帯びているようだった。


「それから、ね。ヴァローニャは何人かと付き合ったのだけど、残ったのは三人。
L・ガイア、彼女は公認ではないのだけれども、隠れて付き合っているみたい。
L・フリージアは公認でヴァローニャと恋愛関係を結ぼうとしているの。
あともう一人はL・ルイーザ、彼女はよく分からないけれども、時折見かけるわね。」

「……でも、これはフォックスの活動する部屋で撮ったものでしょう?他の人は嫌な目で見ないのですか?」

「そうね。
ヴァローニャに嫌な思いをさせた人間は半殺しにされる。だから、誰も何も言わないの。それに、ヴァローニャと仲のいい人間には褒美がもらえるのよ。」

記憶の中では別のガールフレンドとにこやかにしていた一人の男が見知らぬ女と口づけを交わす姿が一枚の写真に写っている。
私は唖然とした。こんなにも酷くなっているとは思わなかったのだ。


「この人はL・ソングよ。
よく私達、パーティで楽器隊の人が演奏するのにノッて歌っていたでしょう。その楽器隊の譜面を作る人よ。
ヴァローニャと仲が良いみたい。この写真はご褒美を貰っている様子を写しているわ。」

「こんなにも酷くなるまで、止められなかったのですね。」

「そう、ね。」

私は数枚の写真を見て怒りを感じた。
そして、ここまで止められなかった自分に悔しくなった。
照明が照らす、数枚の写真に涙が零れた。


—サーカス団『ウィンクキラー』の馬車小屋にて。


三人がおろおろとしていると、二人の女がやってきた。
突然の来訪者にリリスとタイガーは悲鳴をあげそうになったが、黒ずくめではない姿に安堵の溜息をついた。


「さっきの人、びっくりしたでしょ?私もびっくりしたけどもね。
私はL・キリっていうの!探偵助手をしているわ。この人はL・フラウ。」

物静かで大人しそうな女が三人のほうをそれぞれ向き、お辞儀した。
明るそうな表情のキリとは対照的に、フラウは冷たい表情を抱えたままだった。
オウムは顔色の悪さにフラウのことを気にかけた。


「……探偵さん、暗い顔しているけれども大丈夫かい?」

「パーティにいる時は平気なんだけども、外だとちょっと大人しくなるだけなんだー。気にしないでねっ。」

「パーティ?もしかして、ミカラギちゃんの言っていた……。」

リリスが言うと、キリの「そうです!」と元気そうな声が国境に響いた。その場に休んでいた数羽のハトが羽ばたく音も響いていた。


「そうです。私達は、異変を感じてF・ヴァローニャのことについて調査をはじめたのです……。」

そう言うと、落ち着かない態度で全身をふらふらさせていたタイガーの動きが止まった。
ヴァローニャ という言葉から周りの空気は引き締まったようになった。


「フラウはL・フリージア として潜入捜査をしているの。私はその友達。
それで、私達はヴァローニャのほとんど全ての噂が本当だったことを知ったわけ。」

「それをどうか、知らせたいのです。今夜のサーカスで。」

タイガーとリリアはその言葉に驚いた。
どうやらサーカスのチラシを見たようだ。
それはクラウン全帯に届けられているようで、ヴァローニャ関連の人物もきっと来るだろうということからだった。
サーカスを見に来る人もきっと多いはず、その中で事故があってはならないと二人は『ウィンクキラー』を続けてきた。
リリスは首を振った。


「それは、出来ません……。今さっき、私たちの仲間が誘拐されたばかりで、サーカスも出来なさそうなのです。」

「……リリス。」

タイガーが珍しく、静かな声でリリスに声をかけた。
そして、フラウとキリの顔を真正面から見て、言った。


「それ、やってもいいと思うよ。」


                              続く

Re: Vivo オリキャラ募集中です。 ( No.16 )
日時: 2015/02/09 23:52
名前: 極秘事項 (ID: QT5fUcT9)


第十一話 タイガー


「いいの!?事故があったら、私達だって巻き込まれるのよ?罪のない人たちも巻き込まれてしまうのよ?」

「これ以上、待っていたってこの状況を食い止めることは出来ないよ。
それに、ヨツバと同じ思いは他の人たちにさせたくない。
それが出来るのは、きっと私達だけだから
……フラウさん、サーカスという小さな居場所での発言はもしかすると、何も効果を生み出さないかもしれない。
それでもいいのならば、私達の居場所を使ってください。」

そして、タイガーは静かに頷いた。
リリスはそれに何かを感じたのか、これ以上何も言わなかった。


「リリスさん、それでいいのですね。」

「……はい。」

オウムはタイガーの態度の変動に驚いていた。
あんなに落ち着かずにばたばたしていて、一番しっかりしていなさそうなタイガーが自分の意見を言ってくるとは思っていなかった。
タイガーはオウムを見て、いつもの様子に戻ったようににこにこしていた。


「じゃあ、モネさんのところへ行きましょう!そこに貴方の仲間もいるはずですよー?」


—とある小屋にて。


「ミカラギさん、落ち着いてきたかしら?」

「はい。」

そのまま写真の前で泣いていた私だったが、やっと落ち着いた。
ここまで『コロッセオ』が傾きだしたのならば、誰かが声をあげるしかないと思った。
私でも、それは出来ることのはず。


「ミカラギさんはこのままじっとしているわけにはいかないようね。」

「そう、ですね……。」

「今夜、サーカスがあるでしょう?
あの時、私たちはヴァローニャのことを言います。
貴方も主張したいことがあれば、言ってもいいのですよ。」

私はその発言に驚いた。
二人はヨツバを誘拐されたばかりだ。難しい話のように聞こえたが、その不安はすぐに何処かへ行ってしまった。

突然、扉が開かれるとリリス,タイガーとオウムがいた。その後ろには見知らぬ二人の女が立っている。


「ミカラギちゃん!会いたかったよう!」

「タイガー!リリスも!無事だったのですね。よかった。」

三人で再会の喜びに浸ろうとすると、二人の女が私のほうを向いた。


「ミカラギさん。私達は貴方の味方です。
今夜、サーカスでヴァローニャのことを言う予定でいます。
モネさんの主張ももちろん。」

「リリスさんとタイガーさんの許可はとりました。
貴方も主張してみませんか……?」

対照的な表情の二人は私の目を見たままだった。
私は何かされても大丈夫だという覚悟を持って、頷いた。
ここまで、来たならば、自分達でやるしかない。


「ミカラギちゃん。」

にこやかな顔をしたタイガーが私に声をかけた。
それは少しだけ影の帯びた声だった。
きっと、タイガーは心配している反面、私に頑張って欲しいはずだ。


「大丈夫です。後悔はありません。」

私がにこやかな顔で返すと、タイガーは黙って、リリアの後ろに下がった。
私達は早速、サーカスの打ち合わせをはじめた。
モネさんがいつのまにやらいなくなっていたが、フラウから用事でいなくなったが、夜まで使っていい許可を貰ったと聞いた。
ヨツバのことが心配だったが、今は主張をすることに目を向けるしかない。


そして、あっという間に空が真っ暗に染まった。


……


流星が流れていく。
星空を見て、ぼうっとしたような顔をした少女が小さな外灯に手を伸ばしているのが見えた。


「マノン?」

一年もいなくなっていた友人が急にやってきたことにマノンは驚いていたが、すぐに手を振ってくれた。
私が近くまでやってくると、マノンは微笑みかけた。


「久しぶり、ミカラギ。
一年少しもいなくなっていたから、どうしたのかと思った。」

本当の事を言うわけにはいかない。
私は嘘を言いながらも、サーカスに誘っておこうかと思ったがマノンの手にはすでにチケットが握られていた。


「あの後はぼんやり旅をしていたから……。
今日はサーカスがあるみたいだね。」

「そうだったね……。
ねえ、ミカラギ。
ミカラギが出て行ってから、パーティがおかしいんだよね。みんながばらばらになったり、変にまとまったり……。」

「……私も、そう思うよ。
歌の神様が聞いたら、どう思うんだろうね。」

もう一つ、流星が流れた。
私は森に住んでいた時、聞いたことがあった。
流星は願いを叶えるだけでない、時に災いを呼ぶだろう と。
私の中に一筋の不安が流れた。


「私は、仲良くしたいだけなんだけどね。」

「ここまで気づけなかった、言えなかったんだから、仕方がないよ。
あまり思いつめてちゃいけないけども……。」

歌の神様の末裔であるマノンは、歌に関わる物事で争うことはないと思っているようだった。


「ミカラギはさ、みんなが敵に回ったとしてもしっかりしてそうだよね。」

「え?」

「ううん、なんでもない。」


—クラウン某所にて。


「ヴァローニャ、捕まえてきました。L・ヨツバです。」

「そうか……ご苦労だったなL・ソング、L・ヨツバをこっちにやれ。」

ヨツバは捕まった時に意識が飛んだばかりで、目が醒めることもなかったので、男はヴァローニャのほうへ投げ飛ばした。
ヨツバは投げ飛ばされた衝撃で目が覚めた。
真っ暗で、照明はほとんどない。真っ赤なソファが数個、あるだけだ。
彼女は混乱したまま、ヴァローニャのほうへ顔を向けた。


「ヨツバ、お前は『コロッセオ』や俺 ヴァローニャのことについて悪口を聞いたようだな。
どうやら、その悪口に同感していたらしい と。本当か?」

「……そう、だよ。」

ヨツバは急な問いかけにおどおどしながら答えた。
こんなに環境の悪い場所でうつ伏せになっているのは気分の悪いものだと彼女は感じていた。


「正直者だね。
でも、お前みたいに有名なサーカス団に所属している人間がそんなことを聞いたなんて言えば、誰もが支持するだろう?
そんなことはさせない。俺はひとりぼっちになりたくないんだ。」

ヴァローニャは立ち上がり、ヨツバの頭を脚で踏みつけた。
強い痛みにヨツバは悲鳴をあげた。
しかし、誰も助ける人間はいない。

ヴァローニャが踏みつけていると、一人の男がやってきた。
先ほど、ヨツバを捕らえた男よりかは体つきが丸く、生真面目そうな表情をしていた。


「L・ロイ、お前に頼みがあるんだ。」

「何でしょう。」

「……L・ヨツバ、彼女を殺せ。」

ヨツバは殺されることに恐怖した故、体を持ち上げ、逃げ出そうとした。しかし、すぐにロイによって羽交い絞めにされた。


「了解しました。」

「は、離して!離して!」

「お前のような目立った人間は俺の前から消えるんだ!」

ヴァローニャが指を刺すと同時にロイの手には斧が握られた。
このまま頭をかち割られてしまうのだろうか、ヨツバは不安になった。
ただ、どこかで誰かが助けてくれるのではないかと思っているからか、希望は残っているような気がした。
昼間のぎらぎらとした太陽の光が向こうに見える扉や窓をぎらぎらと照らしていた。
こんなにも美しい太陽の光ははじめてだと思いながら、ヨツバは目を瞑った。


「……ロイ、やれ。」

ヨツバの頭に斧が振りかざされようとしていた。


                              続く


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