複雑・ファジー小説

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Resistance of Destiny リメイク
日時: 2016/05/12 22:43
名前: 黒陽 (ID: wpgXKApi)

題名の通り以前書いていた作品のリメイクです。

前よりは上達している……と思いたいなぁ

以前募集をさせてもらっていたオリジナルキャラクターは勿論そのまま使用させていただきます。

Re: Resistance of Destiny リメイク ( No.10 )
日時: 2016/08/14 14:08
名前: 黒陽 (ID: lPEuaJT1)

と、思われた。

「は?」

志龍がすっとんきょうな声をあげる。それは目の前で起こったことにあった。
今にも閉じようとした《顎門【ヴァーナルガンド】》に灰色の指がかかった為だ。あの化物の腕に掴まれようとも、奴は眼前敵を討つために《顎門》を突破した。
灰色の異形を捕らえるべく、白濁した無数の腕は追いかけるが《顎門》は完全に閉じられ、始めからそこになかったかのように完全に消え失せた。

「馬鹿げた膂力だなおい」
「来る……よ」

灰色の異形は今にもこちらに突っ込んでこようとするが、その前に忍が動いた。《双頭蛇の縛鎖【ヨルムンガンド】》を伸ばし、異形の腕に巻き付け、そのまま体育館の壁に叩きつけた。そしてそのまま神気を《双頭蛇の縛鎖》に流し込むと、蛇の顎門から粘液性の酸を出すと、そのまま壁に固定。
体を徐々に融解させていく。徐々に徐々に体を溶かされ、その心臓にまで酸が到達したときに、完全にもがく腕は動かなくなり、そのままこと切れたかのように地に倒れた。
しかし、頭部を吹き飛ばされようとも再生してきた化け物だ。3人は決して気を抜かない。死体から目を離さない。
だからこそ、















背後から迫ってくる異形に、奴が拳を振り上げるまで気付かなかった。
奴は酸が、心臓に到達するその瞬間に自身の記憶、耐性を継承したもう一体の自分を形成し、口から出したのだ。
しかしその体長は蟻の如く。筋繊維は脆弱で幼児に踏み潰されただけでも、簡単に潰れてしまう。奴の再生能力は無事な細胞がひとつでも存在していることが絶対条件であり、全細胞が死ねば再生は不可能となり死が訪れる。
これは奴にとって1種の賭けであった。自身の再生能力を必要以上に警戒し、『奴はあの状態からでも立ち上がってくる』と志龍達に信じこませなければいけなかった。そして奴はその賭けに勝った。
奴の腕は、自身の命を一番脅かす神無月こころの頭部に向かって、刻一刻と迫っているおり、こころも志龍も忍も振り返ったその瞬間だった。
勝てる。化け物は己の勝ちを信じた。それ故に、周囲の警戒を怠った。
だからこそ、奴の体は二挺のガトリング砲から放たれる光弾を回避できなかった。

『Aaaaaaaaaaaaaaaaaa————ッッ!!!!!!!』

光弾は奴の総身を穿つが、ひとつたりとも貫通していない。
何故なら、総身を穿ったあとに起こることが本命だからだ。
奴の身体が体内から発光すると、奴の体内から爆発を引き起こす。
声にならない悲鳴を奴はあげる。総身を焼く熱。体内から攻撃されるという未体験の攻撃。そして残った細胞は体育館への端へ吹き飛ばされる。
しかし、幾度となく再生してきたこの身体だ。再生速度すら異常に進化した化け物は瞬時に、散り散りになった細胞を集結。繋ぎ合わせ、一瞬のうちに身体を形作る。

「《風神結界》からの《風神牢獄》」

奴が、見たのは幾重にも幾重にも重なりあった竜巻の牢獄。奴は竜巻域を突破しようとするが、自身の周りの環境の変化に気づく。
酸素が存在していない。神獣とて、生物である以上活動に酸素は必須である。奴はもがき苦しみながらも、竜巻の突破に挑むが拳を繰り出そうとも、蹴りを加えようとも、その竜巻は幾重となく重なり、一部が吹き飛ばされようとも瞬時に周りの竜巻が補い、牢獄の突破を許さない。
その竜巻の牢獄を産み出した者、化物の総身を穿った者が天井から降りてくる。

「ヒーローは遅れて登場ってワケかよ……くそったれめ」

Re: Resistance of Destiny リメイク ( No.11 )
日時: 2016/08/14 20:22
名前: 黒陽 (ID: yAL.k7HO)

「悪かったって志龍ちゃん。で、アイツ何なん。めっさキモいやん」
「それはだな、かくかくしかじか」
「いあいあくとぅるふ。なにそれめっちゃうざいやんけ。てことは《風神結界》も《風神牢獄》も破られるちゅーことやんけ」
「三人では厳しいわけです。様々な攻撃手段がとれるこころさんを守りつつ、全員で様々な方法で殺すのが最善策ですね」
「まぁ、そういうことだ。アルエ、メリッサ。来るぞ」

先程までもがき苦しんでいた、異形が一瞬こと切れると、灰色の異形のその細胞の色が変化していく。醜い灰色から、植物のような緑色に。

「なるほど。酸素がないのなら作ればいいじゃないってか。滅茶苦茶やん」

アルエの言う通り、奴は酸素を作り出すために自身の細胞の中に葉緑体を作り出したのだ。自身の細胞の中で光合成を行うことで酸素を作り出し、それによって呼吸を行ったのだ。そして、異形は肺を異常に強化し、肺活量を大幅に上げ、作り出した酸素を吸い込み、そして吐き出す。
それは《風神牢獄》の竜巻にも勝るとも劣らないほどの気流を生み出し、《風神牢獄》を消し飛ばした。
そして、化け物が志龍に向かって突貫する。《狂竜神の鎧【タイラント】》によって数百倍にまで強化された動体視力も振り切り、そのヘルムに向かって左ストレートを繰り出す。
しかし、それは当たることはなかった。志龍が回避したのか。否である。
外されたのだ。志龍の頭部近くの空間が歪んだのだ。
それは、こころの滅神器《副王の指輪【ヨグ=ソトースリング】》の神技《時空湾曲》である。その技は術者の任意座標の空間を一定範囲歪ませる神技。
それにより、化物の攻撃が左側に行くように空間を歪ませたのだ。それにより攻撃は外れ、志龍の頭部、左側の大気を消し飛ばす。
それにより、隙が出来た化物の腹部を蹴り飛ばし、距離をとらせる。
そして、そこに——

「《竜脚震撼【ドラゴンスタンプ】ッッ!!》」

大地を波打たせるほどの振動を叩き込んだ。八年前はただその未曾有の力を振り撒くだけであったが、彼はその力をコントロールするほどの技術を得た。それにより本来は360度無差別に攻撃するこの神技を、振動を集約し、相手の脚から流し込んで、体内から身体を粉砕するという技に変化させたのだ。
それにより、全身の骨、臓器に尋常ではないダメージをおった化け物は、再生させようとするが、それを秒間3000発の神気の銃弾を放つメリッサの滅神器《光陽神の怒号【シェキナー】》が、それを許さない。
《竜脚震撼》で粉砕されたその身体に、致命傷を負わせ続ける。
さらにそこに、忍が《双頭蛇の縛鎖》を伸ばし、その胸に蛇の顎門を突き刺し、そこに神気を込める。

「《血蛇の狂乱》」

そして、全身を流れるその血が、蛇となり体内から細胞を食い破って出てくる。体内の骨を粉砕されるという致命傷を負い、絶えずその身を穿たれ続け、血液が蛇となり全身の細胞を食い破る。未曾有の痛みを追い続け、反撃ができなくなったところに、五人は神技を叩き込んでいく。

「《常世斬爪》【ヴェルトシュナイデン】」
「《双頭蛇の死毒》【デッドポイズン】」
「《蹂躙の光【ブロークンレーザー】》」

《切断者【シュヴェーアト】》から放たれる有象無象の区別なく切り裂く、不可視の斬撃が。
《双頭蛇の縛鎖》から放たれるあらゆる生物を死へ誘う毒が。
《光陽神の怒号》総計十二門から放出される神気を束ね放つ魔を払う白き滅光が。
そして——

「《風神牢獄》」

幾重にも幾重にも重なりあった竜巻が、その身を完全崩壊させるべく迫る。それはどんどん狭まる。化け物はその身に様々な攻撃を受けようとも脱出をするために、拳を振るい、蹴りを放つ。だがそれを竜巻は無駄だと嘲り笑うように、どんどん迫っていく。
ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ——。
さながら削岩機のように皮膚を削り、筋肉を削り、骨を削り取る。

『ジャァァシィィン!!!ドモガァァァアアアァッッ!!!!!!』

化け物は、忌まわしそうに志龍達に向かって叫ぶ。

「うるさい」

こころがパンッ、と掌を合わせたとき、化け物の周りの空間が様々な方向に捻られ、引き裂かれ、そして潰された。
彼女の神技《時空圧壊》である。それにより時空間ごと潰された化け物は今度こそ、バタリと倒れた。

Re: Resistance of Destiny リメイク ( No.12 )
日時: 2016/08/15 13:02
名前: 黒陽 (ID: lPEuaJT1)

「今度こそ、起き上がって来ないにゃあ?」
「起き上がってきても、まだワイの《風神牢獄》は続いとる。そん時にはまたゴリゴリ削っちゃるわい」

忍とアルエが軽口を叩きあうが、化け物は起き上がってくる気配を見せない。

「生命活動は完全に止まったみたいだし、大丈夫だろ。あ゛〜疲れたぁ…
…《狂竜神の鎧【タイラント】》纏ってこんなに長い時間戦ったのって久しぶりだなぁ」

志龍が《狂竜神の鎧》能力である神気を可視化する能力で、神獣特有の心臓から全身に行き渡る神気の供給がないのを確認すると鎧を解除する。
すると鎧はどこかに消え失せ、その背中には大太刀となった《切断者【シュヴェーアト】》が携えられている。

「お〜やったな!!志龍ちゃん。頑張った甲斐があったってもんやで」
「お前途中から来ただけじゃん。俺とこころと忍のほうがよっぽど頑張ったわ」
「んやとコラ?やんのか?」
「怠いからやらない」

それもそうやなとアルエが笑う。皆の顔に浮かんでいるのは強敵を打ち倒し、この街の安全を守れたことに対する笑顔だ。
——たった一人を除いては。

「どうしましたか、こころさん?」
「皆が派手にやるから……《時空治癒【クロックバック】》で直さなきゃいけないし……もぉやだぁ……ふて寝してやる……。どっかの誰かさんが頑張れって言ってくれたら私……凄い頑張っちゃうのになぁ……チラッ」

こころは疲れ果てた表情で、志龍をチラッチラッと見る。そんな様子に志龍はわずかに苦笑して、

「頑張れ、こころ。ご褒美に頭撫でてやるから。な?」

蒼の瞳に優しい光を称え、優しく、くしゃくしゃと頭を撫でる。それにこころは瞳を狭め、可愛らしい猫のような表情を浮かべる。

「……もっと」
「はいはい」

五秒近く撫でて、その桃色の髪から手を離した時にこころはすかさずおかわりを要求。それにさらに苦笑いを浮かべるがその手を戻してさらにくしゃくしゃと撫でる。
その様子を見て仲間達は——

「あれで付き合っていないとか馬鹿なんじゃない?」
「これが主人公補正というもんなんか……ジーザス」
「リア充は爆発しなさい。慈悲はないです」

それぞれが怨念を込めて、見やるが全員があの桃色空間から《時空隔離》を受けたかのように蚊帳の外である。

「ほら。頑張っておいで」
「家に帰ったら続きを要求」
「家に帰ったらな」

もう、満足したのかこころは神技《時空治癒》で体育館の時空を過去の物にしてから、運動場に向かって出ていった。

「さてさて、俺らも働きますか」
「へいへい」

アルエがだるそうに返事をすると、風神牢獄を解除。化物の死体をRoD職員ならば全員持っている、《魍魎の箱》に仕舞い込むと、地下シェルターに向かって歩いていく。
それに続くかのように、その場にいた全員が地下シェルターに向かって歩き出した。

Re: Resistance of Destiny リメイク ( No.13 )
日時: 2016/08/15 22:46
名前: 黒陽 (ID: lPEuaJT1)

まぁそんなやり取りはさておき。
あのあと志龍達は、地下シェルターに避難した生徒達を呼びに行きすぐに帰宅させた後、《時空治癒【クロックバック】》によって学校全体の時間を戻し、最善の状態に戻した後に合流。
化物の死体を科学班に調査してもらうためと、大元帥達に事後報告をするために本部へ向かっていた。

「にしても、あの化け物もだが何処からあんな大量に神獣が出てきたんだ?」

そうなのだ。志龍達はあの化物の強さのインパクトが強すぎたせいで忘れかけてはいたが、突如大量の神獣が出現したことのほうが本部にとっては重要だ。
本来、神獣というのはユーラシア大陸方面から何かしらの手段によって渡ってくる。そのためRoDは海岸線から一定距離を開けて、第一、第二、第三の防衛ラインを構築している。それに神獣が近づいたときには必ず、警報が発令されるシステムになっているのだ。それに一切の誤差動はない。

「空間に干渉できる新型が生まれたということでしょうね。新たな防衛システムの開発を急がなければいけませんね」
「科学班の皆がてんてこ舞い姿が見えるわぁ」

メリッサが、真面目に志龍の疑問に答えるなかアルエは笑って後に修羅場を迎えるであろう防衛システムの構築、滅神器の神を宿す器の生産などをするRoD科学班の心配をする。
まぁそれは至極当然のことなのだが。

「となると、防衛ラインに私達も駆り出されるねぇ」
「……そうだね」

後々のことを考えて、ため息をつく五人。
そんな考え事をしていたら、すぐに本部へと到着した。
近場の駐車場に軍用車を止め、降りると本部の入り口に向かう。

「ご用件を。白影中将」
「新種の神獣の調査と、その事後報告だ」
「了解しました。ロック解除いたします」

門番との形式的なやり取りを行うと、金属製の門が重々しい音を立てて開かれる。それを見て志龍達は門を潜っていく。
なかに広がっていたのは、西洋映画などでありがちな洋館であった。
近未来的な空間ではなく、寧ろ時代を遡っているといっても良いだろう。
天井に吊るされたシャンデリアが、廊下を満遍なく照らしている。
その途中に志龍は目的の人物を見つけた。

「五十鈴!!」

彼の呼び掛けに、すぐさま振り向いた五十鈴と呼ばれた少女はくるりと振り向くと、瞳を輝かせた。

「おやおやりゅーくん。今度は何用ですかな?解剖ですか?解剖ですね?」
「そうだよ。お前の大好きな大好きな解剖だ。頼まれてくれるな?」
「おやおやマジで解剖でしたか。お任せくださいな。不肖この五十鈴室長補佐兼科学班班長、真剣に頑張らせていただきますよ〜。で例の物は何処に?」
「ここだ」

志龍が先程アルエから受け取った化物の死体を、五十鈴に渡す。
彼女は、女子中学生という身分にありながら、その秀でた才能を活用するために、RoDにスカウトされた少女だ。経緯は違えどRoDの入隊方法は志龍やこころによく似た者だ。

「それとりゅーくん。室長がお呼びでした。最優先でといわれてます。ですので事後報告の方は……」
「メリッサ、聞いていたよな。そっちは任せた」
「了解いたしました」

そういうと、メリッサは残りの四人を連れて大元帥達が座っている地下へ行くエレベーターに向かっていく。そして残された志龍はといえば。

「これの解析結果は、りゅーくんが室長の用事を片付けている間に済ませておきますから。安心して用事を果たしてきて下さいな」
「ほいほい。にしても室長も心配性だよな。別に良いってのに」
「念には念を入れてです。ほらほら行った行った」

五十鈴に押されながら、彼は室長の部屋に押し込められた。

Re: Resistance of Destiny リメイク ( No.14 )
日時: 2016/08/19 20:47
名前: 黒陽 (ID: lPEuaJT1)

志龍が室長からの用事を終え、こころ達が大元帥への新型神獣の報告を済ませた後。再び室長の部屋の前で合流した。

「志龍、室長からの用事はなんだったの?」
「別に何でもなかったよ。ただの健康診断。勿論なんの異常もなし!ついでに用事押し付けられた」

こころに対して、おちゃらけた笑顔を向けると志龍は制服のポケットから一枚の紙を取り出すと、皆に見せるように紙を広げる。
そこにはある人物の名前、外見的特徴が書かれた紙であった。

「百蓮零雨?誰やそいつ?」
「俺らの部隊に仮入隊してくる奴。あのジジィの孫らしい」
「ああ。そーいや百蓮って言う名字には聞き覚えがあったわ。……また女の子かい。肩身が狭くなるのぉ」

はぁ……と溜め息をつく野郎二人を横目に、メリッサが考え込むような仕草をとると、三秒間ぐらい硬直。すると思い出したかのようにポンと両手をぶつける。頭の上に豆電球が見えるぐらい、しっくりとくる仕草だ。

「ブラジル支部から異動で、私たちの部隊に神楽朱璃さんって人が入ってくるという話もありましたね。その零雨さん以外に」

メリッサの声に、溜め息をついていた野郎二人の目が輝く。そして二人はハモりながらメリッサに尋ねる。

「「ちなみにその子の性別は?」」
「女性だそうです」
「「分かっていたよくそったれ!!ジーザス……ッッッ!!!」」

その瞬間、崩れ落ちる。その瞳には若干ながらも涙が浮かんでいた。
神への罵詈雑言を吐きながら。

「まーというわけで。空港まで迎えにいってきます」
「でも、志龍。今から会議——」
「パス。後で資料だけちょうだい」
「ええぇぇぇぇーーー………」

逃げるんだよォ!スモーキーと言いながら全力ダッシュしていく志龍。
まぁこれもいつもの会議嫌いの志龍の事かと溜め息をつく四人。
そして会議室に向かっていった。


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