複雑・ファジー小説

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最強の救急隊 
日時: 2019/05/06 20:06
名前: ルビー ◆B.1NPYOoRQ (ID: YGRA.TgA)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=327.jpg

初めましてな方もお久しぶりな方もどうぞよろしくお願いします。
気紛れ更新なため、いつ終わりいつ始まるのかわかりませんがよかったら見て行って下さい。



URLに銀竹さんが描いてくれた主人公います。
とてもありがたいです。クオリティは言うまでもないです。





お知らせ>>17


設定・人物>>1
壱話 第7班>>2
弐話 魅惑の菓子類>>5
参話 後輩やって来た>>6
肆話 生意気抜かすな小僧>>7
伍話 神原燠>>8>>11-12>>15-16>>18-20
陸話 花緒イリュージョン>>21-30
質話 昔々ある所にアポなしでやって来た鬼がおりました>>31
【ラストフローズン篇 氷牙の先導者】
捌話 高いものほど碌なことはない>>32
玖話 事件は現場で起こってるんだ!!>>33-34
拾話 さらに北へ>>35-36
拾壱話  ちょっとお前こっち来いよ>>37-38
拾弐話 人見知り会議>>39-40
拾参話 後ろの正面だあれ>>41
拾肆話 ぐちゃぐちゃうるせえ>>42
拾伍話 編集者は眠らない>>43






Twitter始めました。名前は違いますがお気にせずに。
@Taruto39Purin

Re: 最強の救急隊 ( No.1 )
日時: 2019/01/09 12:46
名前: ルビー ◆B.1NPYOoRQ (ID: YGRA.TgA)

+主な登場人物


・雪丸 成葉/ユキマル ナルハ
・特殊救急7番隊員第一補佐。一応17歳の少女。
・明るく基本的にザックリとした性格。そして人間とは思えない怪力を持つ。
・幼い時に顔はうろ覚えの巨体のおっさんにもらった伸縮自在大小可能の「何とか棒」で異形を文字通り潰す。
・基本的に「お嬢」「ナルちゃん」「クソガキ」と呼ばれる。


・雪丸 慶司/ユキマル ケイジ
・特殊救急7番隊隊長。22歳。
・ぶっきらぼうで口が悪い。でも根は優しい。成葉の兄。妹を基本的に「クソガキ」呼ばわりする。
・救急隊の中で最も最強だと畏怖されている。圧倒的特奇術と体術で異形を文字通り潰す。「灼炎」「操作」などの類稀なる2つ同時に特力を使用できる。
・基本的に「若」「雪ちゃん」呼ばわりされる。


・士門 繋/シモン ツナグ
・特殊救急7番隊副隊長。24歳。
・しっかり者で仁義通う男前。幼いころから雪丸兄妹の親若しくは兄のような存在。
・強い水の特力の持ち主だったが4年前の事件をきっかけに特力を使うと病人同然の体になってしまう。現在は書類処理と指示が主な仕事。
・基本的に「副隊長」「繋」などが呼び名。



+用語
・世界
 現在の日本とさほど変わらない。が、妖怪や世界の異形と共存する世界。共存と同時に異形による犯罪や事件も多数勃発している。医療技術や化学は異形の存在によって良くも悪くも格段に上がった。

・異形
 人とは違う妖しき存在。普段は人と共存しているものも多いが、中には育ちや境遇故犯罪や事件を起こす異形も少なからず存在する。

・特殊救急隊
 異形の存在によって設立された国家容認機関。奇術を使う人間が多い。火災・水難・盗難・殺人対応・医療・遭難・詐欺・研究全てを任されており、1〜9隊まで存在する。隊長・副隊長・第一補佐官・隊員の順で位が決まっている。隊でやることも違う。
 第一隊:盗難・殺人対応主体。 拠点:京都
 第二隊:医療対応主体。 拠点:青森
 第三隊:異形の研究・火災・詐欺主体。 拠点:仙台
 第四隊:火災・水難・医療対応。 拠点:沖縄(外国にも出張する)
 第五隊:殺人対応・詐欺・研究対応。 拠点:神奈川
 第六隊:遭難・水難担当。 拠点:大阪
 第七隊:ほぼすべて担当。拠点:浅草
 
・特力
 名前は奇跡の術(わざ)とされている。
 世界で3割ほど存在する能力者。水難や火災などと言った異形の事件を対処するような能力者が多い。特力を1つ以上持つものはさらに少ないとされ、それを扱うのも難しいとされる。種類は、
生活に必要なものを生み出し攻撃する’(例:火、水、風、氷など)「生命」、自分に向けられたあるいは自分の特力を操作する「操作」、特力自体を武器にする「錬成」がある。

Re: 最強の救急隊 ( No.2 )
日時: 2018/12/15 21:29
名前: ルビー ◆B.1NPYOoRQ (ID: YGRA.TgA)

——……午前10時24分、浅草駅。
 東京の一部である浅草は古き良き日本の一部を垣間見せる部分もあってか、平日でも観光客で賑わう。
それは、駅でも同じ。どのお土産にしようか迷う者、思い出に馳せる者、様々だ。
 外国人観光客、余生を楽しむ老夫婦などがこれから訪れる街に心躍らせるように。表情はとても朗らかだ。

(……やばい、遅刻や……!)

 茶髪に、透き通るような水色の瞳を持つ少女は顔を顔ざめながら走る。
 そんな幸せ真っ盛りな周りの人々に比べて、1人、少女はこの世の終わりのような表情を浮かべていた。
 観光客の色を桃色で例えたならば。少女はどす黒い黒であった。
 体格にそぐわない丸々と大きく太ったリュックを背負いながらフラフラと足取りを歩める。

「やばい、危ない、死刑、確実……。雪ちゃんに……雪ちゃんに殺されるぅぅぅ!!」

 そう叫ぶと少女は気でも触れたかのように走り出す。
改札口でハードルに直撃して後ろからひっくり返った。少女は、足をばたつかせて勢いをつけて飛び上がる。
ふと、視線を前に送ると、

「本当、雪女!? アンタ、青森出るの初めてだったんだね〜」
「ええ。私、暑い環境では生きていけませんので……」

 少女を横切る2人の女。
1人の女はショートパンツにセーターという今どきの若い女のファッションだが、もう1人の女は息をのむほど真っ白い肌に銀髪、そして淡い水色であしらった着物姿。
 その女は先程呼ばれた雪女のよう——いや、実際そうなのだ。しかし、彼女に限った話ではない。

——人間と人成らざる者、異形(いぎょう)が共存する世界。
それはいつごろ当たり前になったのかは誰にもわからない。
ただ、それら2つの生態の全く異なる生き物は今の今まで協力し、生きていく関係にある。

——トランプの裏表の様に人に協力的な異形もいればそうじゃない異形もいる。
それらは人に仇為し、人を脅かす存在になる。
そうなれば人間などそんな異形に手も足も出ない。そのため……。

 少女が駅の外を出た瞬間、大きな爆発音が聞こえる。
反射的に見上げると足っていたはずのモノレールの車線が大きな僧侶の様な山のように大きい“異形”に壊されていた。

「また異形か!」
「でかいぞアイツ……」
(大入道(おおにゅうどう)! これはまたでかい!)

 大入道。死んだ僧侶などの怨念や集合体が集まったとされる妖怪。
3メートルほどの大きさのものもあれば山のように大きなものまで存在する。
 少女はリュックを下して眩しそうに目を細める。

「よくも……よくも破門しやがってぇぇ……っ」

 大入道は唸る様に叫びながら大きな右腕を下に振るう。
これが直撃したら一溜りもない。何人もの人々が死に至るだろう。
 観光客たちは避ける術もない。……【本当に】異形に対抗する手段がなければの話だが。

「でけぇ図体で動き回ってんじゃねえよ」

 唸るような声とともに大入道の右腕は大きく弾かれた。
それと同時に大入道は大きく体制を崩してしまう。
 右腕を弾いたのは黒髪に赤と少女と同じ透き通った水色の目のオッドアイが特徴的な端正な顔立ちをした青年。
 体の大きさは大入道の方が圧倒的だというのに、青年は蚊でも払うかのように手で右腕を払いのけたのだ。
その立ち姿は若いながらも貫禄があり、グラッと崩れゆく大入道を鋭く見据えていた。

「繋! 避難は任せたぞ!!」
「任せとけ、若」

 先程の「若」と呼ばれた青年に、繋と呼ばれた高身長に精悍な顔立ちの男——士門繋(しもんつなぐ)は分かり切っている様に周りにいる部下に次々と指示を出す。
 部下は指示を受け、素早くその場を去っていく。
 大入道はこれでは気が済まないのか地についている足を軸にして浮かんでいる足で再び攻撃しようとしていた。

「これじゃずまさねぇぇぇぇぇ!!」
「燃えろ」
「あ、あああああああああ!!」

 若——いや、雪丸慶司(ゆきまるけいじ)が手を翳すと、周囲の家事とは比較にならないほどの真っ赤な炎が大入道に直撃する。
大入道は当てられた顔面を押さえながらよろめく。

——この世界には異形以外にも2つ、違うところがある。
1つは世界に生まれつき卓越した力を奇術。奇術とは、人間には通常出せない力を出せる人間を言う。起源は、仙人やら陰陽師から派生したともいわれるが、それは後程。
その力は多岐に渡る。
雪丸はその特力を使用する人間の1人だ。
 そしてもう1つ。先程話にもあったようにこうした大入道を始めとした人間に仇為す異形に対応するための組織を——……。

「特殊救急隊第7班第一補佐、入りまーす」

 鈍く、大きな音が浅草中央地に響き渡る。
それは、先ほどの少女が自分の背丈より何倍も大きな棒を大入道の頭にぶつけた音だった。
大入道はそんな思い攻撃に耐え切れず白目を向けて今度こそ倒れこむ。
 少女の棒が小さく鋏ぐらいの大きさに小さくなるとともに軽い音を立てて着地する。

「流石雪ちゃん、早いね」
「何が早いねだクソガキ……。テメェ近くにいただろうが……。何で俺らが先に攻撃してんだよ」
「若、避難全員したし、怪我人はいなかった。お、成葉(なるは)か、帰ってきていたんだな」

 着地した瞬間を狙って雪丸は成葉と呼ばれた少女の頭を片手で握り始める。
メキメキと鈍い音がするが抵抗するとさらに潰されるのだ。
 おお、と言いながら繋は雪丸に駆け寄った。ため息をつきながら雪丸は漸く成葉から手を離す。

「あのデカブツさっさと片付けるぞ。……お前ら!」

 大入道の周りを囲んでいる部下たちを呼ぶと、部下は雪丸の声に合わせて「へい!」と大きく返事をする。
 雪丸の声に合わせて、部下は意識の無い大入道を運んでいく。

「出張ご苦労さんだったな」
「まだ秋とはいえ京都は寒かった! あ、でも八つ橋チョコ味は美味しかったぜ」
「……それを雪の前で言うなよ」

 歩きながら繋はVサインをする成葉に苦笑する。
 人間に仇為す異形に対応するための組織を特殊救急隊。略して救急隊。
 そして、少女の名は雪丸成葉(ゆきまるなるは)。兄である慶司を隊長に置き、その兄の側近であり副隊長である繋を補佐する第一補佐官である。

——異形の起こす事件は多い。火災・水難・詐欺・殺人・誘拐など様々だ。
 それに対処する政府直属の機関を特殊命義隊。慶司を隊長とした第7班はこれら全てを対処できる数少ない部隊でもある。

Re: 最強の救急隊 ( No.3 )
日時: 2016/10/29 22:21
名前: @メンタル (ID: gdK5hR0W)

初めて見た小説なのですが
一気に引き込まれました!
何より異形と言う名前の付け方や世界観がとても面白かったです。
投稿頑張ってくださいね(#^^#)

Re: 最強の救急隊 ( No.4 )
日時: 2016/10/30 16:08
名前: ルビー (ID: NzSRvas.)

@メンタルさん

初めまして。
そういってもらえてうれしいです!
結構頭捻ったので書いた甲斐がありました。
これからも頑張ります。

Re: 最強の救急隊 ( No.5 )
日時: 2018/12/15 20:48
名前: ルビー ◆B.1NPYOoRQ (ID: YGRA.TgA)


 「クソガキ……。テメェ出張云々より八つ橋とか菓子に目が眩みすぎだろうがよ……」
「そ、そんなことないよ雪ちゃん。お偉いさん方の機嫌も損ねてないし今後についてもちゃんと聞いてきたし金閣寺にも行ってきた。あっ!」

 成葉は自分の失言に思わず口元を手で押さえた。
 大入道による事件も無事解決し、成葉を始めとした3人は自らの仕事場——本拠地である浅草、雷門通りの一室に帰っていた。
 この場所は、部屋が横に広がる和風の大きな敷地であり、ほぼ、3人の住居地でもあった。
今まで出張に出ていた成葉の丸々と太ったリュックを整理していると八つ橋、せんべい、味噌、和菓子など上げたらきりの無い食材の面々に思わず雪丸は彼女の頭を片手で掴んだ。

「……繋ゥ!」
「へい!」
「……繋、図ったな……!」

 思わず口を滑らせた成葉がしゃべり終わると同時に、雪丸は繋に向かって呼ぶ。
 即座にやってきた彼によって、成葉は分厚い布団の簀巻きのされてしまった。













「流石京都だな、菓子はうめぇ。甘すぎないからな」
「茶、入ったぜ若」
「全部食べないでよ! わたしも食べるから! あっ! ひよこサブレは止めてください!!」

 モグモグと涼しい顔で茶菓子を頬張る雪丸に、時間が経ってから簀巻きから解放され、書類整理をしている成葉は大声を上げた。
 繋が「残してやるから集中しろお嬢」と言ったため、菓子の行方が気になりつつも、書類の最後の1枚にサインした。
因みに彼女が書いていたのは始末書だ。先程の大入道の様に事件の詳細、被害者、破壊範囲など結構きっちり書かなくてはいけない。これは第一補佐官の仕事である。

「あ、そうだ。聞いてくれ2人とも」
「頑張って書類を終わらせた偉大なわたしに何の用でしょう」
「うるせぇ。テメェが余計なもん壊さなきゃそんなことになってねぇんだよ」

 ふと、思い出したかのように繋は言う。
畳に突っ伏したまま言葉を並べる成葉に雪丸の辛辣かつ的確な言葉が飛んだ。

「今朝入ったことなんだが……。来週辺りに1人新入りが来るらしい」
「嘘でしょ、まだ2話目だよ」

 繋の言葉にあからさまに嫌な顔をする成葉。
何も言わないが隊長である雪丸も同様の表情を浮かべていた。
理由は簡単。第7隊のことを説明するのが至極面倒くさい。それだけである。

「どうせあれだろが……。女だったら繋狙い、男だったら無駄にクソめんどくせぇ下剋上狙ってくんだろ……。月9ドラマ並みにめんどくせぇだろうが」
「もしそういう女が来たらわたし精神的に消されるぅ……」
「若、お嬢。そういう波風立てるような発言は止めてくれ」

 はー、と何もしていないのに疲れ切ったため息を付きながら胡坐をかく雪丸。
兄の言葉を聞いて成葉は顔を真っ青にして震えながらもみじ饅頭を食べ始める。
 月9ドラマと何があったんだ、と言いたげな繋は思わず冷や汗をかいた。

「一応証明写真と履歴は乗ってるんでしょ? どう、有能そう?」
「有能っちゃ有能なんだが……」

 彼女の問いに繋は何とも言えない顔つきで手に持っていた書類を床に置く。
それを雪丸が拾い上げる。成葉はそっと邪魔にならないように顔を覗かせた。
 写真を見ると、薄い金髪にくっきりとした目鼻立ち、そして手足も長い。
 そして第一に思った感想はこうだった。

「バイリンガルってやつか」
「結構なイケメンだね」
(……そこか……)

 繋は雪丸兄妹の微妙な発言に思わず眉を顰めた。


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