複雑・ファジー小説
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- Re:童話姫たちの殺し合いゲーム<群像劇/子ブタと子ヤギ>
- 日時: 2017/09/03 08:47
- 名前: 雪姫 (ID: hmF5PELO)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=5004
ある使命の為 ツギハギの物語を旅する少年
ある目的の為 姉妹を殺す赤い頭巾を被った少女
己の願いの為 姉妹を殺す五人の姉妹と使徒
個々に存在する物語はクロスする——
◇ご挨拶◇
おはこんばんわんこ(。´・ω・)
知っている人は知っているかもしれない雪姫(ユキヒメ)でございます。
最近とあるゲームにはまりまして…で、思い付きで書き始めたのがコレ。
ネットで童話の原作色々探すんですが…どれも怖いですねー( ;∀;)
そんな怖い童話をサクサクスナック菓子感覚で楽しめるようにしたのがこの作品デッス?
コメント・お友達なろう大歓迎です♪←とゆうか言われたらヒャッハー♪って大喜びです(*ノωノ)
◆attention◆
※タイトル通り、童話の登場人物の名前をした人物達が殺し合いをしています。
※グロ・残酷描写あります。スレ主がそうゆうの苦手なので軽めになってる…とは思う……ちとせとら。
※童話の原作は噂通りの内容です。苦手な方はスルーをお勧めします。
※貴方様の好きな人物のイメージが崩壊するかもしれません。
基本全員 狂気に狂っています。ご了承くださいませ。
※荒らし、チェンメ、中傷はお帰りください。
※誤字、脱字、多々見受けられると思います。お知らせいただけると幸いです。
※スレ主の心はガラス製です。皆さま大切に扱いましょう笑
※スレ主は社会人なので亀さんと蝸牛さんが競争しているようなものです(つまり亀更)
※この作品は本編とは別物です(一応。でもまとめようか悩み中)
※群像劇ですので、好きなお話から/だけ読んで頂いても大丈夫なようになっています。
でも両方/全部 読んで頂けると物語がより一層楽しめるようになっています。
†登場人物・用語紹介†
+序章>>01+一節>>17+二節>>35
◇story◇
序章<ツギハギ>&没<序章>>>16
一節<末の妹と双子>
(原作)ラプンツェル(アレンジ少々アリ)>>04
お菓子な国の物語>>05 >>08-12…END
Яお菓子な塔の物語>>23-26…END
(原作)ヘンゼルとグレーテル(アレンジ少々アリ)>>13-15
お菓子な双子の物語>>18-22END
二節<四女と七番の山羊>
(現代語訳)竹取物語(口語訳)>>27-34
竹林の国の物語>>36-39…END
К竹林の賭博の物語
三匹の子ブタ>>40
オオカミと七匹の子ヤギ…執筆中
竹林の七の物語
◆information◆
スレ設立日2017/7/26(水)
【宣伝】
Re:童話姫たちの殺し合い<鮮血に染まった赤き頭巾の少女編>*ダークファ板*
本編/本軸。記憶の無い少年と"暴力”赤い頭巾の少女と"依存”木の人形達がある目的のため姉妹を殺す物語。
こちらと本編両方を読むことで物語がより一層楽しめるようになっております。
<俺のペットはアホガール>*新コメライ板*
空前絶後のアホな女の子とその友達が巻き起こすハチャメチャな事件を飼い主的存在の男の子がズバァァと解決? する日常風景を切り取った物語。
オリキャラ&リクエスト絶賛募集中でございます!
□comment□
・sol様
- お菓子な双子の物語~ヘンゼルside~ ( No.18 )
- 日時: 2017/08/08 10:41
- 名前: 雪姫 (ID: G8tpxkEf)
ここまでは原作での物語(アレンジ少々アリ)
これから始まる物語は 平和で楽しい余生を送った
ヘンゼルとグレーテルとは また別のヘンゼルとグレーテルのお話—
むかし むかし 親に捨てられた可哀想な兄妹がいました。
兄の名前はヘンゼル
妹の名前はグレーテル
とても仲の良い双子の兄妹でした。
暗くて怖い森に迷い込んだ二人は悪い魔女に捕まってしまいました。
魔女はヘンゼルを食べようとしました、ですが兄妹二人で協力し魔女を釜戸の中へ放り込み焼き殺すことに成功しました。
めでたし— めでたし—♪ ハッピーエンドとなるはずでした—
「殺りました兄さま、悪い魔女が死にました」
悪い魔女が死んでくれたことに喜ぶグレーテル。よかった彼女の笑顔をまた見れる、それだけで僕は救われたような気持ちになる。
「そうだねグレーテル…」
「兄さま…? お疲れなのですか」
「うん。安心したらどっと疲れが出たみたいだ」
「それは大変。大丈夫ですよ、兄さま。私が傍にいますから」
「…うん」
僕はグレーテルの暖かいぬくもりに抱かれ瞼を閉じようとした
『……魔女を焼殺するなんて怖い子供達ね』
「…どちらさまですか」
閉じかけていた瞼を開けるとそこには、赤い頭巾を被った少女が僕たちの前に仁王立ちしていた。その手には長い刃物が握りしめられている。
この少女はどこか…危険な気がする。彼女が着ている頭巾から鉛のような臭いがする。
「グレーテルッ」
この人は危険だとグレーテルに伝えようとした時すでに遅し
「………」
グレーテルの頭がなかった—
僕の大好きな グレーテルの笑顔がなかった—
あるのは胴体とスプリンクラーのように噴き出す血だった—
「ッ」
反射的に赤い頭巾を被った少女を睨み付けたけど
ゴロン
その時すでに僕の頭は床に転がっていた—
『これで二人。また新しい駒が揃った。
アハッ アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ♪』
最期に聞いたのは少女の狂った笑い声だった—
- お菓子な双子の物語~ヘンゼルside ( No.19 )
- 日時: 2017/08/09 09:07
- 名前: 雪姫 (ID: U2d6Cmja)
「ここは…?」
目覚めた場所は暗闇だった。僕達が捨てられたあの森よりも真っ暗な闇。
「どこだろう…グレーテルは?」
「…兄さま?」
「グレーテル! どこにいるんだっグレーテル!?」
「私はここです。兄さま!」
声は聞こえるけど暗闇のせいで姿が見えない。がむしゃらに手を振り回していると
「あっ!」
「兄さまの手…?」
「グレーテルの手…?」
僕達はお互いの存在を確かめる為、抱き合った。この体に伝わってくるぬくもりは確かにグレーテルだ。
「暖かいです…兄さま」
「良かった。グレーテルが無事で……二人一緒なら怖くないよ」
「ええ」
そうだ。一人なら怖かったあの森も魔女も、グレーテルがいたから、二人一緒だったから乗り越えられた。
僕達は双子。生まれた時からずっと一緒。だからこれからだって
「ずっと一緒に居ましょうね……兄さま」
「ずっと一緒に居ようね……グレーテル」
その後…僕達は暗闇の中を彷徨い歩いた。どこまでもずっと…歩き彷徨った。
誰か。人間はいないか…と探しながら、彷徨い歩き続けた結果
『貴方達が新たな来訪者』
黒真珠のような黒い髪と瞳をした少女に出会った。彼女の体には大小いくつもの時計とそれを繋ぎ縛る鎖が体を緊縛するように縛られていました。
彼女の背には長いとても長い刀がありました。あの刀を見ると魔女の家で僕達を斬り殺したあの少女のことを思い出してしまう。
僕達は少女に 囚われた 捕まった 契約された
僕達は少女の 下僕 奴隷 使徒
—となった
ここは死者の国"ゲヘナ” 罪人の魂が堕ちる国"ゲヘナ”
魔女を殺した僕達は罪人なのでしょうか—?
あれから数ヶ月がたった—
僕達は少女が治める要塞都市で平和に暮らしていたかった
ご飯は一日一食、睡眠時間は三時間、何をしてもしなくても殴られ拷問の日々
それでもグレーテルに被害を加えないのなら、それで良い。傷つけられるのが僕だけならそれで良い。
それで良かったのに—
『この子達が貴女の新しい使徒よ』
『この子達が新しいオモチャなの? ありがとうなの、???お姉チャン♪』
使える主が変わりました。長い金髪の髪をした少女に変わりました。
無邪気に笑う彼女の表情を見ていると、嫌悪感から吐きそうになる。気持ち悪い…彼女は危険だと本能が訴えかける。
「「………」」
その時僕達に出来たのは無言で頷く事だけ。僕達に発言権など与えられていないから—
『ええー!!』
金髪の少女に連れて来られたのは森だった。木々が青々と生い茂し太陽を隠してしまう暗ーい森。あの森に戻って来たような気持ちになる。
「怖いわ、ヘンゼル兄さま。この森魔女が出そう」
そう感じたのはグレーテルも同じだったみたいだ。
「大丈夫だよ、グレーテル。僕が君を守ってあげるから」
グレーテルの手を強く握りしめる。グレーテルも強く握り返してくれる。
そう大丈夫。一人では怖い森も二人一緒なら怖くなんかない—
森に連れて来られてから数年がたった 森の中は来た当初とは別物になっていった
『ポッポッポー』
歌う 雲 木々 花々 動物達
『あー、毎日暇だなー』
『暇って事は平和だってことだろう? ならいいじゃないか』
『だけどもなー』
自分の意思を持ちお喋りをする甲冑達
暗くて怖い森はいつの間にか、陽気で明るい森になっていた。でも何故か恐怖心はまだ消えない、むしろ来た当初よりも強まったかもしれない。
『ルンル〜ンなの〜♪』
あの金髪の少女への疑いの気持ちが—
「覚えていますか、ヘンゼル兄さま」
「もちろん覚えているよ、グレーテル」
「そうよね、私達の大事な大事な思い出ですものね。
魔女に食べられそうになったのは怖かったです 兄さま」
「ああ。本当に食べられてしまうのでないかと怖かった。
でもあのお菓子の家は美味しかったね、グレーテル」
「えぇ…本当に美味しかった。出来る事ならまた兄さまと食べたいです」
…でもね、グレーテル。僕はあの美味しかったお菓子の家よりも
—君が"食べたい”よ
愛しい君はきっとあんな魔女が作った家よりも絶対に美味しいはずだ、そうに決まっている!
でも、君を食べてしまったら、僕のグレーテルが居なくなってしまう……だから僕はこの歪んだ衝動を抑え込み
「僕もだよ、グレーテル」
と言って彼女の頭を撫でてあげる。頭を撫でてると嬉しそうに笑う、グレーテルの顔が可愛くてたまらなく好きだ。
「グレーテル」「ヘンゼル兄さま」
『聞いてなの! お菓子ってなんなの!!』
ドンッと誰かに突き飛ばされたような衝撃がした
フワッと僕の体は宙に放り出され、窓から塔の外へ
どうしてこうも 死の瞬間というのは ゆっくり スローモーションに感じるんだろう
車にはねられる時もそうだけど 今の僕のように高い所から落ちる時もそうだ
引力には逆らえない。物凄いスピードで落ちているはずなのに 体感速度はそんなにも速くない。
ゆっくりと落ちていく おかけでこうして考え事が出来るわけだ
グチャァァァァリッ
……と思っていたけどそんなに時間はなかったみたいだ。体の血が外へ流れ出ているのがわかる。
「嗚呼…気持ちが悪い」
グレーテルは大丈夫かな。僕が居なくてもちゃんとやっていける?
「嗚呼…きっと無理だ」
僕がいないと。僕達は二人で一つなのだから
「ッ」
起き上がろうとしても体が言うことを聞かない。どうやら落下した衝撃で脊髄を損傷してしまったみたいだ。
『オニクだ〜オニク〜♪』
『お空から落ちて来たオニク♪』
『美味しそうなオニク〜♪』
歌い踊る森の動物達。このまま彼らに食べられる…?
「…だ…め…だ」
そんな事は絶対に駄目。僕達はずっと一緒。だから
食べられるのならグレーテルに"食べられたい”
薄れゆく意識の中 僕は強く そう願った——
- お菓子な双子の物語~グレーテルside ( No.20 )
- 日時: 2017/08/10 09:29
- 名前: 雪姫 (ID: ujrmNVNs)
私は双子の兄 ヘンゼル兄さまが大好きです。心の底から愛しています。
兄さまは覚えているでしょうか私達の魔女に植え付けられた恐怖。
「もちろん覚えているよ、グレーテル」
良かった覚えて下さった。
悪い魔女に捕まって食べられそうになったお話。忌々しい過去/生前の記憶。
「ああ。本当に食べられてしまうのでないかと怖かった。
でもあのお菓子の家は美味しかったね、グレーテル」
そうですね兄さま。あのお菓子の家はとても美味しかった。
…ですが私はあの家をまた食べるくらいなら
兄さまが"食べたい”
—愛しい 愛しい 兄さま
兄さまの 笑顔が好き
兄さまの 優しい声が好き
兄さまの 暖かい手が好き
愛しい ヘンゼル兄さま—
『聞いてなの! お菓子ってなんなの!!』
なのに突然兄さまが私の前から姿を消した。何処へ行かれたの? ヘンゼル兄さま—?
塔の中をくまなく探す でも見つからない
長い階段を下りて行く でも見つからない
『オニクだ〜オニク〜♪』
『お空から落ちて来たオニク♪』
『美味しそうなオニク〜♪』
一番下まで辿り着くと森の獣達が何かに群がっています。
「嗚呼…気持ちが悪い」
バリバリッと骨が砕く音
ジュブジュッと血をすすり肉を食べる音
この獣達を追い払いましょうか
「嗚呼…きっと無理です」
私一人では、獣達を追い払うことは出来ません。何かをする時は必ず隣に兄さまが居ました。
獣達がむさぼる肉からは甘くてとてもいい匂いがします。食欲の誘ういい匂い。
「こんな所にいたのですね、兄さま。探しましたよ」
肉をむさぼり食う獣達の中心にヘンゼル兄さまはいらっしゃいました。
どうしてそんな所でに居るのだろうと思いながらも、私は兄さまを"引きちぎり”ました。
「嗚呼— 愛しい 愛しい ヘンゼル兄さま」
私は兄さまに頬ずりします。
『こ、こいつやべーぞ!?』
『に、逃げろ〜!』
どうしてか森の獣達は逃げて行きました。でも良かった"兄さまが全部食べられなくて”
獣達が食べ残した肉を塔の調理室へ持ち帰りました。
「調理の仕方はどうしましょう?
オリーブオイルにバジルに胡椒、臭み消しにローリエを」
いいえ。"兄さま”は調味料を入れなくたって美味しいはずです。
「出来上がりました。さあ一緒に食べましょ? 兄さま」
鳥籠の中に入った兄さまに話しかけます。兄さまは無言です。怒っているのでしょうか?
「ヘンゼル兄さまが悪いのですよ? 私の前から突然いなくなったりするから…。
だからこれは罰です。ふふふ…これに懲りたらもういなくなったりしないでくださいね」
(「わかったよ、グレーテル」)
「よかったです。さ、冷めないうちに食べましょう」
パクリと一口。なぜでしょう…ポロポロと大粒の涙が流れます。
「兄さま、何故私は泣いているのでしょう?」
(「それはグレーテルの作った料理が美味しかったからだよ」)
「ふふふ…もう兄さまたらっ」
美味しいのは当然のことです。だって"兄さま”は美味しいに決まっているのだから—
- お菓子な双子の物語~グレーテルside ( No.21 )
- 日時: 2017/08/11 09:45
- 名前: 雪姫 (ID: syyiHjY.)
—愛しい 愛しい 兄さま
兄さまの 笑顔が好き
—でもたまに 兄さまの笑顔がどんなだったのか思い出せなくなります
兄さまの 優しい声が好き
—でもたまに 兄さまの声がどんなだったのか思い出せなくなります
兄さまの 暖かい手が好き
—でもたまに 兄さまの暖かさはどんなだったのか思い出せなくなります
愛しい ヘンゼル兄さま—
あれから数年 いえ数百年 もしかしたら数千、数万、数億年の月日がたちました。
「見てください、兄さまここが私達の新しいお家ですよ」
(「………」)
恥ずかしがりやさんな兄さまは時々 お話をしなくなる。
「ふふふ…意地悪な兄さま」
私達の新居は、森に造ったお菓子で出来た家。あの金髪の魔女が造った塔なんかよりもずっと美味しいお菓子の家です。
私とヘンゼル兄さまだけ 二人だけの 王国
「さあ兄さま、今日は凄く良いお天気ですよ。一緒にピクニックでもしませんか?」
(「そうだねグレーテル。僕はサンドイッチが食べたいな」)
「もう兄さまったら食いしん坊ですね。いいですよ、兄さまが大好きなたまごサンドを沢山作ってあげますからね」
(「わぁ、ありがとうグレーテル」)
「ふふふ……」
鳥籠を愛おしく抱きしめる。嗚呼—愛しい 愛しい私の兄さま
鳥籠から出られない可哀想な兄さま
鳥籠の中でしか生きられない兄さま
でも大丈夫ですよ、私が兄さまの欲しい物すべて用意します。
兄さまが望むなら何処へだって行きましょう。
「ヘンゼル兄さま……今日も日差しが暖かく、ピクニック日和ですね。
ふふふ…そんなに慌てなくても大丈夫ですよ。全部食べたりしませんから」
(「仕方ないよ、グレーテルの作ったたまごサンドが美味しすぎるのがいけないんだよ」)
「もうっ兄さまったら……いくら美味しいからってそんなにガツガツ食べていたら喉に詰まらせてしまいますよ?
世話のやける兄さま…ふふふ」
嗚呼—愛しい 愛しい 私だけの兄さま 永遠にずっと一緒にいましょうね。
ガッ
「……あ」
金属のような 硬い何かがぶつかったような音がしました。なんの音でしょうか兄さま?
『兄さま? どこへ行ったの兄さま? ヘンゼル兄さま?
兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま……ヘンゼル兄さまどこへ行かれたの?』
お菓子の家にも居ません。森の中にも居ません。周りの何処を探しても兄さまは居ませんでした。
兄さまは鳥籠の中
鳥籠の中の兄さま
と・り・か・ご—?
見つけた
腕の中に 大事に 大事に 抱きしめていた 兄さまを…
「……お前が兄さまを……」
血に濡れた赤い頭巾を被った魔女
「お前がヘンゼル兄さまを……」
『ニイサマ…? それは誰ですか?
あの "ボール”のことですか?』
ッ!? 愛しいヘンゼル兄さまがボール…?
私から兄さまを奪った 許さない 許さない—
「許さない……魔女!!」
兄さまが護身用にと誕生日の日に下さったナイフを魔女に向けて振り上げました。
「魔女! 魔女っ! 魔女!!」
でも小柄で華奢な魔女はすばしっこく逃げ足が速く仕留められません。
『アハハハッ♪ そんなのではボクはコロセませんよ?
サァもっとアソビましょう♪」』
愉快な魔女を見るのは不愉快だ。ヘンゼル兄さまを殺しておいて何故笑えるのです。私から愛しい兄さまを奪っておいて、何故!?
—兄さまが死んだ?
ヘンゼル兄さまはいつ亡くなりました?
私は何を言っているのでしょう、兄さまはたった今 目の前にいる赤い頭巾を被った魔女に殺された…そうそのはず…?
鳥籠の中には生き物が… 生命が… ヘンゼル兄さまが…?
「許さない…よくも…兄さまを
ヘンゼル兄さまを殺したな…魔女!
魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女」
そう、そうだ兄さまを殺したのはこの赤い頭巾を被った魔女—
私じゃない 私が愛しい兄さまを殺したりなんてしない—
するわけがない あの美味しいお肉は兄さまじゃない—
ヘンゼル兄さまは甘味のお味 ヘンゼル兄さまは美味 ヘンゼルはお肉—?
「許さない…よくも…兄さま……兄さま……」
『アハハハッ♪ もっと もっとアソビましょう♪』
- お菓子な双子の物語~グレーテルside ( No.22 )
- 日時: 2017/08/14 07:40
- 名前: 雪姫 (ID: UISKJ4Eq)
ナイフを振り回します。
『アハハハッ♪』
でも当たらない 魔女の体に刺さりません。
いくら振り回しても当たりません 刺さりません 斬れません。
嗚呼 兄さま ヘンゼル兄さま—
どうしたらあの赤い魔女を殺せるのでしょう 教えてください兄さま—
(「だめだよ、グレーテル」)
「……兄さま?」
今…兄さまの声が…これは幻聴? いいえ違います。あれは確かに兄さまの声だった。
(「こっちだよ、グレーテル」)
「あ……待って…兄さま
どこへ行かれるの兄さま…」
『ドコへ行くのですか? もっとボクとアソボウ?』
兄さまの声が遠のく、駄目、いけない、行かないでヘンゼル兄さま。私を独りにしないでください、ヘンゼル兄さま……
腕を何かに引っ掛けた。嗚呼、なんて邪魔な腕なんでしょう、引きちぎってしましょう。
ヘンゼル兄さまがいれば腕の一本や二本なんていらない、兄さまがさえいてくれば後はどうでもいい…のです。
(「さぁここだよ、グレーテル」)
「兄さま!」
どしてか兄さまがパン焼きがまの中へ入ってしまった。パン焼きかまの中は灼熱地獄、兄さまが焼け焦げてしまう。
助け出さないと、と私もパン焼きがまの中へ頭を突っ込みました。
ドンッと背を押され、バタンッとパン焼きがまの戸が閉まる音がしました。
ドンドンッといくら戸を叩いても開きそうもありません。
「兄さま…ヘンゼル兄さまは…どこ?」
(「………」)
「嗚呼— よかった、そこにいらしたんですね」
燃える炎の中見つけました。兄さまを入れていた鳥籠は熱で歪に歪み溶けていましたが、中身は無事でした。
「嗚呼— よかった、ヘンゼル兄さまが焼け焦げていなくて」
愛しい兄さまの"生首”抱きしめた—
愛しい兄さま"死”ぬ時も一緒ですよ—
え……ヘンゼル兄さまの生首—?
腕の中に大事に大事に抱きしめた愛しいモノを見下ろしました
そこには愛しいヘンゼル兄さまではなく、炎で皮膚が焼け溶け、骨も半ば灰と化した人骨でした
これは…誰? 兄さまはどこ? 私の愛しいヘンゼル兄さま…は何処?
兄さま? どこへ行ったの兄さま? ヘンゼル兄さま?
兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま……ヘンゼル兄さまどこへ行かれたの?
嗚呼— そうかこの人骨こそが—
「嗚呼ァァァァァァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
[見たい真実だけを見続けたグレーテル
信じたい真実だけを信じ続けたグレーテル
これは<虚妄>に囚われたグレーテルのお話]
<虚妄END>