複雑・ファジー小説
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- 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1
- 日時: 2018/01/14 14:58
- 名前: 咲葵 (ID: floOW.c4)
- 参照: .
昨日、夕焼けが魅入るほど綺麗だった。
今日、風が涼しくて町を散歩した。
明日、学校で部活をする。
明後日、どこで何をしよう。
一週間後、大切な人が死んでしまうかもしれない。
一ヶ月後、私は死んでしまうかもしれない。
一年後、世界は滅びるかもしれない。
いつか、また世界は生まれ変わるかもしれない。
あなたは自分の命と世界、どちらを選びますか?
自分の命?世界が滅んでしまっても良いんですか?
世界?あなたの命が尽きてしまっても良いんですか?
どちらを選んでもバッドエンドが待っている。
でも、ただひとつだけ分かることがある。
それはどんな物語にも有りそうなこと。
それは。
──どんなときだって独りじゃないってこと。
……ほら、もう一度戦うんだ。
全ては世界ノ存亡の為ニ。
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.13 )
- 日時: 2018/02/04 15:06
- 名前: 咲葵 (ID: MXERWh7v)
「……つーかさ、
このビルのセキュリティどうなってんの?
中途半端な気がすんだけど。
だってそうじゃね?
…………ま、鍵探すか。」
独り言なのか、翔君が
ブツブツとビルについて言っている。
確かに、此処のセキュリティは中途半端だ。
ビルの入口には鍵は掛かっていなかった、
しかしさっきのパソコンには
監視カメラからの映像……
そして此処の扉には鍵が掛かっている。
──わざと私達を此処に入れた──
そんな考えが、脳裏をよぎる。
「見つからないね、鍵。」
夢ちゃんが疲れたようにそう声を沈ませた。
しかし、明らかに此処には
私達以外の"誰か"が居る。
呑気に休んで行くわけにはいかない。
『カチャ』
と、その時何かが開くような音が扉からした。
『ガチャ』
私はそのドアノブに手をかけて捻る。
そして、前に────
「…………おい。」
翔君が低い声で言った。
前には、見た通りの蓮弥君が居た。
けど、無表情で何も言ってくれない。
「……なぁ、聞こえてんの?」
翔君が、立ったままの蓮弥君に歩み寄る。
でも、彼はやっぱり何も言わない。
無表情なままだ。
しかし一分経つと、
蓮弥君は首を傾げその口を開いた。
「…………誰?」
と。
「あはは、冗談はよせよ、だってそうだろ?
この前まで、お前……。」
翔君はそう言いながらも目が笑っていない。
蓮弥君は、記憶を失くしている?
花桜李ちゃんが、蓮弥君に掴みかかる。
「忘れんなぁッ!
あんたは……ッ、
私達を忘れる様な馬鹿だったの!?
それとも私が馬鹿なの!?
もう…………心配かけさせないでッ!」
泣いているのか怒っているのか、
よく分からない声を振り絞っている。
「あっははははは……
あはははははははははは!
馬鹿だよ、"全員が"ね!」
「姉、さん。」
後ろから、黒いワンピを着た
赤髪黒目の女性が出てきた。
それも、狂笑しながら。
でも、それよりも
蓮弥君のその言葉に驚いた。
この人が、お姉さん?
「……あなたですか?世界を壊したのは。」
私は女性に問う。
女性はお腹を抑えながら、
私をその漆黒の目で見た。
「…………ええ、そうよ。」
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.14 )
- 日時: 2018/02/05 18:23
- 名前: 咲葵 (ID: MXERWh7v)
- 参照: .
「…………ッ!」
女性のその言葉を聞いて、
翔君は相手を強く睨んだ。
「…………そんなに睨んで、
私に何か恨みでも?
あぁ、でもね……私、
とてもとても優しいから
全てお話してあげる。
『この世界に起こった事』を……。」
妖艶な笑みを浮かべ、
女性はサッと蓮弥君の背後に回り込み、
そして蓮弥君の肩を優しく掴んだ。
「ふふっ、簡単よ?
私はね……世界の全ての機能を
支配することが出来るの。
能力……とでも言っておきましょうか。
今から何日前だったかしら?
まぁとりあえず、世界の機能を
緩くしていったのよ。
例えばね、時間軸……とか?
…………ま、あなた達が
すぐに、邪魔に入ったけどね。
どうしてか解らないけど、
誰も入ることが出来ないはずの
私の世界にあなた達が入ってきたのよ。
物事には何でも順序があるでしょ?
私の場合、能力で私の創り出した
空想の世界に手を加え、
徐々にこの現実世界と融合させる事が
必要となっているの。
現実世界の機能を落としながら、ね。
そんな中、あなた達が
夕暮時と一緒に入り込んでくるものだから
とても興味が出てきちゃって♪
すこーしだけ、遊ばせてあげてたの。」
彼女の言っていることは、
全く意味がわからない。
能力?機能?
でも、それより聞きたいことがある。
「じゃあ、私達にメールを
送ってきたのは誰ですか?」
と。
この人がメールを
していたようには見えない。
すると、彼女はまだ蓮弥君の
肩を掴んだままニコリと笑って
「……何のことかしら?」
と話を否定した。
知らないのだろうか。
「……私達に、
何度も同じアドレスから
メールが届きました。
初めて届いた後、
私達は変な場所に一時的に
自動移動させられます。
その人は、空間移動と
その現象を呼称していましたが……。」
「…………どうして
空間移動なんて言葉、知ってるの?
私、そんなメール知らないわよ。」
私が話を続けると明らかに
相手の表情が一変した。
空間移動、という言葉を
知っている様だ。
しかし、メールを知らないようだ。
じゃあ、誰がメールを……?
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.15 )
- 日時: 2018/02/06 06:11
- 名前: 咲葵 (ID: tAwbt3.x)
- 参照: .
…………つまり、
彼女以外に誰かが世界を
操作していた可能性がある?
そんな考えが、
まるで走馬灯の様に遅くよぎった。
まさか、ね。
そう自分に言い聞かせながら、
相手の表情を見つめる。
相手の表情はまた穏やかになる。
でも、油断はできない。
だって、この世界がいつ
『本当』になるかわからない。
もしかしたら、もう既に
なっているのかもしれない。
「…………さ、
もう全部終わりにしましょうか。
こんな世界、もう壊せば良いし。」
その黒い瞳が、
鏡のように鋭く私を映す。
「──もう、全ては
初めから決まっていたの──。」
それは、爆破犯が爆破スイッチを
押すタイミングよりも、
隕石が突然落ちてくるタイミングよりも、
──きっと──きっと、
どれよりもほんの一瞬の事だった。
「お姉、ちゃん……。」
「…………!」
彼女が目を見開く。
蓮弥君が、自分の懐に
隠していたのであろう
ナイフを自分の胸に突き刺したのだ。
「駄目……そんな事したら、
蓮弥はずっと帰られなくなる……!
今までの事も、全部意味が──!」
「──お姉ちゃん。
────これで────
────良かったんだ。」
その言葉がまるで最期の挨拶かのように、
蓮弥君は目を静かに閉じた。
まるで、
『さようなら』
と言っているかのように……
蓮弥君の顔は微笑んでいる。
まだ、私達の事を思い出せずに。
「…………………………。
……世界を、消す意味も……
全部全部無くなった……。」
今、ここで何が起きているのか。
そんな事、私にはわからない。
ただ分かるのは、
蓮弥君が今死んでしまったこと。
あれ?でもこんな筈じゃ……
なかったのにな。
「──────。」
彼女が、何かを言い放った。
その瞬間、白い光が辺りを包み込んだ。
そして、奈落へ堕ちてゆく。
どれもこれも全部、
黒い渦の中に沈んでゆく。
光はもう赤黒くなり
静かに消えていった。
皆が、見えないんだ。
でも、その時に誰かの声が
そこに儚く綺麗に咲き響いた。
「お休みなさい。」
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.16 )
- 日時: 2018/02/06 22:38
- 名前: 咲葵 (ID: El07VYkm)
- 参照: .
私、何がしたかったんだろ。
ただ、世界が救いたかったの?
ううん、きっとそうじゃない。
また、別の…………目的が、
あった筈なんだけどな。
何だったっけ?
最後の最後まで、
理解することが出来なかった。
もう全部消えて、
私の意識もきっと消える。
全部忘れて、
みんなの事、も……。
別に、誰の事も恨んでないよ。
だって、仕方が無かったんだ。
あの女の人にだって、
きっと世界を消す理由があったんだ。
ああ、でもね、私……
消える前に、これだけは皆に
伝えておきたいんだ。
もう、届きもしないけど、きっと。
「またいつか会おうね」
……って、ね。
会える確証なんて、何処にも無いのに。
終
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.17 )
- 日時: 2018/02/06 22:52
- 名前: 咲葵 (ID: El07VYkm)
- 参照: .
【あとがき】
はい、作者です。
もう……グダグダですね(苦笑)
実は第二弾決定しておりまして、
神視点……つまり、
本当に何が何処で起きたのか、
そして零藍以外の少年少女
いつ、何処で何をしていたのか……を、
細かく物語形式で書く事が出来るようになります。
是非読んでくださると幸いです。
今回は意味のわからない終わり方をしましたが……
次回は絶対にそんなことはしません(笑)
ということで、
コメントして下さると嬉しいなぁ……(((((((
はい、咲葵でした!
読んでくださった方々、
本当に本当にありがとうございました!
これからも、精進していきたいと思います。
目標:とある文庫の大賞で一次通過し
採点者様に指摘評価を受ける事。