複雑・ファジー小説

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戯構築世界ノ終末戦線
日時: 2023/03/18 07:52
名前: htk (ID: 7gGQw8LV)

作者にはほぼオンラインゲームの知識がありませんが、VRものです

ダークの方でもう一作品掲載させて頂いておりますが、今の所向こうの世界観とは特に繋がりはありません←たぶん?

内容は主に、NPC側の視点を主題とした物語にしようとは考えていますが、プレイヤー視点の話もよく挿話で挟まれたりして、読み手を選ぶ構成かもしれません

作者の稚拙さもあって、まだまだ作中内のゲームの設定が煮詰まっていないので、場合によってはいつの間にか大幅改訂される場合があります
なるべく読み返さなくても良いような修正に留めようとは考えていますが、そのあたりは先々の展開によって左右されてくると思いますので、予めご了承して下さると助かります

尚、当作にはプレイヤー視点の掲示板回がありますので、アンカー(>>)が含まれるレスが時折見られますが間違って押しても見当違いのページに飛ばされるか、まだ何の投稿もされてないページへ送られる場合がありますので、読者様はお気を付け下さい

※10、11話目の補足ですが、たぶん何かの伏線だとは思うんですが、実は作者にもよく分かっていません
なので、先の展開の都合で後で書き直す可能性があります

※17話目から20話目ーー4話一気に投稿しました
以降、書き置きの修正等で暫く更新止まります



以下、目次


1話目=>>1
2話目=>>2
3話目=>>3
4話目=>>4
5話目=>>5
6話目=>>6
7話目=>>7
8話目=>>8
9話目=>>9
10話目=>>10
11話目=>>11
12話目=>>12
13話目=>>13
14話目=>>14
15話目=>>15
16話目=>>16
17話目=>>17
18話目=>>18
19話目=>>19
20話目=>>20

Re: 戯構築世界ノ終末戦線 ( No.16 )
日時: 2023/03/17 16:12
名前: htk (ID: ywuu9mPA)

1章〜〜第1幕、挿話その4ーーコノミの話



 掲示板でイベらしい情報を見たわたしは、せっかくだからスレを立ててみた。
 何故か名前表示になったのは誤算だったけど、後々ーーゲーム愛好会のメンバーと合流する事を思えば、別に名前バレしても問題無い気はする。
 妖精のアドバイスもそこそこに切り上げ、わたしは《妖精の森・深奥》と表示される森に向かった。



 その後、野犬の魔物に襲われたわたしは華麗に舞い、蝶のように刺すーーってゆう風にはいかなかった。
 脇腹を食い破られ、何だか見てはイケナイ自分の中身が零れるのもそのままーー光となって消える。
 次に目を開けると、メモリアル・クリスタルーー所謂、セーブポイントの前だ。
「アラんっ?まーた戻ってきましたね!?
どうなのですっ!?
、、そろそろ自分の卑小さを認め、次期女王たるワタクシに助力を請うべきなのですっ!」
 勝ち誇ったようにエイミーがそう仰るけど、まだまだーー。



 最初は野犬、その次は蜘蛛、そしてまた野犬ときて、その次は巨大な豚だった。
 ピグルミートンってゆう魔物で、睨み合っていたのも束の間ーー。
ーーいきなり猛進してきた大質量に轢き潰される。
「くっへウ?!」
 既に内臓の幾つかが潰されたような感じだけど、わたしは立ち上がった。
 痛みと吐き気で気持ち悪くなりそうになりながらも初期装備の木剣を構え、次なる突進を迎え撃つ。
 コマンドプレートを表示し、最初から使えたスキル【飛燕斬】ーーそれをアイプッシュで発動。
 跳躍中、翻りざまに剣を打ち下ろすけど、巨豚の頭上を跳び越えただけで当たらない。
 これが高い所の敵とか空を飛んでる敵なら効果覿面なんだと思うけど、このピグルミートンとは相性が悪い。
 お世辞にも体格が良いとはいえないわたしの身体だと、幾ら能力値で普段以上に動けるっていってもーー所詮は付け焼き刃だった。
 折り返しの突進を躱し、何度目かの【飛燕斬】で辛くも逃れる。
 でも、遂には恐れてた事態がきた。
 TPーースキルを使用する際に支払われる、通力値切れだ。
 このゲームは一風変わってて、わたしでも知ってるMPでも無ければ、TPーーテクニカルポイントでも無く、通力値で技を使用する。
 その通力値ーーTPが切れたわたしは、正面衝突される前に何とか跳び出した。
 進路上に身体を残してたら、今度こそ生命値ーーLPが底を突いたと思う。
 爪先スレスレを掠めた巨体は、すぐ側を通過されただけで吹き飛ばされそうだった。
 人が自動車やバスと戦ってるみたいな感じで、あまりにも無茶振りだ。
 わたしは地面に着いた掌をそのまま叩き付けたくなってーーそうして気付く。
 避けた背後でドシンーーって大きな物音がして振り返ると、木に突っ込んだ巨豚の上でヒヨコが回ってた。
 格ゲーでもお馴染みの、気絶表示だ。
 本能的にそれを悟ったわたしは、一気に駆け寄る。
 もうTPも無いし、もしあったとしても【飛燕斬】だと命中しそうに無いけど、今が絶好のチャンスだ。
 木剣で左右に乱れ斬りーーみたいなつもりで攻撃を繰り返す。
 途中、それに物足りなさを感じたわたしは爪先や肘、後ろ回し蹴りをキメつつ最後に跳躍した。
【飛燕斬】ーーは既に打てないから、生家伝来の踵落としだ。
 巨大な体躯に重く乗しかかるような一撃だったって自負してるけど、でもーー。
ーー着地の瞬間に軸足がズレたのが良くなかった。
 既にピヨリ状態のヒヨコは何処かへ飛び去り、唐突に振り上げられた巨豚の後ろ脚ーー。
ーーわたしはそれを顔面に受け、また死に戻った。



 視界が一瞬暗くなった後、アナウンスが流れ始める。

〈ーー/
称号、〈伝来の足癖〉を獲得しました。
それに伴い、《蹴士道》の主幹コマンドスキル、〈門弟育ちの足癖〉を習得しました。
〈蹴術〉の派生コマンドスキル、【感覚系?ラッシュ】を習得しました。
〈蹴術〉の派生コマンドスキル、【チョー!跳躍踵落とし】を習得しました。
/ーー〉

 何か、一気にきた。
 それで目を開けると、何度目かのメモリアル・クリスタルの前だ。
 難しい顔をするわたしに、妖精が語り掛ける。
「コノミっ、よく聞きなさい!
アナタはもう少し人の言うことを聞くべきなのですっ!」
「何で?
、、わたしはわたしのやりたいようにするし」
 意地だ。
 さっきのピグルミートンなら、もう一度出食わせば可能性がある気がした。
 まだ一度も魔物を倒せて無いけど微妙に能力値がアップした他、新しい称号とスキルが増えてる。
 私が難しい顔でステータスを見詰めてると、横からエイミーが覗き込んだ。
「フンフン?なるほどですっ!
表示〝おふ〟が邪魔なのですよ!?」
「あ!勝手に触っ、、?!」

〈ーー/
名前=コノミ
種族=ヒューマン
年齢=15歳
資格=《勇者》《蹴士》
称号=〈初代勇者〉〈妖精の弟子〉
〈伝来の足癖〉 new!
職業=【無職】

生命値(LP)=69/69 3up!
通力値(TP)=36/36 1up!
在命値(PP)=??/?? 1up!

膂力値=29 1up!
頑強値=20 1up!
知性値=15
精神値=24 1up!
敏捷値=31 2up!
技量値=21 1up!
運命値=34

主幹コマンドスキル=
《勇者道》┳〈聖装決壊氣〉
ーーーーー┣〈人助け〉
ーーーーー┣〈勇者の徴収〉
ーーーーー┣〈勇気への誘い〉
ーーーーー┣〈?〉
ーーーーー┣希少〈妖精師事〉
ーーーーー┗固有〈天剣技〉
《蹴士道》┳〈蹴術〉
ーーーーー┣未開〈?〉
ーーーーー┣未開〈?〉
ーーーーー┗希少〈門弟育ちの足癖〉 new!

派生コマンドスキル=
〈聖装決壊氣〉┳【天帝剣・振り下ろし】
ーーーーーーー┣未開【?】
ーーーーーーー┣未開【?】
ーーーーーーー┣未開【?】
ーーーーーーー┣未開【?】
ーーーーーーー┣未開【?】
ーーーーーーー┣未開【?】
ーーーーーーー┣未開【?】
ーーーーーーー┗未開【?】
〈天剣技〉┳【飛燕斬】
ーーーーー┣未開【?】
ーーーーー┣未開【?】
ーーーーー┣未開【?】
ーーーーー┣未開【?】
ーーーーー┣未開【?】
ーーーーー┣未開【?】
ーーーーー┣未開【?】
ーーーーー┗未開【?】
〈妖精師事〉┳【聖装授与】
ーーーーーー┣【妖精の悪戯】
ーーーーーー┣【フェアヒール】
ーーーーーー┣【妖精の追弾】
ーーーーーー┣未開【?】
ーーーーーー┣未開【?】
ーーーーーー┣未開【?】
ーーーーーー┣未開【?】
ーーーーーー┗未開【?】
〈蹴術〉┳【感覚系?ラッシュ】 new!
ーーーー┣【チョー!跳躍踵落とし】 new!
ーーーー┣未開【?】
ーーーー┣未開【?】
ーーーー┣未開【?】
ーーーー┣未開【?】
ーーーー┣未開【?】
ーーーー┣未開【?】
ーーーー┗未開【?】
/ーー〉

 派生コマンドスキル欄が全て表示onにされた。
 既にわたしは確認済みだったけど、最初は未開ーー未開放スキルが多くて目が回りそう。
 エイミーは勝手にそれを見て、こう言ってのける。
「コノミのこの〝すていたす〟なら森を抜けるぐらいワケないのですよ!」
「どういうこと?
わたし、さっきも死に戻ったんだけど?」
 疑わしい視線を送った。
 いくらこの妖精が巨大化出来るからって、それとわたしとは関係無い。
 エイミーはしたり顔で、何も分かってないのねーーみたいに言ってくる。
「フフんっ!そこに〈妖精師事〉があるじゃありませんかっ!?」
「え、、?だって使いたくないし、、」
 思わず本音を言っちゃったけど、それに構わずエイミーは続ける。
「アナタの《勇者道》の主幹スキル、〈勇気への誘い〉を使い、ワタクシとパーティを組むのですっ!
それから〈聖装決壊氣〉を使えば、あんな犬や豚や蜘蛛なんかすぐにでも蹴散らせるのですよっ!?」
「え、、?でも、その〈聖装決壊氣〉って光か聖属性の武器を引き換えに大技出せるみたいなスキルだよね?
、、光属性の武器、持ってないんだけど?」
 気を良くしてるとこ悪いけど、指摘した。
 確かに〈聖装決壊氣〉からの派生コマンドスキルーー〈天帝剣・振り下ろし〉ならその字面を叫ぶだけで敵が吹き飛びそうな気はする。
 悪い意味でーー。
ーー思わず吹きそうな技名だけど、現状は使えないんだからどうにもならない。
 そう考えてると、エイミーは首を振る。
「これだから野蛮なヒュームはスキルの何たるかを何も理解していないのですっ!良いですかっ!?
まずはワタクシを〈勇気への誘い〉でパーティに誘い、そこで〈聖装授与〉なのですっ!
、、付いて来るのですよっ」
 言われたわたしは、若干ムッとしながらも妖精の後ろに付いていった。
 木々の広間の中央にあった大きな樹のーーその向こう側だ。
 陽射しがよく降り注ぐそこは、透き通りそうな水面ーー。
ーー泉が湧き出ていて、ちょっと思っていた景色と違った。



次話=>>17

Re: 戯構築世界ノ終末戦線 ( No.17 )
日時: 2023/03/18 07:27
名前: htk (ID: 7gGQw8LV)

1章〜〜第1幕、挿話その5ーーコノミの話



「さあっ、《勇気への誘い》でワタクシをパーティに誘うのですっ!」
「うん、別に良いけど、、」
 言われた通り、コマンドプレートを表示した。

〈ーー/
《勇者道》┳〈聖装決壊氣〉
ーーーーー┣〈人助け〉
ーーーーー┣〈勇者の徴収〉
ーーーーー┣〈勇気への誘い〉
ーーーーー┣〈?〉
ーーーーー┣希少〈妖精師事〉
ーーーーー┗固有〈天剣技〉
/ーー〉

 その中から、〈勇気への誘い〉を選ぶ。
 スキルの説明欄はこうだった。

〈ーー/
〈勇気への誘い〉:サポートスキル|TP消費-起動:0|PP消費-起動:0|属性:火-光|
対応する状況に際し、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)をいつでもパーティに誘える。
/ーー〉

 プレート表示からそれを選択し、アイプッシュでエイミーを選ぶ。

〈ーー/
エイミーとパーティを組みました。
/ーー〉

 システムアナウンスが流れて、エイミーはこくこくと頷いた。
 かと思ったら次の瞬間には身を翻し、水面に飛び込む。
 何でか、何となく既視感を感じるーー。
 よくありがちな聖剣を授かるとか、そういう定番の流れなのかなーー?
ーープクプクと気泡が上ってくるのを見てると、暫くしてエイミーが飛び出てきた。
 ビショビショだ。
 その後ろから、気泡に包まれた一振りの剣が浮かんでーーこっちに漂ってくる。
「さあっ!【聖装授与】を選択しなさいっ!
これでアナタもいっぱしの勇者となって、世の人々を救うのですっ!」
 言われた通り、さっきと同じように〈妖精指示〉のプレートから【聖装授与】を選んで、手を差し出した。
 すると気泡はパチンと弾け、わたしの手には何かこうーー色々出し渋ったような微妙な剣が収まる。
 初心者だからって、ケチられたわけじゃないよねーー?
ーー疑わしい視線を送ると、妖精が首を振る。
「アナタの技量に見合う聖剣がこれぐらいしか無かったのですっ!」
「そうなんだ
、、初心者だからしょうがないのかな?」
「ええ!同じものならまた水底から生えてきますから、ひとまずはその《聖剣・レプリカン》で魔物と戦うのですっ!」
 エイミーは既に飛んでいきそうな勢いだけど、剣が生えてくるーー?
ーーって聞いたわたしは、思わず水底を見詰めてみたけど何も見えない。
 それに《聖剣・レプリカン》ってーー。
ーーいい加減なネーミングセンスに変な顔になりつつも、再び森へと向かった。



 今度はお供付きだ。
 けれどもエイミーに手出しさせる気はさらさら無い。
 再び、都合3度目の野犬の魔物ーーフォレストドッグと遭遇したわたしは、敵と睨み合う。
 2頭だ。
 これが3頭以上なら一旦退くかどうしようか迷うけど、この野犬はこれまで単独で見掛けた事は無かった。
 だから、ちょうど良い相手だと思う。
 わたしは左右に散ったフォレストドッグを流し見て、視線の外れた一頭が向かって来るのを感じる。
 こういう動きは、多少は慣れてる。
 リアルでのプレイヤースキルが通用すると愛好会の会長は言ってたけど、それは本当みたいだった。
 視線を外したと見せ掛けて、そこですかさず後ろ回し蹴りーー。
ーー惜しくもその一撃は避けられるけど、返す足の甲で地面を蹴り上げる。
 目眩しだ。
 その動きの背後を取ったつもりのもう一匹に向け、聖剣もどきを払う。
 勿論、こんな程度の剣撃じゃ掠りもしない。
 鼻面の上を横切った剣を引き、わたしは後ろに跳び退った。
 1頭は視界に入った泥を前脚で拭うのに夢中だから、懐に入られた今がチャンスだ。
 コマンド表示からの〈聖装決壊氣〉ーー。
ーーアイプッシュで使用の意思を伝えると、手にした聖剣もどきが輝き出した。
 このスキルは、聖ーー若しくは光属性の装備を犠牲に強力な効果を発揮する。
 今はまだ一つしかコマンドが無いけど、使用カウントが増えると新たなスキルが覚えられるらしいから、どんどん使った方が今後の為みたい。
 わたしは躊躇無く、派生コマンドスキルの【天帝剣・振り下ろし】を使う。
 激しく輝く聖剣もどきを、そのまま大きく振りかぶった。
 これだと単に避けられてお終いかとも思ったけど、野犬の魔物は目を眩ましたらしい。
 輝く聖剣もどきを前に平伏するような姿勢のフォレストドッグへ、容赦の無い脳天割りーー。
ーー正直、もう少し手応えがあると思ってた。
 けれども、あっさりとフォレストドッグの身体を抜けた光の刃はーー野犬の後ろにある樹木ごと魔物を真っ二つにする。
 これ、確実にオーバーキルだよねーー?
ーーすんなりと抜けた長く伸びた光の一筋は、収まると共に掌から掻き消えた。
 聖剣もどきはボロボロと崩れ去り、それはーー左右二つに分かれた1頭も同じだ。
 光の粒となって消えたフォレストドッグーー。
ーー相棒が居なくなった事に、残る1頭もようやく気付いたみたい。
 これまでは引き裂かれたり、脇を食い千切られたりーー散々甚振ってくれた相手だけど、1対1だ。
 わたしは躊躇無く爪先を蹴り上げたけど、野犬の鼻面を横切った。
 そして、空いた大股にーー顎が喰らい付いてくる。
 けれども、懐までは跳び込ませない。
 宙で留めた足裏を思い切り振り下ろす、強烈な踵落としだ。
 頭上からの一撃を、微かな空気の流れで感じたんだと思うーー。
ーーフォレストドッグは身体を逸らそうと脇に跳びかけたけど、わたしは踵落としの膝を折り曲げる。
 ちょうどそこへ、踵に引っ掛けた野犬の喉頸を絞め、軸足で跳躍した。
 踵落としから変則させた足技は全身の体重を乗せた形で、大きく宙返りーー着地する。
 野犬の喉頸は、捉えたままだ。
 腿とふくらはぎの間でゴキリーーと音を鳴らしたわたしは、立ち上がりの際に蹴り跳ばした。
 フォレストドッグは無様に転がり、それから間も無くーー光となって消える。
「ふう、、
、、勝てたよ!」
 跳び上がって喜びはしないけど、初勝利はやっぱり嬉しい。
 それまで黙って観戦してたエイミーが、お誉めの言葉を述べる。
「よくやったのですっ!それでこそワタクシの弟子を名乗れるというもの!
褒めて仕すのですよっ!」
「弟子って、、
まあ別に良いかな」
 若干、この妖精との認識のズレには違和感を感じるけど、とやかくは言わない。
 いくらステータス欄に〈妖精の弟子〉って付いてたって、気分の上ではまた別問題だ。
 わたしは喜びもそこそこに進もうとすると、エイミーが引き留める。
「待ちなさいっ!何処へ向かうのです?」
「え?森の外だけど?」
「それならば、もう一度【聖装授与】してから行くのですっ!
あの最弱の《聖剣・レプリカン》なら数分と経たずに生えてきますから!」
「え?戻るの?
、、これからだってゆうのに!?」
 思わず声を張り上げちゃったけど、妖精はわたしの袖を掴んで放さない。
 確かに言われてみればーーあの〈聖装決壊氣〉からの【天帝剣・振り下ろし】で《聖剣・レプリカン》は壊れちゃったから、また泉に戻る必要はあると思う。
「え、、?何このクソゲー、、
、、敵倒すのに毎回武器破壊技って、ちょっとあり得ないんだけど!?」
 思わず本音が漏れた。



次話=>>18

Re: 戯構築世界ノ終末戦線 ( No.18 )
日時: 2023/03/18 07:32
名前: htk (ID: 7gGQw8LV)

1章〜〜第1幕、挿話その6ーーコノミの話



 その後、わたしは泉と森の往復を続けた。
 時々掲示板を見て、例の事件ーーPKによるマルトワ襲撃事件の情報を追う。
 スレで知り合った人達に動きがあったみたいだけど、この《妖精の森・深奥》ーー。
ーー此処から抜け出せないと現地には辿り着けない。
 幸いにもマルトワ山林国の首都は森を抜けられれば割と近そうだから、問題は今の非効率な繰り返しだ。
 わたしは樹上の節足動物ーー蜘蛛の魔物を相手に、〈天剣技〉の派生コマンド【飛燕斬】を放つ。
 高く跳躍しながらの、勢いを付けた斬り下ろしーー。
ーー宙で身を翻しながらの一撃は、胴部とその下を切断した。
 こう、スパッとねーー?
 次いでに魔物の足場になってた枝もーー。
ーー樹上から落ちていく蜘蛛は光となって消え、それを見下ろしながら着地する。
 最初に遭遇した時は糸で雁字搦めにされて死に戻ったけど、【飛燕斬】で十分に対応出来るからスキルカウント稼ぎに良い相手だった。
 わたしはまだ壊れてない聖剣もどきを鞘に戻し、掲示板をチェックする。
 いつの間にか建てられてた、わたしが立てて無い方のスレーー。
ーー名前表示無しのスレで名無しの人達が遣り取りしてたから、そっちも確認する。
「あれ、この人、、」
 何となく既視感のある話し方をする人に、思い切ってレスしてみた。
 弓使いの春樹ーー。
ーーその人は今、妖精の森を抜けた先のブナブエナの町に居るらしい。
 これまでは自分のスキル上げもあってエイミーには手出しさせなかったけど、このタイミングを逃すのも気が引けた。
 たぶん、何かのスキルでこっちの心を読んでくる妖精は、したり顔で話しかけてくる。
「フフんっ!ようやくワタクシの力を披露する時が来ましたねっ!」
「そうだよ
、、別に来たくないなら良いんだけど」
 ちょっとだけ断ってくれてもーーって思ってたけど、増長した妖精は威光を示すチャンスだと思ってるみたい。
 もう少しで拡がるんじゃないかとも思える小鼻を膨らませ、エイミーは言ってくる。
「下々がやっかむのも無理の無い話なのですっ!
何せワタクシは次期女王たる力を備えているのですから!」
「そうなんだ、、
早く行こ!
あんまり待たせたら悪いし、、」
 生返事もそのまま、わたしは森を進んだ。
 行く先々で野犬に囲まれても、巨豚に猛進されてもーー妖精から放たれる謎の光弾が適切なタイミングで敵を蹴散らした。
 わたしが剣撃を当てても外してもーーもしそれでトドメを刺せなかったら光弾が追撃するし、外してもわたしの隙をカバーする形で【妖精の追弾】が横から撃ち込まれる。
 道中は更なる苦戦を予想してたのに、楽過ぎた。
 その上、わたしが負傷すれば【フェアヒール】なんて敵味方関係無く回復するスキルを使ってくれるからーー有り難いのかどうかよく分からない存在でもある。
 極め付けは、【妖精の悪戯】なんてスキルでわたしが拾ったアイテムをいつの間にか使用し、所持品の欄がほとんど空だった。
 これまで未鑑定の薬草ーー?
ーーみたいなものやら、木の実とか虹色に輝く希少そうな葉とか採取出来たのに、それもいつの間にか無くなってる。
 今もエイミーはその木の実をポリポリとお菓子感覚で食べ、浪費するのに夢中だ。
「ねえ!それ止めてくれないかな!?
、、せっかく集めたのに、何で全部使っちゃうの!?」
「アラんっ!?それはワタクシへの献上品だからなのですよっ!
森の彩り、大地の恵みの全ては次期女王たるワタクシへの祝福を囁いているのです!」
「はあ?
意味分かんないし、何でこんなの連れて来ちゃったかな、、」
 自分の選択が誤りだった事を、今ーー死ぬ程後悔してる。
 わたしは口も聞きたくない妖精の事は出来るだけ視界に入れないよう、その後も森を進み続けた。



《妖精の森・西口》ーー。
ーーその表示が浮かんだのを確認して、前方を見る。
 辺りは草原で少し離れた所に、レンガの色合いを遠目にした。
 町だ。
 嫌な妖精と道中二人きりだったけど、この時ばかりは解放された気分になった。
 けれど、そこに水を差す声がする。
「フフんっ、人里なのです!?ああっ、穢らわしいっ!」
「そうゆうの、人前では止めなよ、、?エイミー
これから会う人も嫌な気分にさせたくないし、、」
 本気で嫌がってそうなのが、わたしも嫌だ。
 エイミーは自分の出生種族こそ最高ーーって思ってるみたいだけど、だからって他種族を馬鹿にしてるのはかなり感じ悪い。
「フフんっ、ヒュームの言葉なぞ知るものですかっ!?
ワタクシの力の恩恵に与っておきながら木の実の一つ二つぐらいで、、
、、些か狭量ではありませんかっ!?」
「、、はあ」
 溜め息を吐きながら、町の門へ向かった。
 ハーフリングの弓使い春樹ーー。
ーーそういうネーム表示の人を探したら、その人はすぐに見つかった。
 門の横で手を上げ、向こうもこっちに気付いたみたい。
「おおーい!こっちっす、こっち!」
「弓使いの人、、
春樹さんだよね?」
「そっす!勇者ちゃんっすね?
、、と、そちらのは?」
 わたしの横で浮いてる妖精を見て、背丈の低い人種ーーハーフリングの春樹さんが言った。
「あ、それは気にしないで、、!
嫌な気分になるから」
「そっすか、、?まあ勇者ちゃんが言うなら、、
んで、初の顔合わせっすね!
俺はもうご存知でしょうけど、ハーフリングの弓使いの春樹っす!
どうぞよろしく!」
「うん、こちらこそよろしく!春樹さん
、、その、わたしのことは呼び捨てでも良いんだけど」
「勇者ちゃんは勇者ちゃんっすね
、、遠目から見ても勇者ちゃんって感じっすから!」
「そ、そうかな、、?」
 何故かそう言われた。
 背丈の低い、丸顔の人種の彼が相槌を打つ。
「はい!でも、、
、、此処に来るまで自分はあんまりスキルカウント稼げなかったんすよね
夜中の魔物が強くて強くて、、
だから早速で悪いんすけど足手纏いになるかもしれないっす、、」
「あ、ううん!そんなの全然いいよ
せっかくだから一緒にスキル上げもしたいし、パーティ組もうよ!」
 メニュー画面から、フレンド申請ーー。
ーーその後、システムアナウンスを交えた遣り取りで春樹さんとパーティを組んだ。
 こういうゲームは初めてだから、ちょっと新鮮だよねーー?
ーー町の入り口付近をチラッと覗くのもそのまま、わたしは春樹さんと一緒に再び《妖精の森》へと進み、スキル上げに邁進した。



次話=>>19

Re: 戯構築世界ノ終末戦線 ( No.19 )
日時: 2023/03/18 07:38
名前: htk (ID: 7gGQw8LV)

1章〜〜第1幕、掲示板その4ーー副題(未定)



《初心者質問スレ、そのいち》





115:名無しの初心者
キャラクターメイキングで迷ってます
任意作成だと色々選べるみたいなんですが、レア種族が出るって本当ですか?


116:名無しの初心者
>>50
本当

基本はヒューマン、ハーフリング、ゴブリン、ハーフエルフ、亜獣人、ダンピール、ネフィリム、自動人形、サテュロス、ケンタウロス、ニンフ、鳥人、オーク、昆虫人、リザードマン、人魚
の、どれかだが

自動作成でここに載ってない種族が出る事があるらしい
ハーフじゃないちゃんとしたエルフとか


117:名無しの初心者
基本16種族プラス、レア種族か
悩むよな

とりあえずダンピールは選ばない方がいい
生命値(LP)三割割ると刻死の状態異常でカウント始まって死ぬ
半血鬼カッコイイと思ったけど下二つの種族特性が未開放なんだよね、何故か
現状、デメリットしかない


118:名無しの初心者
ネフィリムもやばいよな
すぐ狂気状態で暴走

NPCのヘイト値?か何かが高いらしくて、町追い出されたんだが……


119:名無しの初心者
ネフィリムが半巨人でダンピールが半血鬼ですよね
何かとハーフが多いのって今作のコンセプトなのかな?


120:名無しの初心者
ハーフリングも説明欄読んだらゴブリンとヒューマンの合いの子、子孫って扱いらしい
別名、ホブゴブリンって書いてあった

ちなみにハーフリングって、某指に嵌める装飾品の物語でいう小人だよな?


121:名無しの初心者
指輪に関する小人の話はダメ
あの種族名を言ったら狙われるそうです←ガチ?
おそらく商業的な大人の事情で

これまでの情報を補足すると、女性のみの種族ニンフは町に入ると種族特性で病毒状態になって生命値削れるから、基本的に郊外活動
人魚に至っては水辺を離れられないからある意味孤島プレイが加速してるって

地雷はダンピール、ネフィリム、ニンフ、人魚あたりでしょうね


121:名無しの初心者
自動人形のプレイヤーと組んだんだがアレもなかなかだったぞ?
自動人形さんのLPが何割か切って自爆
そのまま巻き込まれend

さっき死に戻ったorz


122:名無しの初心者
なんか地雷種族は大変そうですね

参考になりました
亜獣人にしようか悩みますけど、ひとまずレア種族出るまで粘ってみます


123:名無しの初心者
そう思ってまだゲームスタートしてない俺が通りますよ、っと
半じゃない吸血鬼とかエルフとか、もしかするとハイエルフが出ないかと思って頑張ってるんだが……


124:名無しの初心者
リセマラ勢も大変だな
現状出てるレア種族って何だ?


125:名無しの初心者
エルフ、ドワーフは確認済み
ここらはRPGの定番だし
例の件で知られたインプとあと、オンディーヌとかも出たよ


126:名無しの初心者
オンディーヌっていうと、ウンディーネの某国語読みだったか?
だとすると四大精霊も出るっぽいな

サラマンダーが出たとはまだ聞かないが


127:名無しの初心者
ノームは確か某前作最大ギルドの人が引いてましたね
羨ましい


128:名無しの初心者
デュラハンと付喪精、っていうのも確認したよ

あれ?
付喪神の人居たよな?どっかのスレに


129:名無しの初心者
レアにもランクがあるのか?もしかして……

いいな、デュラハンで黒騎士プレイとかしてみたい


130:名無しの初心者
聞きたいんですけど、スキルのカウントって次の技覚えるのに関係ありそうですか?
ちょうど100回で別の技覚えるみたいですけど


131:名無しの初心者
>>130
関係あると思いますよ
ただ検証班の間でも個々人で覚えられるコマンドスキルの内容と順序、カウント数の関連については意見が割れたり、そもそもまだ情報不足だったり

プレイヤースキルがある人はそれ関係無く覚えられたなんて話も聞きますが
目下調査中ですね、はい


132:名無しの初心者
>>131
そうですか
検証頑張って下さい


133:名無しの初心者
ところでここで質問に答えてる俺らって何なんだろうな
まだ全員初心者の筈だが


134:名無しの初心者
それは言うな
これまでの人生とか自分とか、色々顧りみたくなっちゃうだろ?


135:名無しの初心者
うん、あまり踏み込まないよう気を付ける(汗)



《早くもイベ!?山林のマルトワ王国スレ》





191:ハーフリングの弓使い春樹(男性)
いやあ、それにしても勇者ちゃんが強いの何のその!
夜間の魔物に囲まれた時はもう詰んだかと思ったんすけどね?
フォレストドッグに豚の何とかミートン?とか、あと蜘蛛とか

そこにズバババーンってオーラ?がブワッと出て、パネエっす!
あ、そうそう
こっちは今勇者ちゃんの初期ポイントに向かってます
何でも妖精さんがナビ役らしいんすよね


192:ノームの練金術師o(`ω´ )oぬぬぬ(無性)
( ^ω^ )ノ春樹氏

我が赴くことは出来んのだぬが、ギルメンが助力を申し入れてきてくれたんだぬ
よろしくしてやってくれ


193:ハーフリングの弓使い春樹(男性)
おお、良いんすか!
それは心強い!


193:ゴブリンの鉱夫(T ^ T)こぶし(男性)
ども
前作の《地祇神殿》から終戦に移ってきました
ギルマスとは今回もご一緒させて貰おうと思っております
以後よろしく


194:ハーフリングの弓使い春樹(男性)
こちらこそ是非よろしくっす
因みに何処すか?


195:ゴブリンの鉱夫(T ^ T)こぶし(男性)
近日中、ブナブエナ着くかと


196:ヒューマンの勇者コノミ(女性)
ありがと
また一人増えたね
もう10人ぐらいにはなったかな?

こぶしさん、よろしく


197:ゴブリンの鉱夫(T ^ T)こぶし(男性)
あ、勇者さんですね
自分のパーティメンバー僕と合わせて4名です
足引っ張らないよう頑張ります


198:エルフの風術士ヌク弥(女性)
困ったわ


199:ヒューマンの勇者コノミ(女性)
ヌク弥さん何かあった?


200:ハーフリングの弓使い春樹(男性)
何すか?ヌク姉さん
合流地点は上の方で書いたっすけど、ブナブエナっすよ?


201:エルフの風術士ヌク弥(女性)
途中でね
橋が壊れてるのよ?

ヤムーバ方面から北上してきたんだけど、どうしたら良い?
あと春樹

その呼び方は止めい!


202:ヒューマンの勇者コノミ(女性)
ううーん?
誰か、良い案出して


203:ゴブリンの鉱夫(T ^ T)こぶし(男性)
自分はブナブエナから見て南西方面
覇王国からですね
こっちに迂回してくるルートなら案内出来ますが


204:付喪神の技師メッソ(男性)
橋直せ
技師系のコマンドで大工に派生するから、近くのプレイヤーで誰か気付いたら頼む

まあ、術士系じゃ厳しいかもな


204:エルフの風術士ヌク弥(女性)
そう
ま、何とかするわ

>>こぶしさん
気持ちだけ受け取っておく


205:付喪神の技師メッソ(男性)
ところで募集の件なんだが

名無しの方でけっこう集まりそうでな?
おそらく100人以上
個スレでトトリーさんが呼び掛けたのが効いてるみたいでな

明日以降ブナブエナ他、近郊の町に着くと思うぞ?
何人辿り着けるか分からないけどな


206:付喪神の技師メッソ(男性)
そうそう

今回マルトワを襲った奴らは《滅びのカタストロイ》のメンバーで間違いないらしい
奴ら、外部サイトも使って連携してくるだろうからそこは十分気を付けてくれ
作戦とか秘策があったら書き込まず、直接会って遣り取りした方が無難だろうな

それじゃあな
また何かあったら報せる


207:サテュロスの開拓者デポポフ(男性)
なあ、名無しの方のスレで王族が逃げ込んで来たって話があるんだが

確かまだ、マルトワの王様は死んでなかったよな?


208:ホビットの弓使い春樹(男性)
え?何処すか?


209:サテュロスの開拓者デポポフ(男性)
どうも場所は明かせないらしい
近衛騎士と一緒に居るみたいなんだ
公式キャラで、ハインリヒトっつうエドゲルと双璧の?

詳しくは表示無しの方覗いてくれ


210:ヒューマンの勇者コノミ(女性)
分かったよ


211:ホビットの弓使い春樹(男性)
了解っす


210:インプの鳥使いゲヘナッド(男性)
つか、PK共
此処覗いてやがんな、チッ

今偵察してきたんだけどよ
街道の方がヤベエ
PKが集まって何かしてやがるし


211:付喪神の技師メッソ(男性)
待ち伏せか
やっぱりな

悪ノリした他のプレイヤーも集まってくるかもな
別ルート模索しないと駄目か



《終末戦線オンライン・公式スレ》





308:名無しの終末民
あれ……今


309:名無しの終末民
なんか聞こえたな
アナウンス?


310:名無しの終末民
マジ?
2日目にしてイベント?


311:名無しの終末民
エリアイベント?
誰か纏めてけれ


312:名無しの終末民
イベキター案件?
運営さん、そこはプレイヤーにも事情というものが


313:名無しの終末民
はいコピペ

〈ーー/
ユーザーの皆様、楽しい終末ライフをお過ごしでしょうかーー?
これよりゲーム内の進捗状況を鑑み、エリア限定イベントを告知しようと思います。

《山林国マルトワを解放せよ!》
・当イベント期間中、防衛側のプレイヤーの皆様は獲得経験値2倍となりますが、イベント報酬は受け取れません。なので予め、それをご承知の上で参戦勢力を決めて下さい。
・進行側のプレイヤーの皆様は所属不明の者達から王都ヒノマルタを奪い返し、見事同国の治安を回復して下さい。尚、貢献度の高いプレイヤーの方には特別な報酬が用意されております。
・イベント期間中、幾つかのストーリークエストが発生する場合があります。それらのクエストは貢献度を獲得する絶好のチャンスです。
・当イベントは2日間乃至、最大1週間を想定しております。もしこの間にマルトワ奪還に成功しなければーーその結果をプレイヤーの皆様ご自身の目で確かめる事になるかもしれません。
・詳細は公式ホームページ、または町の掲載板等でご覧下さい。

今イベントを以ってユーザーの皆々様方が多いに楽しまれる事を《終末戦線オンライン》の運営一同は期待しております。
それでは、良き終末ライフをーー。
/ーー〉


314:名無しの終末民
キター?!


315:名無しの終末民
え、どうしよう?
エリアイベントってマルトワ方面だけ?


316:名無しの終末民
そうらしいな
今からじゃ間に合わないだろ


317:名無しの終末民
やった!
丸一日かけて街道突っ切ってきた甲斐があった!

このまま王都まで突っ込むぞ!


318:名無しの終末民
報酬って何だろな?


319:名無しの終末民
さあ?
エリアイベントって事はそんな大したモンじゃなくね?

つか、防衛側ってプレイヤーキラーだろ?
奴らの経験値2倍とか、運営は何考えてんだ


320:名無しの終末民
PKは他プレイヤー倒してもほとんど経験値貰えないらしいから、実質そんなに変わらないと思うぞ?
それよりも防衛側にとっての本当の報酬は、イベント後にあるだろうな


321:名無しの終末民
どういうこと?


322:名無しの終末民
プレイヤーによるプレイヤーの為のプレイヤーの政治
早くも新国家の誕生となるかもしれない訳だ


323:名無しの終末民
orz
弾圧政治ですか


324:名無しの終末民
建国自体は前作の崩壊都市でもあったよな
今作だとどう変わるんだ?


325:名無しの終末民
出来る事の幅が前作よりも広そうだからな
例えば……

政略系コマンドがあるかどうかは未確認だが、重税で国民からゴルポンを徴収したり、町中の綺麗ドコロのNPC拐かしたり、他国に攻め入って略奪したり……

最低でもこれぐらいはありそうだな


326:名無しの終末民
つまり、もし防衛側が勝利すれば将来的にオーデュリエ姫を手中に収める事も可能な訳でふか

デュフフフ


327:名無しの終末民
オーデュリエ姫は無理だろ
覇王国傘下、リトワール岩盤国きっての無敵の姫将軍様だぞ?

近々、壮烈王との縁談も進んでいるらしいからな


328:名無しの終末民
どっちにしろロストロア方面じゃ交通手段も無いし、参加自体無理なんですけど?

ゲームバランス酷い


329:名無しの終末民
ロストロアなら割とチャンス多くない?
今開墾事業に加わっとけば、後で土地貰えるって聞いたよ?


330:名無しの終末民
そうは言ってもねー?
ゲーム内でまで重労働……

……たまにはゆっくり休みたいよ


331:名無しの終末民
ねえ、ストーリークエスト発生してるんですが

これ、王様と近衛騎士様をマルトワに連れてけば良いの?


332:名無しの終末民
え?
もしかして表示無しスレの人?


333:名無しの終末民
ちょっと待った!!
書き込むと狙われんぞ!?PK共に
多分


334:名無しの終末民
あ、はい
何とか自力でやってみます



次話=>>20

Re: 戯構築世界ノ終末戦線 ( No.20 )
日時: 2023/03/18 07:46
名前: htk (ID: 7gGQw8LV)

1章〜〜第1幕、9話ーー副題(未定)



「何で人のホームポイントで寝てるかな?
ねえ、起きて」
 誰かに揺さぶられた。
 麗らかな昼下がりの眠りが、他者の介入によって覚醒へと向かう。
「ねえ、きみNPC、、じゃなくって
このあたりの人だよね?
蹴飛ばしたら起きるかな?」
「いやいや、勇者ちゃん
変なキノコ食べたっぽいし死んでるんじゃないすか?」
「でもまだ、LPバーの表示残ってるよ?この人、、
ってゆうかバーもの凄く長いし?」
「あれ、ホントっすね?
、、というかこの人、もしかして、、」
 誰かの遣り取りが頭上で交わされ、疲れを残しながらも目を開ける。
 覗き込む顔が二つーー。
 俺と同じヒューマンの少女と、丸みを帯びた体型の矮人種ーー。
ーーハーフリングの男がこちらを窺ってくる。
「おや?目を覚ましたっすね!良かった良かった!
、、何で勇者ちゃんの初期地点に居るのか知らんすけど、これも勇者特権なんすかね?」
「ううん?どうかな?
そんなコマンド無さそうだし、違うと思うけど?
あ、、ほら!水だよ?飲める?」
 手渡された水を有り難く頂戴し、上体を起こした。
 そういえば、火の手の上がった城下を駆けてきてからーー喉がカラカラだ。
 グビリと水分を伝わせる度、全身に水気が拡がっていくのを感じた。
 俺は、ありがとうーーと言いたかったが、そういえば喋れない事を思い出す。
 夢視の際での遣り取りは、いったい何だったのだろうーー?
ーー使用人の彼女、アンネリと名乗ったのを聞きはしたが、こうして目を覚ましてみるとどうにも現実感が無かった。
 物思いに耽る俺に、目力の強い少女が話し掛けてくる。
「だいじょぶ?また横になる?
きみ、この辺りの人?」
「いやいや?勇者ちゃん、あの動画見てないんすね、そういえば、、
この人、たぶんっすけど、、」
 言いかけたホビットの男は目端に何かを見付けたらしく、首を巡らせた。
 そちらでキラキラと輝いて見えたのはーープラーナの光だ。
 それが気付けば収束し、人の形へと輪郭を象っていくーー。
ーー現れたのは、人の掌に座れそうな程の小さな女の子だった。
「プンプンっ!?叡智のキノコを勝手に盗み食いしておきながら、ヒュームの癖にどうしてまだ生きてるんですか!?
すぐ吐き戻しなさいっ!?今すぐ!」
「うるさいよ?エイミー
かれ、病み上がりなんだから、、」
「そんなことワタクシの知ったことですかっ!?
良いですか!?コノミ!
ワタクシ達妖精は成人になる為、叡智のキノコを食して次期女王となる必要があるのですっ!
それをワが庭に迷い込んだヒューム風情如きが、、
、、よくもやってくれましたね!?到底赦せた話ではありませんっ!プンプンっ!?」
 そう言ってこちらに捲し立ててきたのは、初めて見るがーー背に光粉を散らす羽根を生やしているし、妖精らしい。
 まさか本当に居るとは思わなかったが、どうしようーー?
ーー話を聞く限り、こちらに過失があったのは明らかだ。
 事情はまだよく分からないが、何らかの償いをする必要はあるだろう。
 俺はそれを伝えたいが、しかしーー生憎と唖の身である事に変わりはない。
 どうにかこちらの意図を伝えようと、虚しくも呻りを漏らす。
「……ウ゛ア゛ナ゛ヒ゛……」
あの夢の中では話せたが、やはり言葉が出て来なかった。
 だがーー。
「あらっ!?随分と殊勝な態度ですね!?
見た所ボロボロですし、よく見れば相当な怪我を負っている様子、、
、、ワタクシの為に償いを果たそうとする気持ちはけっこうですが、だからといって、、」
「、、というか、エイミーちゃん分かるんすか?
その人、たぶん喋れないっすよ?
喉になんか疵あるし、、」
 窮した俺をハーフリングの男が庇い、どうにか取り成してくれるつもりのようだった。
 にしても、話せないこちらの意思を理解したかのような妖精にはーー少々驚きだ。
 そうした気分でこの小さな羽根の付いた彼女を見ていると、俺の視線に気付いたように言ってくる。
「まあっ?野蛮で物分かりの悪いヒューム如きには理解出来無いのも無理はありませんが、、
、、このワタクシの〈精神感応〉があれば容易いことなのですっ!
フフんっ、恐れ入りましたかっ!?
、、ワが妖精族の偉大さをよくよく噛み締めるのなら、無知なるアナタに温情を与えて差し上げてもよろしいのですよ?」
 何故か気を良くした妖精は、寛大にもそう言ってくれた。
 正直、脱帽しているところだ。
 唖の身になって以降ーーこれまでまともに理解された事は無いし、妖精というのは本当に凄い種族なのかもしれない。
 俺が心底感心していると、何故かーーヒューマンの少女が、冷や汗を浮かべながら呟く。
「はは、、なんか良かったね?丸く収まりそうで、、」
 そう言った彼女の肩を叩き、ホビットの男が向こうでゴニョゴニョと告げる。
 何を話しているのかは気になるが、きっと俺の処遇についてだろう。
 それを読んだのかは分からないが、妖精はそちらへ顔を向けつつも無言だしーー今は黙って成り行きを見守るとしよう。
 俺がそんな風に考えているとーー。

〈ーー/
えー、あー、コホンーー。
これより、ワールドアナウンスを始めます。
/ーー〉

〈ーー/
ユーザーの皆様、楽しい終末ライフをお過ごしでしょうかーー?
これよりゲーム内の進捗状況を鑑み、エリア限定イベントを告知しようと思います。

《山林国マルトワを解放せよ!》
・当イベント期間中、防衛側のプレイヤーの皆様は獲得経験値2倍となりますが、イベント報酬は受け取れません。なので予め、それをご承知の上で参戦勢力を決めて下さい。
・進行側のプレイヤーの皆様は所属不明の者達から王都ヒノマルタを奪い返し、見事同国の治安を回復して下さい。尚、貢献度の高いプレイヤーの方には特別な報酬が用意されております。
・イベント期間中、幾つかのストーリークエストが発生する場合があります。それらのクエストは貢献度を獲得する絶好のチャンスです。
・当イベントは2日間乃至、最大1週間を想定しております。もしこの間にマルトワ奪還に成功しなければーーその結果をプレイヤーの皆様ご自身の目で確かめる事になるかもしれません。
・詳細は公式ホームページ、または町の掲載板等でご覧下さい。

今イベントを以ってユーザーの皆々様方が多いに楽しまれる事を《終末戦線オンライン》の運営一同は期待しております。
それでは、良き終末ライフをーー。
/ーー〉

 またーーあの声だ。
 生死の境を彷徨った挙げ句、自分の頭がおかしくなってしまったのかとも思えた。
 だがーー。
「今のって、、」
「イベ告知っすね
サービス開始2日目にして、いきなりっすか、、」
 あまり遣り取りの内容は分からないが、まるで今の不可思議な声が聴こえたかのような反応をーー二人は示した。
 そちらへ怪訝な視線を送ると、妖精が言葉を漏らす。
「ええ!聴こえましたともっ!?
このワタクシも不本意ながら未だ、キノコを食しはぐったせいで制限〝れべるしっくす〟の身ではありますが、、
、、〈精神感応〉でわざわざそこのアナタを介さずとも、世界の声が聴こえてきましたともっ!?
やはりというべきか、、〈世界の申し子〉となれたからといってワタクシの方が立ち場は上なのですよっ!?
祐世の番物となり、次期女王としての使命を果たす筈だったのですからっ、、!?プンプンっ!
ああっ、本当に口惜しいっ!」
 よく分からないが、また怒らせてしまったようだ。
 俺は心の中で謝罪を告げると、妖精は不満げながらも怒りを収めた。
 その遣り取りを見て、ヒューマンの少女が近付いてくる。
「一緒に来てくれないかな?わたし達と
ストーリークエ、、じゃなかった」
 何かゴニョゴニョと言い、少女が言い直す。
「わたしは困ってるマルトワの人達を助けたい
、、その為にも、きみの力が必要なんだ」
 目力の強さに圧され、俺は黙考した。
 そもそも俺がマルトワ国軍に入隊したのは、困った人々を救い出す為だ。
 時に敵国との戦に駆り出され、やり場の無い気持ちを抱える事もあったがーー。
ーーその志は今も変わっていない。
 然程考える時を要さず、俺は少女が差し出してきた手を握った。



次話=>>21


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