二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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original ダンガンロンパ 【重要連絡】
日時: 2012/05/26 09:39
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

 初めまして。魔女の騎士、といいます。
 注意書きを読み、以下の内容にご理解いただけた方のみ、この作品を閲覧ください。


 まず最初に、公式とは一切関係ありません。
ダンガンロンパが好きで、その世界観に惹かれたファンの二次創作です。

 次に、ネタも大してなく、モノクマを除いてオリキャラのみのダンガンロンパになっています。
そのため、万一スーパーダンガンロンパ2のキャラクターの名前、あるいは称号が被っていたとしても気に止めないでください。
(公式が一番です)

 主人公は速水刹那(はやみ せつな)とし物語は展開します。
 もちろんダンガンロンパであれば、推理やおしおきのシーンが前提としてありますが、作者は推理小説に触れたことがありませんので、無茶な推理や、矛盾点も多くありますが、ご了承いただけるようお願いいたします。
 また、キャラ紹介の内容は話が進むごとに増えていきます。

 最後に、時間の都合により、更新は基本的に一ヶ月に一度のペースになります。

以上のことを了解した方は、読み進めていってください。


*お知らせ
コメント返信しました。 >>65 5/25
第二章21話アップしました。
プロフィール補足、重要連絡を追加。  5/26

>>1 刹那 澪 辰美
>>2 闘真 隼人 正治
>>3 歌音 眞弓 式
>>4 花梨 アヤメ・ローゼン 力也
>>5 菊 京 優

>>8 プロローグ-1
>>9 プロローグ-2
>>12 プロローグ-3

>>13 第一章 絶望のハジマリ-1
>>14 第一章 絶望のハジマリ-2
>>15 第一章 絶望のハジマリ-3

>>16 第一章 絶望のハジマリ-4 キャラ紹介
>>17 第一章 絶望のハジマリ-5 キャラ紹介
>>18 第一章 絶望のハジマリ-6 キャラ紹介

>>22 第一章 絶望のハジマリ-7 モノクマ
>>23 第一章 絶望のハジマリ-8 モノクマ
>>24 第一章 絶望のハジマリ-9 モノクマ
>>25 第一章 絶望のハジマリ-10 モノクマ
>>26 第一章 絶望のハジマリ-11 モノクマ
>>27 第一章 絶望のハジマリ-12 モノクマ
>>28 第一章 絶望のハジマリ-13 終

>>32 第二章 殺人ゲェム-1
>>33 第二章 殺人ゲェム-2
>>34 第二章 殺人ゲェム-3
>>37 第二章 殺人ゲェム-4
>>38 第二章 殺人ゲェム-5
>>39 第二章 殺人ゲェム-6
>>45 第二章 殺人ゲェム-7
>>46 第二章 殺人ゲェム-8
>>47 第二章 殺人ゲェム-9
>>49 第二章 殺人ゲェム-10
>>50 第二章 殺人ゲェム-11

>>53 第二章 殺人ゲェム-12 安積闘真-1
>>56 第二章 殺人ゲェム-13 
>>57 第二章 殺人ゲェム-14 
>>58 第二章 殺人ゲェム-15 
>>59 第二章 殺人ゲェム-16 米倉澪-1 
>>60 第二章 殺人ゲェム-17
>>61 第二章 殺人ゲェム-18 アンケート結果発表

>>62 第二章 殺人ゲェム-19
>>63 第二章 殺人ゲェム-20
>>66 第二章 殺人ゲェム-21




>>42 キャラクターイメージ

>>43 アンケート1(だれと会話しますか?)




【重要連絡】

 originalダンガンロンパですが、編集上の都合により、別のサイトで掲載することにしました。
少しだけ内容を補足する予定ですが、基本的な流れは変わっていません。

 明確な日付は決まっていませんが6月中に移送する予定です。
もし、この作品を楽しみにしている方がおられましたら移転先をお教えしますので、書き込みをお願いします。
(といっても検索でoriginalダンガンロンパで出てくるとは思いますが←)

 このスレッドは8月中に消去いたします。
すみませんがよろしくお願いします。








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プロローグ-3 ( No.12 )
日時: 2011/12/29 16:35
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

 そして、そのメンバーの中には、例の提示された二つ目の条件である『超高校級の怪盗』もいた。

—怪盗パンドラ

 彼、いや彼女か。おそらくは偽名だろうが、それがやつの名前だ。

 簡潔にその人物を説明すれば、やつはいまだに正体が知れていない、世界をまたにかける大泥棒、といえば分るだろうか。
 盗む品は絵画や宝石の類いでどれも国宝並みの高級品。
そして、そいつは必ずパンドラの名前で何時に何を、とわざわざ犯行二週間前までには予告をする、現在では一風変わった輩だ。
しかし、対してその手口は鮮やかで、現地の警察やセキュリティを今日まで何度も出し抜いている強者(つわもの)であると聞いている。
 かつておれも何度か調査に携わったことがあるが、証拠は見事に隠滅されており、パンドラだと特定できるような手がかりは掴めていない。

 そんな、幻影のような存在がこの学園に一生徒としている。
しかも、情報によればおれと同期という話だから驚くしかない。

 警察官と怪盗が肩を並べて学習机に向かう、というのは考えてみれば、なんともおかしな話だが……。


「さて、行くか」


 現在の時刻は7時。
 予定では始業式の開催は9時からなので、まだ時間に余裕がある。
少しばかりは学園内を回ることもできるだろう。

 入学初日ともあって、おれはつい軽い気持ちで希望ヶ峰学園への第一歩を踏み出した。
それが、間違いだった。


「っ!?」


 急に目眩が起こり、目の前の風景が飴細工のように溶けてぐにゃりと歪む。それは、あっという間に他の景色とどろどろに混じり合って……。
気がついたときには真っ暗闇の世界で、おれは完全に意識を失ってしまっていた。

 このときおれは気づくべきだった。
これが、日常と掛け離れた”殺人ゲーム”の始まりだということに……。



————————————————————————————————

 プロローグ完了。
 実はこの話、知っている方は知っている小説版ゼロの話も微妙に盛り込んでいます(若干ネタバレですが、とんでもないレベルの種明かしはありませんのでご安心を!)

 FBIが実際どんなところは想像の内で書いているので、実際とは大いに違いありかもしれませんが、刹那をよろしくお願いします。

 次回は主軸となるキャラ達を総出演させる予定です(もちろん、マスコットでもあるクマも)

こうご期待ください。

original ダンガンロンパ 第一章 絶望のハジマリ ( No.13 )
日時: 2012/01/03 13:54
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

「ん……。ここ、は?」


 目が覚めたとき、おれは部屋の中にいた。
 新品のような白いすべすべとした机と、事務用椅子がまず目の前にとびこんでくる。どうやら、おれはここで眠っていたらしい。
後ろに椅子を回転させる。すると、今度は真っ白な一人用にしては大きいシングルベットがあった。
ベットの中心には鍵らしきものが無造作に置かれている。

−速水刹那


 鍵についているキーホルダーに刻まれた、名前を読み上げ、おれは薄々とここがどこなのか確信する。
おそらく、ここはおれの部屋だ。

 床には群青色の絨毯が敷かれ、壁は青い縦のストライプの模様で彩られている。こうしてみると何もないいたって普通の部屋だが、この部屋には一つだけおかしなところがあった。


「なんだ、これは……?」


 机から向かって左手のプラスチック製の棚の先にある光景に、おれは首を傾げる。

 位置からして、本来は窓だろうか。
外の風景はおろか壁も見えない程、その区画だけ隙間なく木の板や鉄板を敷き詰めてあった。四端は太いネジが埋め込まれ、とてもじゃないが外せそうにない。


「テロか?」


 経験から、もっともらしい答えを探る。
 FBIとあろう者が閉じ込められるとはなんとも情けない話だ。


(にしても、一体どうなっているんだ……)


 確か、おれは希望ヶ峰学園の入り口にきていたはずだ。どうしてこんな場所にいる?
と、考えたところで答えが出るわけでもない。

 止む無くおれは、出口になりそうなものを探し始めた。
すると、ちょうどこの奇妙な壁の反対がわに白いノブを回す用のドアを発見した。


「武器になりそうなものは……ないな」


 外に何があるか分からないため、机の引き出しを調べる。
引き出しの中はほとんど何もない状態だった。
あったのは、一番上に鉛筆などの筆記用具とカッター、のり、はさみといった文房具と、新品のノートが三冊。
二番目は何もなく、一番下にはおれの手の平に簡単に収まるくらいの透明な液体が入った小さな瓶が置いてある。


「なんだ、これは?」


よく分からないので、おれは触らず静かに元に戻しておいた。
低いとはいえ、爆発物という可能性も捨てきれないからだ。

 続いて、棚を調べると寝間着が一着と、シャツ、下着が二枚ずつ。
それ以外はなにもない。


「結局、着の身着のままか……」


 隠し持っていたはずの拳銃(もちろん本物だ)とジャックナイフも無くしたらしい。
落とすはずがないのに、本当に理解不能だ。

original ダンガンロンパ 第一章 絶望のハジマリ ( No.14 )
日時: 2012/01/03 14:08
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

ピンポーン!!

「!?」


 突如、鳴らされたチャイム音におれは思わず腰を低くして身構える。
どうやら、今の音はドアの方からしたようだ。
しかも、チャイムは一度きりでなく間を開けて、二度、三度と鳴らされている。


(だれだ……?)


 声もなく、ひたすら鳴らされるチャイム音に、おれはドアを睨みつけた。だが、扉の向こうの相手がこちらに入ってくる気配はない。

 いつまでも立ち止まっている訳にいかず、おれは鍵を取り、警戒を緩めることなくドアに向かう。
それから、気晴らし程度の小さなドア穴を覗くとまだハッキリと分かった訳ではないが、下側に小さな人影が揺れていた。


「だれかいませんかー?」
(……子供?)

 幼子のような声におれは一瞬ためらうも、警戒を解かずにドアノブに手をかける。
それからゆっくり回して、物音も立てないように開いた。


「あ、やっぱりあなたなんだね」


 くりくりした青い目が狭いドアの隙間から現れる。
それはどう見ても、やはり小学生程の子供のものだった。


「大丈夫だよ。わたしは米倉 澪(よねくら みお)。あなたと同じ79期生だよ」
「米倉?」


 おれは聞き覚えのある名前に思考を巡らせる。
米倉 澪、確か世界中の音楽家たちを魅了する演奏を奏でる"超高校級のピアニスト"だ。
ソロに留まらず、合唱や楽器の伴奏も一流で、彼女が入ればその楽団の演奏会は大成功を収めるとさえいわれている。
だが、それがこんなに小さい子供とは……。
非常に失礼であるがおれは正直、驚いていた。


「"超高校級のピアニスト"の、米倉か?」
「え?わぁ、すごーいっ!大正解だよっ。よく知ってるね」


随分失礼な物言い、更にドア越しだというのに、彼女はにこにことこちらに微笑んでくる。

 どうやら、警戒する必要はなさそうだ。
おれは半分気を緩め一思いにドアを開ける。

 そこには空色の青い瞳にプラチナブロンドのウェーブがかった髪を宙になびかせた人形のような少女が、柔和な笑みを浮かべていた。


「失礼した。おれは速水刹那という者だ。好きに呼んでくれ」
「えーと……それじゃあ、刹那くんでいいかな?」
「ああ、かまわない。おれはなんと呼べばいい?」
「わたしも好きに呼んでいいよ〜」
「では、米倉と呼ばせてもらう。いいか?」
「うん」


 随分と同年代の人間と話さなかったせいか、どうしても挨拶が堅苦しい。それでも、米倉は微笑みを絶やさずに答えてくれた。


「体調は大丈夫?」
「ああ。問題ない」
「そっか。よかった。あなただけいなかったから、心配してたんだよ」
「おれだけ?」
「そう。もう他のみんなは集まっているから、一階の玄関ロビーに行こ う?」
「……分かった」


 他のみな、つまりここに今日、入学する連中が揃っているという。
おれは心の底から感じる嫌な予感を覚えながらも、米倉の案内に従って玄関ロビーへと向かっていった。

original ダンガンロンパ 第一章絶望のハジマリ ( No.15 )
日時: 2012/01/07 17:56
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

(見られているな……)


 米倉について廊下を歩きながら嫌な気配を感じて振り返る。自室では確認していなかったが、この廊下には数箇所にわたって監視カメラが配置されていた。
それに付随して、小型テレビも見受けられる。


(犯人の意図はなんだ……?)


 道幅も広く、カーペットが一面に敷いてある廊下はホテルを思わせるものだが、変わった蛍光灯によって全体的に蛍光色に照らされている。
以前、極秘の任務で裏組織に潜入したこともあるが、それでもここまで悪趣味な廊下は見たことがない。


「辰美ちゃん」


 ふと、米倉の足が止まる。
先を見ると、ちょうど下り階段の前に手を挙げている一つの人影が見えた。
 ラフにYシャツとズボンを着こなした茶色のショートヘアの、女だろう。胸の辺りにそれらしい膨らみがあるのが分かる。


「おお、澪。そいつが最後の一人か?」
「うん。速水刹那くんっていうんだって」
「へぇー。かっこいい名前だなぁ」


 彼女は赤いフレームの眼鏡をかけ直すと、おれの顔をまじまじと見た。


「ありがとう。君は?」
「おれかい?おれは笹川 辰美(ささかわ たつみ)。超高校級のゲーマーってやつだ。まぁ、好きに呼んでくれ」


 笹川 辰美。どの分野のゲームも世界大会で連勝。そして数々の新記録を打ち出し、誰よりも早く裏技を見つける“超高校級のゲーマー”。
 女性だとは事前に分かっていたが、彼女の態度や口癖はどうも男性を思わせる。だが、悪い気はしない。


「では笹川で。おれも好きに呼んでくれてかまわない」
「お堅いやつだな。落とすには時間のかかりそうなタイプってやつ?」
「落とす?」
「ああ。なんでもねーよ。じゃ、おれは刹那って呼ばせてもらうぜ。さてと、他の連中はもう待ちくたびれてんじゃねぇかな?早く行くぞ」


 笹川は背を向けると、おれたちを急かすように足早に階段を下りていった。


「辰美ちゃんはね、口は男の子みたいだけどすっごく優しいの。怖がっていたわたしに最初に話しかけてくれた子なの」
「そうか。怖がっていた、とは?」
「実は……あ、でもまずは下にいってから話すね。みんな待ってるから」
「そうだったな。すまない」
「ううん、いいよ。じゃあ行こう、刹那くん」


 米倉に続いておれも階段を下りる。
 階段を下りた先を真っ直ぐ進むと、そこにはおれたちを含めて15名の生徒が集まっていた。
やはりある分野の天才級の人間が揃っているせいか、オーラを感じる、と言ったら言い過ぎだろうか。


「お?お前が最後のやつか」
「ああ。おれは速水刹那。好きに呼んでくれてかまわない」


 敢えて警察であることは伏せ、とりあえず名乗りをあげる。すると、他の生徒たちは一斉にざわめき始めた。


「速水刹那だな?初日から遅刻とはどういうことだっ!!もうみんなとっくに集まっていたんだぞ!!」
「おいおい。そう言いなさんな。こんな状況だろ?」
「すまない。どうも……気を失ってな。気がついたら自室と思われるところに倒れていた」
「なんだと?お前もなのか?」
「お前も?」
「実はさー、わたしたちもなんだよね。その、気絶して部屋にいたのって」


 全員だと?
 おれはなにか引っかかるものを感じて、今の状況を整理する。ここに今日入学するはずの全員がいるということは、やはり誘拐か何かに巻き込まれたと考えた方がしっくりはくるが……。


「ねぇ、みんな自己紹介してくれないかな?わたしと辰美ちゃんはしたんだけど、刹那くんはみんなのことは知らないから」
「面倒くせぇな」
「でも、彼がだれと話してるか分からない、っていうのも困るわよ」
「そう……ですね」
「では、改めて自己紹介していきましょう。私たちも確認も兼ねて」
「りょーかい」


 14名全員の視線がおれに集中する。既に彼らの準備はできているようだ。

original ダンガンロンパ 第一章絶望のハジマリ ( No.16 )
日時: 2012/01/07 18:00
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

 まずは手前にいるやつから話していくことにしよう。
おれは最初に震えている袴姿に黒髪のお下げの女に話しかけた。

「あ、あの、初め……ましてわたし……えと……その……」
「?」
「お、怒ってます?」
「……怒っていない」


 不本意ながら怖い顔と言われ慣れてはいるが、さすがに初対面でここまで怯えられるとおれも傷つく。


「す、すみません。あの……わたし、東雲 菊(しののめ きく)っていいます。超高校級の大和撫子って言われて……ます」


 東雲 菊。大和撫子といえば、言葉だけの意味では日本女性の理想とされる意味だが、彼女の場合、茶道、日本舞踊、生け花、カルタ取り、鞠付きといった大方の日本の伝統を極めた女性、だったな。
しかし……。


「そんなに怖がらなくても、おれは何もしない」
「は、はい……すみません」


やはり、おれが怖いらしく彼女は今だにしっかりと視線を合わせようとはしない。
 どうにも、いじめているようなので、おれはそれ以上何も言わず、ため息を一つだけ吐いて別の生徒に向かっていった。


 次におれはブカブカの白衣着た、栗色のパーマを散らした中性的な生徒に話しかけた。


「僕は間宮式(まみやしき)。数学者だよ」


 間宮 式。抜群の集中力と発想力で数々の難題を打ち破った数学オリンピックの優勝者で、数学者たちも一目置く“超高校級の数学者”だったな。


「ところで、君はどんな数式が好き?」
「数式?」
「そう。友愛数とかルートとかがベタだけど、僕は円の数式が好きだな。綺麗にまとまるもの。sinとcosってほんと、すばらしいよね。数字といえばやっぱり零の概念は重要でしょ?あれが確立されたからこそ、数学は大きく発展したんだ。現代の機器はまさにこの恩恵をたまわっているよね」


 語り始めると止まらないのか、間宮の言葉はどんどん熱がこもっていく。さすがに、長くなりそうなのでおれは断りを入れてから次の生徒に向かった。


 今度の生徒は、カウボーイハットと茜色の髪と同色の顎髭が特徴的な男だ。


「よっ。オレは御剣 隼人(みつるぎはやと)。ここでは超高校級のホストで通ってるぜ」


御剣 隼人。口説きのテクニックと、親しみやすさから多くの女性客に指名をもらう“超高校級のホスト”。彼に会うために、はるばる遠方から訪れる女性も多いらしい。


「お前酒はイケる口か?」
「どういう意味だ?」


 ここは日本だ。
二十歳未満の飲酒は禁止されているはず。


「おや、ここの連中は堅物だなぁ。さっきのやつもえらい手厳しいやつだったし。ま、飲む酒もないんだけどな」
「はぁ……」


 そっちの世界についてはよく知らないが、あまり関わらない方がいいのかもしれない。
おれはそう思いつつ、彼から背を向けた。

 すると、腰まで届きそうな深紅の髪をなびかせた、プロポーションのいい女性と目が合った。


「あら、こんにちは。私はアヤメ・ローゼンよ。“超高校級の俳優”と言われているわ」


アヤメ・ローゼン。ハリウッド映画で一躍デビューし、以降、数々の名作でその演技力を発揮している“超高校級の俳優”だったな。


「よろしく頼む。アヤメ、と呼べばいいのか?」
「ええ。お好きにどうぞ。私は速水と呼ばせてもらうわ」
「ああ。それにしても光栄だな。“サイタニック”で見たことがあるが、迫真に迫る演技だった」
「あら?あなた、映画はよく見る人なの?」
「いや。連れに映画好きのやつがいてな。あんたのことをよく誉めていたよ」
「そうなの。嬉しいわ。次回作はわたしが主役のものだから二人で是非観てちょうだい」
「ああ」


 姿勢、喋り方、まるで隙がない。
さすがに一際厳しい芸能界に身を置く人間だけはある。


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