二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【リク募集】息を止めて【BSR現パロ短編集】
日時: 2014/07/24 07:56
名前: 優斗 (ID: VhEnEiwQ)

初めまして。


RADWIMPSさんの有心論をモデルという事に短編小説です。


島の左近ちゃんも出てこないし、秀吉様と半兵衛様も出てきません。

婆娑羅3の暗い(?)雰囲気があっているので。


7月20日→追記

この度、クリックありがとうございます。
短編集という題名に変えさしていただきました。

題名の通り、婆娑羅の短編集です。
リクエストとかあればどうぞ。

※バサラ4は現在、プレイ出来ない状況なので出来れば3までのキャラでお願いします。



7月24日→追記

作者プロフィールとかって、書いといた方がいいッスかね?

名前・優斗(北斗の拳、結構好きです!)
年齢・非公開の為、友達によく言われる60歳。
好きなもの
歴史漫画、辞書、北斗無双のレイ、BASARA、銀魂、進撃、の声優さん、pixiv、ニコニコ動画、ネット
嫌いなもの
炭酸飲料、コミュニケーション(ネットは全然OK!)
趣味
貯金、ネット、ゲーム
その他
性別はあえて書かないけど、家三が好きなので、もうお分かりでしょう。英語全く駄目です。筆頭の言ってる事すら、時々「え、なんだっけ……」とか言ってますwww



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Re: 【リク募集】息を止めて【BSR現パロ短編集】 ( No.13 )
日時: 2014/08/04 13:20
名前: 優斗 (ID: zMzpDovM)

カブトムシ狩り編の途中ですが、少し短編を。





ゴミの残骸、血反吐の臭い、パイプが何かを連想させられる絵画の様にも見えた。注射の針を引き抜いた男はふぅと溜め息を吐く。

「標本作りは飽きないものだ。」

固まった肩を鳴らし、針をダーツ版に投げつけ、眠っている男に目を向ける。横にあったゴムを額に飛ばし目を覚ました男はめんどくさそうだ。

「趣味の悪い……」
「ははっ、卿を止めるのは勿体無いのでね。有り難く思いたまえ。」

白髪混じりの男の言葉に舌打ちをすると男も短く笑う。

「違いねぇ。」

糸の様に細く長く白い手が男…松永の元へ近付き、その手の正体が女ということが分かったのは数日前。なんの変哲も無いこのBARに女が居るのは当たり前の事だ。

閑静な住宅街に住まう少し古めかしい伯父さんという印象を周りに住むものには思われているが、ここに来ると何処か怪しい府陰気を纏う。その府陰気に惹かれるのは男、片倉だけでは無いだろう。

「……兄様は?」

無造作に散らせれたホームベースに乗る女、市は闇をそのまま被った様な黒い髪を揺らし蚊の鳴く様な声で呟いた。ぎこちなく片倉に頭を垂れ、松永を睨み付ける。

殺意の籠った眼に松永も笑みをやめ、市の兄、信長が居ないことを説明した。どうでもよさげに真っ暗の部屋へ戻り片倉はそれを見送った。

「で、松永。」

重たい片倉の声に、小首を傾げ、振っていたシェイカーの手を止めた。淡い水色の弾ける泡を打ち消す様にグラスに静かに注いだ。

「用件とは?」

差し出されたカクテルを飲み干し、ニヤリと笑む片倉に返す様に、松永も笑んだ。やはり二人は、悪友の様だ。

「そうだな。…一つ頼む、御願いだ。」

一枚の女の写真を胸ポケットから取り出した。
黒い着物に蝶々の柄、大きく開いたスリットからは青色の蝶々の刺青が。大人の女性といった感じだろうか。

「こいつァ、魔王の……」
「そう、信長の妻。これと引き換えに餓鬼の世話とでもどうかね?」

餓鬼の世話。それは、このBARの常連客の頼みらしい。隻眼で少し内向的な性格だと聞いた。
何でも屋でもあり、少しだけ裏の仕事もしている為、面倒だったが少しいいかもしれないと思う。

「…引き受ける。ただし、女は…要らねーな。」
「…卿の来店、楽しみにしているよ。土産話でも聞かせてくれ。」

カランと氷の割れる音と咽を鳴らす音が聞こえた。

この頼み、何故か嬉しい様な嬉しくないような。

またこの日常が楽しめる。とだけ、脳の何処かで囁いたがそんなこと気づいては居ないだろう。出来るだけ、知りたくない。

クサイ台詞を吐き捨て、コートを羽織り革靴の底を鳴らした。

「あの日の誓いにかけて。」








※上とは全く関係ないです。
※ところで、上は有名なボカロ曲を少しモデルにしてます。

伸びきったTシャツの首元を離し、床に投げ付けた。

「金吾、貴様またサボりおって…何処に行っていた。」

物凄い形相で冷たく睨み付ける毛利をカブトムシの様な角を着けた男が涙目で見る。

「サボって等ぃいませんっ!しかも…金吾じゃありませんし…わぁ!すみません!怒らないでぇっ!」

二、三回ほど踏みつけて鼻を鳴らした毛利と小早川を愉快そうに見る大谷は三成の瞼を押さえてなるべく見せない様にしていた。

店の表側では謝る尼子と長曽我部が立っている。

「すみませんでした…本当に…」
「てめっ、宇都宮ァ!謝れ!」

トラと家康と遊ぶ宇都宮をキツく睨み付け暫し返答を待つが案の定何も返っては来ない。
溜め息を吐き、もう一度頭を垂れた。

「いえ、金吾さんが悪いだけですよ。そんな格好をしていたから起こった事です。…もしよければ…」

鬱陶しい白髪の長髪を翻し、中華鍋と包丁を握った。

「ここで食べていって下さい。」

にんまり笑む男はそそくさと皆を席に座らせ注文を伺う。そこへ何処からともなく声が聞こえた。

「蘭丸は小籠包でっ!」
「オラは炒飯!大盛りだべ!」

男が目線を落とし、ドアの方を見ると前髪を結った小学生位の少年とみつあみのツインテールの少女が。どちらも、歯を見せて笑っている。

「おやおや、小さいお客さんですねェ。」

「うるせー。討つぞ。」
「なよなよと気持ち悪いべ。」

店内へ入り込んでいく二人の子供、蘭丸といつきを極力気にしていないという素振りでまた厨房に戻っていく。

「誰ぞと思えば…」
「よう!新入りさん!」
「毛利ぞ。」

大人気小説家といえど、入る収入は原稿が出来上がってからのため、暇さえあればアルバイトをしている毛利は今回はこの中華料理屋で働く事になっていた。
接客の際に着る紺色のチャイナ服(ジャッキーとか着てるアレ)が何故かとてもしっくりときて、似合うとネットで評判になっているとの事。おかげで店は大繁盛しているらしい。

「ワシよりも年上なんだな!」
「そう。お姉ちゃんだと、思ってけろ。」

猫のトラを抱え嬉しそうに家康は笑った。
毛利の後ろに居た三成も蘭丸と楽しそうに遊んでいる。

楽しそうで何よりだと、大谷は密かに思った。



Re: 【リク募集】息を止めて【BSR現パロ短編集】 ( No.14 )
日時: 2014/08/04 19:51
名前: 優斗 (ID: QnSr3K5Z)






日も暮れ、大分と月が輝き出した頃だ。

「俺の昔ばなし…聞きてーかァ?!」

「え、何それ。初耳!」
「聞きたい!」

酒も入り、突如始まった長曽我部の西高伝説。
暫し、作者の妄想をお楽しみ下さい。

※瀬戸内好きの方ァ!及び、毛利好きの方は絶対に凶器を片手に見ないでねェ!







西ノ海高校。

そこには最強のヤンキーが居たとか。

「アニキっ!今日も喧嘩ですかィ?」
「えっ、あっ、おうよ……」

浮かない顔で紫色の長ランを羽織る白髪の男。彼を西高の鬼神・長曽我部元親といった。巷では有名なヤンキーであり、喧嘩の腕も強いと噂されていた。

鞄等持っては居なく、大きなポケットの中から小銭に埋もれた飴を取りだし、封を開けそのまま口に投げ込んだ。ガリガリと音を立てて飴が消化されていく。

「…今日も喧嘩…か…」

白髪の頭を掻き毟り飛び散る髪の毛を眺めては溜め息をついた。
実はというと、そこまで自分は喧嘩はしたくない。

目線を高くするとゲラゲラ笑う帰宅部の奴等を尻目に指揮棒を振るう男、毛利元就が目に映った。こちらに気付いたらしく、窓を開けて手を振ってくる。

「また喧嘩か?」
「ちげーよ!」

頬をさすり、一昨日瞑れてしまった左側の目に触れる。泣きわめき血の流れ落ちる左目を触ったあの日の感触とはまた違った悲しみに取り憑かれそうになる。

もう一個あったのど飴を窓の中に放り込んだ。あの無表情で手を振り替えし、鞄を拾い上げた毛利の背中を待った。
同じ所から聞こえる低い声と毛利の声を待ち、小銭を掴んだ。

「砂遊びは程々にしろ。馬鹿に見える。」
「るせーわ。お前も、少しは休めよ。」

「おい、お前ら!ジュース奢ってやる。今から走って、遅かった奴はコーラとメントス口に入れろよ!」

平穏で穏やかな日常が続く様に。

そんな事を願った冬の時。

「テメー、金盗んだろ。」

クラスの男の一言で教室は水を打ったように静まり返った。

「……は?我は昨日は早く帰った…」
「んな事聞いてねぇ。盗んだかって聞いてんだよ。」

胸元を掴み上げ、嘘をでっち上げている事がバレバレの脅迫をかました。仲間の奴等も盗んだと言えと言わんばかりに毛利を睨み付ける。
周りの女子は俯いてはボソボソと会話を繰り返す。言わなくてはいけない。そんな状況が出来てしまった。

「…………我は……何も……」
「やったんだろ。早く言えよ。」
「……やっ……てな………た…」

「ほらよ!コイツ、盗んだってさァ!」
「あーらら、優等生がやらかしちまったな。」

相当根に持たれていたんだろう。

何もかもが完璧で全てが簡単すぎる毛利とは裏腹にコイツ等は成績はいつも下位。天と地といった程かけ離れている。

「謝れよ。」
「は……?」
「いいから。謝れよ。」

ニヤニヤと笑い毛利を見下す男等を許せなかった。
手を床につき、頭を踏まれるその姿を長曽我部は許せなかった。

ふと気付くと、いつの間にか席を立っている。
下を見ると驚いた顔の毛利と血のついた自分の拳。頬を押さえる男だった。

「…い…てーな……」
「ちょっ、長曽我部っ!後で職員室に来い!」

この時から、自分達の歯車は狂い始めていたんだ。

その後と言うもの、それは酷かった。

親も呼び出しをくらったが、親は自分を信じてくれた。
だが、自分が男を殴ったから終わる訳でも毎日毛利は虐められ、酷い扱いを受ける。元々、家庭の事情があまりよくなく、親も居ない毛利は何もかもを一人で抱え込んだ。

そんな日が数週間続いた、ある日だ。

「話は聞いている。お前、最近学校に行っていないらしいな。」
「……うるせーな。関係ねーだろ。」

頬杖ををし、ブクブクとジュースを泡立てる長曽我部を、雜賀は殴った。

「お前は、守ろうとして殴った。なのに、守るお前が居なくてどうするんだ?!」
「今更、俺がいった所で毛利は何を言われるか分からない。なら、関わらないのが一番だろう。」

「この、からすっ!」

今度はグーで顔を殴られる。それと同時に携帯の着信音が鳴った。
息を整えながら椅子に座る雜賀を横目で見、直ぐに携帯の液晶画面に目を落とす。

「……おっ、おい!サヤカ!」

呼ばれて慌てて画面を見るとそこにはボロボロの制服を着た毛利が。

顔にはアザが出来、整った髪の毛は泥をかぶり気絶をしている。誕生日にあげた眼鏡も粉々になり、目も当てられない。

とても危険な状態という事が分かり、送られてきた写真に震える長曽我部を雜賀は少し笑い、声音を落として問う。

「…で、どうするんだ。」

玄関に向かい、走り出した長曽我部を追い、呆れた様にまた笑った。

「…決まってんだろ。……サヤカ、手ェ貸せ。」
「あぁ。…そこの奴も行くか。」

「バレたか。」

玄関口に座り込む尼子にも問うと、余裕の笑みが返ってくる。

釘バットを握りしめ、手が悴むような寒さを無視し、全力で走り出した。学校終わりの女子高生を無視し、異様な三人の光景を笑う奴を無視し、地面を蹴った。





駅ビルの空きテナントには大勢のヤンキーが座り込んでいる。

「たっ、大変ッス!!」

ヤバめの厳つい男が振り向き、若人は早口で状況を説明した。

「今、包帯を巻いた男とタオルを巻いた男…それから、銃を持つ女がっ!」
「は!?…ど、どうすんだよ…」

「大丈夫。伯父さんなら殺れますよ。」

伯父さんと呼ばれた厳つい男は前を向く。
ほんの五分ほど待つと、物が倒れていく音がする。爆破音の中、現れる三人は目に殺意が籠っている。

「おい、毛利は何処だ。」

駆け寄り、叫びながらバットを振るうヤンキーを雜賀は撃ち抜く。眉間に当たるBB弾はゆっくりとコンクリートに落ちた。

血に濡れた床を踏みにじり、体勢を変え、構える尼子。唾を吐いては睨み付けた。

「……出せよ。毛利を。」

「ここには居ねーよ!」

真剣味を問うために、腹を強く蹴り飛ばした。倒れる男が指を指す方向にはもう一人男が。

「残念だった……ぐ……」
「…貴様は阿保か。」

元気そうに傷だらけの腕で首を羽交い締めにする毛利が男の後ろに立っていた。足を上げ、相手の股に当てて首を音が鳴るまで横に倒した。

逃げ惑う右頬にアザをつくる男をバットで殴り付け、ホッとした様に笑った。余裕に笑う四人。この後、西高では伝説として生徒たちの元で語り継がれたという……









「あの伝説、長曽我部殿達の……」

「あっ!真田、西高かァ!俺と知り合った事、誇らしく思えよォ!」






続く……(笑)

Re: 【リク募集】息を止めて【BSR現パロ短編集】 ( No.15 )
日時: 2014/08/06 12:00
名前: 優斗 (ID: ySW5EIo2)




猿飛が口を開く。

「西高の鬼…今では、東工の独眼竜だもんね…」
「ヤンキーとは…語り継がれる者でござるな。」

うんうんと頷く全員に毛利は声を出した。

「我は…虐められていたのか?アレ。」
「は?違うのか?」
「宿題は簡単すぎる…購買は他の駒に払わせた。…意外と楽しかった……」
「逞しいな…おい…」

当たり前という顔で酒を飲むと、今度は鶴姫が手を挙げる。

「私がとっておきの話題を話します!」
「姫の話題…?」
「はい!姉さま、最後まで聞いてて下さいね!」

※鶴姫特有の描写がズバッと入りますよ(・ω<ゞ−☆







桜の降りしきる通学路の並木道。
東山工業高校に入学した鶴姫は、紅いリボンのネクタイを揺らして兄に笑って見せた。髪を一つに結った尼子は呆れた様に笑う。

高校を卒業してしまった幼馴染みと友人二人の他に中学の頃からの友達が最近では一番の親友であり、毎日と言っていい程親がしつこく後継ぎを迫ってくる事もなく普通の日常が戻りつつあった。

「…あ!お兄ちゃん、海賊さんですよ…」
「げっ、長曽我部っ!」

ゴミ捨て場でゴミを撒き散らしながら眠たそうに服を着る、だらしないお隣さんから逃げるように走り抜け、二人違う分かれ道で手を降った。

「よっ、鶴ちゃん?」
「朝からhappyな奴だな。楽しそうに…」

「えへへ…おはようございます!猿飛さん、政宗さん!」

通学バスの中で挨拶を交わし、先輩二人に笑いかけた。
校則違反だと知りながらも猿飛の耳から反射するピアスから目をそらしひとつ上の伊達に話をふった。

「ところで、あの凄い形相で走っているオールバックの男の人は?」
「やっべ、小十郎じゃねーかっ!」

体を支える白いわっかから手を離し、椅子に隠れるようにしゃがみこんだ。それでも走り続ける男を見つめ鶴姫は口を開く。

「……もうすぐ転けますね。それから、犬に追いかけられます。」

は?と猿飛は言葉を溢し、目を見張り窓の外を見る。すると、十秒程してから落ちていた空き缶に足を滑らせ転げ、狂犬の尾を踏みつけた。予想通りに何もかもが起き、れにもさ猿飛は目を見張る。

「凄いね…予言者とかいけんじゃない?」
「小十郎、悪いな。」

手を合わせる伊達と驚く猿飛の光景は慣れっこだ。
昔もよくこんな事があっ。この能力のようなモノを鶴姫は気に入ってはいない。

シューと目が覚める大きな音に皆は反応し足早に出口に向かう。それにのせられ、鶴姫もおりていった。
ピンクのイヤホンを耳にあて、新しい空気を吸い込む。

楽しみだ。

だが、昨日見た夢の正体が気になる。
時計をぼんやりと見つめていた時だ。

「鶴ー…って、呼んでもいいかな?」
「はい!いいですよ!」

香水の臭いが鼻につくいわゆるギャルという種類の女子が、二三人で話しかけてきた。馴れ馴れしいなと思いつつも目を細める。

「じゃあ…一つ聞いてもいいかな?」

三人程いた女の中からボスの様な女が出てくる。

「…政宗とは、どういう関係なワケ?」

政宗?昔から顔見知りの伊達政宗の事か。
しかし、何故どう見ても高校生とは思えない程の女が一年教室に居るのだろう?よく猿飛から言われている留年をしてしまった生徒、だろうか?

「友達です!」

素直に答えた。

先程まで笑っていた顔がよくよく見るとひきつっている様にも見える事だけが今わかる事実。金髪の痛んだ髪の毛を揺らして鶴姫の机を蹴り飛ばした。

「っつ…!」
「じゃあ、猿飛は?」
「友達…です。嘘はついていません。」

今度は座っていた椅子を蹴り飛ばされる。
女の嫉妬ほど醜いものは無いと兄が言っていた事。まさに、それが今のこの女の様子だろう。怒る顔は見れたもんじゃない。

「嘘…猿飛先輩とも仲がいいの?!」
「私だって、一二回しか話した事ないのにー。」

他の女子も悲鳴に似た声を出した。
自分が言うのもなんだが、あまり可愛いとは言えない顔にただ線を引き、睫毛を着けた顔は赤く染まっていく。

これが、昨日見た赤い顔と痛みの正体。

「最初見た時から気に入らなかったんだよねー。」
「ブリっ子かっていう位可愛い子ぶってさ…」

何故この人達に気に入られなくてはいけないのか。
一人ぼっちの兄はこう言うだろう。だが、鶴姫は違う。
人の目を人一倍気にしてきた。自分をさらけ出せる相手はごく少ない。

ふるふると震える唇を止める様に、外で屯していた男子と歩いてきた先生は中に入り、顔黒の女は帰っていった。
机を直す姿は自分でも惨めだと思う。

ここでチャイムが鳴った。




「いたっ…」
「早くしろよ。」

下品な笑い声が響く夏の蒼天。
仰ぐ鶴姫を連れ去り家に入れろと脅す厄介な生徒。

更に厄介な事に男を連れ、嫌だと断れば何処かの駐車場に連れてこられる始末。散々な結果に終わった。

「どうする?コイツ…」
「取り合えず、服脱がせて…ネットに晒すか?」

冗談に聞こえない冗談に、汗がすーっと引いていく。

助けて欲しい。

その一心で目を閉じた。

「大人しくしてろよ…ちょっ、誰だコイツっ!!」
「…………。」

その瞬間、いや、次に目を開ける。
誰もかれもが女を残し居なくなっているのだ。

立っているのは赤みの掛かった癖のある髪の男。ハンバーガーショップの帽子を目深に被り、猿飛とはまた違うフェイスペイントを施している。

「あ、貴方は…きゃっ!」

固く結んだ口を開く事もなく、鶴姫を抱き抱え安全な場所へと避難させる。

「あ……あっ、ありがとうございます!」
「………………。」

無言で何かを取り出す。
銀色の細工が施された黒い羽の着いているネックレスだ。

礼をいう前に消えてしまったあの人。

一体、何処で何をしているのやら……








「これが、私のとっておきの話です……宵闇の羽の方…」
「で、姫。それから、虐めは無くなったのか?」

「いえ!何故か誰も近寄らなくなり、今ではすっかり私は引きこもりです!」

「……ほう、尼子。あの時の喧嘩は姫の為か?」
「我の手を汚させたあの喧嘩か…しっかり聞かせて貰おう。」
「るせーな!いいだろ!変な虫が寄り付かなくなったんだからよ!」





Re: 【リク募集】息を止めて【BSR現パロ短編集】 ( No.16 )
日時: 2014/08/10 15:58
名前: 優斗 (ID: joMfcOas)


「…え、何々?多分皆さん飽きてきてると思うから…次で最後?」
「なんぞ…これ…」

「次はわれが行こうか…」
「いや、我が行く。大谷、貴様は聞いていろ。」











親を失い、何もかもが無くなった。
そんな自分だった。
感情を閉ざし、ただ上部だけの笑顔で会釈を交わし、実に可愛いげの無い子供だった。人一倍、プライドが高くて自らも駒と見る。それが自分。

高校を卒業して、一気に笑わなくなり、間も無く。

「竹中…?」

最近事故を起こし、死んでしまった竹中の友人・豊臣。その悲しみに暮れる竹中を一度でいいから見てみたいという気持ちでドアをノックした。同情の余地なんて一つもない。本当かどうかは分からないが。

しかしノックしたものの、返事が何も返って来ない。

いつもなら不機嫌そうにあの天然パーマを触りながら出てくるというのに、最初ノックをしてからもう五分は経つ。

そろそろ隣人からの視線が痛くなってくる頃合いにドアを引いた。

「入るぞ……っ!」

開けるとそこには血の臭いが。
もう少し奥に入っていくと静かに泣きじゃくる子供一人と、冷静に水をコップ一杯運ぶ子供。横には布巾を持っている。

「……あ……元就…君…」
「血糊か?」
「君…馬鹿だろ……」

心無い言葉にいつもの毛利だと確信した竹中は、紙と鉛筆を持ち、何かを徐に書き綴った。それを丁寧に折り、毛利に手渡す。

「もう、どうやら…僕はヤバイらしい…」
「…………」
「後は頼んだ…よ…」

無言で倒れ行く友人を、最後まで何も救えなかった。

罪悪感が胸と自分の首を締め付ける。息苦しい。
アパートに戻り、泣き叫ぶ子供と俯いている子供に精一杯の笑みとココアを与えた。
立ち上がり、いつもの態度に変えると集まった長曽我部等に書き残した手紙を渡す。集まり、暫くしてから口々に言い合った。

「…つまり、豊臣の子供と竹中の子供……」
「竹中は奥さんは病弱で死亡。豊臣とその妻は事故で死亡。」
「この三成君は豊臣さんを自分のお父さんだと思い、竹中をお母さんだと思っている。」
「そこは関係無いと思うがな…ヒヒッ」

物凄い複雑な家系図を唸りながら考える五人。
連れてこられた二人の子供は呆けながらも真剣に聞いている。

「…貴様ら、簡単に言おう。この童は親が居ない。」

雨に濡れている頭をタオル越しに撫でた。
嫌そうに手を掴みながらも嬉しそうだ。

「我は…救ってやりたい。長曽我部、いいか?」

ぶっきらぼうに問いかける。少し驚いた様に頷く。

「いい、けどよ…お前、俺の家から嫁追い出しといて…よく言えるよな…」
「……案ずるな。貴様もすぐに追い出しやる。」
「なんつー上から目線だ…」

鼻で笑うとボサボサになった髪の毛を見てもう一度笑んだ。今度は作った笑みでは無く、心から優しく笑んだ。

「…おい…」
「なんだ。」

涙の後がついている子供に睨み付ける様に返事をする。

竹中によくにた白い髪の毛。天然パーマではなくサラサラのストレートだが、前髪が尖って何か突き刺させそうだ。

「……秀吉様と父上は…?」
「死んでしまった。」
「……そうか…」

「おっ、おい!毛利!」
「ハッキリ言われないと傷つくものだ。最初に傷つけておけばいい。」
「…そ、そうだけどよ…」

いつもは無茶苦茶な毛利の意見だが、今回は認めざるおえない。彼も昔は孤児だったからだろうか。それは関係無いだろうと頭の中で消去をする。

少しぬるくなったココアを一気に飲み干し無邪気にもう一人の黒に近い茶髪が微笑んだ。

「え、えーと…」
「なっ、なんでィ!」
「ここは…どこだ?ワシはどこに居るんだ?」










「このあと、私達が仲良くなるんですよね…」
「どうせなら、最後までいえばいいのによ…」

「これくらいで十分だろう。家康も、語られるのは…フン…」
「寝てるな…」
「おい、サヤカ。何写真撮ってんだよ…つーか、添い寝すんな!」








以上、カブトムシ狩り&昔話でした!



Re: 【リク募集】息を止めて【BSR現パロ短編集】 ( No.17 )
日時: 2014/08/12 22:08
名前: 優斗 (ID: aQG7fWp7)



帰ってきて間もなく二日が経った。

夏休みも残りそ三週間を切り、暇そうにベランダに生息する猫は眠る。宿題も終わらした三成も気持ちよさそうに眠っている。
その横で家康は鉛筆を握り、毛利に式を教わり長曽我部の居場所はすっかりと無くなってしまった。なんせ、狭い部屋だからだ。

リモコンを失い、ここ五時間以上つけっぱなしになっているエアコンとテレビゲームの戦闘BGMの協奏曲はどちらかというと狂想曲だ。

「…コンビニ行くか…」

長曽我部の呟きに返答するのは猫の鳴き声。

愛想の悪い毛利は全くの皆無だし、隣は異様に静かだし、テレビを消した部屋からは家康の唸声だけ。あと、三成の吐息も。

「…すまんな元親…ワシも行きたいのだが…」

毛利に上目使いで目を向ける。

「行っても良いぞ。ただし、ハーゲンダッチュの期間限定、日輪をたっぷり含んだ抹茶味を買ってくるのならばな。」
「え…あれ…一個500円じゃ無かったか…」
「いいから。買ってこい。」







『海賊』と銀箔で書かれた黒い財布に千円札を入れ、小銭の数を確認する。箱のアイスも買う為、最低でも二千円は必要だが、小銭入れには531円。足りない。

「ぃ家康、金、持ってねーか?」
「うーん…あっ、小枝なら持ってるぞ!後…100円…」
「自分の分は自分で買えねーか?」
「仕方無い。今度三成のプレゼントを買いたいんだ。それにワシの分も。それを奢ってくれるならいいぞ。」

つくづく大人気ないと思う。
階段を降り、目をやると珈琲を飲む男が。

書類の積もった少し汚れたデスクの上に、小さい金髪の黒い帽子を被った男の子の写真が。もみ上げの部分が前にカールしているのが特徴的だ。しかもよく分からない縫いぐるみに抱き付いている。

「…あ、こんにちは。」
「こんにちは!」

写真から飛び出た様に大家の立花の後ろから出てくる男の子に少し後退りをする。対する家康は手を上げて笑う。

「こ…子供さんか?」
「はい…宗麟と言いまして。」

「家康さんですね!…もーりさんは居ますか?」
「毛利なら家に居るぞ!え…えと…」
「宗麟です!」
「うん!宗麟、また遊ぼうな!」

幸村流、基、武田道場風にいうと風の如く階段を駆け上がり長曽我部と書かれた部屋へ走り込んでいく。扉の奥からは毛利の悲鳴が聞こえるが、あえて無視を選んだ。

静かになった所で去ろうと足を前に出すが、横から大きな破壊音に似た扉の壊れる音と緑と手拭いを頭に巻いた女が箒を構え出てくる。
前の男はひれ伏せたまま握り飯を頬張りつく。

「まつゥ…飯が足りない…」
「犬千代様!先程食べたでしょう!早くしてください!」

紹介はしなかったが、このアパートには六つの部屋がある。二階には尼子、長曽我部、大谷。一階には雑賀孫市の恋人前田慶次の兄嫁夫婦・前田利家とその妻まつ。
そして、もう一人。今も横でその男が暴れている。

「…うっせェ!阿呆官!」
「あっ!いってっ!てめっ、上司に何言いやがる!」

「官兵衛!」
「あァ!?権現か!今は構ってやれない!すまんな!」

目付きの悪いやや猫背気味。いつもスーツの下にTシャツを着ている男。名を後藤又兵衛(話し方おかしいのは、うろ覚えだからです!)。黒田の勤める出版社の社員。一応黒田の方が歳も入社歴も長いため、上司と自分では言うが後藤はほぼ無視。

「嫌だ!まつの飯を食ってから!」
「行きたくないっつてんだろ!《ピー》るぞコラァ!」

地団駄を踏む夫におにぎりを投げつけ、怒ったのか中へ入ってしまった。後藤も黒田に強烈なボディーブローをくらわす。
その場に倒れ混む黒田。その上をもう一人の住人が歩く。

「左近駄目だぞ暴れた…ら…」
「あっ、家康!」

柴田勝家と島左近の二人。
年長さんになったばかりという暴れ盛りの義理の弟の面倒を見るのが引きこもりの義理の兄。なんとも複雑な家庭環境を抜け出すために二人で暮らす事を決めたといモノ。

「ご、ごめ…ごめんなさい…すみません…すまないィ!」
「けっ!どっかで野垂れ死ねェ!」

不思議な住人だ。

「みっ…三成さまは!?」

嬉しそうに問いかける左近の頭をそっと撫で、長曽我部は上を指差した。

「よし、乱入してこい。」

この後、毛利の元ヤンの血が騒ぐのだった。







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