二次創作小説(映像)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

ルパン詰め合わせセット1ケ333円
日時: 2015/03/18 23:25
名前: 八咫烏 (ID: vVNXDLge)

どうも八咫烏です。
今回は「ルパン三世」を元にした作品を書いて行こうと思います。

オリキャラやコラボ作品などもあるので色んな方に楽しんでもらえたらなと思っています!

リクなどありましたら、気軽に仰ってくださいね!

Page:1 2 3 4 5 6 7



手段は選ばない〜自分のやり方〜 ( No.29 )
日時: 2015/03/26 05:20
名前: 八咫烏 (ID: vVNXDLge)

 聞いた事のある名前に恋也は身構えた。
自分が、此処に来たことあるのは1人で盗みを働いている時だった。
 腕試しに忍び込んで見たのだが、ルパン三世に見つかり、宝を持っていかれた。
 その時は特に悔しいとも憎いとも思わなかったのだが、ルパンにまさか『そんな顔するお前さんに盗みなんて似合わねぇよ』と言われるとは思っていなかったが。

 大分暴言を吐いた記憶があるが、それでもルパンはギルティという偽名を使っていた恋也を撃つことは無かった。
 それは彼の持っているものとも言える。
 それだけルパン三世は器が大きく、余裕があるのだろう。

「言っただろ、お前がイイ男になった時に良いモンを見せてやるって」

 ルパンの表情は笑っていた。

 **

『まさか、ルパン三世に盗まれるとは俺も思わなかったな』
『結構噂になってたから、腕試しって事で様子見させて貰ってたけどな』
『悪趣味な奴』
『お前が言うなよ』

 屋上で話しているのにも関わらず、警察は居ない。
誰も予告状を出してはないのだから当然なのだ。
 ルパンは噂になっているギルティ・クランという少年とただ腕試しをしていた。
 自分の気配に気がつけば結構な実力があるのだろうと思っていたのだが、盗みを始めたのが最近なのか、落ち着きはあるがプロとは呼ぶことは出来ない。

『よく俺が此処に来る事が分かったな』
『大人はこわーいからねぇ。子供が遊び心でやってるからこうなるんだって、ママに教わらなかったか?』

 ちょっとした挑発だったのだろう。
その挑発は少年にしてみれば、最悪な挑発なのだが。

『残念だけど教わった記憶はないな。それに俺の母さんはそんな事言わないって事ぐらい調べておけよ』

 それが唯一自分が平常で居られるための建前だった。
自分の中では分かっていても、体が反応する時がある。

 無視すれば良いのに、無視が出来ない。


 人はそれを「弱い」や「思いやりがある」と片付けてしまう。
確かに言っている事は正論だが、その人に本人にとって本当に「弱い」のか「思いやりがある」かなんてものは、長い間一緒に居て分かるものだ。
 それを知っていますよという風に言う同年代や大人が少年、恋也は嫌いだった。
 何も知らない癖に偉そうに言葉を並べる人間が嫌いで仕方なかった。

 それでも学校に行き、そういった感情を隠して友人を作って「楽しい」と言える日常というものは過ごしていた。
 でも実際は自分が嘘を吐いて、感情を隠して作った友人だ、本心を述べてしまえばきっと離れていくだろう。
 偉そうにする人間が嫌いなだけであって、人間が嫌いと言うわけではない。
だから素直に話していたらこんな風に堕ちなくても良かったのだろう。
 自分が話してしまって友人が離れて行くのが嫌だと思ってしまったのだから、話す事も出来ずにこうやって盗みを働いて、気を紛らわせている。

 そうすれば、友人が離れる事も無く、いつもの様な日常を過ごせると勘違いしてしまった。

『お前の母さん泣くぜ? こんな事してんのバレんのも、お前が望んだ事じゃないだろ』
『泣きも笑いもしないに決まってるだろ』

 もう、死んでるから。
そう言いたかったのに、口を開けば泣いてしまうと思い、視線を逸らした。
  
 周りの大人は親が居ないから可哀想、可哀想と何度も同じ事を言い、誰も助けようとはしないそんな大人ばかり。
 本当に可哀想と思うのなら、優しくして欲しいと思うだろう。

『そんな顔するお前さんに盗みは似合わねぇよ』

 優しく言われた言葉だった。
冷たい風が肌に触れ、髪からすり抜けていく感覚を覚えつつ、自分に放たれた言葉に拳を作る。

『何も知らない癖に、偉そうに言うな。お前だって腹の中では嘲笑ってんだろ、俺のを事を知ってからそんなセリフ吐けよ』

 睨みつけながら放った言葉は日頃の不満も巻き込まれていた。
日頃不満が多いから不満を解消する為に盗みをし、盗めた事に快感を覚え止められなくなる。
 物に興味はない、盗む過程が最高に楽しいのだ。
盗んだものはその辺りに捨てているので、元の持ち主か警察にいっているだろう。
 そんな事はどうでも良かった。
ただ、自分が満足できればそれで良かったのだ。

『お前は俺の何を知ってる、俺が普段何を言われ、どう過ごしてるかなんて知りもしない癖に盗みは似合わないだって? 笑わせるな』

 ギルティはルパンに拳銃を向ける。

手段は選ばない〜自分のやり方〜 ( No.30 )
日時: 2015/03/26 05:22
名前: 八咫烏 (ID: vVNXDLge)

『撃てやしねぇよ』

 ——パァン、銃口から煙が上がっている。
ルパンは撃たれていなかった。
 ギルティが持っている拳銃は確かに発砲したのが、ルパンに対して撃った弾は外れていた。

『だから言っただろ、撃てやしねぇって』
『予言者かよ……』

 諦めたように銃を捨て、その場に座る。
本当に敵わないと判断した。
 ルパンは筒を持ちながらも煙草に火をつけて、空を見た。

『お前の事は何も知りやしねぇ、けどな、お前さんが足を洗ってイイ男になったら、良いモンを見せてやる』

 どんなものだろうかと思いつつもギルティは溜息を零した。
本当に、敵いっこない。

『そん時はまたコレを盗みに来い、元の場所に返しておくからよ』

 そう言ってルパンは姿を消した。

 **

「あの時のかよ」

 溜息と同時に落胆する。
人の縁と言うものはよく分からない。
 けれど、そんなだから惚れたのだろう。

「っで、俺達は朝日を見てる、と」

 次元の呟きにルパンはそうそうと頷く。

「くだらねぇな」

 一言でくだらないと言われてしまうが。
とある宮殿の屋根の上で5人が夕日を見ているのを、他の誰かが目にしてしまうと、色々面倒になりそうだ。

「お主の事だ、どうせ忘れていたのだろう」

 五右ェ門の何気ない一言に顔を引きつらせながら、恋也を見る。
たまたま昔来たことのある場所に来たから思い出したと言うだけで、ずっと忘れていたのはルパンも同じだ。

「しかし、不思議な事もあるもんだ。ワシが捜して追ったギルティがルパンの仲間だったとはな」
「あれとっつぁん。なぁんでもっと驚かねぇの?」

 ルパンが不思議に思って尋ねても銭形は軽く微笑み「ワシの勘は外れん。そこの少年がルパン一味だったのには驚いたが」と言った。
 
「それにしても、綺麗じゃない」

 不二子が珍しく綺麗だと言った。
宮殿の屋根の上で、朝日を見つめるルパン一味と銭形。
 丁度宮殿を海が囲んでいるので余計に綺麗に見えたのだろう。

「俺は昔より人が好きになった気がする」

 恋也は全員に聞こえるように呟いて、朝日を背中にして笑顔を向けた。

「俺はやっぱりルパンに惚れて良かったんだ」

 その笑顔は一切負の感情は含まれていなかった。

待ってた ( No.31 )
日時: 2015/04/08 07:34
名前: 八咫烏 (ID: vVNXDLge)

 待ってた(ルパン三世2nd/次元大介の墓標/超短編)


「……待ってねぇ」
「待ってたんだろグフフフ」

 あ〜れま、そんな顔しちゃって。
どしたの? 拗ねちゃった? 可愛いねぇ、お前さん。
 どう考えても待ってました、って格好だぜ?
肩や頭に雪積もらせてほっぺた赤く染めちゃって、何? そんなに俺様のこと待っててくれたの?
嬉しいねぇ。
今日たまたま下見してたら長引いちゃって、待ち合わせの時間に遅れた俺も悪いんだけどさ、どう見ても三時間も前に待ち合わせするはずだったのに、三時間後の今、待ち合わせ場所にいるって事はどう考えても待ってただろ、素直になれよ。

「待ってねぇって言ってんだろ」

 そんな怖い顔してもだーめ。俺様は何でもお見通し。
顔を逸らしてほっぺた赤く染めてる時点でお前さんの負け。

「待ってたって言ったら、褒美やるぜ」

 ピクリ、分かりやすいねぇ。

「……待ってた」

 よくできました。じゃ、ご褒美にこの俺様が楽しい事教えてあげましょう。
 ——ルパン三世君。

愛欲のプリズナー ( No.32 )
日時: 2015/04/09 06:34
名前: 八咫烏 (ID: vVNXDLge)

愛欲のプリズナー(ルパン三世2nd/ひとしずくP×やま△/愛欲のプリズナー/心情メイン)


 今日もアイツはアジトから出て行く。
何かあるのかと尋ねると、いつも決まって「飲みに行く」だった。
 最近その言葉が怪しい。
『飲みに行く』、アジトに酒はある。勿論俺とルパンの好みの酒がある。
それなのに飲みに行く必要など必要ない。

「おい、ルパン……」

 声をかける前にバタン、とドアを閉めて出ていった。
この酒臭いリビングから玄関に、ルパンは歩いているんだろう。
そして、ギィィなんて戸が開く音が聞こえると、ルパンはアジトから去って行った。
 明日の朝に帰ってくるのだろうか、そんな事を思いながらソファに横になる。

 ルパン三世に愛された者は必ず死ぬ。
そういう【呪い】がかかったのは、いつ頃だろうか。
 ルパンは気にした様子はないようだが、本気で愛した女が死んだ時はショックだったのか、三日間何も口にしようとはしなかった。

 ルパンの女癖の悪さは誰だって知っている。
そんなルパンが惚れた女が、死んで、ルパンは部屋に籠もり、三日後、何も無いように出てきた。

 ——なぁ、そろそろ、気付かねぇのか?

 俺の呟きなど知らず、ルパンの野郎はお気に入りの赤いジャケットを羽織って出て行ったまま。

 **

 何日が経ったのだろうか、ルパンは今日もまた『飲みに行った』。
どうせそこらの女をナンパしているんだろう。懲りねぇ奴だな。
 そしてフラれるのがオチなのによ。

 朝5時、寝付けず煙草を咥え、リビングの古びたソファに腰掛け、バーボンを飲んでいるとルパンが帰ってきた。

「次元ちゃん起きてたの?」
「あぁ。寝付けねぇんでな」

 短く返事をしながら煙草を灰皿に押し付ける。
自分の苛立ちを隠すようにグラスを掴み、口の中に流し入れる。

「チッ」

 不意に出た舌打ちだった。
迂闊だ、ルパンの前で舌を打つなど絶対何があったのかと聞いてくる。
あぁ、どうやって誤魔化そうかと考えている矢先に——次元ちゃん? なんて声かけてきた。
 当分テメェの声なんざ、聞きたくねぇや。そう答えてしまいそうになり、「喉の調子悪くてよ」なんて言い訳を吐いた。
 ルパンは肩を竦め、「風邪には気をつけろよ」なんてほざいた。

 ——あぁ、クソ。苛立ちが治まらねぇ!

 帽子をいつも以上に強く押さえ、ソファから乱暴に立ち上がり、普段より速いペースでリビングを後にした。
 一体何処の誰だ、俺の相棒をこんなに狂わしたのは。
毎日毎日、とっかえひっかえに女の臭いなんざつけてきやがって。

「……胸糞わりぃ」

 一言吐いて俺は玄関のドアを足で閉めた。

 **

 そろそろ気が付けよ。オメェを必要としてる奴が誰なのか。
もう良いだろう。お前のその【呪い】とやらに言いたい事が山ほどあるんだろ? オメェは。
でも俺はその【呪い】に感謝してんだぜ?
 なぁ、お前がどれだけ『死なせたくない』と願ったところで【死神】の前じゃ、無意味なんだ。

「次元……」

 マグナムをルパンの隣にいる女に向ける。
誰も居ない、実際は俺とルパンと女しかいない路地裏。
 【死神】にとっては別に殺すならどこでも構わない。

「オメェのその不幸はな……」

 一度言葉を区切る。
そして、引き金に手を掛けながら「作られたモンなんだ」と指に力を入れる。
 バァン、ゆっくり弾が銃口から出て、女の元に吸い込まれる様に向かい、銃声と共に、女が赤く染まり、地べたに崩れる。
 バンッ、バンッ、バンッ、と何度も女に向かって引き金を引く。
人の形を残さない為に、弾を入れ替え、再び女に銃口を向け、引き金を引く。
 それを何回も繰り返し、女なのか、果たして人間なのかという状態までのグロテスクさになってから銃を仕舞う事はせず、ルパンに銃口を向ける。
 俺が撃っている間、何も言えない様な面でそこに立っていた。

「お前が、殺して、いたのか……?」

 やっと紡ぎ出された言葉。その言葉に鼻で笑い、帽子を押さえ「呪いのせいだろ?」と、嘲笑した。
 【死神】には感情がない。いや、必要ない。
 【呪い】を解きてぇなら一つだけ方法がある。
 マグナムを俺の脳天に当て、撃つフリをした。
ルパンはそれで全て悟ったのか、瞳に光を宿らせないでワルサーを取り出し、俺に向ける。
 ——あぁ、殺せ。それでオメェさんの『不幸』という名の【呪い】は消える。

 バァン。

 一つの銃声と共に、俺の視界は真っ暗になり、意識もぼんやりして、冷たい地面の上に落ちていった。枯葉のように——。


 【とある帝国の三世に愛されると死神に殺されるらしい】
 【とある死神に愛されると三世に殺されたらしい】

次元を迎えに行った帰り道(ルパン三世2nd) ( No.33 )
日時: 2015/04/26 16:27
名前: 八咫烏 (ID: 549un0nz)

アジトに向かう途中、そろそろ満開の桜の花びらが舞う頃合いになってきたのを肌で感じる。
 花を感じさせる匂い、眠気を誘う温度に、心地よい風がジャケットの裾を抜けていくのを感じて、思わず鼻歌を歌いながらSSKを右手で運転する。
 そろそろジャケットを着ていると暑くなってきたと思いながら、海沿いの道路をゆっくり走っている。
 普段はこれ位ゆっくり走らないだろう。速度にして60kg。

「海が綺麗だねぇ、次元ちゃん」

 右手をドアの上に置いて後ろに振り返りながら、相棒に声を掛ける。
黒い服を纏った相棒は、今朝の5時までバーで飲んでいた所為か、帽子を頭の上に置いて規則正しく上半身が動いている。
 無論、その声に返答する訳でもなく、いびきを掻きながら靴を脱いで、後部座席を陣取っている。

「そんなに飲むからでしょ……」

 はぁ、と溜息を零しながら左手でジャケットのポケットを探り、煙草とつい最近購入したジッポを取り出す。
 煙草を取り出して、火を点けてカチン、とジッポを閉じれば煙草の箱と一緒にポケットに仕舞う。
 体内にジタンの香りを回し、息を吐き出して、煙草の煙を吐き出して運転していると、ふと、ガードレールの外から生えているのを見つけた。
 そう言えば蕾があったなと思いながらスピードを緩めていく。
 ビュウ、と風が吹けば淡いピンク色の花びらが空を舞う。
 そろそろ雨が多い時期になるだろうな、なんて起きもしない相棒に心中で呟きながらも愛車を止める。
 ダンッ、ドアを閉め、ジャケットを脱いで暑くなって目を覚ませと思いながら脱いだジャケットを相棒にかけて愛車に手をかけて桜を見つめる。
 短くなってきた煙草を口から吐き出し、靴の底で潰して火を消し、腕を枝に腕を伸ばす。
 パキン、人差し指と親指で枝を折り、色々な角度からその花を見物する。
 
「綺麗だねぇ」

 花に向かって言ったのか、寝ている相棒に言ったのか、それは誰にも分からないが自分が盗んだ宝石など以外、こうして平凡に、毎年その時期がやってくれば咲く花に対して、『綺麗』なんて感想を持つ事は無いに等しかった。
 どうしてこう思うのか、そんな事など分からないが、微笑みながら「次元ちゃん知ってる? 桜の木が美しいのは、木の下に死体が埋まってるからだぜ」と、後ろを振り向きながら言ってみた。
 起きる事はないのに、そんな事を言うのはきっと寂しいからではないと否定をしつつ、自嘲した。
 ——その瞬間。「あぁ」とボルサリーノの下から低い声が響いた。
 
「まさかと思うけど、次元ちゃん起きてたの?」

 そう尋ねると、鼻で笑うのが聞こえ、肩を竦めて呆れた表情を晒し「さすが元殺し屋だ」と嫌味を込めて、縁に腰掛ける。

「おめぇの気付きがおせぇんだ」

 俺の背中で寝てただろうが。小さく口にすれば聞こえていたらしく、口角を上げるのが見えて同時に上半身を起こした。
 
「店主さん困ってたぜ? 歩けないぐらい酔うなら止めとけって言ってるだろ」

 赤いジャケットに腕を伸ばし、しかし助手席付近から後部座席までは届かないので、相棒の次元大介に取れと無言で伝え、次元は合図に気付き、ジャケットを手に取り、腕を伸ばして差し出す。
 サンキュ。礼を述べながらジャケットを身に纏い、そのまま軽くジャンプをし、運転席に腰掛ける。
 エンジンを掛け、愛車を発進させる。

「お前にやるよ。暫くアジトに飾っておけ」

 右手に持った桜の木の枝を次元に渡し、右手で愛車を運転する。
 アジトまでそう遠くない距離。甘い花の香りに包まれながら鼻歌を歌っていると、次元に何の曲かと尋ねられた。
 そんな事があった、4月の15日。


Page:1 2 3 4 5 6 7



この掲示板は過去ログ化されています。