二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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東方従者録
日時: 2016/01/19 04:16
名前: 十六夜皐月 (ID: bNAHgfPP)

※このSSには以下の成分が含まれています
・東方
・オリキャラ
・投稿者の咲夜さんへの狂愛
・若干中2(?)
それでも良いと言う人はどうぞごゆっくり
「駄目だね」と言う方はブラウザバックを推奨



ーこれは幼き吸血鬼とその従者達が住まう館に召喚された、一人の悪魔の物語ー

(更新ペースは投稿者の気まぐれなので あまり期待しないで下さい(^^;

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Re: 東方従者録 ( No.3 )
日時: 2016/01/26 02:39
名前: 十六夜皐月 (ID: bNAHgfPP)

第三話 地底に眠る秘湯(前編)

「皐月 遅いわよ」
「少し荷物を持ってくれても良いと思うのですが」
「あら 女性に荷物を持たせるというの?」
「……分かりました 持てば良いのでしょう……」
「悪魔の力なら その程度羽毛の様な物でしょう?」
「そうですけど重いには重いのです」

私達は、先日お嬢様からお許しを頂き、皐月と旅行に来ている。

旅行と言っても外の世界に行く訳では無く、地底にあるという温泉に浸かりに行くというものだった。

目の前に広がるのは地底へと繋がる大きな穴、普段ならば浮いて降りて行きたいのだが、こんな所で飛んで余計に体力を消耗したくはない、今回の目的は「疲れを癒す事」なのだから、その疲れを癒す前に疲れてしまっては本末転倒だろう。

「お先に失礼」
「あっ ちょっと皐月!?」

多少重い荷物を抱えているにも関わらず、軽々と飛んで穴に落ちていく、恐らく危険な事があるかもしれない という思想は無いのだろう。

「……あぁもうっ」

皐月に習って私も飛び降りる。

重力に従って落下していく、下から吹き上げて来る風圧が凄いが、下にいる皐月は何も無いかの様な涼しい顔で落ちている。

「二人でデートかしら……あぁ妬ましい妬ましい妬ましい妬ましいパルパルパルパルパルパルパル……」

不気味な声が一瞬聞こえたが、疲れによる幻聴だと思い込む事にした。

「咲夜さん」
「ひゃっ!?い いきなり隣に現れないで!」
「それは失礼しました そろそろ着地する準備をしないと危ないですよ それでは」
「あっ 皐月!?」

私の静止も聞かず、急降下していく皐月、先に降りて受け止めてくれるのかと思ったが、皐月は悪魔だ そんな事をするはずが無い。

仕方無く自分から浮いて、落下する速度を落としつつ下へと向かう。

私が着地したのは、丁度皐月が空中で回転して衝撃を殺して着地した所だった。

「地底に着いたわね……さてと 何処から回ろうかしら……」
「早速それですか……もう少し自分の疲れを取る事をお考えになって下さい」
「……そうね でも買い物も楽しみたいじゃない?」
「言っても聞かないみたいですね……分かりました 私は鬼と腕相撲でもして来ますので 終わり次第呼んで下さい それでは」

また皐月と一緒に回る機会を逃してしまった、いつも消え去るのが速いのも原因なのだが、私も言うチャンスはあったはずだ。

「……皐月の馬鹿」

誰にも聞こえない程の小さな声で呟き、うじうじと悩んでいても仕方無いので、気分を切り替えて買い物を楽しむ事に決めた。

「咲y……」
「しっ!静かにフラン!」
「……?」

何処かでお嬢様達の声が聞こえた気がした。

「……疲れが相当溜まってるのかしらね……」

声のした方向に背を向けて歩き出す、何を買おうか……

「……行ったみたいね」
「けほけほっ……いきなり口ごと鼻を塞がないでよお姉様……」
「ごめんなさいね ついやってしまったみたいだわ……」
「ごめんなさいで済んだら怒って……はぁ もう良いや……それより皐月は何処に行ったんだろ?」
「……あそこに居るわよ」

「くそっ……なんで微動だにしない……っ!」
「ふむ……そろそろ終わりにしましょうか」
「なっ……負けてたまるか……っ!」

「……何処の少年漫画展開をやっているのかしら……」
「皐月ってあんなに力あったんだ……」
「……私達も少し買い物を楽しみましょう?運命によれば咲夜が合流するのはまだ先だしね」
「わーい!」

そこかしこで灯りが灯され始めた頃、私は皐月を呼んだ。

「遅いですよ 待ちくたびれました」

服装が多少よれている、何かあったのかと不安になったが、おおよそ想像はついたので聞かない事にした。

「さて 宿に行きましょうか」
「えぇ……って 皐月 荷物は何処に……?」
「あぁ それなら」

皐月が指を鳴らす。

途端、私の前に荷物が現れた。

「少しだけ時空を歪めて収納していたんです 腕相撲で邪魔になりましたのでね……」

荷物を仕舞う為だけに時空を歪める程の力を持った悪魔が相手では、流石の鬼でも赤子の様に弄ばれただろう。

「丁度宿まで近いですね……行きましょうか」
「あの 皐月……」

意を決して、思っていた事を口に出す。

今でも顔が赤く、熱くなっているのを自覚するほど、私にとって恥ずかしい事だ。

「宿に着くまで 手を繋いでくれる?少し冷えてしまったの」
「はい 了解しました」

優しく右手を左手で握られる。

「っ……」

皐月の手は非道で知られる悪魔の様な冷たさは無く、全てを優しく包み込むかの様なふんわりとした暖かさだった。

男のゴツゴツとした感覚ではなく、まるで女性の様な滑らかな肌の感触に、思わず蕩けそうになってしまう。

「少しどころか冷えきっているではないですか……体に障りますよ」
「ぁ……ぅ……」

息を吹き掛けて両側から皐月の手で擦られる、寒い時には良くやる行為を他人にやられるのは初めてというのもある、だがそれ以上に好きな人にそれをされているという事実が、私の心臓の鼓動を速くする。

「さ 行きましょうか……」
「えぇ 温泉に早く浸かりたいわ」

うるさいくらいに鼓動を繰り返す心臓を宥め、宿へと歩き出す。

受付に行き、泊まる部屋へと案内される、中は和風な作りになっていて、廊下の所々に、枯れた花と美しく咲いた花が活けられていた。

「どうぞごゆっくり」

和服を着た女性が襖を開ける。

「わぁ……」

部屋の中は八人が布団を敷いても余る程の広さがあり、一面に畳が敷かれ、部屋の奥にある障子を開くと、見事なストーンガーデンが広がっていた。

「……ほぅ……」

皐月も驚きを隠せない様だ、私もこれほど美しい庭があるなどと考えた事も無い。

部屋に荷物を置いて、早速温泉に浸かりに行く事にした、皐月は後で入ると言って、自分の腕を枕に眠ってしまった。

脱衣所で素早くメイド服を脱ぎ、篭に衣服を入れ、生まれた時の姿になる。

私は元々、幻想入りした人間である、外の世界で人間達に時を止める力を持つ事で忌み嫌われ、石を投げられた日もあった、嫌がらせも沢山あった。

ある日、そんな日々に嫌気が差し、樹海に紐と遺書を持って死にに行った。

遺書を履いてきた靴の前に置き、輪を作った縄に首を通そうとした時だった。

いつの間にか、さっきまで居た世界とは違う場所に私は居た。

私はここで多くを学んだ、生まれ付き持っていた投げナイフの才能、仕える事の楽しさ、その他にも様々な事を学んだ。

だからこそ、私は今ここに居られるのだろう、あのまま死んでいたら、こんな楽しい事を知らずに逝った自分を憎んで居ただろう。

タオルで体を隠し、スライドドアを開ける。

念入りに身体中を洗い、熱いお湯を掛けて泡を洗い流す。

場所が違うだけでここまで感じ方が違うと思って居なかった、いつもよりとても気持ち良く感じる。

足の先で温度を確かめ、ゆっくりと肩まで湯船に浸かる。

「はぁぁぁ…………」

思わず感嘆の声を漏らす、日頃から溜まっていた感情を吐き出す事も兼ねているのかもしれない。

夜空に浮かぶ月を眺め、湯船に浸かっていると、全てがどうでも良くなって来る、その心地良い気だるさを味わいながら、意識を夢の中へと手放した。


「……あら 私とした事が……男湯と女湯の表記を間違えてるわ……」


仮眠を終了し、背伸びをする。

「……あぁ 良く寝た……私も温泉に入りに行くか……」

浴衣を持って浴場へと歩き出す、男湯である事を確認し、脱衣所へと歩を進めて服を脱ぎ出す、篭に誰かの服が入っていたのでタオルを腰に巻いて浴場へと進む。

湯煙に隠れて良く見えないが、微かに寝息が聞こえる事から寝ていると判断し、体を洗って湯船に浸かる。

「ふぅ……」

成程、確かにこれは眠りたくなる心地良さだ、このまま沈みたくなる。

そこでようやく溺死する可能性があると思い出し、寝ている他の客には悪いが起こそうとして近くに寄る。

「ん んん……」

寝言に違和感を覚え、湯煙を風の魔法で少しだけ吹き飛ばして姿を確認する。

「……そんな馬鹿な」

そこには、私の主である十六夜咲夜が居た。

「ん……さつ……き……?……っ!」

ようやく主も目を覚まし、これはマズイと本能が告げる、勿論弁解をしないとよりマズイ事になるだろう。

「えぇと……違います これは……」
「この変態悪魔ぁぁぁ!!」
「あべしっ!!」

バチーン!と平手打ちの良い音を浴室に響かせ、別の意味で湯船に沈む事となった。

      第三話(前編) 終


以下あとがき

どうも、作者の十六夜皐月です。
今回はちょっと長くなったので二つに分ける事にしました。
文章能力無い癖にそんな事するなと自分でツッコミを入れましたねw
次回は戦闘が入ると思います、期待しないで下さいね;
それではまた次のお話で……

Re: 東方従者録 ( No.4 )
日時: 2016/01/26 11:16
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: B594orir)

こんにちわ。初めまして十六夜皐月様、風死と申します。
文才に関しては、書いて読んで学んでいけば幾らでも伸びると思いますよ♪ 少なくともト書きじゃないだけ全然マシです(笑
あぁ、あと、何も1レスで1話を終わらせる必要などないですよ? それが過ぎると、1話の内容が薄っぺらくなりますし、ともすると情報量が圧縮されすぎてしまいますしね。
咲夜さん好きって感じが、ありありと伝わって良いですね。そしてオリキャラの書き方が丁寧なのも好感が持てます。
更新頑張ってくださいね。

Re: 東方従者録 ( No.5 )
日時: 2016/02/02 01:25
名前: 十六夜皐月 (ID: bNAHgfPP)

風死様勢いだけで書いてる作品にコメントして頂きありがとうございますw
そうですね 確かに内容が薄くなってるかもしれません……;
これからは部分的に投稿していく事にしますね
ご指摘ありがとうございましたm(__)m
これからも東方従者録を宜しくお願いしますねw

        十六夜皐月

Re: 東方従者録 ( No.6 )
日時: 2016/02/07 01:56
名前: 十六夜皐月 (ID: NZ/3H69l)

第三話 十六夜咲夜の夢(後編)

「皐月……」

潤んだ瞳で、皐月を見上げる。

「咲夜さん……」

それに答えるかの様に皐月も私の名前を呼ぶ、だが少し違う。

「駄目……咲夜って呼んで」
「……失礼しました」
「敬語も禁止 ほら……言って?」
「……咲夜 愛してる」
「私もよ 皐月……」

皐月の顔が近付く、私も唇を差し出し、来る時に備える。

あと少し、あと数mm、あと2mmほど……

「さつ……き……………ん……?」

私が望んだ来る時は訪れず、訪れたのは無情な現実の時だった。

最近、似た様な夢ばかりを見ている、皐月と恋人同士になり、私と結ばれる、基本的にそのパターンに忠実な夢を見て、もう少しで唇が触れあうといった所で目が覚める。

「……はぁぁぁぁ……」

今日も、私の一日は皐月への想いを込めた溜め息で始まる。

Re: 東方従者録 ( No.7 )
日時: 2016/02/07 02:18
名前: 十六夜皐月 (ID: NZ/3H69l)

ベッドから立ち上がり、私服へと着替える、自分に似合うかは分からない、だがこれを着た時に皐月が「良くお似合いです」と言ってくれたその日から、この服はお気に入りとなっている。

「四時五分……か……」

職場で起きる時間が身に染み付いてしまっているのだろう、昨日寝たのは一時、おおよそ三時間しか寝ていない、だと言うのに不思議な程気だるさや眠気などは一切感じず、あるのは清々しい気分のみ。

朝日を体一杯に浴び、体内時計をリセットしようと宿の外に出ると、何処からかビュッという刃物を振るう音が聞こえた。

こんな所に、しかもこんな時期にあの半人半妖の庭師がここに泊まりに来る訳がない、ならば誰が振るっている?

私は好奇心半分、警戒半分で音の聞こえる方へと進んで行く。

音は宿の裏から聞こえてくる物だった、下級の人に害を成す妖怪であるならば退治し、何事も無かったかの様に処理出来る、只の素振りをしている人間でも同様だ。

やがて、何かを断ち切る音が聞こえた、その音の正体を早く確かめたいという気持ちが大きくなる一方で、これ以上は自分も危険ではないかという気持ちも大きくなってきていた。

(逃げては駄目よ十六夜咲夜 ここで逃げれば完璧なメイドの名に傷が付くわ)

自分を震い立たせ、最大の警戒と注意、銀のナイフの柄を手に取り、極限まで気配を殺して、ゆっくりと歩を進める。


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